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【発明の名称】 オートテンショナ
【発明者】 【氏名】北村 昌之

【氏名】梶原 一寿

【氏名】山川 規

【要約】 【課題】摩擦部材やブッシュの経時的な摩耗に伴って、ベルト張力の調整機能が低下するのを防止することができるオートテンショナを提供する。

【解決手段】ブッシュ8と揺動アーム4の筒状部4cとの摺動面を、摩擦部材11に向かって漸次拡径するテーパ面とした。ブッシュ8及び摩擦部材11が経時的に摩耗することにより、揺動アーム4の筒状部4cが支持軸7dの先端側に移動しても、ブッシュ8と筒状部4cとの間に隙間が生じるのを抑制できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】外周面が基端側から先端に向かって漸次縮径する支持軸と、基端部の筒状部が前記支持軸にブッシュを介して揺動自在に嵌合された揺動アームと、この揺動アームの先端に回転自在に取り付けられたプーリと、前記揺動アームの基端部の一側面に対向させて前記支持軸に取り付けられた受け板と、前記揺動アームの基端部の一側面と受け板との間に介在した摩擦部材と、前記揺動アームの基端部を摩擦部材側に付勢し、かつ前記揺動アームを所定の揺動方向に付勢するばねとを備えるオートテンショナにおいて、前記ブッシュの外周面を摩擦部材に向かって漸次拡径するテーパ面とし、前記揺動アームの筒状部の内周面を前記ブッシュの外周面に合致するテーパ面としたことを特徴とするオートテンショナ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プーリに巻き掛けられたベルトに、所定の張力を付与するオートテンショナに関する。
【0002】
【従来の技術】例えば自動車に搭載されたエアコンディショナ用コンプレッサ等の機器に、エンジンからの動力を伝達するためには、一般にベルトが用いられている。このベルトの張力を一定に維持するとともに、ベルトの振動を吸収するためにオートテンショナが用いられている。図3は、従来のオートテンショナの一例を示す断面図である。図において、ベルト101が巻き掛けられるプーリ102は、揺動アーム103の揺動先端部103aを支軸として回転自在に保持されている。揺動アーム103の基端部には、鍔部103b及び筒状部103cが設けられている。この揺動アーム103は、支持部材104によって揺動自在に支持されている。この支持部材104は、ばね受け部104aと支持軸104bとを有するアルミニウムダイカスト成形品であり、エンジン側に固定されている。
【0003】前記揺動アーム103の筒状部103cは、支持部材104の支持軸104bに対して、合成樹脂製のブッシュ105を介して回動可能に嵌合されている。支持部材104のばね受け部104aと揺動アーム103の鍔部103bとの間には、捻りばね106が圧縮された状態で装填され、この捻りばね106は、揺動アーム103を所定の方向(ベルト101を張る方向)に付勢するように、捩り抵抗に抗して巻回方向に蓄勢した状態で係止されている。また、支持部材104の支持軸104bには、ディスク状の受け板108が、回り止めを施した状態で固定ねじ109により固定されている。この受け板108の片面には、合成樹脂からなる環状の摩擦部材107が取り付けられており、この摩擦部材107は、揺動アーム103の鍔部103bに圧接されている。前記の構成により、揺動アーム103は、摩擦部材107により揺動抵抗が付与された状態で、固定側である支持部材104に対して、ブッシュ105を介して所定範囲で揺動(回動)可能となる。
【0004】前記の構造のオートテンショナにおいて、支持部材104の支持軸104bは、その成形時に必要な抜き勾配のために、外周面が基端側から先端(図において右端)に向かって漸次縮径している。このため、ブッシュ105は支持軸104bの外周に合致するように、先端側が縮径されたテーパ筒状に形成されており、揺動アーム103の筒状部103cの内周は、前記ブッシュ105の外周に対応させて摩擦部材107側が縮径されたテーパ面になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記のように従来のオートテンショナは、ブッシュ105及び揺動アーム103の筒状部103cのそれぞれの摺動面が、摩擦部材107側が縮径されたテーパ面になっているので、その使用時において揺動アーム103が繰り返し揺動することにより摩擦部材107が経時的に摩耗し、これに追随して揺動アーム103の筒状部103cが支持軸104bの先端側に移動すると、揺動アーム103の筒状部103cとブッシュ105との間に大きな隙間が形成されることになる。また、この隙間は、ブッシュ105自体の摩耗によってさらに助長されることになる。この結果、プーリ102に巻き掛けられたベルト101からの荷重によって、揺動アーム103が支持軸104bの軸線に対して大きく傾き、ベルト101に対して適正な張力を付与できなくなったり、ベルト101の動力伝達機能が阻害されたりするという問題があった。また、このように揺動アーム103が傾くことによって、摩擦部材107に対して偏荷重が作用し、これにより摩擦部材107に偏摩耗が生じて、ベルト101の振動を減衰させる機能が低下するという問題もあった。この発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、摩擦部材やブッシュの経時的な摩耗に伴って、ベルト張力の調整機能が低下するのを防止することができるオートテンショナを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するためのこの発明のオートテンショナは、外周面が基端側から先端に向かって漸次縮径する支持軸と、基端部の筒状部が前記支持軸にブッシュを介して揺動自在に嵌合された揺動アームと、この揺動アームの先端に回転自在に取り付けられたプーリと、前記揺動アームの基端部の一側面に対向させて前記支持軸に取り付けられた受け板と、前記揺動アームの基端部の一側面と受け板との間に介在した摩擦部材と、前記揺動アームの基端部を摩擦部材側に付勢し、かつ前記揺動アームを所定の揺動方向に付勢するばねとを備えるオートテンショナにおいて、前記ブッシュの外周面を摩擦部材に向かって漸次拡径するテーパ面とし、前記揺動アームの筒状部の内周面を前記ブッシュの外周面に合致するテーパ面としたことを特徴とするものである。このように構成されたオートテンショナにおいては、ブッシュと揺動アームの筒状部との摺動面が摩擦部材に向かって漸次拡径するテーパ面となるので、ブッシュと摩擦部材が経時的に摩耗することにより、揺動アームの筒状部が支持軸の先端側に移動しても、ブッシュと揺動アームの筒状部との間に大きい隙間が生じるのを抑制することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】図1及び図2はそれぞれ、この発明の一実施形態を示すオートテンショナの断面図及び側面図である。図1において、ベルト1が巻き掛けられるプーリ2は、その中心部に玉軸受3が装着されている。この玉軸受3の内輪は、揺動アーム4の揺動先端部4aに外嵌され、皿ワッシャ5とボルト6とによって揺動先端部4aに固定されている。これによって、プーリ2は、揺動アーム4の揺動先端部4aを支軸として回転自在に保持されている。揺動アーム4は、揺動先端部4aと一体に、基端部としての鍔部4b及び筒状部4cを有しており、前記揺動先端部4aは、これら鍔部4b及び筒状部4cよりも図1において右側に突出している。
【0008】一方、支持部材7は、内部に空洞部7a、ばね受け部7b、及びねじ孔7cを有し、ねじ孔7cの周りを支持軸7dとするアルミニウムダイカスト成形品であり、側面には一対の取付部7e(図2参照)が突設されている。支持部材7は、前記取付部7eを挿通させたボルトを車体のシャシやエンジン等の固定部にねじ込むことにより、当該固定部に固定される。前記支持軸7dの外周面は、その成形後に切削等の後加工を施すことなく成形面で構成されている。このため、当該外周面は成形時に必要な抜き勾配(通常2〜4゜程度)によって、基端側から先端に向かって漸次縮径されたテーパ面になっている。
【0009】前記支持軸7dの外周には、ナイロン等の合成樹脂製のブッシュ8が装着されている。このブッシュ8の内周面は、支持軸7dの外周面に合致するように、支持軸7dの先端に向かって漸次縮径するテーパ面になっている。また、ブッシュ8の外周面は、支持軸7dの先端に向かって漸次拡径するテーパ面になっている。
【0010】揺動アーム4は、アルミニウムダイカスト成形品からなり、その基端部の筒状部4cが、ブッシュ8の外周に挿入されることにより、支持部材7に対して揺動自在となっている。前記筒状部4cの内周面についても、その成形後に切削等の後加工を施すことなく成形面で構成されており、その成形時に必要な抜き勾配によって、支持軸7dの先端に向かって漸次拡径するテーパ面になっている。このテーパ面は、前記ブッシュ8の外周面に合致させている。
【0011】支持部材7のばね受け部7bと揺動アーム4の鍔部4bとの間には、捻りばね9が装填されている。捻りばね9の一方の端部9aは支持部材7に係止され、他方の端部9bは揺動アーム4の下部に係止されている。捻りばね9は、端部9bが揺動アーム4を図2の時計回り方向に付勢するように、捩り抵抗に抗して巻回方向に蓄勢した状態で係止されている。従って、ベルト1には一定の張力が与えられている。
【0012】環状の摩擦部材11が取り付けられたディスク状の受け板12は、支持部材7の支持軸7dに対して回り止めを施して装着され、支持軸7dのねじ孔7cに螺着される固定ねじ13によって、又は支持軸7dの先端をかしめることによって固定されている。これにより、捻りばね9を圧縮した状態で摩擦部材11と揺動アーム4の鍔部4bとが圧接している。
【0013】前記の構成により、揺動アーム4は、固定側である支持部材7に対して、ブッシュ8を介して所定範囲で揺動(回動)可能となる。このとき、揺動中心軸は固定ねじ13の中心軸上にある。ベルト1に振動が生じると、揺動アーム4は、図2の時計回り方向及び反時計回り方向の揺動を繰り返す。揺動アーム4の揺動は、互いに圧接された鍔部4bと摩擦部材11とを擦り合わせる動作を伴うので、揺動アーム4には摩擦による揺動抵抗が付与される。従って、ベルト1の振動エネルギーは摩擦による熱エネルギーに変化して、ベルト1の振動が急速に減衰する。
【0014】以上のオートテンショナにおいて、摩擦部材11及びブッシュ8が経時的に摩耗すると、捻りばね9の付勢力により揺動アーム4の筒状部4cが支持軸7dの先端側に向かって徐々に移動する。この際、ブッシュ8の外周面は支持軸7dの先端に向かって漸次拡径するテーパ面であり、前記筒状部4cの内周面は支持軸7dの先端に向かって漸次拡径するテーパ面であるので、前記筒状部4cの移動に伴ってブッシュ8の外周面と筒状部4cの内周面との間に隙間が形成されるのを防止することができる。このため、揺動アーム4がベルト1からの荷重によって支持軸7dの軸線に対して大きく傾くのを防止することができる。この結果、ベルト1に対して長期間に亘って適正な張力を付与することができるとともに、揺動アーム4が傾くことに起因して摩擦部材11に偏摩耗が生じ、ベルト1の振動を減衰させる機能が低下するという従来の問題点を解消することができる。
【0015】なお、前記摩擦部材11及びブッシュ8は、両者の軸方向の摩耗量が略等しくなるように、その材質及び硬度を選択するのが好ましく、これにより、ブッシュ8の外周面と筒状部4cの内周面との間に隙間が形成されるのをより効果的に防止することができる。
【0016】
【発明の効果】以上のようにこの発明のオートテンショナによれば、ブッシュと摩擦部材が経時的に摩耗することにより、揺動アームが支持軸の先端側に移動しても、ブッシュと揺動アームの基端部との間に隙間が形成されるのを抑制することができるので、ベルト張力の調整機能を長期に亘って安定的に発揮させることができる。
【出願人】 【識別番号】000001247
【氏名又は名称】光洋精工株式会社
【出願日】 平成11年11月17日(1999.11.17)
【代理人】 【識別番号】100092705
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆文
【公開番号】 特開2001−141006(P2001−141006A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−327053