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【発明の名称】 変速機構
【発明者】 【氏名】小笠原 護

【要約】 【課題】原稿読取り装置において、原稿台原稿セット位置から光学系の方向に定速で送って走査を行ない、走査後、原稿台を原稿セット位置まで高速で戻すために、V字状溝の底に歯面を備えたドライブプーリに歯付きVベルトを懸装し、かつV字状溝の溝幅を変更する手段を設ける。

【解決手段】ドライブプーリ本体61にV字状溝64の一方の円錐面61aを形成し、V字状溝64の他方の円錐面63aを備えたスリーブ63をドライブプーリ本体61にその回転軸線S1に沿って移動可能に嵌着する。V字状溝64の底に、歯付きVベルト62の歯62aに噛合する歯面61bを形成し、スリーブ63を移動させることによって変速を行なう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外周面を繞るV字状溝を形成する互いに対向する一対の円錐面のうちの一方を周設して第1の回転軸線の周りで回転する第1の回転体と、前記一対の円錐面のうちの他方を周設して、前記第1の回転体の外周に相対回転不能に、かつ前記第1の回転軸線に沿って移動可能に同軸的に嵌着されたスリーブと、第2の回転軸線の周りで回転する第2の回転体と、前記V字状溝に係合する断面形状を有し、該V字状溝と、前記第2の回転体の外周面との間に懸装された無端ベルトと、前記スリーブを前記第1の回転軸線に沿って移動させる駆動手段と、を備えていることを特徴とする変速機構。
【請求項2】 前記無端ベルトがその内周面に歯を備えた歯付きVベルトよりなり、前記第1の回転体に、該第1の回転体が備えている前記V字状溝の一方の円錐面の底縁に連接して、前記歯付きVベルトの歯に噛合する歯面が周設され、前記第2の回転体の外周面に前記歯付きVベルトの歯に噛合する歯面が周設されていることを特徴とする請求項1記載の変速機構。
【請求項3】 前記第1の回転体および前記スリーブが、原稿を載置して移動可能な原稿台を備えた原稿読取り装置における原稿台駆動用モータの出力軸に連結されたドライブプーリを構成し、前記第2の回転体が、前記原稿台を移動させるための駆動軸に連結されたドリブンプーリを構成していることを特徴とする請求項1または2記載の変速機構。
【請求項4】 前記第1の回転体および前記スリーブが、原稿を走査させるキャリッジを備えたスキャナ装置における前記キャリッジの駆動用モータの出力軸に連結されたドライブプーリを構成し、前記第2の回転体が、前記キャリッジの駆動軸に連結されたドリブンプーリを構成していることを特徴とする請求項1または2記載の変速機構。
【請求項5】 前記第1の回転体および前記スリーブが、印刷版を載置して移動可能な定盤を備えた印刷版露光装置における前記定盤の駆動用モータの出力軸に連結されたドライブプーリを構成し、前記第2の回転体が、前記定盤の駆動軸に連結されたドリブンプーリを構成していることを特徴とする請求項1または2記載の変速機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は変速機構に関し、特に、無端ベルトを介した回転力伝達装置における変速機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】印刷用に使用される原稿読み取り装置は、例えば特開平9−321956号公報に開示されているように、原稿台に原稿をセットし、この原稿台を横方向に移動させて、原稿に線状に照明光を照射し、レンズ系を介してラインセンサ上に結像し、このラインセンサを順に走査して画像信号を読み取ると共に、前記原稿台の移動によって副走査を行なって原稿全体を読み取るようにしている。
【0003】また、コピー機等に使用されるスキャナ装置は、例えば特開平10−257251号公報に開示されているように、原稿をプラテンガラス上にセットし、光源およびミラーを備えたキャリッジと呼ばれる走査機構を横方向に移動させて原稿に光を照射し、反射光をミラーで捕らえてそれをレンズ等の光学系を経てCCDなどの光電変換素子に導き、画像データを得ている。
【0004】さらに、印刷に使用される印刷版自動露光装置は、例えば実開平5−29045号公報に開示されているように、印刷版を定盤にセットし、この定盤を横方向に移動させて印刷版にレーザービーム等を照射し、印刷版上に印刷可能な画像を形成するように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の特開平9−321956号公報に開示された原稿読取り装置において、走査は原稿セット位置から光学系の方向に原稿台を定速で送ることによって行なわれるが、一方方向にのみ走査が行なわれるため、走査後、原稿台を原稿セット位置まで戻す必要がある。
【0006】その場合、原稿台を原稿セット位置まで戻すときも、走査時と同一速度で原稿台を移動させたのでは、作業効率の点で望ましくない。また、原稿台を原稿セット位置まで戻すときは定速で移動させる必要はないものである。
【0007】また、上述の特開平10−257251号公報に開示されたスキャナ装置においても、走査後、キャリッジを待機位置まで戻す必要があるが、モータのトルクを考えると、高速でキャリッジを復帰させることが困難であり、作業効率を上げることができない。
【0008】さらに、上述の実開平5−29045号公報に開示された印刷版自動露光装置においても、走査後、定盤を待機位置まで戻す必要があるが、モータのトルクを考えると、高速で定盤を復帰させることが困難であり、作業効率を上げることができない。
【0009】このような事情に鑑み、本発明は、例えば上述した原稿読取り装置における原稿台移動用駆動部、スキャナ装置におけるキャリッジ移動用駆動部および印刷版自動露光装置における定盤移動用駆動部のような、走査時には移動体を初期位置から定速駆動し、走査後に移動体を初期位置に高速で戻すのが望ましい装置に適用するのに好適な変速機構を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による変速装置は、外周面を繞るV字状溝を形成する互いに対向する一対の円錐面のうちの一方を周設して第1の回転軸線の周りで回転する第1の回転体と、上記一対の円錐面のうちの他方を周設して、上記第1の回転体の外周に相対回転不能に、かつ上記第1の回転軸線に沿って移動可能に同軸的に嵌着されたスリーブと、第2の回転軸線の周りで回転する第2の回転体と、上記V字状溝に係合する断面形状を有し、このV字状溝と、上記前記第2の回転体の外周面との間に懸装された無端ベルトと、上記スリーブを上記第1の回転軸線に沿って移動させる駆動手段と、を備えていることを特徴とするものである。
【0011】その場合、上記無端ベルトをその内周面に歯を備えた歯付きVベルトとし、上記第1の回転体に、この第1の回転体が備えている上記V字状溝の一方の円錐面の底縁に連接して、上記歯付きVベルトの歯に噛合する歯面が周設され、上記第2の回転体の外周面に上記歯付きVベルトの歯に噛合する歯面が周設されていることが好ましい。
【0012】本発明による変速機構は、原稿を載置して移動可能な原稿台を備えた原稿読取り装置における原稿台移動用駆動部に適用することができ、その場合、原稿台駆動用モータの出力軸に連結されたドライブプーリが、上記第1の回転体および上記スリーブによって構成され、上記原稿台を移動させるための駆動軸に連結されたドリブンプーリが、上記第2の回転体によって構成される。
【0013】また、本発明による変速機構は、原稿を走査させるキャリッジを備えたスキャナ装置におけるキャリッジ移動用駆動部に適用することができ、その場合、上記キャリッジの駆動用モータの出力軸に連結されたドライブプーリが、上記第1の回転体および上記スリーブによって構成され、上記キャリッジの駆動軸に連結されたドリブンプーリが、上記第2の回転体によって構成される。
【0014】さらに、本発明による変速機構は、印刷版を載置して移動可能な定盤を備えた印刷版自動露光装置における定盤移動用駆動部に適用することができ、その場合、上記定盤の駆動用モータの出力軸に連結されたドライブプーリが、上記第1の回転体および上記スリーブによって構成され、上記定盤の駆動軸に連結されたドリブンプーリが、上記第2の回転体によって構成される。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、上記スリーブを上記第1の回転軸線に沿って移動させることにより、上記第1の回転体の円錐面における無端ベルトの接触部位の半径が変更されるから、これによって変速が可能になる。
【0016】また、上記無端ベルトが歯付きVベルトであって、かつ上記第1の回転体側を駆動側とした場合、上記第1の回転体が備えているV字状溝の底に周設された歯面全体が露出する程度に上記V字状溝の幅が広くされた場合には、歯付きVベルトが第1の回転体の歯面に噛合して、第2の回転体を定速をもって駆動することができ、上記V字状溝の底に周設された歯面が隠れる程度に上記V字状溝の幅が狭められた場合には、第2の回転体をより速い速度で駆動することができるから、上述のような原稿読取り装置の原稿台移動用駆動部、スキャナ装置におけるキャリッジ移動用駆動部および印刷版自動露光装置における定盤移動用駆動部等に適用して、作業効率を上げることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】図1および図2は、印刷原稿から製版を行なう際などに使用される原稿読取り装置の原稿台移動用駆動部に本発明を適用した第1の実施の形態における、原稿読取り装置の全体構成を示す正面図および側面図である。なお、図2では光学系部分は省略している。
【0019】原稿読取り装置1は、装置の枠組みを構成する本体フレーム4が低く形成された原稿セット部2と、これより高く形成された読取り部3とを備え、原稿セット部2には原稿を着脱自在に保持する原稿台5を有し、この原稿台5が横方向に読取り部3内にスライド移動可能に設けられている。また、上記読取り部3は、原稿を線状に照明する反射原稿照明用ファイバー6,7と透過原稿照明用ファイバー8を上下に有すると共に、上記原稿が移動する高さより上方にレンズ系15とラインセンサ16を備えたカメラ9、その前方に回転ドラム式フィルター10、ミラー部11を備え、下方にはランプボックス12、基板ボックス13が配置されている。
【0020】一方、上記原稿台5は、2本のガイドバー21,22によって摺動自在に支持された移動基盤23と、この移動基盤23に揺動可能に搭載されて原稿を上面に載置する透明材料による原稿受け部材24と、移動基盤23に開閉自在に装着され原稿受け部材24に原稿を圧接した状態で閉じる透明材料による原稿押え蓋25を備えている。この原稿押え蓋25はダンパアーム26によって開方向に付勢される。
【0021】上記移動基盤23は、本体フレーム4に原稿セット部2から読取り部3に亘って延設された前述のガイドバー21,22に図3に示すように支持されて移動可能であると共に、同様に原稿セット部2から読取り部3に亘って延設されて軸線S2の周りで回転自在に支持されたたボールねじ27に螺合連係されて、駆動モータ28によるボールねじ27の回転駆動によって移動制御される。上記駆動モータ28は読取り部3内に設置され、軸線S1の周りで回転する駆動モータ28の出力軸は、後述する変速機構60および歯付きVベルト62を介してボールねじ27の一端に連係されている。
【0022】なお、図示していないが上記原稿セット部2の上面には、開閉カバーが設置され、原稿台5の移動時には上方は閉じられている。また、上記原稿押え蓋25の閉塞状態はロック機構によってロックされ、このロックの解放機構は本体フレーム4側に配設され、上記原稿台5が所定の位置に停止している状態でのみ原稿押え蓋25の開閉が可能に設けられている。
【0023】一方、上記読取り部3には、前述のように移動してきた原稿台5の上方に1対の第1および第2反射原稿照明用ファイバー6,7が設置され、下方には1つの透過原稿照明用ファイバー8が設置され、線状に原稿を照明する。各ファイバー6〜8は多数の光ファイバーで構成され、その照明端は1列に線状に並べられてホルダーに保持され、他端は円筒状に束ねられ読取り部3の下方に配置されたランプボックス12の光源(ハロゲンランプ)に対向して設置されている。また、線状の照明端の前方には円筒棒状のレンズ31〜33を介して光束が調整されて原稿に照射される。上記ランプボックス12には3個の光源がまとめて配置され、ランプボックス12内は冷却ファンによって冷却される。
【0024】第1反射原稿照明用ファイバー6は、その照明端は原稿の進行方向の斜め45度前方から原稿の表面を照明するように傾斜配置される。第2反射原稿照明用ファイバー7は、その照明端は原稿進行方向に対し前方から水平に設置され、対向部分には斜め下方に傾斜設置された反射ミラー34が設けられ、進行方向に対して斜め45度後方から原稿の表面を照明するように配設されている。透過原稿照明用ファイバー8は、その照明端は原稿の進行方向に対し前方から水平に設置され、対向部分には斜め上方に傾斜配置された反射ミラー35が設けられ下方から上方に原稿を透過照明する。
【0025】上記照明用ファイバー6〜8による原稿の照明位置の上方にはミラー部11が設けられ、このミラー部11は読取り部3の本体フレーム4の上端隅部に設置され、このミラー部11の反射面は下方からの光を原稿進行方向とほぼ平行な方向に反射するものであるが、直角に反射するのではなく、反射後の光軸が水平方向(原稿の進行方向)に対して少し下向きに傾斜するように設定されている。
【0026】上記ミラー部11で反射された光路Lには、回転ドラム式フィルター10、カメラ9のレンズ系15およびラインセンサ16がこの順に設置されており、これらが取付フレーム37に固着され、この取付フレーム37が本体フレーム4に対して傾斜して固着されている。またカメラ9の取付位置は調整可能に設けられている。
【0027】上記カメラ9のレンズ系15は鏡胴に設けられ、その焦点位置に配置されたハーフプリズム39を介して光路Lが分割され、それぞれにラインセンサ16が交互に設置されて一直線上の信号が連続して得られるように構成されている。このラインセンサ16における各センサの信号を順次読み取る主走査が、図示しない制御基板によって行われ、その制御基板はカメラ背部の基板収納部40に設置され、カメラ9と基板収納部40との間にはレンズ系15の焦点距離のバラツキ吸収のための調整空間が設けられ、カメラ9は光軸方向に移動調整される。
【0028】次に、上記回転ドラム式フィルター10の詳細構造を図4〜図6に基づいて説明する。
【0029】前述の取付フレーム37には両側に平板状の支持枠41が立設され、両側の支持枠41が横方向に延びる連結棒41aによって連結されている。この支持枠41に対し、回転ドラム42が回転可能に支持されている。
【0030】回転ドラム10は、両側の円板状の回転側板43の外面中心部に固着されたボス部44に、横方向に延びる回転軸45が取り付けられ、この回転軸45が上記支持枠41に枢支されている。両側の回転側板43の外周部には、回転軸45と平行に両側の回転側板43を連結する複数(図の場合6枚)のフィルター取付板47が等角度間隔を保って取り付けられている。互いに隣接するフィルター取付板47,47の間には所定の間隙Gが形成され、この間隙Gは前述のミラー部11で反射された光路Lが通る寸法に設けられている。
【0031】上記フィルター取付板47には横長長方形状のフィルター取付孔47aが開口され、このフィルター取付孔47aに所定の色、濃度を有する各フィルター48が取り付けられる。
【0032】上記回転軸45の一方は、支持枠41を貫通して突出した部分に歯車状のベルトプーリ51が設けられ、このベルトプーリ51に対し、支持枠41に取り付けられた切替モータ52の駆動ベルトプーリ53から歯付伝動ベルト54が掛けられ、切替モータ52の駆動制御により回転ドラム42を回転駆動する。他方の回転側板43には外面に原点位置検出用の突起状の基準板55が固着され、これに対向する支持枠41内面には基準位置センサ56が設けられ、回転ドラム42の基準位置を検出し、これに基づいて所望のフィルター48が光路L上に位置するように回転位置の制御を行う。
【0033】図6に回転ドラム42に対するフィルター48の配置を示し、6枚(偶数枚)のフィルター48が等間隔に配置されたことで、回転中心45を通る直径上の対称位置にそれぞれフィルター48が位置し、光路Lが回転中心45を通ると両側の2枚のフィルター48を光路Lが通過することになるが、光路Lを偏心した位置に設定し、レンズ系15の前方に停止したフィルター48に対し、反対側のフィルター取付板47の間隙Gを通って光路Lが形成され、1枚の傾斜したフィルター48のみ通るようにしている。
【0034】以上のような構成を有する原稿読取り装置1において、走査は原稿セット位置から光学系の方向に、すなわち図1の左方に向かって原稿台5を送ることによって行なわれるが、一方方向にのみ走査が行なわれるため、走査後、原稿台5を原稿セット位置まで戻す必要がある。
【0035】そこで、本実施の形態では、走査時には一定速度で原稿台5を送り、搬出時(原稿台戻し時)には、高速で原稿台5を送るべく、図7および図8に示す変速機構60を用いている。
【0036】図7(a),(b)は上記変速機構60を示す概略図で、図7(a)は定速送り時、図7(b)は高速送り時をそれぞれ示す。
【0037】図3に示す原稿台駆動用モータ28の回転軸線S1の回りで回転する出力軸28aには、図7(a),(b)に示すように、歯付きVベルト62の一端が懸架されるドライブプーリ本体(第1の回転体)61が同軸的に固定されており、このドライブプーリ本体61は、回転軸28a側の端縁からモータ28a側とは反対側に向かって縮径される円錐面61aを備えている。上記歯付きVベルト62は、発泡ゴム系の材料で形成され、図7(a)に示すように、この歯付きVベルト62の内周面に形成された歯62aに噛合する歯面61bが、ドライブプーリ本体61の上記円錐面61aの底縁に連接して所定の幅に周設され、さらに、この歯面61bの円錐面61a側とは反対側縁部に連接して円筒面61cが形成されている。
【0038】上記円筒面61cには、このドライブプーリ本体61とともにドライブプーリ70を構成するスリーブ63がドライブプーリ本体61に対して相対回転不能に、かつ回転軸線S1に沿って移動可能に同軸的に嵌着されている。このスリーブ63は、ドライブプーリ本体61の円錐面61aに対向する円錐面63aを備えており、両円錐面61a,63aにより、ドライブプーリ70の外周面を繞ってV字状溝64が形成されている。したがって、スリーブ63を回転軸線S1に沿って移動させることにより、V字状溝64の溝幅が変更される。このスリーブ63は、上記円錐面63a側とは反対側に、回転軸線S1に垂直な面63bを備えている。
【0039】図3に示すように、モータ28の出力軸28aの回転軸線S1に平行な回転軸線S2の周りで回転自在に支持されたボールねじ27の一端には、外周に歯65aを備えたドリブンプーリ(第2の回転体)65が固定され、このドリブンプーリ65の外周に歯付きVベルト62の他端が懸装されている。そして、図8(a),(b)に示すように、歯付きVベルト62のループの内側には、この歯付きVベルト62の歯62aに噛合する歯66aを外周に備えてベルトテンショナとして機能するアイドラ66が回転自在に、かつ位置変更可能に設けられている。
【0040】さらに、上記スリーブ63を回転軸線S1に沿って移動させるために、駆動モータ67が設けられている。このモータ67の出力軸67aは、回転軸線S1に対して垂直に向いており、出力軸67aには、アーム68が固定され、さらにアーム68の先端に、上記スリーブ63の垂直な面63bに転接するローラ69が取り付けられている。
【0041】以上の構成において、図7(a)に示す状態では、アーム68が回転軸線S1と平行になっており、アーム68の先端に設けられたローラ69は図7の右方に退避した位置にある。
【0042】一方、アイドラ66は、図8(a)に示すように、図示しない駆動手段によって図の左方へ移動され、これによって、スリーブ63は歯付きVベルト62に押されて図の右方へ押しやられ、ローラ69に当接した位置で停止する。この状態で、歯面61b全体が露出する程度にV字状溝64の溝幅が拡大され、歯付きVベルト62の歯62aがドライブプーリ本体61の歯面61bに噛合し、かつ歯付きVベルト62の両側面が、V字溝64の円錐面61a,63aに密接する。
【0043】したがって、モータ28を所定の方向に回転すると、ボールねじ27は定速で回転され、これに伴って、図3に示す原稿台5が原稿セット位置から光学系の方向に定速で移動して走査が行なわれる。
【0044】この走査後、原稿台5を原稿セット位置まで戻す場合には、図8(b)に示すように、先ずアイドラ66を図の右方へ移動させて歯付きVベルト62から離すとともに、モータ28を逆転しながら、モータ67を駆動して、アーム68を90°回動することにより、スリーブ63の垂直面63bに転接しているローラ69がスリーブ63を押して図の左方へ移動させるから、図7(b)に示すように、V字状溝64はその底の歯面61bが隠れるまで幅が狭められ、これによって、歯付きVベルト62は、V字状溝64の底の歯面61bから離れて、円錐面61a,63a上における歯付きVベルト62の接触部位の半径が増大するから、ドリブンプーリ65はより高速で回転され、原稿台5は高速で原稿セット位置に戻される。
【0045】以上の説明で明らかなように、本実施の形態によれば、ドライブプーリ70の外周に周設されたV字状溝の円錐面61a,63aの底の歯面61b全体が露出する程度にV字状溝4の幅が広くされた場合には、上記歯面61bに歯付きVベルト62の歯62aが噛合するから、ボールねじ27を定速をもって駆動することができ、また、上記V字状溝4の底に周設された歯面61bが隠れる程度にV字状溝64の幅が狭められた場合には、ボールねじ27をより速い速度で駆動することができるから、上述のような原稿読取り装置の原稿台移動用駆動部に適用するのに好適である。
【0046】次に、図9は、原稿を走査させるキャリッジを備えたスキャナ装置のキャリッジ移動用駆動部に本発明を適用した第2の実施の形態におけるスキャナ装置の概略的斜視図、図10は走査方向に沿った垂直面で切断した断面図、図11はキャリッジの駆動機構を説明するための概略的斜視図である。なお、図9〜図11において、図3および図7と対応する部分には同一符号を付してある。
【0047】図9に示すように、ほぼ長方形のハウジング80の長手方向に沿った両側壁の内側面には、内側に突出させた段部によってガイド部80aが形成されており、これらガイド部80aに第1キャリッジ81と第2キャリッジ82とが載置されて、両ガイド部80a,80a上を摺動するように構成されている。これら第1および第2キャリッジ81,82には、図10に示すように、反射ミラーM,M,M が配設されており、ハウジング80の上端に取り付けられた透明ガラス板80b上に載置された原稿99の画像をレンズ83に導くための光路を形成している。また、レンズ83を透過した画像は、CCD84に結像して処理される。第1キャリッジ81の上部には、走査方向と直交する方向に溝部81aが延設され、この溝部81a内に、原稿99の画像を照明する照明ランプ85が収容されている。
【0048】そして、原稿99の画像を読み取る場合には、キャリッジ81,82が原稿99に沿って走査することになるが、原稿99からCCD84に至る光路長を所定の長さに保つ必要があることから、第1および第2キャリッジ81,82は、所定の関係を維持して移動しなければならない。
【0049】図11は第1および第2キャリッジ81,82の駆動機構を示し、ハウジング80の長手方向の一端部には、キャリッジ81,82の走査方向と直交する方向を軸線方向とする駆動軸86が回動自在に支持されており、その中央部にドリブンプーリ(第2の回転体)65が嵌着されている。
【0050】一方、モータ28の出力軸28aには、図7と同様の、ドライブプーリ本体(第1の回転体)61とスリーブ63とからなるドライブプーリ70が嵌着され、このドライブプーリ70とドリブンプーリ65との間に歯付きVベルト62が懸架され、詳細構成の図示は省略するが、図7と同様の変速機構60が構成されている。
【0051】上記駆動軸86の両端部には、それぞれ巻取りプーリ91が嵌着されており、この巻取りプーリ91にワイヤ92の中央部が適宜巻数巻回されている。また、第2キャリッジ82の側面には、走査方向に整列した一対の案内プーリ93,94が、走査方向と直交する方向を軸として回動自在に支持されている。さらに、ハウジング80の上記駆動軸86を配設した側とは反対側の端部には、走査方向と直交する方向を軸とした案内プーリ95が回動自在に支持されている。ハウジング80の側壁の適宜位置にはブラケット80cが固設されている。
【0052】上記巻取りプーリ91の巻回されたワイヤ92の一端部は、第1キャリッジ81の連繋部96と案内プーリ93とを経由してブラケット80cに係止されている。また、ワイヤ92の他端部は、案内プーリ95および94を順次経由してから、引っ張りコイルバネ97を介してハウジング80の側壁に係止されている。
【0053】以上の構成において、キャリッジ81,82の走査は、モータ28の作動により巻取りプーリ91を回動させてワイヤ92を巻き取ることによって行なわれる。すなわち、変速機構60を図7(a)に示す状態にして、巻取りプーリ91を図11の時計方向に回動させると、ワイヤ92が巻き取られて第1キャリッジ81が巻取りプーリ91に向かって図10の左方に移動する。また、ワイヤ92は第2キャリッジ82の案内プーリ93を経由してブラケット80cに係止されているから、第2キャリッジ82は第1キャリッジ81の移動量の半分の移動量をもって第1キャリッジ81に追随して移動することになる。そして、これら第1キャリッジ81と第2キャリッジ82との移動量の差によって、原稿99からCCD84に至る光路長が所定の関係に保たれる。
【0054】なお、キャリッジ81,82は、ハウジング80の巻取プーリ91側とは反対側の端部(図10の右端部)の初期位置から移動を開始し、1回の走査が終了すると、変速機構60を図7(b)に示す状態に切り替えるとともに、巻取りプーリ91を図11の反時計方向に回動させることにより、キャリッジ81,82は高速で初期位置に復帰する。
【0055】本実施の形態においても、前述した第1の実施の形態と同様の効果を奏すること明らかである。
【0056】次の図12は、印刷版を載置して移動可能な定盤を備えた印刷版自動露光装置の定盤移動用駆動部に本発明を適用した第3の実施の形態を示す要部の概略的斜視図である。
【0057】この印刷版自動露光装置は、印刷板を定盤100上にセットし、この定盤100を横方向に移動させながら、印刷板にレーザービーム等を照射して、印刷版上に印刷可能な画像を形成する装置である。この装置においても、走査後、定盤100を初期位置まで戻す必要があるため、本発明の変速装置を適用することができる。なお、図12においても、図3および図7と対応する部分には同一符号を付してある。
【0058】定盤100は、図3の構成と同様に、図示しない本体フレームに延設されたガイドバー21,22に支持されて移動可能であると共に、回転自在に支持されたたボールねじ27に螺合連係されて、前述した変速機構60および歯付きVベルト62を介したボールねじ27の回動により、ガイドバー21,22に沿って移動するように構成されている。
【0059】定盤100は、突出時に印刷版の下面を支持するための、上下に出没自在なピンPを多数備えており、これらピンPは、モータ101によって作動されるピン駆動機構102によって昇降される。また定盤100には、多数の吸着孔103が形成されており、図示は省略するが、ピンPが下降し、印刷版を定盤100上に載置する際に吸着孔103を通じて吸引動作を行なう真空ポンプを有する吸引手段を備えている。
【0060】本実施の形態においても、前述した第1および第2の実施の形態と同様の効果を奏すること明らかである。
【0061】なお、本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々の変速装置に適用することができる。また、プーリ70,65の駆動・被駆動関係が上述とは逆になるように構成された装置に適用することも可能である。
【出願人】 【識別番号】000005430
【氏名又は名称】富士写真光機株式会社
【出願日】 平成11年11月5日(1999.11.5)
【代理人】 【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史 (外1名)
【公開番号】 特開2001−132807(P2001−132807A)
【公開日】 平成13年5月18日(2001.5.18)
【出願番号】 特願平11−314525