| 【発明の名称】 |
ディファレンシャル装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】広田 功
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| 【要約】 |
【課題】コンパクトで、かつ適切な予圧力に調整・設定可能な予圧機構を備えたディファレンシャル装置の提供を目的とする。
【解決手段】デフケース3と、デフケース3内に収容された差動機構5と、差動機構5の差動作用を制限する多板クラッチ25と、多板クラッチ25に与える予圧力を調整可能な調整式予圧機構27とを備え、該予圧機構が、特性の異なる複数の皿ばねを組み合わせ予圧力特性を変更可能にされていることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの駆動力が入力されるデフケースと、前記デフケース内に収容され入力された駆動力を対向配置された一対の出力側サイドギヤに差動配分する差動機構と、前記デフケースと各サイドギヤとの間に配置され前記差動機構の差動作用を制限する摩擦クラッチと、前記摩擦クラッチに与える予圧力を調整可能な調整式予圧機構とを備えるディファレンシャル装置であって、前記予圧機構が、特性の異なる複数の弾性部材を組み合わせ予圧力特性を変更可能にされていることを特徴とするディファレンシャル装置。 【請求項2】 請求項1に記載のディファレンシャル装置であって、前記予圧機構が、前記対向配置された一対のサイドギヤの間に配置され、前記弾性部材が前記予圧機構の内部に配置された皿ばねであることを特徴とするディファレンシャル装置。 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のディファレンシャル装置であって、前記予圧機構は、前記両サイドギヤの回転軸心上に配置されたスラストブロックを備え、前記スラストブロックは一体化手段により一体化された複数部材からなることを特徴とするディファレンシャル装置。 【請求項4】 請求項3に記載のディファレンシャル装置であって、前記スラストブロックの一体化手段が前記複数部材に亘って回転軸心方向に装着された軸部材であることを特徴とするディファレンシャル装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両などに用いられるディファレンシャル装置の差動制限機構に関し、特にその予圧機構に関する。 【0002】 【従来の技術】従来のディファレンシャル装置の差動制限用クラッチに予圧を与える予圧機構には、皿ばねやコイルばねの付勢力を利用するものが一般に知られている。皿ばねは、配置に要するスペースが小さくて済み、そのわりには大きな付勢力を得ることができる点で有利である。皿ばねを用いる場合、一般に複数個の皿ばねを重ねて用いることが多い。そして、差動制限用クラッチの予圧力を複数段階に調整可能にすれば、予圧力を一層効果的に利用でき、車両の操縦性・安定性をより適切に調整することができる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、例えば、図6(b)に示すように2個の同じ皿ばねを互いに向きを変えて重ね合わせて用いて、予圧力を複数段階に選択、設定可能にして使用する場合に、同図(a)のような荷重/撓み特性になる。 【0004】図6(a)は、皿ばねの撓み(予圧力)を3段階に調整可能に構成した場合の例を示す。図におけるaは各切り替え段階間の皿ばねの撓み量を示す。また、P1,P2,P3は、それぞれ弱、中、強の各段階における予圧力(荷重)を示す。 【0005】図中の強段階(荷重P3)に設定したときには、荷重/撓み特性が、破線で示すコイルばねのような直線上のP3’から下方へずれて頭打ちの傾向を示す。各設定段階における荷重間の関係は図中示のような大小関係になる。そのため、上級の運転者にとっては差動制限力の効き方が所望通りに得られなくなる可能性がある。そこで、強段階(P3)の荷重を基準にして中、弱段階の荷重を設定すると、今度は、初心者ドライバにとっては差動制限作用が強すぎるようになる可能性がある。 【0006】そこで、コイルばね、またはばね定数の大きな皿ばねを用いて荷重差を一定に確保しようとすると、予圧機構が大型化するという問題が生じる。 【0007】また、各荷重段階間の撓み量を大きくして荷重差を一定に確保しようとすると、予圧機構が軸方向に大型化してしまうという問題が生じる。 【0008】そこで、本発明は、コンパクトで、かつ適切な予圧力に調整・設定可能な予圧機構を備えたディファレンシャル装置の提供を目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、エンジンの駆動力が入力されるデフケースと、前記デフケース内に収容され入力された駆動力を対向配置された一対の出力側サイドギヤに差動配分する差動機構と、前記デフケースと各サイドギヤとの間に配置され前記差動機構の差動作用を制限する摩擦クラッチと、前記摩擦クラッチに与える予圧力を調整可能な調整式予圧機構とを備えるディファレンシャル装置であって、前記予圧機構が、特性の異なる複数の弾性部材を組み合わせ予圧力特性を変更可能にされていることを特徴とする。 【0010】したがって、弾性部材の変形量を大きく変えることなく、例えば、所望の大きな予圧力を設定可能であり、レイアウト上有利となる。 【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディファレンシャル装置であって、前記予圧機構が、前記対向配置された一対のサイドギヤの間に配置され、前記弾性部材が前記予圧機構の内部に配置された皿ばねであることを特徴とする。 【0012】したがって、請求項1の発明と同等の作用・効果が得られると共に、皿ばねはコンパクトなわりに大きな予圧力が得られるので、予圧機構を一対のサイドギヤの間に配置でき、小型化が可能となる。 【0013】請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のディファレンシャル装置であって、前記予圧機構は、前記両サイドギヤの回転軸心上に配置されたスラストブロックを備え、前記スラストブロックは一体化手段により一体化された複数部材からなることを特徴とする。 【0014】したがって、請求項1または請求項2の発明と同等の作用・効果が得られると共に、スラストブロックが分割式であるので、例えばスラストブロックを左右から組み込んで一体化することにより、予圧機構をサブ組立することが可能となり、生産性が大幅に向上する。 【0015】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のディファレンシャル装置であって、前記スラストブロックの一体化手段が前記複数部材に亘って回転軸心方向に装着された軸部材であることを特徴とする。 【0016】したがって、請求項3の発明と同等の作用・効果が得られると共に、例えばピンなどによる一体化構成が可能で、構成が簡素化される分コストが低減される。 【0017】 【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1〜図5により説明する。図1は本実施形態の断面図である。図2〜図4は要部の説明図である。図5は皿ばねの特性を示す説明図である。 【0018】図1に示すように、このディファレンシャル装置1はベベルギヤ式ディファレンシャル装置である。デフケース3は、その左右端の中空ボス部3a,3bにて図外のデフキャリア内に回転可能に支持されている。デフキャリア内には所定量のオイルが充填されている。オイルはデフケース3の各開口3c,3d,3e,3f,3g,3h,3jを通ってデフケース3内に流出入して、内部の差動機構5を潤滑する。 【0019】図1示のように、デフケース3はケース本体7とカバー9とがボルト11により結合されてなる。デフケース3には図示省略のリンクギヤが固定され、エンジンからの駆動力はこのリンクギヤを介してデフケース3に入力される。デフケース3のケース本体7の内周に軸方向に延びて形成された溝7aにはピニオンシャフト13の外端部が係合され、この係合によりピニオンシャフト13はデフケース3と一体に回転する。 【0020】ピニオンシャフト13上にはピニオンギヤ15が回転可能に支持されている。ピニオンギヤ15は、ピニオンシャフト13を挟んで軸方向に対向配置された左右の出力側サイドギヤ17,19と噛み合っている。 【0021】ピニオンギヤ15の背面にはリング状の左右一対のプレッシャリング21,23が配置され、サイドギヤ17,19との噛み合いによりピニオンギヤ15が受けるスラスト力を受けると共に、互いの対向部にそれぞれ形成された図示省略のカム21a,23aがピニオンシャフト13外端部のカム13a(図2参照)とカム係合している。なお、プレッシャリング21,23の外周部も、ピニオンシャフト13と同じくデフケース3の軸方向の溝7aに係合され、デフケース3と一体に回転する。 【0022】各サイドギヤ17,19の中空穴には図示しない左右の車軸がスプライン連結される。そして、デフケース3と各サイドギヤ17,19の中空軸部17a,19aとの間に差動制限用の多板クラッチ25,25(摩擦クラッチ)がそれぞれ配置されている。各多板クラッチ25は、後述する調整式予圧機構27から常時予圧力を受けている。予圧力は弱、中、強の3段階に調整可能である。 【0023】上記の調整式予圧機構27は、つぎのように構成されている。 【0024】図1に示すように、ピニオンシャフト13の回転軸心側端には回転軸に沿って延びる中空のボス部13bが形成されている。このボス部13b内に予圧機構27が配置されている。また、予圧機構27の回転軸方向の両端は、左右のサイドギヤ17,19の対向面に当接している。 【0025】ピニオンシャフト13のボス部13bの各端部と各サイドギヤ17,19とに挟まれて、それぞれリング状のプレッシャプレート31,32が後述するスラストブロック43の軸上に配置されている。各プレッシャプレート31,32は、後述する皿ばね33,34(弾性部材)の付勢力により押圧されて、その外周フランジの外側面が、上述のように各サイドギヤ17,19の対向面に当接している。 【0026】図2,図3は、予圧機構27の構成の詳細を示す説明図である。図2に示すように、 予圧機構27の軸心部には、軸方向にT字形のブロックハーフ35,37が、互いの軸部同士を当接して配置されている。両ブロックハーフ35,37は、両軸心穴に装着されたスプリングピン41(軸部材)により一体化され、スラストブロック43を構成している。 【0027】ピニオンシャフト13のボス部13bの内周の軸方向ほぼ中央部には軸心側へ突き出した壁部が設けられ、この壁部を周方向に2等分して軸心に対して対称に2つの半円状の凹溝13cが軸方向に延びて形成されている。そして、この壁部の内周にカムプレート49が嵌合されている。 【0028】カムプレート49の外周には、上記壁部の凹溝13cに対応して凹溝49aが設けられ、両凹溝13c,49aに跨ってはめ込まれた回り止めピン51により、カムプレート49はボス部13bと一体に回転すると共に、軸方向には移動可能にされている。 【0029】また、カムプレート49の右側面と右端部のプレッシャプレート32との間に2枚の皿ばね33,34とワッシャ36が配置されている。皿ばね33,34は板厚が異なり、互いに向きを変えて配置されている(図5(b)参照)。 【0030】一方、カムプレート49の軸心側は、図3に示すような変形楕円穴49bがくり抜かれて形成され、一対の円弧部がブロックハーフ35の軸部に嵌合している。また、楕円穴49bの長径側には、右端部のプレッシャプレート32の軸心側円筒部32aの延長部32bが内挿されている。これにより、プレッシャプレート32はボス部13b、すなわちピニオンシャフト13と一体的に回転する。 【0031】また、カムプレート49の左側面はカム面であり、図3に示すように、放射状に3個一組のカム溝53が周方向等分に二組形成されている。そして、図4(図3のA−A矢視図)に示すように、カム溝53は溝深さの浅い溝53a、中の溝53b、深い溝53cの順に配置されている。 【0032】カムプレート49のカム溝53に対向してプレッシャプレート31がスラストブロック43上に嵌合されている。プレッシャプレート31の右側面には円周を2等分して軸心に対して対称に2つの凸カム31aが形成されている。凸カム31aは上記カムプレート49のカム溝53の3個の溝53a,53b,53cのいずれかと選択係合される。このとき、軸心に対して対称に配置された2個の凸カム31aがカムプレート49を平均的に押圧するので、皿ばねは全面的に均等に押圧される。また、プレッシャプレート31はカムプレート49との係合により、ピニオンシャフト13と一体的に回転する。 【0033】プレッシャプレート31の軸心側のボス部31bは、プレッシャプレート31を回動させる操作用のソケットレンチが係合可能に形成されている。プレッシャプレート31の外周フランジ部の外側面は、上述のように左のサイドギヤ17の対向端面に当接しているので、回動操作により凸カム31aの係合相手のカム溝深さが変わるに伴って皿ばね33,34を撓ませる量が変わる。 【0034】プレッシャプレート31の凸カム31aが、例えばカムプレート49のカム溝53の浅い溝53aに係合したとき(皿ばねの撓みが最大のとき)に、両端のプレッシャプレート31,32に所定の予圧力が設定されるように、皿ばね33,34の荷重/撓み特性を選定する。 【0035】図5(a)は、皿ばね33,34の荷重/撓み特性の一例を示す。縦軸は荷重(予圧力)を示し、横軸は撓みを示す。図5(b)は凸カム31aが各カム溝53c,53b,53aに係合したときの皿ばね33,34の撓み量δ1,δ2,δ3を示す。皿ばね33の板厚が皿ばね34のそれよりも厚いので,両ばねのばね定数k1,k2は図示の関係になる。図5(a)示のように、凸カム31aが各カム溝53c,53b,53aに係合したときの荷重(予圧力)はp1,p2,p3になり、各カム係合位置間の荷重差は図示のようになり、荷重p3は所望の値を満たし得るものとなり、予圧力は左右のプレッシャプレート31,32を介して左右のクラッチ25を押圧し、締結させる。 【0036】スラストブロック43両端の各頭部35b,37bの首下には、予圧機構27の皿ばね33,34が撓まない状態の時に両プレッシャプレート31,32との間に軸方向のガタを有している。したがって、組立時には、予圧機構27をピニオンシャフト13のボス部13b内に組み込み、両ブロックハーフ35,37の軸部を突き合わせて、軸心穴へスプリングピン41を装着した状態でピニオンシャフト13と共にデフケース3内に組み込む。スプリングピン41の装着後に両ブロックハーフ35,37を引き離そうとする力が作用することはない。 【0037】なお、上記カムプレート49の回り止め部材としては、上記の回り止めピン51の代わりにキーまたはスプラインを用いる構成にしてもよい。 【0038】なお、予圧力を与える上記皿ばね33,34は、皿ばねに限定されずにコイルばねなどを用いてもよい。 【0039】つぎに、このディファレンシャル装置1の作用と予圧力の調整方法について説明する。 【0040】左右の出力軸間に駆動抵抗差がないときには差動機構5はデフケース3と共に一体的に回転する。このとき、差動制限用の各クラッチ25は、予圧機構27により押圧力(予圧力)を常時受けて締結されている。これに加えて、クラッチ25は、ピニオンシャフト13とプレッシャリング21,23とのカム係合による押圧力をプレッシャリング21,23から受けると共に、ピニオンギヤ15との噛み合いによりサイドギヤ17,19が受けるスラスト力をもプレッシャリング21,23を介して受けている。 【0041】左右の出力軸間に駆動抵抗差が生じると、差動機構5により左右の出力軸は差動回転を許容されるが、同時にクラッチ25の上記締結力がその差動を制限するように作用する。 【0042】車載状態にあるディファレンシャル装置1のクラッチ25の予圧力を調整するに当たっては、左のサイドギヤ17に連結されている車軸を引き抜いて行う。車軸を引き抜くと、プレッシャプレート31の軸心側のボス部31bを視認することができる。そこで、サイドギヤ17の中空穴からソケットレンチを挿入して、プレッシャプレート31を回す。 【0043】このとき、プレッシャプレート31の凸カム31aをカムプレート49の浅い溝53a、中の溝53b、深い溝53cのうちのいずれか所望の溝に係合させることにより、予圧力が変更設定される。 【0044】例えば、差動制限力の効きを強くしたい場合には,凸カム31aをカムプレート49の浅い溝53aに係合させることにより、予め定められた大きな予圧力(p3)に設定でき、所望の操縦性・安定性が得られる。 【0045】そして、予圧力の変更設定後のデフケース3の回転時には、カムプレート49とプレッシャプレート31,32はピニオンシャフト13の中空ボス部13bと一体に回転する。 【0046】こうして、本実施形態によれば、皿ばね33,34の組み合わせ、およびサイドギヤ17の中空穴からのカム係合の変更調整が可能であるので、予圧力を大きく設定することも容易に可能になる。 【0047】また、スラストブロック43がブロックハーフ35,37を突き合わせて、スプリングピン51で結合しているので、予圧機構27の構成が成立し、組み込みが非常に容易になる。同時に、スラストブロック43は、左右の車軸の内側への移動を抑止する機能を兼ねることができる。 【0048】さらに、皿ばね33,34が、プレッシャプレート31の2個の凸カム31aにより偏りなく押圧されるので、安定した予圧作用が得られる。 【0049】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、弾性部材の変形量を大きく変えることなく、例えば、所望の大きな予圧力を設定可能であり、レイアウト上有利となる。 【0050】請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明と同等の効果が得られると共に、皿ばねはコンパクトなわりに大きな予圧力が得られるので、予圧機構を一対のサイドギヤの間に配置でき、小型化が可能となる。 【0051】請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2の発明と同等の効果が得られると共に、スラストブロックが分割式であるので、例えばスラストブロックを左右から組み込んで一体化することにより、予圧機構をサブ組立することが可能となり、生産性が大幅に向上する。 【0052】請求項4に記載の発明によれば、請求項3の発明と同等の効果が得られると共に、例えばピンなどによる一体化構成が可能で、構成が簡素化される分コストが低減される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000225050 【氏名又は名称】栃木富士産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月5日(1999.11.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083806 【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−132820(P2001−132820A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願平11−316021 |
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