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【発明の名称】 送りネジ機構及びこれに用いるナット体
【発明者】 【氏名】望月 正典

【要約】 【課題】ナット体(2) とこれにネジ対偶するネジ軸(1) とからなる送りネジ機構において、ナット体(2) とネジ軸(1) との間に与圧荷重を作用させてバックラッシュが生じないようにする際に、前記与圧荷重を加え易く、しかも、与圧荷重の加重を容易にすること。

【解決手段】前記ナット体(2) は、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)とを直列状態に連結した構成であり、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)の連結部が相対回転固定自在の連結構造部であること。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ナット体(2) とこれにネジ対偶するネジ軸(1) とからなる送りネジ機構において、前記ナット体(2) は、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)とを直列状態に連結した構成であり、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)の連結部が相対回転固定自在の連結構造部である送りネジ機構。
【請求項2】 請求項1に記載の送りネジ機構において、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)とは共に連結部にフランジ(20)を張り出させてこれらフランジ(20)を相互に密着させた構成であり、前記フランジ(20)を軸線に対して平行に挿通すると共に一方の前記フランジ(20)に対して前記相対回転を許容する態様に挿通する複数の締め付けボルト(41)によって前記相対回転固定自在に連結されている送りネジ機構。
【請求項3】 請求項2に記載の送りネジ機構において、送りネジ機構は、ナット体(2) のネジ溝(21)とネジ軸(1) のネジ溝(11)との間にボール(B) が介在するボールネジ機構からなり、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)のフランジ(20)の接合面の夫々にはネジ軸(1) の貫通部の外周にネジ溝(21)の外径よりも大きな逃がし溝(27)を形成した送りネジ機構。
【請求項4】 請求項3に記載の送りネジ機構において、前記逃がし溝(27)は、潤滑剤を含むパッドが充填されている送りネジ機構。
【請求項5】 請求項1、2又は3に記載の送りネジ機構において、前記フランジ(20)の相互の接合面に所定の嵌合公差ではまり込む凹凸嵌合部を設けた送りネジ機構。
【請求項6】 請求項2、3、4、又は、5に記載の送りネジ機構において、第1ナット体(2a)及び第2ナット体(2b)のフランジ(20)を共に固定壁(3) にネジ止め固定するための締め付けボルト(41)を有し、前記第2ナット体(2b)のフランジ(20)にはナット体(2) の軸心を中心とする円弧状の長孔部(22)を設けると共に、他方の第1ナット(2a)のフランジ(20)に固定され他方のフランジ(20)の前記長孔部(22)内に突出させた突出頭部を設け、この頭部を前記円弧状に沿って一方に押圧する押しネジ(5) を設け、前記押しネジ(5) は前記フランジ(20)相互を密着した状態で外部操作可能とした送りネジ機構。
【請求項7】 ネジ軸(1) にネジ対偶するナット体(2) であって、前記ナット体(2) は、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)とを直列状態に連結した構成であり、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)の連結部は、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)の夫々の端部に張り出させたフランジ(20)を相互に密着させた構成であり、前記フランジ(20)を軸線に対して平行に挿通すると共に一方の前記フランジ(20)に対して前記相対回転を許容する態様に挿通する複数の締め付けボルト(41)によってフランジ(20)相互が相対回転固定自在に連結されている送りネジ機構に用いるナット体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は送りネジ機構及びこれに用いるナット体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の送りネジ機構には、ボールネジが数多く採用される。このボールネジは、図10に示すように、ボールが転がるネジ溝(11)を形成したネジ軸(1) と、このネジ軸(1) に外嵌するナット体(2) との組み合わせであり、通常、ナット体(2) がこれに設けたフランジ(20)によって固定壁(3) に固定される。これにより前記ネジ軸(1) を回転駆動すると、前記ネジ軸(1) が軸線方向に進退移動する。また、ナット体(2) が定位置で回転駆動されると、ネジ軸(1) がこの回転に応じて進退駆動される。
【0003】そして、このネジ軸(1) 又はナット体(2) の往復回転により、ネジ軸(1) が軸線方向に往復移動されることとなるが、通常、前記ネジ溝(11)とボール(B) との間には転がり移動余裕があることから、軸線方向の往復移動の祭にガタツキが生じる。所謂バックラッシュが生じるのである。このバックラッシュは、ネジ軸(1) の移動距離の精度を高める際の障害となる。そこで、このバックラッシュを無くするために、従来では、前記ナット体(2) として第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)とを直列状態に連結して、その連結部に間座(4) を介在させている。この間座(4) の厚さを適正に設定することにより、図9の右側の第1ナット体(2a)と左側の第2ナット体(2b)との間にネジピッチのズレが生じることから同図に示す与圧荷重が生じ、ナット体(2) 側のネジ溝(21)とネジ軸(1) のネジ溝(11)とによってボール(B) を左右から挟持すると共に第1ナット体(2a)側と第2ナット体(2b)側とで前記挟持方向が反対向きとなるようにしている。これによって、ネジ軸(1) がナット体(2) と相対回転することによって軸線方向に往復移動されるときのバックラッシュが防止される。なお、ここで用いる第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)夫々は、ボール(B) が循環移動する形式のものである。
【0004】ところが、この従来のものでは、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)との間に介在される間座(4) の厚さによって与圧荷重が決定されるものであるから、与圧設定がやりにくい。また、一度設定した与圧荷重で継続使用していると、摩耗によって、与圧荷重が減少してくる。この場合、与圧荷重を増大させるには、所定の厚さの間座(4) に交換する外無く、与圧荷重の調節は殆どできないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したようなナット体(2) とこれにネジ対偶するネジ軸(1) とからなる送りネジ機構において、ナット体(2) とネジ軸(1) との間に与圧荷重を作用させてバックラッシュが生じないようにする際に、前記与圧荷重を加え易く、しかも、与圧荷重の加重を容易にすることをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】*1項前述した課題を解決するために講じた本発明の送りネジ機構の解決手段は『前記ナット体(2) は、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)とを直列状態に連結した構成であり、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)の連結部が相対回転固定自在の連結構造部である』ことである。
【0007】ここで、相対回転固定自在とは、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)が同軸に維持されたままで相対回転が可能であり任意の相対回転位置で固定できることを意味する。
【0008】上記解決手段はつぎのように作用する。第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)とは、相対回転自在であるから、ネジ軸(1) に共にかみ合った状態で第1、第2ナット(2a)(2b)の端部相互に圧接力が作用するように相対回転させると、ネジ軸(1) 、ナット体(2) のネジ溝の進み方向或は遅れ方向への相対的移動により、ネジ軸(1) のネジ溝(11)のネジピッチに対して、第1、第2ナット(2a)(2b)側のネジ溝(21)のネジピッチが所定の距離ずれることとなって、与圧加重がネジ溝(11)とネジ溝(21)との間に作用すると共に、第1ナット体(2a)側と第2ナット体(2b)側とでは反対方向に作用することとなって既述のバックラッシュが解消される。この時前記与圧荷重による方向は、ネジ軸(1) の軸線に集中するテーパの方向となるから、ネジ軸(1) とネジ溝(21)との同軸性が高められたものとなる。従って、ネジ軸(1) のセンタリング性が向上したものとなる。
【0009】ネジ対偶部の摩耗等によって前記与圧加重が変化した場合には、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)との連結部は、相対回転固定自在であるから、新たな相対回転角度状態にセットして固定することにより前記与圧加重を調節又は再セットできる。
【0010】*2項上記1項において『第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)とは共に連結部にフランジ(20)を張り出させてこれらフランジ(20)を相互に密着させた構成であり、前記フランジ(20)を軸線に対して平行に挿通すると共に一方の前記フランジ(20)に対して前記相対回転を許容する態様に挿通する複数の締め付けボルト(41)によって前記相対回転固定自在に連結されている』ものでは、前記締め付けボルト(41)を緩めて第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)のフランジ(20)を相対回転させて、この相対回転状態でこの締め付けボルト(41)を締め付けると、前記相対回転に応じた状態でフランジ(20)相互が連結固定される。この状態では、第1、第2ナット(2a)(2b)側のネジ溝(21)とネジ溝(11)との間には、ネジピッチのズレが生じてバックラッシュが解消された状態となる。
【0011】このものでは、フランジ(20)(20)相互の連結固定状態を調整するだけであるから、バックラッシュの生じない状態にセットし易い。なお、この送りネジ機構の場合、前記フランジ(20)(20)を固定壁(3) に例えばネジ止めすることにより固定できる。前記締め付けボルト(41)は、前記固定壁(3) に固定してもよく、一方のフランジ(20)を貫通して他方のフランジ(20)に螺合することによりフランジ(20)相互を密着状態に結合するようにしてもよい。このものでは、フランジ(20)相互に密着力が作用した状態で与圧荷重の方向の上記集中により、前記フランジ(20)の接合端面に対して真直な方向において上記1項のセンタリング性が確保されたものとなる。
【0012】*3項前記2項において、『送りネジ機構は、ナット体(2) のネジ溝(21)とネジ軸(1) のネジ溝(11)との間にボール(B) が介在するボールネジ機構からなり、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)のフランジ(20)の接合面の夫々にはネジ軸(1)の貫通部の外周にネジ溝(21)の外径よりも大きな逃がし溝(27)を形成した』ものでは、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)のネジ溝相互間でボール(B) が上記バックラッシュのない状態で転がり移動する際に、ボール(B) とネジ溝との接触方向の変化が生じるが、この変化が前記逃がし溝(27)を介して滑らかに変化する利点がある。この逃がし溝(27)はネジ溝(21)の一周分に亙って形成されていなくてもよく、ネジ溝(21)の端部に於けるボールの導入部にのみこの逃がし溝が形成されていても良い。これにより、第1、第2ナット体(2a)(2b)の一方から他方にボール(B) が移動する際における、ボールの与圧方向変化が滑らかに行われるのである。
【0013】*4項前記3項において、『前記逃がし溝(27)は、潤滑剤を含むパッドが充填されている』ものでは、前項の効果に加えて、ボール(B) には潤滑剤が常時供給されることから、耐久性が向上する。ここで逃がし溝(27)はパッドを収容できるネジ山2山分程度の大きさに設定される。
【0014】*5項4項までにおいて、『前記フランジ(20)の相互の接合面に所定の嵌合公差ではまり込む凹凸嵌合部を設けた』ものでは、この凹凸嵌合部における嵌合精度により、一対のフランジ(20)相互の相対回転の際の同心精度を確保しながら、相対回転固定自在とできる。(図1、図8参照)
*6項前記2項以下において『第1ナット体(2a)及び第2ナット体(2b)のフランジ(20)を共に固定壁(3) にネジ止め固定するための締め付けボルト(41)を有し、前記第2ナット体(2b)のフランジ(20)にはナット体(2) の軸心を中心とする円弧状の長孔部(22)を設けると共に、他方の第1ナット(2a)のフランジ(20)に固定され他方のフランジ(20)の前記長孔部(22)内に突出させた突出頭部を設け、この頭部を前記円弧状に沿って一方に押圧する押しネジ(5) を設け、前記押しネジ(5) は前記フランジ(20)相互を密着した状態で外部操作可能とした』ことである。
【0015】このものによれば、ナット体(2) にネジ軸(1) を貫通させた状態で第1ナット体(2a)及び第2ナット体(2b)のフランジ(20)を締め付けボルト(41)により共に固定壁(3) に仮止め状態に固定した状態とし、第2ナット体(2b)の押しネジ(5) のねじ込み度合いを調節すると、この調節によって突出頭部が押されることから、第1ナット体(2a)のフランジ(20)と第2ナット体(2b)のフランジ(20)の相対回転によりこれらの間の相対的な姿勢が変化する。これにより、ネジ軸(1) のネジ溝(11)と第1、第2ナット(2a)(2b)のネジ溝(21)との間にネジピッチ方向のズレが生じて、上記した作用によりバックラッシュが生じない状態になる。この状態で、締め付けボルト(41)を最終の状態に締め込んで両方のフランジ(20)相互の関係を固定すると、前記状態に固定される。フランジ(20)相互の相対的な姿勢を新たな関係にセットするには、締め付けボルト(41)を緩めてから押しネジ(5) のねじ込み度合いを調節してから締め付けボルト(41)を再度閉め込むと新たな状態にセットできる。前記突出頭部は、一方のフランジ(20)に固定するための固定ネジの頭部、または、前記フランジ(20)の固定壁(3) に対する相対回転を阻止するためのピンの頭部、さらには、前記一方のフランジ(20)に植設したピンでもよく、他方のフランジ(20)に向けて突出した頭部であればよい。
【0016】*7項また、『ネジ軸(1) にネジ対偶するナット体(2) であって、前記ナット体(2)は、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)とを直列状態に連結した構成であり、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)の連結部は、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)の夫々の端部に張り出させたフランジ(20)を相互に密着させた構成であり、前記フランジ(20)を軸線に対して平行に挿通すると共に一方の前記フランジ(20)に対して前記相対回転を許容する態様に挿通する複数の締め付けボルト(41)によってフランジ(20)相互が相対回転固定自在に連結されている』ものでは、適合するネジ軸を採用するだけで、上記2項までの効果を有する送りネジ機構が実現される。なお、このナット体(2) は、ネジ軸(1) に対して直接螺合する場合とボール(B) を介在させて螺合する場合とを含むものである。なお、ボールネジ機構を採用するものでは、ネジ軸にボールが装備されるもの、及び、ナット体にボールが装備されるもの、の何れもが採用できる。
【0017】
【発明の効果】本発明は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)との連結部は、相対回転と固定とによって所定の与圧加重状態にセットできるから、与圧荷重を加え易く、与圧荷重の加重が容易になる。加えて、ナット体に対するネジ軸(1) のセンタリング性が向上する。
【0018】2項のものでは、締め付けボルト(41)の締め込み位置を調節することによりフランジ(20)相互の連結固定状態を調整するだけであるから、バックラッシュの生じない状態にセットし易い。フランジ(20)の接合端面に対する真直な方向での背前記センタリング性が向上する。3項のものでは、ボールネジ機構に構成された送りネジ機構において、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)の間におけるボールの移動が円滑である。
【0019】4項のものでは、潤滑剤の供給により耐久性が向上する。5項のものによれば、相対回転した後固定する場合に、相互に接合状態に対面するフランジ相互の同心性が損なわれにくく、上記2項による同心性を確保し易い。
【0020】6項の発明によれば、押しネジ(5) によってフランジ(20)の相対的な姿勢を調節することにより与圧荷重を調節できるから、前記与圧荷重付与状態へのセット及び再セットが一層やり易いものとなる。また、押しネジ(5) のねじ込みによってフランジ(20)を回転させるものであるから、小さな操作力で、与圧荷重の大きな状態にセットできる。また、与圧荷重の微調整が簡単である。7項のナット体によれば、上記2項の送りネジ機構が所定のネジ軸(1) を採用することで簡単に実現できる利点がある。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を、図面に従って説明する。図1〜図5に示す実施例は、第1ナット体(2a)と第2ナット体(2b)をボール(B) を用いたボールネジであって、各ボール(B) がネジ軸(1) とナット体(2) との間に介装したリテーナ(6) によって保持された状態でネジ溝(11)とネジ溝(21)との間に介在される構成であり、ネジ軸(1) とナット体(2) との螺合範囲(軸線方向長さ)は一定の範囲に設定される。
【0022】第1、第2ナット(2a)(2b)の夫々は、ネジ筒(23)の一方の端部にフランジ(20)を張り出させた構成であり、フランジ(20)相互が対面して密着するようになっている。第1ナット体(2a)のネジ筒(23)は、この例では、固定壁(3) に設けた貫通穴(31)に挿入されており、この第1ナット体(2a)のフランジ(20)は、固定ネジ(42)によって前記固定壁(3) にネジ止めされている。従って、この固定ネジ(42)の頭部は、第2ナット体(2b)のフランジ(20)を貫通することとなり、この貫通孔部が全体として円弧状の長孔部(22)となっている。この円弧は、第2ナット体(2b)の軸心を中心とする円弧であり、前記頭部は前記長孔部(22)に対して前記円弧に沿った方向に相対移動可能な関係にある。
【0023】そして前記長孔部(22)の前記円弧の方向の中心線の接線方向に螺合する押しネジ(5) がフランジ(20)に内蔵されており、この押しネジ(5) の先端が前記固定ネジ(42)の頭部に対向し、押しネジ(5) の工具対応部がフランジ(20)の外周面に開放する孔部(24)に収容されている。
【0024】また、前記固定ネジ(42)とは別に、第1、第2ナット(2a)(2b)の両方のフランジ(20)に貫通する一対の締め付けボルト(41)が設けられて、これらが固定壁(3)に螺合している。
【0025】そして、第1ナット体(2a)の前記締め付けボルト(41)の貫通孔部は丸孔(25)となり、第2ナット体(2b)のフランジ(20)に形成した貫通孔部は上記長孔部(22)と同様の円弧状の長孔部(26)となっている。この長孔部(26)の幅は言うまでもなく締め付けボルト(41)の頭部よりも小さくなっている。
【0026】フランジ(20)におけるこれら締め付けボルト(41)、固定ネジ(42)、長孔部(22)及び長孔部(26)は、図2のように、円周を4等分した位置に配置され、締め付けボルト(41)と固定ネジ(42)とが円周方向に交互に連続するようになっている。
【0027】また、フランジ(20)相互の対面部であり、ネジ溝(21)の端縁に連続する部分には、逃がし溝(27)が形成されている。この逃がし溝(27)はネジ溝(21)の外径よりも大きな所定の深さの溝で、ボール(B) が第1、第2ナット体(2a)(2b)間でネジ溝(11)とネジ溝(21)との間での与圧荷重の方向が変化するのに十分な軸線方向の幅があればよく、ネジ溝(21)の一周分に以上に亙って形成されてもよく、前記与圧荷重の方向の変化を許容できる程度にネジ溝(21)に沿って所定の角度範囲(360度以下の)に形成されていてもよい。
【0028】次に、上記実施例の使用例について説明する。図1〜図3に示すように、第1ナット体(2a)、第2ナット体(2b)のフランジ(20)相互が対面した状態で固定壁(3) に取付けられるが、先ず、第1ナット体(2a)が一対の固定ネジ(42)を用いて固定壁(3) に締め付けられ、他方の第2ナット体(2b)は一対の締め付けボルト(41)を用いて仮止め状態に緩く取付けられる。
【0029】この状態では、第1、第2ナット(2a)(2b)からなるナット体(2) のネジ溝(21)とネジ軸(1) のネジ溝(11)とは一致した状態にセットされている。従って、ボール(B) とネジ溝(11)及びネジ溝(21)との嵌合余裕に相当するバックラッシュが生じた状態にある。
【0030】この状態で、押しネジ(5) を締め込むと、固定状態にある第1ナット体(2a)のフランジ(20)に対して前記押しネジ(5) のねじ込み度合いに応じて第2ナット体(2b)のフランジ(20)が相対回転する。この例では、図4に示すように、ネジ溝(11)のネジの進み方向に対して、後退方向の回転が前記押しネジ(5) のねじ込みによって付与される構成となっているから、ネジ溝(11)に対して、第1ナット体(2a)のネジ溝(21)は図2、図4において左側に、第2ナット体(2b)のネジ溝(21)は同図の右側にずれた状態にセットされる。これにより、図5に詳細に示すように、第1ナット体(2a)では、ネジ溝(21)の山部の左側フランクとネジ溝(11)の山部の右側フランクとの間にボール(B) が挟圧された状態となり、逆に、第2ナット体(2b)では、ネジ溝(21)の山部の左側のフランクとネジ溝(11)の山部の右側のフランクとの間に挟圧された状態となり、ネジ軸(1) に対して軸線方向の両側のバックラッシュが防止された状態にネジ軸(1) とナット体(2) とがボール(B) を介して螺合される。従って、ネジ軸(1) が回転駆動されるとこれに応じてナット体(2) が軸線方向に進退する。
【0031】このものでは、ネジ軸(1) の総回転角度は予め一定角度以下に設定されているから、ナット体(2) に対してボール(B) が転がる範囲も一定以下になり、ボール(B) は、リテーナ(6) によって保持されたままで所定のストローク往復移動する。このとき、前記ストロークによっては、リテーナ(6) とボール(B) とがナット体(2) からはみ出すこととなるが、このはみ出した部分の各ボール(B) は図4、5に示すように、リテーナ(6) によって脱出阻止状態に保持されているから、ボール(B) が脱落する心配はない。この為には、リテーナ(6) に形成したボール(B) を保持する為の貫通孔(61)に内外に脱出阻止状態に遊嵌保持されているか、又は、前記貫通孔の内周縁とネジ溝(11)との間に脱出阻止状態にボール(B) が保持されるかの何れであってもよい。この為には、図4、5のように、リテーナ(6)のネジ溝(21)に相当する部分の肉厚を部分的に厚くして、ここに、前記貫通孔(61)を形成するとよい。
【0032】ボール(B) の転がり移動の際、第1、第2ナット(2a)(2b)の一方にあるボール(B) が他方に移動するものでは、ネジ溝(21)とネジ溝(11)による挟圧方向が変わるが、方向の変化する部分には一対の逃がし溝(27)による非挟圧部が生じるから、第1、第2ナット(2a)(2b)の一方から他方へのボール(B) の移動が円滑である。前記挟圧の方向が特定の点で急変することにより、異音が発生したり、振動が生じたりする不都合が防止される。
【0033】前記逃がし溝(27)は第1、第2ナット(2a)(2b)の片方にあるだけでも良い。ボール(B) の上記挟圧の方向は上記実施例とは逆に設定してもよい。この場合には、上記実施例の押しネジ(5) を固定ネジ(42)に対して逆向きに設けることとなる。
【0034】また、この実施例では、第1ナット体(2a)、第2ナット体(2b)のフランジ(20)相互を対面状態に密着させる構成としたが、第1ナット体(2a)、第2ナット体(2b)の接合端部相互が内外に嵌合する筒部を有する構成であって、その筒部相互を相対回転固定自在に構成して、第1、第2ナット(2a)(2b)の回転方向の相対姿勢を調整できるようにしてもよい。さらに、図6、7に示すように、一対の楔機構を用いて回転方向の前記相対姿勢を調整するようにしてもよい。
【0035】このものでは、上記実施例と同様に、固定壁(3) に複数の締め付けボルト(41)によって固定壁(3) に固定される一対のフランジ(20)の内の一方のフランジ(20)に、回転方向の一方に傾斜面(53)のある透孔(55)を設けると共に、他方のフランジ(20)に回転方向の他方に傾斜面(54)のある透孔(56)を設けて、これら傾斜面の傾斜の向きを同じに設定し、前記傾斜面(53)にカム対偶する楔体(5a)と傾斜面(54)にカム対偶する楔体(5b)とを軸線方向に対面させて、これらの間に締め付けボルト(50)を挿通させると共に、ボルト頭部(51)と前記楔体(5a)との間と、ナット(52)と前記楔体(5b)と、の間にバネ(B) を介在させて、前記締め付けボルト(50)を締め込むと、楔体(5a)(5b)の斜面と前記傾斜面(53)(54)との対偶面に生じる斥力が、2つのフランジ(20)を相対回転させる回転力に変換されて、上記実施例1と同様に第1、第2ナット(2a)(2b)の回転方向の相対姿勢を調整できることとなる。この調整状態で一対のフランジ(20)が上記締め付けボルト(41)によって固定壁(3) に固定される。本実施例、及び、既述の実施例の何れにおいても、締め付けボルト(41)によるフランジ(20)の固定のためには固定壁(3) と密着するフランジ(20)に長孔部(22)を設けてもよい。
【0036】この実施例では、ネジ軸(1) を回転駆動する構成としたが、ネジ軸(1) を固定部材に軸線方向移動自在に設け、第1、第2ナット(2a)(2b)を固定した固定壁(3) を回転駆動することにより、一定位置で往復回転する固定壁(3) に対してネジ軸(1) が軸線方向に往復移動する機構にも利用できる。
【0037】また、図8に示すように、第1ナット体(2a)及び第2ナット体(2b)のフランジ(20)の対向面のネジ軸(1) の貫通部に、これらナット対のネジ溝よりも大きな直径の環状凹部を形成して逃がし溝(27)とし、これらの逃がし溝の外周壁に内接するようにカラー(28)を挿入し、このカラー(28)の内周側に潤滑剤を含浸させたパッド(P1)を内蔵するとネジ軸(1) が相対的に移動する際にこのばっど(29)から給油される利点がある。このパッド(P1)としては、種々のものが用いられるが多孔質の合成樹脂素材を用いてもよく、これを用いる場合には、所定の硬さと成形性があることから同図に示すように、第1、第2ナット体の外側端面にリングパッド(P2)を外接状態に固定してもよい。この場合、3か所から潤滑剤を供給できることとなる。
【0038】また、前記カラー(28)の外径の公差をh6程度とし、ネジ溝(27)の内径をH6程度にして、これらの嵌合公差ですきまばめすると、フランジ(20)相互がこの嵌合公差内に維持されるから、上記実施例1における各押しネジ(5) の押し力にアンバランスが生じた場合でも、フランジ(20)相互には、この公差内での同心性が確保できる。そして、押しネジ(5) の押し力の正確なバランスが得られた場合には、ネジ溝(11)とネジ溝(21)相互とボール(B) とによる既述のセンタリング性能が確保される。図1のように一方のフランジ(20)に設けた環状凸部が他方の環状凹部に密に嵌合する場合も同じである。
【0039】前記カラー(28)を用いた凹凸嵌合に変えて、一方のフランジ(20)に環状凸部を設け、他方のフランジに環状凹部を設けてこれらを相互に所定の嵌合公差で凹凸嵌合させることにより、前記同心性を確保するようにしてもよい。
【0040】図1〜5に示す上記実施例では、押しネジ(5) によって固定ネジ(42)の頭部を雄構成としたが、図9に示すように、前記固定ネジ(5) の先端が当接する相手を第1ナット体(2a)のフランジ(20)を固定壁(3) に対して位置決めするピン(49)であってもよい。このピン(49)が他方のフランジ(20)の長孔部(22)に移動余裕を有する態様に突出する構成とすることとなる。この場合、固定ネジ(42)によって前記一方のフランジ(20)が固定されても、されなくても何れでも良い。締め付けボルト(41)を仮締め状態にして前記押しネジ(5) によって上記実施例と同様に相対回転角度位置を調節した後、締め付けボルト(41)によって最終締め付けをすると、第1、第2ナット体(2a)(2b)が周方向の相対姿勢が所定の姿勢にセットされた状態に固定される。この場合、押しネジ(5) がピン(49)の頭部の平滑で且十分な精度の胴部表面に当接するから、複数の押しネジ(5) によって相対姿勢を調節する際の精度が向上する。
【出願人】 【識別番号】000100838
【氏名又は名称】アイセル株式会社
【出願日】 平成11年10月28日(1999.10.28)
【代理人】 【識別番号】100076912
【弁理士】
【氏名又は名称】坂上 好博 (外1名)
【公開番号】 特開2001−124174(P2001−124174A)
【公開日】 平成13年5月8日(2001.5.8)
【出願番号】 特願平11−306970