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【発明の名称】 オイルストレーナ
【発明者】 【氏名】黒田 修路

【氏名】窪田 祐二

【氏名】丹野 明則

【氏名】藤川 敦司

【氏名】佐藤 和美

【氏名】津幡 義道

【要約】 【課題】上部および下部ケースを効率良く振動溶着でき、且つ使用時に下部フランジの下面に気泡が滞留することを防止できるようにする。

【解決手段】オイルストレーナ30は、ポンプへの連通口32aが上面に形成された樹脂製の上部ケース31と、オイル吸込口37が下面に形成された樹脂製の下部ケース部材36と、内部に配設された不織布製の濾過部材とからなり、上部ケースの外周の上部フランジ34と下部ケースの外周の下部フランジ39を振動溶着して上部および下部ケース31,36を一体に接合して作られる。上部フランジの上面外周に沿って振動溶着用の上側ジグを保持するための上側リブ35を上方に突出して形成し、下部フランジの下面外周に沿って振動溶着用の下側ジグを保持するための下側リブ40を下方に突出して形成し、下側リブに切り欠き41を形成している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポンプへの連通口が上面に形成された樹脂製の上部ケース部材と、オイル吸込口が下面に形成された樹脂製の下部ケース部材と、前記上部および下部ケースが接合されて形成された空間内に配設されて前記吸込口から前記連通孔に流れるオイルを濾過するための濾過部材とから構成され、前記上部ケース部材の外周に形成された上部フランジの下面と前記下部ケース部材の外周に形成された下部フランジの上面とを当接させて振動溶着により前記上部および下部ケース部材を一体に接合するようになったオイルストレーナにおいて、前記上部フランジの上面外周に沿って振動溶着用の上側ジグを保持するための上側リブが上方に突出して形成され、前記下部フランジの下面外周に沿って振動溶着用の下側ジグを保持するための下側リブが下方に突出して形成されており、前記下側リブに切り欠きを形成したことを特徴とするオイルストレーナ。
【請求項2】 前記下部フランジの外周における凸部を除く位置において前記切り欠きを形成したことを特徴とする請求項1に記載のオイルストレーナ。
【請求項3】 前記上部および下部フランジの面が傾斜して配設されてオイルストレーナが使用されるようになっており、傾斜して配設されるときに最も高くなる位置において前記下側リブに切り欠きが設けられていることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のオイルストレーナ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポンプへの連通口が上面に形成された樹脂製の上部ケース部材と、オイル吸込口が下面に形成された樹脂製の下部ケース部材と、これら上部および下部ケースが接合されて形成された空間内に濾過部材を配設して構成されるオイルストレーナに関する。
【0002】
【従来の技術】変速機における作動油、潤滑油として用いられるオイルは変速機ハウジング下部のオイルパン内に貯められ、これをオイルポンプにより吸引して制御バルブおよび各潤滑部に供給される。このとき、オイルパン内にストレーナを配設し、このストレーナを介してオイルを濾過した後、オイルポンプに吸引させるようにすることが一般的に行われている。このストレーナを樹脂製ケース内に不織布等から作られた濾過部材を配設して構成することが従来から知られており、この場合に、上下に分割構成されたケース部材により不織布製の濾過部材を挟持するとともに上部および下部ケース部材を接合してストレーナを作成することが知られている。
【0003】このような構成のストレーナの一例を図6および図7に示している。このストレーナSTは、ポンプへの連通口UAが上面に形成された樹脂製の上部ケースUCと、オイル吸込口LAが下面に形成された樹脂製の下部ケースLCと、これら上部および下部ケースUC,LCが接合されて形成された空間SP内に配設されて吸込口LAから連通孔UAに流れるオイルを濾過するための濾過部材FMとから構成される。上部ケースUCの外周には上部フランジUFが形成され、この上部フランジUFの外周縁に上方に突出する上側リブURが形成されている。下部ケースLCの外周には下部フランジLFが形成され、この下部フランジLFの外周縁に下方に突出する下側リブLRが形成されている。
【0004】このストレーナSTは、図6に示すように、上部フランジUFの下面と下部フランジLFの上面とを当接させるようにして、振動溶着器の上下ジグJU,JLにより両フランジUF,LFを挟持し、上下ジグJU,JLに振動を与えて両フランジUF,LFを一体に溶着接合して製造される。このときに、上下ジグJU,JLの振動を両フランジUF,LFに効率良く伝達させるために、上下ジグJU,JLを外側から囲むように上側および下側リブUR,LRが設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにして製造されたストレーナSTをオイルパンPO内に配設した状態を図7に示している。連通孔UAにはオイルポンプ(図示せず)の吸入口に繋がるサクションホースSHが繋がれ、オイルパンPO内のオイルは、吸込口LAからストレーナST内に吸い込まれ、不織布からなる濾過部材FMを通過して濾過された後、連通孔UAからオイルポンプに流れる。ここで、オイルパンPO内のオイルは運転時の流れにより撹拌されて気泡が発生し、この気泡ABが図示のように、下部フランジLFにおける下側リブURに挟まれた箇所に滞留する。このように気泡ABが滞留した状態で運転を行った場合、特に、低温時に運転を行った場合、この気泡ABが吸込口LAからストレーナST内に吸い込まれ、オイルポンプから気泡が混入したオイルが油圧制御機器に供給される。その結果、オイルポンプから供給されるオイルにより作動する機器、例えば、油圧制御バルブ等の誤作動が生じるおそれがある。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みたもので、上部および下部ケースを効率良く振動溶着してストレーナを製造可能とするとともに、オイルパン内等に配置されて使用されるときに、下部フランジの下面に気泡が滞留することがないような構成のオイルストレーナを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的達成のため、本発明のオイルストレーナは、ポンプへの連通口が上面に形成された樹脂製の上部ケース部材と、オイル吸込口が下面に形成された樹脂製の下部ケース部材と、これら上部および下部ケースが接合されて形成された空間内に配設されて吸込口から連通孔に流れるオイルを濾過するための濾過部材とからなり、上部ケース部材の外周に形成された上部フランジの下面と下部ケース部材の外周に形成された下部フランジの上面とを当接させて振動溶着により上部および下部ケース部材を一体に接合して作られる。そして、上部フランジの上面外周に沿って振動溶着用の上側ジグを保持するための上側リブを上方に突出して形成し、下部フランジの下面外周に沿って振動溶着用の下側ジグを保持するための下側リブを下方に突出して形成し、下側リブに切り欠きを形成している。
【0008】このような構成のオイルストレーナは、例えば、図7に示すように、吸込口LAを下面にしてオイルパンPO内に配設されて使用されるのであるが、下部フランジLFの下面側に位置する気泡ABは、下側リブLRに形成された切り欠きを介して外側に流れ出し、浮き上がってオイルパン内の空気中に放出され、下部フランジLFの下面側に滞留することがない。このため、オイルポンプによるエアの吸込を防止することができ、エアが混入したオイルが供給されて油圧制御バルブが誤作動を起こすようなことを防止できる。
【0009】なお、上記切り欠きは、下側リブLRの凸部を除く位置に形成するのが好ましい。図6から良く分かるように、上側および下側リブUR,LRは振動溶着用のジグJU,JLを支持してこれらジグJU,JLからの振動を上下部フランジUF,LFに効率よく伝達させるためのものであるが、このように振動を効率良く伝達させるためには、凸部にリブを設ければ良い。このため、本発明のように、振動伝達にあまり寄与しない位置(凸部以外の位置)に切り欠きを設けることで、振動伝達を効率良く行わせるとともに、気泡の滞留も効果的に防止することができる。
【0010】また、上部および下部フランジの面が傾斜してオイルパン内等に配設されてオイルストレーナが使用される場合には、配設状態において最も高くなる位置に切り欠きを設けるのが好ましい。下部フランジの下面に位置する気泡はその浮力により傾斜した下部フランジ面に沿って高くなる方に移動し、最も高い位置に形成された切り欠きから外部に放出されるため、少ない切り欠きを形成するだけで、下部フランジの下面に気泡が滞留することを効果的に防止できるという効果が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の好ましい実施の形態について図面を参照して説明する。図2は本発明に係るオイルストレーナをオイルパン内に配設してなるベルト式無段変速機TMの内部構造を示し、図3にはこの変速機TMを後カバー2aを外した状態で後方(エンジンと反対側)から見た外観を示す。このベルト式無段変速機TMは変速機ハウジング2内に前後進切換装置3、ベルト式無段変速装置4、発進クラッチ装置5、減速ギヤ列6、ディファレンシャル機構7、チェーン式動力伝達装置を介して入力軸11により駆動される油圧ポンプ9等を備えて構成され、この変速機ハウジングの右端面はエンジンと接合される。エンジンのクランクシャフトKsはダンパー機構1を介して変速機入力シャフト11に繋がる。
【0012】このため、変速機TMにおいて、エンジンの駆動動力は変速機入力シャフト11に伝達され、前後進切換装置3により回転方向制御がなされた後、ベルト式無段変速装置4により無段階の変速制御が行われて変速機カウンタシャフト12に伝達される。さらに、変速機カウンタシャフト12から発進クラッチ装置5により動力伝達制御がなされた後、減速ギヤ列6を介してディファレンシャル機構7から左右のアクスルシャフト8a,8bを介して左右の車輪(図示せず)に伝達される。なお、図において、変速機入力軸11の軸芯を記号S1で示し、変速機カウンタシャフト12の軸芯を記号S2で示し、ディファレンシャル機構7の軸芯を記号S3で示している。
【0013】図3から良く分かるように、変速機ハウジング2の下面側が開口するとともにこの開口を覆ってオイルパン20が取り付けられている。このオイルパン20内には作動油および潤滑油として用いられるオイルが貯められる。オイルパン20を断面して内部構造を図4に示しており、変速機ハウジング2に取り付けられた制御バルブユニット25がオイルパン20内に突出している。また、この制御バルブユニット25の下面側にオイルストレーナ30が配設されている。
【0014】このオイルストレーナ30を図1に示している。このオイルストレーナ30の基本的な構成は図6および図7に示したオイルストレーナSTと同一であり、上部ケース31と下部ケース36とを振動溶着して作られており、両者を対応させて説明する。
【0015】ストレーナ30(ST)を構成する樹脂製の上部ケース31(UC)は、ポンプへの連通口32a(UA)が形成されて上方に突出する円筒状の接続突起32を上面に有し、左右端部に取付穴33aが形成された取付部33を有する。上部ケース31(UC)の外周には上部フランジ34(UF)が形成され、上部フランジ34(UF)の外周縁に上方に突出する上側リブ35(UR)が形成されている。一方、ストレーナ30(ST)を構成する樹脂製の下部ケース36(UC)は、下面にオイル吸込口37(LA)が下面に形成され、左右端部に取付穴38aが形成された取付部38を有する。下部ケース36(LC)の外周には下部フランジ39(LF)が形成され、下部フランジ39(LF)の外周縁に下方に突出する下側リブ40(LR)が形成されている。この下側リブ40(LR)には複数の切り欠き41が形成されているが、これら切り欠き41はいずれも下側リブ40における凸部を除く位置、すなわち辺部に形成されている。
【0016】このストレーナ30(ST)は、図6に示すように、上部フランジ34(UF)の下面と下部フランジ39(LF)の上面とを当接させるようにして、振動溶着器の上下ジグJU,JLにより両フランジ34,39(UF,LF)を挟持し、上下ジグJU,JLに振動を与えて両フランジ34,39(UF,LF)を一体に接合して製造される。このときに、上下ジグJU,JLの振動を両フランジ34,39(UF,LF)に効率良く伝達させるために、上下ジグJU,JLを外側から囲むように上側および下側リブ35,40(UR,LR)が設けられている。下側リブ40には切り欠き41が設けられているが、この切り欠き41は辺部にのみ形成されており、凸部には下側リブ40が残されているため、下ジグJLから下部ケース36にも効率よく振動が伝達される。
【0017】このようにして振動溶着により樹脂製の上部および下部ケース31,36(UC,LC)を接合するときに、不織布からなる濾過部材FMを両ケースの間に挟持させて接合させる。これにより、上部および下部ケース31,36(UC,LC)が接合されて形成された空間SP内を上下に仕切るように濾過部材FMが配設され、吸込口37(LA)から連通孔32(UA)に流れるオイルが濾過部材FMにより濾過される。
【0018】上記の構成のストレーナ30は、図4に示すように、接続突起33を制御バルブユニット25の下面に形成された接続孔に挿入させてハウジング2に固定され、接続孔から制御バルブユニット等に形成された連通路を介して油圧ポンプに繋がる。このため、オイルパン20内のオイルはストレーナ30を通って油圧ポンプに吸引されて油圧制御バルブおよび潤滑部に供給される。このようにオイルパン20内に配設されるときに、ストレーナ30はそのフランジ34,39が水平となるように取り付けられる。このストレーナ30では、下部フランジ39の下面に気泡が位置しても、切り欠き41を介して外側に流れてオイル内を浮上するため、従来のように下部フランジの下面に気泡が溜まることがない。
【0019】なお、下側リブは図1に示すようなものに限られず、図5に示すように、下部ケース36´における下部フランジ39´の下側リブ40´に多数の切り欠き41´を形成しても良い。また、フランジ面が傾いた状態でストレーナが取り付けられる場合には、傾いた状態で最も高い位置において切り欠きを形成するのが好ましく。いずれの場合にも下部フランジの下面での気泡の滞留を効率的に防止できる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、上部ケース部材の外周に形成された上部フランジの下面と下部ケース部材の外周に形成された下部フランジの上面とを当接させて振動溶着により上部および下部ケース部材を一体に接合してオイルストレーナが作られ、上部フランジの上面外周に沿って振動溶着用の上側ジグを保持するための上側リブを上方に突出して形成し、下部フランジの下面外周に沿って振動溶着用の下側ジグを保持するための下側リブを下方に突出して形成し、下側リブに切り欠きを形成しているので、下部フランジの下面側に位置する気泡は、下側リブに形成された切り欠きを介して外側に流れ出し、浮き上がってオイルパン内の空気中に放出され、下部フランジLFの下面側に滞留することがない。このため、オイルポンプによるエアの吸込を防止することができ、エアが混入したオイルが供給されて油圧制御バルブが誤作動を起こすようなことを防止できる。
【0021】なお、上記切り欠きは、下部フランジの外周における凸部を除く位置に形成するのが好ましく、このように振動伝達にあまり寄与しない位置(凸部以外の位置)に切り欠きを設けることで、振動伝達を効率良く行わせるとともに、気泡の滞留も効果的に防止することができる。
【0022】また、上部および下部フランジの面が傾斜してオイルパン内等に配設されてオイルストレーナが使用される場合には、配設状態において最も高くなる位置に切り欠きを設けるのが好ましい。下部フランジの下面に位置する気泡はその浮力により傾斜した下部フランジ面に沿って高くなる方に移動し、最も高い位置に形成された切り欠きから外部に放出されるため、少ない切り欠きを形成するだけで、下部フランジの下面に気泡が滞留することを効果的に防止できるという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年10月22日(1999.10.22)
【代理人】 【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
【公開番号】 特開2001−124188(P2001−124188A)
【公開日】 平成13年5月8日(2001.5.8)
【出願番号】 特願平11−300942