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【発明の名称】 回転体装置
【発明者】 【氏名】長田 努

【氏名】石黒 康之

【氏名】兼重 正利

【氏名】西野 俊夫

【氏名】谷澤 浩

【氏名】山口 淳

【氏名】大塚 義則

【要約】 【課題】組立作業を容易にし、回転体の磨耗を確実に防止し、隣接部材の損傷を防止する。

【解決手段】駆動軸4の矢印L方向の回転を駆動ギア1から中継ギア2及び従動ギア3を経由して従動軸5に伝達する回転体装置10において、従動ギア3の上側の端面にフランジ部7を設け、中継ギア2の上側の端面に凸状部材8を一体的に設けた。フランジ部7の外径は従動ギア3の歯先円よりも大きく、フランジ部7において従動ギア3の外側に延出した底面の一部が中継ギア2の上側の端面の一部に対向する。凸状部材8は、外径が中継ギア2の歯底円よりも小さい環状の平板形状を呈し、上面の一部においてフランジ部7の底面に面接触する。フランジ部7と凸状部材8との接触により、中継ギア2の軸方向の位置が規定される。即ち、凸状部材8の上面がフランジ部7の底面に接触することにより、中間軸6に外嵌して上下方向に移動自在である中継ギア2の上方への移動が規制される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】回転軸を互いに平行に配置した複数の回転体を備え、第1の回転体の端面にフランジ部を形成するとともに、このフランジ部に対向する第2の回転体の端面にフランジ部の側面に対して軸方向に当接する凸状部材を設けたことを特徴とする回転体装置。
【請求項2】前記凸状部材は、フランジ部の側面に対して第2の回転体の半径方向及び円周方向のそれぞれについて所定の範囲で面接触する部材であることを特徴とする請求項1に記載の回転体装置。
【請求項3】前記凸状部材は、フランジ部の側面に対して第2の回転体の円周方向について所定の範囲で線接触する部材であることを特徴とする請求項1に記載の回転体装置。
【請求項4】前記凸状部材は、第1の回転体のフランジ部に対向する部分が点で構成され、第2の回転体の円周方向に沿って配置された複数の部材であることを特徴とする請求項1に記載の回転体装置。
【請求項5】前記凸状部材は、第2の回転体の円周方向の全範囲にわたって単一又は複数の環状に形成した部材であることを特徴とする請求項2又は3に記載の回転体装置。
【請求項6】前記凸状部材は、第2の回転体の円周方向に沿って間欠的に配置した複数の部材であることを特徴とする請求項2又は3に記載の回転体装置。
【請求項7】前記凸状部材は、前記複数の部材のそれぞれにおいてフランジ部の側面に対向する面を第2の回転体の回転方向に沿って第2の回転体の体面からの突出量が徐々に減少する傾斜面によって構成したことを特徴とする請求項6に記載の回転体装置。
【請求項8】前記凸状部材は、前記複数の部材が第2の回転体の端面からの突出量が互いに異なる複数種類の部材を1組として第2の回転体の円周方向に沿って配置された複数組の部材によって構成したことを特徴とする請求項4、6又は7のいずれかに記載の回転体装置。
【請求項9】前記凸状部材は、隣接するギアに噛合するギアである第2の回転体の端面において歯底円の内側に配置されたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の回転体装置。
【請求項10】前記凸状部材は、隣接するギアに比較して歯幅の狭いギアである第2の回転体の端面に一体的に形成したことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の回転体装置。
【請求項11】前記凸状部材は、フランジ部の材料に比較して軟質の材料を素材として第2の回転体の端面に着脱自在に取り付けたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の回転体装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】この発明は、歯車、ローラ及びプーリ等の回転体を備え、回転力の伝達機構を構成する回転体装置に関し、特に、回転体の端面が他の回転体を含む隣接部材に摺動して回転する回転体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】歯車を回転自在に支持した回転体装置では、歯車の端面と歯車が取り付けられている回転軸を支持する軸受の端面とが摺動する場合、両者の材質がともに樹脂であると、互いに融着したり、磨耗や異音を発生するおそれがある。そこで、従来の回転体装置では、両者の間に低摩擦材料を素材とする薄いスペーサ等の部材を挟み込み、同一又は類似の材質の部分が互いに摺動するのを回避している。
【0003】また、従来の回転体装置では、図10に示すように、互いに噛合する一方の歯車(図中では従動歯車)103の端面にフランジ部107を形成し、他方の歯車(図中では中継歯車)102の端面をフランジ部107に当接させることにより、簡単な構造で中継歯車102の脱落を防止するようにしたものもある。このような構造においても、従動歯車103のフランジ部107と中継歯車102の端面とがともに樹脂を素材としている場合には、互いに融着したり、磨耗や異音を発生するおそれがあり、フランジ部107と中継歯車102の端面との間にスペーサ、カラー又はスリーブ等の部材を挟み込むようにし、同一又は類似の材質の部分が摺動することを防止するようにしている。
【0004】さらに、回転体装置における歯車の軸方向の位置を固定するために、歯車のボス部を軸方向に延長し、延長したボス部の端面を隣接する歯車に形成されているフランジ部に当接させることにより、ボス部の延長部分に上記のスペーサ、カラー又はスリーブ等の部材の機能を実現したものもある。
【0005】例えば、特開平5−240327号公報には、歯車のボス部の端面に金属薄板製のキャップを外嵌し、このキャップに隣接部材との摺動面を形成した構成が開示されている。この構成により、組立容易、摺動面の方向を間違えない、摺動個所を明確にでき、摺動を安定し、軸方向隙間の管理が容易、キャップを複数種類揃えて同一の回転体を様々な機械に共通化でき、摺動部材を交換するだけで容易に保守でき、プーリ、歯車を回転体とする回転体装置に適用して好適であるという効果を奏することができるとされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、同一又は類似の材質の部分が摺動することを防止するため、及び、回転体の軸方向の位置の調整のために、回転体の両端面と軸受との間にスペーサ、カラー又はスリーブ等の部材を挿入する構成では、組立作業が困難で、適正な位置から脱落した部材によって回転体の動作不良を生じる問題がある。
【0007】また、一般にスペーサやカラーは、回り止めを備えていないため、回転体又は軸受のいずれと摺動するかを規定することができず、必ずしも本来摺動すべき部分に摺動するとは限らない。
【0008】特に、薄板状のスペーサは、低摩擦シート材を素材として打ち抜き加工によって成形され、スペーサの端面には一方の側面方向にカエリと呼ばれる微小な突起が突出しており、カエリが突出していない側面を摺動面とすべきである。しかし、組立作業時にスペーサの表裏を判断することは困難で、カエリが突出している部分が摺動面にされ、スペーサを円滑に摺動させることができなくなる問題がある。
【0009】さらに、回転体のボス部を延長する構成では、回転体の回転軸への固定手段が長大化する問題があり、特に、固定軸に対して回転自在にされたアイドルギアやアイドルプーリ等の遊動回転体では、回転体のボス部と固定軸との間に挿入される軸受も長くする必要があり、コストの上昇を招く問題がある。
【0010】また、特開平5−240327号公報に開示された構成では、金属製のキャップを回転体のボス部に装着するため、樹脂製の軸受等の隣接部材の摺動面に対する攻撃性が強く、キャップが摺動する部分に損傷を与える問題がある。
【0011】この発明の目的は、組立作業を容易にすることができるとともに、回転体の磨耗を確実に防止することができ、隣接側部材の損傷を防止できる回転体装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題を解決するための手段として、以下の構成を備えている。
【0013】(1) 回転軸を互いに平行に配置した複数の回転体を備え、第1の回転体の端面にフランジ部を形成するとともに、このフランジ部に対向する第2の回転体の端面にフランジ部の側面に対して軸方向に当接する凸状部材を設けたことを特徴とする。
【0014】この構成においては、第1の回転体のフランジ部に第2の回転体の端面に形成された凸状部材が当接して第1及び第2の回転体が回転する。したがって、第2の回転体の端面が第1の回転体のフランジ部に直接接触することがなく、第2の回転体の周面に損傷を生じることがない。また、凸状部材を第2の回転体の回転軸に接触させる必要はないため、第2の回転体を回転軸に固定するための締結部材が軸方向に長くなることがなく、第2の回転体が固定軸に軸受を介して支持された遊動回転体であっても軸受が軸方向に長くなることがない。
【0015】(2) 前記凸状部材は、フランジ部の側面に対して第2の回転体の半径方向及び円周方向のそれぞれについて所定の範囲で接触する部材であることを特徴とする。
【0016】この構成においては、第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に形成された凸状部材が面接触する。したがって、フランジ部に凸状部材が点接触又は線接触する場合に比較して、フランジ部から凸状部材に作用する単位面積当りの当接力が小さくなり、凸状部が早期に磨耗することがない。
【0017】この構成に係る凸状部材は、台形の断面形状を有するものとすることができる。
【0018】(3) 前記凸状部材は、フランジ部の側面に対して第2の回転体の円周方向について所定の範囲で接触する部材であることを特徴とする。
【0019】この構成においては、第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に形成された凸状部材が線接触する。したがって、フランジ部に凸状部材が面接触する場合に比較して、フランジ部と凸状部材との間の摩擦抵抗が小さくなり、第1の回転体と第2の回転体との間で回転力を伝達する際のトルクロスが減少する。
【0020】この構成に係る凸状部材は、フランジ部に対向する部分が角部又は部分円弧部の断面形状を呈するものとすることができる。
【0021】(4) 前記凸状部材は、第1の回転体のフランジ部に対向する部分が点で構成された複数の部材であることを特徴とする。
【0022】この構成においては、第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に形成された凸状部材が点接触する。したがって、フランジ部に凸状部材が線接触する場合に比較して、フランジ部と凸状部材との間の摩擦抵抗がさらに小さくなり、第1の回転体と第2の回転体との間で回転力を伝達する際のトルクロスがさらに減少する。
【0023】この構成に係る凸状部材は、円錐形状、角錐形状又は部分球形状とすることができる。
【0024】(5) 前記凸状部材は、第2の回転体の円周方向の全範囲にわたって単一又は複数の環状に配置した部材であることを特徴とする。
【0025】この構成においては、第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に環状に形成された凸状部材が面接触又は線接触する。したがって、第1の回転体及び第2の回転体が回転している間においてフランジ部に凸状部材が常時接触し、第1の回転体と第2の回転体との位置関係が間断なく維持される。
【0026】(6) 前記凸状部材は、第2の回転体の円周方向に沿って間欠的に配置した複数の部材であることを特徴とする。
【0027】この構成においては、第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に円周方向に沿って配置された複数の凸状部材が間欠的に接触する。したがって、フランジ部に接触する凸状部材が環状に形成されている場合に比較して、フランジ部と凸状部材との間の摩擦抵抗が小さくなり、第1の回転体と第2の回転体との間で回転力を伝達する際のトルクロスが減少する。
【0028】(7) 前記凸状部材は、前記複数の部材のそれぞれにおいてフランジ部の側面に対向する面を第2の回転体の回転方向に沿って第2の回転体の端面からの突出量を徐々に小さくした傾斜面によって構成したことを特徴とする。
【0029】この構成においては、第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に形成された複数の凸状部材の傾斜面が第2の回転体の端面からの突出量を徐々に大きくして接触する。したがって、複数の凸状部材間において第2の回転体の側面からの突出量に差異がある場合に、突出量の大きい凸状部材がフランジ部に当接する時の衝撃が緩和されるとともに、突出量の大きい凸状部材が磨耗することによってフランジ部に対する全ての凸状部材の当接状態が早期に均一化される。
【0030】(8) 前記凸状部材は、前記複数の部材が第2の回転体の端面からの突出量が互いに異なる複数種類の部材を1組として第2の回転体の円周方向に沿って配置された複数組の部材によって構成したことを特徴とする。
【0031】この構成においては、先ず、第2の回転体に形成された凸状部材の各組において突出量が最大の凸状部材のみがフランジ部に当接し、この突出量が最大の凸状部材が所定量だけ磨耗した後に、各組において突出量が最大の凸状部材及び突出量が2番目に大きい凸状部材がフランジ部に当接する。したがって、フランジ部に当接する凸状部材の面積が徐々に増加し、第1の回転体及び第2の回転体の回転が安定するとともに、凸状部材の磨耗量が減少する。
【0032】(9) 前記凸状部材は、隣接するギアに噛合するギアである第2の回転体の端面において歯底円の内側に配置されたことを特徴とする。
【0033】この構成においては、第2の回転体であるギアの端面において歯底円よりも内側の範囲に凸状部材が形成される。したがって、第2の回転体の歯部にフランジ部から当接力が作用することがなく、歯部に破損を生じることがない。
【0034】(10)前記凸状部材は、隣接するギアに比較して歯幅の狭いギアである第2の回転体の端面に一体的に形成したことを特徴とする。
【0035】この構成においては、噛合する他のギアに比較して歯幅が狭く、他のギアよりも先に磨耗するギアに凸状部材が一体的に形成される。したがって、凸状部材を形成したギアの交換頻度が他のギアよりも多くなり、凸状部材に大きな磨耗を生じることがない。
【0036】(11)前記凸状部材は、フランジ部の材料に比較して軟質の材料を素材として第2の回転体の端面に着脱自在に取り付けたことを特徴とする。
【0037】この構成においては、第1の回転体のフランジ部により軟質の凸状部材が当接する。したがって、第2の回転体に着脱自在にされた凸状部材がフランジ部よりも早期に磨耗し、フランジ部を含む第1の回転体、及び、第2の回転体自体の交換頻度が少なくなる。
【0038】
【発明の実施の形態】図1(A)及び(B)は、この発明の第1の実施形態に係る回転体装置の構成を示す正面図及び平面図である。回転体装置10は、駆動ギア1、中継ギア2及び従動ギア3を備えている。駆動ギア1は駆動軸4の上端部に固定されており、従動ギア3は従動軸5の上端部に固定されている。中継ギア2は、固定軸である中間軸6に軸受9を介して回転自在に支持されたアイドルギア(遊動ギア)であり、駆動ギア1及び従動ギア3に噛合する。駆動軸4、従動軸5及び中間軸6は、互いに平行に配置されている。この構成により、駆動軸4の矢印L方向の回転が駆動ギア1から中継ギア2及び従動ギア3を経由して従動軸5に伝達され、従動軸5が従動ギア3とともに矢印L方向に回転する。
【0039】従動ギア3の上側の端面には、フランジ部7が設けられている。フランジ部7の外径は従動ギア3の歯先円よりも大きくされており、フランジ部7において従動ギア3の外側に延出した底面の一部が中継ギア2の上側の端面の一部に対向する。中継ギア2の上側の端面には、凸状部材8が一体的に設けられている。凸状部材8は、外径が中継ギア2の歯底円よりも小さい環状の平板形状を呈し、上面の一部においてフランジ部7の底面に面接触する。このフランジ部7と凸状部材8との接触により、中継ギア2の軸方向の位置が規定されている。即ち、凸状部材8の上面がフランジ部7の底面に接触することにより、中間軸6に外嵌して上下方向に移動自在である中継ギア2の上方への移動が規制される。
【0040】このように、この実施形態に係る回転体装置10では、中継ギア2の上側の端面に凸状部材8が突出して形成されていることから、中継ギア2の上側の端面がフランジ部7に当接することがない。このため、中継ギア2の歯先の上端部がフランジ部7に接触することがなく、この部分が削られたり欠落したりすることがない。また、凸状部材8は、中継ギア2の上側の端面に一体的に設けられているため、カラーやスペーサ等の別部品を配置した構成に比較して部品点数を削減することができ、組立作業を簡略化して作業の確実性を担保できる。さらに、凸状部材8は中間ギア2の上側の端面のフランジ部7に対向する範囲内に設けられるため、中継ギア2に凸状部材8を形成しても中継ギア2において中間軸6が貫通する孔部の軸方向の長さが延長されることがなく、軸受9が大型化することがない。
【0041】また、上記回転体装置10では、凸状部材8がフランジ部7に面接触するため、中継ギア2の上方への移動力の反力としてフランジ部7から凸状部材8に作用する応力の値を小さくすることができる。したがって、フランジ部7との接触による凸状部材8の磨耗速度を抑えることができ、フランジ部7が凸状部材8よりも硬質の素材によって構成されている場合にも凸状部材8を一体に形成した中継ギア2の寿命が著しく短縮されることがない。さらに、上記回転体装置10では、凸状部材8を中継ギア2の円周方向の全周にわたる環状に形成しているため、中継ギア2の回転中において凸状部材8がフランジ7に常時接触し続け、各ギアを円滑に回転させることができる。
【0042】なお、中継ギア2に凸状部材8を一体的に形成する場合には、中継ギア2の材質を駆動ギア1及び従動ギア3の材質よりも磨耗し易い材質とすることにより、他のギアに比較して交換作業が容易な中継ギア2を磨耗し易くし、交換が煩雑又は困難なギアの磨耗を防止して回転体装置10自体を長寿命化することができる。
【0043】一方、中継ギア2に凸状部材8を着脱自在に取り付ける場合には、凸状部材8をフランジ部7を構成する材質よりも軟質の材料を素材として形成する。これによって、凸状部材8のみが磨耗し、凸状部材8を交換することによって回転体装置10を構成するギア1〜3を長寿命化することができる。
【0044】図2は、この発明の第2の実施形態に係る回転体装置の構成を示す正面図及び平面図である。この実施形態に係る回転体装置20は、中継ギア2の上側の端面に、フランジ部7に線接触する凸状部材18を形成したものである。即ち、凸状部材18は、一例として、中継ギア2の周方向の全周にわたって一定の三角形断面形状を呈しており、三角形断面の頂部においてフランジ部7に線接触する。
【0045】このように、上記実施形態に係る回転体装置20では、凸状部材18がフランジ部7に線接触するため、凸状部材18が面接触する場合に比較してフランジ部7との接触面積が小さくなり、フランジ部7との間に発生する摩擦抵抗によるトルクロスを低くして駆動軸4から従動軸5に対して回転力を有効に伝達することができる。
【0046】なお、凸状部材18は、フランジ部7の底面に線接触する形状であれば、図2に示す三角形断面形状に限るものではない。例えば、図3に示すように、凸状部材18を、上端部が部分円弧状を呈する断面形状とすることもできる。
【0047】また、図4(A)〜(C)に示すように、環状の凸状部材18を中継ギア2の上側の端面において同心円状に複数形成することもできる。
【0048】図5は、この発明の第3の実施形態に係る回転体装置における凸状部材の形状を示す正面図及び平面図である。この実施形態に係る回転体装置30では、ぞれぞれが円錐形を呈する複数の凸状部材28を、中継ギア2の上側の端面において円周方向に沿って一定の間隔で間欠的に形成している。したがって、フランジ部7の底面には、中継ギア2の上側の端面に形成された凸状部材28のそれぞれが点接触する。このように、回転体装置30では、凸状部材28がフランジ部7に点接触するため、凸状部材18が線接触する場合に比較してフランジ部7との接触面積がさらに小さくなり、フランジ部7との間に発生する摩擦抵抗によるトルクロスをより低くし、駆動軸4から従動軸5に対して回転力をより有効に伝達することができる。
【0049】なお、凸状部材28は、フランジ部7の底面に点接触する形状であれば、図5に示す円錐形状に限るものではない。例えば、図6に示すように、凸状部材28は、上面を半球形により構成することもできる。
【0050】また、図7に示すように、凸状部材28を中継ギア2の上側の端面において複数の同心円上に配置することもできる。
【0051】さらに、図8(A)及び(B)に示すように、凸状部材28の上面を中継ギア2の矢印M方向の回転方向に沿って中継ギア2の上側の端面からの突出量が徐々に小さくなる傾斜面によって構成することもできる。この構成により、中継ギア2の回転により、中継ギア2の上側の端面に形成された各凸状部材28が、突出量の小さい部分から大きい部分に順にフランジ部7の底面に対向し、各凸状部材28がフランジ部7の底面に円滑に当接する。これによって、各凸状部材28が断続的にフランジ部7に当接することによる振動や騒音の発生を抑制することができる。
【0052】なお、図8に示す例では、各凸状部材28は、上面の面積も中継ギア2の回転方向に沿って徐々に小さくなるようにされている。したがって、中継ギア2の回転にともなって、各凸状部材28のフランジ部7の底面に対する当接面積も徐々に増加し、各凸状部材28がフランジ部7の底面により円滑に当接する。
【0053】加えて、図9(A)〜(C)に示すように、凸状部材28を、中継ギア2の上側の端面からの突出量が互いに異なる2種類の凸状部材28a,28bを1組として、中継ギア2の円周方向に沿って複数組を配置した構成とすることもできる。この構成によれば、突出量の大きい凸状部材28aがフランジ部7の底面との当接によって磨耗し、凸状部材28aの突出量が凸状部材28bの突出量に一致すると、フランジ部7の底面に対する接触面積が拡大し、その後は磨耗の進行が抑えられ、環状の凸状部材8としてフランジ部7の底面に当接する。
【0054】なお、上述したいずれの実施形態においても、凸状部材8,18及び28が形成される中継ギア2を固定軸6に軸支したアイドルギアとした場合について説明したが、固定軸6に代えて配置された回転軸に固定された従動ギアについても、この発明を同様に実施することができる。
【0055】
【発明の効果】この発明によれば、以下の効果を奏することができる。
【0056】(1) 第1の回転体のフランジ部に第2の回転体の端面に形成された凸状部材を当接させて第1及び第2の回転体を回転させることにより、第2の回転体の端面が第1の回転体のフランジ部に直接接触しないようにし、第2の回転体の周面における損傷を防止することができる。また、凸状部材を第2の回転体の回転軸に接触させる必要はないため、第2の回転体を回転軸に固定するための締結部材を軸方向に長くする必要がなく、第2の回転体が固定軸に軸受を介して支持された遊動回転体であっても軸受を軸方向に長くする必要がない。
【0057】(2) 第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に形成された凸状部材を面接触させることにより、フランジ部に凸状部材が点接触又は線接触する場合に比較して、フランジ部から凸状部材に作用する単位面積当りの当接力を小さくでき、凸状部材の磨耗の進行を抑制することができる。
【0058】(3) 第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に形成された凸状部材を線接触させることにより、フランジ部に凸状部材が面接触する場合に比較して、フランジ部と凸状部材との間の摩擦抵抗を小さくでき、第1の回転体と第2の回転体との間で回転力を伝達する際のトルクロスを減少させて回転を効率良く伝達することができる。
【0059】(4) 第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に形成された凸状部材を点接触させることにより、フランジ部に凸状部材が線接触する場合に比較して、フランジ部と凸状部材との間の摩擦抵抗がさらに小さくなり、第1の回転体と第2の回転体との間で回転力を伝達する際のトルクロスがさらに減少する。
【0060】(5) 第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に環状に形成された凸状部材を面接触又は線接触させることにより、第1の回転体及び第2の回転体が回転している間においてフランジ部に凸状部材を常時接触させることができ、第1の回転体と第2の回転体との位置関係を間断なく維持することができる。
【0061】(6) 第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に円周方向に沿って配置された複数の凸状部材を間欠的に接触させることにより、フランジ部に接触する凸状部材が環状に形成されている場合に比較して、フランジ部と凸状部材との間の摩擦抵抗を小さくし、第1の回転体と第2の回転体との間で回転力を伝達する際のトルクロスを減少して回転を効率良く伝達することができる。
【0062】(7) 第1の回転体のフランジ部に第2の回転体に形成された複数の凸状部材の傾斜面を第2の回転体の端面からの突出量を徐々に大きくして接触させることにより、複数の凸状部材間において第2の回転体の側面からの突出量に差異がある場合に、突出量の大きい凸状部材がフランジ部に当接する時の衝撃を緩和することができるとともに、突出量の大きい凸状部材が磨耗することによってフランジ部に対する全ての凸状部材の当接状態を早期に均一化し、フランジ部に凸状部材が当接した状態で第1及び第2の回転体を円滑に回転させることができる。
【0063】(8) 第2の回転体に形成された凸状部材の各組において突出量が最大の凸状部材のみをフランジ部に先に当接させ、この突出量が最大の凸状部材が所定量だけ磨耗した後に、各組において突出量が最大の凸状部材及び突出量が2番目に大きい凸状部材をフランジ部に当接させることにより、フランジ部に当接する凸状部材の面積が徐々に増加し、第1の回転体及び第2の回転体の回転が安定するとともに、凸状部材の磨耗量を減少することがてきる。
【0064】(9) 第2の回転体であるギアの端面において歯底円よりも内側の範囲に凸状部材を形成することにより、第2の回転体の歯部にフランジ部から当接力が作用することがなく、歯部の破損を確実に防止することができる。
【0065】(10)噛合する他のギアに比較して歯幅が狭く、他のギアよりも先に磨耗するギアに凸状部材を一体的に形成することにより、凸状部材を形成したギアの交換頻度を他のギアよりも多くし、凸状部材に大きな磨耗を生じないようにすることができる。
【0066】(11)第1の回転体のフランジ部に、より軟質の凸状部材を当接させることにより、第2の回転体に着脱自在にされた凸状部材をフランジ部よりも早期に磨耗させることができ、フランジ部を含む第1の回転体、及び、第2の回転体自体の交換頻度を少なくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成11年11月19日(1999.11.19)
【代理人】 【識別番号】100084548
【弁理士】
【氏名又は名称】小森 久夫
【公開番号】 特開2001−141032(P2001−141032A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−329442