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【発明の名称】 走行車両の変速操作リンク機構
【発明者】 【氏名】佐藤 昇一

【氏名】山口 雅彦

【氏名】橘田 晃広

【氏名】松井 孝広

【要約】 【課題】主変速レバーとミッションケースの変速アームと連結するリンク機構をステップの下方を通過させると、それを通過させるためのステップが高くなっていた。

【解決手段】走行変速用HST60と操向用HST90をミッションケース17上に配置し、該走行変速用HSTの変速アーム54と操向用HSTの変速アーム55と、ステアリングコラム12下部に配置した操作用アーム136・140とをそれぞれロッドを介して連結する構成であって、ステップ10側方に配置したHSTの変速アームと操作用アームを平面視L状に配置したロッド141・147にて連結した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行変速用油圧式無段変速装置(以下走行変速用HST)と操向用油圧式無段変速装置(以下操向用HST)をミッションケース上に配置し、該走行変速用HSTの変速アームと操向用HSTの変速アームと、ステアリングコラム下部に配置した操作用アームとをそれぞれロッドを介して連結する構成であって、ステップ側方に配置したHSTの変速アームと操作用アームを平面視L状に配置したロッドにて連結したことを特徴とする走行車両の変速操作リンク機構。
【請求項2】 走行変速用HSTと操向用HSTをミッションケース上に配置し、該走行変速用HSTの変速アームと操向用HSTの変速アームと、ステアリングコラム下部に配置した操作用アームとをそれぞれロッドを介して連結する構成であって、ステップ下方に燃料タンクを配置し、該燃料タンクの前上部を凹ませて前記操作用アームと連結ロッドを配置したことを特徴とする走行車両の変速操作リンク機構。
【請求項3】 走行変速用HSTと操向用HSTをミッションケース上に配置し、該走行変速用HSTの変速アームと操向用HSTの変速アームと、ステアリングコラム下部に配置した操作用アームとをそれぞれロッドを介して連結する構成であって、ステアリングコラム側方にサイドコラムを配置し、該サイドコラム下方に両HSTを配置し、該サイドコラム下方のステップ側部に中継部材を配置し、前記操作用アームと変速アームをそれぞれロッドと中継部材を介して連結したことを特徴とする走行車両の変速操作リンク機構。
【請求項4】 前記中継軸を支持する部材を駐車ブレーキのロックレバーの支点軸を支持する部材と一体としたことを特徴とする請求項3記載の走行車両の変速操作リンク機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油圧式無段変速装置により前後進の変速を行うコンバインのステアリングコラム設けた主変速レバーとミッションケースに設けた変速アームとを連結するためのリンク機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、走行変速用HSTと操向用HSTをミッションケース上に配置したコンバインは公知となっており、コンバインの主変速レバーはサイドコラム上に配置され、該主変速レバーの回動によりミッションケースに配置した走行変速用HSTの可動斜板を傾倒する変速アームを回動して、前後進と主変速を行えるようにしていた。また、燃料タンクは座席シートの下方やエンジン近傍に配置されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】小型のコンバインにおいては、エンジンを座席下方に配置すると、燃料タンクを配置するスペースがなくなるために、ステップ下方に配置することが考えられるが、ステップ下方に配置するとステップが高くなり、乗降がし難くなり、補助ステップ等が必要となるのである。
【0004】また、主変速レバーはサイドコラムに配置するよりも、ステアリングコラムに配置したほうがハンドルの近く操作がしやすくなるのであるが、主変速レバーとミッションケースの変速アームと連結するために、このリンク機構を最短距離でステップの下方を通過させると、その通過させるだけの空間が必要となり、ステップが高くなるという不具合があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。すなわち、請求項1においては、走行変速用HSTと操向用HSTをミッションケース上に配置し、該走行変速用HSTの変速アームと操向用HSTの変速アームと、ステアリングコラム下部に配置した操作用アームとをそれぞれロッドを介して連結する構成であって、ステップ側方に配置したHSTの変速アームと操作用アームを平面視L状に配置したロッドにて連結したものである。
【0006】請求項2においては、走行変速用HSTと操向用HSTをミッションケース上に配置し、該走行変速用HSTの変速アームと操向用HSTの変速アームと、ステアリングコラム下部に配置した操作用アームとをそれぞれロッドを介して連結する構成であって、ステップ下方に燃料タンクを配置し、該燃料タンクの前上部を凹ませて前記操作用アームと連結ロッドを配置したものである。
【0007】請求項3においては、走行変速用HSTと操向用HSTをミッションケース上に配置し、該走行変速用HSTの変速アームと操向用HSTの変速アームと、ステアリングコラム下部に配置した操作用アームとをそれぞれロッドを介して連結する構成であって、ステアリングコラム側方にサイドコラムを配置し、該サイドコラム下方に両HSTを配置し、該サイドコラム下方のステップ側部に中継部材を配置し、前記操作用アームと変速アームをそれぞれロッドと中継部材を介して連結したものである。
【0008】請求項4においては、前記中継軸を支持する部材を駐車ブレーキのロックレバーの支点軸を支持する部材と一体としたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同じく全体平面図、図3は動力伝達機構のスケルトン図、図4は走行変速用HSTとミッションケースの後面断面図、図5は操向用HSTとミッションケースの正面断面図、図6はステアリングコラムと駐車ブレーキとセーフティーペダルの連結部を示す正面図、図7はステアリングコラム内のリンク機構を示す正面断面図、図8は同じく側面図、図9は揺動部材の平面図、図10はステアリング機構の模式図、図11は前進時のリンクの動きを示す図、図12は後進時のリンクの動きを示す図、図13は中立戻し機構の側面図、図14は同じく拡大側面図、図15は同じく正面断面図、図16は駐車ブレーキレバー基部の側面図、図17は駐車ブレーキとセーフティーペダルの連結部の拡大正面図、図18は駐車ブレーキとセーフティーペダルの連結部の拡大側面図、図19は燃料タンクと変速レバー駆動リンク系を示す側面図、図20は同じく平面図、図21は同じく正面図、図22は燃料タンクの給油口の平面図、図23は同じく側面図、図24は中立戻し機構の配置の別実施例を示す正面図である。
【0010】まず、本発明に係わる車両のトランスミッションを搭載したコンバインの全体構成について、図1、図2により説明する。クローラ式走行装置1上に機体フレーム2を支持し、機体フレーム2上の左側上に選別装置、その上に脱穀部3を配置し、該脱穀部3の前部に刈取部4を昇降可能に配置している。また、脱穀部3の右側にグレンタンク5を配置し、該グレンタンク5の後部から前方へ排出オーガ6を配置し、該グレンタンク5の前方に操縦部7を配置している。こうして、刈取部4により刈り取った穀稈を、後部の脱穀部3に搬送して、該脱穀部3において脱穀し、選別した後の穀粒を、グレンタンク5において貯留する。該グレンタンク5において貯留した穀粒を、排出オーガ6により搬送して、畦道に配置したトラックの荷台等に排出できるようにしている。
【0011】前記操縦部7はステップ10の後部に座席シート11が配置され、ステップ1の前部にステアリングコラム12が立設され、該ステアリングコラム12上に丸形の操向ハンドル13が配設され、該ステアリングコラム12の上部左側面より主変速レバー14が突出され、前記ステップ10の右側面より駐車ブレーキレバー15が突出されている。そして、座席シート11及びステップ10の左側よりサイドコラム16が立設され、作業レバーや副変速レバー等が配置されている。また、ステップ10の左側に主変速装置を中立に戻す操作手段としてセーフティーペダル36が配置されている。
【0012】前記刈取部4は刈取フレーム220前端に分草板221を配置して、該分草板221の後部に引起し装置222を配置し、その後下部に刈刃223を配置している。そして、刈刃223上方に掻込ベルトやスターホィール等からなる下部搬送装置224、その上方に穂先搬送装置225が配置され、下部搬送装置224の後部には縦搬送装置226が配置されている。
【0013】次に、走行変速用HST60と操向用HST90からミッションケース17内の動力伝達機構について、図3、図4、図5より説明する。まず、走行変速用HST60から車軸61L・61Rへの動力伝達機構を説明する。エンジン9の出力軸に出力プーリー62が固定されている。該出力プーリー62と走行変速用HST60のポンプ軸64に固設された入力プーリー63との間にVベルト70が巻回されて動力が伝達可能とされている。更に、該ポンプ軸64の上には、操向用HST90に動力を伝達する為の、出力プーリー65が固設されており、該出力プーリー65と操向用HST90のポンプ軸91上に固設した入力プーリー92の間にVベルト71が巻回されている。そして、前記ポンプ軸64・91上にはそれぞれ冷却ファン66・93が固設されている。
【0014】また、前記走行変速用HST60の出力軸であるモータ軸67上に、変速ギア68・69が遊嵌され、該変速ギア68・69はそれぞれ変速軸81上に固設した固設歯車72・73とそれぞれ常時噛合している。そして、該変速ギア68・69の間のモータ軸67上にスライダー74がスプライン嵌合され、該スライダー74を摺動することによって変速ギア68・69の何れかと噛合して動力を伝達可能として副変速機構を構成している。また、前記固設歯車72はブレーキ軸82上に固設した歯車75と常時噛合しており、該ブレーキ軸82の一端にはブレーキ装置76が配置されている。また、ブレーキ軸82上には歯車77が固設され、該歯車77は回転自在に軸受支持したカウンター軸83上に固設した歯車78と噛合し、該歯車78はセンター軸84上に固設したセンターギア79と噛合して動力が伝達されるのである。
【0015】次に、遊星ギア式操向機構について説明する。遊星ギア式操向機構は、センター軸84と太陽ギア85L・85Rと遊星ギア86L・86Rとベベルギア付きインターナルギア87L・87Rとキャリア89L・89R等により構成されている。該センター軸84の左右の端部には、太陽ギア85L・85Rが固設され、該太陽ギア85L・85Rの外周に、複数組がセットとなった遊星ギア86L・86Rが噛合され、該遊星ギア86L・86Rの外周には、ベベルギア付きインターナルギア87L・87Rに噛合されている。
【0016】そして、前記遊星ギア86L・86Rは、それぞれが左右のキャリア89L・89Rに回転自在に軸受けされ、該キャリア89L・89Rは、前記左右の車軸61L・61Rに係合固設されており、該車軸61L・61Rの左右の端部には、駆動スプロケット57L・57Rが設けられ、該駆動スプロケット57L・57Rにより前記左右のクローラ式走行装置1を駆動するようにしている。
【0017】また、操向用HST90のモータ軸94上にギア95を固設し、該ギア95は減速軸96上に固設したギア97と常時噛合し、該減速軸96上には安定したニュートラル状態を作りだすブレーキ機構100が配置されている。前記減速軸96上には更にギア98が固設され、減速軸99上のギア101と噛合している。該減速軸99の端部にベベルギア102が固設され、該ベベルギア102がベベルギア103と噛合し、該ベベルギア103はベベルギア軸104の一端に固設され、該ベベルギア軸104の他端には操向用ベベルギア105を固設し、該操向用ベベルギア105は前記インターナルギア87L・87Rの外周に形成したベベルギヤ87La・87Raと噛合している。
【0018】以上のような構成において、主変速レバー14の操作により走行変速用HST60の変速アーム54が回動されて油圧ポンプの斜板が回動され、走行無段変速および前後進の切換えが行われる。また、操向ハンドル13の回動により操向用HST90の変速アーム55が回動されて油圧ポンプの斜板が回動され、モータ軸を正逆転させて遊星ギア式操向機構を駆動する。
【0019】即ち、操向ハンドル13を直進方向に向けた状態では、操向用HST90はニュートラル位置でモータ軸94は回転せず、該モータ軸94に連動した操向用ベベルギア105が回転しないので、左右のベベルギア付きインターナルギア87L・87Rも回転しない状態となり、主変速レバー14の回動量に応じた走行変速用HST60からの出力回転が、左右の太陽ギア85L・85Rに伝えられて、左右の遊星ギア86L・86Rと、キャリア89L・89Rと、車軸61L・61Rに左右同じ回転数の動力が伝えられて直進状態となるのである。
【0020】そして、旋回するために操向ハンドル13を左右何れかに回動すると、操向用HST90の変速アーム55が回動されて、モータ軸94が正転または逆転駆動されて、操向ハンドル13の回転角度に応じた回転が、操向ベベルギア36に伝達される。そして、左右のベベルギア付きインターナル9L・9Rを、強制的に操向用HST90により、無段階にかつ左右で正逆に回転させるので、操向用HST90の変速アーム55を操作することにより、ベベルギア付きインターナルギア87L・87Rが互いに正逆方向に回転されて、左右の遊星ギア機構には、一方は増速回転が、他方には減速回転が伝えられて、太陽ギア85L・85Rの回転数を一方は加算、他方は減算されて、車軸61L・61Rに伝達されて、左右の車軸61L・61Rの回転数が異なるようになって旋回されるのである。
【0021】次に、前記操向ハンドル13及び主変速レバー14の操作回転を、それぞれ操向用HST90の可動斜板を傾倒させる変速アーム55、及び、走行変速用HST60の可動斜板を傾倒させる変速アーム54に伝えるためのリンク機構について説明する。まず、図6に示すように、ステアリングコラム12内にリンク機構が配設されており、操向ハンドル13のハンドル軸120はベベルギヤ等を介して操向入力軸119に伝えられ、該操向入力軸119の下端は、図7〜図10に示すように、旋回方向を前後進に合わせる変更機構の揺動部材121とユニバーサルジョイント124を介して連結され、該揺動部材121は中央部を円錐状に構成して軸受を介して揺動軸52の端部に設けた受部52aに支持されている。該揺動部材121は前記操向ハンドル13の回動とともに操向入力軸119を中心回動でき、かつ、揺動軸52を中心に傾倒可能としている。
【0022】そして、該揺動部材121からアーム部121aが側方に延出され、該アーム部121aの先端に、図9に示すように、ピンまたはボルト125a・125bを適宜間隔を開けて立設し、該ボルト125a・125bは連結体126に開口した長孔126a・126bに挿入されている。該長孔126a・126bは小判形で操向入力軸119の軸心O1に対して接線方向、つまり、半径方向に対して直角方向に開口されている。そして、該連結体126は板状で操向入力軸119に対して直角方向(略水平方向)に配置され、該連結体126の一端にユニバーサルジョイント等のジョイント123aを介して操向系リンク123と連結されている。
【0023】該ジョイント123aは操向ハンドル13が直進位置のとき前記揺動軸52の延長上に位置し、該揺動軸52は左右方向で前記軸心O1と交差するように配置し、該揺動軸52は後述するプレート等を介して主変速レバー14と連結されている。また、前記リンク123の下端は球形ジョイント123bを介してアーム127aと連結され、該アーム127aのボスは軸122に回転自在に支持され、該ボスからはさらにアーム127bが突設され、該アーム127b先端に連結ロッド128が枢結され、該連結ロッド128の他端はアーム129を介して内軸130の上部と連結されている。そして、該内軸130の下端から後述するリンクやアーム等を介して操向用HST90の変速アーム55と連結されるのである。
【0024】また、前記連結体126の他端にジョイント131aを介して走行系リンク131と連結され、該ジョイント131aは軸心O1を中心として前記ジョイント123aと90度離れた位置に配置され、本実施例では後方に配置している。そして、該リンク131の下端はジョイント131bを介してアーム132aに連結され、該アーム132aを固設した軸132cにはさらにアーム132bが突設され、該アーム132b先端にロッド133の一端が連結され、該ロッド133の他端にアーム134を介して外軸135の上部と連結されている。
【0025】該外軸135はパイプ状に構成されて、前記内軸130を回転自在に内嵌するとともに、ステアリングコラム12下部に軸受を介して回転自在に垂直方向に支持されている。そして、後述するリンクやアーム等を介して走行変速用HST60の変速アーム54と連結されている。そして、前記操向用リンク123の下端のジョイント123bと、走行系リンク131の下端のジョイント131bは軸心O1の延長上に配置されている。
【0026】このような構成において、図11に示すように、主変速レバー14を例えば前進側へ回動して変速操作を行うと、揺動軸52の回動と共に揺動部材121(アーム部121a)が傾倒され、走行用リンク131が上方へ持ち上げられて、アーム132、ロッド133、外軸135等を介して走行変速用HST60の変速アーム54が回動されて走行変速される。
【0027】この揺動部材121が傾倒された状態で操向ハンドル13を例えば左側へ旋回するように回動すると、不感帯(遊び)を越えて一定角度(本実施例では15度)までは、従来のサイドクラッチを切った作用に略相当する緩旋回ができるようにしている。つまり、図9に示すように、一定角度まではボルト125a・125bが長孔126a・126bを移動する。このとき、長孔126a・126bが円弧状であるとその中だけで移動するので連結体126は移動しないが、接線方向に開口しているので、操向ハンドル13を回動することによって、ボルト125a・125bは長孔126a・126bの内面を押しながら回動する。この押し動作によって連結体126が捩じられて、直接回動されるよりも徐々に操向用リンク123を下方へ押し下げるのである。
【0028】そして更に、左側へ回動すると、ボルト125a・125bは長孔126a・126bの内端面に当たり直接連結体126を変速レバー14で設定された傾斜の状態で回動し、操向用リンク123を下方へ押し下げ、従来のサイドブレーキをかけた作用に略相当する急旋回となるのである。しかし、前記連結体126によって操向用リンク123の上端と走行用リンク131の上端が連結されていることによって、操向用リンク123は中立側から下方へ押し下げるが、走行用リンク131は90度位相が異なっているので、最上昇位置から中立側に向かって下げられることになり、走行速度が減少されるのである。言い換えれば、主変速レバー14で設定した走行速度で機体は走行しているが、操向ハンドル13の回動に従って徐々に走行速度は低下し、急ハンドルをきっても機体の速度が低下されて機体が大きく傾くことがないようにしている。
【0029】そして更に、操向ハンドル13を回動して、平面視で連結体126が90度回転されると、走行用リンク131は中立の位置まで戻り走行変速用HST60は駆動されなくなり、操向用リンク123が下げられた位置に応じて操向用HST90が駆動され、遊星歯車機構を左右互いに同回転数で逆方向に駆動するようになり、芯地旋回をさせることができるのである。なお、操向ハンドル13の回動量はハンドル軸120と操向入力軸119との間に歯車を介して減速させており、連結体126と操向ハンドル13の回動角度は一致せず、操作し易いように角とを設定している。
【0030】前記主変速レバー14を逆に後進側へ回動して、操向ハンドル13を左に回転した場合には、連結体126は後下がりに傾斜され、図12に示すように、走行用リンク131は押し下げられる。そして、操向ハンドル13の左回転によって操向用リンク123は持ち上げられ、前記と同様に変速される。つまり、前進と後進では操向ハンドル13を同方向に回動しても、操向用HST90は前進と後進で逆方向に駆動するようにして、旋回方向を一致させているのである。
【0031】具体的にその理由を説明すると、前記の旋回方向を前後進に合わせる変更機構がなく、操向ハンドル13と変速アーム55、主変速レバー14と変速アーム54を直接連結した場合には、前進で左旋回の場合、操向ハンドル13を左側へ回動して操向用HST90を変速すると、左側の車軸の回転数は減速、右側の車軸の回転数は増速されて、車軸の回転数が右側のほうが大きくなって左側へ旋回する。しかし、後進で左旋回を行うと、前記センター軸84は逆転されるにもかかわらず、操向用ベベルギア105は前後進にかかわりなく旋回方向に合わせた回動方向となるので、左側の車軸は後進側へ駆動されて、前進方向の減速、つまり、後進方向では増速となり、結局、左側が後進方向増速、右側が後進方向減速されて、操向ハンドル13の回転方向と逆方向に旋回してしまうのである。そこで前述した旋回方向を前後進に合わせる変更機構を設けているのてある。
【0032】また、前記主変速レバー14を中立の状態で操向ハンドル13を回動した場合、ジョイント123b・131bは軸心O1の延長上に位置した状態のまま操向用リンク123、走行用リンク131が回動されるだけ、言い換えれば、逆円錐状の下端の頂点を中心に、上部の底面の円周外周上をジョイント123a・131aが移動するだけで、操向用リンク123、及び、走行用リンク131は上下に移動することがなく、機体は停止したままとなり、走行中立位置で操向ハンドル13を回動して、操向用HST90が駆動されて、不意に芯地旋回するようなことがないようにしている。
【0033】次に、中立戻し機構と駐車ブレーキ装置の連係機構について、図6、図13〜図18より説明する。中立戻し機構はカムケース56内に収納され、該カムケース56はステアリングコラム12の側部に配置される。該カムケース56の上部に前記主変速レバー14の基部が挿入され、該主変速レバー14の下部は左右回動軸49を介して取付板48に連結され、該取付板48は基部プレート46に固定されている。該基部プレート46は支点軸47に外嵌されて、該支点軸47はステアリングコラム12に支持板等を介して左右水平方向に支持されて主変速レバー14の回動中心となっている。該支点軸47の端部に主変速レバー14を任意の回動位置に維持するためのバネ等の付勢部材が配置されている。そして、該基部プレート46の上部の内面側に連動ピン50が突出され、該連動ピン50は軸受を介して連動アーム51の長孔51a内に挿入されて連結されている。該連動アーム51の基部は支点軸47より離れる上方に位置して前記揺動軸52に固設されている。そして、該揺動軸52から前記揺動部材121、連結体126、走行用リンク131、その下端からアームやリンク等を介して走行変速用HST60の変速アーム54と連結される。
【0034】このような構成において、主変速レバー14を前または後へ回動して変速操作を行うと、取付板48、基部プレート46、連動ピン50、連動アーム51を介して揺動軸52が回動され、走行用リンク131が上方または下方へ移動されて、アーム、軸、ロッド等を介して変速アーム54を回動して、前進または後進に走行変速用HST60が変速されて駆動される。
【0035】また、図6、図16、図17、図18に示すように、右側のステップフレーム20Rに支持パイプ21が突設され、該支持パイプ21に駐車ブレーキレバー15の基部に設けた支点軸22が支持され、該支点軸22の他端にカム板23が固設されている。該カム板23は側面視三角形状に構成されて、略中央が前記支点軸22に固設され、一頂部がバネ24の一端に係止され、この頂部と対向する辺に二つの凹部23a・23bが形成されて、該凹部23a・23bの何れか一方にピン25が係合されている。
【0036】この駐車ブレーキレバー15を図15の如く、略垂直方向に回動した位置を「切」位置としており、凹部23bがピン25と係合している。駐車ブレーキレバー15を前方へ水平方向に回動した位置を「入」位置としており、凹部23aがピン25と係合している。
【0037】前記ピン25はアーム26の先端に突出され、該アーム26の基部は連結軸27の一端(右側)に固設されている。該連結軸27は前記ステップ10の幅と略同じ長さとしてその両側をフランジ29・29を介してステップフレーム20L・20Rに回転自在に支持されている。該フランジ29・29はボルトによってステップフレーム20L・20R着脱可能とし、このフランジ29・29の着脱によって容易に該連結軸27上に配置したアームやリンク等を前方よりメンテナンスすることが可能となり、邪魔になる部品がなくメンテナンスが容易となり、組み立ても容易となる。前記連結軸27の他端(左端)はブレーキワイヤー30を介してブレーキ装置と連結するためのアーム31が突設され、更にステップフレーム20Lの内側の連結軸27上に連結アーム32の基部が枢支され、調節アーム33が突設されている。該連結アーム32の先端には長孔が開口され、調節アーム33の先端との間でボルトによって角度(位置)調整可能に連結される。
【0038】そして、前記連結アーム32の先端部(前部)に連結ロッド34の一端が枢支され、該連結ロッド34の他端は上方に延設されて前記カムケース56内に挿入されてアーム35に枢支されている。該アーム35はセーフティーペダル36の基部に設けたボス36aに固定され、該ボス36aはステアリングコラム12の側面に固定した支持プレートに支持した軸37に枢支されている。
【0039】更に、前記ボス36aの後下方位置には後述する枢支パイプ145が配置され、該枢支パイプ145にロックレバー40の回動支点軸40dが枢支され、該ロックレバー40は回動支点軸40d上に設けたバネ41によって上方(解除側)へ回動するように付勢されているとともに、基部プレート40aの後辺には係合凹部40bが形成されて、該係合凹部40bに前記セーフティーペダル36の後部側面より水平方向に突設したピン42を係合可能としている。
【0040】前記ロックレバー40の基部プレート40aを軸支するための回動支点軸40dは枢支パイプ145に枢支され、該枢支パイプ145は図19、図20に示すように、ステー149に左右水平方向に貫通固設され、該ステー149はステップフレーム20Lに固設され、該ステー149には更に後述する支持パイプ144が垂直方向に一体的に固設されている。このように一体構成して支持パイプの組立が容易として、コスト低減化を図っている。
【0041】また、図13、図14、図15、図18に示すように、前記セーフティーペダル36の基部側の上部に中立戻し機構と連結するための連結ステー43が上方に突設されている。該連結ステー43の側面に規制ローラー44が回転自在に支持され、該規制ローラー44はカムプレート45に設けたカム孔45aに挿入されている。該カムプレート45は三角形状に構成され、その中央に略相似形状のカム孔45aが開口され、該カム孔45aは前記支点軸47を中心とした円弧状溝45bと、該円弧状溝45bの中央から半径方向外周側に延びる中立溝45cよりなる。また、該カムプレート45は前記基部プレート46に固設されて共に回動される。ただし、前記カムプレート45や基部プレート46等は図24に示すように、ステアリングコラム12内に配置することも可能であり、このように構成することで、カムケース56を省いてコスト削減ができて外観もよくなり、また、主変速レバー14の回動軸やセーフティーペダル36の支点軸をステアリングコラム12で支持することによって支持板等が不要となり、リンク機構も簡単となり、ロスも低減される。
【0042】このような構成において、主変速レバー14を前後方向に回動すると、取付板48、基部プレート46、連動ピン50、連動アーム51、揺動軸52からリンクを介して走行駆動HSTの変速アーム54が回動されて、前進または後進変速が行われる。また、前記基部プレート46の回動によりカムプレート45が回動される。このときセーフティーペダル36は踏まれていないので、上昇した状態であり、規制ローラー44はカム孔45aにおける支点軸47を中心とした円弧状溝45b内を摺動することになる。
【0043】一方、駐車ブレーキレバー15が略垂直方向に回動したブレーキ「切」の状態のときは、カム板23の凹部23bにピン25が係合して、バネ24の付勢力によってこの状態が維持されている(図16、図18)。そして、駐車ブレーキレバー15を前方へ回動してブレーキ「入」とすると、カム板23がピン25を押してアーム26を下方へ回動し、該アーム26の回動によって連結軸27が回動され、該連結軸27に固設したアーム31を介してブレーキワイヤー30を引っ張りブレーキ装置76(図4)を制動状態とする。更に、調節アーム33から連結アーム32を回動して連結ロッド34を上方へ押す。そして、該連結ロッド34に連結したアーム35を介してセーフティーペダル36を下方へ回動するのである。この状態で、ロックレバー40を後下方へ回動すると、係合凹部40bがピン42と係合して、セーフティーペダル36を下方へ回動した位置に維持できると共に、駐車ブレーキレバー15を前方へ回動したブレーキ「入」に維持できるのである。
【0044】この状態からセーフティーペダル36を踏み込むと、係合凹部40bとピン42との係合が解除されて、ロックレバー40はバネ41の付勢力によって上方へ回動してロック解除となり、その状態からセーフティーペダル36の踏み込みを解除すると、セーフティーペダル36は上がった状態に戻る。そして、連結軸27もバネ28の付勢力によって元の方向へ回動され、ブレーキを解除し、駐車ブレーキレバー15を元の位置に戻すのである。
【0045】他方、変速状態において、セーフティーペダル36を踏み込むと、連結ステー43も下方へ移動し、規制ローラー44がカム孔45aの中立溝45cに沿って中央下方へ移動し、この移動によってカムプレート45が回動され、該カムプレート45から基部プレート46等を介して連結した主変速レバー14を中立方向へ回動するのである。そして同時に前記とは逆の経路で連結ロッド34を持ち上げて、連結軸27を回動してブレーキワイヤー30を引っ張り制動するのである。つまり、セーフティーペダル36を踏むことによって変速を中立に戻して減速すると同時に、制動させて、機体を停止させることができるのである。なお、ピン25はカム板23より離れる方向に移動して駐車ブレーキレバー15は回動されない。
【0046】次に、本発明の要部であるリンク機構の配置及び燃料タンク19との関係を図19〜図23より説明する。燃料タンク19はステップ10下方に配置されており、前面下部より前方に給油パイプ151が突出されて、側面視L字状に上方へ曲げられて延設され、給油パイプ151上部の給油口152はステップ10に設けた開口部を貫通して上方に突出されて、ステップ10上にポリタンク等を載せて容易に給油できるようにしている。そして、給油口152には図22、図23に示すように、受け皿兼用の取付ステー153が溶接等により一体的に固設され、該取付ステー153が図21に示すように、ステップフレーム20R及びステアリングコラム12の下部またはその取付部材に固定される。該取付ステー153は平面視四角形状として、周囲が高くなるように折り曲げ、または、深絞り等の成形によって構成している。
【0047】また、燃料タンク19の後底部は上方に凹ませた凹部19aを形成して、ミッションケースへの組み立てやメンテナンスのときの邪魔とならない構成とし、前上部にも凹部19bを形成して、前記変速アームを駆動するためのリンク機構を配置できるようにしている。
【0048】即ち、前記ステアリングコラム12の下部に配置した内軸130下端に操作用アームとなるアーム136が固設され、該アーム136に連結ロッド137の一端が連結され、該連結ロッド137の他端が前記変速アーム55に連結されて、旋回操作を可能としている。そして、内軸130の下部は前記凹部19bの上方に位置し、前記アーム136、連結ロッド137が凹部19b上部を水平方向の延びるように配置している。
【0049】また、前記外軸135の下端に操作用アームとなるアーム140が固設され、該アーム140の先端に第一ロッド141が連結され、該第一ロッド141は前記連結ロッド137の上方、即ち、凹部19bの上方を左側方へ延設され、該連結ロッド137の他端はアーム142の先端に枢支され、該アーム142は中継部材となる中継軸143の下端に固設され、該中継軸143は前記支持パイプ144に回転自在に支持されている。該中継軸143の上端にはアーム146が固設されている。該中継軸143の上部及び下部はネジまたはカラー等を介装して固定することによって、アーム142・146の取付高さを容易変更できるようにしており、ステップ10や燃料タンク19やミッションケース等の位置やリンクの動きに対して干渉しないように調整して組立ができるようにしている。また、前記アーム146は前記アーム142に対して略90度ずれて配設されてロッドの延設方向や作動方向を変更し、該アーム146の先端に第二ロッド147の一端が枢結され、該第二ロッド147の他端が変速アーム54と連結され、前後進の変速を可能としている。該第二ロッド147にはナットを回動することで長さを調節可能としており、リンク長を容易に変更できるようにしている。なお、第一ロッド141や連結ロッド137も長さを調節できるようにしており、連結部分にはブッシュ等を介装して回動容易としている。
【0050】また、前記支持パイプ144はステップ10の外側に配置さているため、連結ロッド137及び第一ロッド141をステップフレーム20Lを貫通させるために開口部20aが設けられている。こうして、連結ロッド137及び前記第一ロッド141が燃料タンク19の凹部19b上方に位置するようになり、ステップ10は高くならず、ステアリングコラム12の下方の狭い空間にロッドを通すための空間を形成することができるのである。また、上下方向に高くなる支持パイプ144は燃料タンク19の側方に配置して、燃料タンク19とは干渉しないように配置し、該支持パイプ144に枢支した中継軸143に連結する第二ロッド147は燃料タンク19に沿って空いた空間を後方へ延出され、サイドコラム16の下方に位置して、サイドコラム16の側板を外すことによって長さ調整等のメンテナンスが容易にできるようにしている。そして、前記第一ロッド141と第二ロッド147は平面視L字状に配置され、燃料タンク19を対角線方向に横切らないように配置して、できるだけ凹部19bは小さくして燃料タンク19の容量が小さくならないようにしている。
【0051】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、次のような効果を奏するものである。即ち、請求項1のように、走行変速用HSTと操向用HSTをミッションケース上に配置し、該走行変速用HSTの変速アームと操向用HSTの変速アームと、ステアリングコラム下部に配置した操作用アームとをそれぞれロッドを介して連結する構成であって、ステップ側方に配置したHSTの変速アームと操作用アームを、平面視L状に配置したロッドにて連結したので、ステップの下方を対角線方向にロッドが位置しなくなり、ステップが高くなることがなく、ステップに登場するための補助ステップ等が必要とならないのである。
【0052】請求項2のように、走行変速用HSTと操向用HSTをミッションケース上に配置し、該走行変速用HSTの変速アームと操向用HSTの変速アームと、ステアリングコラム下部に配置した操作用アームとをそれぞれロッドを介して連結する構成であって、ステップ下方に燃料タンクを配置し、該燃料タンクの前上部を凹ませて前記操作用アームと連結ロッドを配置したので、燃料タンクは凹部によって容量の低下を最小限に抑えることができ、また、その凹部を連結ロッドが通過することによって、ステップが高くなることがなく、補助ステップなしに容易に操縦部に乗降することができる。
【0053】請求項3のように、走行変速用HSTと操向用HSTをミッションケース上に配置し、該走行変速用HSTの変速アームと操向用HSTの変速アームと、ステアリングコラム下部に配置した操作用アームとをそれぞれロッドを介して連結する構成であって、ステアリングコラム側方にサイドコラムを配置し、該サイドコラム下方に前記両HSTを配置し、該サイドコラム下方のステップ側部に中継部材を配置し、前記操作用アームと変速アームをそれぞれロッドと中継部材とを介して連結したので、中継部材によってロッドの高さを調整することが可能となり、ロッドと他の部品との干渉をさけるように調節することができる。また、サイドコラム下方の空いた空間を通過させることができ、また、メンテナンスもサイドコラムのカバーを外すことによって容易にできる。
【0054】請求項4のように、前記中継軸を支持する部材を駐車ブレーキのロックレバーの支点軸を支持する部材と一体としたので、部品点数を削減できて、組立も容易にできるようになった。
【出願人】 【識別番号】000005164
【氏名又は名称】セイレイ工業株式会社
【出願日】 平成11年10月20日(1999.10.20)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2001−124202(P2001−124202A)
【公開日】 平成13年5月11日(2001.5.11)
【出願番号】 特願平11−298852