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【発明の名称】 特殊な形状の歯車を用いた,往復運動と回転運動とを変換する装置
【発明者】 【氏名】伊藤 晃

【要約】 【課題】往復運動から回転運動を創ったり,逆に回転運動から往復運動を創ったりするには,従来クランク軸を用いることが多かった。が,このクランク軸を用いる限り,この往復運動と回転運動との関係を,設計者の意図通りのものに設定することは不可能であった。

【解決手段】ピッチ半径が場所によって異なる特殊な形状の歯車を用いた遊星歯車機構を構築することで解決した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】・遊星歯車機構を用いる。
・遊星歯車機構の中心に軸をもつ,内歯あるいは外歯の歯車を用いる。この歯車は外側のケースに固定されている。
・遊星歯車機構の中心に軸をもつ固定された歯車と噛み合って,自転・公転をする遊星歯車を用いる。
・遊星歯車機構の中心に軸をもつ,ピッチ半径が場所によって異なり,滑らかで閉じたピッチ曲線をもつ特殊な形状の内歯あるいは外歯の歯車を用いる。
・遊星歯車機構の中心に軸をもつ特殊な形状の歯車と常に噛み合う条件をもって,自転・公転をする特殊な形状の遊星歯車を用いる。
・2種の遊星歯車の軸は共通で,いずれの歯車も軸に固定されており,全く等しい自転・公転運動をする。
・遊星歯車機構の腕と遊星歯車機構の中心に軸をもつ特殊な形状の歯車との間で,回転運動と中心軸の回転方向に関しての往復運動との変換を行う。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,動力伝達のための歯車の利用法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】往復運動から回転運動を創ったり,逆に回転運動から往復運動を創ったりするには,従来クランクを使うことが多かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】レシプロ式エンジンのピストンの往復運動とクランク軸の回転運動との関係について考えてみる。クランク軸が等角速度運動をしているとき,ピストンは単振動類似の運動をしているが,この振動は複雑で,2倍,4倍振動のモードを含んでいる。自動車用として現在最も多く生産されている直列4気筒エンジンでは,この倍振動を直接打ち消すことができず,従来,振動の除去のために多大の努力を払ってきた。多くのエンジン関係の技術者たちが宿命であると捉えていた上記のピストンの往復運動とクランク軸の回転運動との関係が,仮にバルブとカム軸との関係のように,ある程度設計者の意図通りの設定が可能なものになれば,当然今日のエンジンよりももっと高性能で,低燃費,低騒音のものができるはずである。本発明は往復運動と回転運動との変換をコンロッドやクランク軸に頼ることなく歯車列のみで行おうとするものである。また,この往復運動と回転運動との関係を設計者の意図通りの設定が可能なものにしようというものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】設計者の意図した任意の往復運動と等速円運動との変換という課題は,従来のクランクを用いる限り,解決不可能と思われる。そこで,この課題を歯車列の利用のみで解決することを考えた。電車が運動をしているときの車輪の各部の運動はトロコイド曲線で表される。車輪外周部のレールとの接点は静止しており,また,レールとの接点の真上の各点は電車と同じ向きに運動している。さらに,レールとの接点の真下の各点は電車と逆向きに運動している。つまり,電車を前進させるためには,車輪に,レールとの接点の真上では前向きの,また,接点の真下では後ろ向きの力を加えたのでも良いことが分かる。この電車の運動と車輪各部の運動との関係に,課題解決のヒントがあった。図1のように,この2本のレールを,固定したラックギアに置き換える。また,2個の車輪をこのラックギアと噛み合う平歯車に置き換えて,車軸に固定する。次にラックのピッチ直線を,滑らかに連続している曲線または曲線と直線とで構成されたピッチ曲線に置き換えた,ラックに相当するギアを造り,これを2本のラックギアの間にラックギアと平行に置く。このラック相当のギアは,そのピッチ曲線の一部がラックギアのピッチ直線より上に,また他の一部がラックギアのピッチ直線より下にくるように置く。さらに,このラック相当のギアと正確に噛み合う歯車をつくり,この歯車を上記の平歯車と同じ車軸に固定する。ここで,ラック相当のギアを電車の進行方向と平行に往復運動をさせると,電車は前進または後退をする。本発明は図2のように,この固定したラックギア及び往復運動をさせるラック相当のギアを丸めて内歯あるいは外歯の歯車とし,また車軸に相当する軸に腕を付け,さらに腕の他端を中心軸に取り付けて遊星歯車機構を構築したものである。ラック相当のギアを丸めてつくった歯車に,中心軸の回転方向に関しての往復運動をさせるとき,車輪に相当する歯車は遊星運動をする。また,この遊星運動をする歯車をささえる腕は回転運動をする。
【0005】
【発明の実施の形態】図1の固定したラック及び往復運動をさせるラック相当のギアの丸め方の違いにより,固定する歯車と往復運動をさせる歯車を外歯歯車にする図2のような場合と,内歯歯車にする場合との2形態がある。いずれの形態でも,遊星歯車が公転を1回行う間に,自転を整数回行うように各歯車の半径,歯数を設定する。また,いずれの形態の場合でも,互いに噛み合う条件をもち,ピッチ半径が場所によって異なる特殊な形状の歯車2種類が必要である。この歯車は平成11年10月30日付で本発明者が特許出願中である。また,いずれの形態の場合でも,遊星歯車を複数個用いる方がバランスの点で都合が良い。図2の形態の場合は,特殊な形状の歯車を創成するためのラックに相当する工具のピッチ曲線に多くの制約があり,設計が難しい。内歯歯車を用いる形態の場合で,往復運動を単振動にするには,特殊な形状の歯車を創成するためのラックに相当する工具のピッチ曲線に,トロコイドを用いれば良い。
【0006】
【発明の効果】内歯歯車の製作は素人にはなかなか困難なので,外歯歯車による遊星歯車機構を製作した。専門的な工具を持ち合わせていないので,5mm厚のアクリル板を加工して,平歯車6個,図3,図4に掲げたピッチ半径が場所によって異なる特殊な形状の歯車2種をそれぞれ2個,腕に相当する円盤2枚,さらに全体をささえるケースを製作し,その効果を確認した。加工はジグソー・ボール盤・グラインダー等で行ったので,粗い精度の工作ではあったが,特殊な形状の歯車に中心軸の回転方向に関しての往復運動をさせたとき,極めて円滑で,静粛に,腕に回転運動をさせることに成功した。もちろん,逆に腕を回転させたとき,特殊な形状の歯車に中心軸の回転方向に関しての往復運動をさせることにも成功した。
【出願人】 【識別番号】599170870
【氏名又は名称】伊藤 晃
【出願日】 平成11年11月11日(1999.11.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−141016(P2001−141016A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−357866