| 【発明の名称】 |
自動変速機の変速制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】滝沢 哲
【氏名】古閑 雅人
【氏名】赤沼 正俊
【氏名】渡辺 充
【氏名】島中 茂樹
【氏名】田中 寛泰
【氏名】高山 潤也
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| 【要約】 |
【課題】アクチュエータへの指令値が作動範囲を超えた場合に、フィードバック制御の積分分が不正に蓄積されるのを防いで、運転性の低下を抑制する。
【解決手段】運転状態に応じて無段変速機10の目標変速比を演算するとともに、実変速比と目標変速比の偏差を積分する積分手段を備えて、実際の変速比が目標変速比に一致するようにステップモータ50への指令値ASTPを制御するフィードバック制御手段は、ステップモータ50への指令値ASTPがステップモータ50の作動可能範囲を超えている間、積分手段の値を保持させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】アクチュエータに駆動される変速機構を介して変速比を連続的に変更する無段変速機と、運転状態に応じて前記無段変速機の目標変速比を演算するとともに、実変速比と目標変速比の偏差を積分する積分手段を備えて、実際の変速比が目標変速比に一致するように前記アクチュエータへの指令値を制御するフィードバック制御手段を備えた自動変速機の変速制御装置において、前記フィードバック制御手段は、前記アクチュエータへの指令値が、アクチュエータの作動可能範囲を超えている間、前記積分手段の値を保持させることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。 【請求項2】アクチュエータを介して締結力の制御を行う複数の摩擦締結要素を備えて、予め設定された変速段を選択する自動変速機と、運転状態に応じて前記自動変速機の目標変速段を演算するとともに、変速時には、締結中の第1の摩擦締結要素を徐々に解放する一方、解放していた第2の摩擦締結要素を徐々に締結し、かつ、実変速比が予め設定した目標変速比を経て目標変速段へ向けて変化するように、実変速比と目標変速比の偏差を積分する積分手段を備えて、実際の変速比が目標変速比に一致するように前記アクチュエータへの指令値を制御するフィードバック制御手段を備えた自動変速機の変速制御装置において、前記フィードバック制御手段は、前記アクチュエータへの指令値が、アクチュエータの作動可能範囲を超えている間、前記積分手段の値を保持させることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。 【請求項3】前記積分手段は、前記アクチュエータへの指令値が、アクチュエータの作動可能範囲を超えている間、実変速比と目標変速比の偏差の変化量を0に設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動変速機の変速制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両などに採用される自動変速機の変速制御装置の改良に関し、特に、PID制御等のフィードバック制御によって変速機構の制御を行うものに関する。 【0002】 【従来の技術】車両の自動変速機としては、変速比を連続的に変更可能なトロイダル型やVベルト式の無段変速機が知られており、例えば、特開平8−326887号公報、特開平9−14415号公報、特開平11−13877号公報等に開示されるものがある。 【0003】これらは、運転状態に応じて算出した目標変速比と実変速比の偏差に応じて、PIないしPID(比例、積分、微分)制御によるフィードバックを行って、アクチュエータを駆動し、変速比の変更を行っている。 【0004】アクチュエータの駆動は、目標変速比に応じた指令によって行うが、変速機構の寸法のバラツキや、アクチュエータの取り付け位置のバラツキ等によって、実変速比とアクチュエータの指令値が一致しない場合が多いが、目標変速比と実変速比の偏差に応じたフィードバック制御により、変速比の偏差を補償して実変速比を目標変速比に一致させている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来例では、PIないしPID(比例、積分、微分)制御によるフィードバックにより算出された目標変速比の変化に対して、変速比の変化量、換言すればアクチュエータへの指令値が、アクチュエータの作動範囲を超えてしまう場合がある。 【0006】このとき、目標変速比と実変速比の偏差が生じ、フィードバック制御による補償量は時間の経過に応じて大きくなるが、アクチュエータは作動範囲を超えることができないため偏差が解消されず、フィードバック制御の補償量のうち、積分分が不正に蓄積されてしまう。その後、変速が行われると、不正に蓄積された積分分によって、アクチュエータへの指令値に応答遅れが生じてしまい、運転性を低下させるという問題があった。 【0007】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、アクチュエータへの指令値が作動範囲を超えた場合に、フィードバック制御の積分分が不正に蓄積されるのを防いで、運転性の低下を抑制することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】第1の発明は、アクチュエータに駆動される変速機構を介して変速比を連続的に変更する無段変速機と、運転状態に応じて前記無段変速機の目標変速比を演算するとともに、実変速比と目標変速比の偏差を積分する積分手段を備えて、実際の変速比が目標変速比に一致するように前記アクチュエータへの指令値を制御するフィードバック制御手段を備えた自動変速機の変速制御装置において、前記フィードバック制御手段は、前記アクチュエータへの指令値が、アクチュエータの作動可能範囲を超えている間、前記積分手段の値を保持させる。 【0009】また、第2の発明は、アクチュエータを介して締結力の制御を行う複数の摩擦締結要素を備えて、予め設定された変速段を選択する自動変速機と、運転状態に応じて前記自動変速機の目標変速段を演算するとともに、変速時には、締結中の第1の摩擦締結要素を徐々に解放する一方、解放していた第2の摩擦締結要素を徐々に締結し、かつ、実変速比が予め設定した目標変速比を経て目標変速段へ向けて変化するように、実変速比と目標変速比の偏差を積分する積分手段を備えて、実際の変速比が目標変速比に一致するように前記アクチュエータへの指令値を制御するフィードバック制御手段を備えた自動変速機の変速制御装置において、前記フィードバック制御手段は、前記アクチュエータへの指令値が、アクチュエータの作動可能範囲を超えている間、前記積分手段の値を保持させる。 【0010】また、第3の発明は、前記第1または第2の発明において、前記積分手段は、前記アクチュエータへの指令値が、アクチュエータの作動可能範囲を超えている間、実変速比と目標変速比の偏差の変化量を0に設定する。 【0011】 【発明の効果】したがって、第1の発明は、目標変速比と実変速比に偏差が生じ、フィードバック制御によって補償された指令値が、アクチュエータの作動可能範囲を超えようとすると、フィードバック制御の積分分を保持するようにしたため、前記従来例のように、変速比偏差が継続する場合であっても、積分分が不正に蓄積されるのを防止し、後の変速で応答遅れ等の影響がでるのを確実に防いで、積分によるフィードバック制御を行う無段変速機を備えた車両の運転性を確保することができる。 【0012】また、第2の発明は、有段の自動変速機の変速時でも、現在の変速段から目標変速段へ向かう際に、実変速比と目標変速比の偏差を積分する積分手段を備えて、実際の変速比が目標変速比に一致するようにアクチュエータへの指令値をフィードバック制御で求めて円滑な変速を行っているが、目標変速比と実変速比に偏差が生じ、フィードバック制御によって補償された指令値が、アクチュエータの作動可能範囲を超えようとすると、フィードバック制御の積分分を保持するようにしたため、前記従来例のように、変速比偏差が継続する場合であっても、積分分が不正に蓄積されるのを防止し、後の変速で応答遅れ等の影響がでるのを確実に防いで、積分によるフィードバック制御を行う自動変速機を備えた車両の運転性を確保することができる。 【0013】また、第3の発明は、実変速比と目標変速比の偏差の変化量を0に設定することで、積分分の保持を確実に行うことができる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。 【0015】図1は、無段変速機にトロイダル型を用いた変速制御装置へ本発明を適用した場合の一例を示しており、トロイダル型の無段変速機10にはロックアップクラッチL/Uを備えたトルクコンバータ11を介してエンジン12が連結され、変速制御コントローラ20の指令値ASTPに応動するアクチュエータとしてのステップモータ50が、図示しない変速制御弁等の油圧制御装置を介して変速比を連続的に制御するものである。 【0016】変速制御コントローラ20は、運転者のアクセルペダル(図示せず)操作に応じたアクセル踏み込み量APSをアクセル開度センサ31から、運転者のシフト操作に応じた運転モードMODEをセレクトスイッチ37から、エンジン回転数Neをクランク角センサ34からそれぞれ読み込むとともに、トロイダル型無段変速機10の入力軸回転センサ32が検出した入力軸回転数Ntと、出力軸回転センサ33が検出した出力軸回転数No及び車速センサ30が検出した車速VSPをそれぞれ読み込んで、運転状態に応じた到達変速比DRatioを求め、この到達変速比DRatioに、所定の時定数を用いて演算した目標変速比Ratio0と実変速比Ratioの偏差に対して、PID(比例、積分、微分)制御によるフィードバック制御を行い、ステップモータ50の駆動により変速を行うものである。 【0017】また、変速制御コントローラ20は、フィードバック制御のゲインを決定するために、変速機構の油圧制御回路に油温センサ35と油圧センサ36を設けて、作動油の油温Tempとライン圧PLを読み込んでいる。 【0018】次に、トロイダル型無段変速機の変速機構は、図2、図3に示すように構成され、入出力ディスク5、6の対向面にはパワーローラ3、3が狭持され、パワーローラ3は偏心軸を介してトラニオン4に軸支されており、トラニオン4の下部に設けた軸部4Aは、油圧シリンダ1に連結されて軸方向へ駆動されるとともに、軸まわりで回動自在に支持されて、パワーローラ3の傾転角(≒変速比、以下同様)を連続的に変更する。 【0019】パワーローラ3を支持する複数のトラニオン4のうちの一つの軸部4Aには、図2、図3のように、前進用のプリセスカム2と後進用のプリセスカム2Rが一体的に配設され、前進用の変速制御弁7と後進用の変速制御弁7Rを平行して配置したものである。 【0020】トラニオン4の軸部4A下端には、軸方向変位及び軸まわり変位(傾転角)を前進用のフィードバックリンク54と後進用のフィードバックリンク154へそれぞれ伝達するためのプリセスカム2、2Rが一体的に形成されて、このプリセスカム2に形成された傾斜面20が、フィードバックリンク54、154に設けた係合部材55a、155aを案内する。 【0021】フィードバックリンク54は、L字状の部材で形成されており、一端にプリセスカム2と係合する係合部材55aを固設する一方、他端には変速リンク9の係合部90と係合するボール58が固設される。なお、係合部90は図2のX−Y平面内でほぼコの字状に形成され、内周でボール58と摺接する。 【0022】そして、フィードバックリンク54は、揺動軸60回りで揺動自在に支持されて、他端に設けたボール58を図中X軸方向へ変位させる。 【0023】このボール58は、車両の前進時に油圧シリンダ1への作動油の吸排を行う変速制御弁7と、ステップモータ50とを連結する変速リンク9の一端に形成された係合部90に係合する。こうして、プリセスカム2とフィードバックリンク54を主体にしてメカニカルフィードバック機構が構成される。 【0024】一方、変速リンク9の他端には、減速機構51を介してアクチュエータとしてのステップモータ50により軸方向へ駆動されるスライダ52に突設したピン52aと係合する係合部91が形成される。 【0025】このステップモータ50が、変速制御コントローラ20からの指令値ASTPに応じて図2の最Loから最Hiの作動範囲で駆動され、変速リンク9を駆動する。 【0026】さらに、変速リンク9の途中の所定の位置では、連結部材53のピン53aを介して、変速制御弁7の内周を摺動するスプール8のロッド80が連結される。 【0027】連結部材53と変速制御弁7を収装するバルブボディ70との間には、変速リンク9の係合部90、91とボール58やピン53aとのガタ、あるいはフィードバックリンク54のガタを排除してフィードバック制御を正確に行うため、連結部材53と平行してスプリング81が配設される。 【0028】変速制御弁7は、ライン圧PLを受ける供給圧ポート17Pと、油圧シリンダ1のHi側の油室1Aと連通するポート17Hと、Lo側の油室1Bと連通するポート17Lと、タンクと連通するドレーンポート7D、7Dを備え、スプール8の変位に応じて、油圧シリンダ1のHi側またはLo側の油室にライン圧PLを供給してトラニオン4を軸方向へ駆動する。 【0029】したがって、ステップモータ50が変速制御コントローラ20からの指令値に応じてスライダ52を伸縮駆動すると、変速リンク9の一端の変位に応じてスプール8が移動し、変速制御弁7の供給ポート7Pを出力ポート7Hまたは出力ポート7Lに連通させて、油圧シリンダ1の油室1Aまたは油室1Bに圧油を供給してトラニオン4を軸方向へ駆動して変速が行われる。 【0030】そして、ステップモータ50をLo側へ駆動した場合では、トラニオン4の軸方向変位に応じてパワーローラ3がLo側へ傾転すると、トラニオンの軸部4Aに取り付けられたプリセスカム2も図中Lo側へ回動して、図3に示した係合部材55aを下降させ、ボール58が変速リンク9を、図2のLo側へ駆動して、スプール8は中立位置(ポート7H、7Lの封止位置)へ復帰して変速が終了する。 【0031】一方、ステップモータ50をHi側へ駆動した場合では、パワーローラ3がHi側へ傾転すると、プリセスカム2がHi側へ回動し、同じく図3において、係合部材55aを上昇させ、ボール58と連結した変速リンク9は、図2のHi側へ駆動されて、スプール8は中立位置に復帰して変速が終了する。 【0032】次に、変速制御コントローラ20は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、車速VSPとアクセル踏み込み量APSに基づいて、最終的な目標値である到達変速比DRatioを求め、運転状態に応じた一次遅れの時定数により、所定の制御周期毎の目標値である目標変速比Ratio0を演算する。 【0033】そして、PID制御により目標変速比Ratio0のフィードバック補償を行って、ステップモータ50へ指令値ASTPを送出して変速を行う。このとき、ステップモータ50の駆動位置が、図2に示した所定の作動範囲(最Loから最Hiの区間)を超える場合には、積分分の新たな蓄積を禁止して、その後の、変速開始時に応答遅れが生じるのを防いでいる。 【0034】上記変速制御を、図4〜図8のフローチャートに示し、以下に詳述する。なお、これらのフローチャートは、所定時間毎、例えば10msec毎にそれぞれ実行されるもので、図4は変速制御のメインルーチンを、図5〜図8は各サブルーチンを示す。 【0035】まず、図4のステップS1では、アクセル踏み込み量APS、エンジン回転数Ne、入力軸回転数Nt、出力軸回転数No、車速VSP及び運転モードMODEを上記各センサの出力を運転状態として読み込んでから、車速VSPとアクセル踏み込み量APSに基づいて、図9に示す変速マップから、エンジン回転数Neの目標値である目標入力軸回転数DsrREVを求める。そして、目標入力軸回転数DsrREVを出力軸回転数Noで除して到達変速比DRatioを求める。 【0036】ステップS2では、この到達変速比DRtaioに、一次遅れの時定数を乗じて制御周期毎の目標値である目標変速比Ratio0を演算する。 【0037】次のステップS3では、後述する図5のように、エンジントルクTeから入力トルクTinを求め、目標変速比Ratio0の前回値よりトルクシフト補償変速比TSrtoを演算する。 【0038】このトルクシフト補償変速比TSrtoの演算は、図5に示すように、ステップS11で、検出したエンジン回転数Neとアクセル操作量APSより、予め設定した図示しないマップを用いてエンジントルクTeを求める。 【0039】次に、ステップS12では、エンジン回転数Neと入力軸回転数Ntより、トルクコンバータ11のトルク比tを、予め設定したマップないしテーブルに基づいて演算し、ステップS13では、ステップS11で求めたエンジントルクTeに、このトルク比tを乗じて無段変速機10の入力トルクTinを求める。なお、ロックアップクラッチL/Uの締結時では、トルク比t=1となる。 【0040】そして、ステップS14では、この入力トルクTinと目標変速比Ratio0の前回値より、図10に示すように、予め設定したマップに基づいて、トルクシフト補償変速比TSrtoを演算してサブルーチンを終了する。 【0041】次に、ステップS3では、上記ステップS2で求めた目標変速比Ratio0と、入力軸回転数Ntと出力軸回転数Noの比(Nt/No)から求めた実変速比Ratioの偏差と、運転状態に応じたフィードバックゲインに応じて、PID制御によってフィードバック補償変速比FBrtoを、図6のサブルーチンのように演算する。 【0042】フィードバック補償変速比FBrtoの演算は、図6において、まず、ステップS21で、変速比偏差RtoERRを求めてから、ステップS22において、PID制御に用いるフィードバックゲインを、運転状態に基づいて演算する。 【0043】まず、変速比偏差RtoERRの演算は、図7のサブルーチンに示すように、上記目標変速比Ratio0と実変速比Ratioを読み込んで(ステップS41、S42)、これらの差を変速比偏差RtoERRとし、RtoERR=Ratio0−Ratioより求める(ステップS43)。 【0044】そして、この変速比偏差RtoERRと、前回の変速比偏差RtoERR-1から、DRtoERR=RtoERR−RtoERR-1変速比偏差の差分DRtoERRを求めて(ステップS44)サブルーチンを終了する。 【0045】次に、ステップS22で行われるフィードバックゲインの演算は、図8のフローチャートに示すように行われ、まず、ステップS51で、入力軸回転数Ntと車速VSPを読み込んでから、ステップS52で、第1フィードバックゲインを、予め設定したテーブルSRFBT1に基づいて演算する。 【0046】この第1フィードバックゲインは、比例分fbpdata1、積分分fbidata1、微分分fbddata1から構成され、上記テーブルSRFBT1は、図示はしないが、入力軸回転数Ntと車速VSPの2次元マップで構成されており、検出した入力軸回転数Ntと車速VSPから第1フィードバックゲインの比例分、積分分、微分分をそれぞれ演算する。 【0047】そして、ステップS53では、無段変速機10の作動油の油温Tempとライン圧PLを読み込んでから、ステップS54で第2フィードバックゲインを、予め設定したテーブルSRFBT2に基づいて演算する。 【0048】この第2フィードバックゲインは、比例分fbpdata2、積分分fbidata2、微分分fbddata2から構成され、上記テーブルSRFBT2は、図示はしないが、油温Tempと油圧PLの2次元マップで構成されており、検出した油温Tempと油圧PLから第2フィードバックゲインの比例分、積分分、微分分をそれぞれ演算する。 【0049】こうして、第1及び第2フィードバックゲインを求めてから、ステップS55では、フィードバック補償変速比FBrtoを演算するためのフィードバックゲインを、第1フィードバックゲインと第2フィードバックゲインを乗じて演算する。 【0050】つまり、比例分のフィードバックゲインFbpDATAは、FbpDATA=fbpdata1×fbpdata2より求められ、積分分のフィードバックゲインFbiDATAは、FbiDATA=fbidata1×fbidata2となり、同様に、微分分のフィードバックゲインFbdDATAは、FbdDATA=fbddata1×fbddata2として演算し、図6へ復帰する。 【0051】次に、図6のステップS23では、車両が停車中であるか否かを、車速VSP=0または入力軸回転数Nt=0より判定し、停車中であればステップS24へ進んで、フィードバック補償変速比の積分分IntgRと、フィードバック補償変速比FBrtoを0にリセットして図4のメインルーチンへ復帰する。 【0052】一方、ステップS23で、走行中と判定された場合には、ステップS25へ進んで、ステップモータ50へ送出した前回の指令値ASTP-1が、予め設定した作動可能範囲を超えるか否かを判定する。 【0053】なお、この作動可能範囲は、例えば、図2に示したように、スライダ52に突設したピン52aが最Lo(最大変速比の位置)から最Hi(最小変速比の位置)であり、指令値ASTP-1がこの作動可能範囲を超えていれば、ステップS26へ進む一方、作動可能範囲以内であればステップS28へ進む。 【0054】ステップモータ50への指令値ASTP-1が、作動可能範囲を超えている場合のステップS26では、ステップモータ50への指令値ASTPが、上記作動可能範囲となるように規制するとともに、ステップS27で、フィードバック補償変速比の積分分IntgRの変化量DIntgR=0に規制して、前回の値を保持するように設定し、積分分IntgRが不正に蓄積されるのを防止してから、ステップS29へ進む。 【0055】一方、ステップモータ50への指令値ASTP-1が、作動可能範囲以内の場合のステップS28では、PID制御による通常のフィードバック補償を行うため、上記ステップS43で求めた変速比偏差RtoERRに、上記ステップS5で求めた積分分のフィードバックゲインFbiDATAを乗じて、フィードバック補償変速比の積分分の変化量DIntgRを演算する。 【0056】ステップS27またはS28で設定した積分分の変化量DIntgRに基づいて、ステップS29では、フィードバック補償変速比の積分分IntgRの演算を次式により行う。 【0057】IntgR=IntgR-1+DIntgRただし、IntgR-1は、前回の積分分である。 【0058】こうして、ステップS30では、上記フィードバックゲインの比例分FbpDATA、微分分FbdDATA、変速比偏差RtoERR、変速比偏差の差分DRtoERR、積分分IntgRより、次式からフィードバック補償変速比FBrtoを求める。 【0059】FBrto=RtoERR×FbpDATA+DRtoERR×FbdDATA+IntgRフィードバック補償変速比FBrtoを求めた後には、図4のメインルーチンのステップS5へ進む。 【0060】ステップS5では、ステップS2で求めた目標変速比Ratio0、ステップS3で求めるトルクシフト補償変速比TSrto、ステップS4で求めたフィードバック補償変速比FBrtoから、補償後目標変速比DsrRTOを、DsrRTO=Ratio0+TSrto+FBrtoとして演算する。 【0061】次に、ステップS6では、図示しない変速比とステップ数のマップから、ステップモータ50の目標ステップ数DsrSTPを演算する。 【0062】このとき、上記ステップS25の判定で、指令値ASTPが作動可能範囲を超えている場合には、目標ステップ数DsrSTPが、上記作動可能範囲となるように規制する。 【0063】ステップS7では、この目標ステップ数DsrSTPと、作動油の油温Tempに基づいて、ステップモータ50の駆動速度を決定する。なお、この駆動速度は、油温Tempが所定の範囲にない場合、例えば、低温時などでステップモータ50の応答速度が低下する状態では、駆動速度を抑制し、油温Tempが所定の範囲にあれば、目標ステップ数DsrSTP、すなわち、駆動量に応じて駆動速度を設定するものである。 【0064】そして、ステップS7では、駆動速度に応じてステップモータ50への指令値ASTPを演算してから、ステップS8でステップモータ50の駆動を行う。 【0065】以上の制御によって、目標変速比Ratio0と実変速比Ratioの偏差RtoERRが生じ、フィードバック制御によって補償された補償後目標変速比DsrRTOに応じたステップモータ50への指令値ASTPが、予め設定した作動可能範囲を超えようとすると、上記ステップS26で指令値に制限が加えられると同時に、ステップS27で、フィードバック補償変速比の積分分変化量DIntgRを0に規制することで、前回の積分分IntgRを保持するようにしたため、前記従来例のように、変速比偏差が継続する場合であっても、積分分IntgRが不正に蓄積されるのを防止し、後の変速で応答遅れ等の影響がでるのを確実に防いで、PID制御ないしPI制御によってフィードバック補償を行う無段変速機を備えた車両の運転性を確保することができるのである。 【0066】なお、上記実施形態では、無段変速機10として、トロイダル型を示したが、Vベルト式などで構成しても良い。 【0067】図11は、第2の実施形態を示し、有段変速機へ本発明を適用した場合の一例を示す。 【0068】遊星歯車機構とクラッチ、ブレーキ等の摩擦締結要素を用いた有段変速機の変速は、締結中の摩擦締結要素の油圧を低減する一方、解放中の摩擦締結要素の油圧を増大し、一時的に半締結状態とすることで変速比の移行を滑らかに行っている。 【0069】図11は、アクセル操作量APSをほぼ一定にして加速する際に、アップシフト(変速比の小側への変速)を行うオートアップ変速の一例を示し、所定の変速段(変速比ia)から、変速比が小側の変速段(変速比ib)へ向けてアップシフトを行う。 【0070】締結状態から解放するクラッチ(以下、解放側)の油圧指令値をP1、解放状態から締結するクラッチ(以下、締結側)の油圧指令値をP2とする。ただし、目標変速比(目標変速段)は、ia>ibである。 【0071】各クラッチは、変速制御コントローラからの油圧指令値P1、P2に応動するソレノイドなどのアクチュエータに制御された油圧の供給を受ける。 【0072】時刻t0からアップシフトを開始すると、解放側のクラッチ(第1摩擦締結要素)は、徐々に油圧指令値P1が漸減して、時刻t3でP1=0の解放状態となる。 【0073】一方、締結側のクラッチ(第2摩擦締結要素)は、時刻t0からt1の間に、油圧指令値P2が所定のプリチャージ圧Pcまで一旦上昇した後、リターンスプリング相当圧Ptまで減少し、締結力を発生する直前の状態を時刻t2まで維持する。 【0074】この時刻t2からt3にかけては、ランプ制御によって油圧指令値P2が所定の棚圧Ptまで漸増し、時刻t3以降では締結側クラッチによってトルクの伝達が行われる。 【0075】そして、時刻t3以降では、変速開始時の変速比iaと目標変速比ibの間で、予め設定された変速比i1、i2、i3を経て、アップシフト先の変速比ibまで2次曲線的に変速比が変化するようにフィードバック制御が行われる。 【0076】このフィードバック制御は、前記第1実施形態と同様に、PID制御ないしPI制御で行われ、入力軸回転数及び出力軸回転数を入力として、時刻t4で変速比i2、時刻t5で変速比i3、時刻t6で変速比ibとなるよう、油圧指令値P2にフィードバック補償を行っている。 【0077】すなわち、締結側クラッチの締結力を制御することで、入力軸回転数が各時刻の変速比に応じた値となるように制御して、変速比を滑らかに変化させている。このような、締結側クラッチの締結力を制御する油圧指令値P2が、アクチュエータであるソレノイドの動作可能範囲を超えた出力になると、前記従来例でも述べたように、PID制御の積分分が不正に蓄積されてしまい、その後の変速で応答遅れなどの不具合を生じてしまう。 【0078】そこで、締結側クラッチの締結力を制御することで、入力軸回転数が各時刻の変速比に応じた値となるようにPID制御を行う際には、前記第1実施形態と同様に、油圧指令値P2がソレノイドの動作可能範囲を超えると、積分分を保持することで、応答遅れなどが発生するのを防いで、変速制御の精度を高めることができるのである。 【0079】なお、上記図11では、アップシフトについて述べたが、ダウンシフトの際のも同様の制御が行われる。 【0080】また、上記実施形態では、フィードバック制御をPID制御で行ったが、PI制御で行うこともできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月5日(1999.11.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075513 【弁理士】 【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−132831(P2001−132831A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願平11−314691 |
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