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【発明の名称】 トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置
【発明者】 【氏名】熊谷 光男

【要約】 【課題】トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット41の各部が正しく動くか否かを、自動的に測定可能にする。

【解決手段】1対の受台42、42に上記ユニット41の両端部を載置し、パワーローラ抑えアクチュエータ56によりパワーローラ8を抑え付けた状態で、変位軸7を軸方向変位させて、その変位量を測定する。又、パワーローラ8を支持軸部25を中心に往復揺動させて、その揺動量を測定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端面に互いに同心の枢軸を固設したトラニオンと、これら両枢軸の周囲に設けた1対の第一のラジアル軸受と、上記トラニオンの中間部に、上記各枢軸の軸方向に対し直角方向に形成した円孔と、互いに平行で互いに偏心した支持軸部及び枢支軸部から成り、このうちの支持軸部を上記円孔の内側に第二のラジアル軸受を介して回転自在に支持した変位軸と、上記枢支軸部の周囲に、第三のラジアル軸受を介して回転自在に支持したパワーローラと、このパワーローラの外側面と上記トラニオンの中間部内側面との間に、スラスト荷重の作用方向に関して互いに直列に設けた第一、第二のスラスト軸受とを備え、これら互いに別体の部品であるトラニオンと第一、第二、第三のラジアル軸受と変位軸とパワーローラと第一、第二のスラスト軸受とを、トロイダル型無段変速機への組み付け以前に、このトロイダル型無段変速機の組立完了後の位置関係に予め組み立てたトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの動きを、上記トロイダル型無段変速機への組み付け以前に測定する為のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置であって、上記トラニオンの両端部に設けた上記各枢軸をその上面に、上記パワーローラをこのトラニオンの上方に位置させた状態で、上記1対の第一のラジアル軸受を介して支持する1対の受台と、これら各第一のラジアル軸受をこれら各受台の上面に向け抑え付ける枢軸用抑え手段と、上記パワーローラを上記トラニオンに向け抑え付けるパワーローラ用抑え手段と、上記トラニオンの幅方向に関して上記パワーローラの直径方向反対側2個所位置を押圧して、このパワーローラを上記支持軸部を中心として揺動変位させる揺動駆動手段と、この揺動駆動手段による上記パワーローラの変位量を測定する揺動変位測定手段とを備えたトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置。
【請求項2】 両端面に互いに同心の枢軸を固設したトラニオンと、これら両枢軸の周囲に設けた1対の第一のラジアル軸受と、上記トラニオンの中間部に、上記各枢軸の軸方向に対し直角方向に形成した円孔と、互いに平行で互いに偏心した支持軸部及び枢支軸部から成り、このうちの支持軸部を上記円孔の内側に第二のラジアル軸受を介して回転自在に支持した変位軸と、上記枢支軸部の周囲に、第三のラジアル軸受を介して回転自在に支持したパワーローラと、このパワーローラの外側面と上記トラニオンの中間部内側面との間に、スラスト荷重の作用方向に関して互いに直列に設けた第一、第二のスラスト軸受とを備え、これら互いに別体の部品であるトラニオンと第一、第二、第三のラジアル軸受と変位軸とパワーローラと第一、第二のスラスト軸受とを、トロイダル型無段変速機への組み付け以前に、このトロイダル型無段変速機の組立完了後の位置関係に予め組み立てたトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの動きを、上記トロイダル型無段変速機への組み付け以前に測定する為のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置であって、上記トラニオンの両端部に設けた上記各枢軸をその上面に、上記パワーローラをこのトラニオンの上方に位置させた状態で、上記1対の第一のラジアル軸受を介して支持する1対の受台と、これら各第一のラジアル軸受をこれら各受台の上面に向け抑え付ける枢軸用抑え手段と、上記パワーローラを上記トラニオンに向け抑え付けるパワーローラ用抑え手段と、上記変位軸の軸方向両端面を押圧してこの変位軸を軸方向に変位させる軸方向駆動手段と、この軸方向駆動手段によるこの変位軸の軸方向に関する変位量を測定する軸方向変位測定手段とを備えたトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明に係るトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置は、例えば自動車用の変速機の変速ユニットとして、或は各種産業機械用の変速機として、それぞれ利用するトロイダル型無段変速機の組立作業を容易にすると共に、精度向上に基づく性能向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用変速機として、図3〜4に略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に入力側ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置した出力軸3の端部に出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側には、上記入力軸1並びに出力軸3に対して捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動するトラニオン6、6を設けている。
【0003】即ち、これら各トラニオン6、6は、それぞれの両端部外面に上記枢軸5、5を、互いに同心に設けている。又、これら各トラニオン6、6の中間部には変位軸7、7の基端部を支持し、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を揺動させる事により、上記各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在としている。上記各トラニオン6、6に支持した変位軸7、7の周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支持している。そして、これら各パワーローラ8、8を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の、互いに対向する内側面2a、4a同士の間に挟持している。これら各内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5を中心とする円弧を回転させて得られる凹面をなしている。そして、球状凸面に形成した上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aを、上記内側面2a、4aに当接させている。
【0004】上記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け、弾性的に押圧自在としている。この押圧装置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11により転動自在に保持した複数個(例えば4個)のローラ12、12とから構成している。上記カム板10の片側面(図3〜4の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面である駆動側カム面13を形成し、上記入力側ディスク2の外側面(図3〜4の右側面)にも、同様の形状を有する被駆動側カム面14を形成している。そして、上記複数個のローラ12、12を、上記入力軸1の中心に関し放射方向の軸を中心とする回転自在に支持している。
【0005】上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転すると、駆動側カム面13が複数個のローラ12、12を、入力側ディスク2の外側面に形成した被駆動側カム面14に押圧する。この結果、上記入力側ディスク2が、上記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、上記駆動側、被駆動側両カム面13、14と複数個のローラ12、12との押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、前記複数のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。
【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、前記各枢軸5、5を中心として前記各トラニオン6、6を所定方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図3に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、前記各変位軸7、7を傾斜させる。反対に、増速を行なう場合には、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を反対方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図4に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記これら各変位軸7、7を傾斜させる。各変位軸7、7の傾斜角度を図3と図4との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。
【0007】又、図5〜6は、実願昭63−69293号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速機の1例を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4とは円管状の入力軸15の周囲に、それぞれニードル軸受16、16を介して回転自在に支持している。又、カム板10は上記入力軸15の一端部(図5の左端部)外周面にスプライン係合させ、鍔部17により上記入力側ディスク2から離れる方向への移動を阻止している。そして、このカム板10とローラ12、12とにより、上記入力軸15の回転に基づいて上記入力側ディスク2を、上記出力側ディスク4に向け押圧しつつ回転させる、ローディングカム式の押圧装置9を構成している。上記出力側ディスク4には出力歯車18を、キー19、19により結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車18とが同期して回転する様にしている。
【0008】1対のトラニオン6、6の両端部は1対の支持板20、20に、揺動並びに軸方向(図5の表裏方向、図6の左右方向)の変位自在に支持している。即ち、上記各トラニオン6、6の両端部に固設した枢軸5、5の外周面と上記各支持板20、20の両端部に形成した円孔21、21の内周面との間に、第一のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受22、22を設けている。これら各ラジアルニードル軸受22、22を構成する外輪23、23の外周面は球状凸面として、上記各円孔21、21に、揺動並びに軸方向に亙る変位自在に内嵌している。
【0009】この様にして、上記1対の支持板20、20同士の間に、揺動並びに軸方向に亙る変位自在に支持した、上記各トラニオン6、6の中間部に形成した円孔24、24部分に、変位軸7、7を支持している。これら各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持軸部25、25と枢支軸部26、26とを、それぞれ有する。このうちの各支持軸部25、25を上記各円孔24、24の内側に、第二のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受27、27を介して、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部26、26の周囲にパワーローラ8、8を、第三のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受28、28を介して、回転自在に支持している。
【0010】尚、上記1対の変位軸7、7は、上記入力軸15に対して180度反対側位置に設けている。又、これら各変位軸7、7の各枢支軸部26、26が各支持軸部25、25に対し偏心している方向は、上記入力側、出力側両ディスク2、4の回転方向に関し同方向(図6で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上記入力軸15の配設方向に対しほぼ直交する方向としている。従って、上記各パワーローラ8、8は、上記入力軸15の配設方向に亙る若干の変位自在に支持される。この結果、回転力の伝達状態で構成各部材に加わる大きな荷重に基づく、これら構成各部材の弾性変形に起因して、上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の軸方向(図5の左右方向、図6の表裏方向)に変位する傾向となった場合でも、各部に無理な力を加える事なく、この変位を吸収できる。
【0011】又、上記各パワーローラ8、8の外側面と上記各トラニオン6、6の中間部内側面との間には、パワーローラ8、8の外側面の側から順に、第一のスラスト軸受であるスラスト玉軸受29、29と、第二のスラスト軸受であるスラストニードル軸受30、30とを、スラスト荷重の作用方向(図5、6の上下方向)に関して互いに直列に設けている。このうちのスラスト玉軸受29、29は、上記各パワーローラ8、8に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ8、8の回転を許容するものである。この様なスラスト玉軸受29、29はそれぞれ、複数個ずつの玉31、31と、これら各玉31、31を転動自在に保持する円環状の保持器32と、円環状の外輪33とから構成している。これら各スラスト玉軸受29、29の内輪軌道は上記各パワーローラ8の外側面に、外輪軌道は上記各外輪33の内側面に、それぞれ形成している。
【0012】又、上記各スラストニードル軸受30、30は、レース34と保持器35とニードル36、36とから構成している。このうちのレース34と保持器35とは、回転方向に関して若干の変位自在に組み合わせている。この様なスラストニードル軸受30、30は、上記各レース34、34を上記各トラニオン6、6の内側面に当接させた状態で、この内側面と上記外輪33、33の外側面との間に挟持している。この様なスラストニードル軸受30、30は、上記各パワーローラ8、8から上記各外輪33、33に加わるスラスト荷重を支承しつつ、前記各枢支軸部26、26及び上記外輪33、33が、前記支持軸部25、25を中心に揺動する事を許容する。
【0013】更に、上記各トラニオン6、6の一端部(図6の左端部)にはそれぞれ駆動ロッド37、37を結合し、これら各駆動ロッド37、37の中間部外周面に駆動ピストン38、38を固設している。そして、これら各駆動ピストン38、38を、それぞれ駆動シリンダ39、39内に油密に嵌装している。
【0014】上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の場合には、入力軸15の回転は、押圧装置9を介して入力側ディスク2に伝わる。そして、この入力側ディスク2の回転が、1対のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝わり、更にこの出力側ディスク4の回転が、出力歯車18より取り出される。入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比を変える場合には、上記1対の駆動ピストン38、38を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン38、38の変位に伴って上記1対のトラニオン6、6が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図6の下側のパワーローラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ8が同図の左側に、それぞれ変位する。この結果、これら各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン6、6が、前記支持板20、20に枢支された枢軸5、5を中心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の図3〜4に示した様に、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比が変化する。
【0015】尚、これら入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比を所望値に調節するのは、上記各駆動ピストン38、38の移動量を規制する事により行なう。そして、これら各駆動ピストン38、38の移動量を規制するのは、前記各駆動ロッド37、37の端部若しくは中間部に固定した、図示しないプリセスカムと、やはり図示しないスプール弁のスプール若しくはスリーブとの係合により行なう。又、上述の様に上記入力軸15と出力歯車18との間で回転力の伝達を行なう際には、構成各部材の弾性変形に基づいて上記各パワーローラ8、8が、上記入力軸15の軸方向に変位し、これら各パワーローラ8、8を枢支している前記各変位軸7、7が前記各支持軸部25、25を中心として僅かに回動する。この回動の結果、前記各スラスト玉軸受29、29の外輪33、33の外側面と上記各トラニオン6、6の内側面とが相対変位する。これら外側面と内側面との間には、前記各スラストニードル軸受30、30が存在する為、この相対変位に要する力は小さい。従って、上述の様に各変位軸7、7の傾斜角度を変化させる為の力が小さくて済む。
【0016】上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機を組み立てる場合に従来は、このトロイダル型無段変速機の本体を収納するハウジング40(図6)の内側に構成各部品を、順番に組み付ける様にしていた。従って、構成各部品の寸法誤差の積算に基づく各部の位置関係のずれ、延ては構成各部品が正しく機能するか否かは、これら構成各部品を上記ハウジング40内に総て組み付けた後でしか確認できなかった。これに対して、トロイダル型無段変速機の効率並びに耐久性を確保する為には、構成各部品同士の位置関係を高精度に維持しなければならない。この為、上記構成各部品の寸法誤差の積算に基づいて各部の位置関係のずれが大きくなった場合には、他の部品との組み合わせによりこのずれを小さくすべく、上記ハウジング40内で組み立てたトロイダル型無段変速機の分解及び再組立を行なわなければならない。この様にしてトロイダル型無段変速機の組立作業を行なうと、トロイダル型無段変速機の製造作業が面倒で、コストの低廉化を図れない。
【0017】この様な事情に鑑みて、特開平11−153203号公報には、図7〜8に示す様なトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット41が記載されている。このトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット41は、トラニオン6の両端面に互いに同心に固設した枢軸5、5の周囲に、それぞれが第一のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受22、22を設けている。又、上記トラニオン6の中間部に、上記各枢軸5、5の軸方向に対し直角方向に形成した円孔24に、互いに平行で互いに偏心した支持軸部25及び枢支軸部26から成る変位軸7のうちの支持軸部25を、第二のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受27を介して、回転自在に支持している。
【0018】又、上記枢支軸部26の周囲にパワーローラ8を、第三のラジアル軸受であるラジアルニードル軸受28を介して、回転自在に支持している。又、上記パワーローラ8の外側面と上記トラニオン6の中間部内側面との間に、第一、第二のスラスト軸受である、スラスト玉軸受29とスラストニードル軸受30とを、スラスト荷重の作用方向に関して互いに直列に設けている。そして、これら互いに別体の部品である、上記トラニオン6と、上記各ラジアルニードル軸受22、27、28と、上記変位軸7と、上記パワーローラ8と、上記スラスト玉軸受29及びスラストニードル軸受30とを、トロイダル型無段変速機への組み付け以前に、このトロイダル型無段変速機の組立完了後の位置関係に予め組み立てている。
【0019】上述の様に構成するトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット41の場合には、構成各部品の寸法誤差の積算に基づく各部の位置関係のずれ、延ては構成各部品が正しく機能するか否かを、これら構成各部品をハウジング内に組み付ける以前に確認できる。従って、トロイダル型無段変速機全体を分解、再組立する等の面倒な作業を要する事なく、トロイダル型無段変速機の効率並びに耐久性を確保すべく、構成各部品同士の位置関係を高精度に維持できる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上述した様に特開平11−153203号公報には、高性能のトロイダル型無段変速機の組み立てを能率良く行なえるトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットが記載されているが、このトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの構成各部品が正しく機能するか否かを能率良く測定できる手段に就いては記載されていない。本発明は、この様な事情に鑑みて、上記トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの構成各部品が正しく機能するか否かを能率良く測定できる測定装置を実現すべく発明したものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置は何れも、トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの動きを、上記トロイダル型無段変速機への組み付け以前に測定する為のものである。又、測定の対象となる、上記トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットは、両端面に互いに同心の枢軸を固設したトラニオンと、これら両枢軸の周囲に設けた1対の第一のラジアル軸受と、上記トラニオンの中間部に、上記各枢軸の軸方向に対し直角方向に形成した円孔と、互いに平行で互いに偏心した支持軸部及び枢支軸部から成り、このうちの支持軸部を上記円孔の内側に第二のラジアル軸受を介して回転自在に支持した変位軸と、上記枢支軸部の周囲に、第三のラジアル軸受を介して回転自在に支持したパワーローラと、このパワーローラの外側面と上記トラニオンの中間部内側面との間に、スラスト荷重の作用方向に関して互いに直列に設けた第一、第二のスラスト軸受とを備える。そして、これら互いに別体の部品であるトラニオンと第一、第二、第三のラジアル軸受と変位軸とパワーローラと第一、第二のスラスト軸受とを、トロイダル型無段変速機への組み付け以前に、このトロイダル型無段変速機の組立完了後の位置関係に予め組み立てたものである。
【0022】特に、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置は、1対の受台と、枢軸用抑え手段と、パワーロータ用抑え手段と、揺動駆動手段と、揺動変位測定手段とを備える。このうちの各受台は、上記トラニオンの両端部に設けた上記各枢軸をその上面に、上記パワーローラをこのトラニオンの上方に位置させた状態で、上記1対の第一のラジアル軸受を介して支持するものである。又、上記枢軸用抑え手段は、これら各第一のラジアル軸受を上記各受台の上面に向け抑え付けるものである。又、上記パワーローラ用抑え手段は、上記パワーローラを上記トラニオンに向け抑え付けるものである。又、上記揺動駆動手段は、上記トラニオンの幅方向に関して上記パワーローラの直径方向反対側2個所位置を押圧して、このパワーローラを上記支持軸部を中心として揺動変位させるものである。又、上記揺動変位測定手段は、上記揺動駆動手段による上記パワーローラの変位量を測定するものである。
【0023】又、請求項2に記載したトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置は、上記請求項1に記載した測定装置と同様の1対の受台、枢軸用抑え手段、パワーローラ用抑え手段の他、軸方向駆動手段と、軸方向変位測定手段とを備える。このうちの上記軸方向駆動手段は、上記変位軸の軸方向両端面を押圧してこの変位軸を軸方向に変位させるものである。更に、上記軸方向変位測定手段は、上記軸方向駆動手段による上記変位軸の軸方向に関する変位量を測定するものである。
【0024】
【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置によれば、トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの構成各部品が正しく機能するか否かを判定する為の変位量を、能率良く測定できる。先ず、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置によれば、その枢支軸部の周囲にパワーローラを、第三のラジアル軸受を介して回転自在に支持した変位軸が、円孔の内側に設けた第二のラジアル軸受によりトラニオンに対して支持された支持軸部を中心として、正しく揺動変位するか否かを判定する為の揺動変位量を、能率良く測定できる。又、請求項2に記載したトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置によれば、トラニオンに対してパワーローラを、回転及び揺動変位自在に支持している上記変位軸が、所望の軸方向隙間を持った状態で、上記トラニオン及びパワーローラに対し組み付けられているか否かを判定する為の軸方向変位量を、能率良く測定できる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1〜2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、図示の例は、請求項1に記載した、パワーローラ8の揺動変位量を測定する装置と、請求項2に記載した、変位軸7の軸方向変位量を測定する装置との両方を組み込んだ測定装置を示している。実際の測定装置を構成する場合には、図示の例の様に、上記揺動変位量と上記軸方向変位量とを、1台の測定装置により測定可能にする事が、測定作業の能率化を図る上で有利である。尚、上記揺動変位量を測定する構成部分は図1に、上記軸方向変位量を測定する構成部分は図2に、それぞれ表われている。
【0026】先ず、主として図1を参照する事により、パワーローラ8の揺動変位量を測定する構成部分に就いて説明する。このパワーローラ8の揺動変位量を測定する構成部分は、それぞれがVブロックの如き1対の受台42、42(図1〜2参照)を備える。これら各受台42、42は、前述の図7〜8の様なトロイダル型無段変速機用パワーローラユニット41を構成するトラニオン6の両端部に互いに同心に設けた1対の枢軸5、5をその上面に、上記パワーローラ8を上記トラニオン6の上方に位置させた状態で、それぞれラジアルニードル軸受22、22を介して支持するものである。
【0027】この様な各受台42、42の上方には、それぞれが枢軸用抑え手段である、ラジアルニードル軸受抑えアクチュエータ43、43(図2参照)を、これら各アクチュエータ43、43のシリンダ部44、44を図示しないフレーム等の固定部分に支持する事により、竪方向(鉛直方向)に配置している。そして、これら両ラジアルニードル軸受抑えアクチュエータ43、43を伸長させ、各出力ロッド45、45の先端部(下端部)に設けた抑えパッド46、46で上記各ラジアルニードル軸受22、22を構成する外輪23、23を上記受台42、42に抑え付ける事により、上記各枢軸5、5をこれら各受台42、42の上面に、所定の位置関係で支持できる様にしている。
【0028】又、上記各受台42、42に掛け渡される様に支持された上記トラニオン6を幅方向両側から挟む状態で、それぞれが揺動駆動手段を構成する、左右1対の揺動アクチュエータ47a、47bを、これら各揺動アクチュエータ47a、47bのシリンダ部48、48を図示しないフレーム等の固定部分に支持する事により、横方向(水平方向)に配置している。そして、上記各揺動アクチュエータ47a、47bを伸長させ、各出力ロッド49、49の先端部に設けた押圧パッド50、50により前記パワーローラ8の外周縁の直径方向反対側2個所位置を、それぞれこのパワーローラ8の直径方向内方に押圧自在としている。
【0029】上述の様な1対の揺動アクチュエータ47a、47bにより構成する上記揺動駆動手段は、これら両揺動アクチュエータ47a、47bに送り込む作動流体の圧力を変え、これら両揺動アクチュエータ47a、47bが上記パワーローラ8を押圧する力を変える事により、このパワーローラ8を、変位軸7(図2参照)を構成する支持軸部25を中心として揺動変位させるものである。即ち、図1で右側の揺動アクチュエータ47aに供給する作動流体の圧力を高く、左側の揺動アクチュエータ47bに供給する作動流体の圧力を低くすれば、上記パワーローラ8は、図1の左方に揺動変位する。逆に、図1で左側の揺動アクチュエータ47bに供給する作動流体の圧力を高く、右側の揺動アクチュエータ47aに供給する作動流体の圧力を低くすれば、上記パワーローラ8は、図1の右方に揺動変位する。尚、この様にパワーローラ8を揺動変位させる際に、このパワーローラ8を前記トラニオン6とが干渉する位置まで変位させる事も可能であるが、上記両揺動アクチュエータ47a、47bのストロークを調整する事により、上記パワーローラ8とトラニオン6とを干渉させない事もできる。
【0030】上述の様な揺動駆動手段による、上記支持軸部25を中心とする上記パワーローラ8の揺動変位量は、揺動変位測定手段を構成する、リニアスケール等の測長器51により測定する。この測長器51は、その本体部分を図示しないフレーム等の固定部分に支持した状態で、その測定子52の先端を、何れかの押圧パッド50に固定した受板53に突き当てている。従って上記測長器51は、上記パワーローラ8の揺動変位量を、上記押圧パッド50の変位量として検出する。
【0031】次に、主として図2を参照する事により、変位軸7の軸方向変位量を測定する構成部分に就いて説明する。尚、この変位軸7の軸方向変位量は、この変位軸7が、その支持軸部25を中心として前記トラニオン6に対し円滑に揺動変位し得るか、上記各パワーローラ8が上記変位軸7の枢支軸部26を中心として円滑に回転し得るか、この変位軸7の取付部に過剰ながたつきが存在しないか否かを判定する為に重要である。即ち、上記トラニオン6と変位軸7とパワーローラ8とは、図2に示す様に、この変位軸7を構成する支持軸部25及び枢支軸部26の端部に、それぞれ止め輪54、54によりワッシャ55、55を支持する事で、互いに不離に結合している。従って、これら両ワッシャ55、55と相手面との間隔が短過ぎると、上記変位軸7の揺動変位並びにパワーローラ8の回転が円滑に行なわれなくなる。反対に、上記両ワッシャ55、55と相手面との間隔が長過ぎると、上記変位軸7の取付部に過剰ながたつきを生じる。又、上記変位軸7の中間部に設けた鍔部68と外輪33との嵌合部に存在する隙間も、同様の問題を発生する原因となる可能性がある。即ち、上記支持軸部25の端部に外嵌したワッシャ55とトラニオン6の外側面との間、上記枢支軸部26の端部に外嵌したワッシャ55とパワーローラ8の内端面との間、上記変位軸7の中間部に設けた鍔部68と外輪33との嵌合部には、それぞれこの変位軸7の軸方向に関して、微小量の規制された大きさの隙間が存在する。そして、これら各部の隙間の存在に基づいて、トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットに組み込んだ上記変位軸7が、軸方向に変位する。そこで、上記軸方向変位量を測定する事により、上記両ワッシャ55、55と相手面との間並びに上記鍔部68と外輪33との嵌合部に存在する隙間が適正か否かを判定する。
【0032】この様な目的で上記軸方向変位量を測定する為に、パワーローラ用抑え手段であるパワーローラ抑えアクチュエータ56を、このパワーローラ抑えアクチュエータ56のシリンダ部57を図示しないフレーム等の固定部分に支持する事により、竪方向(鉛直方向)に配置している。そして、上記パワーローラ抑えアクチュエータ56を伸長させ、出力ロッド58、58の先端部(下端部)に設けた抑えパッド59で上記パワーローラ8をトラニオン6に向けて抑え付ける事により、上記軸方向変位量を測定する作業の間中、上記パワーローラ8が浮き上がるのを防止できる様にしている。尚、上記抑えパッド59は、前述した揺動駆動手段により上記パワーローラ8を揺動変位させる際にも、このパワーローラ8を抑え続ける。従って、上記抑えパッド59は、MCナイロンの如きポリアミド樹脂等の摩擦係数が低い材料により造り、揺動変位量の測定作業に伴って、上記パワーローラ8の内端面(図1〜2の上端面)が損傷を受けない様にする。
【0033】又、上記変位軸7を軸方向両側から挟む状態で、それぞれが軸方向駆動手段を構成する、上下1対の軸駆動アクチュエータ61a、61bを、これら各軸駆動アクチュエータ61a、61bのシリンダ部62、62を図示しないフレーム等の固定部分に支持する事により、竪方向(鉛直方向)に配置している。そして、上記各軸駆動アクチュエータ61a、61bを伸長させ、各出力ロッド63、63の先端部に設けた押圧パッド64、64により上記変位軸7の軸方向両端面を、それぞれこの変位軸7の軸方向中央側に押圧自在としている。
【0034】上述の様な1対の軸駆動アクチュエータ61a、61bにより構成する上記軸方向駆動手段は、これら両軸駆動アクチュエータ61a、61bに送り込む作動流体の圧力を変え、これら両軸駆動アクチュエータ61a、61bが上記変位軸7を押圧する力を変える事により、この変位軸7を軸方向に変位させるものである。即ち、図2で下側の軸駆動アクチュエータ61aに供給する作動流体の圧力を高く、上側の軸駆動アクチュエータ61bに供給する作動流体の圧力を低くすれば、上記変位軸7は、図2の上方に変位する。逆に、図2で上側の軸駆動アクチュエータ61bに供給する作動流体の圧力を高く、下側の軸駆動アクチュエータ61aに供給する作動流体の圧力を低くすれば、上記変位軸7は、図2の下方に変位する。
【0035】上述の様な軸方向駆動手段による、上記変位軸7の軸方向変位量は、軸方向変位測定手段を構成する、リニアスケール等の測長器65により測定する。この測長器65は、その本体部分を図示しないフレーム等の固定部分に支持した状態で、その測定子66の先端を、何れかの押圧パッド64に固定した受板67に突き当てている。従って上記測長器65は、上記変位軸7の軸方向変位量を、上記押圧パッド64の変位量として検出する。
【0036】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置によれば、トロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの構成各部品が正しく機能するか否かを能率良く測定できる。先ず、主として図1に示した、前記パワーローラ8の揺動変位量を測定する構成部分により、変位軸7の枢支軸部26の周囲に回転自在に支持したパワーローラ8が正しく揺動変位するか否か、言い換えれば、このパワーローラ8を、ラジアルニードル軸受28を介して回転自在に支持した上記変位軸7が、前記トラニオン6の円孔24の内側に設けたラジアルニードル軸受27によりこのトラニオン6に対して支持された支持軸部25を中心として、正しく揺動変位するか否かを判定する為の揺動変位量を、能率良く測定できる。
【0037】又、主として図2に示した、上記変位軸7の軸方向変位量を測定する構成部分により、この変位軸7が、所望の軸方向隙間を持った状態で、上記トラニオン6及びパワーローラ8に対し組み付けられているか否かを判定する為の軸方向変位量を、能率良く測定できる。尚、これら一連の測定作業は自動的に行なえる為、トロイダル型無段変速機用パワーローラユニット41の全数検査を実施する事で、トロイダル型無段変速機の性能の安定化並びに信頼性の向上を図れる。
【0038】
【発明の効果】本発明のトロイダル型無段変速機用パワーローラユニットの測定装置は、以上に述べた通り構成され作用する為、トロイダル型無段変速機の組立作業並びに検査作業の能率化により、トロイダル型無段変速機の価格低減を図れる。
【出願人】 【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
【出願日】 平成11年11月11日(1999.11.11)
【代理人】 【識別番号】100087457
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 武男 (外1名)
【公開番号】 特開2001−141014(P2001−141014A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−320641