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【発明の名称】 回転軸の油供給構造
【発明者】 【氏名】一條 秀治

【氏名】渡邊 直人

【氏名】羽生 恵一

【要約】 【課題】軸方向に延びる複数の油路と径方向に延びる複数の油路とを任意の組み合わせで連通させる。

【解決手段】中空チューブ14内を延びる第1軸方向油路21および中空チューブの外周側を延びる第2軸方向油路22と、軸方向に異なる位置に形成された第1および第2径方向油路24,25とを、軸方向穴23内に圧入した連結プラグ30により連通させる。連結プラグは、中空チューブ14の先端を挿入させて第1軸方向油路と連通する第1連通孔38aと、第1径方向油路と同一の軸方向位置において面取り溝34aから第1連通孔に貫通した第2連通孔38bと、第2径方向油路と同一の軸方向位置に形成されて第2径方向油路と連通するリング状溝35と、第1連通孔より外径側において面取り溝を避けるようにして軸方向に延びてリング状溝に繋がる第3連通孔39とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転自在に支持された回転軸内に軸方向に延びて形成された軸方向油路および前記回転軸に径方向に延びて形成された径方向油路を介して前記回転軸の外周側との油の受け渡しを行うための油供給構造において、前記回転軸を軸端部から軸方向に延びて形成された軸方向穴内に中空チューブが挿入され、前記中空チューブ内を延びる第1軸方向油路と、前記中空チューブの外周面と前記軸方向穴の内周面とに囲まれて延びる第2軸方向油路とから前記軸方向油路が構成され、軸方向所定位置において前記軸方向穴から外周面まで貫通して延びる少なくとも一本の穴からなる第1径方向油路と、前記軸方向所定位置から軸方向に離れた位置において前記軸方向穴から外周面まで貫通して延びる少なくとも一本の穴からなる第2径方向油路とから前記径方向油路が構成され、前記軸方向穴内に圧入されて、前記第1軸方向油路を前記第1径方向油路に連通させるとともに前記第2軸方向油路を前記第2径方向油路に連通させる連結プラグを有し、前記連結プラグは、前記軸方向穴内に圧入された状態において、前記中空チューブの先端を挿入させて前記第1軸方向油路と連通する軸方向に延びた第1連通孔と、前記第1径方向油路と同一の軸方向位置において外周面の一部に形成された面取り溝から前記第1連通孔に貫通して径方向に延びた第2連通孔と、前記第2径方向油路と同一の軸方向位置において前記連結プラグの外周面に形成されて前記第2径方向油路と連通するリング状溝と、前記第1連通孔より外径側において前記面取り溝を避けるようにして軸方向に延び、前記第2軸方向油路に対向する側端面から前記リング状溝に繋がる第3連通孔とを有していることを特徴とする回転軸の油供給構造。
【請求項2】 前記軸方向穴内に圧入された前記連結プラグにより仕切られて前記第1および第2軸方向油路と反対側に形成された第3軸方向油路と、前記第3軸方向油路から径方向に延びて前記回転軸の外周面に貫通形成された第3径方向油路とを有することを特徴とする請求項1に記載の回転軸の油供給構造。
【請求項3】 前記第1径方向油路が径方向に延びる複数の径方向貫通孔から形成され、前記連結プラグを前記軸方向穴内に圧入したときの回転方向位置に拘わらず、少なくともいずれかの前記径方向貫通孔が前記面取り溝と連通することを特徴とする請求項1に記載の回転軸の油供給構造。
【請求項4】 前記面取り溝が前記連結プラグの外周面における複数箇所に形成され、前記連結プラグを前記軸方向穴内に圧入したときの回転方向位置に拘わらず、少なくともいずれかの前記面取り溝が前記第1径方向油路と連通することを特徴とする請求項1に記載の回転軸の油供給構造。
【請求項5】 回転自在に支持された回転軸内を軸方向に延びて形成された軸方向油路および前記回転軸に径方向に延びて形成された径方向油路を介して前記回転軸の外周側に油の供給を行うための油供給構造において、前記回転軸を軸端部から軸方向に延びて形成された軸方向穴内に中空チューブが挿入され、前記中空チューブ内を延びる第1軸方向油路と、前記中空チューブの外周面と前記軸方向穴の内周面とに囲まれて延びる第2軸方向油路とから前記軸方向油路が構成され、軸方向所定位置において前記軸方向穴から外周面まで貫通して延びる少なくとも一本の穴からなる第1径方向油路と、前記軸方向所定位置から軸方向に離れた位置において前記軸方向穴から外周面まで貫通して延びる少なくとも一本の穴からなる第2径方向油路とから前記径方向油路が構成され、前記軸方向穴内に圧入されて、前記第1軸方向油路を前記第1径方向油路に連通させるとともに前記第2軸方向油路を前記第2径方向油路に連通させる連結プラグを有し、前記連結プラグは、前記軸方向穴内に圧入された状態において、前記中空チューブの先端を挿入させて前記第1軸方向油路と連通する軸方向に延びた第1連通孔と、前記第1径方向油路と同一の軸方向位置において前記第1連通孔から外周面に貫通して径方向に延びるとともに、外周面側において広がった形状を有する第2連通孔と、前記第2径方向油路と同一の軸方向位置において外周面に形成されて前記第2径方向穴と連通するリング状溝と、前記第1連通孔より外径側において前記第2連通孔を避けるようにして軸方向に延び、前記第2軸方向油路に対向する側端面から前記リング状溝に繋がる第3連通孔とを有して形成されており、前記第1径方向油路および前記第2連通孔が複数形成され、前記連結プラグを前記軸方向穴内に圧入したときの回転方向位置に拘わらず、少なくともいずれかの前記第1径方向油路がいずれかの前記第2連通孔と連通することを特徴とする回転軸の油供給構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変速機の回転軸のように、回転軸上に配設された変速装置等に作動油、潤滑油等を回転軸を通って供給するための油供給構造に関する。
【0002】
【従来技術】変速装置等においては回転軸上にクラッチ、ギヤ等が配設され、回転軸を介して供給される油圧によりクラッチの作動を制御し、同様に回転軸を介して供給される油によりクラッチ、ギヤ等の潤滑を行うようになっている。このため、回転軸に複数の油供給路を設ける必要があり、回転軸の端部から軸方向に延びる軸方向穴を形成するとともに、この軸方向穴内に中空チューブを挿入し、中空チューブ内を延びる油路と、中空チューブの外周面と軸方向穴の内周面とに囲まれて延びる油路とに分けて複数の油供給路を構成することが行われている(例えば、特開平10−184820号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このように中空チューブを用いて二つの油路を構成する場合、中空チューブの外周側の軸方向油路に繋がるとともに径方向に延びて外周面に貫通する径方向油路を手前側に設け、中空チューブ内の油路に繋がるとともに径方向に延びて外周面に貫通する径方向油路を奥側に設ける構成となる。しかしながら、油路を構成する上で各油路の配置位置に制限が加わり、径方向油路を上記とは逆の位置に設ける必要があるような場合がある。このような場合に、単に中空チューブを用いるだけでは対応が難しいという問題がある。
【0004】本発明はこのような問題に鑑みたもので、軸方向に延びる複数の油路と径方向に延びる複数の油路とを任意の組み合わせで連通させることができ、自由度の高い油の選択供給が可能となるような回転軸の油供給構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような目的達成のため、本発明においては、回転軸(例えば、実施形態における変速機カウンタシャフト12)を軸端部から軸方向に延びて形成された軸方向穴内に中空チューブ(例えば、実施形態における第1チューブ14)を挿入して、中空チューブ内を延びる第1軸方向油路と、中空チューブの外周面と軸方向穴の内周面とに囲まれて延びる第2軸方向油路とから軸方向油路を構成し、軸方向所定位置において軸方向穴から外周面まで貫通して延びる少なくとも一本の穴からなる第1径方向油路と、軸方向所定位置から軸方向に離れた位置において軸方向穴から外周面まで貫通して延びる少なくとも一本の穴からなる第2径方向油路とから径方向油路を構成し、軸方向穴内に圧入した連結プラグにより、第1軸方向油路を第1径方向油路に連通させるとともに第2軸方向油路を第2径方向油路に連通させるように油供給構造が構成される。このとき、連結プラグは、軸方向穴内に圧入された状態において、中空チューブの先端を挿入させて第1軸方向油路と連通する軸方向に延びた第1連通孔と、第1径方向油路と同一の軸方向位置において外周面の一部に形成された面取り溝から第1連通孔に貫通して径方向に延びた第2連通孔と、第2径方向油路と同一の軸方向位置において外周面に形成されて第2径方向油路と連通するリング状溝と、第1連通孔より外径側において面取り溝を避けるようにして軸方向に延び、第2軸方向油路に対向する側端面からリング状溝に繋がる第3連通孔とを有して形成される。
【0006】上記の油供給構造においては、軸方向穴に対して第1径方向油路が軸方向の奥側に位置するとともに第2径方向油路が手前側に位置する場合にも、連結プラグにより、第1軸方向油路と第1径方向油路とを接続させるとともに第2軸方向油路と第2径方向油路とを接続させることが簡単である。特に、連結プラグにおいて、第1径方向油路と同一の軸方向位置において外周面の一部に面取り溝を形成しているため、第2軸方向油路に対向する側端面からリング状溝に繋がる第3連通孔を面取り溝を避けた位置において大きな径の穴により形成することができ、連結プラグの製造が容易であるという利点がある。
【0007】なお、軸方向穴内に圧入された連結プラグにより仕切られて第1および第2軸方向油路と反対側に第3軸方向油路を形成し、この第3軸方向油路から径方向に延びて回転軸の外周面に貫通して第3径方向油路を形成しても良い。これにより、第3の油供給路を簡単に構成することができる。
【0008】また、第1径方向油路を径方向に延びる複数の径方向貫通孔から形成し、連結プラグを軸方向穴内に圧入したときの回転方向位置に拘わらず、少なくともいずれかの径方向貫通孔が面取り溝と連通するように構成することが望ましい。同様に、面取り溝を連結プラグの外周面における複数箇所に形成し、連結プラグを軸方向穴内に圧入したときの回転方向位置に拘わらず、少なくともいずれかの面取り溝が第1径方向油路と連通するように構成することが望ましい。
【0009】もう一つの本発明においても上記発明と同様に、回転軸を軸端部から軸方向に延びて形成された軸方向穴内に中空チューブを挿入して、中空チューブ内を延びる第1軸方向油路と、中空チューブの外周面と軸方向穴の内周面とに囲まれて延びる第2軸方向油路とから軸方向油路を構成し、軸方向所定位置において軸方向穴から外周面まで貫通して延びる少なくとも一本の穴からなる第1径方向油路と、軸方向所定位置から軸方向に離れた位置において軸方向穴から外周面まで貫通して延びる少なくとも一本の穴からなる第2径方向油路とから径方向油路を構成し、軸方向穴内に圧入した連結プラグにより、第1軸方向油路を第1径方向油路に連通させるとともに第2軸方向油路を第2径方向油路に連通させるように油供給構造が構成される。但し、このとき連結プラグは、軸方向穴内に圧入された状態において、中空チューブの先端を挿入させて第1軸方向油路と連通する軸方向に延びた第1連通孔と、第1径方向油路と同一の軸方向位置において第1連通孔から外周面に貫通して径方向に延びるとともに、外周面側において広がった形状を有する第2連通孔と、第2径方向油路と同一の軸方向位置において外周面に形成されて第2径方向穴と連通するリング状溝と、第1連通孔より外径側において第2連通孔を避けるようにして軸方向に延び、第2軸方向油路に対向する側端面からリング状溝に繋がる第3連通孔とを有して形成される。そして、第1径方向油路および第2連通孔が複数形成され、連結プラグを軸方向穴内に圧入したときの回転方向位置に拘わらず、少なくともいずれかの第1径方向油路がいずれかの第2連通孔と連通する。
【0010】上記の油供給構造においても、軸方向穴に対して第1径方向油路が軸方向の奥側に位置するとともに第2径方向油路が手前側に位置する場合にも、連結プラグにより、第1軸方向油路と第1径方向油路とを接続させるとともに第2軸方向油路と第2径方向油路とを接続させることが簡単である。特に、連結プラグにおいて、第1径方向油路と同一の軸方向位置において外周面側に広がった複数の第2連通孔が形成されるだけであるため、第2軸方向油路に対向する側端面からリング状溝に繋がる第3連通孔を第2連通孔を避けた位置において大きな径の穴により形成することができ、連結プラグの製造が容易であるという利点がある。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。図2は本発明に係る油の供給構造を有する回転軸を用いたベルト式無段変速機TMを示す。このベルト式無段変速機TMは変速機ハウジング2内に前後進切換装置3、ベルト式無段変速装置4、発進クラッチ装置5、減速ギヤ列6、ディファレンシャル機構7、チェーン式動力伝達装置を介して入力軸11により駆動される油圧ポンプ9等を備えて構成され、この変速機ハウジングの右端面はエンジンと接合される。エンジンのクランクシャフトKsはダンパー機構1を介して変速機入力シャフト11に繋がる。
【0012】このため、変速機TMにおいて、エンジンの駆動動力は変速機入力シャフト11に伝達され、前後進切換装置3により回転方向制御がなされた後、ベルト式無段変速装置4(変速機入力シャフト11に配設された駆動プーリ15と、変速機カウンタシャフト12に配設された従動プーリ16と、両プーリ15,16に掛け渡されたVベルト14とから構成される)により無段階の変速制御が行われて変速機カウンタシャフト12に伝達される。さらに、変速機カウンタシャフト12から発進クラッチ装置5により動力伝達制御がなされた後、減速ギヤ列6を介してディファレンシャル機構7から左右のアクスルシャフト8a,8bを介して左右の車輪(図示せず)に伝達される。
【0013】この変速機TMにおいて、変速機カウンタシャフト12に配設された発進クラッチ装置5に本発明に係る油供給構造が用いられている。この油供給構造を詳しく示すため、図3に変速機カウンタシャフト12とこの上に配設された従動プーリ16,減速ギヤ列6,発進クラッチ装置5等を取り出して示し、図1に発進クラッチ装置5をさらに拡大して示しており、これらの図を併用して説明する。
【0014】変速機カウンタシャフト12には従動プーリ16が固設されており、この従動プーリ16の両側に配設されたベアリング17a,17bにより変速機カウンタシャフト12が変速機ハウジング2に対して回転自在に支持されている。図3においてベアリング17aの右側の変速機カウンタシャフト12の上に、減速ギヤ列6を構成する第1減速ギヤ61がベアリング63により回転自在に支持されて配設されており、第1減速ギヤ61は第2減速ギヤ62と噛合している。第1減速ギヤ61の右側に変速機カウンタシャフト12と第1減速ギヤ61との係脱を制御する発進クラッチ装置5が配設されており、この発進クラッチ装置5により駆動力伝達制御を行って発進、停止制御がなされる。
【0015】発進クラッチ装置5においては、図1に示すように、変速機カウンタシャフト12に結合してクラッチハウジング51が取り付けられ、このクラッチハウジング51内に、クラッチピストン52、クラッチプレート53、クラッチディスク54、エンドプレート55を挿入するとともに、サークリップ56により保持して発進クラッチ装置5が構成される。このとき、クラッチプレート53およびクラッチディスク54は交互に複数枚重ねて配設される。クラッチプレート53の外周部がクラッチケース51の外周端部とスプライン結合されており、クラッチプレート53は軸方向に移動可能でクラッチケース51と一体回転する。また、クラッチディスク54の内周部が第1減速ギヤ61と一体に繋がるクラッチスプライン部61aとスプライン係合されており、クラッチディスク54は軸方向に移動可能で第1減速ギヤ61と一体回転する。
【0016】クラッチピストン52はクラッチハウジング51とクラッチピストン52に囲まれた形成されたクラッチ室45内に供給されるクラッチ圧を受けて図における左方向に押圧され、クラッチプレート53およびクラッチディスク54をエンドプレート55に押しつける。このため、クラッチ圧の供給制御を行えばクラッチプレート53とクラッチディスク54との摩擦係合制御が可能で、変速機カウンタシャフト12から減速ギヤ列6への駆動力伝達制御、すなわち、発進制御が可能である。
【0017】クラッチピストン52内にキャンセラーピストン58が挿入配設されており、両ピストン52,58に囲まれてキャンセラー室46が形成されている。このキャンセラー室46内にリターンスプリング57が配設されている。キャンセラー室46内には極く低圧の油(これをキャンセラー油と称する)が充満されており、クラッチ室45内のクラッチ油圧が低圧とされて発進クラッチ装置5が解放された状態で変速機カウンタシャフト12が回転されたときに、クラッチ室45内に発生する遠心油圧をキャンセルさせる遠心油圧を発生させる。この結果、発進クラッチ解放状態でクラッチ室45内に発生する遠心油圧により発進クラッチが弱く係合して引きずりトルクを発生することが確実に防止される。
【0018】このような構成の発進クラッチ装置5において、クラッチ室45にクラッチ油を供給し、キャンセラー室46にキャンセラー油を供給し、クラッチプレート53とクラッチディスク54との接触部に潤滑、冷却のための潤滑油を供給する必要がある。これらクラッチ油、キャンセラー油および潤滑油はそれぞれ独立した油圧設定制御がなされるため、それぞれ異なる油路を介して供給する必要がある。このため、変速機カウンタシャフト12には、左端から軸方向に延びて形成された第1軸方向穴13と、右端から軸方向に延びて形成された第2軸方向穴23とが形成され、両穴13,23は連通している。第1軸方向穴13には第1チューブ14が挿入され、第2軸方向穴23には連結プラグ30が圧入されるとともに第2チューブ42が挿入されている。そして、第1チューブ14内に潤滑油供給のための第1軸方向油路21が形成され、第1チューブ14の外周と第1軸方向穴13とに囲まれてキャンセラー油供給のための第2軸方向油路22が形成され、第2チューブ42内にクラッチ油供給のための第3軸方向油路43が形成される。
【0019】また、変速機カウンタシャフト12およびクラッチケース51にはそれぞれ径方向に延びる第1径方向油路24,51a、第2径方向油路25,51bおよび第3径方向油路26,51cが形成されている。これら各径方向油路はそれぞれ変速機カウンタシャフト12の外周面に形成されたリング上溝を介して連通し、径方向に延びて繋がる油路を構成する。なお、第1径方向油路51aはキャンセラーピストン58に形成された貫通孔58aを介して外周面に繋がる。
【0020】上記のように構成された第1軸方向油路21と第1径方向油路24,51aとを連通させ、第2軸方向油路22と第2径方向油路25,51bとを連通させ、第3軸方向油路43と第3径方向油路23,51cとを連通させるため連結プラグ30が第2軸方向穴23に圧入されて配設されている。この連結プラグ30を図4および5に示すとともに、連結プラグ30を変速機カウンタシャフト12の第2軸方向穴23内に圧入した状態を図6に模式的に示しており、連結シャフト30の構造および機能をこれらの図を参照しながら説明する。
【0021】連結プラグ30は第2軸方向穴23と嵌合する第1、第2および第3ランド部31,32,33を有する。第1および第2ランド部31,32の間に浅いリング状の第1リング溝34(この溝は形成しなくても良い)を有するとともにこの第1リング溝34に円周上等間隔で三カ所に面取り溝34a(図6(B)参照)が形成されている。第2および第3ランド部32,33の間に深いリング状の第2リング溝35が形成され、第3ランド部33の外側に小径の突起部36が形成されている。第1ランド部31の外側端面31aには軸方向に延びて第1連通孔38aが形成され、この第1連通孔38aから面取り溝34aに貫通して第2連通孔38bが形成されている。また、第1ランド部31の外側端面31aから、第1連通孔38aより外周側において面取り溝34aの間を軸方向に延びて第2リング溝35に貫通する三本の第3連通孔39が形成されている。ここで、面取り溝34aの間には十分な肉厚が確保されるため、第3連通孔39を比較的大きな径の穴とすることができ、第3連通孔39の加工形成が容易である。
【0022】このような形状の連結プラグ30が第2軸方向穴23に圧入された状態で、面取り溝34aを有する第1リング状溝34が第1径方向油路24と軸方向に重なり、第2リング状溝35が第2径方向油路25と軸方向に重なり、第3ランド部33より右側に第3径方向油路26が位置する。
【0023】ここで、第1軸方向穴13に挿入された第1チューブ14の先端は第1連通孔38aに挿入され、第1軸方向油路21は第1連通孔38aおよび第2連通孔38bに繋がる。この第2連通孔38bが開口する面取り溝34aは円周上等間隔で三カ所に形成されるとともに第1径方向油路24は変速機カウンタシャフト12に円周上等間隔で四カ所に形成されているため、図6(B)および(C)に示すように、連結プラグ30の回転方向位置がどの位置に位置しても(軸方向圧入位置さえ正しく設定されれば)第1軸方向油路21と第1径方向油路24とが常に連通する。なお、第1軸方向油路21には潤滑油が供給され、連結プラグ30の第1および第2連通孔38a,38bおよび第1径方向油路24,51aおよび貫通孔58aを介してクラッチプレート53とクラッチディスク54との接触部に潤滑油が供給される。
【0024】一方、第1チューブ14の外周側に位置する第2軸方向油路22は第3連通孔39を介して第2リング状溝35に繋がり、さらに、第2径方向油路25に繋がる。第2軸方向油路22にはキャンセラー油(極く低圧の油)が供給され、このキャンセラー油は第3連通孔39を通って第2リング状溝35に供給され、さらに、第2軸方向油路25,51bを通ってキャンセラー室46に供給される。
【0025】また、第2チューブ42は、図1に示すように、変速機カウンタシャフト12の右端から第2軸方向穴23内に挿入され、第2軸方向穴23に圧入されたチューブ支持部材41の挿入穴内に挿入される。この結果、第2チューブ42内に形成されたクラッチ油供給のための第3軸方向油路43は連結プラグ30の左側に形成された空間内に繋がり、さらに、この空間は第3径方向油路26,51cに繋がる。よって、クラッチ油は、これら油路を介してクラッチ室45に供給され、クラッチピストン52を左方向に付勢する。
【0026】以上説明したように、本例の油供給構造では、連結プラグ30を用いることにより、第1チューブ14内に形成される第1軸方向油路21を手前側に位置する第1径方向油路24と連通させ、第1チューブ14の外周側に形成される第2軸方向油路22を奥側に位置する第2径方向油路と連通させることが可能である。また、この連結プラグ30において、第1径方向油路24との連通を円周上等間隔で三カ所に形成した面取り溝34aを介して行っているため、第3連通孔39を形成する部分の肉厚を厚くすることが可能であり、第3連通孔39を大きな径の穴から形成してその加工が容易である。
【0027】上記の例では面取り溝34aを円周上等間隔で三カ所に形成しているが、この数はこれに限られるものではなく、例えば、図7(A)に示すように、一カ所の面取り溝34aでも良い。但し、第1径方向油路24は、例えば図示のように円周上等間隔で四カ所に形成し、図7(B)に示すように連結プラグ30の回転方向位置がどの位置に位置しても面取り溝34aがいずれかの第1径方向油路24と連通するように構成する必要がある。このようなことから、第1径方向油路24の数を、例えば、図7(C)に示すように六ヶ所にするなど、増やしても良い。
【0028】さらに、図8に示すように、面取り溝34aを二カ所に形成しても良く、この場合にも、図8(B)に示すように、第1径方向油路24を円周上等間隔で四カ所に形成して連結プラグ30の回転方向位置がどの位置に位置しても面取り溝34aがいずれかの第1径方向油路24と連通するように構成する必要がある。このようなことから、第1径方向油路24の数を、例えば、図8(C)に示すように六ヶ所にするなど、増やしても良い。また、図9に示すように、面取り溝34aを四カ所に形成しても良い。このように面取り溝34aの数を増やせば、第1径方向油路24の数は少なくすることができる。
【0029】上記の例ではいずれも面取り溝34aを用いて第1径方向油路24との連通面積を広げ、連結プラグ30の回転方向位置決めを不要としているが、同様の目的から、図10に示すように、面取り溝は形成せずに第2連通孔38bの外周端側にテーパ状に広がった拡径部38cを設けても良い。但し、この場合には拡径部38cの広がりをあまり大きくできないため、第1径方向油路24を円周上等間隔で五カ所に形成している。これにより、図10(B)に示すように、連結プラグ30の回転方向位置の如何に拘わらずいずれかの第2連通孔38bがいずれかの第1径方向油路24と連通する。
【0030】さらに、図11に示すように、面取り溝は形成せずに第2連通孔38b´をテーパ状に広がった形状の穴としても良い。但し、この場合に外周径をあまり大きくできないため、第1径方向油路24を円周上等間隔で五カ所に形成している。これにより、図11(B)に示すように、連結プラグ30の回転方向位置の如何に拘わらずいずれかの第2連通孔38b´がいずれかの第1径方向油路24と連通する。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、軸方向穴内に圧入した連結プラグにより、第1軸方向油路を第1径方向油路に連通させるとともに第2軸方向油路を第2径方向油路に連通させるように油供給構造が構成されるが、このとき、連結プラグは、軸方向穴内に圧入された状態において、中空チューブの先端を挿入させて第1軸方向油路と連通する軸方向に延びた第1連通孔と、第1径方向油路と同一の軸方向位置において外周面の一部に形成された面取り溝から第1連通孔に貫通して径方向に延びた第2連通孔と、第2径方向油路と同一の軸方向位置において外周面に形成されて第2径方向油路と連通するリング状溝と、第1連通孔より外径側において面取り溝を避けるようにして軸方向に延び、第2軸方向油路に対向する側端面からリング状溝に繋がる第3連通孔とを有して形成されるので、軸方向穴に対して第1径方向油路が軸方向の奥側に位置するとともに第2径方向油路が手前側に位置する場合にも、連結プラグにより、第1軸方向油路と第1径方向油路とを接続させるとともに第2軸方向油路と第2径方向油路とを接続させることが簡単である。特に、連結プラグにおいて、第1径方向油路と同一の軸方向位置において外周面の一部に面取り溝を形成しているため、第2軸方向油路に対向する側端面からリング状溝に繋がる第3連通孔を面取り溝を避けた位置において大きな径の穴により形成することができ、連結プラグの製造が容易であるという利点がある。
【0032】なお、軸方向穴内に圧入された連結プラグにより仕切られて第1および第2軸方向油路と反対側に第3軸方向油路を形成し、この第3軸方向油路から径方向に延びて回転軸の外周面に貫通して第3径方向油路を形成しても良い。これにより、第3の油供給路を簡単に構成することができる。
【0033】また、第1径方向油路を径方向に延びる複数の径方向貫通孔から形成し、連結プラグを軸方向穴内に圧入したときの回転方向位置に拘わらず、少なくともいずれかの径方向貫通孔が面取り溝と連通するように構成することが望ましい。同様に、面取り溝を連結プラグの外周面における複数箇所に形成し、連結プラグを軸方向穴内に圧入したときの回転方向位置に拘わらず、少なくともいずれかの面取り溝が第1径方向油路と連通するように構成することが望ましい。
【0034】もう一つの本発明によれば、連結プラグは、軸方向穴内に圧入された状態において、中空チューブの先端を挿入させて第1軸方向油路と連通する軸方向に延びた第1連通孔と、第1径方向油路と同一の軸方向位置において第1連通孔から外周面に貫通して径方向に延びるとともに、外周面側において広がった形状を有する第2連通孔と、第2径方向油路と同一の軸方向位置において外周面に形成されて第2径方向穴と連通するリング状溝と、第1連通孔より外径側において第2連通孔を避けるようにして軸方向に延び、第2軸方向油路に対向する側端面からリング状溝に繋がる第3連通孔とを有して形成され、第1径方向油路および第2連通孔が複数形成され、連結プラグを軸方向穴内に圧入したときの回転方向位置に拘わらず、少なくともいずれかの第1径方向油路が少なくともいずれかの第2連通孔と連通するように構成される。このため、軸方向穴に対して第1径方向油路が軸方向の奥側に位置するとともに第2径方向油路が手前側に位置する場合にも、連結プラグにより、第1軸方向油路と第1径方向油路とを接続させるとともに第2軸方向油路と第2径方向油路とを接続させることが簡単である。特に、連結プラグにおいて、第1径方向油路と同一の軸方向位置において外周面側に広がった複数の第2連通孔が形成されるだけであるため、第2軸方向油路に対向する側端面からリング状溝に繋がる第3連通孔を第2連通孔を避けた位置において大きな径の穴により形成することができ、連結プラグの製造が容易であるという利点がある。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年10月22日(1999.10.22)
【代理人】 【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
【公開番号】 特開2001−124189(P2001−124189A)
【公開日】 平成13年5月8日(2001.5.8)
【出願番号】 特願平11−300944