| 【発明の名称】 |
直動バルブ式自動変速機のフェールセーフシステム |
| 【発明者】 |
【氏名】若原 龍雄
【氏名】村上 賢一郎
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| 【要約】 |
【課題】複数の摩擦要素を選択的に締結させて変速を行うに際し、これらの摩擦要素の作動油圧を個々の直動バルブで直接制御する直動バルブ式自動変速機に対して、変速過渡状態および定常状態からの所定時間内において生じる作動油圧の抜け遅れに伴うフェール状態の誤検知を防止する。
【解決手段】摩擦要素Aの作動油圧PAとして締結実圧P1が供給され、また、摩擦要素Bの作動油圧PBとして解放実圧P2が供給されることによって掛け換え変速が実行される際、定常状態Coから所定時間Δtが経過した後に、締結実圧P1および解放実圧P2と設定圧Pswとの関係でインターロック状態を判定する(フェール検知ロジック作動領域Fs)。このため、インターロック状態が誤判定される領域ΔFmではインターロック状態の判定を実行されない。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の摩擦要素を選択的に締結させて変速を行うに際し、該摩擦要素の作動液圧を個々の直動バルブで直接制御するようにした直動バルブ式自動変速機に対して、前記作動液圧に応動する圧力スイッチを個々に設け、該圧力スイッチそれぞれの状態の組み合わせから自動変速機のフェール状態を判定してフェール対策を行うようにしたフェールセーフシステムにおいて、少なくとも、変速中は、前記圧力スイッチによるフェール状態の判定を停止するようにしたことを特徴とする直動バルブ式自動変速機のフェールセーフシステム。 【請求項2】 請求項1において、少なくとも、変速終了から所定時間を経過した後に、前記圧力スイッチによるフェール状態の判定を行うようにしたことを特徴とする直動バルブ式自動変速機のフェールセーフシステム。 【請求項3】 請求項1または2において、前記フェール状態は、最初に前記圧力スイッチによるフェール状態の検知を開始してから連続的にフェール状態が検知されることにより判定されるようにしたことを特徴とする直動バルブ式自動変速機のフェールセーフシステム。 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一項において、前記フェール状態は、自動変速機のインターロックであることを特徴とする直動バルブ式自動変速機のフェールセーフシステム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、直動バルブ式自動変速機のフェールセーフフシステム、特に、フェール状態を誤って判定することによる誤動作を防止するための直動バルブ式自動変速機のフェールセーフシステムに関するものである。 【0002】 【従来の技術】自動変速機は、複数のクラッチや、ブレーキ等の変速用摩擦要素を、選択的に液圧作動(締結)させることにより歯車伝動系の動力伝達経路(変速段)を決定し、作動する摩擦要素を切り換えることにより他の変速段への変速を行うよう構成する。 【0003】そして、上記の摩擦要素を選択的に締結させる変速制御用の液圧回路としては、従来、例えば、日産自動車株式会社発行「RE4R01A型オートマチックトランスミッション整備要領書」に記載のごとく、選択的に締結すべき摩擦要素へライン圧をシフトバルブにより振り分けて供給するよう構成したものが一般的に実用されている。 【0004】この場合、シフトバルブ自身を、締結すべき摩擦要素以外の摩擦要素にはライン圧が供給されないようにする等の工夫により、自動変速機のフェール状態、例えば、自動変速機の歯車伝動機構がインターロックするような組み合わせで摩擦要素が締結されるのを構造的に防止することができ、インターロック対策が容易である。 【0005】ところで昨今は、変速制御液圧回路の簡易化を主たる理由として、摩擦要素の作動液圧を個々の直動バルブで直接制御するようにした、所謂、直動バルブ式の自動変速機が提案されつつある。この場合、シフトバルブが存在しないことから、自動変速機のフェール対策としては、例えば、特願平10−238419号公報に記載の如く、油圧回路中に、前記作動液圧に応動する圧力スイッチを個々に設け、この圧力スイッチそれぞれの状態の組み合わせからインターロック状態を判定するものがある。 【0006】図7は、上記引用例を説明するためのタイムチャートである。このときの変速は、図7に示す如く、一方の摩擦要素の作動液圧として、締結圧指令I1に基づいて実際に締結実圧P1が供給され、また、他方の摩擦要素の作動液圧として、解放圧指令I2に基づいて実際に解放実圧P2が供給されることによって実行される掛け換え変速である。ここでは、締結圧指令I1が開始された後から解放圧指令I2を終了するまでが過渡状態Tとなり、また、解放圧指令I2を終了した後が定常状態Cとなる。 【0007】ここで、締結実圧P1および解放実圧P2はそれぞれ、個々に設けられた圧力スイッチによって検知されている。この際、一方の圧力スイッチは締結実圧P1が切り換え設定圧Pswを越える時にONからOFFに状態変化し、締結実圧P1が切り換え設定圧Pswを越えて一方の摩擦要素が締結に向かっていることを示す信号を出力する。また、他方の圧力スイッチは解放実圧P2が切り換え設定圧Pswよりも低下する時にONからOFFに状態変化し、解放実圧P2が切り換え設定圧Pswよりも低下して他方の摩擦要素が解放に向かっていることを示す信号を出力する。 【0008】上記従来技術によれば、締結実圧P1および解放実圧P2が共に切り換え設定圧Pswを越えている場合、インターロック状態であるとして、このインターロックを防止する対策が施される。 【0009】しかしながら、上記の従来技術では、図7に示す如く、インターロック状態の検知が常時行われており、正常に変速が機能している変速過渡状態Tであっても、締結実圧P1および解放実圧P2が切り換え設定圧Pswを越える状態があり、また、定常状態Cとなる変速終了直後(点Co)に、極低温時における解放実圧P2の抜け遅れが生じる場合も、締結実圧P1および解放実圧P2が切り換え設定圧Pswを越える状態となる。 【0010】このため、上記の従来技術によれば、変速過渡状態Tおよび定常状態直後Coから解放実圧P2の抜け遅れ状態までを含めた領域ΔFmでは、システムが正常であるにも関わらず、圧力スイッチのON,OFFでインターロック状態であると誤判定してしまう。 【0011】そこで、上記の誤判定を変速時油圧の設定によって回避する方法も考えられるが、この場合、空吹けの発生や変速時間の長期化など変速品質が著しく低下してしまう。加えて、フェール対策が正常に機能しているにも関わらず、誤ってフェール状態と判定される可能性がある領域ΔFmの影響を小さくするために、圧力スイッチの作動圧Pswを高く設定すると、一方の摩擦要素の作動液圧が当該摩擦要素を完全に締結させる前の引きずり状態にしておくような値に維持される故障を検出できなくなり、引きずられる摩擦要素が焼損したり、激しく摩耗して著しく耐久性を低下されるという問題を解決することができない。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】上述のことから明らかなように、本発明は、変速過渡状態および定常状態からの所定時間以内において生じる作動圧の抜け遅れに伴うフェール状態の誤検知を防止することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】この目的のため、本発明である請求項1に記載の第1発明は、複数の摩擦要素を選択的に締結させて変速を行うに際し、該摩擦要素の作動液圧を個々の直動バルブで直接制御するようにした直動バルブ式自動変速機に対して、前記作動液圧に応動する圧力スイッチを個々に設け、該圧力スイッチそれぞれの状態の組み合わせから自動変速機のフェール状態を判定してフェール対策を行うようにしたフェールセーフシステムにおいて、少なくとも、変速中は、前記圧力スイッチによるフェール状態の判定を停止するようにしたことを特徴とするものである。 【0014】請求項2に記載の第2発明は、第1発明において、少なくとも、変速終了から所定時間を経過した後に、前記圧力スイッチによるフェール状態の判定を行うようにしたことを特徴とするものである。 【0015】請求項3に記載の第3発明は、第1発明または第2発明において、前記フェール状態が、最初に前記圧力スイッチによるフェール状態の検知を開始してから連続的にフェール状態が検知されることにより判定されるようにしたことを特徴とするものである。 【0016】請求項4に記載の第4発明は、第1発明乃至第3発明のいずれか一発明において、前記フェール状態が、自動変速機のインターロックであることを特徴とするものである。 【0017】 【発明の効果】第1発明では、変速中は、圧力スイッチによるフェール状態の判定を停止するから、圧力スイッチによるフェール状態の誤検知を生じやすい状態、例えば、締結実圧と解放実圧とが同時に切り替わる掛け換え変速時などでのフェール状態の判定は行われない。従って、第1発明によれば、作動圧の変動中に生じるフェール状態の誤判定を防止できると共に、変速品質を確保できる。 【0018】第2発明では、第1発明において、少なくとも、変速終了から所定時間を経過した後に、圧力スイッチによるフェール状態の判定を行うようにしたから、変速直後に作動圧の抜け遅れが生じる状態などのフェール状態の判定は行われない。従って、より確実にフェール状態の誤判定を防止できる。 【0019】加えて、第3発明によれば、第1発明または第2発明において、前記フェール状態が、最初に圧力スイッチによるフェール状態の検知を開始してから連続的にフェール状態が検知されることにより判定されるから、外乱などによる一時的な誤検知が排除されて、フェールセーフシステムに対する信頼性をさらに高めることができる。 【0020】また、第4発明では、第1発明乃至第3発明のいずれか一発明において、誤ったインターロック状態の判定を防止できるため、滑らかな走行が得られる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明一実施の形態になる自動変速機のフェールセーフシステムを具えた変速制御系を示す。 【0022】自動変速機は2個の摩擦要素A,Bを内蔵し、図2に示す論理にもとづき自動変速(D)レンジで一方の摩擦要素Aを締結させる(〇で示す)時、第1速が選択された状態となり、他方の摩擦要素Bを締結させる(〇で示す)時、第2速が選択された状態になるものとする。さらに自動変速機は摩擦要素A,Bを同時に締結されると、変速機入出力軸を含む回転メンバが変速機ケースに固定されたインターロック状態になるものとする。 【0023】摩擦要素A,Bの作動液圧供給回路11,12は、個々の直動バルブ13,14を介して圧力源回路15,16に接続し、これら回路15,16を共通な圧力源17に接続する。 【0024】直動バルブ13,14はそれぞれ同様なものとし、常態で(無制御時に)摩擦要素A,Bの作動液圧供給回路11,12をそれぞれ圧力源回路15,16に通じさせ、これにより圧力源17からの圧力を作動液圧PA,PBとして摩擦要素A,Bに供給し、これらを締結させるが、ソレノイド18,19をONする制御時には摩擦要素A,Bの作動液圧供給回路11,12をそれぞれ直動バルブ13,14のドレンポート(×で示した)に通じさせ、これにより摩擦要素A,Bの作動液圧PA,PBを排除してこれら摩擦要素A,Bを解放させるものとする。 【0025】ソレノイド18,19のON,OFFはコントローラ21により制御し、これがためコントローラ21には、エンジンのスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ22からの信号と、車速VSPを検出する車速センサ23からの信号と、摩擦要素A,Bの作動液圧供給回路11,12に接続された圧力スイッチ24,25からの信号をそれぞれ入力する。 【0026】ここで圧力スイッチ24,25はそれぞれ、摩擦要素A,Bの作動液圧PA,PBに応動し、これら作動液圧PA,PBが切り換え設定圧Pswを超える時にOFFからONに状態変化するものとし、圧力スイッチ24,25の切り換え設定圧Pswは、例えば、摩擦要素A,Bのリターンスプリング力に対応するリターンスプリング相当圧未満に設定する。 【0027】コントローラ21は、上記した入力情報を基に周知の制御プログラムを実行して自動変速機を通常通りに変速制御し、更に本発明が狙いとするインターロック状態の誤判定を防止する作用を果たすものとする。 【0028】先ず通常の変速制御を説明するに、スロットル開度TVOおよび車速VSPを基に、図示せざる予定の変速パターンから、現在の運転状態に好適な変速段を求める。 【0029】このようにして求めた好適変速段が第1速であれば、ソレノイド18をOFFして直動バルブ13を回路11,15が連通される状態にし、作動液圧PAを摩擦要素Aに供給してこの摩擦要素を締結させる。この際、圧力スイッチ24は作動液圧PAが切り換え設定圧Pswを超える時にOFFからONに状態変化し、作動液圧PAが切り換え設定圧Pswを超えて摩擦要素Aが締結に向かっていることを示す信号をコントローラ21に供給する。 【0030】一方でこの時コントローラ21はソレノイド19をONにし、直動バルブ14を回路12がドレンポートに連通される状態にすることで、摩擦要素Bの作動液圧PBを排除してこの摩擦要素を解放させる。この際、圧力スイッチ25は作動液圧PBが切り換え設定圧Pswよりも低下する時にONからOFFに状態変化し、作動液圧PBが切り換え設定圧Pswよりも低下して摩擦要素Bが解放されたことを示す信号をコントローラ21に供給する。 【0031】以上により、摩擦要素Aが締結され、摩擦要素Bが解放されることとなり、図2の締結論理から明らかなように自動変速機を好適変速段である第1速に変速させることができる。 【0032】次に好適変速段が第2速である場合の変速作用を説明する。この時コントローラ21は、ソレノイド18をONにし、直動バルブ13を回路11がドレンポートに連通される状態にすることで、摩擦要素Aの作動液圧PAを排除してこの摩擦要素を解放させる。この際、圧力スイッチ24は作動液圧PAが切り換え設定圧Pswよりも低下する時にONからOFFに状態変化し、作動液圧PAが切り換え設定圧Pswよりも低下して摩擦要素Aが解放されたことを示す信号をコントローラ21に供給する。 【0033】一方でこの時コントローラ21はソレノイド19をOFFして直動バルブ14を回路12,16が連通される状態にし、作動液圧PBを摩擦要素Bに供給してこの摩擦要素を締結させる。この際、圧力スイッチ25は作動液圧PBが切り換え設定圧Pswを超える時にOFFからONに状態変化し、作動液圧PBが切り換え設定圧Pswを超えて摩擦要素Bが締結に向かっていることを示す信号をコントローラ21に供給する。 【0034】以上により、摩擦要素Aが解放され、摩擦要素Bが締結されることとなり、図2の締結論理から明らかなように自動変速機を好適変速段である第2速に変速させることができる。 【0035】次に、本発明が狙いとするインターロック状態の誤判定を防止する作用を説明する。 【0036】コントローラ21は先ず、図3に示すフローチャートに基づいた誤判定防止制御を実行する。まず、ステップ110にて、変速が定常状態であるか、すなわち、変速中ではないかを判定する。これは、現在のギアポジションCurGpと、変速パターンから新たに選択されたギアポジションNxtGpとが一致しているかどうかを判定するプログラムであって、現在のギアポジションCurGpは、具体的には、例えば、変速機の入力回転数と出力回転数とを検出し、これら入出力回転数の比で判定する。ステップ110にて、現在のギアポジションCurGpと、新たに選択されたギアポジションNxtGpとが一致している(CurGp=NxtGp)と、定常状態Cであると判定されてステップ120に移行し、このステップ120にて、変速過渡状態Tから定常状態Cになったとして、点Co(図4,5参照)にて、ステータスフラグFLGAをOFFする。 【0037】ステップ130では、定常状態直後、すなわち、変速終了直後の点Coから所定時間Δtだけ経過したかを判定する。これは、圧力スイッチ24,25によるフェール状態の誤検知を生じやすい状態、具体的には、締結実圧P1と解放実圧P2とが同時に切り換わる掛け換え変速時および変速終了直後に作動圧の抜け遅れが生じる状態ΔFm(図5,7参照)を回避するためのプログラムである。このステップ130にて、定常状態直後の点Coから所定時間Δtだけ経過したと判定されると、変速による作動圧の変動が収まったと判定されてステップ140に移行する。 【0038】ステップ140では、圧力スイッチ24,25、ソレノイド18,19および直動バルブ13,14に基づいたフェールパターンの検知が行われる。具体的には、インターロック状態を検知することであって、圧力スイッチ24,25、ソレノイドおよび直動バルブのON,OFF状態の組み合わせで定義された後述のパターン(図6参照)と、実際に得られる、これらON,OFF状態の組み合わせとを照合することにより検知される。 【0039】ステップ140にて、フェールパターンの検知がなされると、ステップ150に移行し、このステップ150では、フェールパターンのカウント数Nが1つカウントアップされる。このカウントアップは、S110〜S160のループ制御が実行される間、ステップ140にて、フェールパターンが検知される毎になされる。 【0040】ステップ150からステップ160に移行すると、ステップ150でカウントされたフェールパターンのカウント数ΣNが、予め設定されたフェール判定しきい値Noになったかどうかを判定する。このステップ160にて、フェールパターンカウント数ΣNがフェール判定しきい値No以上になると、実際にフェール状態、本実施形態においては、インターロック状態であると判定されて、ステップ170に移行する。このステップ170では、点Fs(1)(図4参照)にて、インターロックフェール判定フラグFLGBをONにして、ステップ180にて、インターロック状態を回避するためのフェールセーフロジック(図6参照)が実行される。 【0041】なお、ステップ110で定常状態Cでないと判定された場合、ステップ130で定常状態Coから所定時間Δtだけ経過してない場合、または、ステップ140でフェールパターンが検知されない場合はそれぞれステップ190に移行し、ステップ150でカウントアップされたカウンタ数ΣNがリセットされる。 【0042】図4は、図3のフローチャートが実行された際のタイムチャートである。これに示す如く、変速過渡状態Tおよび定常状態Coから所定時間Δtだけ経過するまでの間、圧力スイッチ24,25によるインターロック状態の判定を停止され、インターロック状態の判定は、実際には、破線で囲まれた斜線領域(以下、フェール検知ロジック作動領域という)Fsに入ってから行われる。圧力スイッチ24,25により最初にインターロック状態が検知された場合は、そのインターロックが最初に検知された時点Fから圧力スイッチ24,25により連続してインターロック状態が検知された時点Fs(1)で、インターロック判定フラグFLGBがONされることにより、インターロック対策としてのフェールセーフロジックが実行される。 【0043】図5は、図3のフローチャートが実行された際のタイムチャートであって、インターロック状態の判定を行うまでの作用を締結実圧P1および解放実圧P2の関係で示したものである。なお、図1〜4と同一部分については、同一符号をもって説明を省略する。 【0044】図5に示す如く、例えば、1速への変速を行う場合、摩擦要素Aの作動油圧PAとして、締結圧指令I1に基づいて実際に締結実圧P1が供給され、また、摩擦要素Bの作動油圧PBとして、解放圧指令I2に基づいて実際に解放実圧P2が供給されることによって掛け換え変速が実行される。この場合、定常状態Coから所定時間Δtが経過した後に、圧力スイッチ24,25によるインターロック状態の判定を行う(フェール検知ロジック作動領域Fs)ことができるから、インターロック状態が誤判定される領域ΔFmではインターロック状態の判定を実行されることがない。 【0045】上述したように、本実施形態では、変速が定常状態Coになってから所定時間Δtを経過するまで、圧力スイッチ24,25によるインターロック状態の判定を停止するから、圧力スイッチ24,25によるインターロック状態の誤検知を生じやすい状態、例えば、締結実圧P1と解放実圧P2とが同時に切り替わる掛け換え変速時および変速終了直後に作動液圧PA(PB)の抜け遅れが生じる状態、例えば、図5,7に示した誤検知領域ΔFmなどでのインターロック状態の判定は行われない。従って、本実施形態によれば、作動油圧PA(PB)の変動中に生じるインターロック状態の誤判定を防止できると共に、変速品質を確保できる。 【0046】加えて、上記のインターロック状態が、最初に圧力スイッチ24,25によるインターロック状態の検知を開始してから連続的にインターロック状態が検知されることにより判定される(図3のステップ110〜160に相当)から、外乱などによる一時的な誤検知が排除されて、フェールセーフシステムに対する信頼性をさらに高めることができる。 【0047】以下、図3のフローチャートにおけるステップ180の具体例を示し、インターロック状態の誤判定を防止する作用を説明する。 【0048】コントローラ21は、定常状態Coから所定時間Δtが経過した後、図6に示すごとくDレンジ第1速、第2速ごとに予め設定しておいた各摩擦要素A,Bに係わるソレノイド18,19のON,OFFと、直動バルブ13,14のON(作動液圧PA,PBを出力する状態),OFF(作動液圧PA,PBをドレンする状態)と、圧力スイッチ24,25のON,OFFとの関係から、選択レンジ(図示例では便宜上Dレンジのみを示した)および選択変速段ごとに、正常なのか故障なのかを、そして故障の場合どの故障態様なのかをチェックする。 【0049】ここで図6は、正常時における上記ON,OFFの組み合わせと、断線を含む故障時における上記ON,OFFの組み合わせとを併記し、故障態様としてはハッチングを付した枠内におけるONまたはOFFが考えられる。第1速での摩擦要素Aに係わるソレノイド18、直動バルブ13、圧力スイッチ24に関して説明するに、正常時は前記変速動作の説明から明らかなようにソレノイド18がOFF、直動バルブ13がON(作動液圧PAを出力する状態)、圧力スイッチ24がONであり、これらON,OFFの組み合わせであれば全てが正常であると判定する。 【0050】ところで、第1速であるにもかかわらずソレノイド18が故障によりハッチングを付して示すようにONにされると、直動バルブ13がこれに呼応してOFF(作動液圧PAをドレンする状態)になり、圧力スイッチ24は作動液圧PAのドレンに呼応してOFFになる。よって、第1速において摩擦要素Aに係わるソレノイド18、直動バルブ13、圧力スイッチ24が当該ON,OFFの組み合わせであれば、ソレノイド18に故障が生じた故障態様■であると判定する。 【0051】次いで、第1速において摩擦要素Aに係わるソレノイド18が正常にOFFにされても、直動バルブ13がスティック等の故障でハッチングを付して示すごとくOFF(作動液圧PAをドレンする状態)になる故障態様■においては、圧力スイッチ24が作動液圧PAのドレンに呼応してOFFになる。よって、第1速において摩擦要素Aに係わるソレノイド18、直動バルブ13、圧力スイッチ24が当該ON,OFFの組み合わせであれば、直動バルブ13に故障が生じた故障態様■であると判定する。 【0052】更に、第1速において摩擦要素Aに係わるソレノイド18が正常にOFFにされ、直動バルブ13も正常にON(作動液圧PAを出力する状態)になったにもかかわらず、圧力スイッチ24が故障で作動液圧PAの発生に呼応し得ず、ハッチングを付して示すごとくOFFになる故障を故障態様■とし、第1速において摩擦要素Aに係わるソレノイド18、直動バルブ13、圧力スイッチ24が当該ON,OFFの組み合わせであれば、圧力スイッチ24に故障が生じた故障態様■であると判定する。 【0053】次いで同じ第1速ながら摩擦要素Bに係わるソレノイド19、直動バルブ14、圧力スイッチ25に関して説明するに、正常時は前記変速動作の説明から明らかなようにソレノイド19がON、直動バルブ13がOFF(作動液圧PBをドレンする状態)、圧力スイッチ25がOFFであり、これらON,OFFの組み合わせであれば全てが正常であると判定する。 【0054】ところで、第1速であるにもかかわらずソレノイド19が故障によりハッチングを付して示すようにOFFにされると、直動バルブ14がこれに呼応してON(作動液圧PBを出力する状態)になり、圧力スイッチ25は作動液圧PBの発生に呼応してONになる。よって、第1速において摩擦要素Bに係わるソレノイド19、直動バルブ14、圧力スイッチ25が当該ON,OFFの組み合わせであれば、ソレノイド19に故障が生じた故障態様■であると判定する。 【0055】次いで、第1速において摩擦要素Bに係わるソレノイド19が正常にONされても、直動バルブ14がスティック等の故障でハッチングを付して示すごとくON(作動液圧PBを出力する状態)になる故障態様■においては、圧力スイッチ25が作動液圧PBの発生に呼応してOFFになる。よって、第1速において摩擦要素Bに係わるソレノイド19、直動バルブ14、圧力スイッチ25が当該ON,OFFの組み合わせであれば、直動バルブ14に故障が生じた故障態様■であると判定する。 【0056】更に、第1速において摩擦要素Bに係わるソレノイド19が正常にONされ、直動バルブ14も正常にOFF(作動液圧PBをドレンする状態)になったにもかかわらず、圧力スイッチ25が故障で作動液圧PBのドレンに呼応し得ず、ハッチングを付して示すごとくONになる故障を故障態様■とし、第1速において摩擦要素Bに係わるソレノイド19、直動バルブ14、圧力スイッチ25が当該ON,OFFの組み合わせであれば、圧力スイッチ25に故障が生じた故障態様■であると判定する。 【0057】故障態様■および■においては、直動バルブ13のOFF(作動液圧PAをドレンする状態)で摩擦要素Aが締結不能となり、正常な側の摩擦要素Bがもともと図2のごとく第1速では解放されることから、両摩擦要素A,Bが共に解放されて自動変速機を中立状態にし、走行不能の事態を生ずる。これがため故障態様■および■に対する故障対策としては、当該走行不能を回避するために摩擦要素Aの締結に頼らない第2速を強制的に選択させることとする。 【0058】ちなみに故障態様■においては、圧力スイッチ24の故障で後述するインターロックの検出が不能になるものの、自動変速機の伝動系に対する影響がないことから、当該圧力スイッチ24の故障を運転者に知らせる程度とする。 【0059】故障態様■および■においては、直動バルブ14のON(作動液圧PBを出力する状態)で摩擦要素Bが締結されてしまい、正常な側の摩擦要素Aがもともと図2のごとく第1速では締結されることから、両摩擦要素A,Bが共に締結されて自動変速機をインターロックさせてしまう。このインターロックは実際上、故障態様■および■においてONされる圧力スイッチ25からのON信号と、正常な側における摩擦要素Aに係わる圧力スイッチ24からのON信号とが揃った時をもって検知することとする。 【0060】当該インターロックの検知時は、締結状態にされてインターロックの原因を作った摩擦要素Bの締結を要件とする第2速を無条件に選択させることによりインターロックを防止する。 【0061】なお故障態様■においては、圧力スイッチ25の故障でインターロックの検出が不能になるものの、自動変速機の伝動系に対する影響がないことから、当該圧力スイッチ25の故障を運転者に知らせる程度とする。 【0062】第2速での摩擦要素Aに係わるソレノイド18、直動バルブ13、圧力スイッチ24、および摩擦要素Bに係わるソレノイド19、直動バルブ14、圧力スイッチ25の故障形態についても、上記第1速におけると同様な判定を行ってこれを検知し、故障形態ごとの同様の故障対策を実行して、摩擦要素Bに係わるソレノイド19または直動バルブ14の故障時に起きる走行不能を回避したり、摩擦要素Aに係わるソレノイド18または直動バルブ13の故障時に起きるインターロックを防止することとする。 【0063】ところで、摩擦要素A,Bの作動液圧PA,PBに応動し、これら作動液圧PA,PBが切り換え設定圧を超える時にOFFからONに状態変化してインターロックを検知する圧力スイッチ24,25(両スイッチが共にONになる時をインターロックと検知する)の切り換え設定圧を前記した通り、摩擦要素A,Bのリターンスプリング力に対応するリターンスプリング相当圧未満に設定したから、摩擦要素A,Bがロスストロークを完了する前に、つまり締結を開始する前に、その作動液圧制御系の異常、正常、従ってインターロックの発生を検知して前記のインターロック対策を行うことができ、摩擦要素A,Bの引きずりにより自動変速機をインターロック傾向にする場合においてもインターロック対策を実行し得る。 【0064】これがため、かかる摩擦要素の引きずりによるインターロック傾向も含めてインターロックを防止可能であり、引きずられる摩擦要素が焼損したり、激しく摩耗して著しく耐久性を低下されるという問題を生ずることもない。 【0065】そして上記インターロック対策を前記したごとく、インターロックの検知時に締結状態にされてインターロックの原因を作った摩擦要素の締結を要件とする変速段を無条件に選択させてことでインターロックを防止することとしたから、かかるインターロック防止策により、必ずやどれかの変速段が選択されることとなり、インターロック対策が車両を走行不能にすることがなくて大いに有用である。 【0066】更に本実施の形態においては、摩擦要素A,Bごとに、直動バルブ13,14が無制御時に(ソレノイド18,19から制御力を受けない時に)作動液圧を出力する(ONになる)極性であることから、これに極性を合わせて圧力スイッチ24,25も無制御時にONにされるものとしたから、変速制御装置の大元が駄目になって全ての制御系が無制御状態になる故障時においてもインターロックを確実に検知してインターロック対策を行うことができるという作用効果をも奏し得る。 【0067】なお図示しなかったが、上記とは逆に直動バルブ13,14が無制御時に作動液圧をドレンするものである場合にも、圧力スイッチ24,25を無制御時にOFFにされるようにして、直動バルブ13,14および圧力スイッチ24,25の極性を一致させることで、変速制御装置の大元が駄目になって全ての制御系が無制御状態になる故障時においてもインターロックを確実に検知してインターロック対策を行うことができる。 【0068】特に、本実施形態の場合、圧力スイッチ24,25によって判定されるべきフェール状態が自動変速機のインターロックであることから、誤ったインターロック状態の判定に基づいたインターロック対策として、上述したように、変速段を固定するなどして変速制御を制限する必要がない。このため、滑らかな走行が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月19日(1999.10.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059258 【弁理士】 【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−116134(P2001−116134A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月27日(2001.4.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−296119 |
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