| 【発明の名称】 |
産業車両のスイッチバック終了判定装置及びスイッチバック制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】石川 和男
【氏名】谷口 浩之
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| 【要約】 |
【課題】産業車両において、比較的構成及び処理内容の簡単な判定装置を用いてスイッチバック終了時期を正しく判定する。
【解決手段】エンジン式フォークリフトのトルクコンバータ2と作動連結された変速機3は、前進クラッチ8及び後進クラッチ9を備える。制御装置41はスイッチバック中にシフト側クラッチを半クラッチにする制御を行い、ROM43には半クラッチ係合圧から決まる想定減速度のデータが記憶されている。フォークリフト走行中にシフトレバー31のスイッチバック操作を検出すると、CPU42はスイッチバック操作時の車速センサ17の検出車速を、想定減速度のデータ値で割って、車両停止までに要する予想所要時間を計算する。CPU42は、スイッチバック操作時からの経過時間を計時するカウンタが予想所要時間を計時し終わったことを確認後、検出車速が停止車速以下であると判断した時に、スイッチバック終了と判定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段とを備えた産業車両において、車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、または後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出する操作検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、前記操作検出手段によりスイッチバック操作が検出されると、そのスイッチバック操作時の検出車速を用いて、車両がスイッチバック終了設定車速に達するまでの予想所要時間を求める演算手段と、前記スイッチバック操作時からの時間の経過を計時する計時手段と、前記計時手段が前記予想所要時間を計時し終わるとスイッチバック終了と判定する判定手段とを備えている産業車両のスイッチバック終了判定装置。 【請求項2】 産業車両は、スイッチバック操作検出時からスイッチバック終了判定時までの区間において、シフト側クラッチを半クラッチにするように前記制御弁を制御するクラッチ制御手段を備え、前記演算手段は、前記スイッチバック操作時の前記車速検出手段の検出車速を用いて、前記クラッチ制御手段により前記シフト側クラッチが半クラッチ状態とされたときのクラッチ係合圧から決まる想定減速度に応じた予想所要時間を予測する請求項1に記載の産業車両のスイッチバック終了判定装置。 【請求項3】 産業車両は、スイッチバック時の車両の減速感強さを設定するための設定操作手段を備え、前記クラッチ制御手段は、前記シフト側クラッチを前記設定操作手段により設定された設定情報に応じたクラッチ係合圧に制御するものであって、前記演算手段は、前記スイッチバック操作時の前記車速検出手段の検出車速を用いて、前記設定操作手段により設定された設定情報に応じた予想所要時間を予測する請求項2に記載の産業車両のスイッチバック終了判定装置。 【請求項4】 前記判定手段は、前記計時手段が前記予想所要時間を計時した後、前記車速検出手段の検出車速が第2のスイッチバック終了設定車速以下となると、スイッチバック終了と判定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の産業車両のスイッチバック終了判定装置。 【請求項5】 前記トルクコンバータのタービン回転数を検出するタービン回転数検出手段を備え、前記判定手段は、前記計時手段が前記予想所要時間を計時した後、前記タービン回転数検出手段の検出値から決まるシフト側クラッチの入力側回転数と、前記車速検出手段の検出車速から決まるシフト側クラッチの出力側回転数とが許容範囲内で一致すると、スイッチバック終了と判定する請求項1〜3のいずれか一項に記載の産業車両のスイッチバック終了判定装置。 【請求項6】 エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段とを備えた産業車両において、車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、または後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出する操作検出手段と、車両の走行加速度を検出する加速度検出手段と、スイッチバック操作検出後、前記加速度検出手段により検出された車両の走行加速度が負でなくなったと判断すると、スイッチバック終了と判定する判定手段とを備えている産業車両のスイッチバック終了判定装置。 【請求項7】 前記トルクコンバータのタービン回転数を検出するタービン回転数検出手段を備え、前記判定手段は、前記加速度検出手段により検出された車両の走行加速度が負でなくなった以後、前記タービン回転数検出手段の検出値から決まるシフト側クラッチの入力側回転数と、前記車速検出手段の検出車速から決まるシフト側クラッチの出力側回転数とが許容範囲内で一致すると、スイッチバック終了と判定する請求項6に記載の産業車両のスイッチバック終了判定装置。 【請求項8】 産業車両は、駆動輪のロックを検出するロック検出手段と、前記スイッチバック操作検出後、前記ロック検出手段により前記駆動輪のロックが検出されたときに前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御をするロック防止制御手段とを備えており、前記判定手段は、前記ロック防止手段が前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めたことに起因して前記加速度検出手段の検出加速度が負でなくなる時期を除いた判定時期にスイッチバック終了であるか否かの判定を行う請求項6又は7に記載の産業車両のスイッチバック終了判定装置。 【請求項9】 エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段とを備えた産業車両において、請求項1〜8のいずれか一項に記載のスイッチバック終了判定装置と、前記操作検出手段によるスイッチバック操作検出時から前記判定手段によるスイッチバック終了判定までの減速区間においては、シフト側クラッチを半クラッチにするように前記制御弁を制御するクラッチ制御手段とを備えた産業車両におけるスイッチバック制御装置。 【請求項10】 請求項9に記載のスイッチバック制御装置において、駆動輪のロックを検出するロック検出手段と、前記スイッチバック操作検出後、前記ロック検出手段により前記駆動輪のロックが検出されたときに前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御をするロック防止制御手段とを備え、前記スイッチバック終了判定装置は、請求項1〜5、8のいずれか一項に記載のものである産業車両におけるスイッチバック制御装置。 【請求項11】 前記スイッチバック終了判定装置によりスイッチバック終了と判定されると、前記クラッチ制御手段は、前記シフト側クラッチを半クラッチ状態から完全係合させる9又は10に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。 【請求項12】 駆動輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、前記スイッチバック終了判定装置によりスイッチバック終了と判定された後の発進過程において、前記スリップ検出手段により駆動輪のスリップが検出されたときは、シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御をするスリップ防止制御手段とを備えている請求項9〜11のいずれか一項に記載の産業車両のスイッチバック制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、フォークリフト等の産業車両において、例えばスイッチバックをスムーズに行うための制御を実施する場合、制御を終了するスイッチバック終了時点を判定する産業車両のスイッチバック終了判定装置及びスイッチバック制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、フォークリフトにはトルクコンバータを備えた変速機が使用されるものがある。この種のフォークリフトにおいては、走行中にシフトレバー(前後進切換レバー)を、前進位置から後進位置へ、あるいは後進位置から前進位置へ切換えるスイッチバック操作が可能となっている。そのため、シフトレバーをスイッチバック操作すると、進行方向と逆側のクラッチが接続されるため、駆動輪が制動されてフォークリフトが減速するスイッチバックをし、減速停止後に進行方向を反転させ元の進行方向と逆方向へ発進する。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】スイッチバック減速中は、駆動輪に逆回転力を伝達しようとするシフト側クラッチの係合が駆動輪の制動力を与え、強い減速ショックが生じるという問題があった。また、スイッチバック減速中は駆動輪が制動によりロックする場合があった。駆動輪のロックは、工場等の床面にタイヤ痕(タイヤマーク)を付けるなどの問題を招く。そのため、スイッチバック操作した際に、フォークリフトがスムーズにスイッチバックし、駆動輪のロックを招き難くすることが望まれていた。 【0004】この問題を解決する方法として、例えばスイッチバック時の駆動輪の制動力を弱め、スムーズにスイッチバックできるような減速緩和制御を採用することが考えられる。スイッチバック終了後は、駆動輪の制動力を弱める必要がなくなるので、スイッチバック終了時期を判定し、制御の終了時期を決める必要がある。 【0005】スイッチバック終了時は車速が一旦「0」になるので、例えばフォークリフトに備えられた車速センサを利用し、その検出車速が例えば停止車速となった時をスイッチバック終了と判定する方法が考えられる。通常、フォークリフトでは車速センサは駆動輪と作動連結された出力軸等の回転を検出するようになっている。スイッチバック制動中は駆動輪がロックする場合があり、駆動輪がロックしたときは車両が走行しているにもかかわらず駆動輪の回転がほぼ停止し、検出車速が停止車速であると検出される。このため、車速センサの検出車速のみにより判定を行う構成では、駆動輪のロックをスイッチバック終了と誤判定する恐れがあった。 【0006】この場合、スイッチバック中の減速緩和制御が、駆動輪がロックした時点で早期に終了されてしまう。その結果、制御終了時から車両停止時までの残りの区間で、減速ショックが発生したり、駆動輪のロックが発生し易くなって、スムーズなスイッチバックが保証されなくなるという問題がある。また、この種の不具合を解消するためには、駆動輪のロックと車両停止を区別可能な、複数種のセンサを備えて複雑な判定方法をとる判定装置を使わざる得ないという問題があった。 【0007】本発明は前記課題を解決するためになされたものであって、その第1の目的は、比較的構成及び処理内容の簡単な判定装置を用いてスイッチバック終了時期を正しく判定することができる産業車両のスイッチバック終了判定装置を提供することにある。 【0008】第2の目的は、スイッチバック時にスムーズな制動を実現できる産業車両のスイッチバック制御装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段とを備えた産業車両において、車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、または後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出する操作検出手段と、車速を検出する車速検出手段と、前記操作検出手段によりスイッチバック操作が検出されると、そのスイッチバック操作時の検出車速を用いて、車両がスイッチバック終了設定車速に達するまでの予想所要時間を求める演算手段と、前記スイッチバック操作時からの時間の経過を計時する計時手段と、前記計時手段が前記予想所要時間を計時し終わるとスイッチバック終了と判定する判定手段とを備えている。 【0010】この構成によれば、車両走行中にシフト操作手段のスイッチバック操作が操作検出手段により検出されると、演算手段はスイッチバック操作時における車速検出手段の検出車速を用いて、車両がスイッチバック終了設定車速に達するまでの予想所要時間を予測する。判定手段は、計時手段がスイッチバック操作時から予想所要時間を計時し終わるとスイッチバック終了と判定する。 【0011】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、スイッチバック操作検出時からスイッチバック終了判定時までの区間において、シフト側クラッチを半クラッチにするように前記制御弁を制御するクラッチ制御手段を備え、前記演算手段は、前記スイッチバック操作時の前記車速検出手段の検出車速を用いて、前記クラッチ制御手段により前記シフト側クラッチが半クラッチ状態とされたときのクラッチ係合圧から決まる想定減速度に応じた予想所要時間を予測することを要旨とする。 【0012】この構成によれば、請求項1の発明の作用に加え、スイッチバック操作検出時からスイッチバック終了判定時までの区間において、クラッチ制御手段により制御弁が制御され、シフト側クラッチが半クラッチとされることで、車両の減速度が緩和される。演算手段は、スイッチバック操作時の検出車速を用いて、シフト側クラッチが半クラッチ状態とされたときのクラッチ係合圧から決まる想定減速度に応じた予想所要時間を予測する。その結果、車両の緩和された減速度に応じた正しい時期にスイッチバック終了判定することが可能となる。 【0013】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、産業車両は、スイッチバック時の車両の減速感強さを設定するための設定操作手段を備え、前記クラッチ制御手段は、前記シフト側クラッチを前記設定操作手段により設定された設定情報に応じたクラッチ係合圧に制御するものであって、前記演算手段は、前記スイッチバック操作時の前記車速検出手段の検出車速を用いて、前記設定操作手段により設定された設定情報に応じた予想所要時間を予測することを要旨とする。 【0014】この構成によれば、請求項2の発明の作用に加え、スイッチバック操作検出時からスイッチバック終了判定時までの区間において、シフト側クラッチは設定操作手段により設定された設定情報に応じたクラッチ係合圧に制御される。つまり、車両の減速感強さを設定変更することが可能となる。演算手段は、スイッチバック操作時の検出車速を用いて、設定操作手段により設定された設定情報に応じた予想所要時間を予測する。その結果、設定情報に応じた正しい時期にスイッチバック終了判定することが可能となる。 【0015】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記判定手段は、前記計時手段が前記予想所要時間を計時した後、前記車速検出手段の検出車速が第2のスイッチバック終了設定車速以下となると、スイッチバック終了と判定することを要旨とする。 【0016】この構成によれば、請求項1〜3のいずれか一項の発明の作用に加え、判定手段は、計時手段が予想所要時間を計時した後、車速検出手段の検出車速が第2のスイッチバック終了設定車速以下となると、スイッチバック終了と判定する。よって、予想所要時間の経過から車速が十分低速域になったことを推定した後、さらに実際の車速が十分低速域にあることを確認してスイッチバック終了判定される。 【0017】請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、前記トルクコンバータのタービン回転数を検出するタービン回転数検出手段を備え、前記判定手段は、前記計時手段が前記予想所要時間を計時した後、前記タービン回転数検出手段の検出値から決まるシフト側クラッチの入力側回転数と、前記車速検出手段の検出車速から決まるシフト側クラッチの出力側回転数とが許容範囲内で一致すると、スイッチバック終了と判定することを要旨とする。 【0018】この構成によれば、請求項1〜3のいずれか一項の発明の作用に加え、判定手段は、計時手段が予想所要時間を計時した後、タービン回転数検出手段の検出値から決まるシフト側クラッチの入力側回転数と、車速検出手段の検出車速から決まるシフト側クラッチの出力側回転数とが許容範囲内で一致すると、スイッチバック終了と判定する。例えばスイッチバック終了判定時に、シフト側クラッチを半クラッチ状態から完全係合させても、ショックが起き難い。 【0019】第1の目的を達成するために請求項6に記載の発明は、エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段とを備えた産業車両において、車両走行中に前記シフト操作手段を前進から後進へ、または後進から前進へ切換えるスイッチバック操作を検出する操作検出手段と、車両の走行加速度を検出する加速度検出手段と、スイッチバック操作検出後、前記加速度検出手段により検出された車両の走行加速度が負でなくなったと判断すると、スイッチバック終了と判定する判定手段とを備えている。 【0020】この構成によれば、車両走行中にシフト操作手段のスイッチバック操作が操作検出手段により検出された後、判定手段は、加速度検出手段により検出された車両の走行加速度が負でなくなったと判断すると、スイッチバック終了と判定する。 【0021】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記トルクコンバータのタービン回転数を検出するタービン回転数検出手段を備え、前記判定手段は、前記加速度検出手段により検出された車両の走行加速度が負でなくなった以後、前記タービン回転数検出手段の検出値から決まるシフト側クラッチの入力側回転数と、前記車速検出手段の検出車速から決まるシフト側クラッチの出力側回転数とが許容範囲内で一致すると、スイッチバック終了と判定することを要旨とする。 【0022】この構成によれば、判定手段は、加速度検出手段により検出された車両の走行加速度が負でなくなった以後、タービン回転数検出手段の検出値から決まるシフト側クラッチの入力側回転数と、車速検出手段の検出車速から決まるシフト側クラッチの出力側回転数とが許容範囲内で一致すると、スイッチバック終了と判定する。よって、加速度が負でなくなった後、さらにシフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許容範囲内で一致したことを確認してスイッチバック終了判定される。 【0023】請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の発明において、産業車両は、駆動輪のロックを検出するロック検出手段と、前記スイッチバック操作検出後、前記ロック検出手段により前記駆動輪のロックが検出されたときに前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御をするロック防止制御手段とを備えており、前記判定手段は、前記ロック防止手段が前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めたことに起因して前記加速度検出手段の検出加速度が負でなくなる時期を除いた判定時期にスイッチバック終了であるか否かの判定を行うことを要旨とする。 【0024】この構成によれば、判定手段は、ロック防止制御手段がシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めたことに起因して加速度検出手段の検出加速度が負でなくなる時期を除いた判定時期にスイッチバック終了であるか否かの判定を行う。ロック防止制御手段がシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めたことで加速度が負でなくなることに起因する誤判定が防止される。 【0025】第2の目的を達成するために請求項9に記載の発明は、産業車両におけるスイッチバック制御装置において、エンジンの出力をトルクコンバータを介して出力軸に伝達する油圧式の前進クラッチ及び後進クラッチを備えた変速機と、前記各クラッチの受圧室内の油圧を増減して接続状態を調整する制御弁と、前記変速機を前進・中立・後進の状態に切換え操作するシフト操作手段と、請求項1〜8のいずれか一項に記載のスイッチバック終了判定装置と、前記操作検出手段によるスイッチバック操作検出時から前記判定手段によるスイッチバック終了判定までの減速区間においては、シフト側クラッチを半クラッチにするように前記制御弁を制御するクラッチ制御手段とを備えている。 【0026】この構成によれば、操作検出手段によるスイッチバック操作検出時からクラッチ制御手段によりシフト側クラッチが半クラッチとされる。スイッチバック終了判定装置の判定手段がスイッチバック終了判定をすると、クラッチ制御手段による制御が終了される。例えば駆動輪のロック時をスイッチバック終了判定とする誤判定が防止される。 【0027】請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、駆動輪のロックを検出するロック検出手段と、前記スイッチバック操作検出後、前記ロック検出手段により前記駆動輪のロックが検出されたときに前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御をするロック防止制御手段とを備え、前記スイッチバック終了判定装置は、請求項1〜5、8のいずれか一項に記載のものである。 【0028】この構成によれば、スイッチバック操作検出後、ロック防止制御手段は、ロック検出手段により駆動輪のロックが検出されたときにシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御をする。スイッチバック終了判定装置の判定手段がスイッチバック終了判定をすると、クラッチ制御手段による制御が終了される。例えば駆動輪のロック検出時の誤判定や、ロック防止制御手段がシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めたことに起因する誤判定が防止される。請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の発明において、前記スイッチバック終了判定装置によりスイッチバック終了と判定されると、前記クラッチ制御手段は、前記シフト側クラッチを半クラッチ状態から完全係合させることを要旨とする。 【0029】この構成によれば、請求項9又は10の発明の作用に加え、スイッチバック終了判定装置によりスイッチバック終了と判定されると、クラッチ制御手段により制御弁が制御され、シフト側クラッチは半クラッチ状態から完全係合される。スイッチバック終了時はクラッチの入力側と出力側の各回転数がほぼ一致するので、一気に完全係合してもショックが起き難い。特にタービン回転数検出値を使って、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数の許容範囲内での一致を確認する判定方法を使うスイッチバック終了判定装置を備えた発明(請求項5、6、8)では、完全係合させた時のショックが一層緩和される。 【0030】請求項12に記載の発明は、請求項9〜11のいずれか一項に記載の発明において、駆動輪のスリップを検出するスリップ検出手段と、前記スイッチバック終了判定装置によりスイッチバック終了と判定された後の発進過程において、前記スリップ検出手段により駆動輪のスリップが検出されたときは、シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御をするスリップ防止制御手段とを備えている。 【0031】この構成によれば、請求項9〜11のいずれか一項に記載の発明の作用に加え、スイッチバック終了判定装置によりスイッチバック終了と判定された後の発進過程において、スリップ検出手段により駆動輪のスリップが検出されたときは、スリップ防止制御手段はシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める制御をする。よって、スイッチバック後の発進過程において駆動輪がスリップし難い。 【0032】 【発明の実施の形態】(第1の実施形態)以下、本発明を産業車両としてのフォークリフトに具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。 【0033】図1に示すように、エンジン1の出力軸1aはトルクコンバータ2を備えた変速機3に連結され、変速機3は差動装置4を介して駆動輪5を有する車軸6に連結されている。エンジン1にはスロットルアクチュエータ7が設けられ、スロットルアクチュエータ7の作動によってスロットル開度が調節されてエンジン1の回転数、即ちエンジン1の出力軸1aの回転数が調節される。 【0034】変速機3は入力軸(メインシャフト)3a及び出力軸(カウンタシャフト)3bを備え、入力軸3aに前進クラッチ8及び後進クラッチ9が設けられている。前進クラッチ8及び後進クラッチ9と出力軸3bとの間には図示しないギヤ列がそれぞれ設けられ、各クラッチ8,9及び各ギヤ列を介して入力軸3aの回転が出力軸3bに伝達される。両クラッチ8,9には油圧式のクラッチ、この実施形態では湿式多板クラッチが使用され、受圧室8a,9a内の油圧力によって接続力が調節可能に、かつ受圧室8a,9a内の油圧力を高めると接続力が大きくなるように構成されている。前進クラッチ8及び後進クラッチ9は、制御弁としての前進クラッチバルブ10及び後進クラッチバルブ11を介して供給される油圧により受圧室8a,9a内の油圧力が制御される。前進クラッチバルブ10及び後進クラッチバルブ11はソレノイドへの通電量に比例した開度となる比例ソレノイド弁で構成されている。 【0035】変速機3の出力軸3bにはクラッチ式の駐車ブレーキ12が設けられている。駐車ブレーキ12は出力軸3bと一体回転するディスク12aと、出力軸3bに対して回転不能かつスラスト方向に移動可能に設けられたブレーキパッド12bとを備えている。ブレーキ用バルブ13を介して受圧室12cの油圧が制御されることにより駐車ブレーキ12が制動制御されるように構成されている。ブレーキ用バルブ13には電磁弁が使用されている。 【0036】図1ではトルクコンバータ2、変速機3及び各バルブ10,11,13が独立して図示されているが、これら各装置は一つのハウジング内に組み込まれて、オートマチックトランスミッションを構成している。そして、変速機3には図示しない油圧ポンプが組み込まれ、その油圧ポンプの吐出油が図示しない流路及び各バルブ10,11,13を介して各受圧室8a,9a,12cに供給可能に構成されている。前記油圧ポンプはエンジン1の回転時に変速機3に伝達される回転力により駆動されるようになっている。 【0037】変速機3の入力軸3aには歯車14が一体回転可能に設けられ、タービン回転数検出手段としての磁気ピックアップからなるタービン回転数センサ15により入力軸3aの回転数が検出される。タービン回転数センサ15は入力軸3aの回転数に比例したパルス信号を出力する。変速機3の出力軸3bには歯車16が一体回転可能に設けられ、車速検出手段としての磁気ピックアップからなる車速センサ17により出力軸3bの回転数が検出される。車速センサ17は出力軸3bの回転数に比例したパルス信号を出力する。 【0038】エンジン1により駆動される荷役用ポンプ(油圧ポンプ)18の吐出側に、図示しない管路等を介してフォーク19を昇降させるリフトシリンダ20及びマスト21を傾動させる図示しないティルトシリンダが接続されている。リフトシリンダ20にはフォーク19に積載された荷の重量(荷重)を検出する荷重検出手段としての荷重センサ22が設けられている。荷重センサ22はリフトシリンダ20の内部の油圧を検出する圧力センサからなり、フォーク19の積載荷重に対応した検出信号を出力する。 【0039】運転室の床にはアクセルペダル23と、インチングペダル24と、ブレーキペダル25とが設けられている。インチングペダル24は荷役作業を行いながらフォークリフトの微速走行を行う際に、クラッチを半接続状態(半クラッチ状態)にするために使用するものである。そして、ブレーキペダル25を操作する(踏み込む)ときは、ブレーキペダル25はインチングペダル24と独立して作動するが、インチングペダル24を操作する(踏み込む)ときは、途中からインチングペダル24とブレーキペダル25とが連動可能に構成されている。 【0040】アクセルペダル23の操作量を検出するアクセルセンサ26は、アクセルペダル23の操作量に比例した検出信号を出力する。インチングペダル24の操作量を検出するインチングセンサ27は、インチングセンサ27の操作量に比例した検出信号を出力する。 【0041】ブレーキペダル25は油圧式の踏力発生装置(エミュレータ)28と機械的に連結され、踏力発生装置28にはその内部の油圧を検出する圧力センサからなるブレーキセンサ29が設けられている。ブレーキセンサ29はブレーキペダル25を踏み込んだときのブレーキ踏力に比例する検出信号を出力する。ブレーキペダル25が操作されたか否かはブレーキスイッチ30により検出される。 【0042】運転室の前部にはシフト操作手段としてのシフトレバー(前後進レバー)31が設けられている。シフトレバー31の位置を検知するシフトスイッチ32は、シフトレバー31が前進位置F、後進位置R及び中立位置(ニュートラル位置)Nのいずれにあるかを検知し、各位置に対応する信号を出力する。また、運転室の前部にはリフトレバー33及びティルトレバー34が設けられている。リフトレバー33の操作量を検出するリフトレバーセンサ35は、リフトレバー33の操作量に比例した検出信号を出力する。ティルトレバー34の操作量を検出するティルトレバーセンサ36は、ティルトレバー34の操作量に比例した検出信号を出力する。 【0043】また、運転室の前部には設定操作手段としてのモード切換スイッチ37が設けられている。モード切換スイッチ37は、スイッチバック時のフォークリフトの減速感を設定する操作をするためのもので、予め設定されたハード,ノーマル,ソフトの3種類の中から好みに応じたモードを選択するために使用される。ハード、ノーマル、ソフトの3種類の順で、設定される減速感(想定減速度)の強さが大きくなる。また、エンジン1に内蔵されたエンジン回転数センサ38によりエンジン回転数が検出される。エンジン回転数センサ38はエンジン回転数に比例したパルス信号を出力する。 【0044】次に前記スロットルアクチュエータ7、前進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11及びブレーキ用バルブ13を駆動制御するための電気的構成を説明する。 【0045】制御装置41は、演算手段及び判定手段としての中央処理装置(以下、CPUという)42、読出し専用メモリ(ROM)43、読出し及び書替え可能なメモリ(RAM)44、入力インタフェース45及び出力インタフェース46を備えている。ROM43には所定の制御プログラムや制御プログラムを実行する際に必要な各種データ等が記憶されている。RAM44にはCPU42の演算結果等が一時記憶される。CPU42はROM43に記憶された制御プログラムに基づいて作動する。なお、操作検出手段は、シフトスイッチ32及びCPU42により構成される。エンジン回転数制御手段は、制御装置41(CPU42)及びスロットルアクチュエータ7により構成される。クラッチ制御手段、ロック防止制御手段及びスリップ防止制御手段は、制御装置41(CPU42)及びクラッチバルブ10,11により構成される。加速度検出手段、ロック検出手段及びスリップ検出手段は、車速センサ17及び制御装置41(CPU42)により構成される。 【0046】CPU42は前記各センサ15,17,22,26,27,29,35,36,38及び各スイッチ30,32,37の出力信号を入力するとともに、ROM43に記憶された各種制御プログラムに従って動作し、スロットルアクチュエータ7及び各バルブ10,11,13への制御指令信号を出力する。 【0047】前記タービン回転数センサ15、車速センサ17、ブレーキスイッチ30、シフトスイッチ32、モード切換スイッチ37及びエンジン回転数センサ38は、入力インタフェース45を介してCPU42に接続されている。荷重センサ22、アクセルセンサ26、インチングセンサ27、ブレーキセンサ29、リフトレバーセンサ35及びティルトレバーセンサ36は図示しないA/D変換器(アナログ・ディジタル変換器)及び入力インタフェース45を介してCPU42に接続されている。 【0048】CPU42は出力インタフェース46及び図示しない駆動回路を介してスロットルアクチュエータ7、前進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11及びブレーキ用バルブ13にそれぞれ接続されている。 【0049】ROM43には、各種プログラム(図7〜図12)と、各種プログラムで使用する各種のマップ(図2〜図4)が記憶されている。各プログラムはエンジン運転中(スタータキーオン中)に所定時間(例えば10〜50msec. )間隔で実行される。 【0050】図7,図8はスイッチバック制御を実行するためのプログラムである。このプログラムには、図9に示すSBエンジン回転数制御ルーチンと、図10に示すSBクラッチ圧制御ルーチンが含まれる。図2,図3の各マップM1,M2は図9のルーチンで使用され、図4のマップM3は図10のルーチンで使用される。 【0051】図11,図12はスイッチバック終了後に実行される発進制御のプログラムで、発進エンジン回転数制御ルーチン(図11)と、発進クラッチ圧制御ルーチン(図12)とからなる。 【0052】本実施形態では、スイッチバック中に、モード切換スイッチ37の操作により設定されたモードに応じた減速感が得られるように、シフト側クラッチを半クラッチの係合圧に調節するクラッチ圧制御を採用している。車両の減速度は車体重量に影響されるので、モードに応じた一定減速感が常に得られるように、フォークリフトに積載された荷の重量(荷重)を考慮してクラッチ係合圧を決めるようにしている。つまり、スイッチバック中の半クラッチの係合圧が、荷重およびモードを考慮して決められる。図4のマップM3は、荷重、モードに応じたクラッチ係合圧Phrを決めるために使用される。 【0053】また、スイッチバック制動過程においては、駆動輪5のロックを防止する一種のABS(アンチスキッドブレーキシステム)制御を採用している。スイッチバック中に駆動輪5のロックが検出されたときにシフト側クラッチの係合圧を弱めることにより、進行方向と逆のシフト側クラッチの係合により発生する制動力を弱める。このABS制御では、駆動輪5の回転加速度がスイッチバック中の減速ではあり得ない大きな減速度の値をとるとタイヤロックと判定する。車速センサ17の検出車速の時間差分から求めた加速度から、駆動輪5の回転加速度をみることとし、その加速度がロック判定用しきい値を負側に超えたとき、つまり減速度がしきい値を上回るときにタイヤロックと判定する。 【0054】タイヤロック検出中はクラッチ係合圧を設定圧まで抜き、タイヤロックが検出されなくなるとクラッチ係合圧を復帰させ、以後、タイヤロック検出の度にクラッチ係合圧の抜・入を繰り返す。このときクラッチ係合圧が復帰する度に徐々に小さくなるようにその復帰圧を前回の値よりも小さな値とする。これにより駆動輪5の駆動力を路面抵抗と均衡する、ロックがぎりぎり起こらない平衡点に収束させるようにしている。以上はSBクラッチ圧制御ルーチンで行われる。 【0055】さらにスイッチバック中にエンジン回転数を上限値以下に抑えるエンジン回転数制御を採用し、シフト側クラッチの係合により発生する制動力を、エンジン回転数制御の面からも弱めるようにしている。これがSBエンジン回転数制御ルーチン(図9)で行われる。 【0056】一方、スイッチバック終了後の発進過程では、駆動輪5のスリップを防止する一種のTRC(トラクションコントロール)制御を採用している。このTRC制御の基本的な考え方は前記ABS制御と同様であり、タイヤスリップが検出されている間はクラッチ係合圧を設定圧まで抜き、タイヤスリップが検出されなくなるとクラッチ係合圧を復帰させ、以後、タイヤスリップ検出の度にクラッチ係合圧の抜・入を繰り返す。駆動輪5の回転加速度がフォークリフトの発進ではあり得ない値をとるとタイヤスリップと判定する。駆動輪5の回転加速度は、車速センサ17の検出車速の時間差分から求めた加速度を使い、その加速度がスリップ判定用しきい値を正側に超えたときにタイヤスリップと判定する。このときクラッチ係合圧が復帰の度に徐々に小さくなるように前回の値より小さな値とする。これにより駆動輪5の駆動力を路面抵抗と均衡する、スリップがぎりぎり起こらない平衡点に収束させるようにしている。以上は発進クラッチ圧制御ルーチンで行われる。さらにTRC制御実行中はエンジン回転数を低く抑える制御を採用しており、これが発進エンジン回転数制御ルーチンで行われる。 【0057】本実施形態では、スイッチバックをスムーズに行うために採用した減速緩和制御(図9,図10の各ルーチン)の終了時期を決定するために、スイッチバック終了判定処理を採用する。このスイッチバック終了判定処理により決定された制御終了時期は、発進制御への移り変わり時期となる。先の減速緩和制御の終了時期としては、スイッチバック終了時の車両停止時期(車速「0」)を採用する。スイッチバック終了判定処理は検出車速値を使って行う方法を採用し、フォークリフトに従来より設けられた車速センサ17を利用するようにしている。 【0058】その判定方法は、スイッチバック操作時から車両停止までに要する所要時間を予測し、その予想所要時間を経過した時を車両停止時と推定する方法をとる。詳しくは次のようになる。SBクラッチ圧制御ルーチンより各モード毎に決まるシフト側クラッチのクラッチ係合圧から想定される想定減速度データがROM43には記憶されている。スイッチバック操作時点から車両停止までに要する予想時間Tsbは、シフトレバー31のスイッチバック操作時の検出車速Vstと、ROM43に記憶された設定モードに応じた想定減速度データとを用い、次の計算式を使って計算する。 【0059】Tsb=Vst/αstここで、αstは、設定モードに応じた想定減速度である。スイッチバック操作時からの時間経過をカウンタにより計時し、カウンタの計時が予想時間Tsbに達した時を、車両停止(車速「0」)時として推定する。なお、計時手段は、このカウンタ及びCPU42により構成される。 【0060】予想所要時間の経過から車両停止時を推定する方法をとるのは次の理由による。車両停止時は検出車速が「0」となることで判定できるが、スイッチバック中は駆動輪5がロックする場合があり、駆動輪5がロックしたときに検出車速が見かけ上、車速「0」と検出される。このため、駆動輪5のロックを車両停止と誤判定する恐れがある。この不都合を避けるため、本実施形態では、停止までに要する予想時間Tsbの計時によって車両停止時期を時間経過から推定する。 【0061】本実施形態では、この予想時間Tsbの経過後、さらに検出車速が停止車速Vo以下であることが確認された時にスイッチバック終了と判定する。この判定がなされた時を、スイッチバックをスムーズに行うために採用した制御の終了時期とする。 【0062】また、ブレーキペダル25を踏み込んだときは、前後進クラッチ8,9を同時係合させることにより制動力を得るブレーキ方式を採用している。このため、常用ブレーキとしてドラムブレーキ等は装備していない。その他のブレーキ方式として駐車ブレーキ12を使用する構成とすることもできる。もちろん、常用ブレーキとしてドラムブレーキを駆動輪5に装備する構成を採用することもできる。なお、スイッチバック中にブレーキ操作がなされたときはクラッチ圧制御についてはブレーキ制御の方を優先させる。この場合、ブレーキ制御において、前後進クラッチ8,9の同時係合のクラッチ圧に対してスイッチバック制御時と同方式のABS制御が実施される。 【0063】次に図7〜図12に示す各ルーチンのプログラム内容について説明する。はじめに図7,図8のSBエンジン回転数制御ルーチンを説明する。まずステップ(以下単にSと記す)10においては、スイッチバック操作されたか否かを判断する。走行中(車速V>0)にシフトレバー31がF位置からR位置へ、またはR位置からF位置へ切換えられたときにスイッチバック操作されたと判断する。スイッチバック操作されたと判断したときはS20に進み、スイッチバック操作されたと判断しなかったときはS90に進む。 【0064】S20では、フラグFsbに「1」をセットする。フラグFsb=1であることはスイッチバック中であることを意味する。スイッチバック操作されたその1回の時のみS30〜S70において設定モードに応じた予想時間Tsbを計算する。 【0065】S30では、ハードモードであるか否かを判断する。ハードモードであればS50においてハードモードに応じた予想時間Tsbを計算する。ROM43には設定モードに応じた想定減速度のデータが記憶されており、車速センサ17から入力する検出車速Vstと、想定減速度のデータとを用いて予想時間Tsbを計算する。ここで、想定減速度とは、クラッチ係合圧Phr(図4のマップM3を参照)から想定されるスイッチバック中の車両の減速度のデータである。例えばハード,ノーマル,ソフトの各モードの想定減速度をαh,αn,αsとおく。ここで、減速度とは、減速過程の加速度(<0)の絶対値である。ハードモードのときは予想時間Tsbが、式 Tsb=Vst/αh より計算される。一方、ハードモードでなければS40に進む。 【0066】S40では、ソフトモードであるか否かを判断する。ソフトモードであればS60においてソフトモードに応じた予想時間Tsbを計算する。すなわち、式 Tsb=Vst/αs より計算する。一方、ソフトモードでなければ(つまりノーマルモードであれば)S70に進む。 【0067】S70では、ノーマルモードに応じた予想時間Tsbを計算する。すなわち、式Tsb=Vst/αn より計算する。ここで、減速度がαh>αn>αsの関係にあることから、予想時間Tsbは、車速Vstが同じであれば、ハード、ノーマル、ソフトの順で短くなる。 【0068】次のS80では、SBカウンタに時間Tsbに相当する計数値SBcnt をセットする。S90では、スイッチバック中(Fsb=1)であるか否かを判断する。フラグFsb=1であればS100に進み、Fsb=1でなければ当該ルーチンを終了する。 【0069】S100では、SBカウンタの計数値SBcnt が正(SBcnt >0)であるか否かを判断する。つまりスイッチバック操作時から車両停止までに要する予想時間Tsbを経過しておらず、スイッチバック減速過程にあるか否かを判断する。SBcnt >0が成立すればS120に進み、SBcnt >0が不成立であればS110に進む。 【0070】S110では、車速Vが停止車速Vo 以下(V≦Vo )であるか否かを判断する。停止車速Vo とは仮にクラッチを完全係合してもさほどショックの起こらない十分な低速車速であって、例えば0〜5km/hの範囲内の値である。つまり、SBcnt >0が不成立で車速が「0」になったと推定された後、さらに車速Vが停止車速Vo以下であることが確認されると、S150においてフラグFsbをリセット(Fsb=0)した後、当該ルーチンから発進制御ルーチンへ移行する。一方、S100においてスイッチバック減速過程にある(SBcnt >0)と判断されているうちは、S120〜S140の処理を実行する。なお、スイッチバック終了設定車速は車両停止時の車速「0」であり、第2のスイッチバック終了設定車速は停止車速Voである。 【0071】S120では、SBエンジン回転数制御(図9)を実行する。S130では、SBクラッチ圧制御(図10)を実行する。S140では、計数値SBcnt をデクリメントする。 【0072】従って、走行中にシフトレバー31を進行方向反対側のシフト位置へ切り換えるスイッチバック操作がなされると、停止までに要する予想時間Tsbが経過し、かつ車速Vが停止車速Vo に達するまでの間は、SBエンジン回転数制御(図9)とSBクラッチ圧制御(図10)が実行される。 【0073】次に図9に示すSBエンジン回転数制御ルーチンを説明する。まずS210では、荷重に応じたエンジン回転数上限値NEsbをマップM1(図2)を参照して求める。荷重は荷重センサ22の検出値を用いる。 【0074】S220では、アクセル開度に応じた目標エンジン回転数NEtrg をマップM2(図3)を参照して求める。S230では、目標エンジン回転数NEtrg がエンジン回転数上限値NEsbより大きい(NEtrg >NEsb)か否かを判断する。この条件NEtrg >NEsbが成立するときはS240に進み、この条件が不成立のときはS250に進む。 【0075】S240では、目標エンジン回転数NEtrg にエンジン回転数上限値NEsbをセットする。S250では、目標エンジン回転数NEtrg とするスロットル開度THtrg をスロットルアクチュエータ7に指令する。 【0076】従って、当ルーチンの実行により、スイッチバック中は車両が停止(車速「0」)するか、車速Vが停止車速Voに達するかするまでの減速区間において、エンジン回転数が上限値NEsb以下に制限される。 【0077】次に図10に示すSBクラッチ圧制御ルーチンを説明する。まずS310では、当ルーチン実行1回目であるか否かを判断する。例えばフラグFsbが「0」から「1」へ切り換わったときを1回目と判断する。 【0078】S320では、荷重,モードに応じたクラッチ係合圧PhrをマップM3(図4)を参照して求める。図4に示すように、ハード,ノーマル,ソフトの各モード毎のマップ線H,N,Sが用意されており、各マップ線とも荷重Wの値に応じてクラッチ係合圧Phrが変化する。モード切換スイッチ37により選択されたモードに応じたマップ線を使い、そのマップ線に基づき荷重Wに応じたクラッチ係合圧Phrを求める。クラッチ係合圧Phrは、ハード,ノーマル,ソフトの順で、しかも荷重Wが重いほど大きな値に決まる。このクラッチ係合圧Phrによってスイッチバック時の車両の減速度がほぼ決まる。 【0079】次のS330〜S360は、ABS制御の際にクラッチ係合圧Phrの補正をする補正量を決めるための準備の処理である。図5に示すようにABS制御では、加速度accがタイヤロックのしきい値Alockを負側に超えたときにクラッチ係合圧Pclを設定圧Po に抜き、タイヤロックが解消されて再度クラッチ係合圧を復帰させるときにそのクラッチ係合圧Pclを前回のクラッチ係合圧よりも小さな値に補正をする。この補正量は、しきい値Alockより少し大きな設定値A1modeを加速度accが下回る領域の積分値(ハッチング領域の面積)intgAに比例させており、クラッチ係合圧Phrから積分値intgAに応じた比率(低減率)分を減算することにより、ABS実行中徐々に小さくする毎回のクラッチ係合圧Pclが決められる。 【0080】その処理内容は次のようになる。S330では、加速度acc=V1−V2を計算する。ここでV1は今回の車速、V2は前回の車速である。車速センサ17は駆動輪5の回転速度を間接的に検出するので、加速度accは駆動輪5の回転加速度に比例する値となる。スイッチバック中の加速度accは負(acc<0)の値をとる。 【0081】S340では、Δacc=A1mode−accを計算する。Δaccは、加速度accが設定値A1modeを下回るときに正の値をとる。ここで、設定値A1modeが補正用しきい値に相当する。 【0082】S350では、Δaccを数値制限処理してΔAとする(0≦ΔA≦α)。すなわちΔaccが負の値をとれば「0」とし、Δaccが値αを超える値をとれば「α」とする。よって、加速度accが設定値A1modeを下回って正の値をとるΔacc(但し、上限値α)のみがΔAとして残る。ここでαは、ΔAの積分値(累積値)を使って、後の処理で決まる補正量の急増を避けるための上限値である。 【0083】S360では、積分値intgA=ΔA+intgAを計算する。つまり前回の積分値intgAに今回のΔAを加算する。ΔAの累積値である積分値intgAは、加速度accが設定値A1modeを下回る領域の面積に相当する(図6参照)。 【0084】S370では、加速度accがロック判定用のしきい値Alock未満である(acc<Alock)か否かを判断する。つまりタイヤロックが検出されたか否かを判断する。タイヤロックが検出されないときはS380に進み、タイヤロックが検出されればS400に進む。 【0085】S400では、フラグFabs に「1」をセットする。つまり、タイヤスリップが検出され、ABSモードになるとフラグFabs =1となる。一方、S380では、フラグFabs =1であるか否かを判断する。Fabs =1でなければS390においてクラッチ係合圧(クラッチ圧という)PclとしてPhrを採用する。そしてS440において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Phrに相当する電流値IPclを指令する。このため、スイッチバック中、フォークリフトは荷重,モードが考慮されたクラッチ圧Phrから決まる想定減速度αstで減速し、積荷の荷重によらず常に設定モードに応じた想定減速度αstが得られる。 【0086】一方、S370においてタイヤロックが検出されたときは、フラグFabs =1とした(S400)後、S410においてクラッチ圧Pclとして設定圧Po を採用する。そしてS440において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Po に相当する電流値IPo を指令する。このため、タイヤロックを検出したときはシフト側クラッチの係合圧がクラッチ圧Po に抜かれる(図5参照)。 【0087】ABSモードになった後、S370においてタイヤロックを検出しなくなるとクラッチ圧を再度復帰させるが、S380においてABSモードである(Fabs=1)と判断すると、S420,S430において復帰クラッチ圧Pclを計算する。 【0088】S420では、積分値intgAを正規化する。すなわち積分値intgAをある基準値で割り、0≦Ser≦1を満たす積分値intgAの正規化値Serを算出する。S430では、クラッチ圧Pcl=(1−Ser)・Phrを計算する。つまりクラッチ圧Phrに対し積分値intgAに応じた比率分だけ小さな値がクラッチ圧Pclとして算出される。 【0089】そしてS440において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧(1−Ser)・Phrに相当する電流値IPclを指令する。このため、ABSモードにおいて復帰時のクラッチ圧には、クラッチ圧Phrに対して積分値intgAに応じた比率分だけ小さく補正されたクラッチ圧Pclが採用される(図5参照)。このため、タイヤロック検出の度に復帰時のクラッチ圧Pclが徐々に小さくなり、しかも前回の値に対する今回の値の低減率が徐々に小さくなる。その結果、駆動輪5の駆動力は路面抵抗と均衡してタイヤロックがぎりぎり起こらない平衡点に収束する。 【0090】ここで、設定値A1modeはモードに応じて異なる値に設定され、各モードの各想定減速度に応じて、ハード,ノーマル,ソフトの順で負側に大きな値をとる。設定値A1modeを、ハード,ノーマル,ソフトの順に、A1h,A1n,A1sとおくと、Alock<A1h<A1n<A1s<0の関係となる。従って、加速度accが同じであれば、ソフト,ノーマル,ハードのモード順で、intgAが大きな値をとることになって、このモード順で復帰時のクラッチ係合圧Pclの低減率が大きくなる。よって、どのモードでもクラッチ係合圧Pclは速やかに平衡点に収束する。なお、図5において、加速度accがしきい値Alockを超えないその近傍値に収束するが、これは駆動輪5の回転加速度がしきい値Alock近傍の値に収束するのであって、フォークリフトの実際の減速度は、ABS制御によりクラッチ係合圧を低減した分だけモードに応じた想定減速度A1modeより若干小さくなる。 【0091】また、ABSモード(Fabs =1)は、例えばABSモード中における差分値ΔAlock(=Alock−acc)の累積である積分値intgΔAlockが、intgΔAlock<0の条件を満たすとリセット(Fabs =0)される。クラッチ係合圧Pclが平衡点の値に収束して加速度accがしきい値Alockを超えないその近傍の値に落ち着くと、やがてintgΔAlock<0が成立し、Fabs =0とされる。Fabs =0とされた時、積分値intgAとintgΔAlockは共に「0」にリセットされる。 【0092】次にスイッチバック終了後の発進制御ルーチンについて説明する。はじめに図11に示す発進エンジン回転数制御ルーチンを説明する。まずS500では、アクセル開度に応じた目標エンジン回転数NEtrg をマップM2(図3)を参照して求める。 【0093】S510では、加速度acc=V1−V2を計算する。加速度accは駆動輪5の回転加速度に比例する値となる。スイッチバック後の発進時の加速度accは正(acc>0)の値をとる。 【0094】S520では、加速度accがスリップ判定用のしきい値Aslipを超える(acc>Aslip)か否かを判断する。つまりタイヤスリップが検出されたか否かを判断する。タイヤスリップが検出されるとS530に進み、タイヤスリップが検出されないときはS540に進む。 【0095】S530では、フラグFtrc に「1」をセットする。つまり、タイヤスリップが検出され、TRCモードになったとしてフラグFtrc =1とする。S540では、フラグFtrc =1であるか否かを判断する。Ftrc =1であればS550に進み、Ftrc =1でなければS600に進む。 【0096】S550では、Δacc=acc−Aslipを計算する。Δaccは、加速度accがしきい値Aslipを上回るときに正の値、下回るときに負の値をとる。S560では、Δaccの累積である積分値intgB=Δacc+intgBを計算する。TRCモード中の加速度accは、後述するTRC制御(クラッチ圧制御)により、しきい値Aslipに対し上下に振幅する値をとり、駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡するクラッチ圧に収束する前においては、積分値intgBが正の値をとる(intgB>0)。 【0097】S570では、intgB>0であるか否かを判断する。つまり、駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡するクラッチ圧に収束した後であるか否かを判断する。intgB>0であればS580に進み、intgB>0でなければS590に進む。 【0098】S580では、目標エンジン回転数NEtrg にアイドル回転数NEo をセットする。つまりTRCモード中はアイドル回転数NEo が採用される。S590では、フラグFtrc をリセットする(Ftrc =0)。つまりTRCモードが終了する。 【0099】S600では、目標エンジン回転数NEtrg とするスロットル開度THtrg をスロットルアクチュエータ7に指令する。よって、intgB>0が成立する間は、TRCモードとみなされてエンジン回転数がアイドル回転数に低く抑えられる。このため、タイヤスリップ検出時のみエンジン回転数を低下させようとした場合、エンジン回転数の応答遅れのため巧くタイミングがとれないが、タイヤスリップが発生する可能性のあるintgB>0が成立する間中、エンジン回転数を低く抑えるので、エンジン回転数の応答遅れによるタイミングの不一致の問題が解消される。 【0100】次に図12に示す発進クラッチ圧制御ルーチンを説明する。S610,S620は、TRC制御の際にクラッチ係合圧Pclの補正をするための補正量を決めるための準備の処理である。TRC制御では、加速度accがタイヤスリップのしきい値Aslipを超えたときにクラッチ圧Pclini を設定圧Po に抜き、タイヤスリップが解消された後の復帰時のクラッチ圧Pclを前回のクラッチ圧よりも小さな値に補正をする。この補正量を決める基本的な考え方は前記ABS制御と同じであって、しきい値Aslipより少し小さな設定値A2modeを加速度accが上回る領域の積分値ΔAに応じた低減率分だけ完全係合のクラッチ係合圧Pcから減算する。 【0101】その処理内容は次のようになる。S610では、Δacc=acc−A2modeを計算する。加速度accは発進エンジン回転数制御ルーチンで先に計算した値(S510)を使用する。Δaccは、加速度accがスリップ用の補正用しきい値である設定値A2modeを上回るときに正の値をとる。 【0102】S620では、Δaccを数値制限処理したΔA(0≦ΔA≦α)を用いて、積分値intgA=ΔA+intgAを計算する。積分値intgAは、加速度accが設定値A2modeを上回る領域の面積に相当する(図6参照)。 【0103】S630では、加速度accがしきい値Aslipを超える(acc>Aslip)か否かを判断する。つまりタイヤスリップが検出されたか否かを判断する。タイヤスリップが検出されないときはS640に進み、タイヤスリップが検出されるとS660に進む。 【0104】S640では、フラグFtrc =1であるか否かを判断する。つまりTRCモードであるか否かを判断する。Ftrc =1でなければS650においてクラッチ圧Pclとして完全係合圧Pc を採用する。 【0105】そしてS690において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Pclに相当する電流値IPclを指令する。このため、スイッチバック終了判定がなされて発進制御に移行すると、シフト側クラッチが一気に完全係合される。 【0106】一方、S630においてタイヤスリップが検出されたときは、S650においてクラッチ圧Pclとして設定圧Po を採用する。そしてS690において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Po に相当する電流値IPclを指令する。このため、タイヤスリップを検出したときはクラッチ係合圧が設定圧Po に弱められる(図6参照)。 【0107】TRCモードになった後、S630においてタイヤスリップを検出しなくなるとクラッチ圧を再度復帰させるが、S640においてTRCモードである(Ftrc =1)と判断すると、S670,S680において復帰時のクラッチ圧Pclを計算する。 【0108】S670では、積分値intgAの正規化値Ser(0≦Ser≦1)を算出する。S680では、クラッチ圧Pclを、式 Pcl=(1−Ser)・Pc より計算する。つまりクラッチ圧Pc に対して積分値intgAに応じた比率(Ser)分減算したクラッチ圧Pclが算出される。 【0109】そしてS690において、シフト側クラッチバルブに対し、クラッチ圧Pcl=(1−Ser)・Pc に相当する電流値IPclを指令する。このため、TRCモードにおいてタイヤスリップが検出されるうちは徐々に復帰時のクラッチ圧Pclが小さくなり、駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡してタイヤスリップがぎりぎり起こらない平衡点のクラッチ圧に収束する。 【0110】従って、以上の各ルーチンの実行によりスイッチバック操作されたときは次のような制御が行われる。図6に示すように、例えばフォークリフトが前進走行中に時刻Toでシフトレバー31をF位置からR位置に切り換えるスイッチバック操作されたとする。すると、F位置側の前進クラッチ8が切離されると同時にR位置側の後進クラッチ9が接続される。このとき荷重を考慮した半クラッチのクラッチ係合圧Phrが採用される。また、停止までの予想時間Tsbが計算され、この予想時間Tsbが経過するまでの減速区間は、エンジン回転数が上限値NEsb以下に低く抑えられる。そのため、スイッチバック中はフォークリフトがスムーズに減速する。 【0111】スイッチバック中、半クラッチの減速度に抑えられても駆動輪5がロックする場合は、ABS制御が実行される。すなわちクラッチ圧Pclをロック検出中に設定圧Poまで抜き、クラッチ圧の復帰時は、加速度accが設定値A1modeを負側に超えた領域の積分値に応じた低減率分をクラッチ圧Phrから減算し、クラッチ圧Pclを徐々に低下させる。このため、ABS制御によって駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡とするほぼ平衡点に収束する(図5,図6を参照)。 【0112】スイッチバック操作時から予想時間Tsbを経過した後、車速Vが停止車速Vo以下になるとスイッチバック終了判定がなされ、スイッチバック制御を終了して発進制御に移行する。スイッチバック終了判定を行うに際し、車速Vが停止車速Vo以下に達したか否かの判断は、予想時間Tsbの経過後(つまり車両停止後)に行われるので、スイッチバック中に駆動輪5のロックをスイッチバック終了と誤判定することはまずない。 【0113】発進制御に移行すると、シフト側クラッチ(後進クラッチ9)は一気に完全係合される。このとき車速がほぼ0であり、シフト側クラッチの入力側の回転数(トルクコンバータのタービン回転数)と、出力側の回転数(駆動輪回転数と減速ギヤ比に応じた比例関係にある回転数)が共にほぼ0で回転差が極めて小さいので、クラッチを一気に完全係合させてもさほどショックが発生しない。発進制御ではエンジン回転数はアクセルペダル2の操作量に応じた値に制御される。 【0114】発進過程ではTRC制御も行われ、半クラッチの加速度に抑えても駆動輪5がスリップする場合は、クラッチ圧Pclをスリップ検出中に設定圧Poまで抜き、クラッチ圧の復帰時は、加速度accがしきい値A2modeを正側に超えた領域の積分値に応じた低減率で完全係合圧Pcから減算し、クラッチ圧Pclを徐々に低減させる。このため、TRC制御によって駆動輪5の駆動力が路面抵抗と均衡とするほぼ平衡点に収束する(図6を参照)。 【0115】この実施の形態では以下の効果を有する。 (1)予想時間Tsbの経過後、検出車速Vが停止車速Vo以下になったことを確認できたときにスイッチバック終了と判定するので、スイッチバック中の駆動輪5のロックをスイッチバック終了時と誤判定することを防ぐことができる。よって、フォークリフトの停止時点をスイッチバック終了時期として正しく判定することができる。従って、減速緩和制御を必要区間を通して継続させることができ、スムーズなスイッチバックを実現できる。 【0116】(2)スイッチバック終了判定に必要な予想時間Tsbおよび検出車速Vは、従来からフォークリフトに設けられた車速センサ17を使って得られるので、判定専用のセンサを別途設ける必要がなく、判定装置を簡単な構成で済ませられる。 【0117】(3)予想時間Tsbを求めるのに半クラッチの係合圧から想定される想定減速度データを使うので、設定減速感(モード)に応じた正しい予想時間Tsbを算出することができる。 【0118】(4)スイッチバック中は、シフト側クラッチを半クラッチとして駆動輪5の制動力を弱めるので、フォークリフトをスムーズにスイッチバックさせることができる。 【0119】(5)さらに減速緩和制御の一つとして採用する、スイッチバック中のエンジン回転数を上限値NEsb以下に抑えるSBエンジン回転数制御が、駆動輪5の制動力を一層弱めるのに寄与するので、フォークリフトを一層スムーズにスイッチバックさせることができる。 【0120】(6)スイッチバック中は、モードに応じた設定減速感(減速度)が常に得られるように、シフト側クラッチのクラッチ係合圧Phrを荷重が重いほど大きな値となるように荷重を考慮して設定し、一方、エンジン回転数上限値NEsbを荷重が重いほど大きな値となるように荷重を考慮して設定する。よって、スイッチバック中はフォークリフトの積荷の有無や荷重の違いに影響されずいつもほぼ同じ減速感を得ることができる。 【0121】(7)前記(6)効果から、モードに応じた一定減速度が常に得られることから、予想時間Tsbの経過時が実際の車両停止時といつもほぼ一致する。このため、スイッチバック終了設定時期と実際の判定時期とのずれを少なくでき、判定精度を高めることができる。 【0122】(8)スイッチバック終了判定がなされると、シフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に完全係合させるが、シフト側クラッチの入力側と出力側との回転差が小さいのでショックが小さくて済む。また、スイッチバック終了時にクラッチを一気に完全係合させることからクラッチを半クラッチ状態にする保持時間が短く済み、クラッチ8,9の摩耗速度を低減させてその寿命を長くすることができる。 【0123】(9)スイッチバック中は、駆動輪5のロックを検出するとシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱める一種のABS制御を採用するので、スイッチバック減速中の駆動輪5のロックをほぼ確実に防止することができる。例えばスイッチバックが原因で工場の床面にタイヤ痕(タイヤマーク)が付くことをなるべく回避できる。 【0124】(10)駆動輪5のロックが検出されなくなった復帰時のクラッチ係合圧Pclは、駆動輪5の駆動力が路面抵抗との平衡点に収束するように徐々に小さくされるので、ABS制御の採用が原因で減速度を不要に弱め過ぎる事態を回避できる。 【0125】(11)駆動輪5のロックが検出されなくなった復帰時のクラッチ係合圧Pclは、加速度accが設定値A1modeを負側に超える領域の積分値に応じた低減率で徐々に小さくされるので、駆動輪5の駆動力を路面抵抗との平衡点に速やかに収束させることができ、駆動輪5のロック発生頻度をより効果的に減らすことができる。 【0126】(12)スイッチバック終了後の発進過程で駆動輪5のスリップが検出されると、シフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めるTRC制御を採用するので、スイッチバック終了後の発進過程において駆動輪のスリップを発生し難くすることができる。 【0127】(13)TRC制御実行中は、エンジン回転数をアイドル回転数に小さく抑えるので、駆動輪5のスリップを効果的に防止することができる。エンジン回転数を制御するときは応答遅れがあるため、TRC制御でタイヤスリップの検出中のみエンジン回転数を低下させる制御をすると、エンジン回転数の応答遅れのためタイミングが巧くとれない。しかし、本実施形態ではタイヤスリップが起きる可能性の高いintgB>0が成立する間中は、エンジン回転数を低く維持するので、エンジン回転数の応答遅れによるタイミングの不一致の心配がない。よって、クラッチ係合圧を抜くときは常時エンジン回転数が低い状態に保たれ、スリップ抑制効果が高くなる。 【0128】(14)加速度Δaccを所定値α以下の値に数値制限したΔAを採用するので、ABS制御やTRC制御において、復帰時のクラッチ圧Pclの急激な変化を避けることができる。このため、駆動輪5の駆動力を路面抵抗との平衡点に一層収束させ易い。 【0129】(15)モード切換スイッチ37によりモードを選択することにより、運転者等の好みに応じたスイッチバック中の減速感を得ることができる。 (16)ABS制御において積分値intgAを決める設定値A1modeにモードに応じた値を設定し、復帰時のクラッチ係合圧Pclを前回の値より小さくする低減率をモードに応じて変化させたので、どのモードにおいても駆動輪5の駆動力を路面抵抗との平衡点に速やかに収束させることができる。よって、駆動輪5のロック発生頻度を効果的に減らすことができる。 【0130】(17)駆動輪5の回転加速度がフォークリフトのスイッチバック時の減速や発進ではあり得ない値になったことをもって、タイヤロックやタイヤスリップを検出するので、車速センサ17の検出値を利用することができる。よって、ABS制御やTRC制御を採用するが、駆動輪5のロックやスリップを検出する専用のセンサ等を装備する必要がない。 【0131】(第2の実施形態)次に第2の実施形態を説明する。本実施形態では、スイッチバック終了判定に、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数の一致をみる。なお、前記第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略し、特に異なる点について詳しく説明する。 【0132】スイッチバック制御のプログラムのうちスイッチバック終了の判定方法が第1の実施形態と異なる。その他の制御処理内容、すなわちSBエンジン回転数制御(図9)、SBクラッチ圧制御(図10)、発進制御プログラム(図14)は前記第1の実施形態と同じであり、発進エンジン回転数制御(図11)と、発進クラッチ圧制御(図12)とからなる。 【0133】図13はスイッチバック制御プログラムの一部を示し、第1の実施形態の図8に相当するものである。スイッチバック制御プログラムのS10〜S80までの処理は第1の実施形態の図7と同じである。すなわち、スイッチバック操作を検出すると、設定モードに応じた予想時間Tsbを計算して、SBカウンタに予想時間Tsbに相当する計数値SBcntをセットする。 【0134】図13に示すスイッチバック制御のプログラムについて説明する。S90,S100は図8のものと同じ内容である。つまりスイッチバック中(Fsb=1)であるか否かを判断し、スイッチバック中であればS100に進む。S100では、SBカウンタの計数値SBcnt が正(SBcnt >0)であるか否かを判断する。つまりスイッチバック操作時から車両停止までに要する予想時間Tsbの経過前のスイッチバック減速過程にあるか否かを判断する。SBcnt >0が成立すればS120に進み、SBcnt >0が不成立であればS710に進む。 【0135】S710では、シフト側クラッチの入力側の回転数(トルクコンバータのタービン回転数)と、出力側の回転数(駆動輪回転数と減速ギヤ比に応じた比例関係にある回転数)との回転差が一定範囲以内であるか否かを判断する。つまり、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許容範囲内で一致するか否かを判断する。シフト側クラッチの入力側回転数は、タービン回転数センサ15の検出値を使用する。シフト側クラッチの出力側回転数は、車速センサ17の検出値を使い、出力軸3bと入力軸3aとの間に設けられたギヤ列の減速比を考慮して求める。スイッチバックから発進への切り換わり時で車速「0」になるときは、トルクコンバータ2がストールしてタービン回転数がほぼ0となり、駆動輪5の回転が止まる。よって、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が共にほぼ0となる。 【0136】S100とS710の処理により、SBcnt >0が不成立で車速が「0」になったと推定された後、さらにシフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許容範囲内で一致したと判断されたときに、S720においてフラグFsbをリセット(Fsb=0)した後、当該ルーチンから発進制御ルーチン(図14)へ移行する。発進制御ルーチンでは、S750の発進エンジン回転数制御、S760の発進クラッチ圧制御とを実行する。 【0137】一方、S100においてスイッチバック減速過程にある(SBcnt >0)と判断されているうち、およびSBcnt >0と判断されなくなった後でもシフト側クラッチの入力側と出力側の両回転数が許容範囲内で一致するまでの間は、S120〜S140の処理を実行する。すなわちS120でSBエンジン回転数制御(図9)を実行し、S130でSBクラッチ圧制御(図10)を実行する。また、S140では、計数値SBcnt をデクリメントする。 【0138】従って、例えば図15における回転数のグラフに示すように、フォークリフトの後進走行中は、後進クラッチ(Rクラッチ)8の出力側と前進クラッチ(Fクラッチ)9の出力側の各回転数は、例えば出力軸3bとの間に設けられたギヤ列の減速比がFクラッチとRクラッチで同じであれば、両クラッチ8,9は互いに同回転数の逆回転をする。例えば時刻Toに、シフトレバー31をR位置からF位置へスイッチバック操作したとする。すると、F側クラッチの係合圧が制動力となって駆動輪5の回転速度が低下する。そして駆動輪5の回転速度の低下に連れて、Rクラッチ出力側回転数NRとFクラッチ出力側回転数NFが共にほぼ一定勾配(一定減速度)で回転数「0」に近づいていく。また、タービン回転数Ntは、トルクコンバータ2が逆回転方向の制動負荷を受けてストールすることにより回転数「0」に近づいていく。また、図15における車速のグラフに示すように、検出車速は時刻Toからほぼ一定勾配で低下し、時刻T1で検出車速「0」に達した後、ほぼ一定勾配で増加する。 【0139】一方、スイッチバック操作時から停止までに要する予想時間Tsbの経過(時刻T1)後、さらにシフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許容範囲内で一致する(時刻T2)までの間は、SBエンジン回転数制御(図9)とSBクラッチ圧制御(図10)が実行される。 【0140】そして、予想時間Tsbの経過(時刻T1)後、シフト側クラッチの入力側と出力側の回転差が一定範囲以内に収束すると(時刻T2の近く)、発進制御(図12)へ移行してシフト側クラッチが一気に完全係合される。このとき、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が合っているので、一気に完全係合させてもショックはさほど発生しない。 【0141】シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数がほぼ一致するか否かの判断は、予想時間Tsbの経過後に行われるので、スイッチバック中に駆動輪5がロックしたために両回転数が許容範囲で一致することがあっても、スイッチバック終了と誤判定されることがない。 【0142】発進制御へ移行後は、発進エンジン回転数制御(S750)と発進クラッチ圧制御(S760)が実行される。これにより発進過程では駆動輪5のスリップを検出するとTRC制御が実行され、スリップが起き難くなる。なお、スイッチバック中は駆動輪5のロックを検出するとABS制御が実行され、ロックが起き難くなる。 【0143】以上詳述したように本実施形態によれば、前記第1の実施形態で述べた(1),(3)〜(17)の効果が同様に得られる他、以下の効果がさらに得られる。 (18)シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許容範囲内で実際に一致したことを確認してから、発進制御に移ってシフト側クラッチを一気に完全係合させるため、ショックを一層発生し難くすることができる。 【0144】(19)車速センサ17の他、タービン回転数センサ15を設けるだけで済む。スイッチバック終了判定のための構成が簡単で済む。 (第3の実施形態)次に第3の実施形態を説明する。本実施形態では、スイッチバック終了判定に、加速度の検出値を使用する。なお、前記第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略し、特に異なる点について詳しく説明する。 【0145】スイッチバック制御のプログラムのうちスイッチバック終了の判定方法が、第1及び第2の実施形態と異なる。その他の制御処理内容、すなわちSBエンジン回転数制御(図9)、SBクラッチ圧制御(図10)、発進制御プログラム(図11,図12)は前記各実施形態と同じである。 【0146】図16はスイッチバック制御プログラムであり、第1の実施形態の図7,図8に相当するものである。以下、このスイッチバック制御プログラムについて説明する。このルーチンでは検出加速度accが正(acc>0)であることをもってスイッチバック終了と判定する。つまりスイッチバック操作後、検出加速度から減速過程から加速過程に切り換わったと判断される時をスイッチバック終了時と判定する。但し、ABS制御を実行したときは加速度が正になる瞬間が生じるので、この時期を除く処理を合わせて採用している。 【0147】まずS10,S20は図7のものと同じ処理である。すなわちスイッチバック操作を検出すると、フラグFsbをセット(Fsb=1)する。S90は、図8のものと同じ処理であり、スイッチバック中(Fsb=1)であるか否かを判断する。スイッチバック中でなければ当該ルーチンを終了する。スイッチバック中であればS810に進む。 【0148】S810では、ABSモード(Fabs=1)であるか否かを判断する。ABSモードであればS820に進み、ABSモードでなければS830に進む。S820では、ABS制御においてクラッチ係合圧Pclを設定圧Poに抜いた後再度入れたときから所定時間toを経過したか否かを判断する。ABS制御を実行したときは、図5に示すようにクラッチ係合圧Pclを設定圧Poに抜いた後、やがて加速度accが正になる過程が生じ、この加速過程を検出してスイッチバックの終了と判断することを回避するため、この加速過程では判定処理を行わないようにしている。クラッチ係合圧Pclを設定圧Poから復帰させた(例えば図5における時刻Tr)後、加速度accが正から負へ完全に切り換わるに十分な時間を所定時間toとして設定し、クラッチ係合圧の復帰後、所定時間toを経過した以後に加速度accが正であるか否かの判定を行うようにしている。クラッチ係合圧の復帰後、所定時間toを経過していればS830に進み、所定時間toを経過していればS120に進む。 【0149】S830では、加速度accが正である(acc>0)か否かを判断する。図15に示すように、スイッチバック中で検出車速Vが低減していって発進過程に移る停止時(検出車速Vが「0」の時刻T1)は、加速度accが負から正に切り換わる。加速度accが正になったことをもって車両停止時と判定する。加速度accが正であるときは、S710に進み、加速度accが正でないとき(acc≦0)はS120に進む。 【0150】S710は、図13のものと同じ処理であり、シフト側クラッチの入力側の回転数(トルクコンバータのタービン回転数)と、出力側の回転数(駆動輪回転数と減速ギヤ比に応じた比例関係にある回転数)との回転数差が一定範囲内であるか否かを判断する。つまり、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許容範囲内で一致するか否かを判断する。図15に示すように、スイッチバック終了の車両停止時(時刻T1)は、シフト側クラッチの出力側回転数は「0」となるが、入力側回転数は「0」とはなっていない。時刻T1からしばらく後に両者の回転差が一定範囲内に収まる。 【0151】S830とS710の処理により、acc>0が成立した後、さらにシフト側クラッチの入力側と出力側の回転差が一定範囲以内に収束したと判断されたときに、S720においてフラグFsbをリセット(Fsb=0)した後、当該ルーチンから発進制御ルーチンへ移行する。 【0152】一方、S830においてacc >0と判断されるまでの間、およびacc>0と判断された後でも、S710においてシフト側クラッチの入力側と出力側の回転差が一定範囲以内に収束したと判断されるまでの間は、S120、S130の処理を実行する。すなわちS120でSBエンジン回転数制御(図9)を実行し、S130でSBクラッチ圧制御(図10)を実行する。 【0153】従って、走行中にシフトレバー31を逆進側へ切り換えるスイッチバック操作されると、検出加速度が負の値(acc<0)をとる減速(制動)中は、SBエンジン回転数制御(図9)とSBクラッチ圧制御(図14)が実行される。そして、フォークリフトが制動過程から発進過程に切り換わって検出加速度が負の値(acc<0)から正の値(acc>0)になった後、シフト側クラッチの入力側と出力側の回転差が一定範囲以内に収束すると(時刻T2近く)、スイッチバック終了と判定される。その結果、発進制御(図12)へ移行し、シフト側クラッチは一気に完全係合される。このとき、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数がほぼ一致するので、一気に完全係合させてもさほどショックが発生しない。 【0154】スイッチバック中に駆動輪5がロックしてシフト側クラッチの入力側と出力側の回転差が一定範囲以内に収まることがあっても、この際は検出加速度accが負の値をとる(acc<0)ので、スイッチバック終了と誤判定されることはない。また、ABS制御が実行されたときは、駆動輪5のロックが検出されてクラッチ係合圧Pclが弱められたとき、検出加速度accが正の値をとることがある。しかし、ABSモードではクラッチ係合圧Pclを設定圧Poまで抜いて再度入れた(復帰)時点(図5における時刻Tr)から所定時間(例えば0.2〜0.5秒)経過した以後、スイッチバック終了判定の判断処理を行う。つまり、図5において、ABSモード中にあるときにクラッチ圧Pclを設定圧Poまで抜いたことに起因して加速度accが正となる区間を除いた時期を、スイッチバック終了判定の判断処理を行う判定時期としている。このため、ABS制御の実行に起因して加速度が正となる時をスイッチバック終了と判定する誤判定が防止される。 【0155】以上詳述したように本実施形態によれば、前記第1の実施形態で述べた(1),(4)〜(6),(8)〜(17)の効果、及び、第2の実施形態で述べた(18),(19)の効果が同様に得られる。特に(1)の効果では、検出加速度accが正でない(acc≦0)間は、スイッチバック終了と判定されないので、駆動輪5のロックをスイッチバック終了と誤判定することがない。 【0156】その他、以下の効果が得られる。 (20)ABS制御の採用によりクラッチ係合圧Pclを設定圧Poまで抜いたことに起因して加速度accが正となる区間が生じるが、この区間を除く、クラッチ係合圧Pclの復帰時(時刻Tr)から所定時間経過以後を判定時期としたので、ABS制御の採用に起因するスイッチバック終了の誤判定を防ぐことができる。 【0157】なお、実施の形態は上記に限定されず、次の態様で実施することができる。 ○ スイッチバック終了判定内容は、スイッチバック操作後、車両がスイッチバック終了設定車速に達するのに要する予想時間を経過した時のみでもよい。つまり、第1の実施形態において車速が設定車速以下であるか否かの判断処理(S110)はなくす。また、第2の実施形態においてクラッチの入力側と出力側の回転数が許容範囲内で一致したか否かの判断処理(S710)はなくす。この構成でも、スムーズにスイッチバックさせるための制御(クラッチ圧制御やエンジン回転数制御)を必要な時期区間継続させることができる。 【0158】○ スイッチバック終了判定内容は、スイッチバック操作後、車両の検出加速度が負でなくなった時のみでもよい。つまり、第3の実施形態においてクラッチの入力側と出力側の回転数が許容範囲内で一致したか否かの判断処理(S710)はなくす。この構成でも、スムーズにスイッチバックさせるための制御(クラッチ圧制御やエンジン回転数制御)を必要な時期区間継続させることができる。 【0159】○ 第2のスイッチバック終了設定車速は、予想所要時間を決めるスイッチバック終了設定車速と同じ車速であってもよい。例えば停止車速Vo (例えば5km/h以下の値)に達するまでの予想時間を計算し、その予想時間の経過後、検出車速が停止車速Vo 以下であるか否かを判断する。 【0160】○ 前記各実施形態において、スイッチバック中にシフト側クラッチを半クラッチ状態とするクラッチ圧制御をなくし、スイッチバック中にエンジン回転数を小さく制限するエンジン回転数制御のみを採用するものであってもよい。この場合、スイッチバック終了判定装置はエンジン回転数制御の終了時期の決定に使用される。エンジン回転数を低く抑えるだけでもフォークリフトのスイッチバック中の減速度を小さくすることはできる。この場合、アクセル開度に関係なくエンジン回転数に一定値を与えてもよい。例えば一定値をアイドル回転数とすることができる。 【0161】○ エンジン回転数を上限値以下に制限するエンジン回転数制御と、シフト側クラッチ係合圧を半クラッチとするクラッチ圧制御とのスイッチバック終了判定条件(時期)が異なってもよい。 【0162】○ スイッチバック終了判定条件は、停止車速に達した時に限定されない。停止車速より大きな設定車速に達した時でもよい。要するにスムーズなスイッチバックができればよい。設定車速は例えば8km/hでもよい。 【0163】○ 前記各実施形態において、スイッチバック中のエンジン回転数はアクセル操作量に応じた値としてもよい。シフト側クラッチを半クラッチにするだけでもスムーズにスイッチバックできる。 【0164】○ スイッチバック中のABS制御を無くすこともできる。 ○ スイッチバック中にシフト側クラッチを完全係合させ、ABS制御のみを採用することができる。ABS制御の採用によりスイッチバック中の駆動輪5のロックを防ぐことはできる。この場合、ABS制御の終了判定をスイッチバック終了判定装置が行う。また、スイッチバック後の発進過程でTRC制御を採用する場合、ABS制御からTRC制御への移り換わり時期がスイッチバック終了判定により決められる。 【0165】○ スイッチバック終了後の発進過程で、シフト側クラッチを半クラッチにする発進制御を採用してもよい。この場合、クラッチ係合圧を荷重センサの検出値(荷重)を考慮して決めてもよい。この構成によれば、車両に積載された荷の重量に影響されることなくいつも安定した加速度でスムーズに発進できる。 【0166】○ ABS制御の制御内容は前記各実施形態に限定されない。駆動輪5のロックを検出したときにシフト側クラッチの係合圧を少なくともロックを防ぐことが可能な値まで弱める制御であればよい。例えばスリップ検出中にクラッチ係合圧を抜くだけのABS制御でもよい。特にクラッチ係合圧Pclの低減率を徐々に小さくする制御であれば、駆動輪5の駆動力を路面抵抗と均衡する平衡点に収束させることはできる。この際のクラッチ係合圧Pclの補正計算方法は、加速度の積分値を利用する方法に限定されない。 【0167】○ スイッチバック終了判定時(例えば停止車速に達した時点)に、シフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に完全係合させるのではなく、徐々に完全係合に近づけていく発進制御を採用することもできる。この場合、スイッチバック後、より確実にスムーズに発進できる。 【0168】○ スイッチバック中のクラッチ係合圧の制御に、モードに応じた目標減速度が得られるように、車速(減速度)フィードバック制御を採用してもよい。 ○ 車両停止までに要する予想時間を計算するのに使用する減速度として、設定値でなく、検出減速度を使ってもよい。例えばスイッチバック操作により制動し始めた直後の減速度を検出し、この検出減速度とその減速度検出時点の検出車速を用いて停止までの予想所要時間を計算する。減速度は例えば検出車速の時間差分から求める。 【0169】○ 車速検出手段としてロータリエンコーダを使用することもできる。車速値だけでなく、減速中であるか加速中であるかを考慮した判定ができる。 ○ 従動輪に車速センサを設ける。駆動輪がロックしても従動輪は転動するので、その検出車速のみから車両停止時を正しく判定できる。 【0170】○ 検出車速と予想時間との関係を示すマップを記憶し、マップを使って検出車速から予想時間を求めてもよい。つまり想定減速度データは使用しない。 ○ 加速度を検出車速の時間差分から求めるのではなく、加速度センサ(加速度ピックアップ)の検出値を使用してもよい。 【0171】○ 減速感強さ(モード)を連続的に可変設定できる例えばボリュームなどの設定操作手段を使用することもできる。 ○ 変速機は乾式クラッチ式でもよい。 【0172】○ スイッチバック終了判定装置を適用する産業車両はフォークリフトに限らず、スイッチバック操作可能なその他の産業車両、例えばトラクタショベル等に適用してもよい。 【0173】前記実施形態及び別例から把握できる請求項以外の技術思想を、以下に記載する。 (1)請求項1〜5、8〜12のいずれかの発明において、前記車速検出手段は、駆動輪の回転速度を検出するものである。この場合、駆動輪のロック時をスイッチバック終了設定車速に達した時と誤判定することがない。 【0174】(2)請求項2又は3の発明において、産業車両は、車両に積載された荷の荷量を検出する荷重検出手段を備え、前記クラッチ制御手段は、前記荷重検出手段の検出値に基づき荷重が重いほど前記シフト側クラッチのクラッチ係合圧を大きくする。この構成によれば、荷重検出手段の検出値に基づき荷重が重いほどシフト側クラッチのクラッチ係合圧を大きくするので、スイッチバック時の車両の減速度が車両に積載された荷の荷重に影響され難くなる。この時の荷重が考慮されたクラッチ係合圧から決まる想定減速度に応じた予想所要時間が、スイッチバック操作時の検出車速を用いて予測される。その結果、荷重が考慮された減速度に応じた正しい時期にスイッチバック終了判定することができる。 【0175】(3)請求項7の発明において、前記加速度検出手段は、車速検出手段と、該車速検出手段の検出値の時間差分を演算して加速度を求める加速度演算手段とを備えている。この構成によれば、請求項7の発明の効果に加え、加速度演算手段により車速検出手段の検出値の時間差分を演算して加速度が求められ、加速度を求めるのに車速検出手段を利用できる。 【0176】(4)請求項10の発明において、前記減速区間においては、エンジン回転数を予め設定された上限値以下に制御するエンジン回転数制御手段を備えている。この構成によれば、請求項10の発明の効果に加え、エンジン回転数制御手段により減速区間においては、エンジン回転数が予め設定された上限値以下に制御される。この結果、スイッチバック時の車両の減速度が効果的に緩和される。エンジン回転数を上限値以下にする制御を例えば駆動輪のロック時に止める不具合が防止される。 【0177】 【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜5の発明によれば、スイッチバック操作時の検出車速を用いて、車両がスイッチバック終了設定車速に達するまでの予想所要時間を予測し、その予想所要時間を経過した時にスイッチバック終了と判定するので、比較的構成及び処理内容の簡単な判定装置を用いてスイッチバック終了時期を正しく判定することができる。 【0178】請求項2の発明によれば、スイッチバック操作時の検出車速を用いて、シフト側クラッチが半クラッチ状態とされたときのクラッチ係合圧から決まる想定減速度に応じた予想所要時間を予測するので、車両の減速度の緩和程度に応じた正しい時期にスイッチバック終了判定をすることができる。 【0179】請求項3の発明によれば、スイッチバック操作時の検出車速を用いて、設定操作手段により設定された設定情報に応じた予想所要時間を予測するので、設定情報に応じた正しい時期にスイッチバック終了判定をすることができる。 【0180】請求項4の発明によれば、予想所要時間の経過後、検出車速が十分低速域にあることが確認された時にスイッチバック終了と判定するので、一層適切にスイッチバック終了の時期を判定することができる。 【0181】請求項5のによれば、予想所要時間の経過後、シフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許容範囲内で一致した時を、スイッチバック終了と判定するので、例えばスイッチバック終了判定時に、シフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に完全係合させてもショックが起き難い。 【0182】請求項6〜8の発明によれば、シフト操作検出後、車両の検出加速度が負でなくなった時をスイッチバック終了と判定するので、比較的構成及び処理内容の簡単な判定装置を用いてスイッチバック終了時期を正しく判定することができる。 【0183】請求項7の発明によれば、検出加速度が負でなくなった後、さらにシフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許容範囲内で一致した時をスイッチバック終了と判定するので、例えばスイッチバック終了判定時に、シフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に完全係合させてもショックが起き難い。 【0184】請求項8の発明によれば、ロック防止制御のためにシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めたことに起因して検出加速度が負でなくなる時期を除いた判定時期にスイッチバック終了判定を行うので、ロック防止制御に起因する誤判定を防止することができる。 【0185】請求項9〜12の発明によれば、スイッチバックをスムーズにするためにシフト側クラッチを半クラッチとするクラッチ制御を採用した場合、クラッチ制御を駆動輪のロック時に誤って終了させることなく正しい時期に終了させることができる。 【0186】請求項10〜12の発明によれば、駆動輪のロックが検出されたときにシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めるロック防止制御を採用する場合、クラッチ制御をロック防止制御に起因する誤判定なく正しい時期に終了させることができる。 【0187】請求項11、12の発明によれば、請求項9又は10の発明の効果に加え、クラッチ制御の終了時にシフト側クラッチを半クラッチ状態から一気に完全係合させる制御をするので、ショックなくクラッチ制御を終了でき、しかもクラッチを半クラッチ状態に保持する保持時間を短くでき、クラッチの寿命を延ばすことができる。特にシフト側クラッチの入力側と出力側の各回転数が許容範囲内で一致した時に完全係合させる構成では、完全係合時のショックを一層確実に緩和できる。 【0188】請求項12の発明によれば、請求項9〜11のいずれか一項の発明の効果に加え、スイッチバック終了と判定された後の発進過程において、駆動輪のスリップを検出するとシフト側クラッチのクラッチ係合圧を弱めるスリップ防止制御の採用により、駆動輪のスリップを発生し難くすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
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| 【出願日】 |
平成11年10月18日(1999.10.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100068755 【弁理士】 【氏名又は名称】恩田 博宣 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−116129(P2001−116129A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月27日(2001.4.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−294797 |
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