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【発明の名称】 遊星歯車機構の潤滑構造
【発明者】 【氏名】殿畑 厚

【氏名】澤山 稔

【要約】 【課題】遊星歯車機構におけるピニオンシャフト及びピニオンギヤ間のベアリングを簡単に潤滑できるようにする。

【解決手段】遊星歯車機構のキャリヤ1に保持されたピニオンシャフト2に、ローラベアリング4を介して回動自在にピニオンギヤ5が取り付けられていると共に、ワッシャ13、14はキャリヤ1とピニオンギヤ5との間に配置されてピニオンシャフト2によりそれぞれ孔部が挿通され、上記孔部からサンギヤ軸に向かってワッシャ13、14の外周面にまで延びる切欠き17が形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャリヤに保持されたピニオンシャフトと、ベアリングを介して回動自在に上記ピニオンシャフトに取り付けられサンギヤ及びリングギヤの間に介在するピニオンギヤと、上記ピニオンシャフトに孔部が挿通されて上記ピニオンギヤ及び上記キャリヤ間に配置されたワッシャとを有する遊星歯車機構において、上記ワッシャは上記孔部から外周面にまで延びる切欠きが形成された潤滑構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遊星歯車機構における潤滑構造、とくに、遊星歯車機構におけるピニオンシャフト及びピニオンギヤ間のベアリング等に対する潤滑構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の車両用オートトランスミッションにおいては、図4に示されているように、遊星歯車機構のキャリヤ1にピニオンシャフト2が保持されて、キャリヤ1に嵌め込まれたピン3によりピニオンシャフト2が抜け止め、かつ、回り止めされ、ピニオンシャフト2にはローラベアリング4により回動自在にピニオンギヤ5が取り付けられていて、ピニオンギヤ5は図示しないサンギヤ及びリングギヤとそれぞれ係合している。
【0003】また、キャリヤ1の内側面とピニオンギヤ5の両外側面との間にそれぞれピニオンシャフト2に挿通された2枚の環状ワッシャ6が配置されている一方、キャリヤ1の外側面にオイルガイド7が固定され、ピニオンシャフト2にはオイルガイド7側及びピニオンシャフト2の外周にそれぞれ開口する潤滑孔8が形成されていて、サンギヤの回動に伴いサンギヤ軸の放射方向に飛び散った潤滑油が、矢印のようにオイルガイド7で一旦受け止められてから潤滑孔8を通って、ローラベアリング4及びワッシャ6へ導かれ、それらを潤滑するように構成されている。
【0004】しかしながら、この場合には、キャリヤ1の外側面にオイルガイド7を固定すると共に、ピニオンシャフト2に潤滑孔8を形成させる必要があるため、複雑な構造となって製造コストがかさむことは避けられなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、遊星歯車機構におけるピニオンシャフト及びピニオンギヤ間のベアリングを簡単に潤滑できるようにしようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、本発明にかかる潤滑構造は、キャリヤに保持されたピニオンシャフトと、ベアリングを介して回動自在に上記ピニオンシャフトに取り付けられサンギヤ及びリングギヤの間に介在するピニオンギヤと、上記ピニオンシャフトに孔部が挿通されて上記ピニオンギヤ及び上記キャリヤ間に配置されたワッシャとを有する遊星歯車機構において、上記ワッシャは上記孔部から外周面にまで延びる切欠きが形成されている。
【0007】従って、サンギヤの回動に伴ってサンギヤ軸から放射方向に飛び散った潤滑油は、ピニオンシャフトに挿通されたワッシャの孔部からワッシャの外周面にまで延びる切欠き内へ積極的に送り込まれ、この潤滑油がワッシャを適宜潤滑することはもちろんのこと、ワッシャの孔部付近に到達すると、ワッシャに隣接してピニオンギヤをピニオンシャフトへ回動自在に取り付けているベアリングへ確実に導かれ、そのベアリングを潤滑することができるので、従来装置のようにキャリヤの外側面にオイルガイドを固定したり、ピニオンシャフトに潤滑孔を形成させたりする必要性は容易に解消させることが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例について、前記従来装置との同等部分にはそれぞれ同一符号を付けて説明する。図1及び図2において、車両用オートトランスミッションの遊星歯車機構におけるキャリヤ1に2本のピニオンシャフト2がキャリヤ1の周方向へ相互に隣接して保持され、各ピニオンシャフト2にはローラベアリング4により回動自在にピニオンギヤ5が取り付けられていて、ピニオンギヤ5は図示しないサンギヤ及びリングギヤとそれぞれ係合している。
【0009】また、キャリヤ1の内側面と各ピニオンギヤ5の両外側面との間には、それぞれ各ピニオンシャフト2に挿通された環状ワッシャ10と、両ピニオンシャフト2にそれぞれ孔部11が挿通された掛けわたしワッシャ13、14とが、ピニオンシャフト2の軸方向にそれぞれ重ねて配置されている。
【0010】ピニオンギヤ5の外側面に接して配置された各環状ワッシャ10は、その中心孔15がピニオンシャフト2の外径より少し大きいため、中心孔15の内周面とピニオンシャフト2の外周面との間に小隙16が形成されている一方、キャリヤ1の内側面に接して配置された掛けわたしワッシャ13、14は、各孔部11からそれぞれサンギヤ軸に向かって掛けわたしワッシャ13、14の外周面にまで延びる切欠き17が形成されている。
【0011】さらに、掛けわたしワッシャ13、14の外周面にはそれぞれ角部18が設けられて、それらの外周面をそれぞれ図2の左右で非対称とすることにより、掛けわたしワッシャ13、14の組付けエラー防止が自動的に行われるようにされていると共に、一方の掛けわたしワッシャ14における各孔部11には直線部分19が形成されていて、この直線部分19がピニオンシャフト2の外周面に設けられた図示しない段付部とそれぞれ係合することにより、各ピニオンシャフト2の回り止めが図られている。
【0012】この場合、サンギヤの回動に伴いサンギヤ軸の放射方向に飛び散った潤滑油は、掛けわたしワッシャ13、14の各孔部11からそれぞれサンギヤ軸に向かって掛けわたしワッシャ13、14の外周面にまで延びる切欠き17内へ積極的に送り込まれるので、環状ワッシャ10及び掛けわたしワッシャ13、14を適宜潤滑することができると同時に、図1の矢印が示すように、この潤滑油が各孔部11付近に到達すると、環状ワッシャ10における中心孔15の内周面とピニオンシャフト2の外周面との間に形成された小隙16を通ってローラベアリング4へ導かれ、ローラベアリング4を確実に潤滑することができる。
【0013】従って、従来装置のようにキャリヤの外側面にオイルガイドを固定したり、ピニオンシャフトに潤滑孔を形成させるための複雑な加工等が全く不要となって、製造コストを容易に低減させることができ、また、掛けわたしワッシャ14における各孔部11の直線部分19とピニオンシャフト2外周面の段付部との係合によりピニオンシャフト2の回り止めが図られているので、遊星歯車機構の組立て作業効率を簡単に向上させることができる長所がある。
【0014】なお、上記実施形態例では、文字どおり完全な環状のワッシャ10を使用しているが、これに代えて図3に例示されているように、環状ワッシャ20の内周面に複数個の凹み21を設け、これらの凹み21によってピニオンシャフト2の外周面との間に小隙が形成されているようにしてもよく、また、上記各実施形態例における環状ワッシャと掛けわたしワッシャとの相対的位置を逆にし、あるいは、場合に応じて環状ワッシャの使用を省略しても、それぞれ同様な作用効果を奏することができるものである。
【0015】さらに、上記各実施形態例はピニオンギヤがサンギヤ及びリングギヤと同時に係合するシングルピニオンタイプの遊星歯車機構に関するものであるが、サンギヤに係合するピニオンギヤとリングギヤに係合するピニオンギヤとを別個にそなえたダブルピニオンタイプの遊星歯車機構にも、上記各実施形態例の場合と同様に実施して、上記各実施形態例と同等の作用効果を奏することができるのはいうまでもない。
【0016】
【発明の効果】本発明にかかる潤滑構造にあっては、サンギヤの回動に伴ってサンギヤ軸から放射方向に飛び散った潤滑油は、ピニオンシャフトに挿通されたワッシャの切欠きを通って、ピニオンギヤをピニオンシャフトへ回動自在に取り付けているベアリングへ確実に導かれ、そのベアリングを潤滑することができるので、従来装置と比較すると、構成を格段に簡略化させることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成11年10月25日(1999.10.25)
【代理人】 【識別番号】100066278
【弁理士】
【氏名又は名称】日昔 吉武
【公開番号】 特開2001−124157(P2001−124157A)
【公開日】 平成13年5月8日(2001.5.8)
【出願番号】 特願平11−301805