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【発明の名称】 遊星歯車変速装置及び電動機
【発明者】 【氏名】孝橋 保郎

【氏名】弓山 茂

【要約】 【課題】高強度を有すると共に、製造の容易な遊星歯車変速装置及びこれを用いた電動機を提供することにある。

【解決手段】遊星歯車変速装置11は、互いに軸心が同一であり,太陽歯車を構成する内歯車18及び外歯車19と、これら内歯車18と外歯車19との間で内歯車及び外歯車に噛み合いつつ回転する遊星歯車20と、この遊星歯車20を回転自在に保持する遊星保持体4bとを有している。遊星歯車20は、遊星保持体が回転自在保持するための中心穴20aと外周歯形20bを設けた中空円筒形状であり、遊星保持体側の端部外周歯形側に鍔テーパ部20cを備えている。また、内歯車18は、内周部に歯形18bを設けた中空円筒形状であり、反遊星保持体側の内周歯形側に鍔テーパ部18cを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】互いに軸心が同一であり,太陽歯車を構成する内歯車及び外歯車と、これら内歯車と外歯車との間で内歯車及び外歯車に噛み合いつつ回転する遊星歯車と、この遊星歯車を回転自在に保持する遊星保持体とを有する遊星歯車変速装置において、上記遊星歯車は、上記遊星保持体が回転自在保持するための中心穴と外周歯形を設けた中空円筒形状であり、遊星保持体側の端部外周歯形側に鍔テーパ部を備えることを特徴とする遊星歯車変速装置。
【請求項2】互いに軸心が同一であり,太陽歯車を構成する内歯車及び外歯車と、これら内歯車と外歯車との間で内歯車及び外歯車に噛み合いつつ回転する遊星歯車と、この遊星歯車を回転自在に保持する遊星保持体とを有する遊星歯車変速装置において、上記内歯車は、内周部に歯形を設けた中空円筒形状であり、反遊星保持体側の内周歯形側に鍔テーパ部を備えることを特徴とする遊星歯車変速装置。
【請求項3】互いに軸心が同一であり,太陽歯車を構成する内歯車及び外歯車と、これら内歯車と外歯車との間で内歯車及び外歯車に噛み合いつつ回転する遊星歯車と、この遊星歯車を回転自在に保持する遊星保持体とを有する遊星歯車変速装置において、上記遊星歯車は、遊星保持体側の端部外周歯形側に鍔テーパ部を備え、反遊星保持体側の端部外周歯形側にだれテーパ形状部を備え、上記内歯車は、反遊星保持体側の内周歯形側に鍔テーパ部を備え、遊星保持体側の内周歯形側にだれテーパ形状部を備え、上記遊星歯車の鍔テーパ部を上記内歯車のだれテーパ形状部に対向させ、上記遊星歯車のだれテーパ形状部を上記内歯車の鍔テーパ部に対向させた上で、上記遊星歯車の外周歯形が上記内歯車の内周歯形と噛み合うことを特徴とする遊星歯車変速装置。
【請求項4】回転軸と、この回転軸とともに回転する回転子と、この回転子の外周側に設けられた固定子と、上記回転軸の回転を変速して伝達する変速機とを有し、上記変速機は、互いに軸心が同一であり,太陽歯車を構成する内歯車及び外歯車と、これら内歯車と外歯車との間で内歯車及び外歯車に噛み合いつつ回転する遊星歯車と、この遊星歯車を回転自在に保持する遊星保持体とを有する電動機において、上記遊星歯車は、上記遊星保持体が回転自在保持するための中心穴と外周歯形を設けた中空円筒形状であり、遊星保持体側の端部外周歯形側に鍔テーパ部を備えることを特徴とする電動機。
【請求項5】回転軸と、この回転軸とともに回転する回転子と、この回転子の外周側に設けられた固定子と、上記回転軸の回転を変速して伝達する変速機とを有し、上記変速機は、互いに軸心が同一であり,太陽歯車を構成する内歯車及び外歯車と、これら内歯車と外歯車との間で内歯車及び外歯車に噛み合いつつ回転する遊星歯車と、この遊星歯車を回転自在に保持する遊星保持体とを有する電動機において、上記内歯車は、内周部に歯形を設けた中空円筒形状であり、反遊星保持体側の内周歯形側に鍔テーパ部を備えることを特徴とする電動機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遊星歯車変速装置及びこの遊星歯車変速装置を用いた電動機に係り、特に、自動車用スタータなどに用いるに好適な遊星歯車変速装置及び電動機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の自動車用スタータにおいては、小型のモータを用いる一方で、駆動トルクを大きくするために、モータの回転駆動力を減速して伝達する変速装置を用いている。従来の自動車用スタータにおいて用いられる変速装置としては、通常の歯車機構を用いた2軸式のものと、遊星歯車を用いた同軸式のものが知られているが、近年では、小型軽量化が可能な遊星歯車変速装置を用いた自動車用スタータが広く用いられるようになっている。
【0003】一般に、遊星歯車変速装置は、外歯車(太陽歯車),内歯車,遊星歯車から構成されているが、従来の遊星歯車としては焼結品が用いられている。また、例えば、特開平10ー205422号公報に記載されているように、遊星歯車を、歯部を有する外側円筒部と、軸に支承される内側円筒部と、両円筒部を連結する連結板部とから構成し、外側円筒部と内側円筒部との間に中空空間を設けて断面を略コ字状になるようにして成形するものも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、焼結品や特開平10ー205422号公報に記載されているような遊星歯車では、歯数を小さくしようとすると、強度不足が発生し易いという問題があった。即ち、最近の自動車用スタータに用いられる遊星歯車変速装置の減速比は、例えば、6.0程度である。それに対して、従来から用いられている2軸式の変速装置の減速比は、2.5〜4.0程度である。
【0005】遊星歯車変速装置における減速比は、内歯車の歯数(Z内)と、太陽歯車(外歯車)の歯数(Z太)から、減速比=(Z内)/(Z太)+1として求められる。ここで、遊星歯車変速装置の減速比を、2軸式並に低くしようとするためには、内歯車の歯数(Z内)を小さくすることが必要となる。
【0006】また、内歯車の歯数(Z内)と、太陽歯車の歯数(Z太)と、遊星歯車の歯数(Z遊)の関係は、(Z内)=(Z太)+2×(Z遊)
で表されることから、内歯車の歯数(Z内)を小さくするためには、遊星歯車の歯数(Z遊)を小さくする必要がある。
【0007】一般に、遊星歯車は軸受等によって支承されているため、遊星歯車の歯数を小さくするために、遊星歯車の外径を小さくすると、遊星歯車の中心穴径と外周歯底径間の肉厚が薄くなる。遊星歯車が焼結品の場合には、この肉厚が薄くなると、強度不足が発生し易いという問題があった。
【0008】また、特開平10ー205422号公報に記載されているような遊星歯車においては、外側円筒部と内側円筒部との間に中空空間を設けて断面を略コ字状になるように成形する場合、略コ字状断面の角部は応力集中形状であり、駆動時に曲げ荷重がかかるため、強度が低下して、断面角部が疲労破壊するという問題があった。また、遊星歯車は、絞り加工により成形しているため、反連結板部側端面が平面となるように歯車成形できないため、後加工が必要となり、製造工程が煩雑化するという問題もあった。
【0009】本発明の目的は、高強度を有すると共に、製造の容易な遊星歯車変速装置及びこれを用いた電動機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】(1)上記目的を達成するために、本発明は、互いに軸心が同一であり,太陽歯車を構成する内歯車及び外歯車と、これら内歯車と外歯車との間で内歯車及び外歯車に噛み合いつつ回転する遊星歯車と、この遊星歯車を回転自在に保持する遊星保持体とを有する遊星歯車変速装置において、上記遊星歯車は、上記遊星保持体が回転自在保持するための中心穴と外周歯形を設けた中空円筒形状であり、遊星保持体側の端部外周歯形側に鍔テーパ部を備えるようにしたものである。かかる構成により、遊星歯車は一体構造であるとともに鍔テーパ部付き形状であるので高強度にできるとともに、中空円筒ブランクからの1回冷間押し出し成形仕上げが可能となるため、製造が容易に行えるものとなる。
【0011】(2)上記目的を達成するために、本発明は、互いに軸心が同一であり,太陽歯車を構成する内歯車及び外歯車と、これら内歯車と外歯車との間で内歯車及び外歯車に噛み合いつつ回転する遊星歯車と、この遊星歯車を回転自在に保持する遊星保持体とを有する遊星歯車変速装置において、上記内歯車は、内周部に歯形を設けた中空円筒形状であり、反遊星保持体側の内周歯形側に鍔テーパ部を備えるようにしたものである。かかる構成により、内歯車は一体構造であるとともに鍔テーパ部付き形状であるので高強度にできるとともに、中空円筒ブランクからの1回冷間押し出し成形仕上げが可能となるため、製造が容易に行えるものとなる。
【0012】(3)上記目的を達成するために、本発明は、互いに軸心が同一であり,太陽歯車を構成する内歯車及び外歯車と、これら内歯車と外歯車との間で内歯車及び外歯車に噛み合いつつ回転する遊星歯車と、この遊星歯車を回転自在に保持する遊星保持体とを有する遊星歯車変速装置において、上記遊星歯車は、遊星保持体側の端部外周歯形側に鍔テーパ部を備え、反遊星保持体側の端部外周歯形側にだれテーパ形状部を備え、上記内歯車は、反遊星保持体側の内周歯形側に鍔テーパ部を備え、遊星保持体側の内周歯形側にだれテーパ形状部を備え、上記遊星歯車の鍔テーパ部を上記内歯車のだれテーパ形状部に対向させ、上記遊星歯車のだれテーパ形状部を上記内歯車の鍔テーパ部に対向させた上で、上記遊星歯車の外周歯形が上記内歯車の内周歯形と噛み合うようにしたものである。かかる構成により、遊星歯車及び内歯車は一体構造であるとともに鍔テーパ部付き形状であるので高強度にできるとともに、中空円筒ブランクからの1回冷間押し出し成形仕上げが可能となるため、製造が容易に行え、さらに、鍔テーパ部形状であることにより、遊星歯車と内歯車の噛み合い長の大きな短縮化を避け得るものとなる。
【0013】(4)上記目的を達成するために、本発明は、回転軸と、この回転軸とともに回転する回転子と、この回転子の外周側に設けられた固定子と、上記回転軸の回転を変速して伝達する変速機とを有し、上記変速機は、互いに軸心が同一であり,太陽歯車を構成する内歯車及び外歯車と、これら内歯車と外歯車との間で内歯車及び外歯車に噛み合いつつ回転する遊星歯車と、この遊星歯車を回転自在に保持する遊星保持体とを有する電動機において、上記遊星歯車は、上記遊星保持体が回転自在保持するための中心穴と外周歯形を設けた中空円筒形状であり、遊星保持体側の端部外周歯形側に鍔テーパ部を備えるようにしたものである。かかる構成により、遊星歯車は一体構造であるとともに鍔テーパ部付き形状であるので高強度にできるとともに、中空円筒ブランクからの1回冷間押し出し成形仕上げが可能となるため、製造が容易に行えるものとなる。
【0014】(5)上記目的を達成するために、本発明は、回転軸と、この回転軸とともに回転する回転子と、この回転子の外周側に設けられた固定子と、上記回転軸の回転を変速して伝達する変速機とを有し、上記変速機は、互いに軸心が同一であり,太陽歯車を構成する内歯車及び外歯車と、これら内歯車と外歯車との間で内歯車及び外歯車に噛み合いつつ回転する遊星歯車と、この遊星歯車を回転自在に保持する遊星保持体とを有する電動機において、上記内歯車は、内周部に歯形を設けた中空円筒形状であり、反遊星保持体側の内周歯形側に鍔テーパ部を備えるようにしたものである。かかる構成により、内歯車は一体構造であるとともに鍔テーパ部付き形状であるので高強度にできるとともに、中空円筒ブランクからの1回冷間押し出し成形仕上げが可能となるため、製造が容易に行えるものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図6を用いて、本発明の一実施形態による電動機の構成について説明する。なお、本実施形態は、遊星歯車変速装置を自動車用スタータに適用したものである。最初に、図1を用いて、本実施形態による電動機の全体構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態による電動機の全体構成を示す縦断面図である。
【0016】スタータ1は、減速機付き電動部2と、ピニオン3と、従動軸(ピニオンシャフト)4と、オーバーランニングクラッチ5と、シフトレバー6と、電磁スイッチ部7とを有している。
【0017】減速機付き電動部2は、回転軸(アーマチャシャフト)8と、回転子(アーマチャ)9と、固定子(ステータ)10と、遊星歯車変速装置11と、整流子(コンミテータ)12と、ブラシ13とを備えている。アーマチャ9は、アーマチャシャフト8とともに回転する。ステータ10は、アーマチャ9の外周側に設けられている。遊星歯車変速装置11は、アーマチャシャフト8の回転を所定の歯車比で変速して伝達する。コンミテータ12は、アーマチャ9に電気的に接続されている。ブラシ13は、コンミテータ12に摺動接触して電流を供給する。
【0018】遊星歯車変速装置11は、内歯車18と、外歯車19と、複数の遊星歯車20とから構成されている。遊星歯車20は、例えば、3個用いられている。遊星歯車20は、軸受21を介して、遊星保持体4bに回転自在に保持されている。外歯車19は、アーマチャシャフト8と一体的に構成されている。内歯車18の一方の端部は、センタプレート26によって保持され、他方の端部は、ゴム製のカバー22を介してセンタブラケット27によって保持されている。なお、遊星歯車変速装置11の詳細構成については、図2を用いて後述する。
【0019】ピニオン3は、通常はギアケース23内に保持されている。ピニオン3が、矢印A方向に移動すると、図示しないエンジンのリングギヤに噛み合って、スタータ1の駆動力をエンジンに伝達する。ピニオン3は、クラッチスリーブ17と軸受28を介してピニオンシャフト4に支持されている。ピニオンシャフト4は、軸受24を介してセンタブラケット27に回転自在に保持されている。オーバーランニングクラッチ5は、ピニオンシャフト4に形成されたヘリカルスプライン4aを介してピニオンシャフト4と係合するクラッチスリーブ17及びピニオン3のクラッチインナ部3bと、ローラ29とにより構成されている。シフトレバー6は、オーバーランニングクラッチ5及びピニオン3のリングギヤへの係脱を行うものである。電磁スイッチ部7は、シフトレバー6を動作させる。
【0020】電磁スイッチ部7は、コイルケース14と、プランジャ15と、トーションバネ16とを備えている。コイルケース14は、図示しない電磁コイルを内包している。プランジャ15は、コイルケース14内の電磁コイルの電磁力により吸引される。トーションバネ16は、一端がコイルケース14内で固定されており、シフトレバー6は、その回動支点をこのトーションバネ16に支持されている。
【0021】次に、本実施形態による電動機の動作について説明する。図示しないキースイッチがONになると、電磁スイッチ部7の電磁コイルが通電されて電磁力が発生し、プランジャ15が図中左方向(矢印B方向)に吸引される。プランジャ15がB方向に移動すると、シフトレバー6を介して、オーバーランニングクラッチ5及びピニオン3が、ヘリカルスプライン4aの作用で回転しつつ、軸方向(矢印A方向)に押し出され、図示しないリングギヤに噛み合うことになる。
【0022】一方、電磁スイッチ部7に内臓されている可動接点(図示せず)がプランジャ15に押されて導通状態になり、バッテリ(図示せず)からのバッテリ電流がブラシ13及びコンミテータ12を介してアーマチャ9のアーマチャコイル9aへと通電される。これにより、アーマチャ9に電磁力が発生し、永久磁石を配したステータ10との磁力相互作用により、アーマチャ9及びアーマチャシャフト8が回転し、この回転が遊星歯車変速装置11、ピニオンシャフト4、及びピニオン3を介してリングギヤに伝達され、エンジンが始動する。
【0023】次に、図2を用いて、本実施形態による電動機に用いる遊星歯車変速装置11の構成について説明する。図2は、本発明の一実施形態による電動機に用いる遊星歯車変速装置の構成を示す要部断面図である。なお、図1と同一符号は、同一部分を示している。
【0024】遊星歯車変速装置11は、内歯車18と、外歯車19と、複数の遊星歯車20とから構成されている。内歯車18及び外歯車19は、互いに軸心が同一であり、太陽歯車を構成する。複数の遊星歯車20は、内歯車18及び外歯車19との間で内歯車18及び外歯車19に噛み合いつつ回転する。遊星歯車20は、例えば、3個用いられている。
【0025】遊星歯車20は、軸受21を介して、遊星歯車軸4cに回転自在に保持されている。遊星歯車軸4cは、ピニオンシャフト4の一部に構成される遊星保持体4bに固定されている。遊星歯車20は、中心穴20aと、外周歯形部20bと、鍔テーパ部20cと、だれテーパ形状部20dとを備えており、その詳細については、図3を用いて後述する。
【0026】外歯車19は、アーマチャシャフト8と一体的に構成されている。アーマチャシャフト8の端部は、軸受25を介して、ピニオンシャフト4に回転自在に保持されている。外歯車19は、軸部19aと、外周歯形部19bと、鍔テーパ部19cと、だれテーパ形状部19dとを備えており、その詳細については、図5を用いて後述する。
【0027】内歯車18の一方の端部は、センタプレート26によって保持され、他方の端部は、ゴム製のカバー22を介してセンタブラケット27によって保持されている。内歯車18は、外周部18aと、内周歯形部18bと、鍔テーパ部18cと、だれテーパ形状部18dと、複数の突起部18eを備えており、その詳細については、図4を用いて後述する。
【0028】ここで、図3を用いて、本実施形態による電動機の遊星歯車変速装置に用いる遊星歯車20の構成について説明する。図3は、本発明の一実施形態による電動機の遊星歯車変速装置に用いる遊星歯車の構成を示す斜視図である。なお、図2と同一符号は同一部分を示している。
【0029】図2において説明したように、遊星歯車20は、中心穴20aと、外周歯形部20bと、鍔テーパ部20cと、だれテーパ形状部20dとを備えている。中心穴20aは、図2に示したように、その内部に軸受21が取り付けられ、遊星歯車20を遊星歯車軸4cに回転自在に保持するために用いられる。外周歯形部20bは、歯車の歯形を形成するとともに、中心穴20aと共に中空円筒形状を形成する。鍔テーパ部20cは、外周歯形部20bの片側端部に形成されているものであり、複数の外周歯形部20bの端部を連結する鍔状であるとともに、複数の外周歯形部20bの間の部分はテーパ状になっている。だれテーパ形状部20dは、外周歯形部20bの他端側に形成されているものであり、各外周歯形部20bの端部がテーパ状になっている。
【0030】次に、図4を用いて、本実施形態による電動機の遊星歯車変速装置に用いる内歯車18の構成について説明する。図4は、本発明の一実施形態による電動機の遊星歯車変速装置に用いる内歯車の構成を示す斜視図である。なお、図2と同一符号は、同一部分を示している。
【0031】内歯車18は、外周部18aと、内周歯形部18bと、鍔テーパ部18cと、だれテーパ形状部18dと、突起部18eを備えている。外周部18aは、内周歯形18aと共に中空円筒形状を形成するとともに、複数の突起部18eが形成されている。内周歯形部18aは、歯車の歯形を形成する。鍔テーパ部18cは、内周歯形部18bの片側端部に形成されているものであり、複数の内周歯形部18bの端部を連結する鍔状であるとともに、複数の内周歯形部18bの間の部分はテーパ状になっている。だれテーパ形状部18dは、内周歯形部18bの他端側に形成されているものであり、各内周歯形部18bの端部がテーパ状になっている。突起部18eは、外周部18aに複数個凸状に形成されており、センタブラケット27の内周側に形成されている凹部と係合して、内歯車18の回転を阻止する。
【0032】次に、図5を用いて、本実施形態による電動機の遊星歯車変速装置に用いる外歯車19の構成について説明する。図5は、本発明の一実施形態による電動機の遊星歯車変速装置に用いる外歯車の構成を示す斜視図である。なお、図2と同一符号は、同一部分を示している。
【0033】外歯車19は、アーマチャシャフト8と一体的に形成されており、軸部19aと、外周歯形部19bと、鍔テーパ部19cと、だれテーパ形状部19dとを備えている。軸部19aは、図2に示したように、軸受25を介して、ピニオンシャフト4に回転自在に保持される。外周歯形部19bは、歯車の歯形を形成する。鍔テーパ部19cは、外周歯形部19bの片側端部に形成されているものであり、複数の外周歯形部19bの端部を連結する鍔状であるとともに、複数の外周歯形部19bの間の部分はテーパ状になっている。だれテーパ形状部19dは、外周歯形部19bの他端側に形成されているものであり、各外周歯形部19bの端部がテーパ状になっている。
【0034】ここで、再び、図2を用いて、遊星歯車20と内歯車18と外歯車19の噛み合い関係について説明する。外歯車19の外周歯形部19bは、遊星歯車20の外周歯形部20bと噛み合う。また、このとき、外歯車19の鍔テーパ部19cは、遊星歯車20のだれテーパ形状部20dと対向しており、外歯車19のだれテーパ形状部19dは、遊星歯車20の鍔テーパ部20cと対向している。
【0035】さらに、遊星歯車20の外周歯形部20bは、内歯車18の内周歯形部18bと噛み合う。また、このとき遊星歯車20の鍔テーパ部20cは、内歯車18のだれテーパ形状部18dと対向しており、遊星歯車20のだれテーパ形状部20dは、内歯車18の鍔テーパ部18cと対向している。
【0036】次に、図6を用いて、本実施形態による電動機の遊星歯車変速装置に用いる遊星歯車の製造方法について説明する。図6は、本発明の一実施形態による電動機の遊星歯車変速装置に用いる遊星歯車の製造時の押し出し加工工程の説明図である。
【0037】最初に、押し出し加工装置の構成について説明する。図6(a)に示すように、押し出し加工装置は、オガタ31と、メガタ32と、メピン33とから構成され、中空円筒ブランク30を押し出し加工することにより、遊星歯車を製造する。中空円筒ブランク30の材料としては、例えば、低炭素鋼を用いる。
【0038】オガタ31は、突起軸31aと、押圧部31bと、外周部31cとから構成されている。突起軸31aは、オガタ31の先端に設けられている。押圧部31bは、外周部31cと突起軸31aとの間に設けられており、中空円筒ブランク30を押圧する。外周部31cは、メガタ32の大径の穴32cと嵌合するものである。
【0039】メガタ32は、内周歯形32aと、テーパ部32bと、大径の穴32cと、小径の穴32dと、底部32eとから構成されている。大径の穴32cは、オガタ31の外周部31cと嵌合する穴径を有している。小径の穴32dは、底部32eにメピン33を挿入するためのものである。テーパ部32bは、大径の穴32cと内周歯形32aとの間に位置している。メピン33は、オガタ31の突起軸31aを支持するための挿入穴33aを備えている。
【0040】次に、押し出し加工工程について説明する。最初に、図6(a)に示すように、メガタ32の小径の穴32dにメピン33を配置し、また、大径の穴32c内に中空円筒ブランク30を配置する。
【0041】次に、図6(b)に示すように、オガタ31の突起軸31aを中空円筒ブランク30中心穴に通過後、メピン33の穴33aに挿入すると共に、オガタ31の外周部31cをメガタ32の大径の穴32cに挿入しつつ、オガタ31の押圧部31bにて中空円筒ブランク30をメガタ32の内周歯形32aと底部32eとオガタ31の突起軸31aとによって形成される空間に押し込む。
【0042】オガタ31の押圧部31bの押し込みにより、中空円筒ブランク30の外周部には、メガタ32の内周歯形32aとテーパ部32b及び大径の穴32cを転写して外周歯形部20bと鍔テーパ部20cが形成される。また、同時に、中空円筒ブランク30の内周部には、オガタ31の突起軸31aの円筒外周を転写して中心穴20aが形成され、鍔テーパ部20c側端面は中空円筒ブランク30にオガタ31の押圧部31bを転写して形成される。
【0043】このように中空円筒ブランク30には、中心穴20a、外周歯形部20b、鍔テーパ部20c及び鍔テーパ部20c側端面が同時に形成され、遊星歯車20は中空円筒ブランク30からの1回押し出し成形仕上げが可能となるので、中心穴20aに対する歯車精度及び鍔テーパ部20c側端面の直角精度を高く成形できる。また、押し出し成形であるため、遊星歯車20の鍔テーパ部20cと反対側の端面の外周歯形部20bは、だれによる自然テーパ形状部20dとなる。さらに、遊星歯車20は一体構造である上に、鍔テーパ部20c付き形状であるので高強度高剛性にできる。さらに、上述した金型構造では、金型合わせ面が、円筒面または平面だけで成立つので、高精度な型合わせができ、バリ無しの1回押し出し成形仕上げが可能である。
【0044】なお、上述の例では、中空円筒ブランク30の材質を低炭素鋼としたが、アルミニウム等所望の強度を有し、押し出し成形可能な材質は全て使用可能である。また、内歯車18と、アーマチャシャフト8の外周歯車19についても歯形片端に鍔テーパ部があるので、同様にそれぞれバリ無しの1回押し出し成形仕上げができる。また、歯車の種類としては平歯車に限らず、はすば歯車等にも適用可能である。
【0045】以上説明したように、本実施形態によれば、遊星歯車20は、一体構造である上に鍔テーパ部20cが付いた形状であるので高強度高剛性にできる。従って、遊星歯車の歯数を小さくできるので、遊星歯車変速装置の減速比を小さくすることができる。また、遊星歯車20は、遊星保持体4bが回転自在保持するための中心穴20aと外周歯形部20bを設けた中空円筒形状でかつ遊星保持体側の端部外周歯形側に鍔テーパ部20cを設けた形状としているので、高靭性材質中空円筒ブランク30からの1回冷間押し出し成形仕上げが可能となり、後加工も不要であるため、容易に製造することができる。さらに、1回冷間押し出し成形仕上げが可能であるため、中心穴20aに対する歯車精度及び中心穴20aに対する鍔テーパ部20cの側端面の直角精度を高く成形できる。また、押し出し成形であるため、遊星歯車20の反鍔テーパ部側端面外周歯形は、だれによる自然テーパ形状部20dとすることができる。なお、さらに、強度剛性を向上させるために、遊星歯車を底付き形状とすることも可能であり、特に、遊星歯車の歯底径と中心穴の差が小さい時に有効である。
【0046】従って、遊星歯車保持体4bより垂直に突出する遊星歯車軸4cを、軸受21等を介して遊星歯車20の中心穴20aに挿入し、中心穴20aに対し高い精度の直角度となるように成形した遊星歯車20の鍔テーパ部20cの側端面と遊星歯車保持体面の接触は円滑にできる。さらに、遊星歯車保持体4bと共に遊星歯車20を挟持するセンタープレート26に接する側の遊星歯車の端面は中高形状にできるため、センタープレート26との接触も円滑で、遊星歯車20、内歯車18および外歯車19を相互円滑に噛み合わせることができる。
【0047】さらに、遊星歯車20に噛み合うアーマチャシャフト8の外歯車19も押し出し成形することにより、2つの歯車とも押し出し成形となり、歯車押し出し成形塑性流動円滑化の目的で歯車成形メガタに設けるテーパ形状により形成される一方の最終歯形成形部の鍔テーパ部の形状を、他方の歯車端面外周歯形のだれにより形成せれる中高自然テーパ形状と組み合わせることができる。そのため、遊星歯車20の一端を鍔テーパ部付き形状にすることによる外歯車19との噛み合い長の大きな短縮化を避けることができ、円滑な歯車噛み合いを維持できる。
【0048】また、遊星歯車20と同様に、内歯車18を、内周部に歯形を設けた中空円筒形状で、かつ反遊星保持体側の内周歯形側に鍔テーパ部18cを設けた形状とすることにより、内歯車18も、中空ブランクからの1回冷間押し出し成形仕上げが可能となり、内歯車18の鍔テーパ部18cの側端面及び外径に対する歯車精度を高く成形できる。また、押し出し成形であるため、内歯車18の反鍔テーパ部側の端面内周歯形はだれによる自然テーパ形状18dとなる。さらに、内歯車は一体構造である上に鍔テーパ部付き形状であるので高剛性にできる。なお、さらに、剛性を高めるために、内歯車を底付き形状とすることも可能であり、特に、内歯車の歯底径と外径の差が小さい時に有効である。
【0049】さらに、内歯車18に噛み合う遊星歯車20も押し出し成形することにより、2つの歯車とも押し出し成形となり、歯車押し出し成形塑性流動円滑化の目的で歯車成形メガタに設けるテーパ形状により形成される一方の最終歯形成形部の鍔テーパ部形状を、他方の歯車端面の外周歯形のだれにより形成せれる中高自然テーパ形状と組み合わせることができる。そのため、内歯車の一端を鍔テーパ部付き形状にすることによる遊星歯車との噛み合い長の大きな短縮化を避けることができ、円滑な歯車噛み合いを維持できる。また、上記遊星歯車20や内歯車18の歯形は、冷間押し出し加工によって成形されているので加工硬化しており、使用条件によっては、改めて焼き入れ等の硬化処理をする必要も無いものである。
【0050】なお、以上の説明では、本発明は、動車用スタータに備えられる遊星歯車変速装置に適用しているが、これに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の装置、例えば、電動工具等に適用可能であり、同様の効果を得ることができるものである。また、遊星歯車変速装置としては、上述した例のような減速装置だけでなく、増速装置にも適用できるものである。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、遊星歯車変速装置及びこれを用いた電動機を、高強度を有すると共に、製造の容易なものとすることができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成11年10月20日(1999.10.20)
【代理人】 【識別番号】100077816
【弁理士】
【氏名又は名称】春日 讓
【公開番号】 特開2001−116089(P2001−116089A)
【公開日】 平成13年4月27日(2001.4.27)
【出願番号】 特願平11−298197