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【発明の名称】 変速機の油温制御装置
【発明者】 【氏名】金丸 昌宣

【要約】 【課題】本発明は、自動車等の車両に搭載された変速機のオイルを適正温度に保つ装置であって、製造コストが低く且つオイル温度の制御性に優れる装置を提供することを課題とする。

【解決手段】本発明に係る変速機の油温制御装置は、空冷式オイルクーラと、空冷式オイルクーラへ冷却用の空気を強制的に供給する冷却空気供給手段と、車両の走行時に発生する走行風の影響を受けないように変速機用オイルを循環させる第1のオイル通路と、変速機用オイルを前記空冷式オイルクーラ経由で循環させる第2のオイル通路と、第1のオイル通路への変速機用オイルの流れと第2のオイル通路への変速機用オイルの流れとを切り替える流路切換手段と、変速機用オイルの温度が所定温度より高いときに、第1のオイル通路への変速機用オイルの流れを許容すべく流路切換手段を制御するとともに、変速機用オイルの実際の温度を所定の目標温度と一致させるべく冷却空気供給手段を制御するオイル温度制御手段とを備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両に搭載された変速機と、前記変速機用のオイルと空気との間で熱交換を行う空冷式オイルクーラと、前記空冷式オイルクーラへ冷却用の空気を強制的に供給する冷却空気供給手段と、前記車両の走行時に発生する走行風の影響を受けないように前記変速機用オイルを循環させる第1のオイル通路と、前記変速機用オイルを前記空冷式オイルクーラ経由で循環させる第2のオイル通路と、前記第1のオイル通路への変速機用オイルの流れと前記第2のオイル通路への変速機用オイルの流れとを切り替える流路切換手段と、前記変速機用オイルの温度が所定温度より高いときに、前記第1のオイル通路への変速機用オイルの流れを遮断し且つ前記第2のオイル通路への変速機用オイルの流れを許容すべく前記流路切換手段を制御するとともに、前記変速機用オイルの実際の温度を所定の目標温度と一致させるべく前記冷却空気供給手段を制御するオイル温度制御手段と、を備えることを特徴とする変速機の油温制御装置。
【請求項2】 前記オイル温度制御手段は、少なくとも前記変速機用オイルの実際の温度と前記目標温度との偏差に基づいて前記冷却空気供給手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の変速機の油温制御装置。
【請求項3】 前記オイル温度制御手段は、前記変速機用オイルの実際の温度と前記目標温度との偏差に加え、前記空冷式オイルクーラによる変速機用オイルの冷却が前記変速機内のオイル温度に反映されるまでの応答遅れ時間を考慮して前記冷却空気供給手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の変速機の油温制御装置。
【請求項4】 前記オイル温度制御手段は、前記変速機用オイルの実際の温度と前記目標温度との偏差に加え、前記空冷式オイルクーラによる変速機用オイルの冷却が前記変速機内のオイル温度に反映されるまでの応答遅れ時間と、前記車両の状態とを考慮して前記冷却空気供給手段を制御することを特徴とする請求項2に記載の変速機の油温制御装置。
【請求項5】 前記車両の状態は、少なくとも、前記変速機に連結されたトルクコンバータのスリップ率と、前記車両に搭載された内燃機関の負荷と、前記内燃機関の冷却水の温度と、前記車両の走行速度と、外気の温度とから選択されることを特徴とする請求項4に記載の変速機の油温制御装置。
【請求項6】 車両に搭載された変速機と、前記変速機用のオイルと空気との間で熱交換を行う空冷式オイルクーラと、前記空冷式オイルクーラへ冷却用の空気を強制的に供給する冷却空気供給手段と、前記変速機用オイルを加熱するオイル加熱手段と、前記変速機用オイルを、前記車両の走行時に発生する走行風の影響を受けず、且つ前記オイル加熱手段経由で循環させる第1のオイル通路と、前記変速機用オイルを前記空冷式オイルクーラ経由で循環させる第2のオイル通路と、前記第2のオイル通路を開閉する開閉弁と、前記変速機用オイルの温度が所定温度以下であるときに、前記開閉弁を閉弁させるとともに、前記変速機用オイルの実際の温度を所定の目標温度と一致させるべく前記オイル加熱手段を制御するオイル温度制御手段と、を備えることを特徴とする変速機の油温制御装置。
【請求項7】 前記オイル温度制御手段は、少なくとも、前記変速機用オイルの実際の温度と前記目標温度との偏差に基づいて前記オイル加熱手段を制御することを特徴とする請求項6に記載の変速機の油温制御装置。
【請求項8】 前記オイル温度制御手段は、前記変速機用オイルの実際の温度と前記目標温度との偏差に加え、前記オイル加熱手段による変速機用オイルの加熱が前記変速機内のオイル温度に反映されるまでの応答遅れ時間を考慮して前記オイル加熱手段を制御することを特徴とする請求項7に記載の変速機の油温制御装置。
【請求項9】 前記オイル温度制御手段は、前記変速機用オイルの温度が所定温度より高くなったときは、前記開閉弁を開弁させるとともに前記オイル加熱手段の作動を停止させ、前記変速機用オイルの実際の温度が前記目標温度と一致するように前記冷却空気供給手段を制御することを特徴とする請求項6に記載の変速機の油温制御装置。
【請求項10】 前記冷却空気供給手段は、風量を変更可能な送風ファンであることを特徴とする請求項1又は6に記載の変速機の油温制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等に搭載される変速機に使用されるオイルの温度を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等に搭載される内燃機関や変速機等では、摺動部のフリクション低減や摩擦防止等を目的として種々のオイルが用いられている。また、自動車に搭載される自動変速機では、トルクコンバータ部におけるトルク伝達やトルク増幅、及び、ギヤトレーン部における変速制御等を目的として変速機用オイルが用いられている。
【0003】上記した各種のオイルは、該オイルの温度を適正に保つことが重要である。すなわち、オイルの温度が過剰に低い場合は、フリクションの増加によって内燃機関の燃料消費量が増加する等の不具合が生じ、オイルの温度が過剰に高い場合は、摺動部表面の油膜切れによって摺動部の磨耗や焼き付きが生じたり、オイルの粘性低下によってトルクコンバータのトルク伝達能力やトルク増幅能力が低下する等の不具合が生じる虞があるため、オイルの温度を適正に保つことが重要となる。
【0004】このような要求に対し、従来では、実開昭61−5322号公報に記載されたラジエターや、実開昭56−149019号公報に記載されたエンジン用オイルの冷却装置等のような種々のオイル冷却装置が提案されている。
【0005】上記した各種のオイル冷却装置は、内燃機関の冷却水とオイルとの間で熱交換を行う水冷式のオイルクーラを備え、オイルの温度が低い場合は、冷却水の熱をオイルへ伝達させることによってオイルを早期に昇温させ、オイルの温度が高い場合は、オイルの熱を冷却水へ伝達させることによってオイルを冷却し、その結果、オイルを適正温度に維持しようというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したような水冷式オイルクーラを利用したオイル冷却装置は、オイル温度の制御性に優れる反面、オイルの配管に加えて冷却水の配管等を設ける必要があり、構成が複雑になるとともに、製造コストが増加するという問題がある。
【0007】これに対し、水冷式オイルクーラの代わりに空冷式のオイルクーラを利用することが考えられるが、空冷式オイルクーラは、車両走行時に発生する走行風を利用してオイルを冷却するため、車両の走行条件の影響を受け易く、水冷式オイルクーラを利用した場合に比してオイル温度の制御性に劣るという問題がある。
【0008】本発明は、上記したような種々の問題点に鑑みてなされたものであり、自動車等の車両に搭載された変速機のオイルを適正温度に保つ装置であって、製造コストが低く且つオイル温度の制御性に優れる装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明に係る変速機の油温制御装置は、車両に搭載された変速機と、前記変速機用のオイルと空気との間で熱交換を行う空冷式オイルクーラと、前記空冷式オイルクーラへ冷却用の空気を強制的に供給する冷却空気供給手段と、前記車両の走行時に発生する走行風の影響を受けないように前記変速機用オイルを循環させる第1のオイル通路と、前記変速機用オイルを前記空冷式オイルクーラ経由で循環させる第2のオイル通路と、前記第1のオイル通路への変速機用オイルの流れと前記第2のオイル通路への変速機用オイルの流れとを切り替える流路切換手段と、前記変速機用オイルの温度が所定温度より高いときは、前記第1のオイル通路への変速機用オイルの流れを遮断し且つ前記第2のオイル通路への変速機用オイルの流れを許容すべく前記流路切換手段を制御するとともに、前記変速機用オイルの実際の温度を所定の目標温度と一致させるべく前記冷却空気供給手段を制御するオイル温度制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】このように構成された油温制御装置では、変速機用オイルの温度が所定温度以下である場合は、オイル温度制御手段は、第1のオイル通路への変速機用オイルの流れを許容し且つ第2のオイル通路への変速機用オイルの流れを遮断すべく流路切換手段を制御する。
【0011】この場合、変速機用オイルは、第1のオイル通路を循環し、第2のオイル通路を循環しないことになる。すなわち、変速機用オイルは、空冷式オイルクーラを経由しないことになる。
【0012】この結果、変速機用オイルの温度が所定温度以下であるときは、変速機用オイルが空冷式オイルクーラにおいて冷却されることがなく、変速機用オイルの温度が過剰に低下することがない。更に、第1のオイル通路は、走行風の影響を受けないため、第1のオイル通路内を流れる変速機用オイルが走行風によって過冷却されることもない。
【0013】一方、本発明にかかる油温制御装置では、変速機用オイルの温度が所定温度より高くなった場合は、オイル温度制御手段は、第1のオイル通路への変速機用オイルの流れを遮断し且つ第2のオイル通路への変速機用オイルの流れを許容すべく流路切換手段を制御するとともに、変速機用オイルの実際の温度が所定の目標温度と一致するように冷却空気供給手段を制御する。
【0014】この場合、変速機用オイルは、第2のオイル通路を循環し、第1のオイル通路を循環しないことになる。すなわち、変速機用オイルは、空冷式オイルクーラを経由することになる。
【0015】この結果、変速機用オイルの温度が所定温度より高いときは、変速機用オイルが空冷式オイルクーラにおいて冷却されることになる。その際、冷却空気供給手段が変速機用オイルの実際の温度を目標温度とすべく制御され、冷却空気供給手段から空冷式オイルクーラへ強制的に冷却空気が供給されるため、空冷式オイルクーラは、走行風の有無、言い換えれば車両の走行条件に関わらず、変速機用オイルを目標温度まで冷却することが可能となる。
【0016】また、本発明にかかる変速機の油温制御装置では、オイル温度制御手段は、少なくとも変速機用オイルの実際の温度と目標温度との偏差に基づいて冷却空気供給手段を制御するようにしてもよい。
【0017】また、本発明にかかる変速機の油温制御装置では、オイル温度制御手段は、変速機用オイルの実際の温度と目標温度との偏差に加え、空冷式オイルクーラによる変速機用オイルの冷却が変速機内のオイル温度に反映されるまでの応答遅れ時間を考慮して冷却空気供給手段を制御するようにしてもよい。
【0018】また、本発明にかかる変速機の油温制御装置では、オイル温度制御手段は、変速機用オイルの実際の温度と目標温度との偏差に加え、空冷式オイルクーラによる変速機用オイルの冷却が変速機内のオイル温度に反映されるまでの応答遅れ時間と、車両の状態とを考慮して冷却空気供給手段を制御するようにしてもよい。
【0019】尚、ここでいう車両の状態としては、変速機に連結されたトルクコンバータのスリップ率、車両に搭載された内燃機関の負荷、内燃機関の冷却水の温度、車両の走行速度、外気の温度等を例示することができる。
【0020】次に、本発明にかかる変速機の油温制御装置は、車両に搭載された変速機と、前記変速機用のオイルと空気との間で熱交換を行う空冷式オイルクーラと、前記空冷式オイルクーラへ冷却用の空気を強制的に供給する冷却空気供給手段と、前記変速機用オイルを加熱するオイル加熱手段と、前記変速機用オイルを、前記車両の走行時に発生する走行風の影響を受けず、且つ前記オイル加熱手段経由で循環させる第1のオイル通路と、前記変速機用オイルを前記空冷式オイルクーラ経由で循環させる第2のオイル通路と、前記第2のオイル通路を開閉する開閉弁と、前記変速機用オイルの温度が所定温度以下であるときに、前記開閉弁を閉弁させるとともに、前記変速機用オイルの実際の温度を所定の目標温度と一致させるべく前記オイル加熱手段を制御するオイル温度制御手段と、を備えることを特徴とするようにしてもよい。
【0021】このように構成された変速機の油温制御装置では、変速機用オイルの温度が所定温度以下である場合は、オイル温度制御手段は、開閉弁を閉弁させて第2のオイル通路への変速機用オイルの流れを遮断するとともに、変速機用オイルの実際の温度を目標温度まで昇温させるべくオイル加熱手段を制御する。
【0022】この場合、変速機用オイルは、第1のオイル通路を循環し、第2のオイル通路を循環しないことになる。すなわち、変速機用オイルは、空冷式オイルクーラを経由せずにオイル加熱手段のみを経由することになる。
【0023】この結果、変速機用オイルの温度が所定温度以下であるときは、変速機用オイルがオイル加熱手段によって加熱されることになる。その際、オイル加熱手段が変速機用オイルの実際の温度を目標温度とすべく制御されるとともに、第1のオイル通路が走行風の影響を受けないよう構成されるため、オイル加熱手段によって加熱された変速機用オイルが走行風によって冷却されることがなく、変速機用オイルが確実に目標温度まで昇温される。
【0024】本発明にかかる変速機の油温制御装置では、オイル温度制御手段は、オイル加熱手段を制御する際に、変速機用オイルの実際の温度と目標温度との偏差に基づいてオイル加熱手段を制御するようにしてもよく、前記した偏差に加えてオイル加熱手段による変速機用オイルの加熱が変速機内のオイル温度に反映されるまでの応答遅れ時間を考慮してオイル加熱手段を制御するようにしてもよい。
【0025】また、本発明にかかる油温制御装置では、変速機用オイルの温度が所定温度より高くなった場合は、オイル温度制御手段は、開閉弁を開弁させて第2のオイル通路への変速機用オイルの流れを許容するとともに、オイル加熱手段の作動を停止し、更に変速機用オイルの実際の温度が目標温度と一致するように冷却空気供給手段を制御するようにしてもよい。
【0026】この場合、変速機用オイルは、第2のオイル通路を循環することになる。すなわち、変速機用オイルは、空冷式オイルクーラを経由することになる。この結果、変速機用オイルの温度が所定温度より高くなったときは、変速機用オイルが空冷式オイルクーラにおいて冷却されることになる。その際、冷却空気供給手段が変速機用オイルの実際の温度を目標温度とすべく制御され、冷却空気供給手段から空冷式オイルクーラへ強制的に冷却空気が供給されるため、空冷式オイルクーラは、走行風の有無、言い換えれば車両の走行条件に関わらず、変速機用オイルを目標温度まで冷却することが可能となる。
【0027】本発明にかかる冷却空気供給手段としては、風量を変更可能な送風ファンを例示することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる変速機の油温制御装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。
【0029】<実施の形態1>本発明にかかる変速機の油温制御装置の第1の実施の形態について図1〜図2に基づいて説明する。
【0030】図1は、本発明に係る変速機の油温制御装置を適用する車両の概略構成を示す図である。図1に示す車両は、内燃機関(E/G)1と内燃機関(E/G)1に連結された自動変速機(A/T)2とを備えるとともに、自動変速機(A/T)2の出力がプロペラシャフト3、ディファレンシャルギヤ4、ドライブシャフト5a、5bを介して左右の後輪6a、6bに伝達されるよう構成されている。
【0031】前記内燃機関(E/G)1には、該内燃機関(E/G)1内の図示しないウォータージャケット内を流れる冷却水の温度に対応した電気信号を出力する水温センサ18と、該内燃機関(E/G)1の吸気通路1aを流れる空気の質量に対応した電気信号を出力するエアフローメータ16とが取り付けられている。
【0032】前記自動変速機(A/T)2は、内燃機関(E/G)1の出力軸の回転トルクを増幅させるトルクコンバータ2aと、トルクコンバータ2aによって増幅された回転トルクを減速あるいは増速してプロペラシャフト3へ伝達するギヤトレーン2bとから構成されている。
【0033】前記トルクコンバータ2aには、該トルクコンバータ2a内に充填されたオイルの温度に対応した電気信号を出力する油温センサ13が取り付けられており、前記ギヤトレーン2bには、該ギヤトレーン2bの図示しない出力軸の回転速度に対応した電気信号を出力する車速センサ17が取り付けられている。
【0034】また、前記トルクコンバータ2aには、2本のオイル通路7、10が接続されている。これら2本のオイル通路7、10は、空冷式オイルクーラ8に接続されている。前記2本のオイル通路7、10のうち一方のオイル通路7は、トルクコンバータ2a内のオイルを前記空冷式オイルクーラ8へ導く通路であり、前記した2本のオイル通路7、10のうちの他方のオイル通路10は、前記空冷式オイルクーラ8から排出されたオイルをトルクコンバータ2a内へ導く通路である。尚、以下では、前記オイル通路7をオイル取出通路7と称し、前記オイル通路10をオイル戻り通路10と称するものとする。
【0035】前記オイル取出通路7と前記オイル戻り通路10とは、前記空冷式オイルクーラ8を迂回するバイパス通路11によって接続されている。その際、オイル取出通路7においてバイパス通路11との接続部位より上流側に位置する通路(以下、AT側オイル取出通路7aと称する)と、バイパス通路11と、オイル戻り通路10においてバイパス通路11との接続部位より下流側に位置する通路(以下、AT側オイル戻り通路10aと称する)とは、車両の走行時に発生する走行風の影響を受けない位置、もしくは走行風の影響を受け難い位置に配置されるようにする。
【0036】前記オイル取出通路7と前記バイパス通路11との接続部位には、オイル取出通路7においてバイパス通路11との接続部位より下流側に位置する通路(以下、クーラ側オイル取出通路7bと称する)とバイパス通路11との何れか一方の通路を閉塞する流路切換弁12が設けられている。この流路切換弁12は、本発明にかかる流路切換手段を実現するものである。
【0037】ここで、前記流路切換弁12によってクーラ側オイル取出通路7bが閉塞された場合は、トルクコンバータ2aから取り出されたオイルは、AT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとを順次経由してトルクコンバータ2a内へ戻されることになる。このようにAT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとは、本発明にかかる第1のオイル通路を実現する。
【0038】一方、前記流路切換弁12によってバイパス通路11が閉塞された場合は、トルクコンバータ2aから取り出されたオイルは、AT側オイル取出通路7aと、クーラ側オイル取出通路7bと、空冷式オイルクーラ8と、オイル戻り通路10においてバイパス通路11との接続部位より上流側に位置する通路(以下、クーラ側オイル戻り通路10bと称する)と、AT側オイル戻り通路10aと、を順次経由してトルクコンバータ2aに戻されることになる。このように、AT側オイル取出通路7aとクーラ側オイル取出通路7bとクーラ側オイル戻り通路10bとAT側オイル戻り通路10aとは、本発明にかかる第2のオイル通路を実現する。
【0039】前記した空冷式オイルクーラ8は、オイルと空気との間で熱交換を行うものであり、車両の走行時に発生する走行風を受け易い位置、例えば車両の前部に配置される。この空冷式オイルクーラ8には、該空冷式オイルクーラ8へ強制的に空気を供給する電動ファン9が取り付けられている。前記電動ファン9は、印加電力の大きさに応じて風量を変更可能なファンであり、本発明に係る冷却空気供給手段を実現するものである。
【0040】次に、本実施の形態にかかる車両には、前記内燃機関(E/G)1を制御するための電子制御ユニット(E−ECU)14と、前記自動変速機(A/T)2を制御するための電子制御ユニット(AT−ECU)15とが搭載されている。
【0041】前記E−ECU14は、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータで構成されている。このE−ECU14には、前述したエアフローメータ16や水温センサ18などの各種センサが電気的に接続されており、これら各種センサの出力信号をパラメータとしてE−ECU14が内燃機関(E/G)1の燃料噴射制御や点火制御等を実行するようになっている。
【0042】前記AT−ECU15は、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータで構成されている。このAT−ECU15には、前述した油温センサ13や車速センサ17に加え、外気の温度に対応した電気信号を出力する外気温度センサ19が電気的に接続され、これら各種センサの出力信号値に基づいてAT−ECU15が自動変速機(A/T)2のロックアップ制御や変速制御等を実行するとともに、本発明の要旨となるオイル温度制御を実行するようになっている。
【0043】以下、本実施の形態におけるオイル温度制御について述べる。オイル温度制御では、AT−ECU15は、図2に示すような油温制御ルーチンを実行する。この油温制御ルーチンは、AT−ECU15のROM等に予め記憶されているルーチンであり、所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンである。
【0044】前記油温制御ルーチンでは、AT−ECU15は、先ずS201において、油温センサ13の出力信号値(トルクコンバータ2a内のオイルの温度、以下ではトルコン油温と略称する):Ttmoilを入力する。
【0045】S202では、AT−ECU15は、予めROMの所定領域に記憶された目標トルコン油温:TTtmoilを読み出す。この目標トルコン油温:TTtmoilは、トルクコンバータ2aが良好に作動するのに最も適した温度であり、予め実験的に求められた値である。
【0046】S203では、AT−ECU15は、前記S201において入力された実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いか否かを判別する。前記した所定温度:Aは、オイルが適正に機能する温度範囲の上限値であり、例えば、120℃程度である。
【0047】前記S203において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:A以下であると判定した場合は、AT−ECU15は、S208へ進み、クーラ側オイル取出通路7bを閉塞すべく流路切換弁12を制御して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0048】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することがない。
【0049】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:A以下である場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されてオイルの温度が過剰に低下することがない。更に、AT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとは、車両の走行時に発生する走行風の影響を受けないよう構成されるため、これらの通路内を流れるオイルが走行風の影響によって冷却されることもない。
【0050】一方、前記S203において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いと判定した場合は、AT−ECU15は、S204においてバイパス通路11を閉塞するよう流路切換弁12を制御する。
【0051】続いて、AT−ECU15は、S205へ進み、前記S201及び前記S202で入力した実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差を算出する。
【0052】S206では、AT−ECU15は、前記S205で算出した偏差に基づいて電動ファン9の制御量:Ifanを算出する。その際、AT−ECU15は、例えば、偏差が大きくなるほど電動ファン9の風量を増加させるべく制御量:Ifanを決定し、偏差が小さくなるほど電動ファン9の風量を低減させるべく制御量:Ifanを決定するようにしてもよい。
【0053】S207では、AT−ECU15は、前記S206で算出された制御量:Ifanに従って電動ファン9の制御を実行する。このS207の処理を実行し終えると、AT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0054】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとクーラ側オイル取出通路7bと空冷式オイルクーラ8とクーラ側オイル戻り通路10bとAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することになる。
【0055】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:Aより高くなった場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されることになる。その際、電動ファン9が実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差に応じて運転されるため、空冷式オイルクーラ8にはオイルを目標トルコン油温:TTtmoilまで低下させるのに適した風量の冷却空気が強制的に供給されることになる。
【0056】この結果、空冷式オイルクーラ8は、走行風の有無や走行風の風量に左右されることなく、オイルを目標トルコン油温:TTtmoilまで確実に冷却することが可能となる。
【0057】このように、AT−ECU15が油温制御ルーチンを実行することにより、本発明にかかるオイル温度制御手段が実現される。従って、本実施の形態に係る変速機の油温制御装置によれば、トルクコンバータ2aのオイルを、トルクコンバータ2aが良好に作動するのに最も適した温度に保つことが可能となる。更に、本実施の形態に係る変速機の油温制御装置は、空冷式のオイルクーラを利用することにより、水冷式のオイルクーラを利用する場合に比して、油温制御装置の構成を簡略にすることができるとともに製造コストを低く抑えることができる。
【0058】<実施の形態2>次に、本発明に係る変速機の油温制御装置の第2の実施の形態について図3に基づいて説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0059】前述の第1の実施の形態では、電動ファン9を制御する際に、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差に基づいて制御量:Ifanを決定する例について述べたが、本実施の形態では、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差に加えて、空冷式オイルクーラ8で冷却されたオイルの温度がトルクコンバータ2a内のトルコン油温に反映されるまでの応答遅れ時間(以下、トルコン油温応答遅れ時間)を考慮して制御量:Ifanを決定する例について述べる。
【0060】これは、空冷式オイルクーラ8で冷却されたオイルがトルクコンバータ2a内に流入するまでに時間がかかるため、空冷式オイルクーラ8で冷却されたオイルがトルクコンバータ2aに到達する前の時点ではトルコン油温:Ttmoilが目標トルコン油温:TTtmoilより高くても、空冷式オイルクーラ8で冷却されたオイルがトルクコンバータ2a内に到達した時点でトルコン油温:Ttmoilが目標トルコン油温:TTtmoilまで低下している可能性があり、その間に電動ファン9によるオイルの強制冷却が行われるとトルコン油温:Ttmoilが目標トルコン油温:TTtmoilより低くなってしまうことが想定されるからである。
【0061】ここで、トルコン油温応答遅れ時間は、空冷式オイルクーラ8からトルクコンバータ2aに至るまでの通路の長さ、通路の径、電動ファン9の風量、トルクコンバータ2a内のオイル容量などによって変化するため、これらのパラメータと電動ファン9の制御量:Ifanとトルコン油温応答遅れ時間との関係を予め実験的に求めておき、それらの関係をマップ化してAT−ECU15のROMに記憶しておくようにしてもよい。
【0062】以下、本実施の形態におけるオイル温度制御について具体的に述べる。本実施の形態におけるオイル温度制御は、AT−ECU15が図3に示すような油温制御ルーチンを実行することによって実現される。この油温制御ルーチンは、予めAT−ECU15のROMに記憶されたルーチンであり、AT−ECU15によって所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンである。
【0063】油温制御ルーチンでは、AT−ECU15は、先ずS301において、油温センサ13の出力信号値(実際のトルコン油温):Ttmoilを入力する。S302では、AT−ECU15は、予めROMの所定領域に記憶された目標トルコン油温:TTtmoilを読み出す。
【0064】S303では、AT−ECU15は、前記S301において入力された実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いか否かを判別する。前記S303において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:A以下であると判定した場合は、AT−ECU15は、S309へ進み、クーラ側オイル取出通路7bを閉塞すべく流路切換弁12を制御して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0065】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することがない。
【0066】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:A以下である場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されてオイルの温度が過剰に低下することがない。更に、AT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとは、車両の走行時に発生する走行風の影響を受けないよう構成されるため、これらの通路内を流れるオイルが走行風の影響によって冷却されることもない。
【0067】一方、前記S303において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いと判定した場合は、AT−ECU15は、S304においてバイパス通路11を閉塞するよう流路切換弁12を制御する。
【0068】続いて、AT−ECU15は、S305へ進み、前記S301及び前記S302で入力した実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差を算出する。
【0069】S306では、AT−ECU15は、現時点における電動ファン9の風量等をパラメータとしてトルコン油温応答遅れ時間を算出する。S307では、AT−ECU15は、前記S305で算出した偏差と前記S306で算出したトルコン油温応答遅れ時間とに基づいて電動ファン9の制御量:Ifanを算出する。
【0070】S308では、AT−ECU15は、前記S306で算出された制御量:Ifanに従って電動ファン9の制御を実行する。このS308の処理を実行し終えると、AT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0071】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとクーラ側オイル取出通路7bと空冷式オイルクーラ8とクーラ側オイル戻り通路10bとAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することになる。
【0072】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:Aより高くなった場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されることになる。その際、電動ファン9が実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差に応じて運転されるため、空冷式オイルクーラ8にはオイルを目標トルコン油温:TTtmoilまで低下させるのに適した風量の冷却空気が強制的に供給されることになる。更に、電動ファン9はトルコン油温応答遅れ時間を考慮して制御されるため、トルコン油温応答遅れ時間に起因したオイルの過冷却が生じることもない。
【0073】この結果、空冷式オイルクーラ8は、走行風の有無や走行風の風量に左右されることなく、実際のトルコン油温:Ttmoilを目標トルコン油温:TTtmoilと一致させることが可能となる。
【0074】<実施の形態3>次に、本発明に係る変速機の油温制御装置の第3の実施の形態について図4に基づいて説明する。ここでは、前述の第2の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0075】前述の第2の実施の形態では、電動ファン9を制御する際に、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間を考慮して制御量:Ifanをる例について述べたが、本実施の形態では、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、トルクコンバータ2aのスリップ率を考慮して制御量:Ifanを決定する例について述べる。
【0076】これは、トルクコンバータ2aのスリップ率が大きくなるほどトルクコンバータ2a内のオイルの温度が上昇しやすくなるため、そのような場合にはスリップ率が小さい場合に比して空冷式オイルクーラ8におけるオイルの冷却率を高める必要があるからである。
【0077】以下、本実施の形態におけるオイル温度制御について具体的に述べる。AT−ECU15は、オイル温度制御において、図4に示すような油温制御ルーチンを実行する。この油温制御ルーチンは、予めAT−ECU15のROMに記憶されたルーチンであり、AT−ECU15によって所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンである。
【0078】油温制御ルーチンでは、AT−ECU15は、先ずS401において、油温センサ13の出力信号値(実際のトルコン油温):Ttmoilを入力する。S402では、AT−ECU15は、予めROMの所定領域に記憶された目標トルコン油温:TTtmoilを読み出す。
【0079】S403では、AT−ECU15は、前記S401において入力された実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いか否かを判別する。前記S403において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:A以下であると判定した場合は、AT−ECU15は、S412へ進み、クーラ側オイル取出通路7bを閉塞すべく流路切換弁12を制御して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0080】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することがない。
【0081】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:A以下である場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されてオイルの温度が過剰に低下することがない。更に、AT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとは、車両の走行時に発生する走行風の影響を受けないよう構成されるため、これらの通路内を流れるオイルが走行風の影響によって冷却されることもない。
【0082】一方、前記S403において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いと判定した場合は、AT−ECU15は、S404においてバイパス通路11を閉塞するよう流路切換弁12を制御する。
【0083】続いて、AT−ECU15は、S405へ進み、前記S401及び前記S402で入力した実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差を算出する。
【0084】S406では、AT−ECU15は、現時点における電動ファン9の風量等をパラメータとしてトルコン油温応答遅れ時間を算出する。S407では、AT−ECU15は、前記S405で算出した偏差と前記S406で算出したトルコン油温応答遅れ時間とに基づいて電動ファン9の制御量:Ifanを算出する。
【0085】S408では、AT−ECU15は、トルクコンバータ2aのスリップ率:Stmを算出する。ここで、スリップ率:Stmを算出する方法としては、トルクコンバータ2aの入力軸の回転速度(機関出力軸の回転速度)と、トルクコンバータ2aの出力軸の回転速度(ギヤトレーン2bの入力軸の回転速度)とを検出し、これらの回転速度の比を算出する方法を例示することが出来る。
【0086】S409では、前記S408で算出したスリップ率:Stmに対応した補正係数:Ksを算出する。この補正係数:Ksは、電動ファン9の制御量:Ifanを補正するための係数であり、スリップ率:Stmが高くなるほど(トルコン油温が上昇し易くなるほど)大きな値に設定される係数である。
【0087】S410では、AT−ECU15は、前記S407で算出した制御量:Ifanに前記S409で算出した補正係数:Ksを積算して、新たな制御量:Ifanを算出する。ここで、前記した補正係数:Ksは、スリップ率:Stmが高くなるほど大きな値に設定されるため、前記補正係数:Ksによって補正された後の制御量:Ifanは、補正係数:Ksが大きな値になるほど増加することになる。つまり、制御量:Ifanは、スリップ率:Stmが高く程、言い換えればトルコン油温が上昇し易くなるほど増加されることになる。
【0088】続いて、AT−ECU15は、S411へ進み、前記S410で算出された制御量:Ifanに従って電動ファン9の制御を実行する。このS411の処理を実行し終えたAT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0089】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとクーラ側オイル取出通路7bと空冷式オイルクーラ8とクーラ側オイル戻り通路10bとAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することになる。すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:Aより高くなった場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されることになる。
【0090】その際、電動ファン9が実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、トルクコンバータ2aにおけるスリップ率:Stmを考慮して制御されるため、トルコン油温が上昇し易い状況下においても実際のトルコン油温:Ttmoilを目標トルコン油温:TTtmoilと一致させることが可能となる。
【0091】<実施の形態4>次に、本発明に係る変速機の油温制御装置の第4の実施の形態について図5に基づいて説明する。ここでは、前述の第2の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0092】前述の第2の実施の形態では、電動ファン9を制御する際に、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間を考慮して制御量:Ifanをる例について述べたが、本実施の形態では、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、内燃機関(E/G)1の吸入空気量を考慮して制御量:Ifanを決定する例について述べる。
【0093】これは、内燃機関(E/G)1の吸入空気量が増加すると、内燃機関(E/G)1から出力されるトルク、すなわちトルクコンバータ2aに入力されるトルクが大きくなり、トルクコンバータ2a内のオイルの温度が上昇しやすくなるため、そのような場合には内燃機関(E/G)1の吸入空気量が少ない場合に比して空冷式オイルクーラ8におけるオイルの冷却率を高める必要があるからである。
【0094】以下、本実施の形態におけるオイル温度制御について具体的に述べる。AT−ECU15は、オイル温度制御において、図5に示すような油温制御ルーチンを実行する。この油温制御ルーチンは、予めAT−ECU15のROMに記憶されたルーチンであり、AT−ECU15によって所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンである。
【0095】油温制御ルーチンでは、AT−ECU15は、先ずS501において、油温センサ13の出力信号値(実際のトルコン油温):Ttmoilを入力する。S502では、AT−ECU15は、予めROMの所定領域に記憶された目標トルコン油温:TTtmoilを読み出す。
【0096】S503では、AT−ECU15は、前記S501において入力された実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いか否かを判別する。前記S503において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:A以下であると判定した場合は、AT−ECU15は、S512へ進み、クーラ側オイル取出通路7bを閉塞すべく流路切換弁12を制御して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0097】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することがない。
【0098】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:A以下である場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されてオイルの温度が過剰に低下することがない。更に、AT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとは、車両の走行時に発生する走行風の影響を受けないよう構成されるため、これらの通路内を流れるオイルが走行風の影響によって冷却されることもない。
【0099】一方、前記S503において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いと判定した場合は、AT−ECU15は、S504においてバイパス通路11を閉塞するよう流路切換弁12を制御する。
【0100】続いて、AT−ECU15は、S505へ進み、前記S501及び前記S502で入力した実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差を算出する。
【0101】S506では、AT−ECU15は、現時点における電動ファン9の風量等をパラメータとしてトルコン油温応答遅れ時間を算出する。S507では、AT−ECU15は、前記S505で算出した偏差と前記S506で算出したトルコン油温応答遅れ時間とに基づいて電動ファン9の制御量:Ifanを算出する。
【0102】S508では、AT−ECU15は、E−ECU14を介してエアフローメータ16の出力信号値(吸入空気量):Gaを入力する。S509では、前記S508で入力した吸入空気量:Gaに対応した補正係数:Kgを算出する。この補正係数:Kgは、電動ファン9の制御量:Ifanを補正するための係数であり、吸入空気量:Gaが多くなるほど(トルコン油温が上昇し易くなるほど)大きな値に設定される係数である。
【0103】S510では、AT−ECU15は、前記S507で算出した制御量:Ifanに前記S509で算出した補正係数:Kgを積算して、新たな制御量:Ifanを算出する。ここで、前記した補正係数:Kgは、吸入空気量:Gaが多くなるほど大きな値に設定されるため、前記補正係数:Kgによって補正された後の制御量:Ifanは、補正係数:Kgが大きな値になるほど増加することになる。つまり、制御量:Ifanは、吸入空気量:Gaが多くなる程、言い換えればトルコン油温が上昇し易くなるほど増加されることになる。
【0104】続いて、AT−ECU15は、S511へ進み、前記S510で算出された制御量:Ifanに従って電動ファン9の制御を実行する。このS511の処理を実行し終えたAT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0105】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとクーラ側オイル取出通路7bと空冷式オイルクーラ8とクーラ側オイル戻り通路10bとAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することになる。すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:Aより高くなった場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されることになる。
【0106】その際、電動ファン9が実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、内燃機関(E/G)1の吸入空気量:Gaを考慮して制御されるため、トルコン油温が上昇し易い状況下においても実際のトルコン油温:Ttmoilを目標トルコン油温:TTtmoilと一致させることが可能となる。
【0107】尚、本実施の形態では、トルクコンバータ2aに入力されるトルクの大きさを推定するパラメータとして、内燃機関(E/G)1の吸入空気量を例に挙げたが、吸入空気量の代わりに、内燃機関(E/G)1の吸気通路1aにおけるスロットル弁下流の部位の圧力(吸気管圧力)、スロットル開度、アクセル開度を用いても良く、内燃機関(E/G)1から出力されるトルクの大きさ自体を用いるようにしても良い。
【0108】<実施の形態5>次に、本発明に係る変速機の油温制御装置の第5の実施の形態について図6に基づいて説明する。ここでは、前述の第2の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0109】前述の第2の実施の形態では、電動ファン9を制御する際に、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間を考慮して制御量:Ifanをる例について述べたが、本実施の形態では、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、車両の走行速度を考慮して制御量:Ifanを決定する例について述べる。
【0110】これは、車両の走行速度が低くなると、空冷式オイルクーラ8が受ける走行風の風量が減少し、空冷式オイルクーラ8におけるオイルの冷却率が低くなるため、そのような場合には車両の走行速度が高い場合に比して電動ファン9から空冷式オイルクーラ8へ供給される冷却空気量を増加させる必要があるからである。
【0111】以下、本実施の形態におけるオイル温度制御について具体的に述べる。AT−ECU15は、オイル温度制御において、図6に示すような油温制御ルーチンを実行する。この油温制御ルーチンは、予めAT−ECU15のROMに記憶されたルーチンであり、AT−ECU15によって所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンである。
【0112】油温制御ルーチンでは、AT−ECU15は、先ずS601において、油温センサ13の出力信号値(実際のトルコン油温):Ttmoilを入力する。S602では、AT−ECU15は、予めROMの所定領域に記憶された目標トルコン油温:TTtmoilを読み出す。
【0113】S603では、AT−ECU15は、前記S601において入力された実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いか否かを判別する。前記S603において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:A以下であると判定した場合は、AT−ECU15は、S612へ進み、クーラ側オイル取出通路7bを閉塞すべく流路切換弁12を制御して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0114】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することがない。
【0115】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:A以下である場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されてオイルの温度が過剰に低下することがない。更に、AT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとは、車両の走行時に発生する走行風の影響を受けないよう構成されるため、これらの通路内を流れるオイルが走行風の影響によって冷却されることもない。
【0116】一方、前記S603において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いと判定した場合は、AT−ECU15は、S604においてバイパス通路11を閉塞するよう流路切換弁12を制御する。
【0117】続いて、AT−ECU15は、S605へ進み、前記S601及び前記S602で入力した実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差を算出する。
【0118】S606では、AT−ECU15は、現時点における電動ファン9の風量等をパラメータとしてトルコン油温応答遅れ時間を算出する。S607では、AT−ECU15は、前記S605で算出した偏差と前記S606で算出したトルコン油温応答遅れ時間とに基づいて電動ファン9の制御量:Ifanを算出する。
【0119】S608では、AT−ECU15は、車速センサ17の出力信号(車両走行速度):Vを入力する。S609では、前記S608で入力した車両走行速度:Vに対応した補正係数:Kvを算出する。この補正係数:Kvは、電動ファン9の制御量:Ifanを補正するための係数であり、車両走行速度:Vが低くなるほど(空冷式オイルクーラ8が受ける走行風の風量が減少するほど)大きな値に設定される係数である。
【0120】S610では、AT−ECU15は、前記S607で算出した制御量:Ifanに前記S609で算出した補正係数:Kvを積算して、新たな制御量:Ifanを算出する。ここで、前記した補正係数:Kvは、車両走行速度:Vが低くなるほど大きな値に設定されるため、前記補正係数:Kvによって補正された後の制御量:Ifanは、補正係数:Kvが大きな値になるほど増加することになる。つまり、制御量:Ifanは、車両走行速度:Vが高くなる程、言い換えれば空冷式オイルクーラ8が受ける走行風の風量が少なくなり、空冷式オイルクーラ8におけるオイルの冷却率が低くなるほど増加されることになる。
【0121】続いて、AT−ECU15は、S611へ進み、前記S610で算出された制御量:Ifanに従って電動ファン9の制御を実行する。このS611の処理を実行し終えたAT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0122】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとクーラ側オイル取出通路7bと空冷式オイルクーラ8とクーラ側オイル戻り通路10bとAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することになる。すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:Aより高くなった場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されることになる。
【0123】その際、電動ファン9が実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、車両走行速度:V、すなわち空冷式オイルクーラ8が受ける走行風の風量を考慮して制御されるため、車両走行速度が低く空冷式オイルクーラ8におけるオイルの冷却率が低下するような状況下においても実際のトルコン油温:Ttmoilを目標トルコン油温:TTtmoilと一致させることが可能となる。
【0124】<実施の形態6>次に、本発明に係る変速機の油温制御装置の第6の実施の形態について図7に基づいて説明する。ここでは、前述の第2の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0125】前述の第2の実施の形態では、電動ファン9を制御する際に、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間を考慮して制御量:Ifanをる例について述べたが、本実施の形態では、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、内燃機関(E/G)1の冷却水の温度(機関水温)を考慮して制御量:Ifanを決定する例について述べる。
【0126】これは、前述の図1に示したように内燃機関(E/G)1とトルクコンバータ2aが密接に連結された場合には、機関水温が高くなるとそれに応じて内燃機関(E/G)1本体の温度が高くなり、その内燃機関(E/G)1の熱がトルクコンバータ2aに伝達されてトルコン油温が上昇し易くなるため、そのような場合には機関水温が低い場合に比して空冷式オイルクーラ8におけるオイルの冷却率を高める必要があるからである。
【0127】以下、本実施の形態におけるオイル温度制御について具体的に述べる。AT−ECU15は、オイル温度制御において、図7に示すような油温制御ルーチンを実行する。この油温制御ルーチンは、予めAT−ECU15のROMに記憶されたルーチンであり、AT−ECU15によって所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンである。
【0128】油温制御ルーチンでは、AT−ECU15は、先ずS701において、油温センサ13の出力信号値(実際のトルコン油温):Ttmoilを入力する。S702では、AT−ECU15は、予めROMの所定領域に記憶された目標トルコン油温:TTtmoilを読み出す。
【0129】S703では、AT−ECU15は、前記S701において入力された実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いか否かを判別する。前記S703において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:A以下であると判定した場合は、AT−ECU15は、S712へ進み、クーラ側オイル取出通路7bを閉塞すべく流路切換弁12を制御して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0130】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することがない。
【0131】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:A以下である場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されてオイルの温度が過剰に低下することがない。更に、AT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとは、車両の走行時に発生する走行風の影響を受けないよう構成されるため、これらの通路内を流れるオイルが走行風の影響によって冷却されることもない。
【0132】一方、前記S703において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いと判定した場合は、AT−ECU15は、S704においてバイパス通路11を閉塞するよう流路切換弁12を制御する。
【0133】続いて、AT−ECU15は、S705へ進み、前記S701及び前記S702で入力した実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差を算出する。
【0134】S706では、AT−ECU15は、現時点における電動ファン9の風量等をパラメータとしてトルコン油温応答遅れ時間を算出する。S707では、AT−ECU15は、前記S705で算出した偏差と前記S706で算出したトルコン油温応答遅れ時間とに基づいて電動ファン9の制御量:Ifanを算出する。
【0135】S708では、AT−ECU15は、E−ECU14を介して水温センサ18の出力信号値(機関水温):thwを入力する。S709では、前記S708で入力した機関水温:thwに対応した補正係数:Kthwを算出する。この補正係数:Kthwは、電動ファン9の制御量:Ifanを補正するための係数であり、機関水温:thwが高くなるほど(トルコン油温が上昇し易くなるほど)大きな値に設定される係数である。
【0136】S710では、AT−ECU15は、前記S707で算出した制御量:Ifanに前記S709で算出した補正係数:Kthwを積算して、新たな制御量:Ifanを算出する。ここで、前記した補正係数:Kthwは、機関水温:thwが高くなるほど大きな値に設定されるため、前記補正係数:Kthwによって補正された後の制御量:Ifanは、補正係数:Kthwが大きな値になるほど増加することになる。つまり、制御量:Ifanは、機関水温:thwが高くなる程、言い換えればトルコン油温が上昇しやすくなるほど増加されることになる。
【0137】続いて、AT−ECU15は、S711へ進み、前記S710で算出された制御量:Ifanに従って電動ファン9の制御を実行する。このS711の処理を実行し終えたAT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0138】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとクーラ側オイル取出通路7bと空冷式オイルクーラ8とクーラ側オイル戻り通路10bとAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することになる。すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:Aより高くなった場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されることになる。
【0139】その際、電動ファン9が実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、機関水温:thwを考慮して制御されるため、機関水温:thwが高くトルコン油温が高くなり易い状況においても実際のトルコン油温:Ttmoilを目標トルコン油温:TTtmoilと一致させることが可能となる。
【0140】<実施の形態7>次に、本発明に係る変速機の油温制御装置の第7の実施の形態について図8に基づいて説明する。ここでは、前述の第2の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0141】前述の第2の実施の形態では、電動ファン9を制御する際に、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間を考慮して制御量:Ifanをる例について述べたが、本実施の形態では、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、外気の温度を考慮して制御量:Ifanを決定する例について述べる。
【0142】これは、外気温度が高い状況下では、トルコン油温が上昇し易くなるため、そのような場合には外気温度が低い場合に比して空冷式オイルクーラ8におけるオイルの冷却率を高める必要があるからである。
【0143】以下、本実施の形態におけるオイル温度制御について具体的に述べる。AT−ECU15は、オイル温度制御において、図8に示すような油温制御ルーチンを実行する。この油温制御ルーチンは、予めAT−ECU15のROMに記憶されたルーチンであり、AT−ECU15によって所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンである。
【0144】油温制御ルーチンでは、AT−ECU15は、先ずS801において、油温センサ13の出力信号値(実際のトルコン油温):Ttmoilを入力する。S802では、AT−ECU15は、予めROMの所定領域に記憶された目標トルコン油温:TTtmoilを読み出す。
【0145】S803では、AT−ECU15は、前記S801において入力された実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いか否かを判別する。前記S803において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:A以下であると判定した場合は、AT−ECU15は、S812へ進み、クーラ側オイル取出通路7bを閉塞すべく流路切換弁12を制御して、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0146】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することがない。
【0147】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:A以下である場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されてオイルの温度が過剰に低下することがない。更に、AT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとは、車両の走行時に発生する走行風の影響を受けないよう構成されるため、これらの通路内を流れるオイルが走行風の影響によって冷却されることもない。
【0148】一方、前記S803において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Aより高いと判定した場合は、AT−ECU15は、S804においてバイパス通路11を閉塞するよう流路切換弁12を制御する。
【0149】続いて、AT−ECU15は、S805へ進み、前記S801及び前記S802で入力した実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差を算出する。
【0150】S806では、AT−ECU15は、現時点における電動ファン9の風量等をパラメータとしてトルコン油温応答遅れ時間を算出する。S807では、AT−ECU15は、前記S805で算出した偏差と前記S806で算出したトルコン油温応答遅れ時間とに基づいて電動ファン9の制御量:Ifanを算出する。
【0151】S808では、AT−ECU15は、外気温度センサ19の出力信号値(外気温):thaを入力する。S809では、前記S808で入力した外気温:thaに対応した補正係数:Kthaを算出する。この補正係数:Kthaは、電動ファン9の制御量:Ifanを補正するための係数であり、外気温:thaが高くなるほど(トルコン油温が上昇し易くなるほど)大きな値に設定される係数である。
【0152】S810では、AT−ECU15は、前記S807で算出した制御量:Ifanに前記S809で算出した補正係数:Kthaを積算して、新たな制御量:Ifanを算出する。ここで、前記した補正係数:Kthaは、外気温:thaが高くなるほど大きな値に設定されるため、前記補正係数:Kthaによって補正された後の制御量:Ifanは、補正係数:Kthaが大きな値になるほど増加することになる。つまり、制御量:Ifanは、外気温:thaが高くなる程、言い換えればトルコン油温が上昇し易くなるほど増加されることになる。
【0153】続いて、AT−ECU15は、S811へ進み、前記S810で算出された制御量:Ifanに従って電動ファン9の制御を実行する。このS811の処理を実行し終えたAT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0154】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとクーラ側オイル取出通路7bと空冷式オイルクーラ8とクーラ側オイル戻り通路10bとAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、空冷式オイルクーラ8を経由することになる。すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:Aより高くなった場合は、オイルが空冷式オイルクーラ8によって冷却されることになる。
【0155】その際、電動ファン9が実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、外気温:thaを考慮して制御されるため、外気温:thaが高くトルコン油温が上昇し易い状況においても実際のトルコン油温:Ttmoilを目標トルコン油温:TTtmoilと一致させることが可能となる。
【0156】<実施の形態8>本発明にかかる変速機の油温制御装置の第8の実施の形態について図9〜図10に基づいて説明する。ここでは、前述の第1の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0157】図9に示す構成では、バイパス通路11の途中に加熱ヒータ20が設けられている。加熱ヒータ20は、本発明に係るオイル加熱手段を実現するものであり、印加電流の大きさに応じた熱量で前記バイパス通路11内を流れるオイルを加熱する。加熱ヒータ20は、AT−ECU15と電気的に接続されている。
【0158】この場合、AT−ECU15は、オイル温度制御において、実際のトルコン油温:Ttmoilを目標トルコン油温:TTtmoilと一致させるべく、電動ファン9と加熱ヒータ20とを選択的に制御することになる。
【0159】具体的には、AT−ECU15は、オイル温度制御において、図10に示すような油温制御ルーチンを実行する。この油温制御ルーチンは、AT−ECU15のROM等に予め記憶されているルーチンであり、所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンである。
【0160】前記油温制御ルーチンでは、AT−ECU15は、先ずS1001において、油温センサ13の出力信号値(トルコン油温):Ttmoilを入力する。S1002では、AT−ECU15は、予めROMの所定領域に記憶された目標トルコン油温:TTtmoilを読み出す。
【0161】S1003では、AT−ECU15は、前記S1001において入力された実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Bより高いか否かを判別する。前記した所定温度:Bは、オイルが適正に機能する温度範囲の下限値であり、例えば、80℃程度である。
【0162】前記S1003において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Bより高いと判定した場合は、AT−ECU15は、S1004へ進み、バイパス通路11を閉塞するよう流路切換弁12を制御する。
【0163】続いて、AT−ECU15は、S1005へ進み、トルコンオイル冷却処理を実行する。トルコンオイル冷却処理では、AT−ECU15は、前述した第1の実施の形態と同様の手順によって電動ファン9の制御量:Ifanを決定し、その制御量:Ifanに従って電動ファン9を制御する。
【0164】一方、前記S1003において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:B以下であると判定した場合は、AT−ECU15は、S1006へ進み、クーラ側オイル取出通路7bを閉塞すべく流路切換弁12を制御する。
【0165】続いて、AT−ECU15は、S1007へ進み、前記S1001及び前記S1002で入力した実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差を算出する。
【0166】S1008では、AT−ECU15は、前記S1007において算出した偏差に基づいて加熱ヒータ20の制御量:Iheatを算出する。その際、AT−ECU15は、例えば、偏差が大きくなるほど加熱ヒータ20の加熱量を増加させるべく制御量:Iheatを決定し、偏差が小さくなるほど加熱ヒータ20の加熱量を低減させるべく制御量:Iheatを決定するようにしてもよい。
【0167】S1009では、AT−ECU15は、前記S1008で算出された制御量:Iheatに従って加熱ヒータ20の制御を実行する。このS1009の処理を実行し終えると、AT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0168】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとバイパス通路11と加熱ヒータ20とAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、加熱ヒータ20を通過することになる。
【0169】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:B以下である場合は、オイルが加熱ヒータ20によって加熱されることになる。その際、加熱ヒータ20は、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差に応じて運転されるため、実際のトルコン油温:Ttmoilを目標トルコン油温:TTtmoilまで上昇させるのに適した熱量でオイルを加熱することになる。更に、AT側オイル取出通路7aとバイパス通路11とAT側オイル戻り通路10aとは、走行風の影響を受けないよう構成されるため、加熱ヒータ20にて加熱されたオイルが走行風の影響によって不用意に冷却されることがない。
【0170】この結果、内燃機関(E/G)1が冷間始動された場合のように、トルコン油温が低い場合は、走行風の影響を受けることなく、且つ早期に所望の温度までオイルを昇温させることが可能となる。
【0171】従って、本実施の形態に係る変速機の油温制御装置によれば、トルクコンバータ2aのオイルを、トルクコンバータ2aが良好に作動するのに最も適した温度に保つことが可能となる。更に、本実施の形態に係る変速機の油温制御装置は、電気式の加熱ヒータを利用することにより、水冷式のオイルクーラを利用する場合に比して、油温制御装置の構成を簡略にすることができるとともに製造コストを低く抑えることができる。
【0172】尚、前述した第3の実施の形態〜第7の実施の形態では、電動ファン9を制御する際に、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、トルクコンバータ2aのスリップ率と、内燃機関(E/G)1の吸入空気量と、車両の走行速度と、内燃機関(E/G)1の冷却水の温度と、外気温度との内の一つを考慮して電動ファン9を制御する例について述べたが、トルクコンバータ2aのスリップ率と、内燃機関(E/G)1の吸入空気量と、車両の走行速度と、内燃機関(E/G)1の冷却水の温度と、外気温度との内の複数を考慮して電動ファン9を制御するようにしてもよいことは勿論である。
【0173】<実施の形態9>本発明にかかる変速機の油温制御装置の第9の実施の形態について図11に基づいて説明する。ここでは、前述の第8の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0174】前述の第8の実施の形態では、加熱ヒータ20を制御する際に、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差に基づいて制御量:Iheatを決定する例について述べたが、本実施の形態では、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差に加えて、加熱ヒータ20によって加熱されたオイルの温度がトルクコンバータ2a内のトルコン油温に反映されるまでの応答遅れ時間(以下、トルコン油温応答遅れ時間)を考慮して制御量:Iheatを決定する例について述べる。
【0175】これは、加熱ヒータ20で加熱されたオイルがトルクコンバータ2a内に流入するまでに時間がかかるため、加熱ヒータ20で加熱されたオイルがトルクコンバータ2aに到達する前の時点ではトルコン油温:Ttmoilが目標トルコン油温:TTtmoilより低くても、加熱ヒータ20で加熱されたオイルがトルクコンバータ2a内に到達した時点でトルコン油温:Ttmoilが目標トルコン油温:TTtmoilまで上昇している可能性があり、その間に加熱ヒータ20によるオイルの加熱が行われるとトルコン油温:Ttmoilが目標トルコン油温:TTtmoilより高くなってしまうことが想定されるからである。
【0176】ここで、トルコン油温応答遅れ時間は、加熱ヒータ20からトルクコンバータ2aに至るまでの通路の長さ、通路の径、加熱ヒータ20の加熱量、トルクコンバータ2a内のオイル容量などによって変化するため、これらのパラメータと加熱ヒータ20の制御量:Iheatとトルコン油温応答遅れ時間との関係を予め実験的に求めておき、それらの関係をマップ化してAT−ECU15のROMに記憶しておくようにしてもよい。
【0177】以下、本実施の形態におけるオイル温度制御について具体的に述べる。本実施の形態におけるオイル温度制御は、AT−ECU15が図11に示すような油温制御ルーチンを実行することによって実現される。この油温制御ルーチンは、予めAT−ECU15のROMに記憶されたルーチンであり、AT−ECU15によって所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンである。
【0178】前記油温制御ルーチンでは、AT−ECU15は、先ずS1101において、油温センサ13の出力信号値(トルコン油温):Ttmoilを入力する。S1102では、AT−ECU15は、予めROMの所定領域に記憶された目標トルコン油温:TTtmoilを読み出す。
【0179】S1103では、AT−ECU15は、前記S1101において入力された実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Bより高いか否かを判別する。前記S1103において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Bより高いと判定した場合は、AT−ECU15は、S1104へ進み、バイパス通路11を閉塞するよう流路切換弁12を制御する。
【0180】続いて、AT−ECU15は、S1105へ進み、トルコンオイル冷却処理を実行する。トルコンオイル冷却処理では、AT−ECU15は、前述した第1の実施の形態と同様の手順によって電動ファン9の制御量:Ifanを決定し、その制御量:Ifanに従って電動ファン9を制御する。
【0181】一方、前記S1103において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:B以下であると判定した場合は、AT−ECU15は、S1106へ進み、クーラ側オイル取出通路7bを閉塞すべく流路切換弁12を制御する。
【0182】続いて、AT−ECU15は、S1107へ進み、前記S1101及び前記S1102で入力した実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差を算出する。
【0183】S1108では、AT−ECU15は、現時点における加熱ヒータ20の加熱量等をパラメータとしてトルコン油温応答遅れ時間を算出する。S1109では、AT−ECU15は、前記S1107で算出した偏差と前記S1108で算出したトルコン油温応答遅れ時間とに基づいて加熱ヒータ20の制御量:Iheatを算出する。
【0184】S1110では、AT−ECU15は、前記S1109で算出された制御量:Iheatに従って加熱ヒータ20の制御を実行する。このS1110の処理を実行し終えると、AT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0185】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとバイパス通路11と加熱ヒータ20とAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、加熱ヒータ20を経由することになる。
【0186】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:B以下である場合は、オイルが加熱ヒータ20によって加熱されることになる。その際、加熱ヒータ20が実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差に応じて運転されるため、実際のトルコン油温:Ttmoilを目標トルコン油温:TTtmoilまで上昇させるのに適した熱量でオイルを加熱することになる。更に、加熱ヒータ20はトルコン油温応答遅れ時間を考慮して制御されるため、トルコン油温応答遅れ時間に起因したオイルの過熱が生じることもない。
【0187】尚、加熱ヒータ20を制御する際に、実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差、及び、トルコン油温応答遅れ時間に加えて、トルクコンバータ2aのスリップ率と内燃機関(E/G)1の吸入空気量と内燃機関(E/G)1の冷却水の温度と外気温度との少なくとも一つを考慮して加熱ヒータ20の制御を行うようにしてもよい。
【0188】<実施の形態10>本発明にかかる変速機の油温制御装置の第10の実施の形態について図12に基づいて説明する。ここでは、前述の第9の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0189】前述の第9の実施の形態では、オイル温度制御において、実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:B以下であるときに加熱ヒータ20を作動させてオイルの温度を上昇させる例について述べたが、本実施の形態では、実際のトルコン油温:Ttmoilが過剰に低い場合にのみ加熱ヒータ20を作動させる例について述べる。
【0190】以下、本実施の形態におけるオイル温度制御について具体的に述べる。本実施の形態におけるオイル温度制御は、AT−ECU15が図12に示すような油温制御ルーチンを実行することによって実現される。この油温制御ルーチンは、予めAT−ECU15のROMに記憶されたルーチンであり、AT−ECU15によって所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンである。
【0191】前記油温制御ルーチンでは、AT−ECU15は、先ずS1201において、油温センサ13の出力信号値(トルコン油温):Ttmoilを入力する。S1202では、AT−ECU15は、予めROMの所定領域に記憶された目標トルコン油温:TTtmoilを読み出す。
【0192】S1203では、AT−ECU15は、前記S1201において入力された実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Bより高いか否かを判別する。前記S1203において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Bより高いと判定した場合は、AT−ECU15は、S1204へ進み、バイパス通路11を閉塞するよう流路切換弁12を制御する。
【0193】続いて、AT−ECU15は、S1205へ進み、トルコンオイル冷却処理を実行する。トルコンオイル冷却処理では、AT−ECU15は、前述した第1の実施の形態と同様の手順によって電動ファン9の制御量:Ifanを決定し、その制御量:Ifanに従って電動ファン9を制御する。
【0194】一方、前記S1203において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:B以下であると判定した場合は、AT−ECU15は、S1206へ進み、前記S1201において入力された実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度C(C<B、例えば40℃)より低いか否かを判別する。
【0195】前記S1206において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度C(C<B、例えば40℃)以上であると判定した場合は、AT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了することになる。
【0196】この場合、加熱ヒータ20の作動が停止され、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aの運転時に発生する熱によって昇温することになる。すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度がある程度まで上昇した後は、加熱ヒータ20の運転が停止されることになり、その結果、加熱ヒータ20の作動に係る電力消費量を最小限に抑制することが可能となる。
【0197】一方、前記S1206において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度C(C<B、例えば40℃)未満であると判定した場合、AT−ECU15は、トルコン油温が過剰に低く加熱ヒータ20によってトルコン油温を強制的に上昇させる必要があるとみなし、S1208へ進む。
【0198】S1208では、AT−ECU15は、前記S1201及び前記S1202で入力した実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差を算出する。
【0199】S1209では、AT−ECU15は、現時点における加熱ヒータ20の加熱量等をパラメータとしてトルコン油温応答遅れ時間を算出する。S1210では、AT−ECU15は、前記S1208で算出した偏差と前記S1209で算出したトルコン油温応答遅れ時間とに基づいて加熱ヒータの制御量:Iheatを算出する。
【0200】S1211では、AT−ECU15は、前記S1210で算出された制御量:Iheatに従って加熱ヒータ20の制御を実行する。このS1211の処理を実行し終えると、AT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0201】この場合、トルクコンバータ2aのオイルは、トルクコンバータ2aとAT側オイル取出通路7aとバイパス通路11と加熱ヒータ20とAT側オイル戻り通路10aとを順次経由して循環することなり、加熱ヒータ20を経由することになる。
【0202】すなわち、トルクコンバータ2aのオイルの温度が所定温度:B以下である場合は、オイルが加熱ヒータ20によって加熱されることになる。その際、加熱ヒータ20が実際のトルコン油温:Ttmoilと目標トルコン油温:TTtmoilとの偏差に応じて運転されるため、実際のトルコン油温:Ttmoilを目標トルコン油温:TTtmoilまで上昇させるのに適した熱量でオイルを加熱することになる。更に、加熱ヒータ20はトルコン油温応答遅れ時間を考慮して制御されるため、トルコン油温応答遅れ時間に起因したオイルの過熱が生じることもない。
【0203】以上述べたオイル温度制御によれば、トルクコンバータ2aのオイルの温度が過剰に低いときのみ、加熱ヒータ20が作動されることになるため、加熱ヒータ20の作動に係る電力消費量を最小限に抑えつつオイルの温度を適正に制御することができる。
【0204】<実施の形態11>本発明にかかる変速機の油温制御装置の第11の実施の形態について図13に基づいて説明する。ここでは、前述の第8の実施の形態と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
【0205】前述の第8の実施の形態では、内燃機関(E/G)1が運転状態にあるときにオイル温度制御を実行する例について述べたが、本実施の形態では、内燃機関(E/G)1の運転時に加えて、内燃機関(E/G)1の始動時にもオイル温度制御を実行する例について述べる。尚、内燃機関(E/G)1の運転時におけるオイル温度制御は、前述の第8の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0206】内燃機関(E/G)1の始動時におけるオイル温度制御では、AT−ECU15は、図示しないイグニションスイッチがオフからオンへ切り替わった時点で加熱ヒータ20を作動させ、オイルの早期昇温を図るようにした。
【0207】但し、イグニッションスイッチがオフからオンへ切り替わった後に必ずしも内燃機関(E/G)1が始動されるとは限らないため、イグニッションスイッチがオフからオンへ切り替わった時点から所定時間内に内燃機関(E/G)1が始動されない場合は加熱ヒータ20の作動を停止させて不要な電力消費を抑制するようにした。
【0208】以下、内燃機関(E/G)1の始動時におけるオイル温度制御について具体的に述べる。内燃機関(E/G)1の始動時におけるオイル温度制御では、AT−ECU15は、図13に示すような始動時油温制御ルーチンを実行する。この始動時油温制御ルーチンは、予めAT−ECU15のROMに記憶されたルーチンであり、車両のアクセサリ電源がオンになった時点から内燃機関(E/G)1の始動が完了する時点までの間において、AT−ECU15によって所定時間毎に繰り返し実行されるルーチンである。
【0209】始動時油温制御ルーチンでは、AT−ECU15は、先ずS1301において、油温センサ13の出力信号値(実際のトルコン油温):Ttmoilを入力する。S1302では、AT−ECU15は、予めROMの所定領域に記憶された目標トルコン油温:TTtmoilを読み出す。
【0210】S1303では、イグニッションスイッチ(IGスイッチ)がオフからオンに切り替わったか否か、すなわち、本ルーチンを前回実行したときにイグニッションスイッチがオフであり、且つ本ルーチンを今回実行したときにイグニッションスイッチがオンになったか否かを判別する。
【0211】前記S1303においてイグニッションスイッチ(IGスイッチ)がオフからオンに切り替わったと判定した場合は、AT−ECU15は、S1304へ進み、前記S1301において入力した実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Bより低いか否かを判別する。
【0212】AT−ECU15は、前記S1304において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:B以上であると判定した場合は本ルーチンの実行を一旦終了し、前記前記S1304において実際のトルコン油温:Ttmoilが所定温度:Bより低いと判定した場合はS1305へ進んで、加熱ヒータ20を作動させる。
【0213】続いて、S1306では、AT−ECU15は、イグニッションスイッチがオフからオンへ切り替わった時点からの経過時間を計時するIG−ONカウンタを起動させ、本ルーチンの実行を一旦終了する。
【0214】一方、前記S1303においてイグニッションスイッチ(IGスイッチ)がオフからオンに切り替わっていなと判定した場合、すなわち、本ルーチンを前回実行したときにイグニッションスイッチがオンであり、且つ本ルーチンを今回実行したときにもイグニッションスイッチがオンであると判定した場合は、AT−ECU15は、S1307へ進み、IG−ONカウンタの値が所定時間:Cを越えたか否かを判別する。
【0215】前記S1307においてIG−ONカウンタの値が所定時間:C以下であると判定した場合は、AT−ECU15は、本ルーチンの実行を一旦終了する。前記S1307においてIG−ONカウンタの値が所定時間:Cを越えていると判定した場合は、AT−ECU15は、S1308へ進み、内燃機関(E/G)1の始動が完了したか否かを判別する。
【0216】前記S1308において内燃機関(E/G)1の始動が完了したと判定した場合は、AT−ECU15は、本ルーチンの実行を終了する。前記S1308において内燃機関(E/G)1の始動が完了していないと判定した場合は、AT−ECU15は、S1309へ進み、加熱ヒータ20の作動を一旦停止させ、本ルーチンの実行を終了する。
【0217】このように本実施の形態に係る始動時油温制御によれば、内燃機関(E/G)1が冷間始動される場合のようにトルコン油温が所定温度未満である場合に、イグニッションスイッチがオンになった時点で加熱ヒータ20を作動させることが可能となり、トルコン油温を早期に昇温させることが可能となる。また、本実施の形態に係る始動時油温制御によれば、イグニッションスイッチがオンになった時点から所定時間以内に内燃機関(E/G)1が始動されない場合は加熱ヒータ20の作動が停止されるため、不要な電力消費を抑制することも可能となる。
【0218】
【発明の効果】本発明に係る変速機の油温制御装置が、空冷式オイルクーラと、冷却空気供給手段と、第1のオイル通路と、第2のオイル通路と、流路切換手段と、オイル温度制御手段とを備えている場合は、変速機オイルの温度が所定温度以下であるときには、変速機用オイルが第1のオイル通路を循環し、且つ、空冷式オイルクーラを経由しないため、変速機用オイルが空冷式オイルクーラにおいて冷却されることがなく、且つ、変速機用オイルが走行風によって冷却されることがなくなるため、変速機用オイルの温度が過剰に低下するようなことがない。
【0219】一方、変速機用オイルの温度が所定温度より高いときは、変速機用オイルが第2のオイル通路を循環して空冷式オイルクーラを通過することになるため、変速機用オイルは、空冷式オイルクーラにおいて冷却されることになる。その際、冷却空気供給手段が変速機用オイルの実際の温度を目標温度とすべく制御され、冷却空気供給手段から空冷式オイルクーラへ強制的に冷却空気が供給されるため、空冷式オイルクーラは、走行風の有無、言い換えれば車両の走行条件に関わらず、変速機用オイルを目標温度まで冷却することが可能となる。
【0220】次に、本発明にかかる変速機の油温制御装置が空冷式オイルクーラと、冷却空気供給手段と、オイル加熱手段と、第1のオイル通路と、第2のオイル通路と、開閉弁と、オイル温度制御手段とを備えて構成される場合は、変速機用オイルの温度が所定温度以下であるときに、変速機用オイルの実際の温度を目標温度まで昇温させるべくオイル加熱手段が制御されるとともに、変速機用オイルが走行風の影響を受けない第1のオイル通路を循環することになるため、オイル加熱手段によって加熱された変速機用オイルが走行風によって不用意に冷却されることがなく、その結果、変速機用オイルが確実に目標温度まで昇温される。
【0221】従って、本発明に係る変速機の油温制御装置によれば、空冷式オイルクーラを利用しつつ変速機用オイルの温度を精度良く制御することが可能となり、この結果、水冷式オイルクーラを利用した場合に比して装置の製造コストを低減させることが可能となる。
【0222】更に、本発明に係る変速機の油温制御装置において、冷却空気供給手段およびまたはオイル加熱手段を制御する際に、オイル温度の応答遅れや車両の状態等を考慮することにより、変速機用オイルの温度をより正確に制御することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成11年10月19日(1999.10.19)
【代理人】 【識別番号】100089244
【弁理士】
【氏名又は名称】遠山 勉 (外3名)
【公開番号】 特開2001−116123(P2001−116123A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願平11−297082