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【発明の名称】 動力伝達装置
【発明者】 【氏名】安形 直人

【氏名】酒井 拓生

【氏名】大口 純一

【氏名】佐伯 学

【氏名】田渕 泰生

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転駆動源からの回転力を受けて回転する駆動側回転部材(1、12、13、9、90)と、従動側機器(3)と一体に回転する従動側回転部材(5、7)と、前記駆動側回転部材(1、12、13、9、90)と前記従動側回転部材(5、7)との間を、前記従動側機器(3)の軸方向に延びる円錐状摩擦面(5a、7c、9a、90a)の嵌合により摩擦係合する摩擦係合機構と、前記円錐状摩擦面相互間への押し付け力を発生する押し付け力発生手段(8、11、80、81)とを備え、前記従動側機器(3)の通常運転時には、前記摩擦係合機構を介して前記駆動側回転部材(1、12、13、9、90)の回転が前記従動側回転部材(5、7)に伝達され、前記従動側機器(3)の過負荷時には、前記摩擦係合機構での滑りによって前記押し付け力発生手段(8、11、80、81)の押し付け力を消滅することにより、前記駆動側回転部材(9、90)が前記従動側回転部材(5、7)に対して空転するようにしたことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】 前記円錐状摩擦面が、前記駆動側回転部材(1、12、13、9、90)に設けられた駆動側摩擦面(9a、90a)と、前記従動側回転部材(5、7)に設けられた従動側摩擦面(5a、7c)と、前記駆動側摩擦面(9a、90a)と前記従動側摩擦面(5a、7c)の間に介在された中間摩擦部材(10)とにより構成され、更に、前記駆動側摩擦面(9a、90a)または前記従動側摩擦面(5a、7c)のいずれか一方に、前記中間摩擦部材(10)が落ち込むことができる凹状部(5b、7d)を備え、前記従動側機器(3)の過負荷時には、前記中間摩擦部材(10)が前記駆動側摩擦面(9a、90a)および前記従動側摩擦面(5a、7c)のいずれか一方との間で滑りを発生させて前記中間摩擦部材(10)が前記凹状部(5b、7d)内に落ち込むことにより、前記押し付け力発生手段(8、11、80、81)の押し付け力を消滅することを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】 前記中間摩擦部材(10)は、前記駆動側摩擦面(9a、90a)と前記従動側摩擦面(5a、7c)との間に円周方向に複数本配置される爪片(10b)を有し、前記凹状部(5b、7d)は前記駆動側摩擦面(9a、90a)または前記従動側摩擦面(5a、7c)の円周方向に前記複数本の爪片(10b)が落ち込むことができるように複数設けられていることを特徴とする請求項2に記載の動力伝達装置。
【請求項4】 前記円錐状摩擦面が、前記駆動側回転部材(1、12、13、9、90)に設けられた駆動側摩擦面(9a、90a)と、前記従動側回転部材(5、7)に設けられた従動側摩擦面(5a、7c)とにより構成され、、前記駆動側摩擦面(9a、90a)の内周側に前記従動側摩擦面(5a、7c)が直接摩擦係合するようになっており、更に、前記押し付け力発生手段(8、11、80、81)により前記駆動側回転部材(9、90)の側面に押し付けられ、前記両摩擦面(9a、90a)(5a、7c)間に押し付け力を加える中間摩擦部材(10)と、前記駆動側回転部材(1、12、13、9、90)の側面に前記中間摩擦部材(10)が落ち込みことができるように設けられた凹状部(90e)とを備え、前記従動側機器(3)の過負荷時には、前記中間摩擦部材(10)と前記駆動側回転部材(9、90)との間で滑りを発生させて前記中間摩擦部材(10)が前記凹状部(90e)内に落ち込むことにより、前記両摩擦面(9a、90a)(5a、7c)間の押し付け力を消滅することを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項5】 回転駆動源からの回転力を受けて回転する駆動側回転部材(1、12、13、9、90)と、従動側機器(3)と一体に回転する従動側回転部材(5、7)とを備え、前記駆動側回転部材(1、12、13、9、90)に、前記従動側機器(3)の軸方向に延びる円錐状駆動側摩擦面(9a、90a)を設けるとともに、前記従動側回転部材(5、7)に、前記従動側機器(3)の軸方向に延びる円錐状従動側摩擦面(5a、7c)を設け、前記円錐状駆動側摩擦面(9a、90a)と前記円錐状従動側摩擦面(5a、7c)とを直接圧入結合して摩擦係合機構を構成し、前記従動側機器(3)の通常運転時には、前記摩擦係合機構を介して前記駆動側回転部材(1、12、13、9、90)の回転が前記従動側回転部材(5、7)に伝達され、前記従動側機器(3)の過負荷時には、前記摩擦係合機構での滑りによって、前記駆動側回転部材(1、12、13、9、90)が前記従動側回転部材(5、7)に対して空転するようにしたことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項6】 前記駆動側回転部材として、前記円錐状駆動側摩擦面(9a、90a)を設けた回転部材(9)と、前記円錐状従動側摩擦面(5a、7c)から離れる方向に前記回転部材(9)を移動させる初期撓みが付与された弾性部材(12、15)とを備えることを特徴とする請求項5に記載の動力伝達装置。
【請求項7】 前記従動側回転部材は、前記従動側機器(3)の回転軸(5)であり、前記回転軸(5)の外周面に前記従動側摩擦面(5a)が直接形成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は過負荷時のトルクリミッターとしての機能を備えた動力伝達装置に関するもので、自動車用空調装置の冷凍サイクルの圧縮機駆動用動力伝達装置として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車用空調装置における圧縮機として、0(零)容量付近まで容量を変化させることができる可変容量圧縮機を用いる場合には、冷凍サイクルの能力制御のために、圧縮機を断続作動させる必要がなくなる。従って、このような可変容量圧縮機を用いるものでは、エンジンから圧縮機への動力伝達を断続するためのクラッチ機構が不要となる。
【0003】一方、圧縮機の焼きつき故障等による圧縮機ロック等の異常が発生した時には、圧縮機駆動機構のベルトが滑って、ベルトが切損する事態が起こる。特に、自動車の圧縮機駆動機構では、圧縮機以外の種々な補機(バッテリ充電発電機、エンジン冷却水用ウォータポンプ、パワーステアリング用油圧ポンプ等)と共通のベルトにて、エンジンからの動力が伝達されるようになっているので、駆動ベルトが一旦切損すると、自動車の走行不能という重大な故障を引き起こすことになる。
【0004】そこで、本出願人では、特開平10−311399号公報にて圧縮機ロック等の過負荷時に伝達トルクが設定値以上に上昇すると、この伝達トルクの上昇に対応して、圧縮機への動力伝達経路を遮断するトルクリミッター機能を付加した圧縮機駆動用動力伝達装置を先に提案している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来技術では、圧縮機軸方向と直角な方向(径方向)に延びる平板状の摩擦板によりトルク伝達のための摩擦面を構成し、過負荷時にはこの摩擦面上で滑りを発生して摩擦板が段差内に落ちることにより、摩擦板に加わる押しつけ力を消滅させてトルク伝達を遮断させている。
【0006】しかし、このような構成であると、必要伝達トルク確保のためには平板状摩擦板の径方向寸法を拡大して摩擦面積を確保する必要が生じるので、動力伝達装置の外径寸法がどうしても大きくなり、装置体格の小型化が困難である。
【0007】本発明は上記点に鑑みてなされたもので、過負荷時のトルクリミッター機能を発揮する動力伝達装置において、必要伝達トルクの確保と装置体格の小型化とを両立させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、回転駆動源からの回転力を受けて回転する駆動側回転部材(1、12、13、9、90)と、従動側機器(3)と一体に回転する従動側回転部材(5、7)との間を、従動側機器(3)の軸方向に延びる円錐状摩擦面(5a、7c、9a、90a)の嵌合により摩擦係合する摩擦係合機構を備え、前記円錐状摩擦面相互間に押し付け力発生手段(8、11、80、81)により押し付け力を加えるようにし、従動側機器(3)の通常運転時には、摩擦係合機構を介して駆動側回転部材(1、12、13、9、90)の回転を従動側回転部材(5、7)に伝達し、従動側機器(3)の過負荷時には、摩擦係合機構での滑りによって押し付け力発生手段の押し付け力を消滅することにより、駆動側回転部材(1、12、13、9、90)が従動側回転部材(5、7)に対して空転するようにしたことを特徴とする。
【0009】これにより、従動側機器(3)の軸方向に延びる円錐状摩擦面を用いて、過負荷時のトルクリミッター機能を発揮できる。しかも、後述の図1等に例示するように、動力伝達装置では回転駆動源から駆動側回転部材の回転力伝達のためのプーリ(1)等の軸方向寸法が必ずある程度必要であり、このプーリ(1)等の軸方向寸法を利用して、軸方向に延びる円錐状摩擦面を構成できる。そのため、動力伝達装置全体の軸方向寸法を増大させることなく、円錐状摩擦面により必要摩擦面積を確保できる。
【0010】その結果、軸方向に延びる円錐状摩擦面での摩擦係合により動力伝達装置の径方向寸法は十分低減できる。これにより、必要伝達トルクの確保と装置体格の小型化とを良好に両立できる。
【0011】請求項2に記載の発明では、円錐状摩擦面が、駆動側回転部材(1、12、13、9、90)に設けられた駆動側摩擦面(9a、90a)と、従動側回転部材(5、7)に設けられた従動側摩擦面(5a、7c)と、駆動側摩擦面(9a、90a)と従動側摩擦面(5a、7c)の間に介在された中間摩擦部材(10)とにより構成され、更に、駆動側摩擦面(9a、90a)または従動側摩擦面(5a、7c)のいずれか一方に、中間摩擦部材(10)が落ち込むことができる凹状部(5b、7d)を備え、従動側機器(3)の過負荷時には、中間摩擦部材(10)が駆動側摩擦面(9a、90a)および従動側摩擦面(5a、7c)のいずれか一方との間で滑りを発生させて中間摩擦部材(10)が凹状部(5b、7d)内に落ち込むことにより、押し付け力発生手段による押し付け力を消滅することを特徴とする。
【0012】これにより、過負荷時には駆動側と従動側の両摩擦面間に配置した中間摩擦部材(10)の滑りにて過負荷時のトルクリミッター機能を確実に発揮できる。
【0013】上記中間摩擦部材(10)は、具体的には、請求項3に記載のように、駆動側摩擦面(9a、90a)と従動側摩擦面(5a、7c)との間に円周方向に複数本配置される爪片(10b)を有する構成とし、凹状部(5b、7d)は駆動側摩擦面(9a、90a)または従動側摩擦面(5a、7c)の円周方向に複数本の爪片(10b)が落ち込むことができる構成とすれば良い。
【0014】請求項4に記載の発明では、円錐状摩擦面が、駆動側回転部材(1、12、13、9、90)に設けられた駆動側摩擦面(9a、90a)と、従動側回転部材(5、7)に設けられた従動側摩擦面(5a、7c)とにより構成され、駆動側摩擦面(9a、90a)の内周側に従動側摩擦面(5a、7c)が直接摩擦係合するようになっており、押し付け力発生手段により中間摩擦部材(10)を駆動側回転部材(1、12、13、9、90)の側面に押し付け、これにより、両摩擦面(9a、90a)(5a、7c)間に押し付け力を加えるようにし、更に、中間摩擦部材(10)が落ち込みことができる凹状部(90e)を駆動側回転部材(1、12、13、9、90)の側面に備え、従動側機器(3)の過負荷時には、中間摩擦部材(10)と駆動側回転部材(1、12、13、9、90)との間で滑りを発生させて中間摩擦部材(10)が凹状部(90e)内に落ち込むことにより、両摩擦面間の押し付け力を消滅することを特徴とする。
【0015】これにより、両摩擦面が直接摩擦係合するタイプにおいても、過負荷時のトルクリミッター機能を確実に発揮できる。、請求項5に記載の発明では、回転駆動源からの回転力を受けて回転する駆動側回転部材(1、12、13、9、90)と、従動側機器(3)と一体に回転する従動側回転部材(5、7)とを備え、駆動側回転部材(1、12、13、9、90)に、従動側機器(3)の軸方向に延びる円錐状駆動側摩擦面(9a、90a)を設けるとともに、従動側回転部材(5、7)に、従動側機器(3)の軸方向に延びる円錐状従動側摩擦面(5a、7c)を設け、円錐状駆動側摩擦面(9a、90a)と円錐状従動側摩擦面(5a、7c)とを直接圧入結合して摩擦係合機構を構成し、従動側機器(3)の通常運転時には、摩擦係合機構を介して駆動側回転部材(1、12、13、9、90)の回転が前記従動側回転部材(5、7)に伝達され、従動側機器(3)の過負荷時には、摩擦係合機構での滑りによって、駆動側回転部材(1、12、13、9、90)が従動側回転部材(5、7)に対して空転するようにしたことを特徴とする。
【0016】これにより、従動側機器(3)の軸方向に延びる円錐状摩擦面を用いて、過負荷時のトルクリミッター機能を発揮できる。しかも、プーリ(1)等の軸方向寸法を利用して、軸方向に延びる円錐状摩擦面を構成できるので、動力伝達装置の軸方向寸法を増大させることなく、円錐状摩擦面により必要摩擦面積を確保できる。その結果、軸方向に延びる円錐状摩擦面での摩擦係合により動力伝達装置の径方向寸法は十分低減できる。これにより、必要伝達トルクの確保と装置体格の小型化とを良好に両立できる。
【0017】更に、円錐状の駆動側摩擦面(9a、90a)と従動側摩擦面(5a、7c)とを直接圧入結合する構成であるから、構成を大幅に簡素化できる。
【0018】請求項6に記載の発明では、請求項5において、駆動側回転部材として、円錐状駆動側摩擦面(9a、90a)を設けた回転部材(9)と、円錐状従動側摩擦面(5a、7c)から離れる方向に回転部材(9)を移動させる初期撓みが付与された弾性部材(12、15)とを備えることを特徴とする。
【0019】これにより、過負荷時に摩擦係合機構での滑りが生じると、弾性部材(12、15)の初期撓みに基づく弾性反力によって回転部材(9)を直ちに円錐状従動側摩擦面(5a、7c)から離れる方向に移動させることができ、過負荷時のトルクリミッター機能をより確実に発揮できる。
【0020】請求項7に記載の発明では、従動側回転部材が従動側機器(3)の回転軸(5)であり、この回転軸(5)の外周面に従動側摩擦面(5a)を形成することを特徴とする。
【0021】このように、従動側機器(3)の回転軸(5)それ自体に従動側摩擦面(5a)を直接形成することにより、動力伝達装置の径方向寸法をより一層低減できるとともに、構成を簡素化できる。
【0022】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0023】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1〜図4は本発明を自動車空調用圧縮機の動力伝達装置に適用した第1実施形態を示すものであり、図1、図3は通常の動力伝達状態を示し、図4は過負荷時の動力伝達遮断状態を示している。1は駆動側プーリで、図示しないベルトを介して自動車エンジン(回転駆動源)から回転力を受けて回転するものである。このプーリ1は多重Vベルトが係合される多重V溝を持ったプーリ部1aが一体形成されており、樹脂または鉄系金属で製作されている。
【0024】プーリ1の内周部1bは円筒形状に形成され、このロータ2の内周部にベアリング2が配置され、このベアリング2によりプーリ1は圧縮機(従動側機器)3のフロントハウジング4の円筒突出部4a上に回転自在に支持されている。この円筒突出部4aの中心部に圧縮機3の回転軸5が同心状に配置されている。円筒突出部4aの内周面と回転軸5との間には軸封装置6が配置されている。
【0025】7はインナーハブで、鉄系金属にて略円筒状に形成されている。このインナーハブ7は回転軸5に対してインボリュートスプライン結合等により回り止めして結合されている。そして、このインナーハブ7の軸方向の一端側(反圧縮機側の端部)には内周側へ突き出した鍔部7aが形成され、ボルト(締結手段)8を鍔部7aの中心穴を通して回転軸5のネジ穴に締めつけることにより、インナーハブ7が回転軸5にねじ止め固定される。これにより、インナーハブ7と回転軸5は一体に回転可能に結合されている。ここで、インナーハブ7と回転軸5は本例の従動側回転部材を構成している。
【0026】また、インナーハブ7の軸方向の一端側には雄ねじ部を有する円筒部7bが形成されている。そして、インナーハブ7の軸方向の他端側(圧縮機側の端部)の外周面には、円筒部7bより外径の大きい従動側摩擦面7cを構成している。この従動側摩擦面7cは反圧縮機側の端部から圧縮機側の端部へ向かって次第に外径が拡大する円錐状になっている。
【0027】9は駆動側回転部材をなすアウターハブで、鉄系金属にて略円筒状に形成されている。このアウターハブ9はインナーハブ7の外周側に嵌合配置されるもので、アウターハブ9の内周面には上記従動側摩擦面7cより径寸法の大きい駆動側摩擦面9aが構成してある。上記従動側摩擦面7cと同様に、駆動側摩擦面9aも円錐状になっており、その内径は反圧縮機側の端部から圧縮機側の端部へ向かって次第に拡大している。
【0028】10は中間摩擦部材であって、耐食性に優れたSUS430、304のようなステンレス、あるいはリン青銅等の金属により図2に示す形状に成形されている。すなわち、中間摩擦部材10は、インナーハブ7の円筒部7b上に遊嵌合するリング部10aとこのリング部10aから軸方向に円錐状に延びる複数本(図示の例では4本)の爪片10bとを有している。
【0029】この複数本の爪片10bは駆動側摩擦面9aと従動側摩擦面7cとの間に円周方向に所定間隔で配置されるものであって、駆動側摩擦面9aと従動側摩擦面7cとの間に中間摩擦部材10の爪片10bを配置した後に、ナット11をインナーハブ7の円筒部7bの雄ねじ部に締め付ける。これにより、アウターハブ9に軸方向の押し付け力を加えて、駆動側摩擦面9aと中間摩擦部材10と従動側摩擦面7cとの間に押し付け力を加えることができる。
【0030】この結果、インナーハブ(従動側回転部材)7と、アウターハブ(駆動側回転部材)9とを中間摩擦部材10を介して所定の摩擦力にて一体に摩擦係合できる。つまり、本例では、この三者7、9、10により円錐状摩擦面を用いて動力を伝達する摩擦係合機構を構成する。
【0031】そして、本例では、この摩擦係合機構において、従動側摩擦面7cと中間摩擦部材10の爪片10bの内周面との間の摩擦係数μ1と、駆動側摩擦面9aと中間摩擦部材10の爪片10bの外周面との間の摩擦係数μ2を、μ1<μ2の関係に設定している。具体例として、摩擦係数μ1=0.1、摩擦係数μ2=0.25程度である。
【0032】これにより、過負荷時には中間摩擦部材10が従動側摩擦面7cに対して滑りを生じるようにしてある。なお、中間摩擦部材10の爪片10bの内周面にはフッ素樹脂コーティングを施して摩擦係数μ1が低下するようにしてある。中間摩擦部材10を摺動性が良好なりん青銅で構成する場合にはりん青銅表面に、固体潤滑剤層として二流化モリブデン(MoS2 )を樹脂バインダー(ポリアミドイミド)により塗布したコーティング層を形成して、摩擦係数μ1が低下するようにしてもよい。
【0033】そして、この摩擦係合機構において、インナーハブ7の従動側摩擦面7cに図3、4に示すように円周方向に凹状部7dを等間隔で複数(爪片10bと同数)設け、この凹状部7dの大きさは爪片10bが落ち込むことができるように設計してある。
【0034】12は樹脂製連結部材で、径方向に延びる円板部12aと、この円板部12aの外周側の部分から軸方向に突出するピン部12bとを一体成形している。この成形の際に、アウターハブ9をインサート成形にて樹脂製連結部材12の内周部に一体成形している。すなわち、アウターハブ9に予め外周凸部9bを一体成形しておき、この外周凸部9bを樹脂製連結部材12の内周部にインサート成形している。ここで、アウターハブ9の外周凸部9bに円周方向の適宜の回り止め形状部を設けておくことにより、アウターハブ9を樹脂製連結部材12の内周部に回り止めして確実に一体化できる。
【0035】前記した樹脂製連結部材12の軸方向に突出するピン部12bは例えば、断面矩形状であり、樹脂製連結部材12の円周方向に等間隔で複数配置されている。
【0036】一方、プーリ1の径方向において、プーリ部1aと内周部1bとの中間部位には、上記ピン部12bを嵌入できる凹状部1cが形成してある。この凹状部1cもピン部12bに対応して円周方向に等間隔で複数配置されている。そして、凹状部1c内に筒状のゴム部材13を圧入等の手段で予め固着しておく。なお、ゴム部材13の厚肉部をプーリ1の円周方向(図1の紙面垂直方向)の面に設定して、ゴム部材13の弾性変形が主にプーリ1の円周方向の面で生じるようになっている。
【0037】次に、樹脂製連結部材12のピン部12bを凹状部1c内の筒状ゴム部材13内に圧入する。これにより、プーリ1と樹脂製連結部材12がゴム部材13により一体に連結され、プーリ1の回転トルクはゴム部材13を介して樹脂製連結部材12、アウターハブ9に伝達される。このため、本例では、プーリ1、ゴム部材13、樹脂製連結部材12、およびアウターハブ9は一体に回転するようになっており、これらの部材により駆動側回転部材を構成している。
【0038】上記ゴム部材13の材質としては、自動車の使用環境温度範囲(−30°C〜120°)に対して、トルク伝達およびトルク変動吸収の面で優れた特性を発揮するゴムを用いることが好ましく、具体的には、塩素化ブチルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム等のゴムがよい。
【0039】なお、樹脂製連結部材12はアウターハブ9と一体にインサート成形されているので、実際の組み付け工程は次のように行う。まず、プーリ1をベアリング2により圧縮機3のフロントハウジング4の円筒突出部4a上に組み付け、次に、インナーハブ7をボルト8により回転軸5にねじ止め固定し、その後に、インナーハブ7の従動側摩擦面7c上に中間摩擦部材10を配置する。
【0040】次に、アウターハブ9の駆動側摩擦面9aをインナーハブ7の従動側摩擦面7c上に嵌合させつつ、樹脂製連結部材12のピン部12bを凹状部1c内の筒状ゴム部材13内に圧入する。最後に、ナット11によりアウターハブ9の締め付けを行う。
【0041】ところで、図1では圧縮機3の具体的構造の図示を省略しているが、圧縮機3は一般に連続可変容量タイプとして知られているもので、例えば斜板型、ワッブル型のように往復動ピストンのストロークをピストン駆動機構の斜板の傾斜角度を変化させて、圧縮機吐出容量を0%〜100%の間で連続的に可変するものである。
【0042】このような連続可変容量タイプの圧縮機3を使用することにより圧縮機3の容量制御により冷凍サイクルの能力制御が可能となるので、圧縮機3への動力伝達を断続するための電磁クラッチを装備する必要がなくなる。
【0043】次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。まず、圧縮機3の通常運転時について述べると、自動車エンジンのクランクプーリの回転はベルト(図示せず)によりプーリ1に伝達され、このプーリ1と一体にゴム部材13、樹脂製連結部材12、およびアウターハブ9が回転する。
【0044】そして、ナット11の締めつけ荷重によって、軸方向の押し付け力をアウターハブ9の駆動側摩擦面9aと中間摩擦部材10とインナーハブ7の従動側摩擦面7cとの間に加えて、インナーハブ7とアウターハブ9とを中間摩擦部材10を介して所定の摩擦力にて一体に摩擦係合しているので、アウターハブ9の回転はこの摩擦係合機構を介してインナーハブ7に伝達され、さらにインナーハブ7から回転軸5に伝達される。つまり、プーリ1の回転が圧縮機3の回転軸5に伝達され、圧縮機3が作動する。
【0045】上記摩擦係合機構による伝達トルクの設定値を、自動車用空調装置の通常の運転状態における圧縮機駆動トルクの最大値より、所定値だけ大きい値となるように設定してあるので、圧縮機3の通常運転時では上記摩擦係合機構を介して動力伝達を行うことができる。
【0046】なお、圧縮機3の通常運転時には、ゴム部材13が圧縮機3の作動によるトルク変動に対応した弾性変形を行って、圧縮機3のトルク変動吸収効果を発揮する。これにより、圧縮機振動を低減して、圧縮機周囲の環境への騒音低減を図ることができる。
【0047】一方、圧縮機3がロックすると、上記伝達トルクの設定値を越える過大な負荷トルクが上記摩擦係合機構に作用する。ここで、摩擦係合機構において、従動側摩擦面7cと中間摩擦部材10の爪片10bの内周面との間の摩擦係数μ1と、駆動側摩擦面9aと中間摩擦部材10の爪片10bの外周面との間の摩擦係数μ2を、μ1<μ2の関係に設定している。これにより、過負荷時には中間摩擦部材10が従動側摩擦面7cに対して滑りを生じる。
【0048】そして、この従動側摩擦面7cには円周方向に凹状部7dが等間隔で複数設けてあるので、中間摩擦部材10が従動側摩擦面7c上で所定角度回転方向に滑ると、図4の矢印Aに示すように凹状部7d内に中間摩擦部材10の爪片10bが自身のバネ力で落ち込む。
【0049】すると、従動側摩擦面7cと駆動側摩擦面9aとの間に空隙が発生して、この両摩擦面7c、9a間の押し付け力が消滅し、アウターハブ9がインナーハブ7に対して空転するようになる。従って、圧縮機3の回転軸5へのトルク伝達が遮断されるので、ベルトの切断といった重大故障の発生を確実に防止できる。
【0050】インナーハブ7はトルク伝達の遮断により停止状態に維持されるから、中間摩擦部材10はトルク伝達の遮断後インナーハブ7の凹状部7d内に安定して保持される。従って、中間摩擦部材10がトルク伝達の遮断後、不安定な姿勢になって異音等を発生することもない。
【0051】なお、第1実施形態では、過負荷時に中間摩擦部材10がインナーハブ7の従動側摩擦面7cの凹状部7d内に落ち込むようにしているが、過負荷時に中間摩擦部材10が落ち込む凹状部7dをインナーハブ7の従動側摩擦面7cでなく、アウターハブ9の駆動側摩擦面9aに設けるようにしてもよい。
【0052】この場合は、摩擦係合機構において、従動側摩擦面7cと中間摩擦部材10の爪片10bの内周面との間の摩擦係数μ1と、駆動側摩擦面9aと中間摩擦部材10の爪片10bの外周面との間の摩擦係数μ2を、μ1>μ2の関係に設定して、過負荷時には中間摩擦部材10が駆動側摩擦面9aに対して滑ることにより、中間摩擦部材10が凹状部7d内に落ち込むようにすればよい。
【0053】(第2実施形態)図5〜図7は第2実施形態であり、第1実施形態におけるインナーハブ7を廃止して、第1実施形態の従動側摩擦面7cに相当する円錐状の従動側摩擦面5aを圧縮機3の回転軸5に直接形成するとともに、この回転軸5の従動側摩擦面5aに第1実施形態の凹状部7dと同様の凹状部5bを形成している。
【0054】一方、ハブ90(第1実施形態のアウターハブ9に相当)の内周部に円錐状の駆動側摩擦面90a(第1実施形態の駆動側摩擦面9aに相当)を形成し、この駆動側摩擦面90aと従動側摩擦面5aとの間に中間摩擦部材10の爪片10bを介在している。
【0055】ハブ90の外周凸部90bは第1実施形態と同様に樹脂製連結部材12の内周部にインサート成形にて一体化されている。また、ハブ90は内周部に鍔部90c(第1実施形態の鍔部7aに相当)を有し、この鍔部90cにボルト8の締め付け力が作用する。このボルト8の締め付け力により、駆動側摩擦面90aと従動側摩擦面5aと中間摩擦部材10の爪片10bとの間に軸方向の押し付け力が加わって、これら部材相互の間が摩擦係合するようになっている。
【0056】第2実施形態の摩擦係合機構においても、第1実施形態と同様に、従動側摩擦面5aと中間摩擦部材10の爪片10bの内周面との間の摩擦係数μ1と、駆動側摩擦面90aと中間摩擦部材10の爪片10bの外周面との間の摩擦係数μ2を、μ1<μ2の関係に設定している。
【0057】これにより、圧縮機3のロック等による過負荷時には、中間摩擦部材10が従動側摩擦面5aに対して滑りを生じる。そして、この従動側摩擦面5aには円周方向に凹状部5bが等間隔で複数設けてあるので、図7に示すように中間摩擦部材10が従動側摩擦面5a上で所定角度回転方向に滑ると、凹状部5b内に中間摩擦部材10の爪片10bが落ち込む。
【0058】すると、従動側摩擦面5aと駆動側摩擦面90aとの間の押し付け力が消滅し、ハブ90がインナーハブ7に対して空転し、圧縮機3の回転軸5へのトルク伝達を遮断できる。
【0059】なお、第2実施形態においても、過負荷時に中間摩擦部材10が落ち込む凹状部5bを回転軸5の従動側摩擦面5aでなく、ハブ90の駆動側摩擦面90aに設けるようにしてもよい。
【0060】この場合は、摩擦係合機構において、従動側摩擦面5aと中間摩擦部材10の爪片10bの内周面との間の摩擦係数μ1と、駆動側摩擦面90aと中間摩擦部材10の爪片10bの外周面との間の摩擦係数μ2を、μ1>μ2の関係に設定して、過負荷時には中間摩擦部材10が駆動側摩擦面90aに対して滑るようにすればよい。
【0061】(第3実施形態)図8、9は第3実施形態であり、上記第2実施形態を変形している。第3実施形態では、回転軸5の円錐状の従動側摩擦面5aとの間に中間摩擦部材10の爪片10bを介在せず、ハブ90の駆動側摩擦面90aと回転軸5の従動側摩擦面5aとを直接摩擦係合する構成としている。
【0062】一方、第3実施形態の中間摩擦部材10は図9に示すように、板状のリング形状であり、ハブ90の側面のうち、回転軸5の先端側(反圧縮機側)の側面の内周部に配置される。中間摩擦部材10は、中央部の円形穴10cと半径方向の外方に延びる外周側の3個の円弧状爪片10dとを有している。
【0063】この中間摩擦部材10の中央部の円形穴10cは、過負荷時に、ハブ90の先端の円筒部90cの外周面上に、所定間隙を介して遊嵌合する大きさにしてある。また、ハブ90の側面の内周部には中間摩擦部材10の円弧状爪片10dに対応した形状、大きさを持つ円弧状支持面90dが形成され、この円弧状支持面90d上に中間摩擦部材10の円弧状爪片10dが当接した状態で中間摩擦部材10がハブ90の側面内周部に組み付けられるようになっている。図8はこのように円弧状爪片10dと円弧状支持面90dとが当接している通常時の組付状態を示す。
【0064】また、ハブ90の側面内周部には上記円弧状支持面90dの円周方向に隣接して凹状部90eが形成してある。この凹状部90eは過負荷時に中間摩擦部材10が落ち込むことができように、中間摩擦部材10の円弧状爪片10dに対応した形状、大きさに形成されている。
【0065】第3実施形態では、ハブ90の駆動側摩擦面90aと回転軸5の従動側摩擦面5aとの間に軸方向の押し付け力を付与する押し付け力発生手段として、ナット(締結手段)80と、皿バネ(弾性手段)81とを組み合わせている。ナット80は回転軸5の先端の雄ねじ部5cに締め付けられる。
【0066】皿バネ81は炭素工具鋼(SK5)等の弾性金属材料により中央に円形穴81aを有する皿形状に形成されている。皿バネ81は、その中央の円形穴81aにより回転軸5の外周面上に所定間隙を介して遊嵌合している。皿バネ81と中間摩擦部材10との間には金属製の皿バネ回り止め用円板82が介在される。この円板82の中央には平行な2面幅部82aを有する長円状穴82bが形成されている。この長円状穴82bは回転軸5の2面幅部5dに嵌合させてあるので、円板82と回転軸5は回転方向には一体に連結される。この円板82の介在により、過負荷時に皿バネ81が中間摩擦部材10に対して回転方向に滑ることを防止する。
【0067】ナット80を回転軸5の先端の雄ねじ部5cに締め付けると、ナット80の締めつけ力が皿バネ81に作用して、皿バネ81が軸方向に弾性的に圧縮され、そのバネ力が設定される。そして、この皿バネ81のバネ力が円板82、中間摩擦部材10を介してハブ90を軸方向の圧縮機側(図8の右側)へ押しつける。
【0068】この皿バネ81による軸方向の押し付け力により、ハブ90の駆動側摩擦面90aと回転軸5の従動側摩擦面5aとの摩擦係合状態が維持される。
【0069】第3実施形態では、円板82と中間摩擦部材10との摩擦係合面の摩擦係数をμ1とし、中間摩擦部材10とハブ90との摩擦係合面の摩擦係数をμ2とし、更に、ハブ90の駆動側摩擦面90aと回転軸5の従動側摩擦面5aとの摩擦係数をμ3としたとき、これら相互の摩擦係数の大小関係を次のように設定している。
【0070】すなわち、μ1=μ2<μ3の関係に設定している。具体的には、μ1、μ2は0.1、μ3は0.25程度である。
【0071】これにより、圧縮機3のロック等による過負荷時には、中間摩擦部材10が円板82とハブ90に対して滑りを生じる。ここで、円板82は回転軸5に回り止めして嵌合しているので、過負荷時に皿バネ81と円板82が回転軸5に対して相対的に回転することはなく、中間摩擦部材10のみが回転方向へ滑る。
【0072】そして、中間摩擦部材10がハブ90の側面上で所定角度回転方向に滑ると、ハブ90の凹状部90e内に中間摩擦部材10が落ち込む。
【0073】すると、中間摩擦部材10全体が圧縮機3側へ軸方向に移動するため、皿バネ81が軸方向に伸びて、皿バネ81のバネ力が急激に減少して、駆動側摩擦面90aと従動側摩擦面5aとの間の押し付け力が消滅する。その結果、ハブ90が回転軸5に対して空転し、圧縮機3の回転軸5へのトルク伝達が遮断される。
【0074】ところで、中間摩擦部材10がハブ90の凹状部90e内に落ち込んだ状態では、皿バネ81のバネ力により円板82が回転軸5の2面幅部5dの奥端面5eに当接するまで軸方向に変位する。このとき、円板82が中間摩擦部材10の板厚分より小さい微小隙間を介してハブ90の側面に対向するように奥端面5eの位置を設定しているので、円板82がハブ90と無接触であり、この両者82、90間の接触摺動音が生じない。また、中間摩擦部材10が凹状部90eより再度飛び出ることを円板82によって確実に防止できる。
【0075】(第4実施形態)図10は第4実施形態であり、第1実施形態の構成を簡素化している。インナーハブ7の軸方向の先端部にナット7eを形成して、インナーハブ7を回転軸5の雄ねじ部5cに直接締め付け固定できるようにしてある。
【0076】インナーハブ7の外周面に円錐状の従動側摩擦面7cが形成してあり、この従動側摩擦面7cは反圧縮機側の端部から圧縮機側の端部へ向かって次第に外径が縮小する円錐状になっている。これに伴って、アウターハブ9の内周面には従動側摩擦面7cが嵌入される円錐状の駆動側摩擦面9aが形成してあり、この駆動側摩擦面9aも、反圧縮機側の端部から圧縮機側の端部へ向かって次第に内径が縮小する円錐状になっている。すなわち、第4実施形態の従動側摩擦面7cと駆動側摩擦面9aの円錐方向は第1実施形態と逆方向になっている。
【0077】アウターハブ9の外周凸部9bを第1実施形態と同様に樹脂製連結部材12の内周部にインサート成形にて一体化した後に、アウターハブ9の内周面の円錐状駆動側摩擦面9aに対して、インナーハブ7の従動側摩擦面7cを圧入固定する。この圧入固定による両摩擦面7c、9a間の摩擦係合によって、圧縮機3の通常運転時における最大トルクを上回る所定の伝達トルク(設定トルク)が得られるようにしてある。すなわち、上記圧入固定による締め代(両摩擦面の変形量)を上記設定トルクが得られるように選択してある。
【0078】第4実施形態の組み付けは、予め、樹脂製連結部材12とアウターハブ9とインナーハブ7とを上記手段により一体化しておく。そして、プーリ1をベアリング2により圧縮機3のフロントハウジング4の円筒突出部4a上に組み付ける。次に、樹脂製連結部材12のピン部12bをプーリ1の凹状部1c内の筒状ゴム部材13内に圧入しながら、インナーハブ7のナット7eを回転軸5の雄ねじ部5cに直接締め付け固定する。インナーハブ7の軸方向の組み付け位置はシム14により規定するようなっている。
【0079】第4実施形態によると、圧縮機3の通常運転時にはアウターハブ9の円錐状駆動側摩擦面9aとインナーハブ7の従動側摩擦面7cとの圧入固定による摩擦係合によって、アウターハブ9からインナーハブ7へ動力伝達がなされて圧縮機3が作動する。
【0080】一方、過負荷時には、上記両摩擦面7c、9a間の圧入固定による摩擦係合にて設定された設定トルクを上回る過大な負荷トルクが上記両摩擦面7c、9a間に加わる。この結果、インナーハブ7の従動側摩擦面7cに対してアウターハブ9の円錐状駆動側摩擦面9aが滑るようになる。
【0081】一旦、アウターハブ9の滑りが生じると、上記両摩擦面7c、9a間に作用していた圧入固定の拘束力が消滅するため、アウターハブ9は圧入固定の締め代がなくなる方向に移動し、両摩擦面7c、9a間の動力伝達を確実に遮断する。
【0082】(第5実施形態)図11、12は第5実施形態であり、図11は通常時を示し、図12は動力遮断時を示す。第5実施形態は上記第4実施形態に比較して過負荷時の動力伝達遮断作用をより確実に行わせるものである。すなわち、樹脂製連結部材12をある程度の弾性を有する樹脂で成形するとともに、樹脂製連結部材12の円板部12aの内周部が図11のごとく圧縮機3と反対側(図11左側)へ所定量撓むように、インナーハブ7と回転軸5の締め付け位置が設定してある。
【0083】これにより、樹脂製連結部材12に、アウターハブ9を圧縮機3側(図11右側)へ移動させようとする軸方向の初期撓みを付与できる。
【0084】従って、圧縮機3の過負荷時に両摩擦面7c、9a間で滑りが発生し、圧入固定の拘束力が消滅すると、樹脂製連結部材12の初期撓みに基づく弾性反力によってアウターハブ9が直ちに圧縮機3側(図11右側)へ移動して円錐状従動側摩擦面7cから離れるので、両摩擦面7c、9a間に隙間を形成できる。これにより、アウターハブ9からインナーハブ7への動力伝達を直ちに遮断できる。図12はアウターハブ9が圧縮機3側(図11右側)へ移動した後の状態を示す。
【0085】(第6実施形態)図13は第6実施形態であり、上記第5実施形態の変形である。すなわち、第5実施形態では、アウターハブ9を円錐状従動側摩擦面7cから離れる方向に移動させるための初期撓みを樹脂製連結部材12自身に持たせる構成にしているが、第6実施形態では、樹脂製連結部材12とアウターハブ9との間を金属バネ材にて成形された板バネ15により連結し、この板バネ15にアウターハブ9を円錐状従動側摩擦面7cから離れる方向に移動させるための初期撓みを持たせる構成にしている。
【0086】板バネ15は複数枚の細長の板材からなり、その両端部はそれぞれリベット16、17にて樹脂製連結部材12とアウターハブ9に連結される。板バネ15を円板状(皿バネ状)に形成しても良い。
【0087】上記説明から理解されるように、請求項6の弾性部材は、第5実施形態の樹脂製連結部材12、第6実施形態の板バネ15により構成できる。
【0088】また、トルク変動吸収用のゴム部材13を請求項6の弾性部材の役割を果たすように構成することもできる。
【0089】(他の実施形態)なお、本発明は自動車用空調装置の圧縮機への動力伝達装置に限らず、種々な用途のものに広く適用可能である。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年10月22日(1999.10.22)
【代理人】 【識別番号】100100022
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−124176(P2001−124176A)
【公開日】 平成13年5月8日(2001.5.8)
【出願番号】 特願平11−301471