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【発明の名称】 変速比無限大無段変速機
【発明者】 【氏名】平野 弘之

【氏名】東島 尚秋

【氏名】川島 啓一

【要約】 【課題】ユニット出力軸の各回転要素の軸方向位置を容易かつ正確に位置決めを行うことを目的とする。

【解決手段】ユニット出力軸6は、各回転要素を端部6A側から挿通する一方他端側で係止し、クラッチへ圧油を供給するとともにケーシング14内周に締結されるオイルリテーナ60を端部6A側より挿通して、複列のベアリングユニット38は一方の外輪37Aがオイルリテーナ60と当接可能に配設され、この内輪37Bと、ユニット出力軸6に形成した段部6Dとの間には、オイルリテーナ60とユニット出力軸6の軸方向位置関係を調整可能なスペーサ70が介装される一方、ベアリングユニット38の外輪36Aとカバー18との間にはプリロードを調整可能なスペーサ71を介装する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ユニット入力軸にそれぞれ連結された無段変速機及び一定変速機と、ユニット出力軸に配設されるとともに、無段変速機の出力軸、一定変速機の出力軸及びユニット出力軸のいずれかひとつにそれぞれ連結されるサンギヤ、キャリヤ及びリングギアと、からなる遊星歯車機構と、前記ユニット入力軸から変速機出力部に至る伝達経路の途中に介装された動力循環モードクラッチと、前記遊星歯車機構のサンギア、キャリア、リングギアのうちの2つの要素の間に介装された直結モードクラッチと、前記ユニット入力軸及びユニット出力軸を収装するケーシングと、前記ケーシングに貫通形成されてユニット出力軸の一端側を挿通する支持穴と、この支持穴に収装されてユニット出力軸の一端を軸支する複列ベアリングと、この複列ベアリングをユニット出力軸の一端に締結する締結手段と、前記支持穴を封止するカバーとを備えた変速比無限大無段変速機において、前記ユニット出力軸は、少なくとも前記無段変速機出力軸、一定変速機出力軸及び遊星歯車機構からなる回転要素を前記一端側から挿通して他端側で係止し、前記ケーシング内周に締結される締結部材を前記一端側より挿通して、前記回転要素より前記一端側に位置させ、前記複列ベアリングのうち前記他端側に位置する方の外輪が、該外輪よりも前記他端側に位置する前記締結部材と当接可能に配設され、該外輪と組になる内輪と、該内輪よりも前記他端側の位置でユニット出力軸に形成した段部との間には、前記締結部材とユニット出力軸の軸方向位置関係を調整可能な第1のスペーサが介装される一方、前記複列ベアリングのうち前記一端側に位置する方の外輪と前記カバーとの間には複列ベアリングのプリロードを調整可能な第2のスペーサを介装したことを特徴とする変速比無限大無段変速機。
【請求項2】 前記第1のスペーサは、前記複列ベアリングに付与するプリロードがほぼ0となる軸方向寸法を備えたことを特徴とする請求項1に記載の変速比無限大無段変速機。
【請求項3】 前記第2のスペーサは、前記複列ベアリングに予め設定されたプリロードを付与する軸方向寸法を備えたことを特徴とする請求項1に記載の変速比無限大無段変速機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両などに採用される変速比無限大無段変速機の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から車両の変速機として、ベルト式やトロイダル型の無段変速機が知られており、このような無段変速機の変速領域をさらに拡大するために、無段変速機に一定変速機と遊星歯車機構を組み合わせて変速比を無限大まで制御可能とする変速比無限大無段変速機が知られており、例えば、本願出願人が提案した特開平9−210175号公報や10−220551号公報などがある。
【0003】これらは、エンジンに連結されるユニット入力軸に無段変速機と一定変速機(減速機)とを並列的に連結するとともに、これらの出力をユニット出力軸に配設した遊星歯車機構で結合したもので、無段変速機の出力側は無段変速機出力ギア列を介して遊星歯車機構のサンギアに、一定変速機の出力軸は動力循環モードクラッチを介して遊星歯車機構のキャリアにそれぞれ連結される。
【0004】また、サンギアと連結した無段変速機出力軸は、直結モードクラッチを介して変速比無限大無段変速機の出力軸であるユニット出力軸に結合される一方、遊星歯車機構のリングギアもユニット出力軸に結合される。
【0005】そして、ユニット出力軸には、直結モードクラッチ、遊星歯車機構、動力循環モードクラッチ、一定変速機の出力軸及び変速機出力ギアが同軸上に配設され、変速機出力ギアがディファレンシャルギアのファイナルギアに歯合して、駆動軸へトルクの伝達を行っている。
【0006】このような変速比無限大無段変速機では、動力循環モードクラッチを接続する一方、直結モードクラッチを遮断することにより、無段変速機と一定変速機の変速比の差に応じて、ユニット変速比(ユニット入力軸回転数/ユニット出力軸回転数)を負の値から正の値まで無限大(=ギアードニュートラルポイント)を含んで連続的に変速制御を行う動力循環モードと、動力循環モードクラッチを遮断する一方、直結モードクラッチを接続して無段変速機の変速比に応じて変速制御を行う直結モードを選択的に使用することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の変速比無限大無段変速機例では、駆動軸側と連結されるユニット出力軸に、変速機出力ギア、一定変速機の出力軸、動力循環モードクラッチ、遊星歯車機構、無段変速機出力軸、直結モードクラッチ等の回転要素が同軸上に配設されており、各回転要素間にはスラストベアリング等を介装して、相対回転を円滑に行うように構成されるため、各回転要素の軸方向位置を正確に位置決めする必要がある。
【0008】しかしながら、上記従来例では、ユニット出力軸の一方から各回転要素を順次挿通し、予めサブアッセンブリとしてからケーシングに組み付ける構成となっているため、各回転要素の軸方向位置、すなわち、スラストベアリング等の間隙をそれぞれ正確に調整することが難しく、これらの間隙が過小の場合には、各回転要素間の摺動抵抗が増大して動力伝達効率が低下し、一方、間隙が過大になるとガタが生じて、騒音の増大を引き起こすという問題があった。
【0009】そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ユニット出力軸の各回転要素の軸方向位置を容易かつ正確に位置決めを行うことを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、ユニット入力軸にそれぞれ連結された無段変速機及び一定変速機と、ユニット出力軸に配設されるとともに、無段変速機の出力軸、一定変速機の出力軸及びユニット出力軸のいずれかひとつにそれぞれ連結されるサンギヤ、キャリヤ及びリングギアと、からなる遊星歯車機構と、前記ユニット入力軸から変速機出力部に至る伝達経路の途中に介装された動力循環モードクラッチと、前記遊星歯車機構のサンギア、キャリア、リングギアのうちの2つの要素の間に介装された直結モードクラッチと、前記ユニット入力軸及びユニット出力軸を収装するケーシングと、前記ケーシングに貫通形成されてユニット出力軸の一端側を挿通する支持穴と、この支持穴に収装されてユニット出力軸の一端を軸支する複列ベアリングと、この複列ベアリングをユニット出力軸の一端に締結する締結手段と、前記支持穴を封止するカバーとを備えた変速比無限大無段変速機において、前記ユニット出力軸は、少なくとも前記無段変速機出力軸、一定変速機出力軸及び遊星歯車機構からなる回転要素を前記一端側から挿通して他端側で係止し、前記ケーシング内周に締結される締結部材を前記一端側より挿通して、前記回転要素より前記一端側に位置させ、前記複列ベアリングのうち前記他端側に位置する方の外輪が、該外輪よりも前記他端側に位置する前記締結部材と当接可能に配設され、該外輪と組になる内輪と、該内輪よりも前記他端側の位置でユニット出力軸に形成した段部との間には、前記締結部材とユニット出力軸の軸方向位置関係を調整可能な第1のスペーサが介装される一方、前記複列ベアリングのうち前記一端側に位置する方の外輪と前記カバーとの間には複列ベアリングのプリロードを調整可能な第2のスペーサを介装する。
【0011】また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記第1のスペーサは、前記複列ベアリングに付与するプリロードがほぼ0となる軸方向寸法を備える。
【0012】また、第3の発明は、前記第1の発明において、前記第2のスペーサは、前記複列ベアリングに予め設定されたプリロードを付与する軸方向寸法を備える。
【0013】
【発明の効果】第1の発明は、ユニット出力軸の一端側から各回転要素を挿通するとともに予め組み付けてサブアッセンブリとしてから、ケーシングへ組み込むことで、変速比無限大無段変速機の組み立てを行う際には、ユニット出力軸の一端側から、少なくとも無段変速機出力軸、遊星歯車機構、一定変速機出力軸、直結モードクラッチからなる回転要素と締結部材、複列ベアリングを順次挿通してから、締結手段によって複列ベアリングの内輪側をユニット出力軸に結合してサブアッセンブリとすることができる。このとき、ユニット出力軸に組み付けられる各回転要素の軸方向寸法誤差の合計等に応じて、第1スペーサの軸方向寸法を設定することにより、各回転要素間の間隙を予め設定した許容範囲内へ容易に収めることができ、前記従来例でも述べたように、各回転要素間の間隙が過小になって伝達効率が低下したり、過大になってガタが発生するのを防止して、各ユニット間でのバラツキを押さえることができる。
【0014】一方、サブアッセンブリとしたユニット出力軸を、ケーシングへ組みつける際には、複列ベアリングの外輪を支持穴内周へ係合させてから、カバーをケーシングへ締結する。このとき、カバーが、第2スペーサを押圧し、複列ベアリングの外輪を介してベアリングユニット全体にプリロードを付与し、第2スペーサの軸方向寸法に応じて、プリロードの調整を容易に行うことができる。
【0015】こうして、ユニット出力軸に組み付けられる各回転要素の間隙と、ユニット出力軸を支持する複列ベアリングのプリロードを、第1及び第2のスペーサによって独立して調整することが可能となって、変速比無限大無段変速機の品質の確保と生産性の向上を図ることができる。
【0016】また、第2の発明は、第1のスペーサが、締結部材側の内輪の端面と外輪の軸方向距離、換言すれば、ケーシングに締結される締結部材の端面と内輪との距離を決定し、第1のスペーサの軸方向寸法が複列ベアリングの諸元から決まる所定値よりも小さいと、ユニット出力軸をサブアッセンブリとした時点で外輪が締結部材を介して各回転要素を押圧してしまうため、第1スペーサの軸方向寸法を複列ベアリングに付与するプリロードがほぼ0となるように設定することで、各回転要素の間隙のみの調整を行うことができる。
【0017】また、第3の発明は、第2スペーサの軸方向寸法を調整することで、回転要素の間隙に影響を与えることなく、複列ベアリングのプリロードを調整することができる。
【0018】
【実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】図1〜図3は、トロイダル型無段変速機を用いた変速比無限大無段変速機に本発明を適用した構成した一例を示す。
【0020】図1、図2において、変速比無限大無段変速機は、エンジンのクランクシャフト13に連結されるユニット入力軸1a及びCVTシャフト1bに、変速比を連続的に変更可能なトロイダル型無段変速機2と、ギア3a及び一定変速機出力ギア3bから構成された一定変速機3(減速機)を並列的に連結するとともに、これらの出力軸4、3cをユニット出力軸6に同軸的に配設するとともに遊星歯車機構5で連結したもので、無段変速機2の出力軸4は遊星歯車機構5のサンギア5aに、一定変速機3の出力軸3cは動力循環モードクラッチ9を介して遊星歯車機構5のキャリア5bに連結され、キャリア5bと歯合するリングギア5cは、ユニット出力軸6に結合される。
【0021】サンギア5aと連結した無段変速機出力軸4は、スプロケット4a及びチェーン40を介して無段変速機2の出力スプロケット2aからトルクを受け、直結モードクラッチ10を介して変速比無限大無段変速機の出力軸であるユニット出力軸6に結合される。
【0022】ユニット出力軸6の図中右側の端部近傍には変速機出力ギア7(変速機出力部)が形成され、この変速機出力ギア7はディファレンシャルギア8のファイナルギア12と歯合し、ディファレンシャルギア8に結合する駆動軸11a、11bは、所定の総減速比でトルクが伝達される。
【0023】そして、ユニット出力軸6には、図2の右端から、変速機出力ギア7、一定変速機3の一定変速機出力ギア3b及び出力軸3cと、動力循環モードクラッチ9、遊星歯車機構5、無段変速機出力軸4、直結モードクラッチ10、オイルリテーナ60及び複列のテーパーローラベアリング36、37で構成されたベアリングユニット38が同軸上に配置される。
【0024】なお、オイルリテーナ60(締結部材)は、図2に示すように、ケーシング14に結合されるとともに、ケーシング14内の油路と連通する油路(図3の油路64)を備えて、ユニット出力軸6の内周へ圧油を供給するもので、ユニット出力軸6上の各クラッチの駆動や各部の潤滑は、オイルリテーナ60からの圧油によって行われる。
【0025】無段変速機2は、図1に示すように、2組の入力ディスク21、出力ディスク22で、パワーローラ20、20をそれぞれ挟持、押圧するダブルキャビティのハーフトロイダル型で構成され、一対の出力ディスク22の間に介装された出力スプロケット2aは、チェーン40を介してユニット入力軸1a、CVTシャフト1bと平行して配置されたユニット出力軸6の無段変速機出力軸4に形成したスプロケット4aと連結する。
【0026】また、ユニット入力軸1a及びCVTシャフト1bは、同軸的に配設されるとともに、ローディングカム装置23を介して回転方向でのみ結合しており、ユニット入力軸1aはエンジンのクランクシャフト13に結合されるとともに、一定変速機3のギア3aを設けており、CVTシャフト1bは2組の入力ディスク21、21に連結されて、ユニット入力軸1aからの入力トルクに応じてローディングカム装置23が発生した軸方向の押圧力によって、パワーローラ20、20を入出力ディスクの間で挟持、押圧する。
【0027】この変速比無限大無段変速機では、動力循環モードクラッチ9を解放する一方、直結モードクラッチ10を締結して無段変速機2の変速比に応じてトルクを伝達する直結モードと、動力循環モードクラッチ9を締結する一方、直結モードクラッチ10を解放することにより、無段変速機2と一定変速機3の変速比の差に応じて、変速比無限大無段変速機全体のユニット変速比(ユニット入力軸1aとユニット出力軸6の速度比)を負の値から正の値まで無限大を含んでほぼ連続的に制御を行う動力循環モードとを選択的に使用することができる。
【0028】ユニット入力軸1a及びCVTシャフト1bと、ユニット出力軸6及び駆動軸11a、11bはケーシング14の内周で平行に配置されるとともに、図1、図2に示すように、図中右側から変速機出力ギア7、ファイナルギア12と一定変速機3のギア3a及び一定変速機出力ギア3bが軸方向に位置をずらして配設される。
【0029】そして、一定変速機3の一定変速機出力ギア3bは環状に形成されて、一定変速機出力ギア3bの内周は、ユニット出力軸6及び変速機出力ギア7を挿通可能な内径に形成されており、この一定変速機出力ギア3bはボルトを介して一定変速機出力軸3cのフランジ部3dの端面に締結される。
【0030】図2に示すように、ユニット出力軸6には、図中左側の端部6Aから、一対のテーパローラベアリング36、37から構成されたベアリングユニット38、オイルリテーナ60、直結モードクラッチ10、スプロケット4a、遊星歯車機構5、動力循環モードクラッチ9、一定変速機3の出力軸3c及び一定変速機出力ギア3b、そして変速機出力ギア7が順次配設されて、予めアッセンブリとしてからケーシング14へ組み付けられる。
【0031】そして、ユニット出力軸6は、図2に示す左側の端部6A側と右側の端部6B側の両端を介してケーシング14に軸支される。
【0032】すなわち、ユニット出力軸6の右側の端部6B側にはラジアル荷重を支持するローラベアリング16が配設される一方、左側の端部6A側にはラジアル荷重とスラスト荷重を支持するテーパローラベアリング36、37からなるベアリングユニット38が配設される。
【0033】テーパローラベアリング37は、端部6A側へ向かうスラスト荷重を支持する一方、テーパローラベアリング36は端部6B側へ向かうスラスト荷重を支持し、また、これらテーパーローラベアリング36、37は、ユニット出力軸6に加わるラジアル荷重も支持する。
【0034】ここで、一定変速機3を構成するギア3a、一定変速機出力ギア3b、遊星歯車機構5の各ギア及び変速機出力ギア7と、ファイナルギア12はハスバ歯車で構成されており、これらハスバ歯車が発生するスラスト力を支持するために、ユニット出力軸6に組み付けられた各部品間には、次のような軸受が配設される。
【0035】図2に示すように、オイルリテーナ60はケーシング14内周に結合され、このオイルリテーナ60の図中右側の端面と、直結モードクラッチ10のクラッチドラム10aの内周側面との間にはスラスト荷重を支持するニードルベアリング30が介装される。なお、クラッチドラム10aは、内周側でユニット出力軸6とスプライン結合して、オイルリテーナ60に対して相対的に回転する。
【0036】このクラッチドラム10aと係合するハブ10bは、無段変速機出力軸4に結合したスプロケット4aに支持されており、無段変速機出力軸4の図中左側の端面と、クラッチドラム10aの内周側面との間には、カラー100を介してスラスト荷重を支持するニードルベアリング31が介装される。
【0037】なお、無段変速機出力軸4の図中右側には、遊星歯車機構5のサンギア5aが形成されており、無段変速機出力軸4は、内周に設けた軸受を介してユニット出力軸6に対して相対回転自在に支持される。
【0038】さらに、無段変速機出力軸4と結合したスプロケット4aの側面と、遊星歯車機構5のキャリア支持部材51との間には、スラスト力を支持するニードルベアリング32が配設される。
【0039】また、キャリア5bの図中右側の軸端と、遊星歯車機構5のリングギア5cとユニット出力軸6を結合するリング支持壁50の間にも、スラスト力を支持するニードルベアリング33が配設される。
【0040】キャリア支持部材51は、動力循環モードクラッチ9のハブ9bと結合して、ユニット出力軸6と相対回転自在に支持されており、遊星歯車機構5のリングギア5cとユニット出力軸6を結合するリング支持壁50とハブ9bから内周に向けて延設された壁部9cの間には、正または負のスラスト力を支持するニードルベアリング34が配設される。
【0041】また、図2において、壁部9cの右側の側面と、一定変速機出力軸3cの端面との間にもカラー101を介してスラスト力を支持するニードルベアリング35が介装される。
【0042】そして、一定変速機3の出力軸3cの図中右側の端部には、フランジ部3dが形成されて、このフランジ部3dを介して動力循環モードクラッチ9のクラッチドラム9aと結合するとともに、一定変速機出力ギア3bを締結しており、さらに、フランジ部3dの内周には、ユニット出力軸6との間に軸受17を介装して相対回転自在に軸支される。
【0043】したがって、出力軸3cに発生した図中右側へのスラスト荷重は、フランジ部3dを介して軸受17からユニット出力軸6に伝達され、端部6Aに設けたベアリングユニット38によって支持される。
【0044】また、サンギア5aに図中右方向のスラスト力が発生した場合、スプロケット4aの側面に当接したニードルベアリング32、キャリア支持部材51、ニードルベアリング33、リング支持壁50、ニードルベアリング34、壁部9c、ニードルベアリング35、カラー101、出力軸3c及び軸受17を介してユニット出力軸6に伝達されて、ベアリングユニット38のうちテーパローラベアリング37によって支持される。
【0045】一方、図中左側へのスラスト荷重で、遊星歯車機構5が発生するものは、各ニードルベアリング等からオイルリテーナ60を介してケーシング14で支持される。
【0046】例えば、リングギア5cに発生した図中左方向のスラスト力は、キャリア5bの軸端に設けたニードルベアリング33、キャリア支持部材51、ニードルベアリング32、スプロケット4a、無段変速機出力軸4、カラー100、ニードルベアリング31、クラッチドラム10a、ニードルベアリング30、カラー102及びオイルリテーナ60を介してケーシング14に支持される。
【0047】また、サンギア5aに発生した図中左方向のスラスト力は、無段変速機出力軸4、カラー100、ニードルベアリング31、クラッチドラム10a、ニードルベアリング30、カラー102及びオイルリテーナ60を介してケーシング14に支持される。
【0048】ユニット出力軸6は両端を軸支されており、図中右側となる変速機出力ギア7側の端部6Bが、軸受16を介してケーシング14に軸支される一方、図中左側の端部6Aはテーパーローラベアリング36、37を介してケーシング14に貫通形成した支持穴14Aで軸支される。
【0049】したがって、端部6A側では、一対のテーパーローラベアリング36、37によって、ユニット出力軸6に加わるスラスト荷重とラジアル荷重を同時に支持することができる。
【0050】ユニット出力軸6には、端部6A側からテーパーローラベアリング36、37、オイルリテーナ60(締結部材部材)、直結モードクラッチ10、ギア4a、遊星歯車機構5、動力循環モードクラッチ9、一定変速機3の出力軸3c、カウンタギア3b、そして変速機出力ギア7が順次配設される。
【0051】オイルリテーナ60は、図3に示すように、ユニット出力軸6を挿通する貫通孔を備えた環状のフランジ部60Aから端部6B側に突設された円筒状の油圧供給部60Bから構成されてユニット出力軸6を挿通しており、フランジ部30Aにはオイルリテーナ60を、ケーシング14の内周壁面14Bへ締結するためのネジ穴63が貫通形成される。
【0052】そして、ベアリングユニット38を支持する支持穴14Aの周縁には、オイルリテーナ60のネジ穴63と螺合するボルト81を挿通するためのボルト穴141が貫通形成される。なお、ボルト穴141にはボルト81の頭部を収容する座ぐり部が形成され、ボルト81の頭部は、後述のカバー18に覆われる。
【0053】図2、図3に示すように、支持穴14Aの開口部は、ボルト82によってケーシング14に締結されたカバー18によって封止される。
【0054】さらに、カバー18の内周に突設された円筒状の凸部18Aが、支持穴14A内周と係合するのに加え、この凸部18Aの端面が、環状のスペーサ70(第1スペーサ)を介して支持穴14Aの外側に面して配置されたテーパーローラベアリング36の外輪36Aを、オイルリテーナ60側へ向けて押圧する。
【0055】ここで、複列のテーパーローラベアリング36、37で構成されたベアリングユニット38は、図3に示すように、ユニット出力軸6の小径部6E外周に係合した内輪36B、37B同士を軸方向で相互に当接するとともに、外輪36A、37Aの外周を支持穴14A内周に係合させて、ケーシング14に支持される。
【0056】まず、ユニット出力軸6の端部6A側は、支持穴14Aと対向する小径部6Eとオイルリテーナ60内周を挿通する大径部6Fから構成されて、小径部6Eには端部6Aから所定の位置までネジ部6Cが形成される。
【0057】そして、オイルリテーナ60の背面60Cがケーシング14の内周面14Bと当接する位置の近傍には、小径部6Eと大径部6Fの境となる段部6Dが形成される。
【0058】小径部6Eに係合したベアリングユニット38は、オイルリテーナ60側にテーパーローラベアリング37を、端部6A側にテーパーローラベアリング36を配置するとともに、オイルリテーナ60側の内輪36Bと段部6Dとの間には、所定の軸方向寸法(以下、幅L1とするという)を備えた環状のスペーサ70が介装される。
【0059】一方、端部6A側のテーパーローラベアリング36の内輪36Bには、ネジ部6Cに螺合したロックナット80(締結手段)が当接し、ロックナット80が内輪36B、37Bをオイルリテーナ60側へ押圧することで、内輪37Bと当接したスペーサ70は段部6Dに係止され、一対の内輪36B、37Bの軸方向位置を決定する。
【0060】テーパーローラベアリング36、37の外輪36Aと37Aは、軸方向に所定の間隙を備えており、外輪37Bの端面がオイルリテーナ60の背面60Cに当接する一方、外輪36Aの端面は、所定の軸方向寸法(以下、幅L2とする)を備えた環状のスペーサ71(第2スペーサ)を介してカバー18の凸部18Aにより、オイルリテーナ60側へ押圧される。
【0061】ここで、図3に示すように、ロックナット80の締結によって、テーパーローラベアリング36、37の内輪36B、37Bが、スペーサ70を介して段部6Dに押圧されるとともに、外輪37Aはオイルリテーナ60の背面60Cに当接ないし押圧されてユニット出力軸6に組み付けられる。
【0062】このとき、スペーサ70の幅L1に応じて、オイルリテーナ60の背面60Cから内輪37Bの端面までの距離Laが決定される。
【0063】この距離Laが、テーパーローラベアリング37の寸法に応じて決まる基準値Lxのときに、テーパーローラベアリング37に生じるプリロードが0とすると、距離Laが基準値Lx未満であれば、テーパーローラベアリング37のプリロードが増大するとともに、ユニット出力軸6を図3の左側へ引き寄せ、ユニット出力軸6に組み付けられた各回転要素の間隙を縮小する。
【0064】一方、距離Laが基準値Lx以上であれば、テーパーローラベアリング37のプリロードは0となって、オイルリテーナ60の背面60Cと内輪37Bの端面の距離は拡大して、ユニット出力軸6に組み付けられた各回転要素の間隙を拡大する方向に、ユニット出力軸6とオイルリテーナ60の背面60Cの軸方向相対位置関係が変更される。換言すれば、ユニット出力軸6の段部6Dと、ケーシング14の内周面14Bとの軸方向位置関係を調整することができる。
【0065】したがって、スペーサ70の幅L1を、テーパーローラベアリング37のプリロードが0となる値、すなわち、距離Laが基準値Lx以上に設定することで、ユニット出力軸6に組み付けられた各回転要素の間隙のみを調整することができる。
【0066】ここでは、スペーサ70の幅L1を、テーパーローラベアリング37のプリロードがほぼ0、換言すれば、距離Laが基準値Lx以上となるように設定して、各回転要素間の間隙を調整する。
【0067】すなわち、ユニット出力軸6に組み付けられる回転要素の軸方向寸法誤差の合計に応じて、スペーサ70の幅L1を設定することにより、各回転要素間の間隙を予め設定した許容範囲内に収めることができ、前記従来例でも述べたように、各回転要素間の間隙が過小になって伝達効率が低下したり、過大になってガタが発生するのを防止して、各ユニット間でのバラツキを押さえることができる。
【0068】ユニット出力軸6に各回転要素を予め組み付けてサブアッセンブリとしてから、ケーシング14へ組み込む際には、ユニット出力軸6の変速機出力ギア7側へ順次、部品を挿通させる。
【0069】つまり、軸受17、一定変速機出力軸3c、動力循環モードクラッチ9、遊星歯車機構5、無段変速機出力軸4、直結モードクラッチ10、オイルリテーナ60及び各回転要素間のスラストベアリングを順次ユニット出力軸6へ挿通させてから、ユニット出力軸6の小径部6Eにスペーサ70、テーパーローラベアリング36、37の内輪36B、37Bを順次係合させる。そして、ロックナット80をユニット出力軸6のネジ部6Cに締結する。
【0070】この状態で、ユニット出力軸6は各回転要素を備えたサブアッセンブリとなり、ケーシング14へ組み付ければ、各回転要素間の間隙はスペーサ70の幅L1に応じた値に設定される。
【0071】次に、ユニット出力軸6のサブアッセンブリを、ケーシング14へ組み付ける際には、ベアリングユニット38の外輪36A、37Aをケーシング14の支持穴14A内周へ係合させてから、オイルリテーナ60のネジ穴63に、ボルト穴141を挿通したボルト81を締結し、オイルリテーナ60の背面60Cをケーシング14の内周面14Bに結合する。
【0072】そして、支持穴14Aの外側に面したテーパーローラベアリング36の外輪36Aにスペーサ71を当接させてから、カバー18をボルト82でケーシング14に締結する。
【0073】このとき、カバー18内周に突設した凸部18Aが、スペーサ71を押圧し、外輪36Aを介してベアリングユニット38全体を押圧することになり、図3に示すように、外輪36Aに当接するスペーサ71の幅L2に応じて、カバー18とケーシング14の端面との隙間Lbが決定され、この隙間Lbがベアリングユニット38の締め代、換言すれば、プリロードとなり、スペーサ71の幅L2に応じて決まる締め代Lbによって、ベアリングユニット38のプリロードを任意の値に調整することができる。
【0074】こうして、スペーサ70の幅L1を、テーパーローラベアリング37のプリロードがほぼ0となるように設定することで、ユニット出力軸6の一端から順次組み付けられる各回転要素及びスラストベアリングの隙間を、寸法誤差等に応じて任意に調整可能としながら、スペーサ71の幅L2に応じて、複列のテーパーローラベアリング36、37からなるベアリングユニット38のプリロードを任意に調整することが可能となって、ユニット出力軸6に組み付けられる各回転要素の軸方向位置と、ベアリングユニット38のプリロードをそれぞれ独立して調整し、それぞれの許容範囲内に収めることができ、ユニット出力軸6の摺動抵抗の増大やがたつきを抑制して、変速比無限大無段変速機の品質を確保することができる。
【0075】そして、スペーサ70の組み付け及び調整は、ケーシング14に組み込む以前のサブアッセンブリの段階で行うことができるため、作業を容易に行うことが可能となって、生産性を向上させることが可能となる。
【0076】なお、上記実施形態において、動力循環モードクラッチ9の配設位置をカウンタギア3bとキャリア5bの間に配設した一例を示したが、動力循環モードクラッチ9はユニット入力軸1aからユニット出力軸6の変速機出力ギア7までの間の任意の位置に配設することができ、例えば、リングギア5cからユニット出力軸6の間に配設したり、ユニット入力軸1aと一定変速機3のギア3aとの間に配設したり、あるいは、サンギア5aに連結された無段変速機出力軸4の途中に介装してもよく、これらの配設位置であっても上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0077】また、ベアリングユニット38として複列テーパーローラベアリング36、37を採用した場合を示したが、スラスト荷重を支持可能かつプリロードを調整可能なベアリングであればよく、例えば、複列アンギュラボールベアリングなどを用いても良い。
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成11年11月4日(1999.11.4)
【代理人】 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
【公開番号】 特開2001−132814(P2001−132814A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−313710