| 【発明の名称】 |
変速機の潤滑装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】宮野 博邦
【氏名】澤田 中臣
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| 【要約】 |
【課題】変速機底部側に配設される固定シャフトと該固定シャフトに装着された遊転ギヤとの軸受け面の潤滑を十分な油量を供給して行うことができるようにする。
【解決手段】変速機のケース1は底部に潤滑油が導入されており、固定シャフト2は底部側のケース内に設けられた軸端保持部6の軸穴7に一端が回り止めされた状態で固定されている。固定シャフト2には、遊転ギヤ3が遊転可能に外装され、遊転ギヤ3の回転により潤滑油をかき上げることができる。また、固定シャフト2内部には、軸穴7内に保持された端部上面に開口した縦孔26と該縦孔26と連通し軸方向に延びる軸内油通路24と該軸内油通路24から軸受け面に連通した下落ち通路25とを設ける。また、遊転ギヤ3によってかき上げられた潤滑油が落下する軸端保持部6にその上半周面から軸穴7内に貫通する貫通孔(逃げ孔13)を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】底部に潤滑油が導入され該底部側の内側に軸穴をもつ軸端保持部が設けられたケースと、該軸端保持部の該軸穴に一端部が挿入され回り止めされた状態で固定される固定シャフトと、該固定シャフトに遊転可能に外装され他シャフト上のギヤと常噛合して回転により潤滑油をかき上げる遊転ギヤとを具備し、該遊転ギヤでかき上げた潤滑油で該遊転ギヤと固定シャフトとの軸受け面を潤滑する変速機の潤滑装置において、前記軸穴内の前記固定シャフトの端部上面に開口した縦孔と該縦孔と連通し軸方向に延びる軸内油通路と該軸内油通路から前記軸受け面に連通した下落ち通路とが該固定シャフトの内部に穿設され、かつ、前記遊転ギヤによってかき上げられた潤滑油が飛沫する該軸端保持部の上面から前記軸穴内に貫通する貫通孔が設けられることを特徴とする変速機の潤滑装置。 【請求項2】前記貫通孔が設けられた前記軸端保持部の上面は、該遊転ギヤによってかき上げられた潤滑油の飛沫方向に対面した堰壁をもつ油溜め凹面をなす請求項1記載の変速機の潤滑装置。 【請求項3】前記貫通孔は、前記固定シャフトを回り止め状態に固定するボルトの先端を退避する逃げ孔である請求項1記載の変速機の潤滑装置。 【請求項4】前記軸穴内に挿入された前記固定シャフトの一端部は、該軸穴の壁面との間にすき間をもつ請求項1記載の変速機の潤滑装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、変速機の固定シャフトに装着される遊転ギヤと固定シャフトとの軸受け面を潤滑する変速機の潤滑装置に関する。 【0002】 【従来の技術】自動車等の変速機において、リバースアイドラギヤ等のアイドラギヤは遊転ギヤとしてケース内に固定された固定シャフトに装着される場合がある。このような遊転ギヤと固定シャフトとの軸受け面の潤滑は、従来、図3および図4に示すような構成で行われている。 【0003】図3において、1は変速機のケース、2は固定シャフト、3はアイドラギヤである。ケース1は互いに突合わされたフロントケース4とリヤケース5の底部側が示されており、所定油面の潤滑油が導入されている。固定シャフト2の一端はフロントケース4内側に設けられた軸端保持部6の軸穴7に挿入され、フロントケース4の外側から介入されるボルト8によって回り止めされた状態で固定されている。固定シャフト2の他端はリヤケース5に設けられた軸穴9に挿入されている。なお、軸穴7から縦方向に形成された逃げ孔13は、ボルト8の先端を退避するものである。 【0004】遊転ギヤ3は、図示しない二つの他シャフト上のギヤとそれぞれ噛合し、該他シャフトのうち出力側シャフトの回転方向を入力側シャフトに対し反転するギヤであり、回転により潤滑油をかき上げている。遊転ギヤ3は、固定シャフト2にベアリング10を介して空転状態に装着されている。遊転ギヤ3の一方の端面と軸端保持部6の軸穴7開口端面との間および遊転ギヤ3の他方の端面とリヤケース5の端面との間には、それぞれスラストワッシャ11、12が介装されており、遊転ギヤ3の軸方向位置を調整している。 【0005】上記変速機においては、遊転ギヤ3のラジアル面14、固定シャフト2の外周面15等からなる軸受け面を潤滑する必要がある。このため従来は、図4に示すように、遊転ギヤ3の回転によりかき上げられた潤滑油がスラストワッシャ11とギヤ端面とのスラスト面16の間隙からベアリング10内に浸入させて行っている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スラストワッシャ11とギヤ端面とのスラスト面16の間隙は、潤滑油が浸入するのに十分ではない。 【0007】また、ある種の変速機においては、固定シャフト2の軸方向に延びる軸内油通路と該通路から放射状にラジアル面14に貫通する下落ち通路とを設け、この軸内油通路にオイルポンプの圧送力で潤滑油を送り込むことにより、ラジアル面14および外周面15を潤滑することが行われているが、図に示す変速機では、オイルポンプのスペースやリヤケース等に油路スペースがないため、採用することができない。 【0008】本発明は、遊転ギヤによってかき上げられる潤滑油を固定シャフトと遊転ギヤとの軸受け面へ特別な圧送手段を配設することなく供給できる変速機の潤滑装置を提供することを解決すべき課題とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく本発明の発明者等は種々検討を重ね、軸受け面への潤滑油の供給は固定シャフト内の軸内油通路が確実であり、この軸内油通路へ潤滑油を十分に供給するために遊転ギヤによって飛沫される油が軸内油通路に集る形態を考え本発明を完成した。 【0010】すなわち、本発明の変速機の潤滑装置は、底部に潤滑油が導入され該底部側の内側に軸穴をもつ軸端保持部が設けられたケースと、該軸端保持部の該軸穴に一端部が挿入され回り止めされた状態で固定される固定シャフトと、該固定シャフトに遊転可能に外装され他シャフト上のギヤと常噛合して回転により潤滑油をかき上げる遊転ギヤとを具備し、該遊転ギヤでかき上げた潤滑油で該遊転ギヤと固定シャフトとの軸受け面を潤滑する変速機の潤滑装置において、該軸穴内の該固定シャフトの端部上面に開口した縦孔と該縦孔と連通し軸方向に延びる軸内油通路と該軸内油通路から該軸受け面に連通した下落ち通路とが該固定シャフトの内部に穿設され、かつ、該遊転ギヤによってかき上げられた潤滑油が飛沫する該軸端保持部の上面から該軸穴内に貫通する貫通孔が設けられることを特徴とする。 【0011】 【作用】本発明の変速機の潤滑装置においては、遊転ギヤによってかき上げられた潤滑油のうち遊転ギヤの端面側へ落下する油が軸端保持部の貫通孔を通じて軸穴内へ導入される。軸端保持部の軸穴には固定シャフトの一端部が保持され、その一端部の上面には縦孔が開口しているため、縦孔と連通した軸内油通路および下落ち通路を介して潤滑油を固定シャフトと遊転ギヤとの軸受け面へ十分供給できることとなる。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明の変速機の潤滑装置において、軸端保持部はケースの肉厚を厚くしたもので構成できる。 【0013】軸端保持部の軸穴に挿入された固定シャフトの一端部はボルトあるいはキー等によって回り止めされた状態で固定することができる。 【0014】固定シャフトをボルトで固定する場合、軸穴に連通する縦孔はボルトの先端を回避する逃げ孔と兼用できる。 【0015】軸端保持部の軸穴に挿入された固定シャフトの一端部は、弦方向に切除された平坦面をもち、軸穴に嵌合された状態で軸端保持部の軸穴の内壁と一定のすき間(凹部)をもつことが軸内油通路への潤滑油の導入に好ましい(実施例参照)。そして、軸内油通路の縦孔は、平坦面に開口していることが好ましい。更に好ましくは、軸内油通路の縦孔は、軸端保持部の貫通孔と上下直結していることが好ましい。 【0016】前記貫通孔をもつ前記軸端保持部の上面は、遊転ギヤによってかき上げられた潤滑油の飛沫方向に対面した堰壁をもつ油溜り凹面をなすことが、潤滑油を多量に保持でき、軸内油通路への供給性が良好になる。 【0017】更に、前記油溜り凹面は、遊転ギヤの端面あるいは該端面と軸端保持部との間に介装されたスラストワッシャの端面に抜けていることが、潤滑油の油溜り凹面への保持とスラスト面への潤滑油の供給に好ましい。 【0018】 【実施例】以下、本発明の変速機の潤滑装置を実施例を図示して説明する。 【0019】実施例を図1および図2おいて、図3および図4と共通の要素には同一の符号を付しより具体的に説明する。 【0020】変速機のケース1は、フロントケース4とリヤケース5とを突合わせた状態でそれらの軸穴7、9に固定シャフト2の両端部を嵌合した状態で保持している。 【0021】軸穴7が形成されたフロントケース1の軸端保持部6は、ケース外側となる下半周面に軸穴7に連通した通孔17を開設している。ボルト8は通孔17より固定シャフト2の径方向に開設されたねじ孔18にボルト8を締着して固定シャフト2を回り止めの固定状態としている。ねじ孔18が形成された固定シャフト2の一端部は、弦方向の平坦面19が形成されている。ボルト8の先端は平坦面19側に突出している。この突出するボルト先端に対し貫通孔としての逃げ孔13が通孔17と反対側の軸端保持部6、すなわちケース内側となる軸端保持部6の上面側に延びている。これによりボルト8は、固定シャフト2を浮き上がらせることなく固定することができる。ボルト8の先端は逃げ孔13を塞ぐことはなく、逃げ孔13と軸孔7とは連通している。 【0022】また、軸端保持部6は、図2に示すように、上面に油溜り凹面20を形成している。詳細に油溜り凹面20は、遊転ギヤ3の回転方向後半上側が除去され、かつ底面は逃げ孔13と連通しているものである。油溜り凹面20は、遊転ギヤ3の回転方向後半上側に形成されることで、回転方向の12時の位置に堰壁21をもつことになる。この構成により遊転ギヤ3の回転によりかき上げられた潤滑油は油溜り凹面20に積極的に集まる。なお、軸端保持部6は、フロントケース1の外周部と連続した回転方向前半のフレーム23と回転方向後半のフレーム22で補強されているが、フレーム22は、かき上げられる潤滑油を阻止することはない。 【0023】しかして、固定シャフト2内部には、図1に示すように、軸穴9側に開設し軸穴7側(軸方向)に延びる軸内油通路24と、該軸内油通路24と連通し固定シャフト2の外周面に開口した複数の下落ち通路25と、該軸内油通路24と連通し軸穴7に開口した縦孔26とが形成されている。従って、油溜り凹面20は、逃げ孔13、軸穴7、縦孔26、軸内油通路24および下落ち通路25を介して固定シャフト2の外周面および遊転ギヤ3のラジアル面14との間のベアリング10内(軸受け面)と連通する。 【0024】遊転ギヤ3の両端面には、軸端保持部6の端面およびリヤケース5の端面との間にそれぞれスラストワッシャ11、12が介装されている。軸端保持部6側の遊転ギヤ3の端面と軸端保持部6の端面との間に介装されたスラストワッシャ11は、図1に示すように、油溜り凹面20が抜けており、スラストワッシャ11の端面が油溜り凹面20の側壁として機能している。なお、スラストワッシャ11、12はかならずしも必要ではない。スラストワッシャ11、12を設けない場合は、遊転ギヤ3の端面に油溜り凹面20が抜けていれば、遊転ギヤ3の端面が油溜り凹面20の側壁となる。 【0025】上記変速機によれば、図2に示すように、遊転ギヤ3の回転によりかき上げられる潤滑油は油溜り凹面20に飛沫する。油溜り凹面20を越えても、図2に示す堰壁21で遮られ、油溜り凹面20に集ることになる。油溜り凹面20は、逃げ孔13によりロート状であり、潤滑油を確実に軸穴7内に導入することができる。そして、軸穴7内の潤滑油は、縦孔26より軸内油通路24を伝わって下落ち通路25に落ち、固定シャフト2と遊転ギヤ3との軸受け面を潤滑することができる。 【0026】また、本実施例においては、スラストワッシャ11が、図1に示すように、油溜り凹面20の側壁として機能しているため、油溜り凹面20への潤滑油の集約性を向上して遡及的に遊転ギヤ3のスラスト面16への潤滑油の供給も十分に行うことができる。 【0027】本実施例においては、軸穴7に挿入された固定シャフト2の一端部が弦方向にカットされた平坦面19をもつため、軸穴7の壁面との間にすき間が形成され、該すき間が通路となって軸内油通路24への潤滑油の導入が良好に行われるようにしている。 【0028】なお、別の実施例として、逃げ孔13を設けない場合、図1の点線にて示すように、縦孔26と上下に直結したロート孔27を設けることができる。これによっても潤滑油を軸内油通路24に供給することができる。 【0029】本発明の潤滑装置は、ケース内にオイルポンプを構成する変速機にも適用することができる。この場合、従来は、オイルポンプでくみ上げた潤滑油を他シャフトの軸内通路と遊転ギヤ3を装着した固定シャフト2の軸内通路24との2系統に送給する必要がある。このため、オイルポンプは2系統に送給できる能力が要求され、オイルポンプが構成されるリヤケースが大きくなり、変速機全体を大型化するという問題がある。しかし、本発明の潤滑装置を採用することにより、他シャフトだけに潤滑油を送給し固定シャフト2には油溜り凹面20より送給できるため、変速機を小型化できる効果がある。 【0030】 【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、オイルポンプ等の特別な圧送手段を採用することなく、固定シャフトに装着された遊転ギヤのラジアル面および固定シャフトの外周面からなる軸受け面への潤滑油の供給を十分に行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592058315 【氏名又は名称】アイシン・エーアイ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月28日(1999.10.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081776 【弁理士】 【氏名又は名称】大川 宏
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| 【公開番号】 |
特開2001−124190(P2001−124190A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月8日(2001.5.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−306637 |
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