| 【発明の名称】 |
自動変速機の油圧制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】川本 剛
【氏名】久保 孝行
【氏名】野村 誠和
【氏名】仁木 裕
【氏名】小崎 茂康
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| 【要約】 |
【課題】ダウンシフト時におけるシフトショックの低減及び、入力軸回転数変化に基づく係合側の摩擦係合要素の、高精度学習も可能とする、自動変速機の油圧制御装置の提供。
【解決手段】ダウンシフトに際してブレーキB1により入力軸と出力軸との間の接続状態を制御し、エンジン側からのトルク入力を制御する駆動力伝達制御手段21a、21bと、ダウンシフトに際して、入力軸の回転加速度ΔNが0を超えるまでの間、駆動力伝達制御手段による入力軸と出力軸との接続状態を維持し、その後、接続状態を絶つように制御する変速進行制御手段21cを設ける。接続時間を利用して入力軸回転変化を指標とする係合側のブレーキB5のストローク学習が可能となる。しかも、その後、実際にダウンシフト動作が行われて、係合側の摩擦係合要素が実際に係合を開始する時には、入力軸と出力軸との間の接続状態が絶たれるので、変速機構は自由回転状態となり、シフトショックも軽減される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン出力軸からの動力が入力される入力軸と、車輪に連結される出力軸と、これら入力軸と出力軸との間で動力伝達経路を変更する複数の摩擦係合要素を有する変速機構と、前記摩擦係合要素を断・接作動する油圧サーボと、これら油圧サーボの油圧を制御する油圧制御手段と、前記油圧制御手段へ油圧制御信号を出力する制御部とを、備えた自動変速機の油圧制御装置において、前記制御部は、所定変速段へのダウンシフトに際して解放側となる摩擦係合要素用油圧を制御する解放側制御手段と、前記所定変速段へのダウンシフトに際して係合側となる摩擦係合要素用油圧を制御する係合側制御手段と、ダウンシフトに際して前記摩擦係合要素を制御して前記入力軸と出力軸との間の接続状態を制御し、ダウンシフトに際した前記エンジン側からのトルク入力を制御することの出来る駆動力伝達制御手段と、 前記所定変速段へのダウンシフトに際して、該ダウンシフトに伴う変速が開始されるまでの間、前記駆動力伝達制御手段による入力軸と出力軸との接続状態を維持し、その後、該接続状態を絶つように制御する変速進行制御手段、を備えることを特徴とする、自動変速機の油圧制御装置。 【請求項2】 前記駆動力伝達制御手段による入力軸と出力軸との接続状態が維持されている間に、前記係合側の摩擦係合要素の油圧サーボのガタ詰め時のストローク学習制御を、前記入力軸の回転状態に基づいて行う学習制御手段を設けて構成した、請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項3】 前記変速進行制御手段は、前記ダウンシフトに伴う変速の開始を、入力軸の回転加速度により検出し、該回転加速度が0を越えた時点で前記ダウンシフトに伴う変速が開始されたものと判断する、請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。 【請求項4】 前記変速進行制御手段は、ダウンシフトに際して、該ダウンシフトに伴う変速が開始されるまでの間、前記駆動力伝達制御手段の摩擦係合要素を、滑りが生じない程度に係合が維持できる待機係合圧で駆動制御するようにして構成した、請求項1記載の自動変速機の油圧制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に搭載される自動変速機の油圧制御装置に係り、詳しくはダウンシフトする際の油圧制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、主変速機構及び副変速機構からなる自動変速機にあっては、主変速機構がワンウェイクラッチを介在する変速段にあって、副変速機構をダウンシフトして変速する場合、特に車輌を停止すべくパワーオフ状態でダウンシフトする際、ワンウェイクラッチによる自由回転状態を生じないように、それと並設するブレーキを作動している。 【0003】車速が低下して入力軸(タービン軸)の回転数がエンジンのアイドル回転数よりも下まわった領域(パワーオン領域)でダウンシフトが実施される際、上記アイドル回転数より小さい極低速時に上記ダウンシフトのための摩擦係合要素のつかみ換えが行われるため、エンジン回転数と入力軸回転数との差が大きく、短時間でトルク上昇を生じ、車輌前方に押し出されるような違和感を与えてしまう。 【0004】上記違和感の発生を防止する方法として、特開平9−21462号公報に示されるものが提案されている。このものは、主変速機構と副変速機構を有する自動変速機において、主変速機構の高速段側で係合する摩擦係合要素を解放すると共に、低速段側で係合する摩擦係合要素を係合して、該主変速機構によりダウンシフトを実行する際、変速を開始する車速を高速側に変更し、副変速機構において、ワンウェイクラッチと並列に配置されている摩擦係合要素(ブレーキ)を、前記主変速機構の摩擦係合要素のつかみ換えに先立ち解放して、出力軸を自由回転状態にし、この状態で前記主変速機構をつかみ換えしてダウンシフトし、該ダウンシフトした変速段に基づくタービン軸(入力軸)回転数が実際のタービン軸回転数より低下した時点で前記ワンウェイクラッチが作動して、その後前記副変速機構における該ワンウェイクラッチに並設された摩擦係合要素を係合する。 【0005】これにより、上記公報に示されるものは、出力軸の自由回転状態にてダウンシフトが行われるため、該ダウンシフト中にトルクの急変を生じさせることがなく、前記車輌が押し出されるような違和感を与えることなく、前記ワンウェイクラッチにより滑らかにダウンシフトを達成し得る。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術にあっては、所定変速段へのダウンシフト時、ワンウェイクラッチが介在するため、入力軸と出力軸との連牽が断たれて自由回転状態になるため、入力軸回転数の変化が微小となり、当該変化を指標として用いる係合側の摩擦係合要素の、ガタ詰め動作、即ちサーボ起動制御に関するストローク学習動作を高精度に行うことが出来ない。そのため、係合側の摩擦係合要素を用いる、パワーオンシフトダウン変速やマニュアルシフトダウン変速が生じた場合、タイアップやエンジン吹きが生じることがある。 【0007】また、ストローク学習を高精度に行おうとして、摩擦係合要素により入力軸と出力軸との間を接続したままにすると、前述したクラッチの掴み換えに伴うシフトショックやエンジンブレーキ感が生じ、好ましくない。 【0008】そこで、本発明は、ダウンシフト時における変速機構の自由回転状態を維持してシフトショックの低減をはかりつつも、入力軸回転数の変化を指標とする係合側の摩擦係合要素の、高精度のストローク学習をも可能とする、自動変速機の油圧制御装置を提供することを目的とするものである。 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、エンジン出力軸(13)からの動力が入力される入力軸(3)と、車輪に連結される出力軸(6)と、これら入力軸と出力軸との間で動力伝達経路を変更する複数の摩擦係合要素(C1〜C3、B1〜B5)を有する変速機構と、前記摩擦係合要素を断・接作動する油圧サーボ(29、30)と、これら油圧サーボの油圧を制御する油圧制御手段(SLS、SLU、SLT)と、前記油圧制御手段へ油圧制御信号を出力する制御部(21)とを、備えた自動変速機の油圧制御装置において、前記制御部は、所定変速段へのダウンシフト(例えば2速)に際して解放側となる摩擦係合要素(例えばブレーキB4)用油圧を制御する解放側制御手段(21a)と、前記所定変速段へのダウンシフトに際して係合側となる摩擦係合要素(例えばブレーキB5)用油圧を制御する係合側制御手段(21b)と、ダウンシフトに際して前記摩擦係合要素(例えばブレーキB1)を制御して前記入力軸と出力軸との間の接続状態を制御し、ダウンシフトに際した前記エンジン側からのトルク入力を制御することの出来る駆動力伝達制御手段(21e)と、前記所定変速段へのダウンシフトに際して、該ダウンシフトに伴う変速が開始されるまでの間、前記駆動力伝達制御手段による入力軸と出力軸との接続状態を維持し、その後、該接続状態を絶つように制御する変速進行制御手段(21c)、を備えることを特徴として構成される。 【0009】請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記駆動力伝達制御手段による入力軸と出力軸との接続状態が維持されている間に、前記係合側の摩擦係合要素の油圧サーボのガタ詰め時のストローク学習制御を、前記入力軸の回転状態に基づいて行う学習制御手段(21d)を設けて構成される。 【0010】請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記変速進行制御手段(21c)は、前記ダウンシフトに伴う変速の開始を、入力軸(3)の回転加速度により検出し、該回転加速度(ΔN)が0を越えた時点で前記ダウンシフトに伴う変速が開始されたものと判断して構成される。 【0011】請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記変速進行制御手段は、ダウンシフトに際して、該ダウンシフトに伴う変速が開始されるまでの間、前記駆動力伝達制御手段の摩擦係合要素を、滑りが生じない程度に係合が維持できる待機係合圧(Pw’)で駆動制御するようにして構成される。 【0012】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、変速進行制御手段(21c)が所定変速段へのダウンシフトに際して、該ダウンシフトに伴う変速が開始されるまでの間、前記駆動力伝達制御手段による入力軸と出力軸との接続状態を維持するので、当該時間を利用して摩擦係合要素のきめ細かな制御が可能となる。例えば、入力軸回転変化を指標とする係合側の摩擦係合要素(ブレーキB5)のストローク学習が可能となり、高精度の制御が可能となる。しかも、その後、実際にダウンシフト動作が行われて、シフトショックが生じる、係合側の摩擦係合要素が実際に係合を開始する時には、入力軸と出力軸との間の接続状態が絶たれるので、変速機構としては自由回転状態が維持され、ダウンシフト時におけるシフトショックも軽減される。 【0013】請求項2の発明によると、学習制御手段(21d)が駆動力伝達制御手段による入力軸と出力軸との接続状態が維持されている間に、前記係合側の摩擦係合要素の油圧サーボにおけるガタ詰め時のストローク学習制御を、入力軸の回転状態に基づいて行うことが出来、ダウンシフト時における変速機構の自由回転状態が出現するにも係わらず入力軸の回転状態を指標とする高精度のストローク学習が可能となる。 【0014】請求項3の発明によると、入力軸の回転が増加して、実質的なダウンシフトが開始される回転加速度が0を越えた時点で、入力軸と出力軸との接続状態が絶たれるので、ダウンシフト実行時のシフトショックを防止のための、変速機構の自由回転状態を最適なタイミングで発現させることが出来る。 【0015】請求項4の発明によると、ダウンシフトに伴う変速が開始されるまでの間、前記駆動力伝達制御手段の摩擦係合要素を、滑りが生じない程度に係合が維持できる待機係合圧(Pw’)で駆動制御するので、その後の当該摩擦係合要素の解放動作を短時間で行うことが出来、シフト時間の短縮が可能となる。 【0016】なお、括弧内の番号等は、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、図面に沿って、本発明の実施の形態について説明する。 【0018】5速自動変速機1は、図2に示すように、トルクコンバータ4、3速主変速機構2、3速副変速機構5及びディファレンシャル8を備えており、かつこれら各部は互に接合して一体に構成されるケースに収納されている。そして、トルクコンバータ4は、ロックアップクラッチ4aを備えており、エンジンの回転はエンジンクランクシャフト13から、トルクコンバータ内の油流を介して又はロックアップクラッチによる機械的接続を介して主変速機構2の入力軸3に入力する。そして、一体ケースにはクランクシャフトと整列して配置されている第1軸3(具体的には入力軸)及び該第1軸3と平行に第2軸6(カウンタ軸)及び第3軸(左右車軸)14a,14bが回転自在に支持されており、また該ケースの外側にバルブボディが配設されている。 【0019】主変速機構2は、シンプルプラネタリギヤ7とダブルピニオンプラネタリギヤ9からなるプラネタリギヤユニット15を有しており、シンプルプラネタリギヤ7はサンギヤS1、リングギヤR1、及びこれらギヤに噛合するピニオンP1を支持したキャリヤCRからなり、またダブルピニオンプラネタリギヤ9は上記サンギヤS1と異なる歯数からなるサンギヤS2、リングギヤR2、並びにサンギヤS2に噛合するピニオンP2及びリングギヤR2に噛合するピニオンP3を前記シンプルプラネタリギヤ7のピニオンP1と共に支持する共通キャリヤCRからなる。 【0020】そして、エンジンクランクシャフト13からトルクコンバータ4を介して連動している入力軸3は、第1の(フォワード)クラッチC1を介してシンプルプラネタリギヤ7のリングギヤR1に連結し得ると共に、第2の(ダイレクト)クラッチC2を介してシンプルプラネタリギヤ7のサンギヤS1に連結し得る。また、ダブルピニオンプラネタリギヤ9のサンギヤS2は、第1のブレーキB1にて直接係止し得ると共に、第1のワンウェイクラッチF1を介して第2のブレーキB2にて係止し得る。更に、ダブルピニオンプラネタリギヤ9のリングギヤR2は、第3のブレーキB3及び第2のワンウェイクラッチF2にて係止し得る。そして、共通キャリヤCRが、主変速機構2の出力部材となるカウンタドライブギヤ18に連結している。 【0021】一方、副変速機構5は、第2軸を構成するカウンタ軸6の軸線方向リヤ側に向って、出力ギヤ16、第1のシンプルプラネタリギヤ10及び第2のシンプルプラネタリギヤ11が順に配置されており、またカウンタ軸6はベアリングを介して一体ケースに回転自在に支持されている。前記第1及び第2のシンプルプラネタリギヤ10,11は、シンプソンタイプからなる。 【0022】また、第1のシンプルプラネタリギヤ10は、そのリングギヤR3が前記カウンタドライブギヤ18に噛合するカウンタドリブンギヤ17に連結しており、そのサンギヤS3がカウンタ軸6に回転自在に支持されているスリーブ軸12に固定されている。そして、ピニオンP3はカウンタ軸6に一体に連結されたフランジからなるキャリヤCR3に支持されており、また該ピニオンP3の他端を支持するキャリヤCR3はUDダイレクトクラッチC3のインナハブに連結している。また、第2のシンプルプラネタリギヤ11は、そのサンギヤS4が前記スリーブ軸12に形成されて前記第1のシンプルプラネタリギヤのサンギヤS3に連結されており、そのリングギヤR4は、カウンタ軸6に連結されている。 【0023】そして、UDダイレクトクラッチC3は、前記第1のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR3と前記連結されたサンギヤS3,S4との間に介在しており、かつ該連結されたサンギヤS3,S4は、バンドブレーキからなる第4のブレーキB4にて係止し得る。更に、第2のシンプルプラネタリギヤのピニオンP4を支持するキャリヤCR4は、第5のブレーキB5にて係止し得る。 【0024】ついで、図2及び図3に沿って、本5速自動変速機の機構部分の作用について説明する。 【0025】D(ドライブ)レンジにおける1速(1ST)状態では、フォワードクラッチC1が接続し、かつ第5のブレーキB5及び第2のワンウェイクラッチF2が係止して、ダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2及び第2のシンプルプラネタリギヤ11のキャリヤCR4が停止状態に保持される。この状態では、入力軸3の回転は、フォワードクラッチC1を介してシンプルプラネタリギヤのリングギヤR1に伝達され、かつダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2は停止状態にあるので、両サンギヤS1、S2を逆方向に空転させながら共通キャリヤCRが正方向に大幅減速回転される。即ち、主変速機構2は、1速状態にあり、該減速回転がカウンタギヤ18,17を介して副変速機構5における第1のシンプルプラネタリギヤのリングギヤR3に伝達される。該副変速機構5は、第5のブレーキB5により第2のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR4が停止され、1速状態にあり、前記主変速機構2の減速回転は、該副変速機構5により更に減速されて、出力ギヤ16から出力する。 【0026】2速(2ND)状態では、フォワードクラッチC1に加えて、第2のブレーキB2(及び第1のブレーキB1)が作動し、更に、第2のワンウェイクラッチF2から第1のワンウェイクラッチF1に作動が切換わり、かつ第5のブレーキB5が係止状態に維持されている。この状態では、サンギヤS2が第2のブレーキB2及び第1のワンウェイクラッチF1により停止され、従って入力軸3からフォワードクラッチC1を介して伝達されたシンプルプラネタリギヤのリングギヤR1の回転は、ダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2を正方向に空転させながらキャリヤCRを正方向に減速回転する。更に、該減速回転は、カウンタギヤ18,17を介して副変速機構5に伝達される。即ち、主変速機構2は2速状態となり、副変速機構5は、第5のブレーキB5の係合により1速状態にあり、この2速状態と1速状態が組合されて、自動変速機1全体で2速が得られる。なおこの際、第1のブレーキB1も作動状態となるが、コーストダウンにより2速になる場合は、後述するように制御される。 【0027】3速(3RD)状態では、フォワードクラッチC1、第2のブレーキB2及び第1のワンウェイクラッチF1並びに第1のブレーキB1はそのまま係合状態に保持され、第5のブレーキB5の係止が解放されると共に第4のブレーキB4が係合する。即ち、主変速機構2はそのままの状態が保持されて、上述した2速時の回転がカウンタギヤ18,17を介して副変速機構5に伝えられ、そして副変速機構5では、第1のシンプルプラネタリギヤのリングギヤR3からの回転がそのサンギヤS3及びサンギヤS4の固定により2速回転としてキャリヤCR3から出力し、従って主変速機構2の2速と副変速機構5の2速で、自動変速機1全体で3速が得られる。 【0028】4速(4TH)状態では、主変速機構2は、フォワードクラッチC1、第2のブレーキB2及び第1のワンウェイクラッチF1並びに第1のブレーキB1が係合した上述2速及び3速状態と同じであり、副変速機構5は、第4のブレーキB4を解放すると共にUDダイレクトクラッチC3が係合する。この状態では、第1のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR3とサンギヤS3,S4が連結して、プラネタリギヤ10,11が一体回転する直結回転となる。従って、主変速機構2の2速と副変速機構5の直結(3速)が組合されて、自動変速機全体で、4速回転が出力ギヤ16から出力する。 【0029】5速(5TH)状態では、フォワードクラッチC1及びダイレクトクラッチC2が係合して、入力軸3の回転がシンプルプラネタリギヤのリングギヤR1及びサンギヤS1に共に伝達されて、主変速機構2は、ギヤユニットが一体回転する直結回転となる。この際、第1のブレーキB1が解放されかつ第2のブレーキB2は係合状態に保持されるが第1のワンウェイクラッチF1が空転することにより、サンギヤS2は空転する。また、副変速機構5は、UDダイレクトクラッチC3が係合した直結回転となっており、従って主変速機構2の3速(直結)と副変速機構5の3速(直結)が組合されて、自動変速機全体で、5速回転が出力ギヤ16から出力する。 【0030】更に、本自動変速機は、加速等のダウンシフト時に作動する中間変速段、即ち3速ロー及び4速ローがある。 【0031】3速ロー状態は、フォワードクラッチC1及びダイレクトクラッチC2が接続し(第2ブレーキB2が係合状態にあるがワンウェイクラッチF1によりオーバランする)、主変速機構2はプラネタリギヤユニット15を直結した3速状態にある。一方、第5のブレーキB5が係止して副変速機構5は1速状態にあり、従って主変速機構2の3速状態と副変速機構5の1速状態が組合されて、自動変速機1全体で、前述した2速と3速との間のギヤ比となる変速段が得られる。 【0032】4速ロー状態は、フォワードクラッチC1及びダイレクトクラッチC2が接続して、主変速機構2は、上記3速ロー状態と同様に3速(直結)状態にある。一方、副変速機構5は、第4のブレーキB4が係合して、第1のシンプルプラネタリギヤ10のサンギヤS3及び第2のシンプルプラネタリギヤ11のサンギヤS4が固定され、2速状態にある。従って、主変速機構2の3速状態と副変速機構5の2速状態が組合されて、自動変速機1全体で、前述した3速と4速との間のギヤ比となる変速段が得られる。 【0033】なお、図2において点線の丸印は、コースト時エンジンブレーキの作動状態(4、3又は2レンジ)を示す。即ち、1速時、第3のブレーキB3が作動して第2のワンウェイクラッチF2のオーバランによるリングギヤR2の回転を阻止する。また、2速時、3速時及び4速時、第1のブレーキB1が作動して第1のワンウェイクラッチF1のオーバランによるサンギヤS1の回転を阻止する。 【0034】また、R(リバース)レンジにあっては、ダイレクトクラッチC2及び第3のブレーキB3が係合すると共に、第5のブレーキB5が係合する。この状態では、入力軸3の回転はダイレクトクラッチC2を介してサンギヤS1に伝達され、かつ第3のブレーキB3によりダブルピニオンプラネタリギヤのリングギヤR2が停止状態にあるので、シンプルプラネタリギヤのリングギヤR1を逆転方向に空転させながらキャリヤCRも逆転し、該逆転が、カウンタギヤ18,17を介して副変速機構5に伝達される。副変速機構5は、第5のブレーキB5に基づき第2のシンプルプラネタリギヤのキャリヤCR4が逆回転方向にも停止され、1速状態に保持される。従って、主変速機構2の逆転と副変速機構5の1速回転が組合されて、出力軸16から逆転減速回転が出力する。 【0035】図1は、電気制御系を示すブロック図であり、21は、マイクロコンピュータ(マイコン)からなる制御部(ECU)で、エンジン回転センサ22、ドライバのアクセルペダル踏み量を検出するスロットル開度センサ23、トランスミッション(自動変速機構)の入力軸回転数(=タービン回転数)を検出するセンサ25、車速(=自動変速機出力軸回転数)センサ26及び油温センサ27からの各信号が入力しており、また油圧回路のリニアソレノイドバルブSLS、SLU及びSLTに出力している。前記制御部21は、解放側油圧を制御する解放側制御手段21aと、係合側油圧を制御する係合側制御手段21bと、変速機の入力軸と出力軸との間の接続状態を制御する駆動力伝達制御手段21eと、ワンウェイクラッチ(F1)を介在する所定変速段(2速)へのダウンシフトに際して、変速に関与する各摩擦係合要素の作動を経時的に制御する変速進行制御手段21cと、前記駆動力伝達制御手段によりワンウェイクラッチの空転を防止する摩擦係合要素が制御されている間、ダウンシフト時における係合側の摩擦係合要素のストローク学習を制御する学習制御手段21dと、を備えている。 【0036】図4は、油圧回路の概略を示す図であり、前記3個のリニアソレノイドバルブSLS、SLU及びSLTを有すると共に、自動変速機構のプラネタリギヤユニットの伝達経路を切換えて、例えば前進5速、後進1速の変速段を達成する複数の摩擦係合要素(クラッチ及びブレーキ)を断接作動する複数の油圧サーボ29、30、37を有している。また、前記リニアソレノイドバルブSLS、SLU及びSLTの入力ポートa1 ,a2 、a3にはソレノイドモジュレータ圧が供給されており、これらリニアソレノイドバルブの出力ポートb1 ,b2 、b3からの制御油圧がそれぞれプレッシャコントロールバルブ31、32、33の制御油室31a,32a、33aに供給されている。プレッシャコントロールバルブ31,32、33は、ライン圧がそれぞれ入力ポート31b,32b、33bに供給されており、前記制御油圧にて調圧された出力ポート31c,32c、33cからの調圧油圧が、それぞれシフトバルブ34,35、36を介して適宜各油圧サーボ29,30、37に供給される。 【0037】なお、本油圧回路は、一方の摩擦係合要素を解放すると共に他方の摩擦係合要素を係合する、いわゆるクラッチツークラッチによる変速に係る基本概念を示すものであり、各油圧サーボ29,30、37及びシフトバルブ34,35、36は、象徴的に示すものであって、実際には、自動変速機構に対応して油圧サーボは多数備えられているが、具体的には、3→2変速に際して第4のブレーキB4用油圧サーボ、第5のブレーキB5用油圧サーボ及び第1のブレーキB1用油圧サーボ、4→3変速に際しての第3のクラッチC3用油圧サーボ及び第4のブレーキB4用油圧サーボであり、また、これら油圧サーボへの油圧を切換えるシフトバルブも多数備えている。 【0038】なお、上記3→2ダウンシフト変速にあっては、第4のブレーキB4用油圧サーボの油圧を解放制御すると共に、第5のブレーキB5用油圧サーボの油圧を係合制御し、更に上記両ブレーキのつかみ換え制御に先立ち、第1のブレーキB1用油圧サーボの油圧は後述するパターンで解放され、かつ上記つかみ換え制御終了して更に第1のワンウェイクラッチF1の係合後、供給される。即ち、副変速機構5における上記第4及び第5のブレーキB4,B5のつかみ換えによるダウンシフトは、基本的には第1のブレーキB1及び第1のワンウェイクラッチF1の解放に基づく主変速機構2の自由回転状態(ニュートラル状態)にて実施されるが、第1のブレーキB1は、入力軸の回転加速度が負から0になるまでは、ブレーキB1に滑りが生じない程度の油圧で保持される。上記第4及び第5のブレーキB4,B5のつかみ換え動作が完了した後、アクセルの踏み込みにより、該サンギヤS2の回転が正転から逆転に切換わる時点、即ち出力軸側からのギヤ比に基づく回転数がエンジン回転数を下まった時点で、前記第1のワンウェイクラッチF1が係合して、上記自由回転状態が解除されて2速段となり、その後第1ブレーキB1が係合する。又は、降坂路などで車速が上昇した場合、第1のワンウェイクラッチF1が自由回転状態であるため、この場合は、所定の車速以上で第1のブレーキB1を係合する。 【0039】ついで、図5〜8に沿って、クラッチツークラッチによるダウンシフト、例えば3→2変速について説明する。3→2変速にあっては、具体的には、解放側油圧PAが第4のブレーキB4用油圧であり、係合側油圧PBは第5のブレーキB5用油圧である。 【0040】まず、スロットル開度センサ23及び車速センサ26からの信号に基づき、制御部21はマップにより、3→2変速等のダウンシフトを判断すると、変速進行制御手段21cに対して、図5から図7に示すフローチャートに従って、係合側摩擦係合要素であるブレーキB5、解放側摩擦係合要素であるブレーキB4、及びエンジンブレーキ用摩擦係合要素であるブレーキB1の制御を行うように指令する。変速進行制御手段21cは、これを受けて、図7に示すように、入力トルクTt の関数により第1のブレーキB1、即ちエンジンブレーキ用ブレーキ側トルクTcを算出する(S11)。入力トルクTt は、例えばマップによりスロットル開度とエンジン回転数に基づきエンジントルクを求め、更にトルクコンバータの入出力回転数から速度比を計算し、該速度比からマップにてトルク比を求め、エンジントルクに上記トルク比を乗じて求められる。更に、該入力トルクにトルク分担率等が関与して上記ブレーキ側トルクTc が求められる。 【0041】該ブレーキ側トルクTc からブレーキB1側の待機係合圧Pw’が算出され(S12)、解放側制御手段21aは、ブレーキB1の油圧サーボの作動油圧が待機係合圧Pw’になるようにリニアソレノイドバルブに制御信号を出力する(S13)。すると、第1のブレーキB1は、初期の係合圧Pcから待機係合圧Pw’にまで低下する。この待機係合圧Pw’では、第1のブレーキB1は、滑りが生じない程度に維持される。この状態では、主変速機構は未だニュートラル状態ではなく、3速状態を維持しており、かつ解放側油圧PA、例えば第4のブレーキB4用の油圧が係合圧となっており、解放側摩擦係合要素(例えば第4のブレーキB4)は係合した状態にある。 【0042】一方、解放側の摩擦係合要素であるブレーキB4については、図5及び図8に示すように、ブレーキB1を所定の待機係合圧Pw’にまで低下させる指令が出されたところで、変速進行制御手段21cは、図5のステップS1を実行し、入力トルクTt の関数により解放側トルクTAを算出する(S1)。該入力トルクTt は、例えば、マップによりスロットル開度とエンジン回転数に基づきエンジントルクを求め、更にトルクコンバータの入出力回転数から速度比を計算し、該速度比からマップにてトルク比を求め、エンジントルクに上記トルク比を乗じて求められる。更に、該入力トルクにトルク分担率等が関与して上記解放側トルクTA が求められる。 【0043】該解放側トルクTA から解放側の待機係合圧Pwが算出され(S2)、変速進行制御手段21cは解放側制御手段21aに、ブレーキB4への供給油圧が該待機係合圧Pwになるようにリニアソレノイドバルブに制御信号を出力させる(S3)。更に、変速進行制御手段21cは解放側制御手段21aを介して、図5のステップS4で、ブレーキB4の供給油圧PAをPwから予め設定されている所定勾配からなる油圧δPEにより、スイープダウンさせる(S4)。この制御は、供給油圧PAが0になるまで継続される(S5)。 【0044】一方、係合側となるブレーキB5は、図6に示すように、制御部21からのダウンシフト判断に基づき、変速進行制御手段21cによる計時が開始され(S30)、第5のブレーキB5用油圧サーボへの油圧PBが所定圧Ps1になるように所定信号をリニアソレノイドバルブSLS(又はSLU)に出力する(S31)。 【0045】該所定圧Ps1は、油圧サーボの油圧室を満たしてガタ詰めを行うために必要な油圧に設定されており、所定時間tSAの間保持されるが、この保持時間は、後述するように、学習制御手段21dにより、最適な時間となるように学習制御される形で毎回変更制御される。所定時間tSAが経過すると(S32)、係合側油圧PBは、所定勾配[(Ps1−Ps2)/tSB]でスイープダウンし(S33)、係合側油圧PBが所定低圧Ps2になると(S34)、該スイープダウンが停止され、該所定低圧Ps2に保持される(S35)。該所定低圧Ps2は、ピストンストローク圧以上でかつ係合側摩擦係合要素(例えば第5のブレーキB5)にトルク容量を生じさる圧に設定されており、該所定低圧Ps2は、計時tが所定時間tSE経過するまで保持される(S36)。上記ステップS31からS36までサーボ起動制御となる。ここで、所定低圧Ps2をトルク容量を生じさせる圧に設定しているので、所定低圧Ps2で保持されている間に、係合側摩擦係合要素(B5)の係合が開始、つまり変速が開始(回転変化が開始)される。 【0046】この際、入力軸の回転数は、図8に示すように、第1のブレーキB1が滑りが生じない程度の待機係合圧Pw’に保持されているので、主変速機構1はニュートラル状態にはなっておらず、車速の低下及びブレーキB4の解放動作などに起因する入力軸の回転数の変化を正確に補足することが出来る。従って、入力軸回転数の変化を監視しつつ、その回転加速度が負から0に移行して、ブレーキB5が実際の係合を開始する時点T1(変速の開始)が、適正なタイミングで生じるように、係合側の摩擦係合要素であるブレーキB5のストローク調整を学習制御により行うことが可能となる。 【0047】即ち、学習制御手段21dは、仮に、図8破線で示すように、回転加速度が負から0に移行して、ブレーキB5の実際の係合開始が時点T2で生じた場合には、ブレーキB5のストロークが早すぎて実際の係合が早期に始まっていると判断して、ガタ詰めに要する図6のステップS32の所定時間tSAを、次の動作サイクルから所定時間短くして、過度のガタ詰め(実際の係合が開始してしまう)が生じないように補正する。また、図8一点鎖線で示すように、ブレーキB5の実際の係合開始が時点T3で生じた場合には、ブレーキB5のストロークが遅すぎて実際の係合が遅れて始まっていることから、ガタ詰めに要するステップS32の所定時間tSAを、次の動作サイクルから所定時間、長くして十分なガタ詰め動作を行うように補正する。なお、この時点では、変速機全体としては、ブレーキB4、B5などの摩擦係合要素の掴み換え動作の初期段階であり、実質的に3速などの高速段を維持しているので、それに伴うエンジンブレーキ感やシフトショックなどが生じることはない。 【0048】こうして、学習制御手段21dによる係合側のブレーキB5のストローク学習制御が行われる。次に、変速進行制御手段21cは、図7のステップS14で入力軸の回転加速度ΔNが0以上になったところで、ステップS15に入り、図8に示すように、エンジンブレーキ用のブレーキB1の供給油圧Pcをそれまでの待機係合圧Pw’から0に落としブレーキB1を解放し、主変速機構1をニュートラル状態にして、以降、実質的な係合側摩擦係合要素であるブレーキB5の係合開始によるダウンシフト動作に備える。 【0049】また、変速進行制御手段21cは、図6に示すように、係合側の摩擦係合要素であるブレーキB5のサーボ起動制御(図6のステップS36まで)が終了すると(t≧tSE)、直ちに完了制御に入る。該完了制御では、完了制御時間tFIN がタイマに設定される(S37)。そして係合側油圧PBは、予め設定されている所定勾配からなる油圧δPFによりスイープアップし(S38)、上記設定された所定時間tFIN が経過するまで(t≦0)、上記スイープアップが続けられ(S39)、該時間が経過した時点で完了制御は終了し、ブレーキB5の係合が完了し、3→2変速が完了する。なお、この際、既に述べたように、エンジンブレーキ用摩擦係合要素であるブレーキB1は解放されているので、ブレーキB5が係合されても、主変速機構1はニュートラル状態となっており、エンジン側からのトルクが遮断されているので、ブレーキB5の係合に伴う車両が押し出される感じのシフトショックの発生は防止される。 【0050】なお、上記クラッチツークラッチ(つかみ換え)による3→2変速が実質的に開始される入力軸回転数の回転加速度ΔNが0以上となった時点で第1のブレーキB1が解放され、またステップS39の完了制御の終了後、即ち3→2変速の終了した後に、例えばアクセルの踏み込みにより、入力回転数がエンジン回転数を下まわり、第1のワンウェイクラッチF1が係合されてから、上記第1のブレーキB1が係合する。該第1のブレーキB1の係合は、第1のワンウェイクラッチF1が係合されているので、特に油圧制御されることなく、シフトバルブ等の切換えに基づくライン圧の供給により行われる。しかし、降坂路などで車速が上昇した場合には、第1のワンウェイクラッチF1が係合されていないので、係合ショックを防止するために油圧制御を行い、第1のブレーキB1を滑らかに係合させる。 【0051】なお、上記実施の形態は、図2及び図3による変速機において3→2変速について説明したが、4→2変速も同様に適用できる。更に、他の形式の変速機による他の変速段のダウンシフトにも同様に適用し得る。 【0052】また、上述の実施例は、入力軸回転数の回転加速度ΔNが0以上となった時点で、クラッチツークラッチ(つかみ換え)による3→2変速が実質的に開始されたものと判断して、第1のブレーキB1を解放しているが、変速開始の判断は、かならずしも回転加速度ΔNが0以上となった時点で判断する必要はなく、回転加速度ΔNを0よりも正(+)側にオフセットさせた値に設定し、ノイズなどに起因する誤作動を防止するように構成することもできる。また、変速の開始の判断は、回転加速度ΔNに限定されず、他のパラメータを用いて判定してもよい。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000100768 【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月25日(1999.10.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083138 【弁理士】 【氏名又は名称】相田 伸二 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−124194(P2001−124194A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月8日(2001.5.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−301927 |
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