| 【発明の名称】 |
車両用複式変速システム及びその制御方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】ジェームズ モーリス ウォーカー
|
| 【要約】 |
【課題】車両用複式変速システムにおいて、クラッチブレーキを必要とすることなく、容易にスタートギヤ比にシフトできるようにする。
【解決手段】手動操作されるシフトレバー31及びコントローラ48によってシフトされる主部16Aを有するコンピュータ補助された車両用スプリッタ型複式変速装置16において、スタートギヤ比へのシフトを制御する。スプリッタ部16Eには、3位置(L、H、N)アクチュエータ46が設けられて、主部のニュートラルへのシフト、マスタークラッチ14の離脱及び低車速(OS<REF<3MPH(4.8km/h))を検知したとき、スプリッタ部をスプリッタ−ニュートラル位置へ指示することにより、主軸アセンブリの慣性を減少させて、スタートギヤ比係合時のクラッチブレーキの必要性を減少させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力軸及び出力軸を有し、前記入力軸が、マスタ摩擦クラッチ(14)によってエンジン(12)に連結され、さらに、スプリッタ型補助部(16B)に直列に連結された主変速部(16A)を有し、該主変速部が、ジョークラッチによって係合可能な複数の選択可能なギヤ比を規定し、前記補助変速部(16E)が、前記主変速部(16A)と前記出力軸(20)との間に挿入されたスプリッタ型複式機械式変速機(16)と、前記スプリッタ部を選択的に第1スプリッタギヤ比、第2スプリッタギヤ比またはスプリッタ−ニュートラル位置の選択された1つにシフトさせるためのスプリッタアクチュエータ(46)と、入力信号(68)を受信し、これらを論理規則に従って処理して、指令出力信号(70)を前記スプリッタアクチュエータ(44)を含むシステムアクチュエータへ発信するコントローラであって(48,36)、前記論理規則が、車両速度、マスタクラッチの係脱状態、並びに、主変速部ギヤ比へのシフト及び主変速部ニュートラルへのシフトを検出するための規則を含み、車両速度が基準値より小く、前記マスタクラッチが離脱され、かつ、主変速部ニュートラルへのシフトされたことを検知したとき、前記スプリッタ部をスプリッタ−ニュートラル位置へシフトさせるコントローラ(48,36)とを備えていることを特徴とする車両用複式変速システム。 【請求項2】 前記論理規則は、さらに、適当なスプリッタ部係合ギヤ比を決定するための論理規則および主変速部ギヤ比の係合を検知したとき、前記適当なスプリッタ部係合ギヤ比へ係合を行なうための規則を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の車両用複式変速システム。 【請求項3】 前記主変速部は、シフトレバー(31)によって手動シフトされることを特徴とする請求項1に記載の車両用複式変速システム。 【請求項4】 前記基準値は、3MPH(4.8km/h)より小さいことを特徴とする請求項1に記載の車両用複式変速システム。 【請求項5】 前記基準値は、約0MPH(0km/h)であることを特徴とする請求項1に記載の車両用複式変速システム。 【請求項6】 前記論理規則は、さらに、エンジン速度を決定して、エンジン速度が0より大きいことが検知されることを条件として、前記スプリッタ部をスプリッタ−ニュートラルへシフトするための規則を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の車両用複式変速システム。 【請求項7】 入力軸及び出力軸を有し、前記入力軸が、マスタ摩擦クラッチ(14)によってエンジン(12)に連結され、さらに、スプリッタ型補助部(16B)に直列に連結された主変速部(16A)を有し、該主変速部が、ジョークラッチによって係合可能な複数の選択可能なギヤ比を規定し、前記補助変速部(16E)が、前記主変速部(16A)と前記出力軸(20)との間に挿入されたスプリッタ型複式機械式変速機(16)と、前記スプリッタ部を選択的に第1スプリッタギヤ比、第2スプリッタギヤ比またはスプリッタ−ニュートラル位置の選択された1つにシフトさせるためのスプリッタアクチュエータ(46)と、入力信号(68)を受信し、これらを論理規則に従って処理して、指令出力信号(70)を前記スプリッタアクチュエータ(44)を含むシステムアクチュエータへ発信するコントローラ(48,36)とを備えた車両用複式変速システム(10)の制御方法であって、車両速度、マスタクラッチの係脱状態、並びに、主変速部ギヤ比へのシフト及び主変速部ニュートラルへのシフトを検出し、車両速度が基準値より小さく、前記マスタクラッチが離脱され、かつ、主変速部ニュートラルへシフトされことを検知したとき、前記スプリッタ部をスプリッタ−ニュートラル位置へシフトさせることを特徴とする制御方法。 【請求項8】 さらに、適当なスプリッタ部係合ギヤ比を決定し、主変速部ギヤ比の係合を検知したとき、前記適当なスプリッタ部係合ギヤ比を係合させる段階を含んでいることを特徴とする請求項7に記載の制御方法。 【請求項9】 前記基準値は、3MPH(4.8km/h)より小さいことを特徴とする請求項7に記載の制御方法。 【請求項10】 前記基準値は、3MPH(4.8km/h)より小さいことを特徴とする請求項7に記載の制御方法。 【請求項11】 前記基準値は約0MPH(0km/h)であることを特徴とする請求項7に記載の制御方法。 【請求項12】 さらに、エンジン速度を決定して、エンジン速度が0より大きいことが検知されることを条件として、前記スプリッタ部をスプリッタニュートラルへシフトすることを特徴とする請求項7に記載の制御方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、スプリッタ型複式変速機を含むコントローラによって補助される車両用手動シフト変速システムに関する。このシステムは、非常に低い車両速度、マスタクラッチの離脱及び主部ニュートラルへのシフトを検知して、自動的にスプリッタ部をニュートラルにシフトして、クラッチブレーキを過度に摩耗させることなく、または、これを必要とすることなく、主部を目標スタートギヤ比に係合できるようにする。 【0002】より具体的には、本発明の好適な実施形態においては、大型車両用スプリッタ型またはスプリッタ−レンジ結合型複式同期変速装置に、クラッチブレーキを過度に摩耗させることなく、または、クラッチブレーキの使用を必要とすることなく、主部スタートギヤ比係合シフトを手動で実行するためのコントローラ及びアクチュエータが設けられる。 【0003】 【従来の技術】手動シフトされるレンジ型、スプリッタ型及び/又はレンジ/スプリッタ結合型の複式機械式変速装置は、大型車両において広く使用され、米国特許第4,754,665号、第5,272,929号、第5,370,013号、第5,930,561号、第5,546,823号、第5,609,062号及び第5,642,643号に参照されるように、従来技術において公知であり、これらの特許の開示内容は、参考として本説明に含まれる。一般的に、このような変速装置は、手動シフトレバーによって直接的又は遠隔的にシフトされる主部と、これに直列に連結される1又はそれ以上の補助部とを含む。この補助部は、一般的に1又はそれ以上のマスタスイッチの手動操作に応答して空気圧、油圧、機械及び/又は電気的に作動されるスレーブアクチュエータによってシフトされることが最も多い。このようなシステムのためのシフト制御は、米国特許第4,455,883号、第4,550,627号、第4,899,607号、第4,920,815号、第4,974,468号、第5,000,060号、第5,272,931号、第5,281,902号、第5,222,404号、第5,350,561号及び第5,737,696号に参照され、これらの特許の開示内容は参考として本説明に含まれる。 【0004】3位置スプリッタアクチュエータ及びこれを利用した変速システムは、米国特許第5,651,292号及び第5,661,998号に開示されており、これらの特許の開示内容は、参考として本説明に含まれる。 【0005】マイクロプロセッサベースの電子制御ユニット(ECU)が様々なシステム作動状態を表す入力信号を受信し、これらを論理規則に従って処理して、1又はそれ以上のシステムアクチュエータへ指令出力信号を発信する全自動又は一部自動化された変速システムは、米国特許第4,361,060号、第4,593,580号、第4,595,986号、第4,850,236号、第5,435,212号、第5,582,069号、第5,582,558号、第5,620,392号、第5,651,292号、第5,679,096号、第5,682,790号及び第5,735,771号に参照されるように従来技術において公知であり、これらの特許の開示内容は、参考として本説明に含まれる。 【0006】その開示内容が参考として本発明に含まれる米国特許第4,527,446号は、各シフト中に、主部が主部ニュートラルへ自動的にシフトされる全自動ブロック型変速装置を開示している。 【0007】スタートブレーキとも呼ばれるクラッチブレーキは、米国特許第5,713,443号に参照されるように、従来技術において公知であり、この特許の開示内容は参考として本説明に含まれる。クラッチブレーキは、車両が停止又はほぼ停止された状態でスタートギヤ比に係合できるようにマスタクラッチが完全に離脱されたとき、慣性及び/又は無作為のクラッチ結合によって生じる変速機入力軸の回転を減速するのに使用される。手動システムにおいて、クラッチブレーキの作動は、クラッチペダルのオーバートラベルによって、生じることが多い。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】クラッチブレーキの設定、組込み、メンテナンス及び/又は調整は、かなりの時間及び費用を伴う。クラッチブレーキは、より迅速なダイナミック(dynamic)アップシフトを可能にするアップシフトブレーキによって酷使され、その結果、クラッチブレーキが過度の摩耗及び/又は損傷を受ける。 【0009】従って、本発明の目的は、クラッチブレーキの必要性を最小限とし、又は、必要とすることなく、スプリッタ型複式機械式変速装置のスタートギヤ比への改善されたシフトを行なうECUによる補助を提供することである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明の好適な実施形態は、主部にジョークラッチが設けられて手動操作されるシフトレバーによってシフトされ、エンジンに燃料が供給され、及び/又は補助部が少なくとも一部がECUによって制御されたアクチュエータによってシフトされて改善されたシフトを行なうコンピュータで補助された複式機械式変速機を含む。このECUは、車両速度、マスタクラッチ状態、シフトレバーの位置及び/又は位置変化速度、係合ギヤ比、エンジン速度、出力軸速度及び/又はスロットルペダル位置等のシステム作動パラメータを表す検出及び/又は計算された入力信号を使用して、3位置スプリッタアクチュエータ、シフトアクチュエータ、及び、好ましくは、エンジンへの燃料供給及び/又はレンジシフトアクチュエータの作動を制御することによって、シフトを補助する。 【0011】本発明によれば、複数の入力信号を利用して、いつ車両が停止され、マスタクラッチが離脱され、又主変速部がニュートラル状態になったかを決定して、スプリッタ部を自動的にスプリッタ部ニュートラルへシフトする論理規則すなわちアルゴリズムを含む制御方法/システムの提供によって、従来技術の欠点が最小限となり、又は、解消される。これは、主部ジョークラッチによってクラッチ結合される回転要素の慣性を減少させることにより、クラッチブレーキの摩耗及び/又は必要性をを最小限にして、好ましくない車両運転者の疲労又は負担を生じさせることなく、主部を同期させずにスタートギヤ比に係合できるようにする。 【0012】本発明の制御を使用することにより、クラッチブレーキへの摩耗、酷使及び損傷を最小限とすることができ、または、クラッチブレーキの必要性を解消することができる。これは、初期コスト、組込み、メンテナンス及び/又は調整コストを節約する。 【0013】本発明の上記および他の目的及び利点は、添付図面に関係する好適な実施形態の以下の説明を読むことによって明らかになる。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明のシフト制御に特に好適に利用されるコンピュータによって補助された(すなわち、マイクロプロセッサベースのコントローラによって補助された)車両用複式機械式変速システム10が図1及び図2に参照される。 【0015】システム10は、トラクタ/セミトレーラ車両の通常のトラクタ等の大型車両に一般的に利用される形式のものであり、エンジン、一般的にはディーゼルエンジン12、クラッチハウジング内に収容されたマスタ摩擦クラッチ14、多段変速複式変速機16及び駆動車軸アセンブリ(図示せず)を含んでいる。変速機16は、自在継手によって車両ドライブシャフトに駆動連結される出力軸20を含み、駆動車軸を駆動する。変速機16は、シフトレバーアセンブリ31のシフトタワーが直接取付けられた変速機ハウジング内に収容されている。本システムは、キャブオーバーエンジン形式の車両に使用されるような遠隔取付けされたシフトレバーにも同様に適用される。 【0016】システム10には、手動シフトレバー及び手動クラッチペダルが例示されているが、これは、例示の目的に過ぎず、限定を意図するものではない。 【0017】一般的に、シフトレバーアセンブリ31は、上述の米国特許第4,455,883号、第4,920,815号及び第5,272,931号に記載され、従来技術において公知のように、下方へ、多重レールシフトバーハウジングアセンブリ又は単一シフト軸アセンブリ等のシフト機構の中に延びるシフトフィンガ(図示せず)のようなもを含んでいる。 【0018】変速機16のシフト機構は、補助部16Bに直列に連結された非同期主部16Aを含み、車両用変速システム10によって、半自動的に作動/補助される。主部16Aは、マスタクラッチ14によって車両エンジン12の駆動軸すなわちクランク軸28に作動連結される入力軸26と、通常駆動軸によって車両の駆動車輪に作動連結される補助部16Bの出力軸20を含んでいる。補助部16Bは、スプリッタ型であり、好ましくは、米国特許第4,754,665号及び第5,390,561号に示されるようなレンジ及びスプリッタ結合型である。 【0019】主変速部16から選択可能な変速ギヤ比は、所望の特定ギヤ比の係合を規定するシフトパターンに従ってシフトレバーを手動で位置決めすることによって自動で選択することができる。 【0020】本システムは、センサ30(エンジン回転速度(ES)検出用)、センサ32(入力軸回転速度(IS)検出用)及びセンサ34(出力軸回転速度(OS)検出用)を含み、それらを表す信号を供給する。公知のように、クラッチ14が結合され(すなわち、滑りが無く)、かつ、変速機が既知のギヤ比に係合されていれば、ES=IS=OS×GRである(米国特許第4,361,060号参照)。したがって、クラッチが結合されれば、エンジン速度と入力軸速度とは等しいと考えられる。このため、入力軸速度センサ32を省略して、センサ又はデータリンク(DL)を通して検出したエンジン速度(ES)を代りに使用することができる。また、公知のように、出力軸20の回転速度(OS)は、車両対地速度を表す。 【0021】エンジン12は、電子的に制御され、SAE J-1922、SAE J-1939、ISO 11898等のような工業規格プロトコルの下で作動する電子データリンク(DL)に接続された電子コントローラ36を含んでいる。スロットル位置(運転者要求)は、シフトポイント選択するため及び他の制御論理において望ましいパラメータである。別個のスロットル位置センサ(図示せず)を設けることができ、あるいは、スロットル位置(THL)は、データリンクから検出することができる。総エンジントルク(TEG)および基礎(base)エンジン摩擦トルク(TBEF)も、データリンク上で利用することができる。 【0022】手動クラッチペダル40は、マスタクラッチ14を制御し、センサ42は、クラッチの係合及び離脱状態を表す信号(CL)を供給する。クラッチの状態は、両信号が利用可能ならば、エンジン速度と入力軸速度とを比較することによって決定することもできる。レンジシフトアクチュエータ及びスプリッタアクチュエータ46を含む補助部アクチュエータは、ECU48からの指令出力信号に従ってレンジクラッチ及びスプリッタ部クラッチを作動させるために設けられている。 【0023】クラッチブレーキ27は、入力軸26の回転速度を選択的に減速させるのに利用することができる。クラッチブレーキは、一般的に、自動的またはクラッチペダルのオーバートラベルによって作動される比較的低容量の摩擦装置である。クラッチブレーキは、車両停止状態でスタートギヤ比に係合中に使用することが意図されている。 【0024】クラッチペダル40は、通常結合されたクラッチ14を結合及び離脱させるための通常範囲の行程40Aと、運転者がクラッチブレーキ27の作動を選択することができるオーバートラベル範囲の行程40Bを有している。機械式スイッチ40Cを使用して、クラッチペダル40のオーバートラベルを検知することができる。 【0025】本システムは、制御ユニットすなわちECU48、好ましくは、その開示内容が参考として本説明に含まれる米国特許第4,595,986号、第4,361,056号及び第5,335,566号に示される形式のマイクロプロセッサベースの制御ユニットを含み、入力信号68を受信し、これらを所定の論理規則に従って処理して、指令出力信号70をスプリッタ部アクチュエータ46、エンジンコントローラ36、レンジシフトアクチュエータ及び/又はディスプレイ等のシステムアクチュエータへ発信する。別個のシステムコントローラを利用することができ、あるいは、エンジンコントローラ、電子データリンクに接続されたECU36を利用することができる。 【0026】上述の米国特許第5,651,292号及び第5,661,998号に示されるように、スプリッタアクチュエータ46は、好ましくは、スプリッタ部ニュートラルを選択及び維持可能にする3位置装置である。代りに、スプリッタクラッチが中間の非係合位置にあるとき、スプリッタアクチュエータを停止することにより、「擬似的な」スプリッタニュートラルを得ることができる。 【0027】前進10速レンジ/スプリッタ結合型複式同期変速機16の構造が図2に概略的に示されている。この一般的な形式の変速機は、上述の米国特許第5,000,060号及び第5,390,561号に開示されている。 【0028】変速機16は、非同期主部16Aと、補助部14Bとを含み、これらの両方は、ハウジング内に収容されて、ハウジングは、クラッチハウジングによって形成することができる前端壁16C及び後端壁16Dを含むが、(本実施形態では)中間壁を含まない。 【0029】入力軸26は、それに共転するように固定された入力ギヤ76を支持している。主軸82は、同期主軸クラッチ84、86及び主軸スプリッタクラッチ88を支持している。クラッチ84および86をシフトするために、シフトフォーク(図示せず)が設けられ、シフトフォークは、シフトアセンブリに作用するシフトレバー31によって制御される。主軸82は、入力軸26及び出力軸20に対して独立して回転可能であり、好ましくは、これらに対して、径方向に自由に移動できるようになっている。 【0030】公知のように、クラッチ84及び86は、その中央位置から前後に移動可能で選択された主部ギヤ比を係合させる複動装置である。一例として、第1ジョークラッチ部材84は、クラッチ部材84の左端によって支持されたクラッチ歯84Bの第1配列によって形成され、このクラッチ部材84は、入力ギヤ76によって支持されたクラッチ歯84Cの第2配列に係合することができる。 【0031】主部16Aは、2つのほぼ同一の主部副軸軸アセンブリ94を含み、これらは、それぞれ、これに固定された副軸ギヤ98、100、102、104及び106を支持する主部副軸96を含んでいる。ギヤ対偶98、102、104及び106は、それぞれ、入力ギヤ76、主軸ギヤ108、110及び後退主軸ギヤ112に噛合うアイドラギヤ(図示せず)に常時噛合っている。PTOのようなものを駆動するために副軸ギヤ100が設けられている。 【0032】変速機16の補助部16Bは、スプリッタ部16E及びレンジ部16Fを含んでいる。補助部16Bは、2つのほぼ同一の補助部副軸アセンブリ114を含み、これらは、それぞれこれと共転する補助部副軸ギヤ118、120及び122の支持する補助部副軸116を有している。補助部副軸ギヤ対偶118、120及び122は、それぞれ、スプリッタギヤ124、スプリッタ/レンジギヤ126及びレンジギヤ128に常時噛合っている。スプリッタクラッチ88は、主軸82に取付けられて、ギヤ124及び126を選択的に主軸82にクラッチ結合させるのに対して、同期レンジクラッチ130は、出力軸20に取付けられて、ギヤ126及び128を選択的に出力軸20にクラッチ結合させる。 【0033】スプリッタジョークラッチ88は、両面非同期クラッチアセンブリであり、最右位置又は最左位置に選択的に位置決めされて、ギヤ126及びギヤ124をそれぞれ主軸82に結合させ、あるいは、中間位置に位置決めされて、ギヤ124及びギヤ126のいずれも主軸にクラッチ結合させない。スプリッタジョークラッチ88は、従来技術において公知のように、ボタン等の運転者選択スイッチに応答し、また、ECU48からの制御信号に応答するピストンアクチュエータ等の3位置アクチュエータによって制御されるシフトフォークによって軸方向に位置決めされる(米国特許第5,661,998号参照)。2位置同期レンジクラッチアセンブリ130は、ギヤ128及び126を出力軸20にそれぞれクラッチ結合させる最右位置及び最左位置に選択的に位置決めできる2位置クラッチである。クラッチアセンブリ130は、2位置ピストン装置によって作動されるシフトフォーク(図示せず)によって位置決めされる。いずれのピストンアクチュエータも、ボールスクリュ機構、ボールランプ機構等の機能的に同等のアクチュエータに置換えることができる。 【0034】スプリッタクラッチ88及びレンジクラッチ130の両方をその軸方向前後に選択的に位置決めすることによって、主軸の回転と出力軸の回転との4つの異なるギヤ比を得ることができる。従って、補助変速部16Bは、その入力(主軸82)と出力(出力軸20)との間に4つの選択可能な速度すなわち駆動ギヤ比を提供するレンジ及びスプリッタ結合型の3層補助部である。主部16Aは、後退及び潜在的に選択可能な前進4速を提供する。しかしながら、選択可能な主部前進ギヤ比の1つである主軸ギヤ110に関連する低速ギヤ比は、ハイレンジにおいては利用されない。このため、変速機16は、低速ギヤ比の分割の望ましさおよび実用性から、9速又は10速の選択可能な前進速度を提供する「(2+1)×(2×2)」型として正確に表される。 【0035】好ましくは、変速機16のスプリッタシフトは、通常はシフトレバーノブに配置されたボタンである運転者が操作するスプリッタボタン等による開始に応答して成されるのに対して、レンジクラッチシフトアセンブリの作動は、図2に示されるように、シフトパターンの中央と最右側区間との間のギヤシフトレバーの移動に自動的に応答する。代りに、スプリッタシフトを自動的に行なうこともできる(米国特許第5,435,212号参照)。この一般的な形式のレンジシフト装置は、従来技術において公知であり、上述の米国特許第3,429,202号、第4,455,883号、第4,561,325号及び第4,663,725号に参照することができる。 【0036】本発明の更なる変形例においては、シフトノブは、運転者がレバーシフトシーケンスの開始を意図していることを表示するセンサ又はシフト意図ボタンを含む。シフト意図信号を受けると、コントローラは、指令をエンジンコントローラへ発信して、燃料操作によってトルクロックを解放して、補助部アクチュエータが予め選択した所望のスプリッタシフトを実行できるようにする。これにより、運転者のスロットル操作又はクラッチの離脱を行なうことなく、係合ギヤ比からニュートラルへ容易なシフトを可能にする。クラッチの離脱を必要とせずにトルクロックを解放するためのエンジン操作は、上述の米国特許第4,850,236号及び第5,105,357号に詳細に記載されている。 【0037】中間壁を有さない複式変速機の実施形態において、本発明が示されているが、本発明は、上述の米国特許第4,754,665号、第5,193,410号及び第5,368,145号に記載された形式の変速機にも同様に適用することができる。 【0038】本発明の図示された実施形態に従って、また、上述の米国特許第5,651,292号により充分に説明されているように、スプリッタクラッチ88、スプリッタギヤ124及びスプリッタ/レンジギヤ126に設けられた相互に係合するクラッチ歯は、比較的大きなバックラッシュ(すなわち、ピッチ直径3.6in(91.44mm)のクラッチに対して約0.020〜0.060in(0.508〜1.524mm))を有し、このバックラッシュは、試行される殆どの全力下におけるスプリッタシフトを確実に完了させる。 【0039】クラッチ88は、ピストンアクチュエータアセンブリ44のピストンロッドに取付けられたシフトフォーク98によって移動される。アクチュエータアセンブリ44は、通常の3位置アクチュエータ(開示内容が参考として本説明に含まれる米国特許第5,054,591号参照)または米国特許第5,682,790号及び第5,661,998号(開示内容が参考として本説明に含まれる)に記載された形式のアクチュエータとすることができ、このアクチュエータは、選択的に加圧及び排出される室144のパルス幅変調を利用してシフトフォークの3つのスプリッタ位置を達成する。 【0040】好ましくは、スプリッタクラッチアクチュエータ44は、供給圧力のパルス幅変調等によって、発生させる推力を変化させることができる。離脱時及び/又は同期状態が確認されないとき、全力より小さい推力を使用してもよい。 【0041】シフトレバー又はそれによって制御されるその他のシフト機構の位置は、位置センサ装置によって検出することができる。様々な位置検出アセンブリが従来技術において公知であり、好ましい形式のものが米国特許第5,743,143号に記載されており、この特許は本出願の譲受人に譲渡され、その開示内容は本説明に含まれる。 【0042】本発明によれば、車両が停止し(例えば、車両速度が3MPH(4.8km/h)より小さいこと、あるいは0MPH(0km/h)であることを検知することによって決定することができる)、マスタクラッチが離脱され、かつ、主部がニュートラル状態にあることが検知されたとき、スプリッタ部は、スプリッタ−ニュートラルにシフトされて維持される。主部が適当なスタートギヤ比に係合された後、スプリッタ部は、適当なスプリッタギヤ比に係合される。 【0043】主部16A及びスプリッタ部16Bが両方ともニュートラル状態では、主軸は、入力軸26及び関連するギヤ(ギヤ76、98、102、104、106、108、110及び128)から離脱され、また、出力軸20及びこれに関連するギヤ(ギヤ118、120、122、124、126及び128)からも離脱される。 【0044】スプリッタ部が主軸82を車両負荷から離脱させない場合、クラッチには、副軸、ギヤ、入力軸及び特定のマスタクラッチ部品の慣性が作用する。この慣性は、約0.21 lb・ft/ (0.029kg・m/s2)になるのに対して、本発明では、主軸、主軸ワッシャ及び主軸に指示されたシンクロナイザ部分の慣性は、約0.007 lb・ft/s2(0.000966kg・m/s2)に過ぎない。 【0045】比較的低慣性の主軸では、目標スタートギヤ比に関連する主部ジョークラッチは、過度の摩耗、損傷または酷使を受けることなく、同期せずに係合することができる。従って、クラッチブレーキ27の必要性が最小限となり、または、解消される。 【0046】公知のように(その開示内容が参考として本発明に含まれる米国特許第5,052,535号参照)、噛合いクラッチが適切に係合(すなわち、充分にクラッチ歯が貫入)される(すなわち、充分にクラッチ歯が貫入)許容相対回転速度は、クラッチシステムの総有効バックラッシュの正比例関数(directly proportional function)である。 【0047】本発明に従って、また、その開示内容が参考として本説明に含まれる米国特許第5,651,292号にさらに充分に記載されているように、少なくともクラッチ86及びギヤ110に設けられた相互に係合するクラッチ歯は、比較的大きなバックラッシュとされ(すなわち、ピッチ直径3.6in(91.44mm)のクラッチに対して約0.020〜0.060in(0.508〜1.524mm))、これは、殆どの試行されるシフトの達成を確実にする。これにより、主変速部およびスプリッタ部のニュートラル状態では、主軸82は、入力軸26及びその関連するギヤ(ギヤ76、98、102、104、106、108、110及び112)、または、出力軸20及びその関連するギヤ(ギヤ118、120、122、124、126及び128)のいずれにも連結されないので、過酷なシフトを提供することがない。 【0048】主部が選択されたギヤ比に係合されたことを検知すると、コントローラ48は、スプリッタ部16Eを適当なギヤ比に係合させる。この適当なギヤ比は、軸速度、検出されたシフトレバー位置によって、及び/又は、アップ/ダウンを支持するスイッチからの信号及び/又はスプリッタ−ハイ/スプリッタ−ローシフト信号によって決定することができる。 【0049】本発明の制御のフローチャートは、図3に参照することができる。以上により、クラッチブレーキの必要性を減少又は解消したコンピュータ補助されたスプリッタ型複式機械式変速装置のための新規かつ改善されたシフト制御が提供されたことが分かる。 【0050】以上に本発明を特定の実施形態について説明してきたが、この説明は、好適な実施形態の例示に過ぎず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想の範囲から逸脱することなく、形状及び詳細に対して多くの変更が可能であることが分かる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】390033020 【氏名又は名称】イートン コーポレーション 【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION 【住所又は居所原語表記】Eaton Center,Cleveland,Ohio 44114,U.S.A.
|
| 【出願日】 |
平成12年10月12日(2000.10.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068618 【弁理士】 【氏名又は名称】萼 経夫 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−132830(P2001−132830A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願2000−312316(P2000−312316) |
|