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【発明の名称】 可変プーリーの品質管理装置
【発明者】 【氏名】玉井 利幸

【氏名】鈴木 敏一

【氏名】大原 豊司

【要約】 【課題】本発明は、高い精度で、組み込まれたボールが適切であるか否かの判断が行える可変プーリーの品質管理装置を提供する。

【解決手段】本発明の可変プーリーの品質管理装置は、可変プーリー8の固定シーブ1を押え付けて拘束するシーブ押え機構35を設け、この押え付けた固定シーブ1から可動シーブ3を軸部2にならって変位させるシーブ移動機構35を設け、この変位に伴う荷重を検出するロードセル42および同検出した荷重からボールスプラインの摺動抵抗を演算処理して求める演算回路部61を設けて、計測されるボールスプラインの摺動抵抗値から、選択されたボール6が適正であるか否かの判定を行うようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定シーブの軸部に周囲複数箇所のボールスプラインを介して可動シーブを摺動可能に外挿してなる可変プーリーの品質を管理する装置であって、前記可変プーリーを構成する前記固定シーブおよび前記可動シーブのうちの一方を拘束する拘束手段と、前記一方が拘束された状態から、他方を軸方向に変位させる移動手段と、前記変位に伴う前記ボールスプラインの摺動抵抗を計測する計測手段とを具備してなることを特徴とする可変プーリーの品質管理装置。
【請求項2】 固定シーブの軸部に周囲複数箇所のボールスプラインを介して可動シーブを摺動可能に外挿してなる可変プーリーの品質を管理する装置であって、前記可変プーリーを前記固定シーブの軸部端が上側に向く所定の向きにセットするセット部と、前記軸部端を押える軸端押え部が第1フローティング部を介して前記セット部の上方に昇降可能に配置されてなり、該軸端押え部の下降動作により前記軸部端を押え付ける押え付け機構と、前記可動シーブの外周複数箇所を下側から支える爪部が第2フローティング部を介して昇降可能に吊持されてなり、前記爪部の昇降動作により前記可動シーブを前記固定シーブの軸部沿いに変位させるシーブ移動機構と、前記可動シーブが変位したときの荷重を検出するロードセルと、前記ロードセルの検出荷重から前記ボールスプラインの摺動抵抗を求める演算手段と、を具備してなることを特徴とする可変プーリーの品質管理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベルト式無段変速機に用いられる可変プーリの品質を管理する可変プーリの品質管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車(車両)の変速機には、プーリー径が可能な一対の溝幅可変プーリー(駆動側、従動側)間に環状のベルトを掛け渡して、プーリー径の変化により、無段階に変速比が変えられるようにしたベルト式のCVT(無段変速機)がある。
【0003】このCVTに用いられる可変プーリーは、いずれも軸部が形成された固定シーブを用い、この固定シーブの軸部に可動シーブをスプラインを介して摺動自在に組合わせる構造が用いられている。これにより、可動シーブが軸部に沿って変位すると、溝幅が可変して、ベルトへの接触半径を変化させ、必要な変速比が得られるようにしてある。
【0004】こうした可変プーリーのスプラインには、一般的にボールスプラインが用いられている。具体的には、図3および図4に示されるように固定シーブ1に形成されている軸部2の外周面と、これと対向する可動シーブ3に形成されているハブ4の内周面との複数個所、例えば周方向の均等な3個所に、互いに向き合うボール溝5a,5bをそれぞれ形成し、これら3列の各ボール溝5a,5b内にボール6(鋼球)を複数、例えば3個づつ挿入した構造が採用されている。
【0005】ところで、ボールスプラインのボール溝5a,5bには、固定シーブ1および可動シーブ3の製造に伴う誤差や、ボール溝5a,5bの加工に伴う誤差が含まれている。
【0006】こうした誤差を吸収するために、ボール6の組み付けには、従来、予め異なる寸法毎のボール6(例えば2ミクロン毎に径が異なる複数のボール)を用意しておき、ボール溝5a,5bで形成される孔径を計測してから、この計測した孔径に対してガタがゼロ(クリアランス無しか、タイト)となる径寸法(タイトに近い寸法)のボール6を選択して、同ボール6をボール溝5a,5b内へ圧入にすることが行なわれている。
【0007】ところで、可変プーリー8は、品質管理のために、ボール6を圧入した後で、適正なボール6が組込まれたかを確認することが求められる、そこで、従来、ボール6を組み込んだボール溝5a,5b間のガタ(バックラッシュ)を計測して、適正なボール径が選択されたか否かを検査する提案がなされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ボール6を組込む際には、何らかの原因で、必要以上にタイトなボール6、すなわち計測した値に対して必要以上に大きなボール6が選択されて、ボール溝5a,5b間に圧入されることがある。
【0009】ところが、上述の品質管理の技術だと、計測した値に対してルーズなボール6を選択したときは、「ガタ有」からルーズなボール径が組込まれていると判断できるが、タイト過ぎるボール6を選択したときは、適正なボール6が選択されたときと同じ「ガタ無」と判断されるために、タイト過ぎる場合は品質の良否の判断が行えない。
【0010】このようなタイト過ぎるボール6が組込まれてしまうと、可変プーリー8の溝幅を可変するときの機械損失が大きくなるだけでなく、ボール6の負担も大きくなってボール寿命にも影響を与えてしまう。
【0011】そこで、ボール6を圧入するときの荷重(圧入荷重)から、可変プーリー8の品質管理を行うことが提案されている。
【0012】これは、三つのボール溝うちの一つに、位置決め用ボールを挿入した後、残る二つのボール溝内に複数個のボールを入れて合わせてから、位置決め用ボールを抜いてそのボール溝内に複数個のボールを入れて、最後のボールの圧入荷重を計測するようにした技術である。
【0013】しかし、最後に組込まれるボールの荷重が一番高いとは限らないので、先のガタを計測する技術と同様、正しい判断が行えない。
【0014】本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、高い精度で、組み込まれたボールが適切であるか否かの判断が行える可変プーリーの品質管理装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1の品質管理装置は、可変プーリーの固定シーブおよび可動シーブのうち一方を拘束する拘束手段を設け、一方が拘束された状態から他方を軸方向に変位させる移動手段を設け、変位に伴うボールスプラインの摺動抵抗を計測する計測手段を設けて、計測されるボールスプラインの摺動抵抗値から、選択されたボールが適正であるか否かの判定が行えるようにした。
【0016】すなわち、ボール溝の孔径に対してルーズなボールが選択されていたのであれば、計測されたボールスプラインの摺動抵抗は小となる。また反対にタイト過ぎるボールが選択されていたのであれば、計測されたボールスプラインの摺動抵抗は大となる。
【0017】つまり、ルーズなボールからタイト過ぎるボールまでのどのようなボールでも、摺動抵抗の差から、適切なボールの選択が行なわれたか否かの判断が行える。
【0018】請求項2に記載の品質管理装置は、上記目的に加え、簡単な構造で、より高精度で正しいボールの選択が行われた否かの判断が行えるよう、可変プーリーを固定シーブの軸部端が上側に向く所定の向きにセットするセット部を設け、軸部端を押える軸端押え部が第1フローティング部を介してセット部の上方に昇降可能に配置されてなり、該軸端押え部の下降動作により軸部端を押え付ける押え付け機構を設け、可動シーブの外周複数箇所を下側から支える爪部が第2フローティング部を介して昇降可能に吊持されてなり、爪部の昇降動作により可動シーブを固定シーブの軸部沿いに変位させるシーブ移動機構を設け、可動シーブが変位したときの荷重を検出するロードセルを設け、ロードセルの検出荷重からボールスプラインの摺動抵抗を求める演算手段を設けて、選択されたボールが適正であるか否かの判定が行えるようにした。
【0019】すなわち、セット部に、固定シーブの軸部端が上側に向くよう可変プーリーをセットした後、押え付け機構で軸端押え部を下降させ、同軸端押え部で固定シーブの軸部端を押え付ける。このとき、押え付け部は、第1フローティング部に接続してあるから、たとえ押え付け機構側とが微妙に傾いていたとしても、その傾きの影響は固定シーブには加わらない。
【0020】この後、シーブ移動機構で、可動シーブの外周複数箇所を爪部にて下側から抱きかかえるよう支持して持ち上げたり、下降させたりする。このとき、爪部は、第2フローティング部に吊持してあるから、たとえシーブ移動機構側が微妙に傾いていたとしても、その傾きの影響を受けずに、可動シーブは固定シーブの軸部にならって昇降する。
【0021】このときの荷重がロードセルで検出される。そして、演算手段により、無用な荷重成分を取り除くように演算処理することにより、ボールスプラインの摺動抵抗が求められる。
【0022】これにより、簡単な構造で、固定シーブや可動シーブに誤差の要因となる無用な外力を与えずに、請求項1のときと同様、摺動抵抗の差から、可変プーリーに組み付けられたボールの認識が行え、適切なボールの選択が行なわれたかの判断高い精度で行える。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1および図2に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0024】図1は例えばベルト式の無段変速機(以下、CVTという)を組み立てる工場の製造ラインの一部を示していて、図中10は同製造ラインの搬送路、11は同搬送路1に沿ってX矢印方向に搬送されるパレット、12は同パレット11の上面に組み付けられたプーリー支え治具12(セット部に相当)を示す。
【0025】プーリー支え治具12には、図示しない前段のシーブ組立作業ステーションで行なわれた作業により、可変プーリー8が、所定の姿勢、すなわち固定シーブ1の軸部端が上側に向くように組み付けてある。可変プーリー8は、図3に示した構造と同じなので、図3を流用して各部の説明を省略する。なお、プーリー支え治具12に組み付けられたときの可変プーリー8は、固定シーブ1の軸部2と可動シーブ3のハブ4とのボール溝5a,5b内に、選択したボール6を圧入してあるだけの状態である。
【0026】一方、αは例えば上記シーブ組立作業ステーションの直後の地点に形成された作業ステーション、20は同作業ステーションαに据付けられた品質管理装置を示している。品質管理装置20は、作業ステーションαで停止したパレット11の上方となる地点に据付けてある。
【0027】品質管理装置20について説明すれば、21は、停止したパレット上方の地点に形成してある据付部βに据付けられた支持用天板を示す。この支持用天板21の下面には、例えば同下面から下がる一対のロッド部材22を介して、例えばプレート状に形成されたシリンダ支持台23が水平状態で吊持してある。このシリンダ支持台23の中央部には、シャフト固定用シリンダー24(駆動源)が下向きで据付けてある。シリンダー24のピストン25は、作業ステーションαで停止した固定シーブ1の軸部端中央と対応する地点に位置決めてある。そして、このピストン25が、シリンダ支持台23を貫通して、下方へ延びている。このピストン25の先端部には、フローティング機構26(例えばユニバーサルジョイント等で構成されもので、第1フローティング部に相当)を介して、例えばロッド状の軸端押え部材27(軸端押え部に相当)の自由自在に吊持(連結)されている。この軸端押え部材27の下側に向く先端部は、先端にいくにしたがって細くなるよう錐状に形成してある。そして、この先端の錐状部27aで、図3に示されるように固定シーブ1の軸部端中央に開口している油孔7(小径)の開口縁と係脱可能な部分を形成している。
【0028】一方、28は、ピストン25をガイドするガイド機構を示す。このガイド機構28は、例えばシャフト固定用シリンダー24を挟む両側のシリンダ支持台23部分とシャフト固定用シリンダー24の後端に取付けた支持部材29との上下2部材間に渡り、一対の平行なスライドロッド30を摺動自在に貫通し、これらロッド30の下端間に受台31を支持させ、同受台31で、フローティング機構26の一次側(ピストン側)を固定した構造が用いられ、ピストン25が進退すると、それに追従してフローティング機構26の一次側が位置決めされつつ昇降するようにしてある。これで、ピストン25の先端側を、停止した固定シーブ1の軸部2端中央(油孔7)へ向かって昇降させるようにしてある。そして、このピストン25の下降により、軸端押え部27の先端が軸部2端の油孔7へ差し込まれ、同油孔9の開口縁と係止するようにしてある。
【0029】こうしたシリンダ24、フローティング機構26、軸端押え部材27、ガイド機構28の組み合せにより、可変プーリー8の軸部端を上側から押え付ける押え付け機構33、すなわち固定シーブ1を拘束する機構を構成している(拘束手段)。なお、受台31の中央からは、軸端押え部材27が移動自在に貫通する。
【0030】他方、35はシーブ移動機構(移動手段)を示す。このシーブ移動機構35は、シリンダ24と隣接する支持用天板21の下面に据付けた昇降駆動部36と、この昇降駆動部36によって昇降されるシーブ支え部50とを有して構成されている。
【0031】このうち昇降駆動部36について説明すれば、37は支持用天板21の下面に固定された下方へ延びるフレーム部材である。このフレーム部材37のシリンダ24側の側部には、例えば上下一対のスライド子38aが組み付けられたガイドレール38が上下方向に沿って形成されている。両スライド子38aには、下側へ延びるアーム39を介して、例えばプレート状に形成されたシーブ支え部用フレーム40が連結されている。このフレーム40は、アーム39端から受台31の下側へ向かって張り出していて、このフレーム40の下面に上記シーブ支え部50が組み付けてある。そして、フレーム40の中央に形成してある通孔40aから、軸端押え部材27の先端側が下方へ突き出ている。
【0032】ガイドレール38の上端側のフレーム部材37部分には、サーボモータ41(駆動源)が下向きに設置されている。このサーボモータ41の出力軸41aには、ロードセル42を介して、下方に延びるねじ軸43が連結されている。このねじ軸43のねじ部が、片側のスライド子、例えば上側のスライド子38aに進退可能に螺挿してある。この螺挿により、サーボモータ39でねじ軸43が回転されると、スライド子38aが上下方向に変位して、シーブ支え部50の全体が昇降するようにしてある。
【0033】シーブ支え部50について説明すれば、52は、フレーム40の下側に配置されたプレート状の支持部材である。この支持部材52は、可変プーリー8の軸心を挟んだ両側の部分が、それぞれフローティング機構53(例えばユニバーサルジョイントで構成され、第2フローティング部に相当)を介して、フレーム40の下面に自由自在に吊持されている。支持部材52の下面外周側には、複数の伸縮駆動部、例えば3つのシリンダー54が放射状に取付けられている(図中では二つしか図示していない)。これらシリンダー54は、いずれもピストン54aが内方に向くように配置してある。これらピストン54aの先端部には、下端部に上下一対の爪56をもつI状のアーム55が取付けられている。そして、これらアーム55とシリンダー54との組み合せから、放射方向に沿って開閉可能なチャック57(爪部に相当)を構成している。むろん、各爪56は互い内方に向き合うように配置してある。チャック57の爪群は、各シリンダー54の進退動作により、爪56の股部が可動シーブ3のプーリー部外周端と接近する地点と、爪56の先端が可動シーブ3の外周端から遠ざかる位置との間を開閉するようにしてある。また各爪56の股部距離(間隔)は、いずれも可動プーリー8のプーリー部外周縁部の厚み寸法より大きく設定されていて、各爪56により、可動シーブ3を、径方向からクランプするような力を与えずに下側から抱きかかえられるようにしてある。そして、この爪56による可動シーブ3の抱きかかえと、サーボモータ41によるシーブ支え部50の上昇動作との組み合わせにより、固定シーブ1と組み合っている可動シーブ3を、抜き出す方向へ、軸部2の軸心に沿って移動できるようにしてある。
【0034】すなわち、シリンダー24、サーボモータ41、シリンダー54は、いずれも制御部60(例えばマイクロコンピュータよりなる)に設定されているプログラムしたがって、所定に動作が制御されるようになっている。具体的には、制御部60には、例えばa.軸端押え部材27と開状態の爪56との両者を搬送路10の上方の待機位置で待機させるモードb.作業ステーションαでパレット11が停止すると、シリンダー24を所定量、下降動作させ、軸端押え部材27の先端部を固定シーブ1の軸端中央の油孔7へ差し込んでクランプするモード。
【0035】c.同じくパレット11が停止すると、サーボモータ41を作動させ、爪56を所定量、下降させ、各爪56の股部を可動シーブ3の外周縁部に向き合せるモード。
【0036】d.爪56の下降後、各シリンダー54を所定量、伸長動作させ、可動シーブ3の外周縁部に各爪56を遊嵌させるモード。
【0037】e.爪56の遊嵌後、サーボモータ41を作動させ、爪56を設定速度で所定に上昇させるモード。
【0038】といった各モードが設定されていて、これで拘束されている固定シーブ1から可動シーブ3だけをボールスプラインの摺動方向沿いに移動させるようにしてある。
【0039】なお、支持部材52の中央部には、固定シーブ1の軸部2が挿通自在な通孔52aが形成してあり、支持部材52全体を可動シーブ3の軸端に近づけられるようにしてある。また通孔52aの下部開口縁には、可動シーブ3の上昇中にボール溝5a,5bからボール6が飛び出さないないように規制するためのスプリングバック部材52bが取付けてある。
【0040】一方、ロードセル42には、同ロードセル42で検出される可動シーブ3が変位するときの荷重から、ボールスプライン(ボール溝5a,5b、ボール6からなる)の摺動抵抗を算出する摺動抵抗算出部61(演算手段、計測手段に相当)が接続されている。これにより、ボールスプラインの摺動抵抗を計測する計測器を形成している。また摺動抵抗算出部61には、算出した摺動抵抗値と、予め設定された摺動抵抗の値、すなわち適正に選択したボール6を用いたときの適正摺動抵抗範囲値とを対比するボール選択判定部62が接続されている。これら機能により、ボールスプラインに適切なボール6が選択されたか否かの判定が行えるようにしている。
【0041】この判定について詳述すれば、今、可変プーリー8(選択されたボール6が圧入されたときまでの状態)が組み付けられたパレット11が作業ステーションαに到達し、同ステーションαで位置決め停止したとする。
【0042】すると、制御部60の制御により、シャフト固定用シリンダー24が、所定量、伸長動作され、上方で待機していた軸端押え部材27を、図2(a)に示されるように固定シーブ1の軸部2端中央へ向かって下降させる。これにより、軸端押え部材27の先端の錐状部27aは、軸端中央で開口している油孔7内へ差し込まれる。軸端押え部材27は、錐状部27aの斜面が油孔7の開口縁と押し当たる地点で止る。この軸端押え部材27で行われる押え付けにより、固定シーブ1は、軸方向からクランプされ、固定シーブ全体がプーリー支え治具12(パレット)から動かないように拘束される。このとき、軸端押え部材27の基部は、フローティング機構26に連結してあるから、たとえ多少、シリンダー24のピストン25が傾いていたとしても、また油孔7の位置が多少ずれていたとしても、固定シーブ1は、その影響を受けずに所定の直立姿勢に保持される。
【0043】サーボモータ41は、上記制御部60の制御により、例えばシャフト固定用シリンダー25の伸長動作に連動して例えば下降回転側に作動され、開状態にあるチャック57を待機位置から所定量、下降させる。これにより、図2(b)に示されるようにチャック57は、各爪56の股部が、可動シーブ3のプーリー部の外周端と向き合う地点で停止する。
【0044】続いて、制御部60の制御により、各シリンダー54が、所定量、伸長動作される。これにより各爪56は、図2(c)に示されるように該爪56の股部が可動シーブ3のプーリー部外周端と近接する地点で停止され、各爪56の先端側を同可動シーブ3のプーリー部外周縁を挟む両側(上下)に位置決める。
【0045】ついで、サーボモータ41が上昇方向側に回転し、チャック57を設定速度で上昇させる。
【0046】すると、図2(d)に示されるように可動シーブ3は、各爪56により、下側から抱きかかえられるように持ち上げられる。
【0047】ここで、ボール溝5a,5b内のボール6は、スプリングバック部材52bで動きが規制されるので、可動シーブ3の持ち上げるとき、ボール溝5a,5b内から飛び出ない。
【0048】この持ち上げの際、チャック57はフローティング機構53で吊持されているから、可動シーブ3は、たとえシーブ支え部用フレーム40が多少傾いていたとしても、それに影響されずに、固定シーブ1の軸部2にならって軸心沿いに持ち上げられる。
【0049】このときの荷重がロードセル42で検出される。この検出した荷重には、各機構の各部構成部分の自重や可動シーブ3の自重等といった、ボールスプラインの摺動抵抗以外の荷重成分が含まれている。
【0050】そこで、摺動抵抗算出部61で、計測した荷重から各部の自重を減算する等の演算処理が行われ、可変プーリー8におけるボールスプラインの摺動抵抗を算出する。つまり、ボールスプラインの摺動抵抗の検出が行われる。
【0051】そして、ボール選択判定部62にて、算出されたボールスプラインの摺動抵抗値と、予め設定された摺動抵抗の値、すなわち適正に選択したボール6を用いたときの適正摺動抵抗範囲値との対比が行われる。
【0052】このとき、ボール溝5a,5bの孔径に対してルーズなボール6が選択されていたのであれば、計測されたボールスプラインの摺動抵抗は小となる。また反対にタイト過ぎるボールが選択されていたのであれば、計測されたボールスプラインの摺動抵抗は大となる。
【0053】つまり、計測されたボールスプラインの摺動抵抗値が、設定された適正摺動抵抗範囲値より、小さいか大きいかの判定(摺動抵抗の差)により、ルーズなボール6からタイト過ぎるボール6までのどのようなボール6でも認識でき、適切なボール6の選択が行なわれたか否かの判定ができる。
【0054】それ故、高い精度、選択されたボール6に対する適正な判断ができ、可変プーリー8の無用な機械損失を低減、さらにはボール6に加わる無用な負担も低減できる。
【0055】しかも、品質管理装置は、フローティング機構26が付いた押え付け機構33、フローティング機構53が付いたシーブ移動機構35、ロードセル42、演算手段を組合わせて、上下方向の姿勢から可動シーブ3を固定シーブ1から抜き出る方向へ変位させる構造なので、簡単な構造で、固定シーブ1や可動シーブ3に誤差の要因となる無用な外力を与えずに、高い精度で、適切なボール6の選択が行なわれたかの判断ができる。
【0056】なお、上述した一実施形態では、固定シーブを拘束して、可動シーブを移動させることによってボールスプラインの摺動抵抗を計測するようにしたが、構造さえ許せば、反対に可動シーブを拘束し、固定シーブを移動させてボールスプラインの摺動抵抗を計測してもよい。
【0057】また一実施形態では、シーブを持ち上げるときのみ(上昇でのみ)で、ボールスプラインの摺動抵抗を計測するようにしたが、シーブを下降させるときにもボールスプラインの摺動抵抗を計測してもよく、またシーブの持ち上げ(上昇)および下降の両方でボールスプラインの摺動抵抗を計測し、これを数回繰り返し行い、平均化するようにしてもよい。むろん、実際のワーク(ボールスプライン)はウェット状態であるので、オイル又はグリス塗布状態で計測するようにすれば、より有効な摺動抵抗の計測が行われることはいうまでもない。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、計測されたボールスプラインの摺動抵抗値の差から、ルーズなボールからタイト過ぎるボールまでのどのようなボールでも、適正なボールの選択が行なわれたかの判断ができ、高い精度で、可変プーリ組み込まれたボールが適切であるか否かの判断ができる。
【0059】請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、簡単な構造で、かつ固定シーブや可動シーブに誤差の要因となる無用な外力を与えずに、高い精度で、適切なボールの選択が行なわれたかの判断ができる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成11年10月18日(1999.10.18)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外3名)
【公開番号】 特開2001−116091(P2001−116091A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願平11−295450