| 【発明の名称】 |
自動変速機の油圧制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】久保 孝行
【氏名】仁木 裕
【氏名】小崎 茂康
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| 【要約】 |
【課題】入力トルクの大きさや油温を考慮する形で解放側油圧を制御することによりエンジン吹きやタイアップの発生を防止する、自動変速機の油圧制御装置の提供。
【解決手段】係合側油圧及び解放側油圧を共に制御するトルク相制御において、入力トルクの大きさと油温の高低により、解放側の摩擦係合要素に作用する解放側油圧のドレーンタイミングT1、T3及びドレーン勾配δPを変更するように制御する変速実行制御手段U4を設ける。入力トルクの大きさ及び油温の高低を考慮した形で解放側油圧を制御することが可能となり、掴み換えに伴うタイアップやエンジン吹きの発生を防止することが出来る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン出力軸からの動力が入力される入力軸と、車輪に連結される出力軸と、これら入力軸と出力軸との間で動力伝達経路を変更する複数の摩擦係合要素と、これら摩擦係合要素を断・接作動する油圧サーボと、を備え、前記複数の摩擦係合要素の内、第1の摩擦係合要素を所定の係合側油圧にて係合すると共に、第2の摩擦係合要素を所定の解放側油圧にて解放することにより所定変速段へのアップシフトを達成してなる、自動変速機の油圧制御装置において、入力トルクを算出する入力トルク算出手段を設け、前記係合側油圧及び解放側油圧を共に制御するトルク相制御において、前記入力トルク算出手段から算出された入力トルクの大きさにより、第2の摩擦係合要素に作用する前記解放側油圧のドレーンタイミングを変更するように制御する変速実行制御手段を設けて構成した、自動変速機の油圧制御装置。 【請求項2】 前記変速実行制御手段は、前記係合側油圧及び解放側油圧を共に制御するトルク相制御において、油温の高低によっても、第2の摩擦係合要素に作用する解放側油圧のドレーンタイミングを変更するように制御する、請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項3】 前記変速実行制御手段は、前記係合側油圧及び解放側油圧を共に制御するトルク相制御において、入力トルクの大きさにより、第2の摩擦係合要素に作用する解放側油圧のドレーン勾配を変更するように制御する、請求項1又は2記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項4】 前記変速実行制御手段は、前記係合側油圧及び解放側油圧を共に制御するトルク相制御において、油温の高低により、第2の摩擦係合要素に作用する油圧のドレーン勾配を変更するように制御する、請求項1又は2記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項5】 前記変速実行制御手段は、入力トルクが小さいときほど、油圧のドレーンタイミングを早くするように制御することを特徴とする、請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項6】 前記変速実行制御手段は、油温が低いときほど、油圧のドレーンタイミングを早くするように制御することを特徴とする、請求項2記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項7】 前記変速実行制御手段は、油温が高いときほど、油圧のドレーン勾配を急にするように制御することを特徴とする、請求項4記載の自動変速機の油圧制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に搭載される自動変速機の油圧制御装置に係り、詳しくは所定摩擦係合要素を係合すると共に他の摩擦係合要素を解放する、いわゆるクラッチツークラッチ変速において、前記両摩擦係合要素用油圧を関連して調圧制御する油圧制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、例えば特開平5−157168号公報に示すように、所定変速段へのアップシフト時、例えば2→3変速時(ブレーキB−2の係合と共にブレーキB−3を解放する)、係合側となる油圧サーボ及びアキュムレータへの供給圧(B−2圧)が、2−3タイミング弁の制御油室に作用することにより、解放側となる油圧サーボ及びアキュムレータに連通する解放圧(B−3圧)を降圧して、係合圧と解放圧を逆比関係に適合し、解放圧を、変速開始時から少なくともトルク相終了時点までリニアに下降制御する自動変速機のサーボ油圧制御方法が案出されている。 【0003】該油圧サーボ制御方法は、解放圧を所定タイミングで一気に行うものに比し、変速中のスロットル開度変化に対応して適切な係合・解放タイミングの修正が可能となって、変速ショックを抑えることができる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記油圧サーボ制御方法は、入力トルクや油圧サーボに供給される油圧の油温と無関係に、一定のタイミングでリニアに解放側の油圧サーボの供給油圧を抜くことから、入力トルクや油温が高いとエンジン吹きが発生し易くなり、入力トルクや油温が低いと、タイアップが生じやすくなる。従って、入力トルクの大きさや油温を考慮して形で解放側油圧を降圧制御することの出来る油圧制御装置の開発が望まれている。 【0005】そこで、本発明は、入力トルクの大きさや油温を考慮した形で解放側油圧を制御することにより、上述課題を解決した自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、エンジン出力軸からの動力が入力される入力軸と、車輪に連結される出力軸と、これら入力軸と出力軸との間で動力伝達経路を変更する複数の摩擦係合要素と、これら摩擦係合要素を断・接作動する油圧サーボ(9、10)と、を備え、前記複数の摩擦係合要素の内、第1の摩擦係合要素を所定の係合側油圧にて係合すると共に、第2の摩擦係合要素を所定の解放側油圧にて解放することにより所定変速段へのアップシフトを達成する自動変速機の油圧制御装置において、入力トルクを算出する入力トルク算出手段を設け、前記係合側油圧及び解放側油圧を共に制御するトルク相制御において、前記入力トルク算出手段から算出された入力トルクの大きさにより、第2の摩擦係合要素に作用する前記解放側油圧のドレーンタイミング(T1、T3)を変更するように制御する変速実行制御手段(U4)を設けて構成される。 【0007】請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記変速実行制御手段は、前記係合側油圧及び解放側油圧を共に制御するトルク相制御において、油温の高低によっても、第2の摩擦係合要素に作用する解放側油圧のドレーンタイミング(T1、T3)を変更するように制御して構成される。 【0008】請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記変速実行制御手段は、前記係合側油圧及び解放側油圧を共に制御するトルク相制御において、入力トルクの大きさにより、第2の摩擦係合要素に作用する解放側油圧のドレーン勾配(δP)を変更するように制御して構成される。 【0009】請求項4の発明は、請求項1又は2の発明において、前記変速実行制御手段は、前記係合側油圧及び解放側油圧を共に制御するトルク相制御において、油温の高低により、第2の摩擦係合要素に作用する油圧のドレーン勾配(δP)を変更するように制御して構成される。 【0010】請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記変速実行制御手段は、入力トルクが小さいときほど、油圧のドレーンタイミング(T1、T3)を早くするように制御して構成される。 【0011】請求項6の発明は、請求項2の発明において、前記変速実行制御手段は、油温が低いときほど、油圧のドレーンタイミング(T1、T3)を早くするように制御することを特徴として構成される。 【0012】請求項7の発明は、請求項4の発明において、前記変速実行制御手段は、油温が高いときほど、油圧のドレーン勾配(δP)を急にするように制御することを特徴として構成される。 【0013】なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、本発明の構成を何等限定するものではない。 【0014】 【発明の効果】請求項1に係る発明によると、変速実行制御手段(U4)が、係合側油圧及び解放側油圧を共に制御するトルク相制御において、入力トルクの大きさにより、第2の摩擦係合要素に作用する解放側油圧のドレーンタイミング(T1、T3)を変更するように制御するので、入力トルクの大きさを考慮した形で解放側油圧の解放時期を制御することが可能となり、掴み換えに伴うタイアップやエンジン吹きの発生を防止することが出来る。 【0015】請求項2に係る発明によると、入力トルクの大きさに加えて油温を考慮した形で解放側油圧の解放時期を制御することが可能となり、寒冷地などにおいて、より効果的な制御が可能となる。 【0016】請求項3に係る発明によると、入力トルクの大きさにより、第2の摩擦係合要素に作用する解放側油圧のドレーン勾配(δP)を変更することから、解放側の摩擦係合要素の解放速度を入力トルクに応じて変更することが出来、エンジン吹きやタイアップの発生を効果的に防止することが出来る。 【0017】請求項4に係る発明によると、油温の高低によって、第2の摩擦係合要素に作用する油圧のドレーン勾配(δP)を変更することから、高油温時の油圧0付近の応答遅れに対処してドレーン勾配を急にしたり、低油温時は係合側の係合状態に適合させる形でゆっくりとドレーンさせるなどのきめの細かな制御が可能となる。 【0018】請求項5に係る発明によると、入力トルクが小さいときほど、油圧のドレーンタイミング(T1、T3)を早くするように制御することにより、低油温時には引きずりトルクによるタイアップの発生を防止することができる。また高油温時は、入力トルクが大きな場合には、ドレーンタイミングが遅くなるように制御されるので、係合側の摩擦係合要素の係合遅れによるエンジン吹きの発生を防止することが出来る。 【0019】請求項6に係る発明によると、油温が低いときほど、油圧のドレーンタイミング(T1、T3)を早くするように制御することから、低油温による解放側の摩擦係合要素の応答遅れを考慮した形の解放動作が可能となり、タイアップの防止が可能となる。 【0020】請求項7に係る発明によると、油温が高いときほど、油圧のドレーン勾配(δP)を急にするように制御することから、早期に解放側をドレーンすることが出来、高油温時における油圧0付近の応答遅れにも適切に対応することが出来る。 【0021】 【発明の実施の形態】本自動変速機は、多数のクラッチ又はブレーキ等の摩擦係合要素を有し、これら摩擦係合要素を適宜断・接することによりプラネタリギヤの伝動経路が選択される自動変速機構(図示せず)を備えており、該自動変速機構の入力軸が、エンジン出力軸にトルクコンバータを介して連結しており、また自動変速機構の出力軸が駆動車輪に連結している。具体的には、本自動変速機は、特開平9−21448号公報に開示されている前進5速、後進1速のものに適用する。 【0022】図1は、電気制御系を示すブロック図であり、Uは、マイクロコンピュータ(マイコン)からなる制御部(ECU)で、エンジン回転センサ2、ドライバのアクセルペダル踏み量を検出するスロットル開度センサ3、トランスミッション(自動変速機構)の入力軸回転数(=タービン回転数)を検出するセンサ5、車速(=自動変速機出力軸回転数)センサ6及び油温センサ7からの各信号が入力しており、また油圧回路のリニアソレノイドバルブSLS及びSLUに出力している。前記制御部Uは、係合側油圧を制御する係合側油圧制御手段U1 と、解放側油圧を制御する解放側油圧制御手段U3と、油圧解放パターン演算手段U2と、変速実行制御手段U4を備えている。制御部Uから所定制御信号が前記リニアソレノイドバルブSLS又はSLUに出力される。 【0023】図2は、油圧回路の概略を示す図であり、前記2個のリニアソレノイドバルブSLS及びSLUを有すると共に、自動変速機構のプラネタリギヤユニットの伝達経路を切換えて、例えば前進4速又は5速、後進1速の変速段を達成する複数の摩擦係合要素(クラッチ及びブレーキ)を断接作動する複数の油圧サーボ9、10を有している。また、前記リニアソレノイドバルブSLS及びSLUの入力ポートa1 ,a2 にはソレノイドモジュレータ圧が供給されており、これらリニアソレノイドバルブの出力ポートb1 ,b2 からの制御油圧がそれぞれプレッシャコントロールバルブ11,12の制御油室11a,12aに供給されている。プレッシャコントロールバルブ11,12は、ライン圧がそれぞれ入力ポート11b,12bに供給されており、前記制御油圧にて調圧された出力ポート11c,12cからの調圧油圧が、それぞれシフトバルブ13,15を介して適宜各油圧サーボ9,10に供給される。 【0024】なお、本油圧回路は、基本概念を示すためのものであって、各油圧サーボ9,10及びシフトバルブ13,15は、象徴的に示すものであり、実際には、自動変速機構に対応して油圧サーボは多数備えられており、これら油圧サーボへの油圧を切換えるシフトバルブも多数備えている。また、油圧サーボ10に示すように油圧サーボは、シリンダ16にオイルシール17により油密状に嵌合するピストン19を有しており、該ピストン19は、油圧室20に作用するプレッシャコントロールバルブ12からの調圧油圧に基づき、戻しスプリング21に抗して移動し、外側摩擦プレート22及び内側摩擦材23を接触する。該摩擦プレート及び摩擦材は、クラッチで示してあるが、ブレーキにも同様に対応することは勿論である。 【0025】ついで、本発明に係る油圧制御装置について、図3ないし図11に沿って説明する。 【0026】ドライバのアクセルペダル操作に基づくスロットル開度センサ3及び車速センサ6からの信号により、制御部U内の変速実行制御手段U4が変速マップに基づき変速判断、例えば2→3変速のアップシフト判断を行ない、以下図4及び図5に基づき、係合側の油圧係合要素を係合側油圧制御手段U1を介して制御する。即ち、図3ないし図5に示すように、所定シフトバルブの操作等の、前処理のための所定時間経過後、係合側油圧PA 及び解放側油圧PBの変速制御が開始される(S1)。なお、該変速制御にあっては、ドライバは、アクセルペダルを略々一定な操作を保持して、変速中、エンジンから車輪側へ動力伝達されるパワーオン状態でアップシフト制御される。そして、係合側の油圧サーボへの油圧(係合油圧)PA が所定圧Ps1になるように所定信号をリニアソレノイドバルブSLS(又はSLU)に出力する(S2)。該所定圧(限界圧)Ps1は、油圧サーボの油圧室20を満たすために必要な油圧に設定されており、所定時間tSA保持される。該所定時間tSAが経過すると(S3)、係合油圧PA は、所定勾配[(Ps1−Ps2)/tSB]で減少し(以下スイープダウンという)(S4)、係合油圧PA が所定低圧Ps2になると(S5)、該スイープダウンが停止され、該所定低圧Ps2に保持・待機される(S6)。該所定低圧Ps2は、ピストンストローク圧以上でかつ入力軸の回転変化を生じさせない圧に設定されており、該所定低圧Ps2は、計時tが所定時間tSE経過するまで保持される(S7)。上記ステップS1〜S7が、摩擦係合要素の摩擦プレート22,23の遊びをなくして(ガタ詰め)トルク容量が発生する直前の状態に油圧サーボ10のピストン19を移動するサーボ起動制御となる。 【0027】ついで、入力トルクTt に対応する係合側分担トルクTA が算出され(例えば、aをトルク分担率とすると、TA =1/a・Tt )(S8)、そして該係合側分担トルクTA に基づく所定関数により、入力軸回転数NT の回転変化が開始する直前(イナーシャ相の開始直前)の係合目標油圧PTAを算定する(S9)。該イナーシャ相開始時直前の係合側油圧PTAは、BA ;ピストンストローク圧(=スプリング荷重)、AA ;摩擦板有効半径×ピストン面積×摩擦板枚数×摩擦係数、dPTA;油圧の遅れ分の油圧量とすると、PTA=(TA/AA )+BA+dPTAにて算出される。更に、余裕率(タイアップ度合)S11,S21により、解放側摩擦係合要素とのタイアップ度合を、ドライブフィーリングを考慮して設定して、係合目標油圧PTAが補正されて設定される(S10)。そして、該入力トルクTt に応じて算定されたイナーシャ相開始時直前の係合油圧PTAに基づき、予め設定された所定時間tTAにより所定勾配が算定され[(PTA−Ps2)/tTA]、該勾配に基づき係合側油圧が増加する(以下スイープアップという)(S11)。該比較的急な勾配からなる第1のスイープアップにより、係合トルクが増加し、入力軸回転数変化が開始する直前の状態、即ち前記算出された所定目標係合油圧PTAまで油圧が上昇する(S12)。 【0028】なお、入力トルクTt (=タービントルク)は、車輌走行状況に基づき、例えば、マップによりスロットル開度とエンジン回転数に基づき線形補間してエンジントルクを求め、ついでトルクコンバータの入出力軸回転数から速度比を計算し、該速度比によりマップからトルク比を求め、そして前記エンジントルクに上記トルク比を乗じて求められる。 【0029】そして、上記目標係合油圧PTAに達すると、即ち入力軸回転数の回転変化が開始されるイナーシャ相に入ったと予測される時点で、イナーシャ相制御に入る際の、油圧の変化δPTAが、入力軸回転数NT の回転変化開始時における目標とする目標回転変化率(角加速度)ωaに応じた関数[δPTA=fδPTA(ωa)]により算出される(S13)。即ち、kを定数、taim を目標変速開始時間、ωaを目標回転変化率[目標回転数への勾配]、Iをイナーシャ量とすると、前記油圧変化δPTA=[I・ωa]/[k・taim ]にて算定される。そして、該油圧変化δPTAによる勾配でスイープアップされる(S14)。該第2のスイープアップは、回転変化開始時の入力軸回転数NTSからの回転変化分ΔNが所定変速開始判定回転数dNsに達するまで続けられ(S15)、係合側油圧PA は、エンジントルクと略々同じクラッチ容量となるイナーシャ相開始油圧PINになる。 【0030】なお、上記ステップS8〜S14が、係合側クラッチが担持するトルクが増大すると共に、解放側クラッチの担持トルクが減少し、ギヤ比はアップシフト前(2速)の状態にあってトルク分担だけが変化するトルク相制御となる。また、上記入力軸回転数NT の回転変化開始とは、イナーシャ相に入ったこと、即ちギヤ比に基づく変速(2→3変速)が開始され、出力軸の回転数に対する該ギヤ比に係る入力軸回転数の変化が開始された状態であって、前記入力回転数センサ5及び車速センサ6から算出される。 【0031】ついで、係合側油圧変化δPI が、入力軸回転数センサ5の検出に基づく回転数の変化量ΔNにてフィードバック制御されて、該δPI の勾配によりスイープアップされる(S16)。該δPI によるスイープアップは、変速開始(回転変化開始)から変速完了までの回転変化量ΔNのa1 [%]、例えば70[%]まで続けられる(S17)。即ち、NTSを変速開始時の入力軸回転数、ΔNを回転変化量、giを変速前ギヤ比、gi+1 を変速後ギヤ比とすると、[(ΔN×100)/{(NTS/gi )×(gi+1 −gi )}]がa1[%]になるまで続けられる。上記ステップS16,S17が、エンジントルクの負荷となってエンジン回転数を変化するイナーシャ相制御となる。 【0032】更に、上記回転変化量のa1[%]を越えると、滑らかな入力軸回転数変化量ΔNに基づくフィードバック制御により異なる油圧変化δPL が設定され、該δPL の勾配によりスイープアップされる(S18)。該δPL は、一般にδPI より僅かにゆるい勾配となり、該スイープアップは、変速開始(回転変化開始)から変速完了近傍までの回転数変化量のa2[%]、例えば90[%]まで続けられる(S19)。上記δPI 及びδPL によるスイープアップ目標変速時間tI は、油温により異なる、複数のスロットル開度・車速マップが選択され、該マップに基づき設定される。上記ステップS18が終期制御となる。 【0033】そして、該目標変速時間tI が経過すると、時間tF が設定され(S20)、この状態はイナーシャ相及び終期制御が終了した状態と略々対応している。更に、比較的急な油圧変化δPF が設定されて、該油圧変化により油圧が急激にスイープアップし(S21)、そして前記計時時間tF から、係合圧まで上昇するに充分な時間に設定されている所定時間tFEが経過した状態で(S22)、係合側の油圧制御が完了する。上記ステップS20,S21が完了制御となる。 【0034】ついで、図3、図6及び図7に沿って、上述したアップシフト変速における、変速実行制御手段U4による解放側油圧PB の制御について説明する。 【0035】まず、変速実行制御手段U4からの変速指令により、係合側と同時に解放側油圧制御の計時が開始される(S25)。そして、入力トルクTt に基づき解放側摩擦係合要素の分担トルクTB が算出され(S26)、更に該解放側分担トルクTB に対する係合圧Pw′が算出され(S27)、解放油圧PBとして供給され(S28)、該油圧Pw′の供給は、原則的には係合油圧PA が第1のスイープアップを開始する時点T1まで(トルク相の開始)(tSE)待機・保持される(S29)。 【0036】この、待機制御の後、係合側の摩擦係合要素がトルク相制御を開始するのに同期して解放側の摩擦係合要素の油圧を徐々に低下させる初期変速制御にはいるが、この初期変速制御の開始タイミング及びその後のドレーン勾配は、制御部Uの油圧解放パターン演算手段U2により、入力トルク及び油温に応じて適宜演算決定される。 【0037】即ち、油圧解放パターン演算手段U2は、解放側の摩擦係合要素の初期変速制御の標準的な開始時点T1、即ち係合側の摩擦係合要素のトルク相制御開始時点T1に対して、解放側の初期制御の開始時間を調整するための開始調整時間Ta、その後のスイープダウン時間を調整するためのドレーン速度調整時間Tbを演算する。 【0038】油圧解放パターン演算手段U2は、その時点の入力トルク及び油温に応じて、図8に示すように、マップMAP1、MAP2を参照して、開始調整時間Ta、及びドレーン速度調整時間Tbを決定する。マップMAP1には、油温及び入力トルクと開始調整時間Taの関係が格納されており、同じ油温では入力トルクが低くなるほど、解放側摩擦係合要素から作動油をドレーンするドレーンタイミングを早くするようにし、同じ入力トルクでは、油温が低くなるほど解放側摩擦係合要素から作動油を早くドレーンするように、開始調整時間Taが格納されている。開始調整時間Taは、図9及び図10に示すように、標準開始時間T1に対する時間で示されており、時間T1に対して図中右側が+であり、左側が−である。 【0039】同じ油温で入力トルクが低くなるほど、解放側摩擦係合要素から作動油を早くドレーンするのは、入力トルクが小さくなると、油圧の応答遅れと引きずりトルクの影響で、解放側の摩擦係合要素の保持時間が長くなる傾向があるため、早期にドレーンすることによりタイアップショックを低減することが出来るからである。 【0040】また、同じ入力トルクで、油温が低くなるほど解放側摩擦係合要素から作動油を早くドレーンするのは、油温が低温になるほど油圧の応答遅れが生じるので、それだけ早期にドレーンすることにより応答遅れによるタイアップショックを低減することが出来るからである。 【0041】一方、マップMAP2には、油温及び入力トルクとドレーン速度調整時間Tbの関係が格納されている。ドレーン速度調整時間Tbがマイナスになるほどドレーン勾配は緩やかになり、ドレーン速度は遅くなる。なお、標準のドレーン勾配δは、Pw/tTA である。また、ドレーン速度調整時間Tbがプラスになるほどスイープ勾配は急になり、ドレーン速度は早くなる。マップMAP2では、油温が低くなり、かつ入力トルクが高くなるほど、ドレーン速度調整時間Tbはマイナスとなって、スイープ勾配は緩やかになり、ドレーン速度は遅くなり、油温が高くなり、かつ入力トルクが高くなるほど、ドレーン速度調整時間Tbはプラスとなって、スイープ勾配は急になり、ドレーン速度は早くなる。ドレーン速度調整時間Tbは、標準のドレーン勾配δ=Pw/tTAを求める式で、係合側のトルク相制御に要する時間tTAを基準に、該時間を延長する場合が+で、短縮する場合が−である。 【0042】油圧解放パターン演算手段U2が、現在の油温及び入力トルクから、マップMAP1、MAP2を参照して、開始調整時間Ta、及びドレーン速度調整時間Tbを決定すると、変速実行制御手段U4は、図6のステップS29で、時間tが開始調整時間Taにより調整された解放側の摩擦係合要素のドレーン開始時点T3になったか否かを判定し、時点T3になっている場合には、ステップS30の以降の初期変速制御に入り、油圧のドレーンを開始する。従って、ステップS28からS29が解放側の摩擦係合要素における待機制御となる。 【0043】この際、図9に示すように、油温が低い場合には、時点T3は、標準開始時間T1よりも時間Taだけ早い、時点T3−1、T3−2からドレーンが開始される。図中スロットルが高開度、即ち入力トルクが高い場合には時点T3−2で、低開度、即ち入力トルクが低い場合には、それよりも早い時点T3−1でドレーンが開始される。これは、入力トルクが高い場合には、油圧の応答遅れによる解放遅れを防止するために、早めにドレーンするが、入力トルクが低い場合には、更に、解放側の摩擦係合要素に発生する引きずりトルク分、早めにドレーンする。 【0044】また、図10に示すように、油温が高い場合には、時点T3は、入力トルクが高い場合のみ、標準開始時間T1よりも時間Taだけ遅い、時点T3−3でドレーンが開始され、入力トルクが低い場合には、標準開始時間T1でドレーンが開始される(図10の場合)。これは、入力トルクが高い場合には、係合側の遅れにより、エンジン吹きが生じやすいことに起因する。 【0045】変速実行制御手段U4は、ステップS30,31で入力トルクTtに基づき、再度、分担トルクTB及び、対応する係合圧Pwを求め、解放側油圧として供給する(S32)。次に、ステップS33で、油圧解放パターン演算手段U2により求められた開始調整時間Taが0以上の場合、即ち、図10の時点T3−3のように、標準開始時間T1よりも時間Taだけ遅れてドレーンを開始する場合(入力トルクが高く、油温も高い状態で、解放側の抜き始めにエンジン吹きが生じやすい場合など)には、ステップS34でタイマーをリセットし、ステップS35でδPminの最小勾配で標準開始時間T1から時点T3−3までゆっくりと抜き始める(スイープダウン)(S36−37)。 【0046】こうして、時点T1又はT3(T3−1、T3−2、T3−3など)になった時点で、ドレーンが開始されるが、変速実行制御手段U4は、ステップS39で各ドレーン時のスイープ勾配δPを、δP=Pw/(tTA−Tb) tTA:係合側スイープ時間で演算し、求められたスイープ勾配δPで油圧をスイープダウンする(S40)。 【0047】このスイープ勾配δPも、油圧解放パターン演算手段U2で求められたドレーン速度調整時間Tbにより変動し、図9に示すように、油温が低い場合には、(tTA−Tb)なるスイープ時間は、スロットルが高開度、即ち入力トルクが高い場合には、係合側のスイープ勾配に合わせて、勾配を緩くしてエンジン吹きとタイアップを防止する、低トルクの場合には、高トルクの場合に比して急な勾配として早めにドレーンし、引きづりトルクにより解放側の摩擦係合要素を保持し、その後のタイアップショックを低減する。また、高油温時には、図10に示すように、係合側のスイープ勾配に合わせてドレーン勾配を立てるが、通常低温時よりも急な勾配となる。また、高油温時にスープ勾配を急にして、図10に示すように、早期にドレーンさせることにより、油圧が0付近での解放側摩擦係合要素の応答遅れによるタイアップを防止することができる。 【0048】こうして、上記変速実行制御手段U4による解放側油圧PBのスイープダウンは、係合側と同様に、入力軸回転変化量ΔNが、所定回転変化開始判定回転数dNs になるまで続く(S42)。上記したステップS20からS42までが初期変速制御となる。 【0049】ついで、解放油圧の変化δPE が設定され、該油圧変化による勾配でスイープダウンし(S43)、該スイープダウンは、解放側油圧PB が0になるまで続き(S44)、これにより、解放側の油圧制御が完了する。上記ステップS43が解放制御となる。 【0050】図11に、上記した制御の結果、油温が(a)極低温時、(b)低温時、(c)中温時、(d)高温時における、係合側及び解放側の油圧のタイムチャートを、入力トルク別に示す。この図からも明らかなように、油温が低温になるほど、開始調整時間Taが−側に大きくなり、解放側摩擦係合要素の油圧のドレーンが早期に開始され、解放側の抜き遅れによるタイアップの防止が図れれている。また、同じ低温時では、高入力トルクの方が低入力トルクよりも遅めに解放され、またスイープ勾配も緩やかに保持され、エンジン吹きが防止されている。 【0051】また、高油温になると開始調整時間Taが+側にシフトされ、係合側の応答遅れによるエンジン吹きが防止され、更に高油温の場合は、ドレーン速度調整時間Tbが+になることにより、スイープ勾配が急になり、油圧を短時間に抜くことにより、解放側の油圧0付近での応答遅れによるタイアップを防止している。 【0052】なお、解放側の初期変速動作は、基本的には係合側のトルク相制御動作に同期しているので、多重変動作などが入った場合でも、係合側の変速状態を基準にして、容易に対応することが出来る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000100768 【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月25日(1999.10.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083138 【弁理士】 【氏名又は名称】相田 伸二 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−124195(P2001−124195A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月8日(2001.5.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−302131 |
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