| 【発明の名称】 |
車両の動力伝達装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 光一
【氏名】杉浦 広之
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| 【要約】 |
【課題】車両の動力伝達装置において、簡単な構造で部品点数が少なく低コストで、かつ設置スペースが増大することなく、プラネタリ軸受に充分な量のオイルを供給可能として、プラネタリ軸受の磨耗や焼き付きの発生を防止した潤滑手段を提供する。
【解決手段】電動モータ駆動の車両用動力伝達装置において、遊星歯車式減速装置のキャリアとかさ歯車式差動装置のデフケースとを、入力軸心に直角な接合面にて接合し、該デフケースまたはキャリアの何れか一方の接合面に、該接合面の内周部から前記プラネタリ軸受にオイルを導く油通路を設ける。また、アクスルハウジングの側壁面に、該側壁面とプラネタリギヤの側面との隙間にあるオイルを、該隙間の内周部からプラネタリ軸受に導く油通路を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動モータの回転子に減速装置の入力軸を連結し、前記電動モータの回転を前記減速装置にて減速し、これを差動装置を介して左右の車輪に伝達するようにした車両の動力伝達装置において、前記減速装置を、サンギヤの外周とリングギヤの内周との間に、キャリアに固着された遊星ピンにプラネタリ軸受を介して支承された複数のプラネタリギヤを配してなる遊星歯車式減速装置にて構成するとともに、前記差動装置をかさ歯車式差動装置にて構成し、前記遊星歯車式減速装置のキャリアと前記かさ歯車式差動装置のデフケースとを、前記入力軸心に直角な接合面にて接合し、該デフケースまたはキャリア何れか一方の前記接合面に、該接合面の内周部から前記プラネタリ軸受にオイルを導く油通路を設けたことを特徴とする車両の動力伝達装置。 【請求項2】 前記遊星ピンの内部に、前記プラネタリ軸受に連通される油穴を設け、前記接合面の油通路を、該接合面の内周側に設けられた環状の油溝と、該油溝から前記プラネタリ軸受の方向に放射状に形成された半径方向の油溝とにより構成したことを特徴とする請求項1記載の車両の動力伝達装置。 【請求項3】 前記キャリアとデフケースとを、前記入力軸心に平行な円筒状嵌合面からなるインロー嵌合にて嵌着して該両部材をボルトにより締着し、前記環状の油溝及び半径方向の油溝を、前記インロー嵌合の外側に形成したことを特徴とする請求項2記載の車両の動力伝達装置。 【請求項4】 電動モータの回転子に減速装置の入力軸を連結し、前記電動モータの回転を前記減速装置にて減速し、これを差動装置を介して左右の車輪に伝達するようにした車両の動力伝達装置において、前記減速装置を、サンギヤの外周とリングギヤの内周との間に、キャリアに固着された遊星ピンにプラネタリ軸受を介して支承された複数のプラネタリギヤを配してなる遊星歯車式減速装置にて構成し、前記遊星歯車式減速装置が収容されるアクスルハウジングの側壁面に、前記プラネタリギヤの側面及び前記プラネタリ軸受を対向させて配し、前記アクスルハウジングの側壁面には、該アクスルハウジングの側壁面と前記プラネタリギヤの側面との隙間にあるオイルを、該隙間の内周部から前記プラネタリ軸受に導く油通路を設けたことを特徴とする車両の動力伝達装置。 【請求項5】 前記遊星ピンの内部に、前記プラネタリ軸受に連通される油穴を設けるとともに、前記アクスルハウジングの側壁面の油通路を、前記遊星ピンの油穴入口に対向する部位に設けられた環状の油溝と、前記側壁面の内周側から前記環状の油溝の方向に放射状に形成された半径方向の油溝とにより構成したことを特徴とする請求項4記載の車両の動力伝達装置。 【請求項6】 前記アクスルハウジングの側壁面に、前記環状の油溝から該側壁面の外周方向に放射状に形成された半径方向の油溝を設けるとともに、該油溝の外周端部には、該油溝にオイルを案内する突起部を設けたことを特徴とする請求項5記載の車両の動力伝達装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電動モータの回転子に遊星歯車式減速装置の入力軸を連結し、前記電動モータの回転を前記減速装置にて減速し、これをかさ歯車式差動装置を含む差動装置を介して左右の車輪に伝達するようにした車両の動力伝達装置、特に遊星歯車式減速装置のプラネタリ軸受の潤滑手段に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、フォークリフトは、電動モータにより駆動されるバッテリー式フォークリフトの比率が多くなってきており、前記電動モータと車輪との間の動力伝達装置として種々の技術が提供されている。 【0003】かかる電動モータを用いた動力伝達装置においては、該動力伝達装置を構成するプラネタリ軸受の潤滑は、例えば、特開平11−190417号にて開示されているように、該動力伝達装置のハウジング内に設けられたオイルポンプにより汲み上げられたオイルを、オイルパイプ及びオイルの案内部材を介して該プラネタリ軸受に導くことにより行っている。 【0004】また、かかる動力伝達装置における他の潤滑手段としては、ハウジング内のオイルの油面を、プラネタリ軸受がその回転によって下方に来たとき、該プラネタリ軸受がオイル内に浸漬されるように設定して、ハウジング内のオイルを該プラネタリ軸受に導く手段が提供されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる従来技術においては、次のような問題点を有している。即ち、特開平11−190417号にて提供されている手段にあっては、オイルポンプを用いて、プラネタリ軸受や他の軸受にオイルを強制的に供給しているので、各軸受部には充分な量のオイルが供給されるが、オイルポンプや、公転しているプラネタリ軸受にオイルを導くための案内部材を設けることを要することから、構造が複雑になるとともに部品点数も多くなり高コストとなる。また、前記オイルポンプを設置するための専用スペースを要することから、装置が大型化して車載スペースの有効利用が阻害される。 【0006】また、プラネタリ軸受を公転中にオイル内に浸漬させる手段にあっては、格別の部材を必要とせず、簡単かつ低コストの手段であるが、回転しているプラネタリ軸受を回転中の一時期のみオイル内に浸漬させるため、プラネタリ軸受の側部からオイルが充分に軸受内部供給され難く、オイル不足によるプラネタリ軸受の焼き付き発生の恐れがある。 【0007】本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、車両の動力伝達装置において、簡単な構造で部品点数が少なく低コストで、かつ設置スペースが増大することなく、プラネタリ軸受に充分な量のオイルを供給可能として、プラネタリ軸受の磨耗や焼き付きの発生を防止した潤滑手段を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明はかかる課題を解決するため、請求項1記載の発明として、電動モータの回転子に減速装置の入力軸を連結し、前記電動モータの回転を前記減速装置にて減速し、これを差動装置を介して左右の車輪に伝達するようにした車両の動力伝達装置において、前記減速装置を、サンギヤの外周とリングギヤの内周との間に、キャリアに固着された遊星ピンにプラネタリ軸受を介して支承された複数のプラネタリギヤを配してなる遊星歯車式減速装置にて構成するとともに、前記差動装置をかさ歯車式差動装置にて構成し、前記遊星歯車式減速装置のキャリアと前記かさ歯車式差動装置のデフケースとを、前記入力軸心に直角な接合面にて接合し、該デフケースまたはキャリア何れか一方の前記接合面に、該接合面の内周部から前記プラネタリ軸受にオイルを導く油通路を設けたことを特徴とする車両の動力伝達装置を提案する。 【0009】請求項2ないし3記載の発明は、請求項1記載ナ発明の具体的手段に係り、請求項2記載の発明は、請求項1において、前記遊星ピンの内部に、前記プラネタリ軸受に連通される油穴を設け、前記接合面の油通路を、該接合面の内周側に設けられた環状の油溝と、該油溝から前記プラネタリ軸受の方向に放射状に形成された半径方向の油溝とにより構成したことを特徴とする。 【0010】請求項3記載の発明は、請求項2において、前記キャリアとデフケースとを、前記入力軸心に平行な円筒状嵌合面からなるインロー嵌合にて嵌着して該両部材をボルトにより締着し、前記環状の油溝及び半径方向の油溝を、前記インロー嵌合の外側に形成したことを特徴とする。 【0011】かかる発明によれば、デフケースまたはキャリアの接合面の内周側に設けられた環状の油溝の下部は、アクスルハウジング内のオイルの油面下にあって該アクスルハウジング内に貯められているオイル内に常時浸漬されており、該環状の油溝内のオイルは、遊星歯車式減速装置の回転に伴うキャリア及びこれに支持されたプラネタリ軸受の公転によって発生する遠心力で、前記半径方向の油溝内を外周方向に運ばれて、遊星ピンの内部に設けられた油穴の入口に達し、該油穴からプラネタリ軸受に供給される。 【0012】従ってかかる発明によれば、環状の油溝内には、該油溝の下部がアクスルハウジング内のオイルの油面下にあるため、オイルが常時貯えられており、このオイルを遠心力により半径方向の油溝内を通してプラネタリ軸受に供給するので、プラネタリ軸受が前記油面から離れた上側にあるときでも、プラネタリ軸受には連続的にオイルが供給されることとなり、該プラネタリ軸受にオイル不足が発生することは無い。 【0013】また、かかる発明によれば、デフケースまたはキャリア何れか一方の接合面に前記環状の油溝及び半径方向の油溝を設けるのみで、前記のように、プラネタリ軸受に充分な量のオイルを供給可能となるので、従来技術のようなオイルポンプ等の格別な装置や複雑な油路の形成を必要とせず、構造が簡単化されるとともに部品点数が減少して低コストの装置が得られ、さらには、かかる潤滑のための設置スペースの増大が回避され、車載スペースの有効利用が可能となる。 【0014】また、請求項3のように構成すれば、ボルトとインロー嵌合にて強固に接合された接合面に油溝を設けることにより、該油溝内のオイルは油溝外に漏れることなく、確実にプラネタリ軸受に搬送される。 【0015】請求項4記載の発明は、 電動モータの回転子に減速装置の入力軸を連結し、前記電動モータの回転を前記減速装置にて減速し、これを差動装置を介して左右の車輪に伝達するようにした車両の動力伝達装置において、前記減速装置を、サンギヤの外周とリングギヤの内周との間に、キャリアに固着された遊星ピンにプラネタリ軸受を介して支承された複数のプラネタリギヤを配してなる遊星歯車式減速装置にて構成し、前記遊星歯車式減速装置が収容されるアクスルハウジングの側壁面に、前記プラネタリギヤの側面及び前記プラネタリ軸受を対向させて配し、前記アクスルハウジングの側壁面には、該アクスルハウジングの側壁面と前記プラネタリギヤの側面との隙間にあるオイルを、該隙間の内周部から前記プラネタリ軸受に導く油通路を設けたことを特徴とする車両の動力伝達装置にある。 【0016】請求項5ないし6記載の発明は、請求項4記載の発明の具体的手段に係り、請求項5記載の発明は、請求項4において、前記遊星ピンの内部に、前記プラネタリ軸受に連通される油穴を設けるとともに、前記アクスルハウジングの側壁面の油通路を、前記遊星ピンの油穴入口に対向する部位に設けられた環状の油溝と、前記側壁面の内周側から前記環状の油溝の方向に放射状に形成された半径方向の油溝とにより構成したことを特徴とする。 【0017】また、請求項6記載の発明は、請求項5において、前記アクスルハウジングの側壁面に、前記環状の油溝から該側壁面の外周方向に放射状に形成された半径方向の油溝を設けるとともに、該油溝の外周端部には、該油溝にオイルを案内する突起部を設けたことを特徴とする。 【0018】請求項4ないし6記載の発明は、プラネタリ軸受への油通路をアクスルハウジングの側壁面に設けたことを特徴としており、かかる発明によれば、アクスルハウジングの側壁面の下部及び環状の油溝の下部は、アクスルハウジング内のオイルの油面下にあって該アクスルハウジング内に貯められているオイル内に常時浸漬されており、該アクスルハウジングの側壁面とプラネタリギヤの側面との隙間にあるオイルは、遊星歯車式減速装置の回転に伴うキャリア及びこれに支持されたプラネタリ軸受の公転によって発生する遠心力で、半径方向の油溝内を外周方向に運ばれて、遊星ピンの油穴入口に対向する部位に設けられた前記環状の油溝の前記オイル内に浸漬されていない部位に達し、該環状の油溝から、遊星ピンの内部に設けられた油穴に入り、該油穴を通ってプラネタリ軸受に供給される。 【0019】従ってかかる発明によれば、アクスルハウジングの側壁面の下部及び環状の油溝の下部が、該アクスルハウジング内のオイルの油面下にあるため、アクスルハウジングの側壁面とプラネタリギヤの側面との隙間の下部にはオイルが常時貯えられており、このオイルを遠心力により半径方向の油溝及び環状の油溝内を通してプラネタリ軸受に供給するので、プラネタリ軸受が前記油面から離れた上側にあるときでも、プラネタリ軸受には連続的にオイルが供給されることとなり、該プラネタリ軸受にオイル不足が発生することは無い。 【0020】また、かかる発明によれば、アクスルハウジングの側壁面に前記環状の油溝及び半径方向の油溝を設けるのみで、前記のように、プラネタリ軸受に充分な量のオイルを供給可能となるので、従来技術のようなオイルポンプ等の格別な装置や複雑な油路の形成を必要とせず、構造が簡単化されるとともに部品点数が減少して低コストの装置が得られ、さらには、かかる潤滑のための設置スペースの増大が回避され、車載スペースの有効利用が可能となるという、請求項1ないし3記載の発明と同様な効果が得られる。 【0021】また、請求項6のように構成すれば、遊星歯車式減速装置の回転によって発生する遠心力で、アクスルハウジングの側壁面の外周部に飛散されたオイルは、前記突起部に案内されて、前記環状の油溝から該側壁面の外周方向に放射状に形成された半径方向の油溝内に入り、該油溝を通って前記環状の油溝に運ばれ、該油溝から前記遊星ピンの内部に設けられた油穴を経てプラネタリ軸受に供給される。 【0022】従って、かかる発明によれば、アクスルハウジングの側壁面の外周部寄りの部位に飛散されているオイルも、前記突起部及び半径方向の油溝を経てプラネタリ軸受に供給されることとなり、該プラネタリ軸受へのオイル供給量がさらに増大される。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。 【0024】図1は本発明の実施形態における、第1実施例に係るバッテリー式フォークリフトの動力伝達装置の遊星歯車式減速装置とかさ歯車式差動装置との結合部における潤滑機構を示す出力軸心に沿う断面図(図6のZ部詳細図)、図2は図1のA−A矢視図、図3は第2実施例におけるアクスルハウジングの側壁面近傍を示す図1対応図、図4は図3のB−B矢視図、図5は図3のY部拡大図、図6は前記動力伝達装置の全体構成を示す出力軸心に沿う断面図である。 【0025】本発明が適用される動力伝達装置の全体構成を示す図6において、9、9は左右の車輪、6はアクスルハウジングであり、該アクスルハウジング6は右側の車輪を支持する第1アクスルハウジング6aと、左側の車輪を支持する第2アクスルハウジング6bとよりなる。100は電動モータで、前記第1アクスルハウジング6a内に収納されている。1は該電動モータ100のステータ、2はロータ即ち回転子である。前記ロータ2は中空に構成されて、中空に形成された後述する第1段減速機3の入力軸29に連結されている。そして、該電動モータ100は、回転子にスリットが設けられた埋込み磁石型交流モータにより構成するのが好ましい。 【0026】前記第2アクスルハウジング6b内には、2段の遊星歯車式減速機即ち第1段減速機3及び第2段減速機4、並びにかさ歯車式の差動装置10が収納されている。前記第1アクスルハウジング6aと第2アクスルハウジング6bとは、両者の間に前記第1段減速機3のリングギヤ3a及び第2段減速機4のリングギヤ4aを挿み、ボルト6c により共締めにて固着されている。17は分割部である。61、61は前記 第1アクスルハウジング6a及び第2アクスルハウジング6bを車体(図示省略)に固定するためのブラケットである。 【0027】前記第1段減速機3は、サンギヤ3c、複数のプラネタリギヤ3b、リングギヤ3a及びキャリヤ3dよりなる遊星歯車式減速機、また前記第2段減速機4は、サンギヤ4c、複数のプラネタリギヤ4b、リングギヤ4a及びキャリヤ4dよりなる遊星歯車式減速機であり、何れも公知の遊星歯車式減速機である。前記 第1段減速機3のサンギヤ3cは前記入力軸29に連結され、第1段減速機3のキャリヤ3dは第2段減速機4のサンギヤ4cに連結され、第2段減速機4のキャリヤ4d は前記かさ歯車式差動装置10のデフケース10eに連結されている。 【0028】前記かさ歯車式差動装置10は、デフケース10e、該デフケース10e側のかさ歯車10c、出力側のかさ歯車10a及び10bよりなる公知の差動装置である。該差動装置10の出力側のかさ歯車の一方10bは右側の出力軸7に連結され、該出力軸7は中空の前記入力軸29の内部を貫通されてからハブ28に固着される。該ハブ28には右側の車輪9がボルト22により固着されている。一方、他方側のかさ歯車10aは左側の出力軸8に連結され、該左側の出力軸8の軸端にはハブ28が固着され、該ハブ28には左側の車輪9がボルト22により固着されている。 【0029】前記電動モータ100、遊星歯車式の第1段減速機3及び第2段減速機4、及びかさ歯車式差動装置10は、図6に示すように、これらの回転中心を同一軸線上に配置される。 【0030】20及び21は前記第1アクスルハウジング6a及び第2アクスルハウジング6bの端部外周と前記ハブ28の内周との間に介装された軸受であり、前記左右の車輪9、9をハブ28を介して前記第1アクスルハウジング6aあるいは第2アクスルハウジング6bに支持するものである。11は前記かさ歯車式差動装置10のデフケース10eと前記第2アクスルハウジング6bとの間に介装された軸受、15及び16は前記入力軸29と第1アクスルハウジング6aとの間に介装された軸受である。 【0031】13は前記右側のハブ28に連結された右側のブレーキ、14は前記左側のハブ28に連結された左側のブレーキである。前記左右のブレーキ13及び14は、前記第1アクスルハウジング6a及び第2アクスルハウジング6bの端部寄りの外側に設置される。 【0032】かかる構成からなる動力伝達装置において、モータ100の回転力は、入力軸29から第1段減速機3に入力され、ここで第1段の減速がなされ、次いで、第2段減速機4において第2段の減速がなされてかさ歯車式の差動装置10に伝達される。そして、該回転力は、前記差動装置10において左右の出力軸7、8に分配されて左右の車輪9、9に伝達され、これらを駆動する。 【0033】本発明は、以上の構成を備えた動力伝達装置において、図6のZ部に示されている、遊星歯車式減速機3、4のプラネタリ軸受3g、4gの潤滑機構の改良に係るものである。 【0034】図1〜2はその第1実施例を示し、同図において、4は第2段減速機であり、前記第一段減速器3のキャリア3dにスプライン結合されるサンギヤ4cの外周とアクスルハウジング6に固定されたリングギヤ4aの内周との間に、キャリア4dに固着された遊星ピン4eにプラネタリ軸受4gを介して支承された複数のプラネタリギヤ4bを配して構成される。前記各遊星ピン4eには、その軸方向に油穴4iが穿孔されるとともに、該油穴4iからプラネタリ軸受4gに向けて、半径方向の油穴4hが複数個穿孔されている。 【0035】10は差動装置であり、該差動装置10のデフケース10eは、第2段減速機4のキャリア4dに、前記出力軸7、8の軸心に平行な円筒状嵌合面からなるインロー嵌合部311にて嵌着するとともに、前記入力軸29の軸心に直角な接合面40にて当接させ、両者を複数のボルト30により締着している。前記デフケース10eには、前記出力軸7、8の軸心と直角なデフ軸10fがピン10gにより廻り止めを施されて固着され、差動用のかさ歯車10cを支持している。また前記出力軸7、8の軸端にスプライン結合された出力用のかさ歯車10a及び10bの軸部外周は、前記デフケース10eの前後に形成された軸受部である歯車軸支部331及び321に回転自在に支持されている。361、361はスラストワッシャで、前記デフケース10eの内側に形成されたスラスト受面と前記出力用のかさ歯車10a及び10bの背面との間に介装され、該差動装置10に加わるスラスト荷重を受けるものである。 【0036】前記デフケース10eの前記接合面40には、出力軸7、8と同心の環状の油溝33と、該油溝33から前記プラネタリ軸受4gの方向に放射状に形成された半径方向の油溝32とが刻設されている。該環状の油溝33は、前記接合面40の内周寄りの前記インロー嵌合部311の直ぐ外側に設けられている。 【0037】また、前記半径方向の油溝32は、前記プラネタリギヤ4b即ち各プラネタリ軸受4gと同数設けられ、外周側の油入口31は、前記各プラネタリ軸受4gと同心に設けられ、該半径方向の油溝32は該油入口31を介して前記遊星ピン4eの油穴4iと連通されている。尚、前記環状の油溝33、半径方向の油溝32、油入口31等の油通路は、前記接合面40のキャリア4d側に設けてもよい。 【0038】かかる実施例によれば、動力伝達装置の運転時においては、デフケース10eの接合面40の内周側に設けられた環状の油溝33の下部は、アクスルハウジング6内におけるオイルの油面34の下にあって、該アクスルハウジング6内に貯められているオイル内に常時浸漬されている。そして、該環状の油溝33内のオイルは、遊星歯車式の減速機4の回転に伴うキャリア4d及びこれに遊星ピン4eを介して支持されたプラネタリ軸受4gの公転によって発生する遠心力で、前記半径方向の油溝32内を外周方向に運ばれて、該油入口31から前記遊星ピン4eの内部に設けられた軸方向の油穴4iの入口に達し、該油穴4iから半径方向の油穴4を経てプラネタリ軸受4gに供給される。 【0039】従ってかかる実施例によれば、前記環状の油溝33内には、該油溝33の下部がアクスルハウジング6内のオイルの油面34下にあるため、オイルが常時貯えられており、このオイルを遠心力により半径方向の油溝32内を通してプラネタリ軸受4gに供給するので、該プラネタリ軸受4gが前記油面34から離れた上側にあるときでも、プラネタリ軸受4gには連続的にオイルが供給されることとなり、該プラネタリ軸受4gにオイル不足が発生することは無い。 【0040】また、かかる実施例によれば、デフケース10またはキャリア4何れか一方の接合面40に前記環状の油溝33及び半径方向の油溝32を設けるのみで、前記のように、プラネタリ軸受4gに充分な量のオイルを供給可能となるので、従来技術のようなオイルポンプ等の格別な装置や複雑な油路の形成を必要とせず、構造が簡単化されるとともに部品点数が減少される。 【0041】また、デフケース10eとキャリア4dとを、ボルト30とインロー嵌合311にて強固に接合された接合面40に油溝32、33を設けているので、該油溝32、33内のオイルは油溝外に漏れることなく、確実にプラネタリ軸受4gに搬送される。 【0042】図3〜5は第2実施例を示し、この実施例においては、前記第2段減速機4よりも高速低負荷の第1段減速機3のプラネタリ軸受3gへのオイル供給用油通路をアクスルハウジング6の側壁面50に形成している。 【0043】即ち図3〜5において、50はアクスルハウジング6の側壁面で、該側壁面50には前記第1段減速機3のプラネタリギヤ3bの側面及び前記プラネタリ軸受3gが対向している。該側壁面50には、前記遊星ピン3eの油穴3i入口に対向する部位に環状の油溝37が設けられるとともに、該側壁面50の内周側の部位から該環状の油溝37の方向に、前記プラネタリギヤ3bと同数(この場合は3個)の半径方向の油溝39が、放射状に形成されている。尚、この油溝39の個数は任意でよい。 【0044】また、前記アクスルハウジング6の側壁面には、前記環状の油溝37から該側壁面50の上部外周方向に、半径方向の油溝36が放射状に形成されるとともに、該油溝36の外周端部には、該油溝36内にオイルを案内するための突起部38が設けられている。その他の構成は前記第1実施例と同様であり、これと同一の部材は同一の符号で示す。 【0045】かかる実施例によれば、装置の運転時においては、前記側壁面50の下部及び環状の油溝37の下部は、アクスルハウジング6内のオイルの油面34下にあって該アクスルハウジング6内に貯められているオイル内に常時浸漬されている。このため、該側壁面50とプラネタリギヤ3bの側面との隙間にあるオイルは、遊星歯車式減速機の回転に伴うキャリア3d及びこれに支持されたプラネタリ軸受3gの公転によって発生する遠心力で、半径方向の油溝39内を外周方向に運ばれて、遊星ピン3eの油穴3i入口に対向する部位に設けられた前記環状の油溝37の前記オイル内に浸漬されていない部位に達し、該環状の油溝37から、前記遊星ピンの軸方向の油穴3iに入り、該油穴3i及び半径方向の油穴3hを通ってプラネタリ軸受3gに供給される。 【0046】従って、かかる実施例によれば、アクスルハウジング6の側壁面50の下部及び環状の油溝37の下部が、オイルの油面34下にあるため、前記側壁面50とプラネタリギヤ3bの側面との隙間の下部にはオイルが常時貯えられており、このオイルを遠心力により半径方向の油溝39及び環状の油溝37内を通してプラネタリ軸受3gに供給するので、該プラネタリ軸受3gが前記油面34から離れた上側にあるときでも、該プラネタリ軸受3gには連続的にオイルが供給されることとなり、該プラネタリ軸受3gにオイル不足が発生することは無い。 【0047】また、遊星歯車式減速機の回転によって発生する遠心力で、アクスルハウジング6の側壁面50の外周部に飛散されたオイルは、前記突起部38に案内されて、前記環状の油溝37から該側壁面50の外周方向に放射状に形成された半径方向の油溝36内に入り、該油溝36を通って前記環状の油溝37に運ばれ、該油溝37から前記遊星ピン3eの油穴3i及び3hを経てプラネタリ軸受3gに供給される。 【0048】従って、アクスルハウジング6の側壁面50の外周部寄りの部位に飛散されているオイルも、前記突起部38及び半径方向の油溝36を経てプラネタリ軸受3gに供給されることとなり、該プラネタリ軸受3gへのオイル供給量がさらに増大される。 【0049】また、かかる実施例によれば、アクスルハウジング6の側壁面50に、前記環状の油溝37、半径方向の油溝39、半径方向の油溝36、及び突起部38を設けるのみで、前記のように、プラネタリ軸受3gに充分な量のオイルを供給可能となるので、従来技術のようなオイルポンプ等の格別な装置や複雑な油路の形成を必要とせず、構造が簡単化されるとともに部品点数が減少する。また、かかる潤滑のための設置スペースの増大が回避される。 【0050】 【発明の効果】以上記載の如く請求項1ないし3記載の発明によれば、デフケースまたはキャリア何れか一方の接合面に形成された環状の油溝内には、該油溝の下部がアクスルハウジング内のオイルの油面下にあるため、オイルが常時貯えられており、このオイルを遠心力により半径方向の油溝内を通してプラネタリ軸受に供給するので、プラネタリ軸受が前記油面から離れた上側にあるときでも、プラネタリ軸受には連続的にオイルが供給されることとなり、該プラネタリ軸受にオイル不足が発生することが無く、常時十分な量のオイルを供給することができ、オイル不足による摩耗、焼き付き等の発生を防止することができる。 【0051】また、かかる発明によれば、デフケースまたはキャリア何れか一方の接合面に前記環状の油溝及び半径方向の油溝を設けるのみで、前記のように、プラネタリ軸受に充分な量のオイルを供給可能となるので、従来技術のようなオイルポンプ等の格別な装置や複雑な油路の形成を必要とせず、構造が簡単化されるとともに部品点数が減少して低コストの装置を得ることができ、さらには、かかる潤滑のための設置スペースの増大が回避され、車載スペースの有効利用が可能となる。 【0052】さらに、請求項3のように構成すれば、ボルトとインロー嵌合にて強固に接合された接合面に油溝を設けることにより、該油溝内のオイルは油溝外に漏れることなく、確実にプラネタリ軸受に搬送されることとなり、該プラネタリ軸受に安定して常時十分な量のオイルを供給することができる。 【0053】また、請求項4〜6の発明によれば、アクスルハウジングの側壁面の下部及び環状の油溝の下部が、該アクスルハウジング内のオイルの油面下にあるため、アクスルハウジングの側壁面とプラネタリギヤの側面との隙間の下部にはオイルが常時貯えられており、このオイルを遠心力により半径方向の油溝及び環状の油溝内を通してプラネタリ軸受に供給するので、プラネタリ軸受が前記油面から離れた上側にあるときでも、プラネタリ軸受には連続的にオイルが供給されることとなり、該プラネタリ軸受にオイル不足が発生することは無く、常時十分な量のオイルを供給できる。 【0054】また、請求項4〜6の発明によれば、アクスルハウジングの側壁面に前記環状の油溝及び半径方向の油溝を設けるのみで、前記のように、プラネタリ軸受に充分な量のオイルを供給可能となるので、従来技術のようなオイルポンプ等の格別な装置や複雑な油路の形成を必要とせず、構造が簡単化されるとともに部品点数が減少して低コストの装置が得られ、さらには、かかる潤滑のための設置スペースの増大が回避され、車載スペースの有効利用が可能となるという、請求項1ないし3記載の発明と同様な効果が得られる。 【0055】また、請求項6のように構成すれば、アクスルハウジングの側壁面の外周部寄りの部位に飛散されているオイルも、前記突起部及び半径方向の油溝を経てプラネタリ軸受に供給されることとなり、該プラネタリ軸受へのオイル供給量がさらに増大される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月2日(1999.11.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083024 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 昌久 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−132801(P2001−132801A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月18日(2001.5.18) |
| 【出願番号】 |
特願平11−313002 |
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