| 【発明の名称】 |
トロイダル型無段変速機 |
| 【発明者】 |
【氏名】井上 英司
【氏名】山崎 淳
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| 【要約】 |
【課題】この発明は、トラニオンの両端部をケーシングに対して嵌合支持することにより、トラニオンのガタツキを防止して、耐久性のあるトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】トロイダル型無段変速機のパワーローラ6,9を回転自在に支持するトラニオン33,37に働く分離力等の大きな力は、対向する端部65,65に揺動可能に渡されたヨーク80によって支持される。トラニオン33,37の両端部65には一体的に突出形成されたロッド70は、ケーシング25に形成された嵌入部72に滑り軸受のようなラジアル軸受71を介して嵌合されているので、トラニオン33,37はガタツクことがなく、パワーローラ6,9と入出力ディスクとの接触点が不安定にならず耐久性が向上する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力軸により駆動される入力ディスク、前記入力ディスクに対向して配置され且つ出力軸に連結された出力ディスク、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に配置され且つ傾転軸の回りに傾転して前記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出力ディスクに伝達する一対のパワーローラ、前記各パワーローラを回転自在に支持し且つ前記傾転軸の軸方向に変位可能な一対のトラニオン、及び前記各トラニオンを前記傾転軸の軸方向に変位させるためケーシングに配設されたアクチュエータ、及び前記トラニオンに作用する前記傾転軸に交差する方向の力を支えるため前記ケーシングに取り付けられたポストに対して中央部において位置規制された状態で揺動可能に嵌合し且つ両端部において前記両トラニオンの対向する端部同士を揺動可能に連結するヨークを具備し、前記トラニオンのガタツキを防止するため、前記各トラニオンの前記両端部と前記ケーシングのいずれか一方に設けられたロッドが前記各トラニオンの前記両端部と前記ケーシングの他方に設けられた嵌入部にラジアル軸受を介して支持されていることから成るトロイダル型無段変速機。 【請求項2】 前記ラジアル軸受は滑り軸受であることから成る請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。 【請求項3】 前記ロッドは、前記各トラニオンの前記両端部から一体的に延びて形成されており、前記嵌入部は前記ケーシングに形成されていることから成る請求項1又は2に記載のトロイダル型無段変速機。 【請求項4】 前記ロッドの径は、前記トラニオンの前記端部の径より小さいことから成る請求項1〜3のいずれか1項に記載のトロイダル型無段変速機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、トロイド曲面を有する入力ディスクと出力ディスクとの間にパワーローラを傾転自在に配置して、入力ディスクの回転を無段階に変速して出力ディスクへ伝達するトロイダル型無段変速機に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、トロイダル型無段変速機として、入力軸により駆動される入力ディスク、入力ディスクに対向して配置され且つ出力軸に連結された出力ディスク、及び両ディスクに摩擦接触するパワーローラからトロイダル変速部を構成し、パワーローラの傾転角度を変えることによって、入力ディスクの回転を無段階に変速して出力ディスクに伝達するものが知られている。 【0003】図3は、二組のトロイダル変速部1,2を同一軸上に並列して配置した従来のダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。トルクコンバータ等を介してエンジンの出力軸に出力されるトルクが入力される入力軸13に対して、トロイダル変速部1,2は、それぞれ、入力軸13によって駆動される入力ディスク4,7、入力ディスク4,7に対向して配置され且つ出力軸22に連結された出力ディスク5,8、及び入力ディスク4,7と出力ディスク5,8との間に配置され且つ両ディスク4,5及び7,8のトロイド曲面に摩擦係合する一対のパワーローラ6,6及び9,9を備えている。各パワーローラ6,9は、自己の回転軸線10の周りに回転自在であり、且つ回転軸線10に直交する傾転軸11の周りに傾転運動可能である。パワーローラ6,9の傾転角度を一斉に変えることによって、入力ディスク4,7の回転は、パワーローラ6,9の傾転角度に応じて無段階に変速して出力ディスク5,8に伝達される。 【0004】トロイダル変速部1において、入力ディスク4は、入力軸13と同一軸線上に配置されている主軸3の一端にボールスプライン12を介して取り付けられており、主軸3の軸方向に移動可能で且つ主軸3と一体回転可能である。入力軸13の先端部14は、主軸3の一端に形成された中心穴15に対して、例えば軸受により相対回転可能に嵌合し支持されている。また、入力軸13の先端に形成された入力フランジ部16と、入力フランジ部16に対向配置されたローディングカム18には、互いに噛み合う爪部17,19が設けられている。エンジンからのトルクの一部は、噛み合った両爪部17,19、及びローディングカム18を介して入力軸13から入力ディスク4へ伝達される。トルク伝達時に、ローディングカム18のカムローラ36の作用により、伝達トルクに見合ったスラストが、入力ディスク4、パワーローラ6及び出力ディスク5間に作用する押付け力として発生する。 【0005】トロイダル変速部2の入力ディスク7は、ボールスプライン28を介して主軸3の他端側に取り付けられている。入力ディスク7は、ボールスプライン28を介して主軸3にそれぞれ連結されているので、主軸3と一体回転するが主軸3のスラスト方向に摺動自在である。入力軸13からのトルクの残部は、入力ディスク7へ伝達される。カムローラ36によるトロイダル変速部1でのスラスト力の反作用として、伝達トルクに応じたスラスト反力が主軸3を介してトロイダル変速部2に伝わり、トロイダル変速部2の入力ディスク7、パワーローラ9及び出力ディスク8の各回転要素間に押付け力を作用させる。なお、入力ディスク4,7と出力ディスク5,8との間における動力伝達は、両ディスク4,5,7,8とパワーローラ6,9との間に挟まれたオイルの剪断力に基づいて行われる。 【0006】出力ディスク5,8は、背面同士を出力軸22の両側に設けた筒状部22Aにスプライン嵌合等で連結され一体回転する。出力軸22は主軸3に嵌合された中空軸であって、該中空軸の中間部にスプロケット23が一体的に形成されている。出力ディスク5,8は、両背面が出力軸22を介してスラスト方向及びラジアル方向の荷重を支持するボールベアリング24でケーシング25の壁26に支持されることにより、ケーシング25によって軸方向に規制されている。 【0007】主軸3の他端は、ケーシング25に軸受27を介して回転自在に支持されている。入力ディスク7の背面側には、皿ばね29が、サンギヤ30をスペーサとしてナット31を締め込むことによって圧縮状態で取付けられている。皿ばね29の反発力は、トロイダル変速部2において入力ディスク7をパワーローラ9を介して出力ディスク8に押し付けており、また、主軸3を図3上で右方へ付勢して、フランジ部20と軸受21とを介してローディングカム18に作用し、トロイダル変速部1において、入力ディスク4をパワーローラ6を介して出力ディスク5に押し付けており、両変速部1,2で、回転要素間の隙間を吸収している。 【0008】パワーローラ6,9は、それぞれ回転支軸34,38によってトラニオン33,37に回転自在に支持されている。トラニオン33,37は、ケーシング25に対して後述する油圧アクチュエータによって傾転軸11の軸方向に変位され、且つこの傾転軸11の軸方向変位に応じてパワーローラ6,9と入出力ディスク4,5,7,8との接触点が変わることにより、入出力ディスク4,5,7,8から傾転力を受けて傾転軸11の回りに回動可能である。パワーローラ6,9が傾転すると、パワーローラ6,9の傾転角変位量θはそのままトラニオン33,37の傾転軸11を中心とした回動変位となる。 【0009】出力軸22の回転は、例えば出力軸22に固定されたスプロケット23からチェーン伝動装置を介してカウンタ軸に伝達され、適宜の歯車機構を介して前進回転が変速機出力軸(いずれも図示せず)に出力される。また、入力軸13の回転は、主軸3から直接にサンギヤ30を介して後進クラッチ付き遊星歯車機構(図示せず)から後進回転が変速機出力軸に出力される。主軸3は軸方向に延びる油路32を有し、油路32は潤滑油の通路を構成している。油路32は、分岐して各トロイダル変速部1,2のトロイド曲面、ボールスプライン12、ボールベアリング24等に潤滑油を供給している。 【0010】入力ディスク4,7及び出力ディスク5,8は、パワーローラ6,9と入出力ディスク4,5,7,8との接触点が変わることにより、主軸3の軸方向に変位する。トロイダル変速部1,2の軸方向の位置の基準は、出力ディスク5,8がボールベアリング24によって支持されるケーシング25によって定められる。パワーローラ6,9を回転自在に支持する回転支軸34,38は、トラニオン33,37に回動自在に支持された揺動支軸35,39(図4参照)に対して偏心した偏心軸とされているので、パワーローラ6,9の主軸3の軸方向への変位は、揺動支軸35,39周りでのパワーローラ6,9の首振り運動によって吸収される。出力ディスク5,8のスラスト方向位置がケーシング25に対して決定されると、パワーローラ6,9及び両入力ディスク4,7のスラスト方向位置が決まる。皿ばね29は、両トロイダル変速部1,2において伝達トルクが無くなりスラスト力が消えたときにディスク4,7,5,8を元の状態に復帰させる。 【0011】次に、トロイダル変速部1,2とその変速制御について図4の記載に基づいて説明する。図4は、図3に示すトロイダル型無段変速機の線A−A及び線B−Bについてのそれぞれの断面図を並置した図である。トラニオン33,37を傾転軸方向に変位させるため、トラニオン33,37の各下端部に油圧アクチュエータ40,44が配設されている。油圧アクチュエータ40,44は、それぞれ、トラニオン33,37の傾転軸11を軸心として延びるピストン41,45と、ケーシング25に形成され且つ各ピストン41,45を摺動可能に収容するシリンダ42,46とから成る。シリンダ42,46には、それぞれピストン41,45によって区画された減速側シリンダ室43A,47Aと増速側シリンダ室43B,47Bとが形成されている。スプール弁50から油路48Aを通じて減速側シリンダ室43A,47Aに減速用の油圧Pdを供給すると、増速側シリンダ室43B,47Bはドレンされ、油路48Bを通じて増速側シリンダ室43B,47Bに増速用の油圧Puを供給すると、減速側シリンダ室43A,47Aがドレンされ、減速側シリンダ室43A,47Aと増速側シリンダ室43B,47Bとの間に差圧が生じ、トラニオン33,37は、パワーローラ6,9と共に差圧に応じて傾転軸11の軸方向に移動し、変速機は減速側又は増速側に変速する。 【0012】スプール弁50は、弁本体(弁ケース)内にはスリーブ51が摺動自在に設けられている。スリーブ51の両端に当接する第1ばね53が、スリーブ51を中立位置に保持する方向に付勢している。スリーブ51内にはスプール52が摺動自在に設けられている。スプール52は一端に配置された第2ばね54によって図4の右方向に付勢されており、スプール52の他端は枢着されたレバー55を介して後述するプリセスカム56が当接している。スプール弁50の一端及び他端には、それぞれSAポートとSBポートとが形成されており、SAポートにはソレノイド弁57Aを通じて制御油圧PAが供給され、SBポートにはソレノイド弁57Bを通じて制御油圧PBが供給される。また、スプール弁50は、ライン圧(油圧源)へ連結されるPLポート、油路48Aを介して減速側シリンダ室43Aへ連通されるAポート、油路48Bを介して増速側シリンダ室43Bへ連通されるBポート、リザーバへ連通されるRポートを備えている。 【0013】トロイダル型無段変速機においては、車速センサが検出した車速v、アクセルペダルの踏込み量Accを検出するアクセル踏込み量センサ等の各種センサ59で検出された変速情報がコントローラ58に入力される。コントローラ58は、これらの変速情報に基づいて算出した目標変速比に応じた制御信号をソレノイド弁57A,57Bに対して出力する。ソレノイド弁57A,57Bは、制御油圧PA,PBをスプール弁50のSAポート及びSBポートに出力する出力ポートC、ドレンポートD、及び制御油圧源(パイロット油圧源)PSに連通する油圧源ポートEを有している。ソレノイド弁57A,57Bは、電磁コイルを励磁するパルス電流のデューティ比を変更することにより、弁体が取る弁作動位置の時間比率が変更可能なデューティソレノイド弁とすることができる。 【0014】ソレノイド弁57A,57Bは、同じ常時開式のソレノイド弁であるから、コントローラ58は、上記目標変速比に対応して、SAポートとSBポートとの間に差圧が生じるように、ソレノイド弁57A,57Bに対して、dutyAとdutyBとで全duty(100%)を分配したdutyを求める。ソレノイド弁57A,57BのSAポート及びSBポートに制御油圧源PSからの油圧を供給される時間割合、又はSAポート及びSBポートの制御油圧がドレンに解放される時間割合を制御することにより、スリーブ51は目標変速比に応じて軸方向に移動される。スリーブ51には、PL,R,A及びBの各ポートに対応した連通孔が形成されており、スプール52の位置に応じて、ポートPL,RはポートA又はポートBに連通される。スプール弁50の両端のポートSB,SAに供給される制御油圧PA,PBの差圧が第1ばね53のばね力と釣り合うように、目標変速比を表す位置にスリーブ51が移動する。 【0015】トロイダル変速部1において、レバー55の一端が当接しているこのプリセスカム56は、一方のトラニオン33の傾転軸11に沿って延びる軸端に取り付けられている。プリセスカム56は、トラニオン33の傾転軸方向変位量Yと傾転角変位量θとの合成変位量として検出する。スプール弁50のスプール52は、この合成変位量に対応して移動する。スプール弁50とソレノイド弁57A,57Bとは、変速比を制御するため、コントローラ58からの目標変速比に関する制御信号と、プリセスカム56からの合成変位量についての信号とを受けて油圧アクチュエータ40,44の油圧を調整する変速比制御弁を構成している。 【0016】トラニオン33,37は、傾転軸方向変位量Yがゼロである中立位置にある状態では、パワーローラ6,9の傾転角θはその時の状態を維持しており、変速比はその時の一定の値を保持している。即ち、この中立位置では、トラニオン33,37は、入力ディスク4,7及び出力ディスク5,8の回転中心線とパワーローラ6,9の回転軸線10とが交叉するような傾転軸方向の位置にあり、パワーローラ6,9はその変速比に対応した傾転角変位量で傾転した状態で回転している。また、スプール52は、目標変速比に対応してシフトしているスリーブ51に追従して移動して、Aポート及びBポートを閉じている状態にある。 【0017】変速比の変更はトラニオン33,37を中立位置から傾転軸11の軸方向に変位させることによって行われる。即ち、両ディスクの回転中に目標変速比が変更されてスリーブ51がシフトすると、スリーブ51とスプール52との間に生じる相対移動量に応じて、Aポート又はBポートが、ライン圧に連通するPLポートに導通して、トラニオン33,37が傾転軸方向に変位する。トラニオン33,37と共にパワーローラ6,9も傾転軸方向に変位し、パワーローラ6,9と入力ディスク4,7及び出力ディスク5,8との接触位置が、中立位置における接触位置から変位する。その結果、パワーローラ6,9は、両ディスクから傾転力を受けて、傾転軸11に沿った変位方向(即ち、Y>0又はY<0の方向)と変位量(Yの絶対値)に応じた向きと速さで傾転軸11周りに傾転を開始し、両ディスクとパワーローラとの接触点が変わることにより無段変速が開始される。 【0018】プリセスカム56が検出したトラニオン33,37の傾転軸方向変位量Yと傾転角変位量θとの合成変位量は、レバー55を介してスプール弁50のスプール52の他端に作用し、スプール52の一端側に作用する第2ばね54のばね力に抗してスプール52を移動させる。目標変速比として与えられるスリーブ51と、プリセスカム56によって与えられるスプール52との位置関係によって、油路48A,48Bに接続するAポート及びBポートはPLポート又はRポートに切り換わる。シリンダ室43Aと43B、及び47Aと47Bに導入される油圧Pdと油圧Puとの差圧により、トラニオン33,37の傾転軸方向変位が制御され、傾転角θが目標傾転角に近づいて各トラニオン33,37の傾転軸方向変位量Yがゼロに近づくと、実変速比を表すスプール52は、目標変速比を表すスリーブ51の位置に追従接近し、次第に収束して変速動作が終了する。 【0019】ところで、主軸3を挟んで対向した状態に設けられている各パワーローラ6は、ローディングカム18によって入力ディスク4,7と出力ディスク5,8とに対して大きな力で押し付けられるので、各パワーローラ6を回転自在に支持するトラニオン33,33及び37,37は互いに遠ざかる方向の力を受ける。この離反力に対抗するため、各対のトラニオン33,33及び37,37の対向する位置にある端部同士をヨーク60で連結して両トラニオン33,33,37,37の軸間距離を保持することが行われている。 【0020】各ヨーク60は、ケーシング25に一体的又は固定して立設されているポスト61に嵌合支持されている。ヨーク60は、長手方向の中央位置に嵌合孔62が、また両端部に円形孔63が形成された長尺部材である。ヨーク60は、嵌合孔62においてポスト61の係合部64が嵌合し、中央位置が拘束された状態で係合部64の回りにおいて揺動可能である。また、円形孔63には各トラニオン33,37の端部65を回動自在に支持するための軸受66が嵌入されている。軸受66は、円形孔63に対してはヨーク60が傾斜してもトラニオン33,37の端部65との嵌合状態を維持するために、外周側には球状面を備えた球面軸受として機能すると共に、トラニオン33,37の端部65を回転自在に支持するために、内周側にはニードルを保持したラジアル軸受として機能している。 【0021】図5は、図4に示すヨークとポストを示す分解斜視図である。ヨーク60が、ポスト61に関して、トラニオン33,37の傾転軸11,11を含む面内で揺動することのみを可能とするため、図5に示すように、ポスト61の全体的に球状を呈している係合部64の両側に、平面状の面削ぎ部69(一方のみ図示する)が形成され、ヨーク60の嵌合孔62には、係合部64の面削ぎ部69が係合する平面状の内面67と、係合部64の球状面が係合する内面68が形成されている。しかしながら、ヨーク60とポスト61との相対運動を許容するためにガタが生じるのが避けられない。ヨーク60とポスト61との間のガタを小さく抑えても、ポスト61の面削ぎ部69,69のヨーク長手方向幅に比較してポスト61から円形孔63に嵌合する各トラニオン33(37)までの距離が長いので、トラニオン33(37)には上記ガタに起因した変位が増幅されて現れる。 【0022】トラニオン33,37が本来の位置からずれると、パワーローラ6と入出力ディスク4,5との位置関係、及びパワーローラ9と入出力ディスク7,8との位置関係が、目標変速比に応じて本来取るべき所定の位置からずれるため、変速比が変化したり、著しくパワーローラ6,9の耐久性を損なうことがある。 【0023】転がり軸受と球面継手からなる支持部を介してリンク(ヨーク)によって両端が揺動支持されたトラニオンは、伝動中の力によって曲げ変形を受ける。トラニオンの一端に設けられているサーボピストンとこのサーボピストンをガイドするガイド孔との間のクリアランスを、球面継手から遠い程大きくすることで、サーボピストンとガイド孔との干渉を防止した摩擦式無段変速機が提案されている(特開平7−217716号公報)。 【0024】また、対向配置されたトラニオンの両端において端部同士を支持部材によって変速機のケーシングに支持し、トラニオンの一端を、トラニオンを傾転軸の軸方向に変位させるアクチュエータとしての高価なボールねじ機構に連結し、トラニオンの他端のみをハウジングに取り付けられたポストで支持されたものが提案されている(実開平5−45302号公報)。 【0025】また、対向配置されたトラニオンの両端において端部同士を支持部材によって変速機のケーシングに支持し、トラニオンの一端を、トラニオンを傾転軸の軸方向に変位させるアクチュエータとしての油圧アクチュエータに連結し、トラニオンの他端に形成された突出部をケーシングに形成されている凹部に嵌合させたものが提案されている(特開昭63−130954号公報)。嵌合状態の詳細が不明であるが、軸受等の格別の配慮がされておらず、大きな隙間があればガタを生じ、小さい隙間であれば、トラニオンのスムーズな作動を妨げる可能性がある。更に、トラニオンの位置規制の問題を解決する手段としてヨークやポスト等を介することなく、トラニオンを軸受を介して直接ケーシングに支持するものが提案されている(特開平10−274300号公報)。 【0026】 【発明が解決しようとする課題】このように、従来の構造では、トラニオンの支持が不十分であるために、トラニオンの動作に起因した変速安定性やトラニオンの支持部の耐久性に問題が生じることがある。そこで、トラニオン軸の両端をヨークによって揺動させてケーシングに支持したトロイダル型無段変速機においては、トラニオンの支持手段として、従来のポストに揺動自在とされたヨークによる支持に加え、トラニオンをケーシングに対して直接的に支持することにより、傾転軸の振れを防止してトラニオンの作動を安定させ、変速機としての安定した変速性能と高い耐久性を低コストで確保する点で解決すべき課題がある。 【0027】 【課題を解決するための手段】この発明の目的は、上記問題を解決することであって、パワーローラを傾転可能に支持するトラニオンをその両端においてケーシングに対して安定して且つ耐久性を持って支持し、入出力ディスクとパワーローラとの間での変速動作と動力伝達を確実に行うことを可能にし、自動車用、特に製品寿命の長い商用車においても搭載可能とするトロイダル型無段変速機を提供することである。 【0028】この発明は、入力軸により駆動される入力ディスク、前記入力ディスクに対向して配置され且つ出力軸に連結された出力ディスク、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に配置され且つ傾転軸の回りに傾転して前記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出力ディスクに伝達する一対のパワーローラ、前記各パワーローラを回転自在に支持し且つ前記傾転軸の軸方向に変位可能な一対のトラニオン、及び前記各トラニオンを前記傾転軸の軸方向に変位させるためケーシングに配設されたアクチュエータ、及び前記トラニオンに作用する前記傾転軸に交差する方向の力を支えるため前記ケーシングに取り付けられたポストに対して中央部において位置規制された状態で揺動可能に嵌合し且つ両端部において前記両トラニオンの対向する端部同士を揺動可能に連結するヨークを具備し、前記トラニオンのガタツキを防止するため、前記各トラニオンの前記両端部と前記ケーシングのいずれか一方に設けられたロッドが前記各トラニオンの前記両端部と前記ケーシングの他方に設けられた嵌入部にラジアル軸受を介して支持されていることから成るトロイダル型無段変速機に関する。 【0029】各トラニオンの両端部とケーシングのいずれか一方に設けられたロッドが各トラニオンの両端部とケーシングの他方に設けられた嵌入部にラジアル軸受を介して支持されているので、各トラニオンの傾転軸位置がケーシングによって規制され、ガタツキが防止される。トルク伝達時に、各トラニオンには、傾転軸に交差する方向の力、即ち、ローディングカムのカム作用によって伝達トルクに応じて発生するディスク間の押し付け力に起因した分離力や、主軸方向の力が作用する。しかしながら、ヨークが、ケーシングに取り付けられたポストに対して中央部において位置規制された状態で揺動可能に嵌合し且つ両端部において両トラニオンの対向する端部同士を揺動可能に連結しているため、これらパワーローラに働く力は、従来と同様にトラニオン、ヨーク及びポストを介してケーシングに支持され、ロッドと嵌入部とを介して伝達される割合は小さい。ロッドと嵌入部とによりトラニオンの傾転軸位置が規制され、且つラジアル軸受はトラニオンの傾転軸方向移動と傾転軸回りの回動を許容するので、入出力ディスクとパワーローラとが所定の位置関係に保たれる。したがって、変速比は安定して維持され、パワーローラのディスクとの接触部は所定の位置に保持される。 【0030】前記ラジアル軸受は、滑り軸受とするのが、トラニオンの傾転軸方向移動と傾転軸回りの回動を許容する構造として簡単で且つ低コストで製作する上で好ましい。また、前記ロッドは、前記各トラニオンの前記両端部から一体的に延びて形成され、前記嵌入部は前記ケーシングに形成される。前記ロッドの径は、前記トラニオンの前記端部の径より小さくすることが好ましい。 【0031】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明によるトロイダル型無段変速機の実施例について説明する。図1はこの発明によるトロイダル型無段変速機の一実施例を主軸を含む平面で切断した断面図、図2は図1に示すトロイダル型無段変速機のヨークを含む一部を取り出して示した斜視図である。図1に示すトロイダル型無段変速機において、基本的な構造については、図4に示した従来のトロイダル型無段変速機におけるトロイダル変速部の構造と変わるところがないので、同じ構成要素には同じ符号を付して、重複する説明を省略する。 【0032】図1に示したトロイダル型無段変速機においては、各トラニオン33,37の上下の両端部65,65には、傾転軸11と同心となるロッド70が一体的に突出した状態、好ましくは一体的に成形して設けられている。トロイダル変速部1の一方のトラニオン33に設けられ且つ先端にプリセスカム56が配設されている軸は、そのまま、ロッド70として利用することができる。各ロッド70は、変速機のケーシング25に形成された嵌入部72に対して、傾転軸11の軸方向の移動と傾転軸11の回りの回動とを許容するラジアル軸受71を介して支持されている。即ち、トラニオン33,37はラジアル軸受71を介した嵌合部によってケーシング25に支持されている。下側のロッド70に関して、ケーシング25はシリンダ42,46であり、この場合、油圧シリンダ室43A,43B,47A,47Bにおける油が外部に漏洩しないように、シリンダ42,46とロッド70との間には、ラジアル軸受71と共にシールが設けられる。 【0033】各トラニオン33,37は、嵌入部72において傾転軸11の軸心位置が規制される。したがって、トラニオン33,37は、従来ヨーク60に対して存在していたようなガタツキをすることがない。ローディングカム18により入力軸からの伝達トルクに応じて発生するパワーローラ6,9と入出力ディスク4,5,7,8との間の押付け力に起因して、互いに対向するトラニオン33,33及びトラニオン37,37を遠ざける分離力や、主軸3方向の力が作用するが、これらの力は、従来と同様にそれぞれ各ヨーク80から対応するポスト81に受けられるために、上記の分離力や軸方向力がトラニオン33,37に取り付けられた各ロッド70に作用する割合は小さい。ラジアル軸受71は、トラニオン33,37の傾転軸11の軸方向移動と傾転軸11の軸回りの回動を許容する構造として簡単で且つ低コストで製作する観点から、滑り軸受とするのが好ましい。 【0034】トラニオン33,37の傾転軸11の軸線位置は、ロッド70が嵌入部72にラジアル軸受71を介して嵌合することでケーシング25にガタつくことなく規制されるので、入出力ディスク4,5,7,8とパワーローラ6,9とが所定の位置関係に保たれる。その結果、トロイダル型無段変速機の変速比は安定して維持され、パワーローラ6,9の耐久性が低下することもなく、トロイダル型無段変速機の耐久信頼性が高くなる。各ロッド70は、各トラニオン33,37の端部65の軸径に比較して細く設定されているので、トラニオン33,37に作用する分離力等の力を支持しトラニオン33,37の変位に対応するためにヨーク80に生じる微小な変形や変位は、ロッド70の弾性変形によって吸収される。トラニオン33,37はロッド70がラジアル軸受71を介してケーシング25に規制されているが、そのことでヨーク80の機能が損なわれることはない。 【0035】また、図2に示すように、ヨーク80のポスト81回りの位置規制をポスト81自体で行う必要が無くなるので、平面を形成するためのポスト81の面削ぎ加工やポスト81のケーシング25への取付け時の位置規制などが不要である。ポスト81に装着されるヨーク80の中央部の形状も、従来の図5に示す内面67、68を備えた角穴から、面削ぎ加工がされない球状の係合部84が嵌合する嵌合孔82も両端の円形孔83と同様、加工の容易な丸孔にすることができ、ヨーク80及びポスト81の加工コストを低減することができる。なお、ロッド70をケーシング25側に設け、ロッド70が嵌入する嵌入部72をトラニオン33,37の端部65に設けてもよい。 【0036】 【発明の効果】この発明によるトロイダル型無段変速機は、上記のように、各トラニオンの両端部とケーシングのいずれか一方に設けられたロッドを、各トラニオンの両端部とケーシングの他方に設けられた嵌入部にラジアル軸受を介して支持させたので、各トラニオンの傾転軸方向移動と傾転軸回りの回動を許容しつつ各トラニオンの傾転軸位置がロッド、ラジアル軸受及び嵌入部から成る嵌合部を介してケーシングによって規制され、ヨークに対するガタツキが防止される。一方、対向するトラニオンに働く分離力や、主軸方向に加わる力は、従来と同様にトラニオンを介してヨークとポストによって支持されるので、嵌合部には大きな力が作用しない。トラニオンの傾転軸位置は嵌入部により規制されるので、入出力ディスクとパワーローラとが所定の位置関係に保たれ、変速比を安定して維持することができ、パワーローラのディスクとの接触部の所定の位置を保持され、パワーローラのディスクとの接触部の所定の位置が保持されるので、パワーローラの耐久性が低下することのない耐久信頼性の高い無段変速機が提供される。更に、ヨークのポスト回りの位置規制をポストで行う必要が無くなるので、ポストの面削ぎ加工やポスト取付け時の位置規制などが不要となり、ヨークのポスト装着部の孔形状も角孔から加工の容易な丸孔にすることができるので、加工コストも低下する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000170 【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月15日(1999.10.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100108567 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 雅夫
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| 【公開番号】 |
特開2001−116096(P2001−116096A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月27日(2001.4.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−293436 |
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