| 【発明の名称】 |
無段変速機における変速制御系の初期化装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】赤沼 正俊
【氏名】渡辺 充
【氏名】古閑 雅人
【氏名】滝沢 哲
【氏名】島中 茂樹
【氏名】田中 寛康
【氏名】高山 潤也
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| 【要約】 |
【課題】初期化時に油温に応じたステップモータの駆動速度および駆動パターンが不正な組み合わせになって脱調などの弊害を生じないようにする。
【解決手段】21で油温を算出し、22で油温に応じステップモータ駆動速度を決定し、23で再度油温を算出する。24では、23での油温が常温か低温かをチェックし、低温なら25で、ステップモータ駆動パターンとして低温用パターンを選択し、常温なら26で、常温用パターンを選択する。27では、25または26において選択した駆動パターンを順次、22で決定した駆動速度に対応する周期で出力する。28でステップモータの初期化が終了したと判定するまで27を繰り返すことにより初期化を進行させ、初期化が終了すると29で、通常変速モード用のステップモータ駆動制御を行う。従って、初期化中はステップモータ駆動速度および駆動パターンがともに、初期化開始時において22で決定された駆動速度、および同じく初期化開始時において25または26で決定された駆動パターンに保持される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 変速指令に応動するステップモータで無段変速機を目標変速比に向け変速させる変速制御系のリセット時における初期化を、ステップモータの最低速変速比位置よりも更にロー側における限界位置への歩進およびその後の所定ステップの戻しにより実行し、該初期化中におけるステップモータの駆動速度および駆動パターンを油温に応じて決定するようにした無段変速機における変速制御系の初期化装置において、ステップモータの駆動速度および駆動パターンを同じタイミングにおける油温に応じて決定し、該決定したステップモータの駆動速度および駆動パターンを初期化中は不変に維持するよう構成したことを特徴とする無段変速機における変速制御系の初期化装置。 【請求項2】 請求項1において、前記同じタイミングにおける油温として初期化開始時における油温を用いるよう構成したことを特徴とする無段変速機における変速制御系の初期化装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、無段変速機の変速制御系を初期化する装置の改良提案に関するものである。 【0002】 【従来の技術】無段変速機の変速制御系は通常、車両運転状態に応じて決定した目標変速比に対応する変速指令によりステップモータを目標変速比対応の位置にストロークさせ、ステップモータに応動する変速制御弁からの油圧で無段変速機を目標変速比に向け無段変速させるよう構成するのが普通である。 【0003】この際ステップモータは、変速制御弁からの抗力に抗してこれを目標変速比対応の位置にストロークさせる必要があることから、当該抗力に打ち勝つトルクを発生するを要する。ところで上記の抗力は、油温が低い時ほど大きくなり、常温では比較的小さい。従って、ステップモータの要求トルクは低油温時に大きく、常温時に小さくなる。一方で、ステップモータの発生トルクと駆動速度とは反比例し、従ってステップモータの要求トルクが大きなる低油温時はステップモータの駆動速度を遅くし、ステップモータの要求トルクが小さくなる常温時はステップモータの駆動速度を速くするのが良く、例えばかようにステップモータの駆動速度を油温に応じて決定する技術が従来、例えば特開平8−178042号公報や特開平10−225189号公報により提案されている。かかる制御を怠ると、ステップモータが変速制御弁の抗力に負けて変速指令に確実に応動し得ないことがあり、ステップモータの駆動位置と変速指令との間に不一致を生じて変速制御がでたらめになる、所謂脱調現象を生ずる。 【0004】なお、ステップモータを目標変速比対応の位置にストロークさせ得るようにするだけのためならステップモータの駆動速度を常時遅くしてトルクを稼げば良いが、そうするとステップモータの応答が悪くて変速性能に悪影響が及ぶし、この場合もステップモータの駆動位置と変速指令との間に不一致を生じて上記の脱調現象を生ずる。 【0005】ステップモータの駆動速度は通常、低温時のそれを示す図3および常温時のそれを示す図4の比較から明らかなように、ステップモータの駆動周期を操作して達成し、低温時は図3のようにステップモータの駆動周期を長くして歩進時間隔を大きくすることにより駆動速度を遅くし、常温時は図4のようにステップモータの駆動周期を短くして歩進時間隔を小さくすることにより駆動速度を速くする。 【0006】なおステップモータとしては通常、図3および図4の他に図5および図6にも示すが、A端子およびB端子よりなる第1相と、C端子およびD端子よりなる第2相とを具えた2相ステップモータを用い、このステップモータは同じ相内の端子が同時にON,OFF切り換えした時に1ステップ歩進するものである。 【0007】他方で無段変速機の変速制御系は、エンジンキースイッチの投入などによるリセット時に前記の脱調を補正するために初期化する必要があり、この初期化は例えば特開平8−178063号公報に記載されているように、ステップモータを一旦最低速変速比位置よりも更にロー側における限界位置まで歩進させ、その後ステップモータを所定ステップ数だけ戻したところを初期位置としてセットし、これを基準にステップモータを何ステップか歩進させることにより変速制御を行うというものである。 【0008】かかる変速制御系(ステップモータ)の初期化に当たって行うステップモータの駆動に際しても、脱調防止のための前記油温に応じたステップモータの駆動速度制御が必要である。一方で、当該初期化に際し低温時のようにステップモータの駆動速度が遅い場合(図3参照)、図5に示すような駆動パターンにしてステップモータを図3のごとく連続的に歩進させても、上記限界位置での停止時における弾発が大きなることはなくこれが原因の脱調を生ずることがないため初期化を正常に終了させることができる。しかして常温時のようにステップモータの駆動速度制御が速い場合(図4参照)、同じようにステップモータを連続的に歩進させると、上記限界位置での停止時における弾発が大きくなってこれが脱調の原因となり、初期化が正常に行われないことがある。 【0009】そこでモータの駆動速度を速くする常温時は、ステップモータの駆動パターンを図6に示すようなものとして、ステップモータを図4に示すように例えば4ステップ歩進させては4ステップ停止させるように、停止ステップを介入させるのが良い。この場合、モータの駆動速度を速くする常温時でも、上記限界位置での停止時においてステップモータへ入力される弾発力が小さくなって、これが原因で生ずる脱調を生じさせにくくし、モータの駆動速度を速くする常温時でも初期化を正常に行わせることができる。 【0010】そして、上記の初期化に際しステップモータの駆動速度および駆動パターンを決定するに際しては一般的に、図7に示す如くにこれを実行するのが常識的である。つまり、先ずステップ31で油温信号を読み込んで油温を算出し、ステップ32で当該油温に応じステップモータの駆動速度(図3に示す低温用のステップモータ駆動周期にすべきか、図4に示す常温用のステップモータ駆動周期にすべきか)を決定し、ステップ33で油温が常温か否かをチェックする。ステップ33で常温でないと判定する場合、つまり低温ならステップ34で、ステップモータの駆動パターンとして図5に示す低温用の駆動パターンを選択し、ステップ33で常温であると判定する場合、ステップ35において、図6に示す常温用の駆動パターンをステップモータの駆動パターンとする。 【0011】次いでステップ36において、再度油温信号を読み込みで油温を算出し、ステップ37で当該油温に応じステップモータの駆動速度(図3に示す低温用のステップモータ駆動周期にすべきか、図4に示す常温用のステップモータ駆動周期にすべきか)を決定する。更にステップ38において、ステップ34または35で選択したステップモータの図5または図6に示すカウンタごとの駆動パターンを順次、ステップ37により決定したステップモータ駆動速度に対応する周期で出力する。 【0012】ステップ39では、変速制御系(ステップモータ)の前記した初期化が終了したか否かをチェックし、終了するまで上記ステップ36〜38を繰り返すことにより当該初期化を進行させる。初期化が終了するとステップ40で、通常変速モード用のステップモータ駆動制御を行う。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】ところで上記の制御によれば、初期化の作用中ステップモータの駆動速度はステップ37において油温に応じ逐一変更され得るが、ステップモータの駆動パターンは初期化の作用中、初期化の開始時においてステップ34または35で決定されたパターンに保持される(ステップ38)こととなり、以下の問題を生ずる。 【0014】つまり、油温が低温か常温かを判定するための設定温度近くで初期化が開始された時、特に低温時に初期化が開始されて直後に油温が常温域に入ったり、或いは図8に示すようにエンジンスタータスイッチの投入(瞬時t1 )による電源電圧の降下で瞬時t2 にコントローラがリセットされて油温センサ検出値が低温になった時に初期化が開始されると、瞬時t2 以後ステップモータの駆動パターンが図5に示す低温時用の駆動パターンに保たれているのに、電源電圧の復帰で油温センサ検出値が常温を示す値に復帰する瞬時t3 にステップモータの駆動速度が図3に示す低温時用の駆動速度(長いステップモータ駆動周期)から図4に示す常温時用の駆動速度(短いステップモータ駆動周期)へと切り換わる。このように、低温時用の駆動パターンと常温時用の駆動速度との組み合わせによりステップモータが駆動される場合、前記した脱調を最も生じ易く、かかる脱調により所定の初期化が行われ得なくなるという問題を生ずる。 【0015】請求項1に記載の第1発明は、かかるステップモータの駆動パターンと駆動速度との不合理な組み合わせが起きることのないようにして上記初期化中の脱調に関する問題解決を実現した無段変速機における変速制御系の初期化装置を提案することを目的とする。 【0016】請求項2に記載の第2発明は、初期化中におけるステップモータの駆動パターンと駆動速度とが、油温との関連において最適なものとなるようにした、無段変速機における変速制御系の初期化装置を提案することを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】これらの目的のため、先ず第1発明の無段変速機における変速制御系の初期化装置は、変速指令に応動するステップモータで無段変速機を目標変速比に向け変速させる変速制御系のリセット時における初期化を、ステップモータの最低速変速比位置よりも更にロー側における限界位置への歩進およびその後の所定ステップの戻しにより実行し、該初期化中におけるステップモータの駆動速度および駆動パターンを油温に応じて決定するようにした無段変速機における変速制御系の初期化装置において、ステップモータの駆動速度および駆動パターンを同じタイミングにおける油温に応じて決定し、該決定したステップモータの駆動速度および駆動パターンを初期化中は不変に維持するよう構成したことを特徴とするものである。 【0018】第2発明の無段変速機における変速制御系の初期化装置は、第1発明において、前記同じタイミングにおける油温として初期化開始時における油温を用いるよう構成したことを特徴とするものである。 【0019】 【発明の効果】第1発明においては、ステップモータの歩進駆動により無段変速機の変速制御系を初期化する時、ステップモータの駆動速度および駆動パターンを油温に応じて決定するが、この際ステップモータの駆動速度および駆動パターンを同じタイミングにおける油温に応じて決定し、決定したステップモータの駆動速度および駆動パターンを初期化中は不変に維持する。これがため変速制御系の初期化中、ステップモータの駆動パターンが低温時用(常温時用)のものである場合はステップモータの駆動速度も必ず低温時用(常温時用)のものであり続けることとなり、初期化中例えばステップモータの駆動パターンが低温時用の駆動パターンに保たれているのに、ステップモータの駆動速度が低温時用の駆動速度から常温時用の駆動速度へと切り換わるような事態の発生を回避することができる。従って、ステップモータの駆動パターンと駆動速度との組み合わせが前記した脱調を生ずるようなものになることがなく、かかる脱調により所定の初期化が行われ得なくなるという問題を解消することができる。 【0020】第2発明においては、上記同じタイミングにおける油温として初期化開始時における油温を用いるから、初期化中におけるステップモータの駆動パターンと駆動速度を油温との関連において最適なものにすることができ、初期化を適切に遂行させることができる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態になる無段変速機の初期化装置を具えた無段変速制御系を示し、1は変速制御弁、2はステップモータ、3は初期化のためのステップモータ限界位置を提供するストッパーである。なお、ステップモータ限界位置は当該ストッパー3によらずに、変速制御機構のハードウエア限界により提供してもよい。変速制御弁1はリンク10の中程に連節した弁体1aを具え、該リンク10の一端を、ステップモータ2によりラック&ピニオン4を介してストロークされる変速指令弁体11に連節し、リンク10の他端をVベルト式無段変速機12のプーリ可動フランジ13に連節して、通常通りに変速制御機構を構成する。かくして、変速制御弁1の弁体1aはステップモータ2の駆動ステップ数(目標変速比i* )に応じたストローク位置に駆動されて、油圧によりVベルト式無段変速機12の両プーリ溝幅を変更し、無段変速機を当該目標変速比i* となるよう変速制御するものとする。かかる変速の進行がリンク10を介して変速制御弁1の弁体1aにフィードバックされ、無段変速機が目標変速比i* になったところで変速制御弁1の弁体1aが元の位置に復帰することにより変速を終了する。 【0022】目標変速比i* は変速機コントローラ5により決定し、該コントローラ5は更に、本発明が狙いとする変速制御系(ステップモータ2)の後述する初期化をも行うものとする。これがためコントローラ5には、エンジンのスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ6からの信号、車速VSPを検出する車速センサ7からの信号、変速機作動油温TEMPを検出する油温センナ8からの信号、および無段変速機の選択レンジ(前進走行レンジ、後退走行レンジ、中立レンジ、駐車レンジ)を検出するレンジセンサ9からの信号をそれぞれ入力する。 【0023】コントローラ5は、これらセンサからの入力情報をもとに通常の無段変速制御を行う他、エンジンキースイッチの投入などによるリセット時に変速制御系(ステップモータ2)の脱調を補正するために必要な初期化を行う。この初期化に際しコントローラ5は、ステップモータ2を一旦変速制御弁体1aが図示の最低速変速比位置よりも更にロー側(図の左方)にストロークされるよう歩進させてストッパー3により規定された限界位置となし、その後ステップモータ2を所定ステップ数だけ戻したところを初期位置としてセットし、初期化を終了する。そしてコントローラ5は、この初期位置を基準にステップモータ2を目標変速比i* に対応したステップ数だけ歩進させることにより無段変速機を当該目標変速比へ変速させる。 【0024】かかる変速制御系(ステップモータ2)の初期化に当たってコントローラ5は、図2の制御プログラムを実行することによりステップモータ2の駆動速度および駆動パターンを決定する。先ずステップ21でセンサ8からの油温信号を読み込んで油温TEMPを算出し、ステップ22で当該油温TEMPに応じステップモータ2の駆動速度(図3に示す低温用のステップモータ駆動周期にすべきか、図4に示す常温用のステップモータ駆動周期にすべきか)を決定し、ステップ23で再度センサ8からの油温信号を読み込んで油温TEMPを算出する。 【0025】次いでステップ24において、ステップ23での上記油温TEMPが常温か否かをチェックする。ステップ24で常温でないと判定する場合、つまり低温ならステップ25で、ステップモータ2の駆動パターンとして図5に示す低温用の駆動パターンを選択し、ステップ24で常温であると判定する場合、ステップ26において、図6に示す常温用の駆動パターンをステップモータの駆動パターンとする。 【0026】次いでステップ27において、ステップ25または26で選択したステップモータ2の図5または図6に示すカウンタごとの駆動パターンを順次、ステップ22により決定したステップモータ駆動速度に対応する周期で出力する。 【0027】ステップ28では、変速制御系(ステップモータ2)の前記した初期化が終了したか否かをチェックし、終了するまで上記ステップ27を繰り返すことにより当該初期化を進行させる。初期化が終了するとステップ29で、通常変速モード用のステップモータ駆動制御を行う。 【0028】従って上記した本実施の形態になるステップモータの駆動制御によれば、初期化中はステップモータ2の駆動速度および駆動パターンがともに、初期化開始時においてステップ22で決定されたステップモータ駆動速度、および同じく初期化開始時においてステップ25または26で決定されたステップモータ駆動パターンに保持されることとなる。これがため変速制御系(ステップモータ2)の初期化中、ステップモータ2の駆動パターンが低温時用(常温時用)のものである場合はステップモータの駆動速度も必ず低温時用(常温時用)のものであり続けることとなり、初期化中例えばステップモータ2の駆動パターンが低温時用の駆動パターンに保たれているのに、ステップモータ2の駆動速度が低温時用の駆動速度から常温時用の駆動速度へと切り換わるような事態の発生を回避することができる。従って、ステップモータの駆動パターンと駆動速度との組み合わせが前記した脱調を生ずるようなものになることがなく、かかる脱調により所定の初期化が行われ得なくなるという問題を解消することができる。 【0029】なお本実施の形態においては特に、初期化開始時における油温をもとにステップモータ2の駆動パターンおよび駆動速度を決定するから、初期化中におけるステップモータ2の駆動パターンと駆動速度を油温との関連において最適なものにすることができ、初期化を適切に遂行させることができる。 【0030】なお上記した実施の形態では無段変速機がVベルト式無段変速機である場合について説明したが、これに限らずトロイダル型無段変速機など他の型式の無段変速機に対しても本発明は同様に適用し得ること勿論である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月18日(1999.10.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059258 【弁理士】 【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−116131(P2001−116131A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月27日(2001.4.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−295309 |
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