| 【発明の名称】 |
トロイダル型無段変速機 |
| 【発明者】 |
【氏名】石川 宏史
【氏名】伊藤 裕之
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| 【要約】 |
【課題】スラスト玉軸受26を構成する外輪28の一部に加わる大きな荷重に拘らず、この外輪28の外輪軌道35の転がり疲れ寿命を確保する。
【解決手段】トラニオン6の内側面で上記スラスト玉軸受26のピッチ円に対向する部分に、吐出孔45a、45bを設ける。これら各吐出孔45a、45bから、上記外輪28の一部で大きな荷重を受ける部分に潤滑油を吐出し、この部分の温度上昇を抑える事で、上記課題を解決する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ互いに独立した回転自在に支持された第一、第二のディスクと、それぞれがこれら第一、第二のディスクの中心軸に対し捻れの位置にある互いに同心の1対ずつの枢軸を中心として揺動する複数のトラニオンと、これら各トラニオンの中間部にこれら各トラニオンの内側面から突出する状態で設けられた複数の変位軸と、これら各変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記第一、第二の両ディスク同士の間に挟持された複数のパワーローラと、これら各パワーローラの外端面と上記各トラニオンの内側面との間に設けられたスラスト玉軸受と、上記各トラニオンの内部に設けられその下流端をこれら各トラニオンの内側面に開口させた給油通路とを備えたトロイダル型無段変速機に於いて、これら各トラニオンの内側面のうちの上記各スラスト玉軸受のピッチ円に対向する部分で且つ上記各枢軸の中心軸の延長線に対向する部分にそれぞれの下流端を開口する吐出孔を備え、これら各吐出孔の上流端を、それぞれ上記給油通路に通じさせた事を特徴とするトロイダル型無段変速機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明に係るトロイダル型無段変速機は、例えば自動車用の変速機の変速ユニットとして、或は各種産業機械用の変速機として、それぞれ利用する。 【0002】 【従来の技術】自動車用変速機として、図3〜4に略示する様なトロイダル型無段変速機を使用する事が研究されている。このトロイダル型無段変速機は、例えば実開昭62−71465号公報に開示されている様に、入力軸1と同心に、請求項に記載した第一のディスクに相当する入力側ディスク2を支持し、この入力軸1と同心に配置した出力軸3の端部に、請求項に記載した第二のディスクに相当する出力側ディスク4を固定している。トロイダル型無段変速機を納めたケーシングの内側には、上記入力軸1並びに出力軸3の中心軸に対して交差する事はないが、この中心軸の方向に対して直角若しくは直角に近い方向である捻れの位置にある枢軸5、5を中心として揺動するトラニオン6、6を設けている。 【0003】即ち、これら各トラニオン6、6は、それぞれの両端部外面に上記枢軸5、5を、互いに同心に設けている。又、これら各トラニオン6、6の中間部には変位軸7、7の基端部を支持し、上記枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を揺動させる事により、上記各変位軸7、7の傾斜角度の調節を自在としている。上記各トラニオン6、6に支持した変位軸7、7の周囲には、それぞれパワーローラ8、8を回転自在に支持している。そして、これら各パワーローラ8、8を、上記入力側、出力側両ディスク2、4の、互いに対向する内側面2a、4a同士の間に挟持している。これら各内側面2a、4aは、それぞれ断面が、上記枢軸5を中心とする円弧若しくはこの様な円弧に近い曲線を、上記入力軸1及び出力軸3の中心軸の回りに回転させて得られる凹面をなしている。そして、球状凸面に形成した上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aを、上記内側面2a、4aに当接させている。 【0004】上記入力軸1と入力側ディスク2との間には、ローディングカム式の押圧装置9を設け、この押圧装置9によって、上記入力側ディスク2を出力側ディスク4に向け、弾性的に押圧自在としている。この押圧装置9は、入力軸1と共に回転するカム板10と、保持器11により転動自在に保持した複数個(例えば4個)のローラ12、12とから構成している。上記カム板10の片側面(図3〜4の左側面)には、円周方向に亙る凹凸面である駆動側カム面13を形成し、上記入力側ディスク2の外側面(図3〜4の右側面)にも、同様の形状を有する被駆動側カム面14を形成している。そして、上記複数個のローラ12、12を、上記入力軸1の中心に関し放射方向の軸を中心とする転動自在に支持している。 【0005】上述の様に構成するトロイダル型無段変速機の使用時、入力軸1の回転に伴ってカム板10が回転すると、駆動側カム面13が複数個のローラ12、12を、入力側ディスク2の外側面に形成した被駆動側カム面14に押圧する。この結果、上記入力側ディスク2が、上記複数のパワーローラ8、8に押圧されると同時に、上記駆動側、被駆動側両カム面13、14と複数個のローラ12、12との押し付け合いに基づいて、上記入力側ディスク2が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、上記複数のパワーローラ8、8を介して前記出力側ディスク4に伝達され、この出力側ディスク4に固定の出力軸3が回転する。 【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速比)を変える場合で、先ず入力軸1と出力軸3との間で減速を行なう場合には、前記各枢軸5、5を中心として前記各トラニオン6、6を所定方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図3に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接する様に、前記各変位軸7、7を傾斜させる。反対に、増速を行なう場合には、上記各枢軸5、5を中心として上記各トラニオン6、6を反対方向に揺動させる。そして、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aが図4に示す様に、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分とに、それぞれ当接する様に、上記各変位軸7、7を傾斜させる。これら各変位軸7、7の傾斜角度を図3と図4との中間にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比を得られる。 【0007】又、図5〜6は、実願昭63−69293号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに記載された、より具体化されたトロイダル型無段変速機の1例を示している。入力側ディスク2と出力側ディスク4とは円管状の入力軸15の周囲に、それぞれニードル軸受16、16を介して回転自在に支持している。又、カム板10は上記入力軸15の端部(図5の左端部)外周面にスプライン係合させ、鍔部17により上記入力側ディスク2から離れる方向への移動を阻止している。そして、このカム板10とローラ12、12とにより、上記入力軸15の回転に基づいて上記入力側ディスク2を、上記出力側ディスク4に向け押圧しつつ回転させる、ローディングカム式の押圧装置9を構成している。上記出力側ディスク4には出力歯車18を、キー19、19により結合し、これら出力側ディスク4と出力歯車18とが同期して回転する様にしている。 【0008】1対のトラニオン6、6の両端部に互いに同心に設けた枢軸5、5は1対の支持板20、20に、その外周面を球状凸面とした外輪を有するラジアルニードル軸受40、40により、揺動並びに枢軸5、5の軸方向(図5の表裏方向、図6の左右方向)に亙る変位自在に支持している。そして、上記各トラニオン6、6の中間部に形成した円孔21、21部分に、変位軸7、7を支持している。これら各変位軸7、7は、互いに平行で且つ偏心した支持軸部22、22と枢支軸部23、23とを、それぞれ有する。このうちの各支持軸部22、22を上記各円孔21、21の内側に、ラジアルニードル軸受24、24を介して、回転自在に支持している。又、上記各枢支軸部23、23の周囲にパワーローラ8、8を、別のラジアルニードル軸受25、25を介して、回転自在に支持している。 【0009】尚、上記1対の変位軸7、7は、上記入力軸15に対して180度反対側位置に設けている。又、これら各変位軸7、7の各枢支軸部23、23が各支持軸部22、22に対し偏心している方向は、上記入力側ディスク2の回転方向に関し同方向(図6で左右逆方向)としている。又、偏心方向は、上記入力軸15の配設方向に対しほぼ直交する方向としている。従って、上記各パワーローラ8、8は、上記入力軸15の配設方向に亙る若干の変位自在に支持される。この結果、回転力の伝達状態で構成各部材に加わる大きな荷重に基づく、これら構成各部材の弾性変形に起因して、上記各パワーローラ8、8が上記入力軸15の軸方向(図5の左右方向、図6の表裏方向)に変位する傾向となった場合でも、各部に無理な力を加える事なく、この変位を吸収できる。 【0010】又、上記各パワーローラ8、8の外側面と上記各トラニオン6、6の中間部内側面との間には、パワーローラ8、8の外側面の側から順に、スラスト玉軸受26、26と、スラストニードル軸受27、27等のスラスト軸受とを設けている。このうちのスラスト玉軸受26、26は、上記各パワーローラ8、8に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ8、8の回転を許容するものである。又、上記各スラストニードル軸受27、27或は滑り軸受等のスラスト軸受は、上記各パワーローラ8、8から上記各スラスト玉軸受26、26を構成する外輪28、28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、前記各枢支軸部23、23及び上記外輪28、28が、前記支持軸部22、22を中心に揺動する事を許容する。 【0011】更に、上記各トラニオン6、6の一端部(図6の左端部)にはそれぞれ駆動ロッド29、29を結合し、これら各駆動ロッド29、29の中間部外周面に駆動ピストン30、30を固設している。そして、これら各駆動ピストン30、30を、それぞれ駆動シリンダ31、31内に油密に嵌装している。 【0012】上述の様に構成されるトロイダル型無段変速機の場合には、入力軸15の回転は、押圧装置9を介して入力側ディスク2に伝わる。そして、この入力側ディスク2の回転が、1対のパワーローラ8、8を介して出力側ディスク4に伝わり、更にこの出力側ディスク4の回転が、出力歯車18より取り出される。入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比を変える場合には、上記1対の駆動ピストン30、30を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン30、30の変位に伴って上記1対のトラニオン6、6が、それぞれ逆方向に変位し、例えば図6の下側のパワーローラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーローラ8が同図の左側に、それぞれ変位する。この結果、これら各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記入力側ディスク2及び出力側ディスク4の内側面2a、4aとの当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って上記各トラニオン6、6が、支持板20、20に枢支された枢軸5、5を中心として、互いに逆方向に揺動する。この結果、前述の図3〜4に示した様に、上記各パワーローラ8、8の周面8a、8aと上記各内側面2a、4aとの当接位置が変化し、上記入力軸15と出力歯車18との間の回転速度比が変化する。 【0013】尚、この様に上記入力軸15と出力歯車18との間で回転力の伝達を行なう際には、構成各部材の弾性変形に基づいて上記各パワーローラ8、8が、上記入力軸15の軸方向に変位し、これら各パワーローラ8、8を枢支している前記各変位軸7、7が、前記各支持軸部22、22を中心として僅かに回動する。この回動の結果、前記各スラスト玉軸受26、26の外輪28、28の外側面と上記各トラニオン6、6の内側面とが相対変位する。これら外側面と内側面との間には、前記各スラストニードル軸受27、27が存在する為、この相対変位に要する力は小さい。従って、上述の様に各変位軸7、7の傾斜角度を変化させる為の力が小さくて済む。 【0014】上述の様に構成され作用するトロイダル型無段変速機の場合、パワーローラ8、8を支持する為のラジアルニードル軸受25及びスラスト玉軸受26等、上記各トラニオン6、6と上記各変位軸7、7と上記各パワーローラ8、8との組み合わせ部分に存在する各軸受部分に潤滑油(トラクションオイル)を送り込む必要がある。何となれば、トロイダル型無段変速機の運転時に上記パワーローラ8、8は、大きな荷重を受けつつ高速回転する。従って、上記ラジアルニードル軸受25及びスラスト玉軸受26の耐久性を確保する為には、これら両軸受25、26を含む各軸受部分に十分量の潤滑油を送り込む必要がある。 【0015】この為に、図5〜6に示した、前記実願昭63−69293号(実開平1−173552号)のマイクロフィルムに記載された構造の場合には、上記各トラニオン6、6の片側内部並びに前記各駆動ロッド29、29の先端部に、互いに連続する給油孔32a、32bを形成している。そして、このうちの駆動ロッド29、29側に設けた給油孔32b、32b内に、前記駆動シリンダ31、31の低圧室側から、これら各駆動シリンダ31、31内に存在する作動油を、潤滑油として送り込み自在としている。一方、上記各トラニオン6、6側に設けた給油孔32a、32aの下流端から送り出される潤滑油を、前記各円孔21、21の内周面及び上記各トラニオン6、6の中間部内側面から吐出自在としている。トロイダル型無段変速機の運転時には、上記各駆動シリンダ31、31の低圧室側に存在する作動油を、上記各円孔21、21の内周面及び上記各トラニオン6、6の中間部内側面から吐出させて、上記両軸受25、26を含む各軸受部分を潤滑する。尚、この部分の構造及び作用に就いては、実公平4−48351号公報に、より詳しく記載されている。 【0016】 【発明が解決しようとする課題】図6に示した従来構造の場合には、パワーローラ8、8を支持する為のラジアルニードル軸受25及びスラスト玉軸受26等、各トラニオン6、6と各変位軸7、7と上記各パワーローラ8、8との組み合わせ部分に存在する各軸受部分に潤滑油を送り込む事を考慮しているのみで、上記スラスト玉軸受26を構成する外輪28を効率良く冷却する事を考慮してはいない。この為、トロイダル型無段変速機の運転時にこの外輪28の一部の温度上昇が著しくなり、この外輪28の耐久性を必ずしも十分に確保できなくなる可能性がある。この理由に就いて、図7〜8により説明する。 【0017】トロイダル型無段変速機の運転時に上記各パワーローラ8には、上記各トラニオン6の内側面に押し付けられる方向の大きなスラスト荷重が加わる。そして、このスラスト荷重に基づいて上記各トラニオン6が、内側面が円弧状凹面となる方向に弾性変形する。この結果、上記スラスト玉軸受26を構成する玉33、33の転動面と、上記各パワーローラ8の外端面に形成した内輪軌道34及び上記各外輪28の内側面に形成した外輪軌道35(図5〜6参照)との当接圧が、上記スラスト玉軸受26の円周方向に亙って不同になる。具体的には、上記各トラニオン6の両端部に設けた枢軸5、5の軸方向両端となる図7の■■位置に於ける当接圧が、図8に示す様に大きくなり、反対に円周方向に関する位相が90度ずれた、図7の■■位置に於ける当接圧が同図に示す様に小さくなる。 【0018】この様な原因で上記各玉33、33の転動面と上記内輪軌道34及び上記外輪軌道35との当接圧が大きくなる上記図7の■■位置では、上記スラスト玉軸受26の運転に伴う発熱量が多くなる。特に、上記各パワーローラ8はトロイダル型無段変速機の運転時に高速で回転する為、上記発熱量の増大に伴って上記各パワーローラ8の一部の温度が特に上昇する事はないが、上記各外輪28の場合には問題となる。即ち、これら各外輪28は、トロイダル型無段変速機の運転時にも殆ど回転しない。この為、特にこれら各外輪28の冷却に就いて考慮しない限り、上記発熱量の増大に伴って上記■■位置でのこれら各外輪28の温度上昇が著しくなる可能性がある。そして、これら■■位置で上記外輪軌道35の一部の温度が著しく上昇した場合には、これら各位置でこの外輪軌道35に早期剥離等の損傷が発生し易くなる。 【0019】これに対して、従来のトロイダル型無段変速機の場合には、前述の図6から明らかな通り、トラニオン6の内側に形成した給油孔32aの下流端開口を、上記外輪28の内周縁よりも更に内径寄り部分に設けていた。この為、上記給油孔32aから吐出する潤滑油により、上記外輪軌道35を効率的に冷却する事はできない。本発明は、この様な事情に鑑みて、上記外輪軌道35の一部で温度上昇し易い部分を効率的に冷却する事により、優れた耐久性を有するトロイダル型無段変速機を実現すべく発明したものである。 【0020】 【課題を解決するための手段】本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来のトロイダル型無段変速機と同様に、互いの内側面同士を対向させた状態で、互いに同心に、且つ互いに独立した回転自在に支持された第一、第二のディスクと、それぞれがこれら第一、第二のディスクの中心軸に対し捻れの位置にある互いに同心の1対ずつの枢軸を中心として揺動する複数のトラニオンと、これら各トラニオンの中間部にこれら各トラニオンの内側面から突出する状態で設けられた複数の変位軸と、これら各変位軸の周囲に回転自在に支持された状態で、上記第一、第二の両ディスク同士の間に挟持された複数のパワーローラと、これら各パワーローラの外端面と上記各トラニオンの内側面との間に設けられたスラスト玉軸受と、上記各トラニオンの内部に設けられその下流端をこれら各トラニオンの内側面に開口させた給油通路とを備える。特に、本発明のトロイダル型無段変速機に於いては、これら各トラニオンの内側面のうちの上記各スラスト玉軸受のピッチ円に対向する部分で且つ上記各枢軸の中心軸の延長線に対向する部分にそれぞれの下流端を開口する吐出孔を備える。そして、これら各吐出孔の上流端を、それぞれ上記給油通路に通じさせている。 【0021】 【作用】上述の様に構成する本発明のトロイダル型無段変速機は、前述した従来のトロイダル型無段変速機と同様の作用に基づき、第一のディスクと第二のディスクとの間で回転力の伝達を行ない、更にトラニオンの傾斜角度を変える事により、これら両ディスクの回転速度比を変える。特に、本発明のトロイダル型無段変速機の場合には、各パワーローラを回転自在に支持する為のスラスト玉軸受を構成する外輪の一部で、玉から受ける荷重が特に大きくなる部分に潤滑油を吐出して、この部分を効率的に冷却する。この為、上記外輪の一部が著しく温度上昇する事を防止して、この外輪に形成した外輪軌道に早期剥離等の損傷が発生する事を防止できる。 【0022】 【発明の実施の形態】図1〜2は、本発明の実施の形態の1例を示している。尚、本発明の特徴は、スラスト玉軸受26を構成する外輪28の一部で、特に温度上昇が著しくなり易い部分を効率良く冷却する為の構造にある。その他の部分の構造及び作用に就いては、前述の図5〜6に示した従来構造と同様である為、同等部分に関する重複する図示並びに説明を省略若しくは簡略にし、以下、本発明の特徴部分並びに図5〜6で説明しなかった部分を中心に説明する。 【0023】トラニオン6の内部に設けた給油通路36は、第一の給油孔37と第二の給油孔38とを、潤滑油の流れ方向に関して互いに直列に接続して成る。このうちの第一の給油孔37は、上記トラニオン6の外半部(図1の上半部)に、このトラニオン6の両端部に設けた1対の枢軸5、5の中心軸に対し平行に、且つ上記トラニオン6の中間部に設けた円孔21を貫通する状態で設けている。この様な上記第一の給油孔37の両端部で上記トラニオン6の両端開口部分には、それぞれ絞りプラグ39、39を嵌合固定している。従って、上記第一の給油孔37内に送り込まれた潤滑油の一部は、上記各絞りプラグ39、39の中心部に形成した絞り孔を通じて、上記各枢軸5、5を支承するラジアルニードル軸受40、40(図6参照)に供給自在としている。これに対して、上記第二の給油孔38は、上記1対の枢軸5、5のうちの一方(図1〜2の左方)の枢軸5の中心部に形成した通孔41を横切る状態で設けると共に、その一端(図1の上端)を上記第一の給油孔37に通じさせている。又、上記第二の給油孔38の他端で上記通孔41に関してこの第一の給油孔37と反対側部分の開口は、プラグ42により完全に塞いでいる。 【0024】トロイダル型無段変速機を組み立てた状態で、上記通孔41の内側には、上記トラニオン6を上記各枢軸5、5の軸方向に変位させる為のアクチュエータである油圧シリンダを構成する駆動ロッド29aの先端部を内嵌している。内部に潤滑油を送り込む為の給油孔を形成した円管状の、この駆動ロッド29aの先端部(図1〜2の右端部)と、上記トラニオン6の端部とを、この駆動ロッド29aの断面の直径方向に亙って挿通した結合ピン43により、互いに結合固定している。又、この結合ピン43により、上記駆動ロッド29aの中心部に設けた給油孔の下流端を塞いでいる。又、この駆動ロッド29aの先端部で上記結合ピン43を挿通した部分よりも中央に寄った部分(図1〜2の左寄り部分)には、上記駆動ロッド29aの中心部に設けた給油孔と上記第二の給油孔38とを連通させる為の連通孔(図示省略)を形成している。 【0025】一方、前記円孔21の内周面で上記第一の給油孔37と整合する位置には凹溝44を、全周に亙って形成している。又、上記トラニオン6の内側面と上記第一の給油孔37との間の3個所位置には、吐出孔45a、45b、46を、それぞれ形成している。これら各吐出孔45a、45b、46のうちの両端部の吐出孔45a、45bの下流端は、前記スラスト玉軸受26のピッチ円Pに対向する部分で、且つ、上記トラニオン6の両端面に互いに同心に設けた各枢軸5、5の中心軸の延長線αに対向する部分に、それぞれの下流端を開口させている。 【0026】従って、上記両端部の吐出孔45a、45bから吐出した潤滑油は、上記スラスト玉軸受26を構成する外輪28の一部で、玉33、33から受ける荷重が特に大きくなる部分に吐出されて、この部分を効率的に冷却する。即ち、上記各吐出孔45a、45bから吐出された潤滑油は、上記トラニオン6の内側面と上記外輪28の外側面との間に設けたスラストニードル軸受27の隙間を通過して、この外輪28の外側面で玉33、33から受ける荷重が特に大きくなる部分に注がれる。そして上記潤滑油は、この部分の熱を奪ってから周囲に流失する。この為、上記外輪28の一部が著しく温度上昇する事を防止して、この外輪28に形成した外輪軌道35に早期剥離等の損傷が発生する事を防止できる。 【0027】尚、この様に外輪28を冷却する為の潤滑油を流す為、上記スラストニードル軸受27を構成するレースプレート49の一部で上記各吐出孔45a、45bに整合する部分には、それぞれ通孔50、50を設ける。上記スラストニードル軸受27を構成する各ニードル51、51の転動面は、上記各通孔50、50部分に当接する場合もあるが、上記スラストニードル軸受27は、上記外輪28の僅かな揺動変位を許容する為のものである為、特に上記各ニードル51、51の転動面を損傷する様な事はない。勿論、上記各通孔50、50の周縁部にはバリ取り、面取り等の加工を施して、上記転動面に過大なエッヂロードが加わる事を防止する。 【0028】これに対して、中間部の吐出孔46の下流端は、上記円孔21内に支持した変位軸7を構成する枢支軸部23の内端面で支持軸部22の外周面に対し偏心した部分に開口している。この枢支軸部23内には別の給油孔47を設けており、この別の給油孔47から分岐した分岐吐出孔48a、48bの下流端を、上記枢支軸部23の外周面で、スラスト玉軸受26或はラジアルニードル軸受25の内径側に対向する部分に開口させている。 【0029】トロイダル型無段変速機の運転時には、図示しない給油ポンプ等の給油手段により、前記駆動ロッド29aの中心部に設けた給油孔に潤滑油を送り込む。そして、この潤滑油を第二の給油孔38を介して第一の給油孔37に送り込む。この様に第一の給油孔37に送り込まれた潤滑油は、上述の様に上記各吐出孔45a、45bから吐出して上記外輪28の一部を冷却する他、上記吐出孔46から上記給油孔47及び分岐吐出孔48a、48bを通じて上記ラジアルニードル軸受25及びスラスト玉軸受26を含む各軸受部分に送り込まれ、これら各軸受25、26部分を潤滑する。 【0030】 【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成され作用する為、優れた耐久性を有するトロイダル型無段変速機を実現できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004204 【氏名又は名称】日本精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月27日(1999.10.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087457 【弁理士】 【氏名又は名称】小山 武男 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−124164(P2001−124164A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月8日(2001.5.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−304880 |
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