| 【発明の名称】 |
トルクコンバータ製造方法及びその装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐々木 広治
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| 【要約】 |
【課題】簡単な機構で効率的に第1のシェルと第2のシェルを結合できるので、熱による歪みや変色が発生せず、品質の高いトルクコンバータのハウジングを得ること。
【解決手段】トルクコンバータにおける羽根車が固定された第1のシェルと第2のシェルとを接合する方法において、前記第1のシェルにその球面状の角度よりも緩やかに外方向に延びるリング状テーパー面をもつ段差端部を形成すると共に、該段差端部先端面となる端面と前記第2のシェルの端面それぞれに径がほぼ同一のリングプロジェクションを形成し、前記第1のシェルと第2のシェルの前記リングプロジェクション同士を突き合わせ、その突き合わせ方向に前記リング状テーパー面と前記第2のシェル間に加圧力をかけながら前記第1のシェルと第2のシェルのリングプロジェクション間に100ミリ秒以下の時間大電流を流して、前記第1のシェルと第2のシェルをプロジェクション溶接することを特徴とするトルクコンバータ製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トルクコンバータにおける羽根車が固定された第1のシェルと第2のシェルとを接合する方法において、前記第1のシェルにその球面状の角度よりも緩やかに外方向に延びるリング状テーパー面をもつ段差端部を形成すると共に、該段差端部先端面となる端面と前記第2のシェルの端面それぞれに径がほぼ同一のリングプロジェクションを形成し、前記第1のシェルと第2のシェルの前記リングプロジェクション同士を突き合わせ、その突き合わせ方向に前記リング状テーパー面と前記第2のシェル間に加圧力をかけながら前記第1のシェルと第2のシェルのリングプロジェクション間に100ミリ秒以下の時間大電流を流して、前記第1のシェルと第2のシェルをプロジェクション溶接することを特徴とするトルクコンバータ製造方法。 【請求項2】 トルクコンバータにおける羽根車が固定された第1のシェルと第2のシェルとを接合する装置であって、商用電力を直流に変換する整流回路と、該整流回路からの直流電流により充電される複数のコンデンサを並列接続したコンデンサバンクと、該コンデンサバンクの充電エネルギーを選択的に溶接トランスの1次巻線に放電させる放電スイッチと、前記溶接トランスの2次巻線に接続された第1、第2の溶接電極とを備えた製造装置において、前記第1のシェルはその球面状の角度よりも緩やかに外方向に延びるリング状テーパー面をもつ段差端部を備え、前記第1の溶接電極は前記リング状テーパー面に適合する環状テーパー面を内側角部に沿って備え、該環状テーパー面を前記第1のシェルの前記リング状テーパー面に当接させ、前記第1、第2の溶接電極の加圧機構の作用により前記第1のシェルの前記リング状テーパー面と前記第2のシェルとの間に相対的に逆方向の加圧力をかけ、その状態で前記コンデンサバンクから前記溶接トランスを通して前記第1のシェルと第2のシェルのプロジェクション間に大電流を流して、前記第1のシェルと第2のシェルとをプロジェクション溶接することを特徴とするトルクコンバータ製造装置。 【請求項3】 請求項2において、前記第1の溶接電極の前記環状テーパー面は前記加圧力の方向に対して30度から80度の範囲内にあることを特徴とするトルクコンバータ製造装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】 この発明は、自動車などに用いられるトルクコンバータの製造方法及び装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 一般に、入力軸トルクに対して出力軸トルクが変化する流体トルクコンバータ(以下、トルクコンバータという)は、入力軸と出力軸とを一直線上に配置し、入力軸にポンプ羽根車を結合、出力軸にタービン羽根車を結合して対向させて羽根車を構成し、その羽根車を第1のシェルに固定して液体と一緒に第1のシェルと第2のシェルからなるハウジング内に納め、入力軸を回せば液体がポンプ羽根車により回りだし、タービン羽根車を回転させることにより出力軸が回転を行うようになっている。 【0003】 従来のトルクコンバータのハウジングは、第1のシェルと第2のシェルの端部とを組み合わせて電子ビーム溶接又はアーク溶接、あるいはろう付けにより接合していた。従来例として図4を用いて、ろう付けにより羽根車が固定された第1のシェル1とフロントカバーとなる第2のシェル2とをろう付けする方法について簡単に説明する。 【0004】 第1のシェル1は押さえ金具3に安定に支持される。押さえ金具3は第1のシェル1の球状の外面1aに適合する形状の面を有し、比較的広い面積で第1のシェル1を受ける。第1のシェル1の端部は外周に沿ってある幅で薄くなっており、第2のシェル2の端部は内周に沿ってある幅で薄くなっている。第1のシェル1の端部の外径は第2のシェル2の端部の内径よりも若干小さくなっており、第2のシェル2の端部がある幅で第1のシェル1の端部に被さる。この状態で第1のシェル1と第2のシェル2との重なり部の双方をろう材4でもってろう付けし、中の液体が漏れないように封止する。 【0005】 このようなろう付け又は電子ビーム溶接、アーク溶接による方法は、第1のシェルと第2のシェルの端部に沿って全周を順次溶接して行かなければならないので、作業時間が大幅にかかってしまうことと、長い間溶接エネルギーを注入するために溶接時の熱でハウジングが高温になってしまい、歪みなどが生じることが大きな欠点であった。 【0006】 このような欠点を解決する方法としては、良く知られているコンデンサスポット方式を採用して短時間に大電流を流せば良いが、次のような難しい問題がある。 (1)既存の第1のシェルと第2のシェルは球面形状の外面を有しているので、それらの間の接触抵抗を小さくするためには大きな加圧力、例えば数10トン以上の加圧力をかけねばならず、必然的に第1のシェルと第1の溶接電極、及び第2のシェルと第2の溶接電極との接触面積を大きくする必要がある。したがって、加圧力を均一にかけるようにすることが難しく、部分的に加圧力が大きくなって歪みが生じる可能性があった。 (2)第1のシェルと第2のシェルの形状にバラツキがある場合があり、この場合には第1のシェルと第2のシェルとが突き合わされる端面間の接触が不均一になるため、溶接電流の大きい部分と小さい部分とが生じ、このような電流密度の違いによって各部分の溶接品質が不均一になるという問題があり、実用化されていない。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 したがって、本発明では上述のような種々の問題点を解決し,トルクコンバータの第1のシェルと第2のシェルをコンデンサ式リングプロジェクション溶接により短時間でそれら双方を機械的に結合すると同時に、完全密封し、結合時の熱による悪影響のない品質の良好なトルクコンバータのハウジングを得ることを課題としている。 【0008】 【問題を解決するための手段】 前述のような課題を解決するため、第1の発明では、トルクコンバータにおける羽根車が固定された第1のシェルと第2のシェルとを接合する方法において、前記第1のシェルにその球面状の角度よりも緩やかに外方向に延びるリング状テーパー面をもつ段差端部を形成すると共に、該段差端部先端面となる端面と前記第2のシェルの端面それぞれに径がほぼ同一のリングプロジェクションを形成し、前記第1のシェルと第2のシェルの前記リングプロジェクション同士を突き合わせ、その突き合わせ方向に前記リング状テーパー面と前記第2のシェル間に加圧力をかけながら前記第1のシェルと第2のシェルのリングプロジェクション間に実質的に100ミリ秒以下の時間大電流を流して、前記第1のシェルと第2のシェルをプロジェクション溶接することを特徴とするトルクコンバータ製造方法を提供する。 【0009】 前述のような課題を解決するため、第2の発明では、トルクコンバータにおける羽根車が固定された第1のシェルと第2のシェルとを接合する装置であって、商用電力を直流に変換する整流回路と、該整流回路からの直流電流により充電される複数のコンデンサを並列接続したコンデンサバンクと、該コンデンサバンクの充電エネルギーを選択的に溶接トランスの1次巻線に放電させる放電スイッチと、前記溶接トランスの2次巻線に接続された第1、第2の溶接電極とを備えた製造装置において、前記第1のシェルはその球面状の角度よりも緩やかに外方向に延びるリング状テーパー面をもつ段差端部を備え、前記第1の溶接電極は前記リング状テーパー面に適合する環状テーパー面を内側角部に沿って備え、該環状テーパー面を前記第1のシェルの前記リング状テーパー面に当接させ、前記第1、第2の溶接電極の加圧機構の作用により前記第1のシェルの前記リング状テーパー面と前記第2のシェルとの間に相対的に逆方向の加圧力をかけ、その状態で前記コンデンサバンクから前記溶接トランスを通して前記第1のシェルと第2のシェルのプロジェクション間に大電流を流して、前記第1のシェルと第2のシェルとをプロジェクション溶接することを特徴とするトルクコンバータ製造装置を提供する。 【0010】 前述のような課題を解決するため、第3の発明では、請求項2において、前記第1の溶接電極の前記環状テーパー面は前記加圧力の方向に対して30度から80度の範囲内にあることを特徴とするトルクコンバータ製造装置を提供する。 【0011】 【発明の実施の形態及び実施例】 この発明の特徴は、トルクコンバータのハウジングを構成する第1のシェルと第2のシェルの結合に当たって、事前に第1のシェルの端部にテーパー面をもつ段差部を設けると共に、それぞれの端面にリングプロジェクションを設け、第1のシェルの端部にテーパー面を利用してそれらリングプロジェクション同士に均一で大きな加圧力をかけた状態で、実質的に100ミリ秒以下の短時間に、例えば数十万アンペア以上の大電流を前記第1のシェルと第2のシェル間に通電するようにしたものである。 【0012】 図1ないし図3により本発明の1実施例について説明する。図1及び図2において、第1のシェル1と第2のシェル2は断面を示している。第1のシェル1と第2のシェル2それぞれの円周端部にはリングプロジェクション1A、2Aが形成され、リングプロジェクション1Aと2A同士がぴったり合うように等しい輪郭の細い幅の円周頂部Xを有する。リングプロジェクション1Aと2Aは図2(A)に示すように、端部を両側から一定の傾斜で削った形にして端面の中央に細い幅の円周頂部Xを形成しても良く、また、同図(B)に示すように、一端側の傾斜を他端側の傾斜よりも長くして端面のいずれか側に寄った位置に細い幅の円周頂部Xを形成しても良い。 【0013】 重要なのは、羽根車(図示せず)が固定された第1のシェル1は端部にある傾斜のテーパー面1Bをもつ段差部1Cを備えたことである。テーパー面1Bの角度は第1、第2の溶接電極3、4の相対的な加圧力の方向Pに対して30〜80°の範囲、好ましくは45〜70°の範囲が良い。テーパー面1Bの角度が、30°よりも小さい場合には方向Pの加圧力が十分に印加することができず、また80°を越える場合には加圧力による内側方向への回転力が大きくなり、溶接部が内側方向に歪むことがあり好ましくない。 【0014】 これに伴い、第1の溶接電極3は内側角部の全周に沿ってテーパー面1Bに適合するテーパー面3Aを有する。テーパー面3Aの角度は第1のシェル1のテーパー面1Bの角度と補角であり、第1と第2の溶接電極3と4の相対的な加圧力の方向Pに対して150〜100°の範囲、好ましくは135〜110°の範囲が良い。第1の溶接電極3のテーパー面3Aの中央の内径は第1のシェル1のテーパー面1B中央の外径とほぼ等しいか、又は幾分大きくなっている。したがって、第1のシェル1が第1の溶接電極3に載置され、加圧力を受けるとき、第1のシェル1のテーパー面1Bの全面が第1の溶接電極3のテーパー面3Aに密着する。第1のシェル1のテーパー面1Bと第1の溶接電極3のテーパー面3Aとはこのような構造関係にある。 【0015】 次に、図3をも用いてトルクコンバータのハウジングの製造について説明する。先ず、最初に図1と図2に示すように第1のシェル1と第2のシェル2のリングプロジェクション1Aと2Aとが突き合わされる状態で第1の溶接電極3にセットされる。このとき図示していないが、第1のシェル1と第2のシェル2とのリングプロジェクション1Aと2Aが突き合わされ、かつその状態を保持するため、ほぼ等間隔に配置されたクランプ部材が3方又は4方から前進して第1のシェル1と第2のシェル2の双方を所定のクランプ力でクランプする。この状態で第2の溶接電極4が下降し、図示していない加圧機構の働きで第2のシェル2に加圧力を加える。第1のシェル1と第2のシェル2間には図2の矢印で示す加圧力Pが働く。 【0016】 このとき、第1のシェル1は前に述べたような範囲の傾斜をもつ段差部1Cのテーパー面1Bで第1の溶接電極3のテーパー面3Aによって受けられているから、加圧力Pのほとんどは段差部1Cのテーパー面1Bにかかり、第1のシェル1と第2のシェル2のリングプロジェクション1Aと2Aの当接面にほぼ垂直にかかるので、加圧力Pが最小で済む。なお、加圧力Pが最小で済むといっても、その加圧力Pはシェル1と第2のシェル2の大きさにもよるが、数トン以上必要である。 【0017】 次に図2で示す回路において、商用交流電源5からの交流電力は整流装置6により直流電力に変換される。その直流電力は多数の電解コンデンサを並列接続してなるコンデンサバンク7を充電する。コンデンサバンク7に充電されたエネルギーはサイリスタなどからなる放電スイッチ8のオンにより、溶接トランス9の1次巻線を通して短時間で放電され、これに伴い溶接トランス9の2次巻線から溶接電極3と4を通して第1のシェル1と第2のシェル2に大電流が100ミリ秒よりも短い時間流れる。この大電流はピーク値で数10万アンペア、第1のシェル1と第2のシェル2の大きさによっては100万アンペアを越える。この大電流はリングプロジェクション1Aと2Aの狭い幅の当接面Xを集中して流れ、非常に効率的に第1のシェル1と第2のシェル2の突き合わせ部分を溶融させて結合する。 【0018】 ここで、図示していない前記クランプ部材は、大電流が流れるとき発生する磁界によりかなり大きな力が第1のシェル1と第2のシェル2に作用し、第1のシェル1と第2のシェル2の当接面Xがずれることがあるので、結合が完了するまで第1のシェル1と第2のシェル2をクランプしているのが好ましい。しかし、溶接電極の構造又はシェルの構造などにより、結合時におけるクランプ作用は必ずしも必要ではない。 【0019】 なお、第1の溶接電極3は段差部のテーパー面近傍だけで第1のシェル1に接触する構造となっているので、このことが大電流の通流により発生する熱の第1のシェル1への悪影響をさらに無くしている。また、第2の溶接電極4も最小限の面積で第2のシェル2に接触する構造となっており、同様に熱による悪影響を小さくしている。 【0020】 【発明の効果】 以上述べたように本発明によれば,トルクコンバータの羽根車が固定された第1のシェルの端部に所定の範囲の傾斜のテーパー面をもつ段差部を形成し、そのテーパー面に適合するテーパー面をもつ溶接電極で第1のシェルを受けているので、最小の加圧力で第1のシェルと第2のシェルのプロジェクション間を有効に加圧でき、簡単な機構で効率的に第1のシェルと第2のシェルを結合できるので、熱による歪みや変色が発生せず、品質の高いトルクコンバータのハウジングを得ることのできる |
| 【出願人】 |
【識別番号】000103976 【氏名又は名称】オリジン電気株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月12日(1999.11.12) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−141027(P2001−141027A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−322032 |
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