| 【発明の名称】 |
トロイダル型無段変速機の変速制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山崎 努
【氏名】酒井 弘正
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| 【要約】 |
【課題】変速制御弁のストロークを制限することなく、過剰な差圧が供給されることによって生じる急ダウンシフトを防止できるトロイダル無段変速機の変速制御装置を提供する。
【解決手段】スプール73のストロークに応じてライン圧PLをHi側油室またはLow側油室のうちの一方へ供給して差圧を制御する変速制御弁70とを具え、制御弁70は油路150から油路175を介してLow側油室にライン圧PLを供給することで減速側へ変速させ、油路150から油路174を介してHi側油室にライン圧PLを供給することで増速側へ変速させるトロイダル型無段変速機の変速制御装置において、油路150とHi側油圧PHiを排出する制御弁70の油路151との間に変速差圧弁200を配設し、この差圧弁200は、制御弁70がLow側油室にライン圧PLを供給する際に、このライン圧PLを減圧し油路174を介して第2の油室に供給することによって前記差圧の増大を制限する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 同軸上に対向配置された入出力ディスクと、該入出力ディスク間で摩擦係合により動力の受渡しを行うよう、入出力ディスクの軸心周りに配置された複数の摩擦ローラと、該摩擦ローラを傾動自在に支持するとともに、入出力ディスクの軸心に直交する軸方向に移動可能なローラ支持部材と、油圧シリンダに摺動自在に設けられ、第1および第2の油室間の差圧に応じて前記ローラ支持部材を移動させる油圧作動ピストンと、弁体内部に摺動自在に設けられるスプールの変位量に応じて、入力される元圧を前記第1または第2の油室のうちの一方の油室へ供給して前記差圧を制御する変速制御弁とを具え、前記変速制御弁は前記第1の油室に元圧を供給することで減速側へ変速させ、前記第2の油室に元圧を供給することで増速側へ変速させるトロイダル型無段変速機の変速制御装置において、前記変速制御弁が前記第1の油室に元圧を供給する際に、この元圧を減圧して第2の油室に供給することによって前記差圧の増大を制限する差圧制限手段を設けたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御装置。 【請求項2】 同軸上に対向配置された入出力ディスクと、該入出力ディスク間で摩擦係合により動力の受渡しを行うよう、入出力ディスクの軸心周りに配置された複数の摩擦ローラと、該摩擦ローラを傾動自在に支持するとともに、入出力ディスクの軸心に直交する軸方向に移動可能なローラ支持部材と、油圧シリンダに摺動自在に設けられ、第1および第2の油室間の差圧に応じて前記ローラ支持部材を移動させる油圧作動ピストンと、弁体内部に摺動自在に設けられるスプールの変位量に応じて、入力される元圧を前記第1または第2の油室のうちの一方の油室へ供給して前記差圧を制御する変速制御弁とを具え、前記変速制御弁は前記第1の油室に元圧を供給することで減速側へ変速させ、前記第2の油室に元圧を供給することで増速側へ変速させるトロイダル型無段変速機の変速制御装置において、前記変速制御弁が前記第1の油室に元圧を供給する際に、この元圧を減圧して第1の油室に供給することによって前記差圧の増大を制限する差圧制限手段を設けたことを特徴とするトロイダル型無段変速機の変速制御装置。 【請求項3】 前記差圧制限手段は、前記変速制御弁に入力される元圧側の油路と、前記第2の油室の油圧を排出する前記変速制御弁の油路との間に配設され、前記元圧を所定圧に減圧して前記第2の油室の油圧を排出する前記変速制御弁の油路に供給し、前記第2の油室の油圧の最小値を制限するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機の変速制御装置。 【請求項4】 前記差圧制限手段は、前記変速制御弁からの元圧を前記第2の油室に供給する油路中に配設されるとともに、前記変速制御弁に入力される元圧側の油路が分岐して接続され、前記元圧を所定圧に減圧して前記第2の油室に供給し、前記第2の油室の油圧の最小値を制限するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機の変速制御装置。 【請求項5】 前記差圧制限手段は、前記変速制御弁からの元圧を前記第1の油室に供給する油路中に配設され、該変速制御弁からの元圧を制限して前記第1の油室に供給するようにしたことを特徴とする請求項2に記載のトロイダル型無段変速機の変速制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、トロイダル型無段変速機の変速制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】トロイダル型無段変速機は、主軸上に対向配置される入出力ディスクおよび、これら入出力ディスク間で摩擦係合により動力の受渡しを行う摩擦ローラを主要な要素とする無段変速機構を具え、摩擦ローラの傾動により変速比を無段階に設定するものである。 【0003】こうした従来技術には、例えば、図9に示す、本願出願人が提案した特開平5−39847号公報に記載のものがある。図9は、無段変速機構における片側部分(摩擦ローラ18d)について示したものであるが、他の片側部分については、基本的にはほぼ同様の構造であることから説明を省略する。 【0004】摩擦ローラ(以下、パワーローラという)18dは、主軸に直交する軸線O2上を移動可能なローラ支持部材(以下、トラニオンという)105に傾動自在に支持される。トラニオン105はそれぞれ、油圧作動ピストン107と連動し、このピストン107で区切られたHi側油室101およびLow側油室102間の差圧に応じて移動する。 【0005】Hi側油室101およびLow側油室102はそれぞれ、ライン圧PLを元圧とする変速制御弁70が接続されている。変速制御弁70は、ダウンシフトを欲する際には、スプール73の移動に応じてライン圧PLをLow側油室102に供給すると共に、Hi側油室101をドレンしてトラニオン105を入力(出力)ディスク18aの軸心O3に直交する軸線O2方向下向きに移動させる。また、変速制御弁70は、アップシフトを欲する際には、スプール73の移動に応じてライン圧PLをHi側油室101に供給すると共に、Low側油室102をドレンしてトラニオン105を入力ディスク18aの軸心O3に直交する軸線O2方向上向きに移動させる。 【0006】このトラニオン105の移動と連動して、パワーローラ18dが入力ディスク18aに対して相対移動すると、パワーローラ18dが入力ディスク18aから受ける力の方向が変化するため、引き摺られて傾動する。 【0007】変速比は、Hi側油室101の油圧PHiとLow側油室102の油圧PLowとの差圧に応じて変化するものであるから、変速制御弁70によって差圧を制御することで任意の変速比を設定できる。 【0008】図10は、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcに対するHi側油室101の油圧PHiおよびLow側油室102の油圧PLowを示した特性図であり、Hi側油室101の油圧PHiは破線で、Low側油室102の油圧PLowは実線で示す。 【0009】図面左側の斜線領域(Up)は、Hi側油室101の油圧PHiがLow側油室102の油圧PLowに比べて高いアップシフト領域であり、図面右側の斜線領域(Down)は、Hi側油室101の油圧PHiがLow側油室102の油圧PLowに比べて低いダウンシフト領域である。 【0010】変速制御弁70は、図10の如く、変速制御弁70内を摺動するスプール73のストローク量xcに応じてHi側油圧PHiまたはLow側油圧PLowによる差圧を制御するものであって、変速制御弁70のスプール73をステップモータ(図示せず)でストロークさせることによって行われ、その差圧の大きさが大きくなるほど、変速スピードは速くなる。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記トロイダル型無段変速機の変速制御装置では、変速制御弁のバルブスティックや、外乱などによるステップモータの誤作動などによって、急変速が発生する可能性がある。特に、変速制御弁のスプールがダウンシフト側に大きくストロークした状態でバルブスティックすると、ダウンシフト方向の差圧が運転者の意思とは無関係に大きくなり、ダウンシフトの変速スピードが必要以上に高くなって、運転者が予期しない急ダウンシフトが発生してしまうことを考慮しなければならない。 【0012】この場合の対策としては、例えば、変速制御弁に収納されたスプールのストロークを規制してダウンシフトを発生させる差圧の最大値を制限することにより、急ダウンシフトを防止する方法が考えられる。 【0013】ところが、変速制御弁のストロークを規制することによって差圧を制限する場合、ライン圧の変動により通常の変速制御時に必要な差圧が得られなくなる。 【0014】本発明の解決すべき課題は、上述の事実に鑑みてなされたものであり、変速制御弁のストロークを規制することなく、過剰な差圧が供給されることによって生じる急ダウンシフトを防止することを目的とする。 【0015】 【課題を解決するための手段】この目的のため、第1発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、同軸上に対向配置された入出力ディスクと、該入出力ディスク間で摩擦係合により動力の受渡しを行うよう、入出力ディスクの軸心周りに配置された複数の摩擦ローラと、該摩擦ローラを傾動自在に支持するとともに、入出力ディスクの軸心に直交する軸方向に移動可能なローラ支持部材と、油圧シリンダに摺動自在に設けられ、第1および第2の油室間の差圧に応じて前記ローラ支持部材を移動させる油圧作動ピストンと、弁体内部に摺動自在に設けられるスプールの変位量に応じて、入力される元圧を前記第1または第2の油室のうちの一方の油室へ供給して前記差圧を制御する変速制御弁とを具え、前記変速制御弁は前記第1の油室に元圧を供給することで減速側へ変速させ、前記第2の油室に元圧を供給することで増速側へ変速させるトロイダル型無段変速機の変速制御装置において、前記変速制御弁が前記第1の油室に元圧を供給する際に、この元圧を減圧して第2の油室に供給することによって前記差圧の増大を制限する差圧制限手段を設けたことを特徴とするものである。 【0016】第2発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、同軸上に対向配置された入出力ディスクと、該入出力ディスク間で摩擦係合により動力の受渡しを行うよう、入出力ディスクの軸心周りに配置された複数の摩擦ローラと、該摩擦ローラを傾動自在に支持するとともに、入出力ディスクの軸心に直交する軸方向に移動可能なローラ支持部材と、油圧シリンダに摺動自在に設けられ、第1および第2の油室間の差圧に応じて前記ローラ支持部材を移動させる油圧作動ピストンと、弁体内部に摺動自在に設けられるスプールの変位量に応じて、入力される元圧を前記第1または第2の油室のうちの一方の油室へ供給して前記差圧を制御する変速制御弁とを具え、前記変速制御弁は前記第1の油室に元圧を供給することで減速側へ変速させ、前記第2の油室に元圧を供給することで増速側へ変速させるトロイダル型無段変速機の変速制御装置において、前記変速制御弁が前記第1の油室に元圧を供給する際に、この元圧を減圧して第1の油室に供給することによって前記差圧の増大を制限する差圧制限手段を設けたことを特徴とするものである。 【0017】第3発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、第1発明において、前記差圧制限手段は、前記変速制御弁に入力される元圧側の油路と、前記第2の油室の油圧を排出する前記変速制御弁の油路との間に配設され、前記元圧を所定圧に減圧して前記第2の油室の油圧を排出する前記変速制御弁の油路に供給し、前記第2の油室の油圧の最小値を制限するようにしたことを特徴とするものである。 【0018】第4発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、第1発明において、前記差圧制限手段は、前記変速制御弁からの元圧を前記第2の油室に供給する油路中に配設されるとともに、前記変速制御弁に入力される元圧側の油路が分岐して接続され、前記元圧を所定圧に減圧して前記第2の油室に供給し、前記第2の油室の油圧の最小値を制限するようにしたことを特徴とするものである。 【0019】第5発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、第2発明において、前記差圧制限手段は、前記変速制御弁からの元圧を前記第1の油室に供給する油路中に配設され、該変速制御弁からの元圧を制限して前記第1の油室に供給するようにしたことを特徴とするものである。 【0020】 【発明の効果】第1発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、第1の油室に元圧を供給する際に、この元圧を減圧して第2の油室に供給することによって、減速側へ変速する際の最大差圧を制限する差圧制限手段を設けたことにより、変速制御弁の誤作動によって変速制御弁が第1の油室に対して所定圧より大きな元圧を供給しても、差圧制限手段によって第1および第2の油室間の差圧を制限して、通常のダウンシフトに必要な差圧の最大値を取るように制御することができる。 【0021】このため、変速制御弁のストロークを規制することなく、変速比を大きくする側の差圧の最大値を制限し、変速スピードが必要以上に高くなることを防止して、急ダウンシフトを防止することができる。 【0022】従って、第1発明によれば、既存の変速制御弁を何等変更することなく、変速制御弁の動作に起因する過剰な差圧が供給されることによって生じる急ダウンシフトを防止することができる。 【0023】第2発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、第1の油室に元圧を供給する際に、この元圧を減圧して第1の油室に供給することによって、減速側へ変速する際の最大差圧を制限する差圧制限手段を設けたことにより、変速制御弁の誤作動によって変速制御弁が第1の油室に対して所定圧より大きな元圧を供給しても、差圧制限手段によって第1および第2の油室間の差圧を制限して、通常のダウンシフトに必要な差圧の最大値を取るように制御することができる。従って、第2発明によれば、第1発明と同様の作用効果が得られる。 【0024】第3発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、前記差圧制限手段が、前記変速制御弁に入力される元圧側の油路と、前記第2の油室の油圧を排出する前記変速制御弁の油路との間に配設され、前記元圧を所定圧に減圧して前記第2の油室の油圧を排出する前記変速制御弁の油路に供給し、前記第2の油室の油圧の最小値を制限するから、第1発明の作用効果を簡単な構成で実現することができる。 【0025】第4発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、前記差圧制限手段が、前記変速制御弁からの元圧を前記第2の油室に供給する油路中に配設されるとともに、前記変速制御弁に入力される元圧側の油路が分岐して接続され、前記元圧を所定圧に減圧して前記第2の油室に供給し、前記第2の油室の油圧の最小値を制限するようにしたから、第1発明の作用効果を簡単な構成で実現することができる。 【0026】第5発明によるトロイダル型無段変速機の変速制御装置は、前記差圧制限手段が、前記変速制御弁からの元圧を前記第1の油室に供給する油路中に配設され、該変速制御弁からの元圧を制限して前記第1の油室に供給するようにしたから、第2発明の作用効果を簡単な構成で実現することができる。 【0027】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、無段変速機構は従来と同様であり、各実施形態を説明する上で、図9を参照するものとする。 【0028】図1は、本発明を適用し得るデュアルキャビティ型トロイダル変速機構であって、トロイダル無段変速機構の油圧作動ピストンを簡略化して併せて示した回路図であり、また、図2は、本発明装置の第一実施形態を示した回路図である。 【0029】図1の回路図で伝動列を説明すると、第1無段変速機構18は、対向面がトロイダル曲面に形成される一対の入出力ディスクと、これら入出力ディスクの対向面間に摩擦接触されると共にトルク伝達軸16に関し対称配置される一対のパワーローラ18c、18dと、これらパワーローラをそれぞれ傾転可能に支持するトラニオン104,105および油圧アクチュエータとしてのサーボピストン106,107を具える。なお、第2無段変速機構20も同様、対向面がトロイダル曲面の入出力ディスク、一対のパワーローラ20c,20dおよびその支持機構並びにサーボピストン116,117を具えるが、第1無段変速機構18と作用が等しいため、その説明を省略する。 【0030】第1無段変速機構18のパワーローラ18c,18dをそれぞれ回転可能に支持するトラニオン104,105は、これの軸を中心として回転可能かつ軸方向に移動可能に支持される。トラニオン104,105には、それぞれ各シリンダのピストン106,107の上下(図中では左右各側)に、それぞれ先に述べたHi側油室101およびLow側油室102を画成する。ここで、パワーローラ18c側とパワーローラ18d側とでは、互いにHi側油室101およびLow側油室102との関係は逆である。パワーローラ18c,18dの入出力ディスクとの接触位置半径を代えて変速比を変化させる場合に、各シリンダの油室に作用する油圧によりピストン106とピストン107は互いに逆方向に上下動可能であり、Low側油室102の油圧を相対的に上昇させると減速側への変速を行う。その後、変速比が目標値に近づくと、Hi側油圧101の油圧が上昇しLow側油室102とHi側油圧101との油圧差が小さくなる。それに伴い変速速度は遅くなり、変速を終了する。 【0031】ここで図9を参照すると、上記の変速比制御において実変速比が指令された目標変速比となるようにフィードバック機構を有する。フィードバック機構は、ピストン107と一体でトラニオン105の回転軸部と一体回転する延長軸部がバルブボディ部を貫通した部分において、この延長軸部下端に結合して設けたプリセスカム121と、軸123に枢支されたL字リンク122とにより構成し、このリンク122の一方のアームをカム121の斜面(カム面)121aと線接触(T)させ、他方のアームは調整ねじ124を介し前進用変速制御弁70のフィードバック弁体としてのスプール73へ当接させ、実際の変速比(以下、実変速比という)を変速制御弁70へフィードバックさせる(フィードバック量は、比L2/L1に応じて設定される)。 【0032】図2は、トロイダル変速機構のパワーローラアクチュエータとして機能する油圧作動ピストンに差圧を供給するための油圧回路を示し、変速制御弁70が第1の油室であるLow側油室102に元圧であるライン圧PLを供給する際に、このライン圧PLを減圧して第2の油室であるHi側油室101に供給するものである。 【0033】変速制御弁70は、変速比を指令する電気信号に応じて作動するステップモータ(図示せず)を設け、スプール73が、前進時、前記ステップモータの作動に応じて、第1,第2無段変速機構18,20のHi側油室101およびLow側油室102に対する油圧の配分の調整をなし、所定の変速比を実現する。 【0034】また、変速制御弁70にはポート70d,70e,70f,70g,70hが設けられている。ポート70fは、これを油路150に接続し、変速制御弁70に供給する元圧として、この油路のライン圧PLを用い、これを変速制御圧力とする。ポート70gおよびポート70hには、それぞれ油路174,175を接続し、これら油路は、正逆切換弁81を介しその前進時切換状態においては、油路174をHi側油室101への油路176に、油路175をLow側油室102への油路177に、それぞれ通ずるものとする。 【0035】また、ポート70dは、ポート70gまたは70hからの油圧をドレンするために用いられ、さらにポート70eは、後述の変速差圧弁200に接続されている。 【0036】前後進検出部材77は、前進用クラッチが締結された前進状態では、前後進検出部材77は図2の実線にて示すように反時計方向に回動した状態にあり、正逆切換弁81のスプール81bを図中下方位置にある状態とする。かかる状態では、前進用変速制御弁70からの油路174,175が油路176,177に通じ、Hi側油室101とLow側油室102の油圧が変速制御弁70によって制御される。変速制御弁70の図中下方位置への移動はHi側の変速(アップシフト)を、また、上方位置への移動はLow側の変速(ダウンシフト)をそれぞれ示すが、変速制御にあたり、ステップモータを作動させて変速指令部材72を所定位置に移動させると、これに応じてスプール73が移動する。 【0037】本実施形態では、差圧制限手段の一例としての変速差圧弁200が変速制御弁70に入力される元圧側の油路150と、Hi側油室101の油圧を排出する変速制御弁70の油路151との間に配設されている。変速差圧弁200は、バルブボディ内を摺動自在に配設されたスプール202を具え、Hi側油室101と変速制御弁70を介して連通するポート200a,200b(Low側油室102)と、ライン圧供給油路150に接続されたポート200c,200dとドレンポート200eとが形成されている。 【0038】ここで、スプール202のランド部202aの左端面に作用する油圧PHiによる力をFHiとし、ばね201のばね力をFs1、また、ランド部202bの右端面に作用する油圧PLow(ライン圧PL)による力FLとすると、スプール202は、FHi、Fs1およびFLによる力の釣り合いによって摺動する。但し、スプール202における釣り合いの関係は、 FL=FHi+Fs1 ・・・ (1)で表される。 【0039】また、ばね201のばね力Fs1は、ばね定数k1、スプール202のストローク量をx1とすると、Fs1(x1)=k1・x1で表される。これにより、ランド部202aの左端面の面積をA1とすると、油圧PHiは、上式(1)より、PHi={FL−Fs1(x1)/A1}となる。 【0040】ここで、第1実施形態の作用を説明する。 【0041】ダウンシフト時は、変速制御弁70のスプール73が図面上方向に移動して、油路150と油路175とを連通させて変速制御弁70に入力されるライン圧PLをLow側油室102に供給するとともに、油路174と油路151とを連通させてHi側油室101の油圧を変速差圧弁200に排出する。 【0042】変速差圧弁200には、ポート200c,200dにライン圧PL(Low側油圧PLowに相当)が供給されるとともに、ポート200a,200bにHi側油圧PHiが供給される。このとき、スプール202はポート200cからのライン圧PLが上昇するに伴いばね201のばね力に抗して図中左側に移動する。これにより、変速差圧弁200は、油路150および油路151との間に所定の差圧を生じさせ、ダウンシフトがさらに進むと、スプール202は油路151とドレンポート200eを連通させる。 【0043】変速制御弁70におけるスプール73のストローク量に応じた油圧PHiおよび油圧PLowの関係は、図3に示す如くなる。図3は、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcに対するHi側油室101の油圧PHiおよびLow側油室102の油圧PLowを示した特性図であり、Hi側油室101の油圧PHiは破線で、Low側油室102の油圧PLowは実線で示す。 【0044】図3を参照すると、変速差圧弁200によって、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcに対応する油圧PLowは、ドレンの状態からライン圧PLが供給されて上昇し、また、油圧PHiは最大圧(本形態ではライン圧PL)の状態から下降している。 【0045】しかしながら、Hi側油圧PHiが減少する割合は、Low側油圧PLowが増加する割合よりも小さく済んでいる。なお、このとき、ダウンシフト方向の差圧ΔPdownは、ばね201のばね定数k1に依存する。つまり、ダウンシフト時において、変速差圧弁200は、油路150のライン圧PLを所定圧に減圧してHi側油室101の油圧PHiを排出する変速制御弁70の油路151に供給し、このHi側油圧PHiの最小値を制限することにより、油路174のHi側油圧PHiが急激に減圧することを防止する。 【0046】ところで、トロイダル型無段変速機のパワーローラ18c,18dは、図9に示す如く、パワーローラ18c(18d)の回転軸線O1が入出力ディスク軸線O3に対して直交する非オフセット位置(以下、中立位置という)となるように決定されており、これを中立状態という。 【0047】トロイダル型無段変速機の変速は、油圧作動ピストン107によってトラニオン105が軸線O2に沿って上下動することにより行われる。具体的には、以下のような作用をもたらす。 【0048】油圧作動ピストン107は、目標とする変速比に相当する差圧に応じてストロークし、トラニオン105を軸線O2に沿って上向きまたは下向きに移動させる。このとき、パワーローラ回転軸線O1は、ディスク軸線O3に対してオフセットした状態になる。このように、パワーローラがオフセットすることで、パワーローラ18c,18dは、回転ディスク18aから引き摺り力を受けてトラニオン軸線O2周りをディスク面に沿って傾動し、実変速比の変化が開始される。 【0049】実変速比はフィードバック機構によって油圧ピストンにフィードバックされ、実変速比が目標変速比に達すると、油圧作動ピストン107はパワーローラのオフセットを0として、実変速比が目標変速比を維持するようにする。 【0050】つまり、油圧作動ピストン107は、実変速比が目標の変速比となるようにパワーローラ18c,18dのオフセット量を制御している。 【0051】上記のことから、変速制御弁70は、スプール73のストローク量xcに応じてHi側油室101とLow側油室102との間の差圧を変化させ、油圧作動ピストン107をストロークさせている。パワーローラ18c,18dの中立状態は本来、図3に示す如く、Hi側油圧PHiおよびLow側油圧PLowが等しく、差圧が0となる変速制御弁ストローク位置xc=xc0で確保される。 【0052】このため、本来中立状態であるストローク位置xc=xc0より右側の斜線で示す領域(Down)ではダウンシフトを発生させる差圧となり、ストローク位置xc=xc0より左側の斜線で示す領域(Up)ではアップシフトを発生させる差圧となるため、アップシフト領域がダウンシフト領域に比べて大きくなる。 【0053】そこで、本実施形態を考察すると、トロイダル型無段変速機では、伝達トルクが入力されるときには、パワーローラ18c,18dには前記引き摺り力をキャンセルするために反対方向の力(以下、保持力)をパワーローラ18c,18dに作用させることで中立状態を保持している。即ち、本実施形態において、前記引き摺り力によってパワーローラ18c,18dが移動しようとする方向は、ダウンシフト方向のため、実際に中立状態を確保するためのストローク位置は、パワーローラ18c,18dに保持力を作用させるアップシフト方向の位置となる。 【0054】しかして引き摺り力は、変速機に入力される伝達トルクの応じて変化するため、実際の中立位置も、伝達トルクの応じて変化する。 【0055】伝達トルクが大きくなると、引き摺り力も大きくなるため、実際の中立位置もさらにアップシフト方向に移動する。このため、伝達トルクが最大のときの中立位置がストローク位置xc=xc2の場合、伝達トルクが生じない状態と比べて、実際にはアップシフト方向の差圧ΔPc2を発生させている。また、伝達トルクが最小のときの中立位置がストローク位置xc=xc3の場合でも、伝達トルクが生じない状態と比べて、実際にはアップシフト方向の差圧ΔPc3を発生させている。従って、実際には、中立位置が変化することによって、ダウンシフトを発生させる領域(Down)も変化する。 【0056】ストローク位置xc=xc4を考えてみると、中立状態がストローク位置xc=xc2のときに発生させ得るダウンシフト方向の相対的な差圧の最大値ΔPdown(xc2)は、ΔPdown(xc2)=ΔPc0+ΔPc2であり、また、中立状態がストローク位置xc=xc3のときに発生させ得るダウンシフト方向の相対的な差圧の最大値ΔPdown(xc3)は、ΔPdown(xc3)=ΔPc0+ΔPc3である。ΔPc2>ΔPc3のため、最大値ΔPdown(xc2)は、中立状態がストローク位置xc=xc3のときに発生させ得るダウンシフト方向の相対的な差圧の最大値ΔPdown(xc3)よりも大きくなる。 【0057】このように入力トルクが時々刻々と変化して一定ではないトロイダル型無段変速機に対しては、変速制御弁70のスプール73のストローク量を制限して急ダウンシフトを防止できても、上記した中立位置の変動を考慮することはできない。従って、この点からみても、本実施形態装置は優れた作用効果が得られる。 【0058】本実施形態の構成では、特に、変速機に伝達トルクが入力されない場合の中立位置が図10の従来技術に比べて右側にずれている。ダウンシフト領域が狭くなり、ダウンシフト方向の変速スピードが低下することが考えられるが、上記のように、変速機に伝達トルクが入力されると中立位置がずれるため、ダウンシフト側のストローク量を確保することができるようになるために問題とならないことを付記する。 【0059】図8は、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcに対するダウンシフト方向の差圧ΔPdownを示した作用図であって、本実施形態における作用を一点鎖線Aで示し、併せて、従来装置における作用を実線Dで示す。 【0060】図8を参照すると、従来装置では、差圧ΔPdownはスプール73のストローク量xcに比例して大きくなり、スプール73の最大ストローク量xcmaxに対して差圧ΔPcmaxが最大差圧となる。 【0061】これに対して本実施形態で得られる差圧ΔPdownは、常に、実線Dよりも傾きが緩やかな一点鎖線Aの値を取る。従って、スプール73の最大ストローク量xcmaxで得られる最大差圧は、差圧ΔPcmaxよりも低い差圧ΔPcとなる。 【0062】つまり、本実施形態では、差圧ΔPdownが、急ダウンシフトを発生させる直前の差圧ΔPcを越えないように、ばね201のばね定数k1を設定することで、急ダウンシフトを防止することができる。 【0063】また図8から明らかなように、スプール73のストローク量xcに対する差圧ΔPdownの変化量が小さく、即ち、変速制御弁70が実際に供給する差圧に対する応答性が低くなるため、例えば、ステップモータの誤作動によって、変速制御弁70の制御にノイズが含まれる場合であっても、差圧ΔPdownに現れるノイズの影響を低減することができる。 【0064】従って、本実施形態によれば、変速制御弁70の誤作動によって変速制御弁70がLow側油室102に対して所定圧よりも大きなライン圧PLを供給しても、変速差圧弁200によってHi側油室101およびLow側油室102間の差圧を制限して、通常のダウンシフトに必要な差圧の最大値を取るように制御することができる。 【0065】このため、変速制御弁70のストロークを規制することなく、変速比を大きくする側の差圧の最大値を制限し、変速スピードが必要以上に高くなることを防止して、急ダウンシフトを防止することができる。 【0066】従って、第1実施形態によれば、既存の変速制御弁70を何等変更することなく、変速制御弁70の動作に起因する過剰な差圧が供給されることによって生じる急ダウンシフトを防止することができる。 【0067】特に、変速差圧弁200が、変速制御弁70に入力される元圧側の油路150と、Hi側油室101の油圧PHiを排出する変速制御弁70の油路151との間に配設され、ライン圧PLを所定圧に減圧してHi側油室101の油圧PHiを排出する変速制御弁70の油路151に供給し、Hi側油室101の油圧PHiの最小値を制限するから、上記作用効果を簡単な構成で実現することができる。 【0068】図4は、本発明の第2の実施形態であって、油圧作動ピストンに差圧を供給するための油圧回路を示し、変速制御弁70がLow側油室102にライン圧PLowを減圧してLow側油室102に供給するものである。 【0069】第2の実施形態では、差圧制限手段である変速差圧弁210が変速制御弁70からのライン圧PLをLow側油室102に供給する油路175中に配設されている。変速差圧弁210は、弾性部材(本形態ではばね211)で支持されたスプール212を具え、ダウンシフト時に変速制御弁70のポート70hから油圧が供給されるポート210a,210bと、Low側油室102と正逆切換弁81を介して連通するポート210cと、このポート210cからの油圧PLowをドレンするドレンポート210dとが形成されている。 【0070】ここで、スプール212のランド部212aの下端面に作用するばね力をFs2(x2)、スプール212のランド部212bの上端面に作用するLow側油室102の油圧PLowによる力をFLowと置くと、スプール212は、Fs2(x2),FLowの釣り合いによって摺動する。但し、スプール212における釣り合いの関係は、 で表される。 【0071】また、ばね211のばね力Fs2(x2)は、ばね定数をk2、スプール212のストローク量をx2とすると、Fs2(x2)=k2・x2で表される。これにより、ランド部212bの上端面の面積をA2とすると、油圧PLowは、上式(2)より、PLow=FLow/A2となる。 【0072】ここで、第2実施形態の作用を説明する。 【0073】ダウンシフト時は、変速制御弁70のスプール73が図面上方向に移動して、油路150と油路175とを連通させて変速制御弁70に入力されるライン圧PLを、変速差圧弁210を介してLow側油室102に供給するとともに、油路174と油路151とを連通させてHi側油室101の油圧をドレンする。 【0074】変速差圧弁210には、ポート210a,210bにライン圧PL(Low側油圧PLowに相当)が供給されるとともに、ポート210cからLow側油室102にLow側油圧PLowが供給される。このとき、スプール212はポート210aからのライン圧PLが上昇するに伴いばね211のばね力に抗して図中下側に移動する。これにより、変速差圧弁210は、変速制御弁ポート70f,70hからのライン圧PLと油路175からのLow側油圧PLowとの間に所定の差圧を生じさせ、ダウンシフトがさらに進むと、スプール212は油路175とドレンポート210dとを連通させる。 【0075】変速制御弁70におけるスプール73のストローク量に応じた油圧PHiおよび油圧PLowの関係は、図5に示す如くなる。図5は、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcに対するHi側油室101の油圧PHiおよびLow側油室102の油圧PLowを示した特性図であり、Hi側油室101の油圧PHiは破線で、Low側油室102の油圧PLowは実線で示す。 【0076】図5を参照すると、油圧PLowは、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcが位置xcdに達すると、変速差圧弁210のドレンポート210dからドレンされて油圧PLowの上昇が停止する。つまり、変速差圧弁210の作用によって、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcに対応する油圧PLowは、ドレンの状態からライン圧PLが供給されて上昇し、スプール73のストロークが位置xcdに達するところで上昇を停止する。また、油圧PHiは、最大圧(ライン圧PL)の状態からドレンされて徐々に低下する。従って、ダウンシフト時において、変速差圧弁210は、変速制御弁70からのライン圧PLを制限してLow側油室102に供給し、油路175のLow側油圧PLowが急激に増圧することを防止する。 【0077】ここで再び図8を参照し、本実施形態における作用を示す二点鎖線Bを見ると、本実施形態で得られる差圧ΔPdownは、スプール73のストローク量xcが位置xcdに達するまでは、変速制御弁70が供給する差圧の変化量と等価な従来装置である実線Dと同一値を取る(以下、第1の変化量における領域α1という)。しかしながら、本実施形態で得られる差圧ΔPdownは、スプール73のストローク量xcが位置xcdに達すると、実線Dよりも傾きが緩やかな値を取り(以下、第2の変化量における領域α2という)、スプール73の最大ストローク量xcmaxで得られる最大差圧は、差圧ΔPcmaxよりも低い差圧ΔPcとなる。 【0078】従って、変速制御弁73におけるスプール73のストローク量の最大値xcmaxとなるときの差圧ΔPdownが、急ダウンシフトを発生させる直前の差圧ΔPcを越えないように、ばね211のばね定数k2およびスプール212のストローク位置x2dを設定することで、急ダウンシフトを防止することができる。 【0079】また、図8から明らかなように、スプール212のストローク量x2が位置x2dとなるときの変速制御弁70におけるスプール73のストローク位置xcdを境に、ダウンシフト時の変速スピードは2段階に変化する。 【0080】この場合、変速差圧弁210によって差圧特性が変化するのは、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量が位置xcdよりも大きくなる第2の変化量における領域α2だけなので、ストローク量が位置xcdよりも小さい第1の変化量における領域α1では、ダウンシフト時の変速スピードが低下してしまうことを抑制することができる。 【0081】このため、本実施形態では、第1の変化量によって変速が行われるときには、ダウンシフト時の変速スピードの低下を抑えることによって応答性を確保し、第2の変化量によって変速が行われるときには、差圧の最大値を制限し変速スピードが必要以上に高くなることを防止して、急ダウンシフトを防止する。 【0082】従って、本実施形態によれば、変速制御弁70の誤作動によって変速制御弁70がLow側油室102に対して所定圧よりも大きなライン圧PLを供給しても、変速差圧弁210によってHi側油室101およびLow側油室102間の差圧を制限して、通常のダウンシフトに必要な差圧の最大値を取るように制御することができる。 【0083】このため、変速制御弁70のストロークを規制することなく、変速比を大きくする側の差圧の最大値を制限し、変速スピードが必要以上に高くなることを防止して、急ダウンシフトを防止することができる。 【0084】従って、第2実施形態によれば、既存の変速制御弁70を何等変更することなく、変速制御弁70の動作に起因する過剰な差圧が供給されることによって生じる急ダウンシフトを防止することができる。 【0085】特に、変速差圧弁210が、変速制御弁70からのライン圧PLをLow側油室102に供給する油路175中に配設され、この変速制御弁70からのライン圧PLを制限してLow側油室102に供給するから、上記作用効果を簡単な構成で実現することができる。 【0086】図6は、本発明の第3の実施形態であって、油圧作動ピストンに差圧を供給するための油圧回路を示し、変速制御弁70がLow側油室102にライン圧PLを供給する際に、このライン圧PLを減圧してHi側油室101に供給するものである。 【0087】第3の実施形態では、差圧制限手段である変速差圧弁220が変速制御弁70からのライン圧PLをHi側油室101に供給する油路174中に配設されるとともに、変速制御弁70に入力される油路150から油路152が分岐して接続されている。変速差圧弁220は、弾性部材(本形態ではばね221)で支持されたスプール222を具え、ライン圧PLが供給されるポート220aと、ダウンシフト時に、Hi側油室101と正逆切換弁81を介して連通するポート220c,220dと、Low側油室102と連通するポート220fと、ポート220cからの油圧PLowを変速制御弁70のポート70gに連通するポート220bとが形成されている。 【0088】ここで、スプール222のランド部222aの上端面に作用するHi側油室101の油圧PHiによる力をFHi、スプール222のランド部222aの上端面に作用するばね221の力をFs3(x3)、スプール222のランド部222bの下端面に作用するLow側油室102の油圧PLowによる力をFLowと置くと、スプール222は、FHi、Fs3(x3),FLowの釣り合いによって摺動する。但し、スプール222における釣り合いの関係は、 で表される。 【0089】また、ばね221のばね力Fs3(x3)は、ばね定数をk3、スプール222のストローク量をx3とすると、Fs3(x3)=k3・x3で表される。これにより、ランド部222bの下端面の面積をA3とすると、油圧PHiは、上式(3)より、PLow=FLow/A3となる。 【0090】ここで、第3実施形態の作用を説明する。 【0091】ダウンシフト時は、変速制御弁70のスプール73が図面上方向に移動して、油路150と油路175とを連通させて変速制御弁70に入力されるライン圧PLをLow側油室102に供給するとともに、油路174と油路151とを連通させてHi側油室101の油圧を変速差圧弁220で調圧する。 【0092】変速差圧弁220には、ポート220aにライン圧PL(Low側油圧PLowに相当)が供給されるとともに、ポート200c,200dにHi側油圧PHiが供給される一方、ポート220eに油路175からライン圧PL(Low側油圧PLowに相当)が供給される。このとき、スプール222はポート220eからのライン圧PLがばね221のばね力に抗して図中上側に移動する。これにより、変速差圧弁220は、油路152からのライン圧PLと、油路174からのHi側油圧PHiとの間に所定の差圧を生じさせ、ダウンシフトがさらに進むと、スプール222は油路174とドレンポート220eとを連通させる。 【0093】変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcに応じた油圧PHiおよび油圧PLowの関係は、図7に示す如くなる。図7は、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcに対するHi側油室101の油圧PHiおよびLow側油室102の油圧PLowを示した特性図であり、Hi側油室101の油圧PHiは破線で、Low側油室102の油圧PLowは実線で示す。 【0094】図7を参照すると、油圧PHiは、最大圧(ライン圧PL)の状態からドレンされて徐々に下降し、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcが位置xcLに達すると、ドレンポート220bからドレンされる状態からライン圧PLが供給される状態へと切り換わるために上昇する。つまり、変速差圧弁220の作用によって、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcに対応する油圧PHiは、ドレンの状態からライン圧PLが供給されて上昇する。また、油圧PLowは、変速制御弁70におけるスプール73のストロークxcに比例した油圧が供給されて上昇する。従って、ダウンシフト時において、変速差圧弁220は、ライン圧PLを所定圧に制限してHi側油室101に供給し、油路174のHi側油圧PHiが急激に減圧することを防止する。 【0095】ここで再び図8を参照し、本実施形態における作用を示す二点破線Cを見ると、本実施形態で得られる差圧ΔPdownは、スプール73のストローク量xcが位置xcLに達するまでは、従来装置である実線Dと同一値を取る(以下、第1の変化量における領域β1という)。しかしながら、本実施形態得られる差圧ΔPdownは、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcが位置xcLに達すると、差圧ΔPdownの変化量が0の一定値ΔPcを取り(以下、第2の変化量における領域β2という)、スプール73の最大ストローク量xcmaxで得られる最大差圧は、差圧ΔPcmaxよりも低い差圧ΔPcとなる。 【0096】従って、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量xcが位置xcLに達したときの差圧ΔPdownが、急ダウンシフトを発生させる直前の差圧ΔPcを越えないように、ばね221のばね定数k3およびスプール222のストローク位置x3dを設定することで、急ダウンシフトを防止することができる。 【0097】また、図8から明らかなように、スプール222のストローク量が位置x3dとなるときの変速制御弁70におけるスプール73のストローク位置xcLを境に、ダウンシフト時の変速スピードは一定値となる。 【0098】この場合、変速差圧弁220によって差圧特性が変化するのは、変速制御弁70におけるスプール73のストローク量が位置xcLよりも大きくなる第2の変化量における領域β2だけなので、ストローク量が位置xcLよりも小さい第1の変化量における領域β1では、差圧特性に影響を与えることがない。そして、スプール73のストローク量xcが位置xcLのときの差圧ΔPdownが、急ダウンシフトが発生する直前の差圧ΔPcになるように設定できることから、通常のダウンシフト時に変速スピードが低下することを防止できるため、変速機の変速特性を変化させることなく、即ち、通常のダウンシフト領域でダウンシフトの応答性が低下することなく、変速制御弁70の動作に起因する過剰な差圧が供給されることによって生じる急ダウンシフトを防止できる。 【0099】従って、本実施形態によれば、変速制御弁70の誤作動によって変速制御弁70がLow側油室102に対して所定圧よりも大きなライン圧PLを供給しても、変速差圧弁220によってHi側油室101およびLow側油室102間の差圧を制限して、通常のダウンシフトに必要な差圧の最大値を取るように制御することができる。 【0100】このため、変速制御弁70のストロークを規制することなく、変速比を大きくする側の差圧の最大値を制限し、変速スピードが必要以上に高くなることを防止して、急ダウンシフトを防止することができる。 【0101】従って、第3実施形態によれば、既存の変速制御弁70を何等変更することなく、変速制御弁70の動作に起因する過剰な差圧が供給されることによって生じる急ダウンシフトを防止することができる。 【0102】特に、変速差圧弁220が、変速制御弁70からのライン圧PLをHi側油室101に供給する油路174中に配設されるとともに、変速制御弁70に入力される元圧側の油路150から油路152が分岐して接続され、ライン圧PLを所定圧に減圧してHi側油室101に供給し、Hi側油室101の油圧PHiの最小値を制限するから、上記作用効果を簡単な構成で実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月10日(1999.11.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059258 【弁理士】 【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−141013(P2001−141013A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−319571 |
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