| 【発明の名称】 |
変速機 |
| 【発明者】 |
【氏名】坪根 太平
【氏名】藤本 賢一
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| 【要約】 |
【課題】加工コストを抑えた上で環状挟持部間の内歯歯車内に外歯歯車を嵌め込むことを可能にする。
【解決手段】第一軸2には外歯歯車8が軸支されている一方、ケーシングには外歯歯車8と噛合する第二軸3と同心の内歯歯車が設けられ、第二軸3は外歯歯車8の自転が伝達されるように構成され、第一軸2および第二軸3の一方が入力軸として設定され、他方が出力軸として設定されてなる変速機1であり、内歯歯車7は、環状体71と、この環状体71の内周面に周方向等ピッチで形成された複数の内歯としてのローラ部材72と、径方向に向けてローラ72b覆うように環状体71の側部に積層された環状挟持部6とを備えて形成され、環状挟持部6は、その内周縁部の一部に外歯歯車8の隣接した所定数の外歯81が軸心方向に通過し得る径方向外方に向かった所定数の逃し溝63を有している。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第一軸と、この第一軸と同心の第二軸とを軸心回りに回転自在に支持するケーシングが設けられ、上記第一軸にはその軸心回りに偏心公転する外歯歯車が軸支されている一方、上記ケーシングには上記外歯歯車と噛合する第二軸と同心の内歯歯車が設けられ、上記第二軸は上記外歯歯車の自転が伝達されるように構成され、第一軸および第二軸のいずれか一方が入力軸として設定され、他方が出力軸として設定されてなる変速機において、上記内歯歯車は、環状の歯車本体と、この歯車本体の内周面に周方向等ピッチで形成された複数の内歯と、径方向に向けて内歯の山部を覆うように歯車本体の側部に積層された環状挟持部とを備えて形成され、上記環状挟持部は、その内周縁部の一部に外歯歯車の隣接した所定数の外歯が軸心方向に通過し得る径方向外方に向かった所定数の切込み凹部を有していることを特徴とする変速機。 【請求項2】 上記所定数の切込み凹部は、上記内周縁部の点対称位置に互いに対向して設けられていることを特徴とする請求項1記載の変速機。 【請求項3】 上記外歯歯車は、一対が上記内歯歯車に噛合されていることを特徴とする請求項2記載の変速機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、第一軸の回転軸心回りの回転が、第一軸回りに偏心公転する外歯歯車の自転を介して第二軸に伝達されるように構成された、いわゆる遊星歯車機構の変速機に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、図5に示すような、いわゆる遊星歯車機構を備えた変速機が知られている。この変速機100は、図5の(イ)に示すように、第1ケーシング101に貫設される第一軸103と、第2ケーシング102に第一軸103と同心で貫設される第二軸104と、第一軸103の先端側(図5の(イ)の左方)に偏心状態で回転可能に嵌入される並設状態の2枚の外歯歯車105と、第1および第2ケーシング101,102間に挟持され、かつ、上記2枚の外歯歯車105の外歯が噛合する内歯を備えた内歯歯車106とからなっている。そして、第二軸104と外歯歯車105とは、両者間に周方向等ピッチで架橋されたキャリアピン107を介して連結されている。 【0003】上記外歯歯車105の外径寸法は、内歯歯車106の内径寸法より小さく寸法設定されており、これによって、図5の(ロ)に示すように、外歯歯車105の歯数は内歯歯車106の歯数より少なくなっている。 【0004】従って、第一軸103を入力軸として用い、これを軸心回りに回転させると、外歯歯車105は第一軸103回りに公転しながら外歯歯車105との噛合によって逆方向に緩やかに自転し、この自転がキャリアピン107を介して第二軸104に伝達されることにより、第一軸103の回転が減速されて第二軸104から出力されることになる。変速機100を、かかる用い方をすることにより、減速機として利用することができる一方、第二軸104を入力軸とすることにより第一軸103から増速された出力を得ることができ、この場合は変速機100を増速機として利用することができる。 【0005】上記のような変速機100において、より円滑に外歯歯車105を公転させるために内歯歯車106の内歯としてローラ108を用いるのが一般的である。かかるローラ108は、図5の(イ)に示すように、内歯歯車106を挟持した幅方向一対の環状挟持部109間に架橋されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような環状挟持部109においては、内周縁部の全周に亘って所定ピッチで凸部110と凹部111とが形成されており、上記ローラ108は、その支持軸108aが上記凸部110に貫通されることによって環状挟持部109に支持されている。また、上記凹部111は、内歯歯車106内に外歯歯車105を嵌め込み得るように設けられるものであり、外歯歯車105の外歯105aの波形に合致した、例えばトロコイド曲線に沿うように形成されている。 【0007】しかしながら、環状挟持部109の内周縁部の全周に亘ってトロコイド曲線に沿う凹部111を切削加工で形成することは非常に困難であり、加工コストが嵩むという問題点を有していた。 【0008】本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、加工コストを抑えた上で環状挟持部間の内歯歯車内に外歯歯車を嵌め込むことが可能な変速機を提供することを目的としている。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、第一軸と、この第一軸と同心の第二軸とを軸心回りに回転自在に支持するケーシングが設けられ、上記第一軸にはその軸心回りに偏心公転する外歯歯車が軸支されている一方、上記ケーシングには上記外歯歯車と噛合する第二軸と同心の内歯歯車が設けられ、上記第二軸は上記外歯歯車の自転が伝達されるように構成され、第一軸および第二軸のいずれか一方が入力軸として設定され、他方が出力軸として設定されてなる変速機において、上記内歯歯車は、環状の歯車本体と、この歯車本体の内周面に周方向等ピッチで形成された複数の内歯と、径方向に向けて内歯の山部を覆うように歯車本体の側部に積層された環状挟持部とを備えて形成され、上記環状挟持部は、その内周縁部の一部に外歯歯車の隣接した所定数の外歯が軸心方向に通過し得る径方向外方に向かった所定数の切込み凹部を有していることを特徴とするものである。 【0010】この発明によれば、第一軸を軸心回りに回転させることにより、この回転が伝達された外歯歯車は第一軸回りに偏心公転するとともに、この公転時に内歯歯車の内歯に噛合することによって減速状態で逆方向に自転し、この自転が第二軸に伝達されるため、第二軸からは第一軸に対する減速回転が出力される。逆に第二軸に回転力を入力すると、上記と逆の作用で第一軸から増速された回転出力が得られる。 【0011】そして、かかる変速機において、外歯歯車を挟持する環状挟持部は、その内周縁部の一部に外歯歯車の隣接した所定数の外歯が軸心方向に通過し得る径方向外方に向かった所定数の切込み凹部を有しているため、これらの切込み凹部に外歯を通すことにより、切込み凹部以外の外歯は環状挟持部と干渉しないように位置設定されることとも相俟って、外歯歯車を環状挟持部間の内歯車内に嵌め込むことが可能になる。 【0012】従って、内縁部全周に亘って外歯に対応した凹部が設けられた従来の環状挟持部に比較し、凹部を設ける個所が少なくなった分、加工コストの低減化が図られる。 【0013】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記所定数の切込み凹部は、上記内周縁部の点対称位置に互いに対向して設けられていることを特徴とするものである。 【0014】この発明によれば、切込み凹部の形成された位置が2個所になっていることにより、嵌め込み位置の選択性が向上して外歯歯車をより容易に内歯歯車内に嵌め込むことが可能になり、組み付け作業の作業性が向上する。特に、一対の外歯歯車を軸心に対して180°位相ずれさせた状態で内歯歯車内に装着する場合には、両外歯歯車を位相変化させることなく同時に2つの外歯歯車を内歯歯車内に嵌め込むことが可能になる。 【0015】請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、上記外歯歯車は、一対が上記内歯歯車に噛合されていることを特徴とするものである。 【0016】この発明によれば、一対の外歯歯車を180°の位相ずれで内歯歯車に噛合させることにより、内外の歯車間の回転力伝達は、バランスが良好なものになり、効率的な回転力の伝達が実現する。 【0017】 【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る変速機の一実施形態を示す分解斜視図であり、図2は、その組立て斜視図である。また、図3は、図2のA−A線断面図である。これらの図に示すように、変速機1は、第一軸2と、この第一軸2と同心の第二軸3と、第一および第二軸2,3を軸心回りに回転自在に支持する第一および第二ケーシング4,5と、これら第一および第二ケーシング4,5間に挟持される、一対の環状挟持部6を備えた環状の内歯歯車7と、この内歯歯車7に嵌め込まれて噛合する一対の外歯歯車8とを備えた基本構成を有している。 【0018】因みに、環状挟持部6と内歯歯車7とは一体に形成されているが、図3では環状挟持部6の位置を明確に示すために、環状挟持部6の部分に内歯歯車7に付された斜線と逆傾斜の斜線を付している。 【0019】上記第一軸2は、第一軸本体21と、この第一軸本体21の長手方向の中央部より前方位置(図1の左方位置)に並設された一対の偏心軸22とからなっている。第一軸本体21は、その後端部が、図2に示すように、第一ケーシング4から外部に突出される。各偏心軸22は、第一軸本体21の軸心に対して互いに反対方向に(すなわち180°の位相ずれで)所定寸法だけ偏心している。これらの偏心軸22の一方には外歯歯車8の一方がその中心位置で軸支されるとともに、他方の偏心軸22には他方の外歯歯車8の中心位置が軸支されるようになっている(図3)。従って、第一軸2が軸心回りの回転することによって各外歯歯車8は互いに180°の位相ずれで第一軸2回りに偏心回転(以下公転という)することになる。 【0020】上記第二軸3は、前端部が第二ケーシング5から外部に突出される第二軸本体31と、この第二軸本体31の後端部に同心で延設された連結円盤32とからなっている。上記連結円盤32の後端面には、第二軸本体31の軸心を中心とした円軌跡上に周方向等ピッチで複数本(図1に示す例では8本)の回転伝達ピン33が後方に向けて突設されている。これらの回転伝達ピン33は、外嵌されるブッシュ33aを介して上記各外歯歯車8に連結され、これによって第二軸3と外歯歯車8とはそれぞれの回転を互いに伝達し得るようになっている。 【0021】また、一対の外歯歯車8間には図1に示すような環状スペーサー84が介設される。この環状スペーサー84は、内径寸法が環状に配設されたブッシュ33aを有する複数本の回転伝達ピン33の外側の輪郭線(すなわち複数本のブッシュ33aの外側の輪郭線)の径寸法と等しいか僅かに大きく寸法設定され、これによって回転伝達ピン33が一対の外歯歯車8の後述する遊嵌孔83に遊嵌された状態で、各ブッシュ33aの外周面が、図3に示すように、環状スペーサー84の内周面に摺接し、これによって各回転伝達ピン33の遊嵌孔83への嵌挿状態が安定するようになされている。 【0022】上記第一ケーシング4は、フランジ41と、このフランジ41から同心で後方に向けて突設された支持筒42とからなっている。フランジ41には、軸心を中心とした円軌跡上に周方向等ピッチで穿設された複数(図1に示す例では6つ)の締結孔43が穿設されている。かかる第一ケーシング4の支持筒42に第一軸本体21を挿通し、図3に示すように、ベアリング44を介して支持筒42の内周面に支持させることにより、第一軸2は、その後部が自軸心回りに回転自在に第一ケーシング4に装着されるようにしている。 【0023】上記第二ケーシング5は、第一ケーシング4のフランジ41と同一径寸法のフランジ51と、このフランジ51から同心で前方に向けて突設された支持筒52とからなっている。フランジ51には、上記第一ケーシング4の締結孔43に対応した締結孔53が穿設されている。かかる第二ケーシング5の支持筒52に後方側から第二軸本体31を挿通し、図3に示すように前後方向の2個所を、ベアリング54を介して支持筒52の内周面に支持させることにより、第二軸3は自軸心回りに回転自在に第二ケーシング5に装着されることになる。 【0024】また、上記第二軸3の連結円盤32には、その後端面に軸心と同心の孔心を有する装着孔34が前方に向かって穿設されている。そして、上記第一軸2の前端部が、図3に示すように、ベアリング45を介して連結円盤32に支持され、上記第一ケーシング4の支持筒42へのベアリング44を介した支持と相俟って第一軸2は軸心回りに安定した状態で回転し得るようになっている。 【0025】かかる第二ケーシング5は、支持筒52の下部から下方に向かって延設された台座57を有しており、変速機1は、この台座57を介して所定の位置に据え付けられるようにしている。 【0026】上記内歯歯車7は、上記フランジ41,51と同一外径寸法の環状体(歯車本体)71と、この環状体71の内周面に周方向に向けて等ピッチで複数個配設された内歯としてのローラ部材72とからなっている。ローラ部材72は、ローラピン72aと、このローラピン72a回りに回転自在に軸支された2個のローラ72bとからなっている。一方、環状体71の内周面には、孔心方向の中央位置に環状仕切板73が設けられている。 【0027】この環状仕切板73には全周に亘って等ピッチで径方向外方に向けて凹設された複数の圧入溝73aが設けられ、これらの圧入溝73aにローラピン72aの中央部を圧入することにより、各ローラ72bが左右に振り分けられた状態でローラ72が環状仕切板73に装着されるようになっている。 【0028】このような環状体71にも、上記フランジ41,51に穿設された締結孔43,53に対応する締結孔74が穿設されている。 【0029】以下、環状挟持部6について説明する。環状挟持部6は、図1に示すように、内歯歯車7と一体に形成されている。環状挟持部6と内歯歯車7とを一体にするのは、もし別体であれば部品点数が増加して部品コストが嵩むとともに、両者を結合するための組み付け工数も増加して組み付けコストも嵩み、製造コストの高騰につながるからであるばかりか、両者の対応した部分に対する高精度の加工が困難になるという不都合が存在するが、かかる不都合を回避するためである。因みに、かかる一体物としては環状挟持部6および内歯歯車7を鋳造でつくるのが一般的である。そして、他の部品と当接する部分のみを精密加工で仕上げるようにすれば全体的に高精度で効率よく環状挟持部6および内歯歯車7を製造することができる。 【0030】図4は、環状挟持部6の一実施形態を示す正面図であり、この環状挟持部6を通して外歯歯車8が内歯歯車7に嵌め込まれた状態を示している。この図に示すように、環状挟持部6は、内周縁部が上記環状体71の環状仕切板73に装着された複数のローラピン72aの軸心を結ぶ円軌跡に沿うように穿設された、装着時に外歯歯車8を通すための通過孔61と、環状体71の締結孔74に対応して穿設された複数の締結孔64とを有している。 【0031】上記通過孔61の縁部には、上記環状仕切板73の圧入溝73aに対応した位置にローラピン72aを嵌め込むための半円状の嵌込み溝62が凹設されているとともに、同上縁部および下縁部には、嵌込み溝62の隣に外歯歯車8の外歯81を通すための逃し溝(切込み凹部)63が凹設されている。この逃し溝63は、エンドミルやドリルを用いて凹設してもよいし、ブローチ加工で内歯歯車7の嵌込み溝62を形成するときに一緒に凹設してもよい。 【0032】図4に示す例では、環状挟持部6の内周縁部に28個の嵌込み溝62が凹設されており、これらの嵌込み溝62の内、上部の9個に隣接して逃し溝63が合計で8つ凹設されているとともに、下部にも同様に8つの逃し溝63が凹設されている。これらの逃し溝63は、溝深さが外歯81の丈より深く寸法設定され、これによってこの部分のローラ72bに外歯81の歯底を押し付けた状態で外歯81が逃し溝63を通過し得るようになっている。 【0033】因みに、逃し溝63は、図4に示す例では、環状挟持部6の上部側および下部側の双方に設けられているが、上下部で対向するように設けることに限定されるものではなく、左右に対向するように設けてもよいし、斜めに対向するように設けてもよい。すなわち、複数個の逃し溝63は、互いに点対称位置の2個所に設けるようにすればよい。また、複数個の逃し溝63の群を、点対称位置の双方に設けることに限定されるものではなく、いずれか一方に設けてもよい。 【0034】一方、図3に示すように、第一ケーシング4のフランジ41の前端面(図3の左方)には、同心で前方に向けて突設された環状突起46を有している。この環状突起46は、外径寸法が内歯歯車7の環状体71に装着されたローラピン72aに当接する寸法に設定されている。また、第二ケーシング5のフランジ51にも、その後端面に上記第一ケーシング4の環状突起46と同様の環状突起56が突設されている。従って、一対の環状挟持部6を介して内歯歯車7が第一および第二ケーシング4,5間に挟持された状態では、ローラピン72aはその両端部が各環状突起46,56に当接して径方向に抜け止めされ、これによって嵌込み溝62から外れることがないようにしている。 【0035】上記各外歯歯車8は、外径寸法が内歯歯車7の内径寸法より小さく寸法設定され、これによって内歯歯車7内に嵌め込み得るようになっている。かかる外歯歯車8は、外周面に上記ローラ72bに噛合する外歯81を有している。図4に示す例では、外歯81は26個であり、28個のローラ72bより2つ少なく数量設定されている。 【0036】かかる外歯歯車8には、中心位置に上記偏心軸22に摺接状態で外嵌される中心孔82が穿設されているとともに、この中心孔82の孔心を中心とした円軌跡上には、上記回転伝達ピン33が遊嵌される遊嵌孔83が穿設されている。そして、中心孔82を第一軸2の偏心軸22に嵌め込んだ状態で第一軸本体21を軸心回りに回転させることにより、各外歯歯車8は、それぞれ180°の位相ずれ状態で第一軸本体21回りに偏心回転するようになされている。 【0037】因みに、図3に示す例では、各偏心軸22と外歯歯車8の中心孔82の周面との間にローラベアリング23が介設され、これによって外歯歯車8の偏心回転が円滑に行われるようにしている。 【0038】本発明の変速機1の各部品は、以上のように構成されているため、図1の分解図に示す状態で、偏心軸22に外歯歯車8を嵌め込み、この偏心軸22を有する第一軸2を第一ケーシング4の前面側から支持筒42に差し通すとともに、第二軸本体31を第二ケーシング5の後面側から支持筒52に差し通し、引き続きローラ部材72を環状仕切板73に装着することにより形成された内歯歯車7を一対の環状挟持部6によって挟持し、この状態の環状体71内に一対の外歯歯車8を嵌め込みながら第一ケーシング4のフランジ41を一方の環状挟持部6に積層した後、第二軸3の連結円盤32の各回転伝達ピン33を外歯歯車8の遊嵌孔83に挿通させるようにして第二ケーシング5のフランジ51を他方側の環状挟持部6に積層し、各締結孔53,64,74,64,43にボルトBを差し通してナットNで締結することにより、図2に示すように、変速機1が完成する。 【0039】なお、2個の外歯歯車8を内歯歯車7内に嵌め込むに当たって、環状挟持部6にはその内周縁部の点対称位置の2個所に180°の位相ずれで逃し溝63が形成されているため、これらの逃し溝63を通して180°で位相ずれした2枚の外歯歯車8を同時に内歯歯車7内に嵌め込むことが可能になり、組付け効率の向上が達成される。 【0040】このようにして得られた変速機1は、第一軸2を入力軸として利用すると、第一軸2の軸心回りの回転は、偏心軸22を介した外歯歯車8の偏心回転に伝達され、外歯歯車8はローラ72bに噛合していることにより上記偏心回転によって第一軸本体21回りに公転するとともに、偏心軸22回りに逆方向に減速状態で自転し、この自転は、遊嵌孔83、回転伝達ピン33および連結円盤32を介して出力軸としての第二軸本体31に出力されることになる。このような用い方をすることによって変速機1を減速機として利用することができる。 【0041】逆に、第二軸本体31を入力軸として用いると、上記と逆の作用によって第一軸本体21からは増速回転が出力される。このような用い方をすることによって、変速機1を増速機として利用することができる。 【0042】そして、本発明の変速機1においては、環状挟持部6にローラピン72aを嵌め込む嵌込み溝62の他に、所定の位置にのみ隣接する嵌込み溝62間に外歯歯車8の外歯81を通過させ得る逃し溝63を凹設したため、外歯歯車8を内歯歯車7内に装着するに際し、外歯81にこの逃し溝63を通過させるようにすることで外歯歯車8を内歯歯車7に容易に嵌め込むことが可能になる。そして、本発明においては、外歯歯車8の内周面の一部にしか逃し溝63が設けられていないため、従来のように外歯歯車の内周縁部に全周に亘って逃し溝63が設けられる場合に比較して外歯歯車8の加工処理が容易になり、その分加工コストの低減化に寄与することができる。 【0043】また、本実施形態においては、環状挟持部6のローラピン72aを支持する部分を半円状の嵌込み溝62にしているため、従来のように支持孔によってピンを支持するものに比較して加工が容易であり、この点でも加工コストの低減化に貢献することができる。 【0044】 【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、外歯歯車を挟持する環状挟持部は、その内周縁部の一部に外歯歯車の隣接した所定数の外歯が軸心方向に通過し得る径方向外方に向かった所定数の切込み凹部を有しているため、これらの切込み凹部に外歯を通すことにより、切込み凹部以外の外歯は環状挟持部と干渉しないように位置設定されることとも相俟って、外歯歯車を環状挟持部間の内歯車内に嵌め込むことができる。従って、内縁部全周に亘って外歯に対応した凹部が設けられた従来の環状挟持部に比較し、凹部を設ける個所が少なくなった分、加工コストの低減化に寄与することができる。 【0045】請求項2記載の発明によれば、所定数の切込み凹部を環状挟持部の内周縁部の点対称位置に互いに対向して設けたため、切込み凹部の形成された位置が2個所になっていることにより、嵌め込み位置の選択性が向上して外歯歯車をより容易に内歯歯車内に嵌め込むことができる。特に、一対の外歯歯車を軸心に対して180°位相ずれさせた状態で内歯歯車内に装着する場合には、両外歯歯車を位相変化させることなく同時に内歯歯車内に嵌め込むことが可能になり、組み付け作業の作業性を向上させることができる。 【0046】請求項3記載の発明によれば、一対の外歯歯車が内歯歯車に噛合されているため、これらの外歯歯車を180°の位相ずれで内歯歯車に噛合させることにより、内外の歯車間の回転をバランスよく効率的に一方から他方に伝達することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000107147 【氏名又は名称】日本電産シンポ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月5日(1999.11.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100067828 【弁理士】 【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−132803(P2001−132803A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願平11−315242 |
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