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【発明の名称】 トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの梱包方法
【発明者】 【氏名】熊谷 光男

【氏名】鎌村 有宏

【要約】 【課題】搬送中に加わる振動に拘らず、内輪軌道34や外輪軌道35に、圧痕等の損傷が発生する事を防止する。

【解決手段】トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43を梱包した状態で、トラニオン6とパワーローラ8とを、互いに近づく方向に弾性的に押圧する。そして、スラスト玉軸受29に予圧を付与し、玉31、31の転動面が上記内輪軌道34や外輪軌道35に衝突するのを防止して、上記課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端面に互いに同心の枢軸を固設したトラニオンと、これら両枢軸の周囲に設けた1対の第一のラジアル軸受と、上記トラニオンの中間部に、上記各枢軸の軸方向に対し直角方向に形成した円孔と、互いに平行で互いに偏心した支持軸部及び枢支軸部から成り、このうちの支持軸部を上記円孔の内側に第二のラジアル軸受を介して回転自在に支持した変位軸と、上記枢支軸部の周囲に、第三のラジアル軸受を介して回転自在に支持したパワーローラと、このパワーローラの外側面と上記トラニオンの中間部内側面との間に、スラスト荷重の作用方向に関して互いに直列に設けた第一、第二のスラスト軸受とを備え、これら互いに別体の部品であるトラニオンと第一、第二、第三のラジアル軸受と変位軸とパワーローラと第一、第二のスラスト軸受とを、トロイダル型無段変速機への組み付け以前に、このトロイダル型無段変速機の組立完了後の位置関係に予め組み立てたトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットを搬送する為に、弾性を有する緩衝材により上記トラニオンとパワーローラとを、上記変位軸の軸方向両側から挟み、上記第一、第二のスラスト軸受に予圧を付与した状態で上記トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットを梱包するトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの梱包方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの梱包方法は、例えば自動車用の変速機の変速ユニットとして、或は各種産業機械用の変速機として、それぞれ利用するトロイダル型無段変速機のパワーローラユニットを、このパワーローラユニットの組立工場からトロイダル型無段変速機の組立工場に搬送する為、このパワーローラユニットを梱包する為に利用する。
【0002】
【従来の技術】自動車用変速機として、図11〜12に略示する様なトロイダル型無段変速機が使用されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置した出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側には、上記入力軸1並びに出力軸3に対し捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動するトラニオン6、6を設けている。
【0003】即ち、これら各トラニオン6、6は、それぞれの両端部外面に上記枢軸5、5を、互いに同心に設けている。又、これら各トラニオン6、6の中間部には変位軸7、7の基端部を支持し、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を揺動させる事により、上記各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在としている。上記各トラニオン6、6に支持した変位軸7、7の周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支持している。そして、これら各パワーローラ8、8を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の、互いに対向する内側面2a、4a同士の間に挟持している。これら各内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5を中心とする円弧を回転させて得られる凹面をなしている。そして、球状凸面に形成した上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aを、上記内側面2a、4aに当接させている。
【0004】上記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け、弾性的に押圧自在としている。この押圧装置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11により転動自在に保持した複数個(例えば4個)のローラ12、12とから構成している。上記カム板10の片側面(図11〜12の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面である駆動側カム面13を形成し、上記入力側ディスク2の外側面(図11〜12の右側面)にも、同様の形状を有する被駆動側カム面14を形成している。そして、上記複数個のローラ12、12を、上記入力軸1の中心に関し放射方向の軸を中心とする回転自在に支持している。
【0005】上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転すると、駆動側カム面13が複数個のローラ12、12を、入力側ディスク2の外側面に形成した被駆動側カム面14に押圧する。この結果、上記入力側ディスク2が、上記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、上記駆動側、被駆動側両カム面13、14と複数個のローラ12、12との押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、前記複数のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、前記各枢軸5、5を中心として前記各トラニオン6、6を所定方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図11に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、前記各変位軸7、7を傾斜させる。反対に、増速を行なう場合には、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を反対方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図12に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各変位軸7、7を傾斜させる。これら各変位軸7、7の傾斜角度を図11と図12との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。
【0007】又、図13〜14は、実願昭63−69293号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速機の1例を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4とは円管状の入力軸15の周囲に、それぞれニードル軸受16、16を介して回転自在に支持している。又、カム板10は上記入力軸15の一端部(図13の左端部)外周面にスプライン係合させ、鍔部17により上記入力側ディスク2から離れる方向への移動を阻止している。そして、このカム板10とローラ12、12とにより、上記入力軸15の回転に基づいて上記入力側ディスク2を、上記出力側ディスク4に向け押圧しつつ回転させる、ローディングカム式の押圧装置9を構成している。上記出力側ディスク4には出力歯車18を、キー19、19により結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車18とが同期して回転する様にしている。
【0008】1対のトラニオン6、6の両端部は1対の支持板20、20に、揺動並びに次述する枢軸5、5の軸方向(図13の表裏方向、図14の左右方向)の変位自在に支持している。即ち、上記各トラニオン6、6の両端部に固設した枢軸5、5の外周面と上記各支持板20、20の両端部に形成した円孔21、21の内周面との間に、第一のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受22、22を設けている。これら各ラジアルニードル軸受22、22を構成する外輪23、23の外周面は球状凸面として、上記各円孔21、21に、揺動並びに軸方向に亙る変位自在に内嵌している。
【0009】この様にして、上記1対の支持板20、20同士の間に、揺動並びに軸方向に亙る変位自在に支持した、上記各トラニオン6、6の中間部に形成した円孔24、24部分に、変位軸7、7を支持している。これら各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持軸部25、25と枢支軸部26、26とを、それぞれ有する。このうちの各支持軸部25、25を上記各円孔24、24の内側に、第二のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受27、27を介して、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部26、26の周囲にパワーローラ8、8を、第三のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受28、28を介して、回転自在に支持している。
【0010】尚、上記1対の変位軸7、7は、上記入力軸15に対して180度反対側位置に設けている。又、これら各変位軸7、7の各枢支軸部26、26が各支持軸部25、25に対し偏心している方向は、上記入力側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関し同方向(図14で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上記入力軸15の配設方向に対しほぼ直交する方向としている。従って、上記各パワーローラ8、8は、上記入力軸15の配設方向に亙る若干の変位自在に支持される。この結果、回転力の伝達状態で構成各部材に加わる大きな荷重に基づく、これら構成各部材の弾性変形に起因して、上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の軸方向(図13の左右方向、図14の表裏方向)に変位する傾向となった場合でも、各部に無理な力を加える事なく、この変位を吸収できる。
【0011】又、上記各パワーローラ8、8の外側面と上記各トラニオン6、6の中間部内側面との間には、パワーローラ8、8の外側面の側から順に、第一のスラスト軸受であるスラスト玉軸受29、29と、第二のスラスト軸受であるスラストニードル軸受30、30とを、スラスト荷重の作用方向(図13、14の上下方向)に関して互いに直列に設けている。このうちのスラスト玉軸受29、29は、上記各パワーローラ8、8に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ8、8の回転を許容するものである。この様なスラスト玉軸受29、29はそれぞれ、転動体である複数個ずつの玉31、31と、これら各玉31、31を転動自在に保持する円環状の保持器32と、円環状の外輪33とから構成している。これら各スラスト玉軸受29、29の内輪軌道34は上記各パワーローラ8の外側面に、外輪軌道35は上記各外輪33の内側面に、それぞれ形成している。
【0012】又、上記各スラストニードル軸受30、30は、レース36と保持器37とニードル38、38とから構成している。このうちのレース36と保持器37とは、回転方向に関して若干の変位自在に組み合わせている。この様なスラストニードル軸受30、30は、上記各レース36、36を上記各トラニオン6、6の内側面に当接させた状態で、この内側面と上記外輪33、33の外側面との間に挟持している。この様なスラストニードル軸受30、30は、上記各パワーローラ8、8から上記各外輪33、33に加わるスラスト荷重を支承しつつ、前記各枢支軸部26、26及び上記外輪33、33が、前記支持軸部25、25を中心に揺動する事を許容する。
【0013】更に、上記各トラニオン6、6の一端部(図14の左端部)にはそれぞれ駆動ロッド39、39を結合し、これら各駆動ロッド39、39の中間部外周面に駆動ピストン40、40を固設している。そして、これら各駆動ピストン40、40を、それぞれ駆動シリンダ41、41内に油密に嵌装している。
【0014】上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の場合には、入力軸15の回転は、押圧装置9を介して入力側ディスク2に伝わる。そして、この入力側ディスク2の回転が、1対のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝わり、更にこの出力側ディスク4の回転が、出力歯車18より取り出される。入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比を変える場合には、上記1対の駆動ピストン40、40を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン40、40の変位に伴って上記1対のトラニオン6、6が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図14の下側のパワーローラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ8が同図の左側に、それぞれ変位する。この結果、これら各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン6、6が、前記支持板20、20に枢支された枢軸5、5を中心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の図11〜12に示した様に、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比が変化する。
【0015】尚、これら入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比を所望値に調節するのは、上記各駆動ピストン40、40の移動量を規制する事により行なう。そして、これら各駆動ピストン40、40の移動量を規制するのは、前記各駆動ロッド39、39の端部若しくは中間部に固定した、図示しないプリセスカムと、やはり図示しないスプール弁のスプール若しくはスリーブとの係合により行なう。又、上述の様に上記入力軸15と出力歯車18との間で回転力の伝達を行なう際には、構成各部材の弾性変形に基づいて上記各パワーローラ8、8が、上記入力軸15の軸方向に変位し、これら各パワーローラ8、8を枢支している前記各変位軸7、7が前記各支持軸部25、25を中心として僅かに回動する。この回動の結果、前記各スラスト玉軸受29、29の外輪33、33の外側面と上記各トラニオン6、6の内側面とが相対変位する。これら外側面と内側面との間には、前記各スラストニードル軸受30、30が存在する為、この相対変位に要する力は小さい。従って、上述の様に各変位軸7、7の傾斜角度を変化させる為の力が小さくて済む。
【0016】更に、伝達可能なトルクを増大すべく、図15〜16に示す様に、入力軸15の周囲に入力側ディスク2A、2Bと出力側ディスク4、4とを2個ずつ設け、これら2個ずつの入力側ディスク2A、2Bと出力側ディスク4、4とを動力の伝達方向に関して互いに並列に配置する構造も、例えば特開平11−210853号公報等に記載されている様に、従来から広く知られている。
【0017】これら図15〜16に示した構造は何れも、上記入力軸15の中間部周囲に出力歯車18を、この入力軸15に対する回転を自在として支持し、この出力歯車18の中心部に設けた円筒部の両端部に上記各出力側ディスク4、4を、スプライン係合させている。そして、これら各出力側ディスク4、4の内周面と上記入力軸15の外周面との間にニードル軸受16、16を設け、これら各出力側ディスク4、4を上記入力軸15の周囲に、この入力軸15に対する回転、並びにこの入力軸15の軸方向に亙る変位を自在に支持している。又、上記各入力側ディスク2A、2Bは、上記入力軸15の両端部に、スプライン或はボールスプラインを介して、この入力軸15と共に回転自在に支持している。この入力軸15は、駆動軸42により、ローディングカム式の押圧装置9及び一方の入力側ディスク2Aを介して回転駆動する。
【0018】上記各入力側ディスク2A、2Bは、上記入力軸15と共に同期して回転し、これら両入力側ディスク2A、2Bの回転が、それぞれ複数個ずつのパワーローラ8、8を介して上記各出力側ディスク4、4に伝達される。この様に、動力の伝達を2系統に分けて行なうので、大きな動力の伝達を行なえる様にできる。
【0019】上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を組み立てる場合に従来は、このトロイダル型無段変速機の本体を収納するハウジング81(図14)の内側に構成各部品を、順番に組み付ける様にしていた。従って、構成各部品の寸法誤差の積算に基づく各部の位置関係のずれ、延ては構成各部品が正しく機能するか否かは、これら構成各部品を上記ハウジング81内に総て組み付けた後でしか確認できなかった。これに対して、トロイダル型無段変速機の効率並びに耐久性を確保する為には、構成各部品同士の位置関係を高精度に維持しなければならない。この為、上記構成各部品の寸法誤差の積算に基づいて各部の位置関係のずれが大きくなった場合には、他の部品との組み合わせによりこのずれを小さくすべく、上記ハウジング81内で組み立てたトロイダル型無段変速機の分解及び再組立を行なわなければならない。この様にしてトロイダル型無段変速機の組立作業を行なうと、トロイダル型無段変速機の製造作業が面倒で、コストの低廉化を図れない。
【0020】この様な事情に鑑みて、特開平11−153203号公報には、図17〜18に示す様なトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43が、同11−210853号公報には、図19に示す様なトロイダル型無段変速機用入力側ディスクパワーローラユニット44が、同11−166605号公報には、図20に示す様なトロイダル型無段変速機用出力側ディスクユニット45が、それぞれ記載されている。
【0021】このうち、図17〜18に示したトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43は、トラニオン6の両端面に互いに同心に固設した枢軸5、5の周囲に、それぞれが第一のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受22、22を設けている。又、上記トラニオン6の中間部に、上記各枢軸5、5の軸方向に対し直角方向に形成した円孔24に、互いに平行で互いに偏心した支持軸部25及び枢支軸部26から成る変位軸7のうちの支持軸部25を、第二のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受27を介して、回転自在に支持している。
【0022】又、上記枢支軸部26の周囲にパワーローラ8を、第三のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受28を介して、回転自在に支持している。又、上記パワーローラ8の外側面と上記トラニオン6の中間部内側面との間に、第一、第二のスラスト軸受である、スラスト玉軸受29とスラストニードル軸受30とを、スラスト荷重の作用方向に関して、互いに直列に設けている。そして、これら互いに別体の部品である、上記トラニオン6と、上記各ラジアルニードル軸受22、27、28と、上記変位軸7と、上記パワーローラ8と、上記スラスト玉軸受29及びスラストニードル軸受30とを、トロイダル型無段変速機への組み付け以前に、このトロイダル型無段変速機の組立完了後の位置関係に予め組み立てている。
【0023】又、図19に示したトロイダル型無段変速機用入力側ディスクパワーローラユニット44は、互いに別体の部品である、入力軸15と、カム板10と、入力側ディスク2Aと、ローラ12、12と、保持器11と、予圧ばね49とを、トロイダル型無段変速機への組み付け以前に、このトロイダル型無段変速機の組立完了後の位置関係に予め組み立てている。この様なトロイダル型無段変速機用入力側ディスクユニット44を構成する為、入力軸15の一端部(図19の左端部)に固設した鍔部46の内側面にカム板10を玉軸受47により、上記入力軸15に対する回転自在に支持している。又、この入力軸15の中間部一端寄り部分の周囲に上記入力側ディスク2Aを、ボールスプライン48を介して支持している。従ってこの入力側ディスク2Aは、上記入力軸15に、この入力軸15に対する軸方向に亙る変位とこの入力軸15と同期した回転を自在に支持している。又、上記カム板10の内側面に形成した駆動側カム面13と、上記入力側ディスク2Aの外側面に形成した被駆動側カム面14との間に複数個のローラ12、12を挟持して、ローディングカム式の押圧装置9を構成している。又、上記各ローラ12、12は、全体を円輪状に形成した保持器11により、転動自在に保持している。又、上記入力軸15の一端部外周面に形成した段部と上記入力側ディスク2Aの外側面との間には、予圧ばね49を設けている。この予圧ばね49は、押圧装置9が押圧力を発生させる以前に、上記入力側ディスク2Aをパワーローラ8、8(図11〜16参照)に押圧する為のものである。
【0024】この様に構成するトロイダル型無段変速機用入力側ディスクユニット44は、互いに別体の部品である、上記入力軸15と、玉軸受47と、カム板10と、入力側ディスク2Aと、ローラ12、12と、保持器11と、予圧ばね49とを、例えば前述の図15〜16に示した様なトロイダル型無段変速機への組み付け以前に、このトロイダル型無段変速機の組立完了後の位置関係に予め組み立てている。
【0025】更に、図20に示したトロイダル型無段変速機用出力側ディスクユニット45は、出力側ディスク4と、この出力側ディスク4の中心部に形成した貫通孔50と、この貫通孔50の内側に配置したニードル軸受16と、この貫通孔50の内周面に形成した係止溝51に係止し、このニードル軸受16がこの貫通孔50から抜け出る事を防止する止め輪52とを、トロイダル型無段変速機への組み付け以前に、このトロイダル型無段変速機の組立完了後の位置関係に予め組み立てている。
【0026】上述した様に、トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、トロイダル型無段変速機用入力側ディスクユニット44、トロイダル型無段変速機用出力側ディスクユニット45を構成すれば、これら各ユニット43〜45の構成各部品の寸法誤差の積算に基づく各部の位置関係のずれ、延ては構成各部品が正しく機能するか否かを、これら構成各部品をハウジング内に組み付ける以前に確認できる。従って、トロイダル型無段変速機全体を分解、再組立する等の面倒な作業を要する事なく、トロイダル型無段変速機の効率並びに耐久性を確保すべく、構成各部材同士の位置関係を高精度に維持できる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】前述した様に特開平11−153203号公報には、高性能のトロイダル型無段変速機の組み立てを能率良く行なえるトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43が記載されているが、このトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43を損傷せずに搬送する為の方法に就いては記載されていない。一方、このトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43は、このパワーローラユニット43の組立工場からトロイダル型無段変速機の組立工場に搬送する。この搬送作業の際、上記トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43には、繰り返し細かな振動が加わる。そして、この振動により、このトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43に組み込んだ、第一のスラスト軸受であるスラスト玉軸受29を構成する、それぞれが転動体である玉31、31が内輪軌道34及び外輪軌道35に衝突し、これら両軌道34、35に圧痕等の損傷を生じさせて、上記スラスト玉軸受29の寿命を低下させる可能性がある。
【0028】この様な原因による、上記スラスト玉軸受29の寿命低下を防止する為に、上記トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43にOリングの如きゴムバンド等の弾性リングを外嵌し、上記スラスト玉軸受29に予圧を付与した状態で搬送する事が考えられる。但し、この様な方法では、上記トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43の1個毎に弾性リングを外嵌する作業が必要になり、作業性が悪くなってコスト上昇の原因となる。又、上記弾性リングによる予圧付与を安定して行なう事が難しく、搬送に基づく損傷防止を確実に図れない可能性もある。本発明は、この様な事情に鑑みて、上記トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43の搬送時に、上記内輪軌道34及び外輪軌道35が損傷しにくい梱包方法を実現すべく発明したものである。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの梱包方法により梱包するトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットは、前述の図17〜18に示した従来構造の如く、両端面に互いに同心の枢軸を固設したトラニオンと、これら両枢軸の周囲に設けた1対の第一のラジアル軸受と、上記トラニオンの中間部に、上記各枢軸の軸方向に対し直角方向に形成した円孔と、互いに平行で互いに偏心した支持軸部及び枢支軸部から成り、このうちの支持軸部を上記円孔の内側に第二のラジアル軸受を介して回転自在に支持した変位軸と、上記枢支軸部の周囲に、第三のラジアル軸受を介して回転自在に支持したパワーローラと、このパワーローラの外側面と上記トラニオンの中間部内側面との間に、スラスト荷重の作用方向に関して互いに直列に設けた第一、第二のスラスト軸受とを備える。そして、これら互いに別体の部品であるトラニオンと第一、第二、第三のラジアル軸受と変位軸とパワーローラと第一、第二のスラスト軸受とを、トロイダル型無段変速機への組み付け以前に、このトロイダル型無段変速機の組立完了後の位置関係に予め組み立てている。この様なトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットを搬送する為に、本発明のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの梱包方法では、弾性を有する緩衝材により上記トラニオンとパワーローラとを、上記変位軸の軸方向両側から挟み、上記第一、第二のスラスト軸受に予圧を付与した状態で上記トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットを梱包する。
【0030】
【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの梱包方法によれば、トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットに組み込んだ第一のスラスト軸受を構成する転動体の転動面と内輪軌道及び外輪軌道とを、互いに押し付け合ったままの状態にできる。従って、上記転動体が内輪軌道及び外輪軌道に衝突する事がなくなって、これら両軌道に圧痕等の損傷を生じさせる事がなくなり、上記第一のスラスト軸受の寿命を確保できる。しかも、上記トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットを構成する第一、第二のスラスト軸受への予圧付与を容易に且つ確実に行なう事ができる。
【0031】
【発明の実施の形態】図1〜2は、本発明の実施の形態の1例を示している。この例は、金属、合成樹脂、段ボール等により造った梱包箱53内に、1台のトロイダル型無段変速機を構成する為に必要な、4組のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を梱包する場合に就いて示している。上記梱包箱53の一端側(図1の上端側)底部には第一の緩衝受材54を、中間底部には第二の緩衝受材55を、他端側(図1の下端側)底部には第三の緩衝受材56を、それぞれ設けている。
【0032】これら各緩衝受材54〜56は、それぞれ硬質ウレタン等の弾性材により造られたもので、上記4組のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を支持する為、それぞれ受部57a、57b、57cを設けている。先ず、一端側底部及び中間側底部に設けた第一、第二の緩衝受材54、55には、それぞれ4個ずつの受部57a、57bを、互いに位相を一致させた状態で設けている。これら各受部57a、57bにはそれぞれ、上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を構成するトラニオン6、6の両端部の枢軸5、5の周囲に設けたラジアルニードル軸受22、22を構成する外輪23、23を、がたつきなく内嵌自在である。又、上記他端側底部に設けた第三の緩衝受材56に設けた受部57cは、何れか(図1の左端部)のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43に付属の駆動ロッド39の先端部(図1の下端部)をがたつきなく内嵌自在としている。
【0033】又、上記梱包箱53の底部で、上記第一の緩衝受材54と第二の緩衝受部55との間部分には、下側固定治具58を設けている。この下側固定治具58は、金属板製の下部枠59の上面に、硬質ウレタン等の弾性材製の下側緩衝材60を支持固定して成る。この下側緩衝材60の上面で上記各受部57a、57bと位相が一致する4個所位置には、それぞれ上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を構成するパワーローラ8(図17〜18)を保持自在な、下側受部61、61を設けている。
【0034】又、上記下側固定治具58の上方には、上側固定治具62を配置している。この上側固定治具62は、金属板製の上部枠63の下面に、硬質ウレタン等の弾性材製の上側緩衝材64を支持固定して成る。この上側緩衝材64の下面で上記各受部57a、57b、61と位相が一致する4個所位置には、それぞれ上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を構成するトラニオン6、6の中間部を保持自在な、上側受部65、65を設けている。
【0035】上述の様な下側固定治具58と上側固定治具62とは、それぞれの両端部同士を結合した状態で、上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を構成する上記各トラニオン6、6と上記各パワーローラ8、8とを、変位軸7、7の軸方向両側から挟む様にしている。そして、これら各トラニオン6、6と各パワーローラ8、8との間に存在するスラスト玉軸受29、29とスラストニードル軸受30、30(図13、14、17参照)とに予圧を付与する様にしている。
【0036】この為に、上記下側固定治具58を構成する下部枠59の一端部(図1〜2の左端部)に、棒材或は板材をコ字形に形成して成るフック66の両下端部を、ボルト67とナット68とにより枢支している。又、上記上側固定治具62を構成する上部枠63の一端部上面に、上記フック66の上端部を係止する為の係止凹部69を設けている。上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を抑え付ける場合には、上記フック66の上端部を上記係止凹部69に係止して、上記上側固定治具62の一端部が上記下側固定治具58から離れない様にする。
【0037】更に、上記下側固定治具58の他端部(図1〜2の右端部)と上記上側固定治具62の他端部との間には、トグル式のクランプ装置70を設けて、この上側固定治具62の他端部を、下方に向け強く押圧できる様にしている。即ち、上記下側固定治具58の他端部に下側ブラケット71を結合固定し、この下側ブラケット71の上面に、上記クランプ装置70を設けている。又、上記上側固定治具62の他端部に、上側ブラケット73を結合固定している。上記クランプ装置70は、周知構造を有する市販品で、ハンドル72の回動に伴って伸縮するトグル機構により押圧腕74を揺動変位させ、この押圧腕74の先端部に支持した押圧部材75により、上記上側ブラケット73の上面を押圧自在としている。尚、この押圧部材75は上記押圧腕74の先端部に螺合させて、上下位置の調節を自在としている。
【0038】上述の様な梱包箱53内に上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を収納する作業は、次の様にして行なう。尚、以下の説明は、これら各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を、内側の梱包袋と外側の梱包袋(図示省略)とにより二重に梱包する場合に就いて説明する。先ず、上記梱包箱53内に前記第一〜第三の緩衝受材54〜56及び下側固定治具58を収納するのに先立って、上記梱包箱53内に外側の梱包袋を敷く。そして、この外側の梱包袋内に、上記第一〜第三の緩衝受材54〜56及び下側固定治具58を、図1に示す様に配置する。
【0039】次いで、これらこれら第一〜第三の緩衝受材54〜56及び下側固定治具58の上に内側の梱包袋(図示省略)を敷いてから、この内側の梱包袋内に、上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を、図1に示す様に載置する。この状態では、これら各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43は、検査、洗浄、防錆油塗布等の作業を完了している。次いで、上記内側の梱包袋を閉じてから、上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43に前記上側固定治具62を(内側の梱包袋の上から)被せると共に、この上側固定治具62の一端部に設けた係止凹部69に前記フック66の上端部を係止する。そして、前記クランプ装置70により、上記上側固定治具62の他端部に結合固定した上側ブラケット73を下方に押圧する。この後、上記外側の梱包袋を閉じてから、上記梱包箱53に蓋をして、梱包作業を完了する。
【0040】この様な梱包作業が完了した状態で、上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を構成するトラニオン6、6が、上記上側固定治具62を構成する上側緩衝材64により、下方に向け弾性的に押圧される。この結果、上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43に組み込んだスラスト玉軸受29、29及びスラストニードル軸受30、30に予圧が付与される。そして、これら各スラスト玉軸受29、29を構成する玉31、31の転動面と内輪軌道34及び外輪軌道35とが、互いに押し付け合ったままの状態になる。従って、搬送中に加わる振動に拘らず、上記玉31、31が内輪軌道34及び外輪軌道35に衝突する事がなくなって、これら両軌道34、35に圧痕等の損傷を生じさせる事がなくなり、上記各スラスト玉軸受29、29の寿命を確保できる。
【0041】上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43に組み込んだスラスト玉軸受29、29及びスラストニードル軸受30、30への予圧付与は、1個の梱包箱53内に収納する4個のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43に就いて同時に、しかも確実に行える。従って、弾性リングにより上記各トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43を1個ずつ抑え付ける場合の様に、予圧付与作業が面倒になってコスト上昇の原因となったり、或は予圧付与が不確実になって、搬送に伴う不良品発生の原因となる事はなくなる。
【0042】次に、図3〜10は、本発明とは直接は関係しないが、前述の図19に示した様なトロイダル型無段変速機用入力側ディスクユニット44や図20に示した様なトロイダル型無段変速機用出力側ディスクユニット45、更には入力側ディスク2Bを梱包する状態を示している。図3〜4は、1台のトロイダル型無段変速機を構成する為に必要なトロイダル型無段変速機用入力側ディスクユニット44、トロイダル型無段変速機用出力側ディスクユニット45、45及び入力側ディスク2Bを、硬質ウレタン等の弾性材により構成した、図5〜6に示す様な緩衝ユニット76に収納した状態を示している。この緩衝ユニット76は、図7に示す様な主部77と図8〜10に示す様な第一〜第三の副部78〜80とを組み合わせて成る。
【0043】そして、前述した様な、本発明の梱包方法により梱包した4個のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット43、43と、図3〜4に示す様に収納したトロイダル型無段変速機用入力側ディスクユニット44、トロイダル型無段変速機用出力側ディスクユニット45、45及び入力側ディスク2Bとを、1台のトロイダル型無段変速機を組み立てるべく1セットとする。この様に1セットとされた各ユニット43〜45等は、寸法並びに特性の揃ったものとして、これら各ユニット43〜45等を組み立てれば、所望の性能を有するトロイダル型無段変速機が得られる様にする。
【0044】
【発明の効果】本発明のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの梱包方法は、以上に述べた通り構成する為、コストを高くする事なく、搬送時の振動に基づいて構成部材が損傷するのを防止して、優れた耐久性を有するトロイダル型無段変速機を得られる。
【出願人】 【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
【出願日】 平成11年11月19日(1999.11.19)
【代理人】 【識別番号】100087457
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 武男 (外1名)
【公開番号】 特開2001−141015(P2001−141015A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−329578