トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 遊星ローラ動力伝達装置
【発明者】 【氏名】牧野 智昭

【要約】 【課題】法線荷重の減少を抑制してトルク伝達容量の向上を図り、転がり接触部における疲労寿命の向上を図ることにある。

【解決手段】サンローラ21と、サンローラ21の外周側に同心配置されたアウターリング22と、前記サンローラ21とアウターリング22の間に設けられ、周方向で等間隔に配されたローラ群を半径方向に多段に配置した第一ローラ23および第二ローラ24とを備え、前記サンローラ21、アウターリング22、第一ローラ23および第二ローラ24を相互に圧接させ、かつ、第一ローラ23または第二ローラ24のうち、第一ローラ23に異なる回転半径を有する複数の外周面を持つ摩擦式の多段ローラ変速機において、前記サンローラ21、アウターリング22、第一ローラ23および第二ローラ24の転走面硬度をロックウェル硬さHRC58〜65とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 サンローラと、サンローラの外周側に同心配置されたアウターリングと、前記サンローラとアウターリングの間に圧接状態で介装された複数の遊星ローラと、前記遊星ローラを円周方向で等間隔に回転自在に保持するキャリアとを備え、前記サンローラおよびアウターリングのそれぞれと遊星ローラとの摩擦接触により動力を伝達させるものにおいて、前記サンローラ、アウターリングおよび遊星ローラの転走面硬度をロックウェル硬さHRC58〜65としたことを特徴とする遊星ローラ動力伝達装置。
【請求項2】 前記遊星ローラが円周方向等間隔に回転自在に配置された二種類以上のローラ群を半径方向に多段に圧接状態で配置し、前記ローラ群のうち、少なくとも一種類のローラ群の各遊星ローラが異なる回転半径を持つ複数の外周面を有することを特徴とする請求項1に記載の遊星ローラ動力伝達装置。
【請求項3】 前記サンローラ、アウターリングおよび遊星ローラを炭素含有量が0.95〜1.10%、クロム含有量が0.90〜1.60%である高炭素クロム鋼により成形し、焼入れ・焼戻しにより、その転走面硬度をロックウェル硬さHRC58〜65としたことを特徴とする請求項1または2に記載の遊星ローラ動力伝達装置。
【請求項4】 前記サンローラ、アウターリングおよび遊星ローラを炭素含有量が0.5%以上の中・高炭素鋼により成形し、焼入れ・焼戻しにより、その転走面硬度をロックウェル硬さHRC58〜65としたことを特徴とする請求項1または2に記載の遊星ローラ動力伝達装置。
【請求項5】 前記サンローラ、アウターリングおよび遊星ローラを肌焼き鋼(クロム鋼、クロム−モリブデン鋼、ニッケル−クロム鋼およびニッケル−クロム−モリブデン鋼)により成形し、浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れにより、その転走面硬度をロックウェル硬さHRC58〜65としたことを特徴とする請求項1または2に記載の遊星ローラ動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は遊星ローラ動力伝達装置に関し、例えばローラを径方向に多段に配置して入力回転を減速または増速する摩擦式多段ローラ変速機などの遊星ローラ動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】トラクションドライブは摩擦伝動装置の一種であり、滑らかな表面を有する二面間に形成された油膜を介して動力が伝達される。そのため、歯車よりも低振動・低騒音での運転が可能である。一定の変速比を有するトラクションドライブの代表的なものに、例えば、図9に示すような概略構成を主要部とする遊星ローラ動力伝達装置がある。
【0003】この動力伝達装置は、その軸心が一致するように配置されたサンローラ1及びアウターリング2と、このサンローラ1とアウターリング2の間に形成された空間に圧接状態で配置された複数の遊星ローラ3と、その遊星ローラ3を円周方向に等間隔かつ回転自在に保持するキャリア4とで構成されている。このような一組の遊星ローラ動力伝達装置は、その変速比を10以上に設定することも可能であるが、サンローラ1と遊星ローラ3の接触面圧とアウターリング2と遊星ローラ3の接触面圧のバランスから、通常、その変速比は3〜6が適当である。
【0004】そこで、さらに大きな変速比をとれる動力伝達装置として、例えば図10(a)(b)または図11に示すような摩擦式多段ローラ変速機がある。この多段ローラ変速機は、その軸心が一致するように配置されたサンローラ1及びアウターリング2と、そのサンローラ1とアウターリング2の間に形成された空間に円周方向に等間隔に配置された二種類以上のローラ、例えば図10(a)(b)の多段ローラ変速機では、二種類のローラ3a,3b、また図11の多段ローラ変速機では、三種類のローラ3a〜3cとで構成される。
【0005】後述するようにローラ3a〜3cのそれぞれの個数は三個以上である。それらのローラ3a〜3cのうち、少なくとも一種類のローラを複数の円筒で構成し、そのローラが二つの異なる回転半径を持つ摩擦接触部の転走面を有することにより、一層大きな変速比を確保することができる。
【0006】すなわち、図10(a)(b)の多段ローラ変速機は、サンローラ1とアウターリング2の間に二種類の第一ローラ3aおよび第二ローラ3bをそれぞれ四個ずつ設け、第一ローラ3aにのみ二種類の回転半径R1LとR1Sを有する転走面を形成したものである。第一ローラ3aと第二ローラ3bのサンローラ周りの回転(公転)が拘束される場合、変速比eは、e=(RO 1L)/(RS 1S)となる。一方、第一ローラ3aおよび第二ローラ3bのサンローラ周りの回転(公転)を拘束する代わりに、アウターリング2の回転を拘束する場合には、変速比eは、e=(RO 1L)/(RS 1S)−1となる。
【0007】図11の多段ローラ変速機は、サンローラ1とアウターリング2の間に三種類の第一〜第三ローラ3a〜3cをそれぞれ五個ずつ設け、そのうち第一ローラ3aおよび第二ローラ3bのそれぞれに二種類の回転半径R1LとR1Sおよび回転半径R2LとR2Sを有する転走面を形成したものである。第一〜第三ローラ3a〜3cのサンローラ周りの回転(公転)が拘束される場合、変速比eは、e=(RO1L2L)/(RS 1S2S)となる。一方、第一〜第三ローラ3a〜3cのサンローラ周りの回転(公転)を拘束する代わりに、アウターリング2の回転を拘束する場合には、変速比eは、e=(RO 1L2L)/(RS 1S2S)+1となる。
【0008】このようにローラを径方向に多段化させることで軸方向のサイズが大きくなることを避けて大きな変速比を得ることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述したようにトラクションドライブでは、転がりすべり接触する二つの転走面間に形成された油膜を介してその油膜の剪断力により動力が伝達される。トラクションドライブでは、トラクション係数(トラクション/法線荷重)を高めるために専用のトラクション油を使用しているが、そのトラクション係数は、せいぜい0.1前後である。
【0010】そのため、装置のサイズを拡大したり、あるいは接触部に作用させる法線荷重を増加させたりすることにより、トラクションドライブのトルク伝達容量を増やすようにしている。装置のサイズを拡大することは、重量増、コスト増などの点から好ましくないため、接触部に作用する法線荷重(法線力)を増加させることでトルク伝達容量を向上させる方がよい。
【0011】しかしながら、トラクションドライブを構成する転がり要素の疲労寿命の点から、作用できる法線力に上限が存在する。そこで、転がり要素の疲労寿命について、剪断力を受ける箇所の疲労寿命と転がり接触部における疲労寿命の二点に関して、以下に検討する。
【0012】まず、剪断力を受ける箇所の疲労寿命に関して検討すると、図10(a)(b)に示す多段ローラ変速機では、サンローラ1とアウターリング2との間に二種類の第一ローラ3aおよび第二ローラ3bが配置され、第一ローラ3aが二種類の回転半径を有する円筒で構成されている。図12(a)(b)に示すように第一ローラ3aの大径部5がサンローラ1と接して法線力F1 を受け、第一ローラ3aの小径部6が第二ローラ3bと接して法線力F2 を受けている。この場合、第一ローラ3aの大径部5と小径部6の境界部分において剪断力が作用するため、この剪断力による疲労破壊を起こさないのに十分な硬度を第一ローラ3aに付与する必要がある。
【0013】次に、転がり接触部における疲労寿命に関して検討すると、図13に示すように転がり接触部では、転走面と平行な方向に圧縮と引張りの剪断応力が繰り返し作用する。図14に示すようにこの転走面と平行に作用する剪断応力は材料内部の深さz0 のところで最大となり、この最大剪断応力により材料内部を基点とする疲労破壊(フレーキング)が発生するとされている。この転がり接触部における疲労寿命は硬度に大きく影響を受ける。図15は転がり軸受の内輪の硬度と寿命の関係を示し、硬さが低下するほど寿命が短くなることが明らかである。
【0014】また、トラクションドライブは、接触部に形成される油膜の剪断力によって動力を伝達するものであるが、表面の面粗さの状態や運転条件によっては十分な油膜が形成されないことがある。その場合、部材の表面硬度が十分でなければ互いの接触によって摩耗する。動力伝達のための法線荷重を焼嵌めなどによって付与する方式の場合、構成部材の転走面が摩耗すると、法線荷重が減少しトルク伝達容量が減少する。
【0015】そこで、本発明は前記問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、法線荷重の減少を抑制してトルク伝達容量の向上を図り、転がり接触部における疲労寿命の向上を図り得る遊星ローラ動力伝達装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するための技術的手段として、本発明は、サンローラと、サンローラの外周側に同心配置されたアウターリングと、前記サンローラとアウターリングの間に圧接状態で介装された複数の遊星ローラと、前記遊星ローラを円周方向で等間隔に回転自在に保持するキャリアとを備え、前記サンローラおよびアウターリングのそれぞれと遊星ローラとの摩擦接触により動力を伝達させるものにおいて、前記サンローラ、アウターリングおよび遊星ローラの転走面硬度をロックウェル硬さHRC58〜65としたことを特徴とする。
【0017】本発明は、前記遊星ローラが円周方向等間隔に回転自在に配置された二種類以上のローラ群を半径方向に多段に圧接状態で配置し、前記ローラ群のうち、少なくとも一種類のローラ群の各遊星ローラが異なる回転半径を持つ複数の外周面を有する多段ローラ変速機にも適用可能である。
【0018】前述したように転がり接触部における疲労寿命に関して十分な耐久性を持たせるにはある程度以上の転走面硬度が必要である。しかしながら、転走面硬度が高くなるほど亀裂敏感性が高まり、じん性が低下するため、転走面硬度はある上限値以下に抑える必要がある。以上の観点から、本発明の遊星ローラ動力伝達装置における転がり要素の転走面硬度をロックウェル硬さHRC58〜65とした。
【0019】前記サンローラ、アウターリングおよび遊星ローラの転走面硬度をロックウェル硬さHRC58〜65とするため、各転がり要素の材質および熱処理を以下の■〜■の手法により実現することができる。■サンローラ、アウターリングおよび遊星ローラを炭素含有量が0.95〜1.10%、クロム含有量が0.90〜1.60%である高炭素クロム鋼により成形し、焼入れ・焼戻しする。■サンローラ、アウターリングおよび遊星ローラを炭素含有量が0.5%以上の中・高炭素鋼により成形し、焼入れ・焼戻しする。■サンローラ、アウターリングおよび遊星ローラを肌焼き鋼(クロム鋼、クロム−モリブデン鋼、ニッケル−クロム鋼およびニッケル−クロム−モリブデン鋼)により成形し、浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れする。
【0020】以上のように本発明の遊星ローラ動力伝達装置における転がり要素として、高炭クロム鋼、中・高炭素鋼および肌焼き鋼を成形したものを用い、焼入れ・焼戻しや浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れの熱処理を行うことにより、疲労破壊に対して十分な転走面硬度を確保することができる。また、接触部において十分な油膜が形成されずに金属同士が接触する場合でも、十分な耐摩耗性を持つことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を以下に詳述する。
【0022】まず、図1(a)(b)に示す実施形態の摩擦式多段ローラ変速機の構造は以下の通りである。この多段ローラ変速機は、サンローラ21とアウターリング22の間に二種類の第一ローラ23および第二ローラ24がそれぞれ四個ずつ設けられ、一端をサンローラ21とした高速回転軸25と、その高速回転軸25と同軸状に配置されたアウターリング22との間に、サンローラ21の外周面および第二ローラ24に摩擦接触する第一ローラ23と、第一ローラ23およびアウターリング22の内周面に摩擦接触する第二ローラ24がそれぞれ円周等間隔に圧接状態で配置されている。
【0023】この実施形態では、第一ローラ23が複数の円筒で形成されることで二種類の転走面を有している。前記高速回転軸25を軸受支持するハウジング26には、四つの支持軸27が植設されており、第二ローラ24が軸受28を介して支持軸27に支持されることで第二ローラ24のサンローラ周りの回転(公転)が拘束され、その結果、第一ローラ23のサンローラ周りの回転も拘束される。アウターリング22と低速回転軸29をボルト30とナット31によって結合することにより、アウターリング22の回転を低速回転軸29に伝達させる。なお、アウターリング22の両側に二枚の側板32を配置することにより、第二ローラ24の軸方向移動が規制されている。
【0024】この実施形態では、アウターリング22と低速回転軸29とは別部材であり、両者をボルト30とナット31で結合した構造であるが、低速回転軸29の一端内周面が転走面となるような摩擦接触部を有するように、低速回転軸29とアウターリング22とを一体に形成したものであってもよい。
【0025】その他の実施形態として、第一ローラ23および第二ローラ24のサンローラ周りの回転(公転)を拘束する代わりに、アウターリング22の回転を拘束する実施形態の摩擦式多段ローラ変速機の構造を図2(a)(b)に示す。
【0026】この実施形態の多段ローラ変速機は、図1(a)(b)に示す実施形態の場合と同様、サンローラ21とアウターリング22の間に、それぞれ四個の第一ローラ23および第二ローラ24が円周等間隔に圧接状態で配置されている。アウターリング22は、高速回転軸25と同軸状になるようにハウジング26にボルト30で固定されている。また、低速回転軸29には、四つの支持軸27が植設されており、第二ローラ24が軸受28を介して支持軸27に支持されている。動力はサンローラ21の回転と第一ローラ23および第二ローラ24のサンローラ周りの回転(公転)によって伝達される。なお、アウターリング22の両側に二枚の側板32を配置することにより、第二ローラ24の軸方向移動が規制されている。
【0027】これら二つの実施形態の多段ローラ変速機における転がり要素であるサンローラ21、アウターリング22および第一ローラ23、第二ローラ24の転走面硬度をロックウェル硬さHRC58〜65とする。転走面硬度がロックウェル硬さHRC58より小さいと、これら転がり要素における疲労寿命に関して十分な耐久性を持たせることができず、また、転走面硬度がロックウェル硬さHRC65より大きくなると、亀裂敏感性が高まることや、じん性が低下すること等のために不適である。
【0028】前記サンローラ21、アウターリング22および第一ローラ23、第二ローラ24の転走面硬度をロックウェル硬さHRC58〜65とするためには、それら転がり要素の材質および熱処理を以下の通りに選定すればよい。
【0029】まず、第一の手法としては、サンローラ21、アウターリング22および第一ローラ23、第二ローラ24を、炭素含有量が0.95〜1.10%、クロム含有量が0.90〜1.60%である高炭素クロム鋼により成形し、焼入れ・焼戻しする。図3はJIS G 4805で規定されている軸受用高炭素クロム鋼の化学成分を示す。表中において、軸受用にはSUJ1はほとんど使用されておらず、主にSUJ2が使用されている。SUJ3とSUJ5は焼入れ性の向上のため、マンガン、モリブデンが配合されており、肉厚の大きい部材に使用される。SUJ4はその焼入れ性がSUJ2とSUJ3の中間である。この高炭素クロム鋼を所定形状に切削加工した後、熱処理(焼入れ・焼戻し)により硬化させる。例えば焼入れは800〜850℃に加熱して油中へ急冷する。さらに150〜180℃の温度で焼戻し処理を行うことでロックウェル硬さHRC60前後の硬さが得られる。
【0030】次に、第二の手法としては、サンローラ21、アウターリング22および第一ローラ23、第二ローラ24を、炭素含有量が0.5%以上の中・高炭素鋼により成形し、焼入れ・焼戻しする。図4は鋼の焼入れ硬さに及ぼす炭素量の影響を示し、炭素含有量が0.5%以上の中・高炭素鋼を熱処理(焼入れ・焼戻し)することにより、前述したロックウェル硬さHRC58〜65の所望の表面硬さが得られる。
【0031】さらに、第三の手法としては、サンローラ21、アウターリング22および第一ローラ23、第二ローラ24を、肌焼き鋼(クロム鋼、クロム−モリブデン鋼、ニッケル−クロム鋼およびニッケル−クロム−モリブデン鋼)により成形し、浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れする。JISで規格されているそれぞれの肌焼き鋼の化学成分を図5ないし図8の各表に示す。
【0032】炭素鋼に約1%のクロムを添加したものがクロム鋼であり、このうち、SCr415およびSCr420が浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れに用いられる(図5参照)。炭素鋼に約1%のクロムと約0.2〜0.4%のモリブデンを添加したものがクロム−モリブデン鋼である(図6参照)。炭素鋼に約1.2〜3.3%のニッケルと約0.8%のクロムを添加したものがニッケル−クロム鋼である。このうち、肌焼き鋼として使用されるのは、SNC415およびSNC815である(図7参照)。炭素鋼に約0.5〜4.3%のニッケル、約0.5〜0.9%のクロムおよび約0.2%のモリブデンを添加したものがニッケル−クロム−モリブデン鋼である(図8参照)。
【0033】以上のように本発明の多段ローラ変速機における転がり要素として、高炭クロム鋼、中・高炭素鋼または肌焼き鋼を成形したものを用い、焼入れ・焼戻しや浸炭焼入れあるいは浸炭窒化焼入れの熱処理を行うことにより、疲労破壊に対して十分な転走面硬度を確保することができる。また、接触部において十分な油膜が形成されずに金属同士が接触する場合でも、十分な耐摩耗性を持つことができる。
【0034】なお、前記実施形態では、二種類のローラを半径方向に多段に配置した多段ローラ変速機について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、三種類以上の多段ローラを備えた他の多段ローラ変速機や一種類のローラを介装した遊星ローラ変速機にも適用可能であるのは勿論である。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、遊星ローラ動力伝達装置における転がり要素として、高炭クロム鋼、中・高炭素鋼または肌焼き鋼を成形したものを用い、焼入れ・焼戻しあるいは浸炭焼入れまたは浸炭窒化焼入れの熱処理を行うことにより、疲労破壊に対して十分な転走面硬度を確保することができる。また、接触部において十分な油膜が形成されずに金属同士が接触する場合でも、十分な耐摩耗性を持つことができる。その結果、法線荷重の減少を抑制してトルク伝達容量の向上を図ることができ、転がり接触部における疲労寿命の向上を図ることができて遊星ローラ動力伝達装置の耐久性が大幅に向上する。
【出願人】 【識別番号】000102692
【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
【出願日】 平成11年11月17日(1999.11.17)
【代理人】 【識別番号】100064584
【弁理士】
【氏名又は名称】江原 省吾 (外3名)
【公開番号】 特開2001−141010(P2001−141010A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−327098