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【発明の名称】 ピッチ半径が場所によって異なる,特殊な形状の歯車
【発明者】 【氏名】伊藤 晃

【要約】 【課題】従来の各種の歯車を組み合わせ,歯車列として動力を伝達する場合,原軸に加えられるトルクが周期的に変動すると,その影響を従軸も受けてしまっていた。この従軸での影響を緩和するための,特殊な形状の歯車をつくるのが目的である。

【解決手段】ピッチ半径が場所によって異なる特殊な形状の歯車を製作し,歯車列のギア比を連続的に変化させることで解決した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】歯車創成用のラック工具のピッチ直線を,滑らかに連続している曲線,または曲線と直線とで構成されたピッチ線に置き換えた工具をつくり,この工具を基礎として創成する,ピッチ半径が場所によって異なり,滑らかで閉じたピッチ曲線をもつことを特徴とする各種の歯車
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,動力伝達のための歯車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の各種歯車を直接組み合わせ,歯車列として動力を伝達する場合,原軸に対する従軸の回転の角速度の比やトルクの比は,選択するギア比によって決まる,ある一定値に固定されてしまう。従って,原軸に加えられるトルクが周期的に変化してしまうような場合に,従軸の角速度を一定に保つためには,フライホイールなどを用いて,その慣性の効果に頼ることが多かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えば自転車のペダルから後輪までの動力の伝達の場合,ペダルの軸に加えられるトルクは常に変化するものとなってしまう。仮にこの場合,ペダル位置の変化に伴ってギア比が連続的に変化するようになっており,大きなトルクを加えられるペダル位置ではギア比が大きく,逆に死点付近ではギア比が小さくなっていれば,動力の伝達の面できわめて合理的である。かつて,あるメーカーは楕円形状のスプロケットギアを用いてこの問題解決に当たった。しかし,これはチェーンを介してのみ成り立つ構造であり,歯車列としての利用は不可能なものであった。本発明の特殊な形状の歯車は,例えば上記の自転車の例や内燃機関などのトルク変動のある動力源から,動力を効果的に取り出して伝達するという問題を,歯車列を用いて解決しようとするためのものである。が,他に類似例を見ない発明であり,応用範囲は極めて多方面にわたると考えられる。
【0004】
【課題を解決するための手段】以下に特殊な形状の歯車の設計の要領の一例を示す。ラック工具に相当する工具のピッチ曲線として,三角関数(sinまたはcos)の半周期の形を用いるのが合理的であるので,その例を示す。まず,図1のように目的に応じたピッチ曲線をもつ歯車の扇形類似の部分を考える。ここでRmaxは扇形類似部分での動径の最大値,Rminは動径の最小値である。また,θ[rad]は中心角である。今,Rmaxの向きを基準として,Rminの向きにα[rad]だけそれた向きでの動径の長さをRとすると,
となる。また,ピッチ曲線の長さをlとすると,lの近似値は
となる。ただし,εは楕円の離心率に相当する量で
である。この扇形類似の部分の創成のためのラック工具に相当する工具のピッチ曲線は,図2のように創成の際の工具の移動の方向に平行な向きに座標x軸を,また,垂直な向きにy軸をとるとき
となる。また,このラック工具に相当する工具のx方向の長さをLとすると
となる。ラック工具に相当する工具に刻む歯型には,ピッチ曲線上のピッチ点を中心にして,圧力角を考慮に入れた適切な角度だけピッチ曲線を回転させたときに得られる曲線を用いる。歯車創成の際の素材の回転角α[rad]と,ラック工具に相当する工具のx方向への移動距離xとの関係は
となる。1個の歯車にするために,上記の扇形類似の部分を基礎として,これらをピッチ曲線が滑らかに接続されるように整数個組み合わせ,さらに中心角の合計が2π[rad]になるように設計する。図3,図4は製作例であり,この2つの歯車はピッチ曲線と歯型の凹凸とが全く逆のラック相当の工具から創成されたものなので,正確に噛み合う。
【0005】
【作用】上記の課題を解決するための手段により,ピッチ半径が連続的に変化する歯車が得られる。しかもこの歯車は,この歯車を創成した工具とピッチ曲線,歯形の凹凸とが全く逆の工具から創成される歯車と正確に噛み合う。(図3及び図4の例)この2つの歯車の組み合わせにより,不等角速度の回転運動から等角速度の回転運動を造り出したり,逆に等角速度の回転運動から不等角速度の回転運動を造り出したりすることができる。また,周期的に変化するトルク変動を小さくする働きをさせることもできる。
【0006】
【発明の効果】専門的な工具を持ち合わせていないので,5mm厚のアクリル板を加工して特殊な歯車を製作し,その効果を確認した。まず,2mm厚のアクリル板でラック工具相当の作図用の道具を造り,歯車創成の際の素材の回転,工具の移動と同様な動作をグラフ用紙の紙面で行い,歯型を作図した。この歯型を5mm厚のアクリル板に張り付けて,ジグソー・ボール盤・グラインダー等で加工した。2個の歯車を組み合わせ,効果を確認した。このような粗い精度の工作であっても,どの部分でもバックラッシュがほぼ一定で,極めて円滑な不等角速度の運動をさせることができた。
【出願人】 【識別番号】599170870
【氏名又は名称】伊藤 晃
【出願日】 平成11年10月30日(1999.10.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−124182(P2001−124182A)
【公開日】 平成13年5月8日(2001.5.8)
【出願番号】 特願平11−346663