| 【発明の名称】 |
車両の動力伝達装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】堀 良昭
【氏名】七戸 隆
【氏名】西 亨
【氏名】高野 憲章
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| 【要約】 |
【課題】複数変速段の歯車列を択一的に確立してエンジンのクランクシャフトからの動力を駆動輪に伝達可能な歯車変速機と、該歯車変速機の変速作動時に前記クランクシャフトから前記歯車変速機への動力伝達を遮断するクラッチとを備える車両の動力伝達装置において、歯車変速機の変速作動に連動してクラッチを断・接作動せしめるにあたり、重量増加を回避しつつ変速操作性を向上する。
【解決手段】歯車変速機が第1アクチュエータ118で変速駆動され、第1アクチュエータ118とは独立した第2アクチュエータ164でクラッチ47が駆動される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数変速段の歯車列(G1,G2,G3,GR)を択一的に確立してエンジン(E)のクランクシャフト(19)からの動力を駆動輪(WF,WR)に伝達可能な歯車変速機(46)と、該歯車変速機(46)の変速作動時に前記クランクシャフト(19)から前記歯車変速機(46)への動力伝達を遮断するクラッチ(47)とを備える車両の動力伝達装置において、前記歯車変速機(46)を変速駆動する第1アクチュエータ(118)と、第1アクチュエータ(118)とは独立して前記クラッチ(47)を駆動する第2アクチュエータ(164)とを含むことを特徴とする車両の動力伝達装置。 【請求項2】 前記歯車変速機(46)が、前記クランクシャフト(19)からの動力を入力可能としてクランクケース(33)に回転自在に支承される入力軸(50)を備え、油圧で作動する前記クラッチ(47)が前記クランクケース(19)から突出した前記入力軸(50)の一端部に装着され、前記クラッチ(47)に作用する油圧を制御可能として前記第2アクチュエータ(164)の一部を構成するクラッチ用制御弁(166)が、前記クラッチ(47)を覆って前記クランクケース(33)に結合されるカバー(37)に設けられることを特徴とする請求項1記載の車両の動力伝達装置。 【請求項3】 前記クラッチ用制御弁(166)が備えるソレノイド(174)の作動、ならびに前記第1アクチュエータである電動モータ(118)の作動を制御する制御ユニット(208)を含むことを特徴とする請求項2記載の車両の動力伝達装置。 【請求項4】 前記カバー(37)で覆われるトルクコンバータ(45)が前記クランクシャフト(19)の一端部に設けられ、該トルクコンバータ(45)に作用せしめる油圧を制御するトルクコンバータ用制御弁(191)が前記カバー(37)に設けられることを特徴とする請求項2または3記載の車両の動力伝達装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、複数変速段の歯車列を択一的に確立してエンジンのクランクシャフトからの動力を駆動輪に伝達可能な歯車変速機と、該歯車変速機の変速作動時に前記クランクシャフトから前記歯車変速機への動力伝達を遮断するクラッチとを備える車両の動力伝達装置に関し、特に、電動モータ等のアクチュエータで歯車変速機を変速駆動するようにした動力伝達装置の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】モータ等のアクチュエータで歯車変速機を変速駆動するようにした動力伝達装置が、たとえば特開平11−82734号公報等で既に知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記従来のものでは、歯車変速機の変速作動に連動してクラッチを自動的に遮断するようにして車両運転者の変速シフト操作を容易とするために、歯車変速機が備えるシフトチェンジ機構およびクラッチ間をリンク機構等で機械的に連結するようにしている。 【0004】ところが、シフトチェンジ機構およびクラッチをリンク機構等によって機械的に連動させるようにした場合には、車両に搭載されるエンジンの排気量が大となるのに伴なうクラッチ荷重の増大により、リンク機構等の剛性増大による重量増加を招いたり、シフトチェンジ機構でのシフト荷重やシフト作動ストロークの増大に伴なう変速操作性の低下を招くことがある。 【0005】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、歯車変速機の変速作動に連動してクラッチを断・接作動せしめるにあたり、重量増加を回避しつつ変速操作性を向上するようにした車両の動力伝達装置を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、複数変速段の歯車列を択一的に確立してエンジンのクランクシャフトからの動力を駆動輪に伝達可能な歯車変速機と、該歯車変速機の変速作動時に前記クランクシャフトから前記歯車変速機への動力伝達を遮断するクラッチとを備える車両の動力伝達装置において、前記歯車変速機を変速駆動する第1アクチュエータと、第1アクチュエータとは独立して前記クラッチを駆動する第2アクチュエータとを含むことを特徴とする。 【0007】このような構成によれば、歯車変速機およびクラッチ間が機械的に連結されるものではないので、エンジンの排気量が大となるのに伴なってクラッチ荷重が増大しても、リンク機構等の剛性を増大することが不要であり、重量増加を回避することができる。またクラッチ荷重が歯車変速機でのシフト荷重やシフト作動ストロークに影響を及ぼすことはないので、変速操作性を向上することが可能である。 【0008】また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、前記歯車変速機は、前記クランクシャフトからの動力を入力可能としてクランクケースに回転自在に支承される入力軸を備え、油圧で作動する前記クラッチが前記クランクケースから突出した前記入力軸の一端部に装着され、前記クラッチに作用する油圧を制御可能として前記第2アクチュエータの一部を構成するクラッチ用制御弁が、前記クラッチを覆って前記クランクケースに結合されるカバーに設けられることを特徴とし、かかる構成によれば、クラッチおよびクラッチ用制御弁が相互に近い位置に配置されることになり、クラッチ用制御弁の作動によるクラッチの作動応答性を向上することができる。 【0009】請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の発明の構成に加えて、前記クラッチ用制御弁が備えるソレノイドの作動、ならびに前記第1アクチュエータである電動モータの作動を制御する制御ユニットを含むことを特徴とし、かかる構成によれば、クラッチ用制御弁および電動モータをともに電気的に制御して、歯車変速機の変速作動に連動してクラッチを作動せしめることが容易となる。 【0010】さらに請求項4記載の発明は、上記請求項2または3記載の発明の構成に加えて、前記カバーで覆われるトルクコンバータが前記クランクシャフトの一端部に設けられ、該トルクコンバータに作用せしめる油圧を制御するトルクコンバータ用制御弁が前記カバーに設けられることを特徴とし、かかる構成によれば、クラッチ用制御弁およびトルクコンバータ用制御弁がともにカバーに設けられることになり、両制御弁での圧洩れ検査をカバー側で集中して行なうことができ、生産性の向上に寄与することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 【0012】図1〜図9は本発明の第1実施例を示すものであり、図1は不整地走行用鞍乗型車両の側面図、図2は図1の2矢視方向から見たパワーユニットの簡略化した拡大図、図3は図1の3矢視方向から見たパワーユニットの簡略化した拡大図、図4は図2のA−A線に沿う断面のうち前半部を示す断面図、図5は図2のA−A線に沿う断面のうち後半部を示す断面図、図6は図2の6−6線断面図、図7は図6の7−7線拡大断面図、図8はシフトチェンジ機構の一部の分解斜視図、図9は油圧回路図である。 【0013】先ず図1において、この不整地走行用鞍乗型車両は、鋼管を溶接して構成される車体フレーム15を備えており、バルーン型低圧タイヤをそれぞれ装着した左、右一対の前輪WF…が車体フレーム15の前部に懸架され、バルーン型低圧タイヤをそれぞれ装着した左、右一対の後輪WR…が車体フレーム15の後部に懸架される。また車体フレーム15の前端には、左、右一対の前輪WF…を操向する操向ハンドル16が配設され、車体フレーム15の前後方向中間部には燃料タンク17が配設され、該燃料タンク17よりも後方側で車体フレーム15の上部には跨座式のシート18が配設される。 【0014】前記燃料タンク17およびシート18の下方で車体フレーム15には、操向輪であるとともに駆動輪である前輪WF…と、駆動輪である後輪WR…とを駆動するエンジンEを含むパワーユニットPが搭載される。エンジンEは、クランクシャフト19(図2〜図6参照)を鞍乗型車両の前後方向に沿わせて、たとえば縦型に配置されるものであり、エンジンEにおけるシリンダヘッド20の前面側に設けられた排気ポート(図示せず)に連なる排気管21が、車体フレーム15の右側に180度彎曲してパワーユニットPの右側を後方に延出され、車体後部右側に配置される排気マフラー22に接続される。 【0015】前記エンジンEの後方側で前記シート18の下方には、エアクリーナ23と、該エアクリーナ23に接続される気化器24とが配置されており、前記シリンダヘッド20の後面側に設けられた吸気ポート(図示せず)に、前記気化器24が接続される。 【0016】図2〜図5を併せて参照して、エンジンEのシリンダブロック28は、車体右側にわずかに傾斜してほぼ直立しており、シリンダヘッド20は該シリンダブロック28の上部に結合される。またシリンダブロック28に設けられるシリンダライナ29にはピストン30が摺動自在に嵌合される。 【0017】シリンダブロック28の下部には、前部ケース半体31および後部ケース半体32を相互に結合して成るクランクケース33が、前記シリンダライナ29の下部をクランクケース33内に突入せしめるようにして結合されており、鞍乗型車両の前後方向に沿う軸線を有するクランクシャフト19がクランクケース33で回転自在に支承され、前記ピストン30がコンロッド34およびクランクピン35を介してクランクシャフト19に連結される。 【0018】前部ケース半体31には、筒状に形成されて鞍乗型車両の前方側に延びる前部ケーシング36と、該前部ケーシング36の前端開口部を閉塞する前部カバー37とが、前部ケース半体31との間に前部作動室40を形成して結合される。また後部ケース半体32には、該後部ケース半体32との間に後部作動室41を形成する後部ケーシング38が結合され、クランクシャフト19に対応する部分で後部ケーシング38に設けられる開口部38aを覆う後部カバー39が後部ケーシング38に結合される。 【0019】クランクシャフト19および前部ケース半体31間にはボールベアリング42が設けられ、クランクシャフト19および後部ケース半体32間にはボールベアリング43が設けられる。また前部ケース半体31から前部作動室40側に突出されるクランクシャフト19の前端はボールベアリング44を介して前部カバー37で回転自在に支承される。 【0020】パワーユニットPは、前記エンジンEと、該エンジンEのクランクシャフト19に装着されるトルクコンバータ45と、複数変速段の歯車列G1,G2,G3,GRを択一的に確立し得る歯車変速機46と、該歯車変速機46およびトルクコンバータ45間での動力伝達を遮断可能な油圧式のクラッチ47とを備えるものであり、歯車変速機46から出力される動力は、パワーユニットPから前方に延びる前部推進軸48および前部差動装置(図示せず)を介して左、右前輪WF…に伝達されるとともに、パワーユニットPから後方に延びる後部推進軸49および後部差動装置(図示せず)を介して左、右後輪WR…に伝達される。 【0021】図6をさらに併せて参照して、歯車変速機46は、クランクシャフト19と平行な軸線を有してクランクケース33に回転自在に支承される入力軸50および出力軸51と、クランクシャフト19と平行な軸線を有してクランクケース33に固定される中間軸52とを備える。 【0022】入力軸50および前部ケース半体31間にはボールベアリング54が設けられ、入力軸50および後部ケース半体32間にはボールベアリング55が設けられ、入力軸50の前端は前部ケース半体31から前部作動室40側に突出される。また出力軸51および前部ケース半体31間にはボールベアリング56が設けられ、出力軸51および後部ケース半体32間にはボールベアリング57が設けられ、出力軸51の後端は後部ケース半体32から後部作動室41側に突出される。 【0023】歯車変速機46が備える複数変速段の歯車列G1,G2,G3,GRは、クランクケース33内に収容される。而して第1速歯車列G1は、入力軸50に一体に形成される駆動歯車57と、出力軸51に相対回転可能に支承されて前記駆動歯車57に噛合される被動歯車58とで構成される。第2速歯車列G2は、入力軸50に一体に形成される駆動歯車59と、出力軸51に相対回転可能に支承されて前記駆動歯車59に噛合される被動歯車60とで構成される。第3速歯車列G3は、入力軸50に固定される駆動歯車61と、出力軸51に相対回転可能に支承されて前記駆動歯車61に噛合される被動歯車62とで構成される。また後進歯車列GRは、前記駆動歯車59と、中間軸52で回転自在に支承されて前記駆動歯車59に噛合される第1中間歯車63と、第1中間歯車63と一体である第2中間歯車64と、出力軸51に相対回転自在に支承されて第2中間歯車64に噛合される被動歯車65とで構成される。 【0024】第1速歯車列G1の被動歯車58ならびに第3速歯車列G3の被動歯車62間で出力軸51には、1速・3速切換用ドグクラッチ体66が軸方向の摺動を可能としてスプライン嵌合されており、この1速・3速切換用ドグクラッチ体66を被動歯車58に係合させると第1速歯車列G1が確立し、1・3速切換用ドグクラッチ体66を被動歯車62に係合させると第3速歯車列G3が確立する。また第2速歯車列G2の被動歯車60ならびに後進歯車列GRの被動歯車65間で中間軸51には、2速・後進切換用ドグクラッチ体67が軸方向の摺動を可能としてスプライン嵌合されており、この2速・後進切換用ドグクラッチ体67を被動歯車60に係合させると第2速歯車列G2が確立し、2速・後進切換用ドグクラッチ体67を被動歯車65に係合させると後進歯車列GRが確立する。 【0025】前記1速・3速切換用ドグクラッチ体66を抱持するシフトフォーク68と、前記2速・後進切換用ドグクラッチ体67を抱持するシフトフォーク69とが、出力軸51と平行な軸線を有してクランクケース33に設けられるシフトフォーク軸70に該シフトフォーク軸70の軸線方向へのスライドを可能として支持されており、これらのシフトフォーク68,69は、シフトドラム71の外周に設けられたカム溝71a,71bにそれぞれ係合される。 【0026】シフトドラム71の前端部はボールベアリング72を介して前部ケース半体31に支持され、シフトドラム71の後端部は、後部ケース半体32に直接支持される。而してシフトドラム71は、該シフトドラム71の前端部に連結されるシフトチェンジ機構72で回動されるものであり、このシフトドラム71の回動によってシフトフォーク68,69がスライドすることにより、各歯車列G1〜G3,GRの1つが択一的に確立することになる。 【0027】シフドドラム71の回動位置すなわちシフトポジションは、ポテンショメータから成るシフトポジション検出器73で検出されるものであり、該シフトポジション検出器73は後部ケーシング38に固定されてシフトドラム71の後端に接続される。 【0028】後部作動室41内で出力軸51の後端には駆動歯車74が固定される。一方、出力軸51と平行な軸線を有する駆動軸75が、前部ケース半体31との間にボールベアリング76を介在させるとともに後部ケース半体32との間にローラベアリング77を介在させるようにしてクランクケース33に回転自在に支承されており、後部作動室41内で駆動軸75の後部に固定された被動歯車78に前記駆動歯車74が噛合される。 【0029】駆動軸75の前端は前部ケース半体31から前部作動室40に突入されており、該駆動軸75の前端に連結軸79の一端が同軸に連結され、連結軸79および前部カバー37間にローラベアリング80が介装される。而して連結軸79の他端は前部カバー37から前方に突出されており、前部推進軸48が連結軸79の他端に連結される。また駆動軸75の後端は後部ケーシング38との間にシール部材81を介在させて後部ケーシング38から後方に突出されており、後部推進軸49が駆動軸75の後端に連結される。 【0030】後部作動室41内で前記駆動軸75の外周には複数の突起82…が突設されており、後部ケーシング38には、それらの突起82…の検出による駆動軸75の回転数に基づいて車速を検出する車速センサ83が取付けられる。 【0031】図7および図8を併せて参照して、シフトチェンジ機構72は、シフトドラム71と平行な軸線を有するシフトスピンドル87と、該シフトスピンドル87に固定されるアーム88と、シフトスピンドル87の外周に相対回転自在に装着されるカラー89に固着されるチェンジアーム90と、前部ケース半体31に固着されて前記チェンジアーム90に挿通される規制ピン91と、チェンジアーム90を中立位置に復帰せしめるばね力を発揮する第1捩りコイルばね92と、シフトスピンドル87の半径方向に沿って制限された範囲での前記チェンジアーム90との相対移動を可能として該チェンジアーム90に支持されるシフタプレート93と、該シフタプレート93を前記半径方向内方側に付勢するばね力を発揮する第2捩りコイルばね94と、シフタプレート93に対向してシフタドラム71の前端に固定されるとともに6本の送りピン95…が植設されるピンプレート96と、該ピンプレート96の外周に当接される方向にばね付勢されるローラ97とを備える。 【0032】後部ケース半体32で後端が回転自在に支承されるとともに前部ケース半体31を回転自在に貫通して前部作動室40内を前方に延出されるシフトスピンドル87の前端は、前部ケーシング37を回転自在に貫通し、前部ケーシング37に締結されるギヤケース98にボールベアリング99を介して支承される。またシフトスピンドル87および前部ケーシング37間にはローラベアリング100およびシール部材101が介装される。 【0033】チェンジアーム90には、開口部102と、該開口部102の外縁部を折り曲げて形成したばね受け部103とが設けられており、カラー89に支持される第1捩じりコイルばね92の両端部は、チェンジアーム90が中立位置にある状態では前記ばね受け部103の両側に当接する。またアーム88の先端部88aおよび規制ピン91は、前記第1捩じりコイルばね92の両端部間で開口部102に挿通される。 【0034】チェンジアーム90が中立位置にある状態で、シフトスピンドル87が正・逆いずれかの方向に回動したときには、アーム88の先端部88aが第1捩りコイルばね92を撓ませつつ開口部102の左、右いずれか一方の側縁に当接してチェンジアーム90を正・逆いずれかの方向に回動せしめることになり、前記開口部102の左、右いずれか他方の側縁が規制ピン91に当接するまでチェンジアーム90が回動する。而してこの状態で、シフトスピンドル87に作用する動力が「0」となると、第1捩りコイルばね92が発揮するばね力で、アーム88すなわちシフトスピンドル87と、チェンジアーム90とは中立位置に復帰することになる。 【0035】シフトスピンドル87の一半径方向に沿って間隔をあけた2箇所で前記チェンジアーム90には、ガイドピン104,105がそれぞれかしめ固定される。一方、シフタプレート93には、前記ガイドピン104,105をそれぞれ挿通、係合される長孔106,107が、前記半径方向に沿って長く延びるように形成される。これにより、シフタプレート93は、チェンジアーム90のシフトドラム71側の面に、前記シフトスピンドル87の一半径方向に沿う摺動を可能として支持されることになる。 【0036】シフタプレート93の両側にはシフトドラム71側に折曲げられた送り爪108,109が設けられており、それらの送り爪108,109の外側にはカム110,111が形成される。 【0037】第2捩りコイルばね94は、前記両ガイドピン104,105のうち外方側のガイドピン104に支持されており、この第2捩りコイルばね94の両端部が、前記シフタプレート93の両送り爪108,109に当接されることにより、シフタプレート93が、チェンジアーム90に対してシフトスピンドル87の半径方向に沿う内方側に付勢されることになる。 【0038】ピンプレート96の外周は、周方向に等間隔をあけた6個の凹部96a…を有する星形に形成されており、前記シフタプレート93の両送り爪108,109間に2本の送りピン95,95が配置されるようにして6本の送りピン95…がピンプレート96に植設される。 【0039】ローラ97は、一端が支軸112を介して前部ケース半体31に揺動可能に指示されるアーム113の他端に軸支されており、前部ケース半体31およびアーム113間に設けられた第3捩りコイルばね114のばね力により、アーム113は、ローラ97をピンプレート96の外周に当接させる方向に付勢される。 【0040】このようなシフトチェンジ機構72では、シフトスピンドル87の正・逆いずれかの回動に応じたチェンジアーム90の正・逆いずれかの方向への回動により、シフタプレート93の両送り爪108,109の一方がピンプレート93の送りピン95…の1つに係合して、シフトドラム71が正・逆いずれかに回動駆動される。而して第1捩りコイルばね92が発揮するばね力でチェンジアーム90が中立位置に復帰する際には、シフタプレート93の両送り爪108,109に形成されるカム110,111の一方に、ピンプレート93の送りピン95…の1つが当接することにより、シフタプレート93は第2捩りコイルばね94のばね力に抗してシフトスピンドル87の半径方向外方に移動し、前記両送り爪108,109の一方が送りピン95…の1つを乗り超えることになる。しかもピンプレート93の回動位置は、ローラ97がピンプレート96の外周の凹部86a…の1つに係合することで保持される。 【0041】図6に特に注目して、シフトチェンジ機構72のシフトスピンドル87には、正・逆いずれの方向にも回転可能である第1アクチュエータとしての電動モータ118が減速歯車列119を介して連結される。 【0042】電動モータ118は、シフトスピンドル87と平行な軸線を有してギヤケース98に取付けられ、減速歯車列119は、前部カバー37およびギヤケース98間に形成されたギヤ室120に収納される。 【0043】減速歯車列119は、電動モータ118の出力軸に設けられる第1減速歯車121と、第1減速歯車121に噛合する第2減速歯車122と、第2減速歯車122と一体に回転する第3減速歯車123と、第3減速歯車123に噛合する第4減速歯車124と、第4減速歯車124と一体に回転する第5減速歯車125と、第5減速歯車125に噛合してシフトスピンドル87とともに回動する第6減速歯車126とで構成される。 【0044】第2および第3減速歯車122,123は、前部カバー37およびギヤケース98で回転自在に支承された第1減速軸127に一体に設けられ、第4および第5減速歯車124,125は、前部カバー37およびギヤケース98で回転自在に支承された第2減速軸128に一体に設けられる。また第6減速歯車126は、セクタ歯車であり、シフトスピンドル87に固定される。 【0045】ギヤケース98には、ポテンショメータである回転位相検出手段129が取付けられており、該回転位相検出手段129は、シフトスピンドル87の前端に接続される。 【0046】図4および図6に特に注目して、クラッチ47は、クランクケース33から前部作動室40に突出した入力軸50の一端部すなわち前端部に装着されるものであり、入力軸50の軸線まわりに回転するクラッチセンタ130と、該クラッチセンタ130の外周に相対回転不能に噛合される複数枚の第1クラッチ板131…と、第1クラッチ板131…に重合配置される複数枚の第2クラッチ板132…と、第1および第2クラッチ板131…,132…を収容するとともに第2クラッチ板132…の外周を相対回転不能に噛合せしめて前記入力軸50と一体に回転するクラッチドラム133と、第1および第2クラッチ板131…,132…を摩擦係合せしめることを可能として前記クラッチドラム133に摺動自在に嵌合されるピストン134とを備える。 【0047】入力軸50の前端部外周には、該入力軸50を同軸に囲繞するスリーブ135が固定され、クラッチセンタ130はスリーブ135に相対回転自在に支承され、クラッチドラム133はスリーブ135に固定される。ピストン134は第2クラッチ板132…の1つに当接してクラッチドラム133に摺動可能に嵌合され、クラッチドラム133およびピストン134間には油圧室136が形成される。またクラッチドラム133およびピストン134間には戻しばね137が設けられており、ピストン134は前記戻しばね137により油圧室136の容積を減少する側にばね付勢される。 【0048】前記クラッチセンタ130において、クラッチドラム133からの突出端部には、トルクコンバータ45からの動力が伝達される被動歯車139が緩衝ばね138を介して連結されており、入力軸50の軸線方向に沿って前記クラッチドラム133および前記被動歯車139間に対応する位置で、入力軸50に固定されているスリーブ135およびクラッチセンタ130間には、入力軸50からクラッチセンタ130への動力伝達を可能とした第1一方向クラッチ140が設けられる。 【0049】トルクコンバータ45は、クランクケース33から前部作動室40側に突出したクランクシャフト19の一端部すなわち前端部に装着されるものであり、クランクシャフト19の軸線方向に沿って前部カバー37およびクラッチ47間に対応する位置でクランクシャフト19にトルクコンバータ45が装着される。しかも歯車変速機46の入力軸50およびクランクシャフト19間の距離は、クランクシャフト19の軸線方向から見てトルクコンバータ45にクラッチ47の一部が重なるように設定される。 【0050】トルクコンバータ45は、ポンプ141、ステータ142およびタービン143を備える従来周知のものであり、ポンプ141はクランクシャフト19に固定され、ステータ142に結合されてクランクシャフト19を同軸に囲繞する円筒状のステータ軸144がクランクシャフト19に相対回転自在に支承され、タービン143に結合されてステータ軸144を同軸に囲繞する円筒状のタービン軸145が前記ステータ軸144に相対回転自在に支承される。 【0051】タービン軸145には駆動歯車146が固着されており、この駆動歯車146が、クラッチ47のクラッチセンタ130に連結された被動歯車139に噛合される。 【0052】クランクケース33の前部ケース半体31に固定される支持部材147と、前記ステータ軸144との間には、ステータ軸144およびステータ142が一方向に回転することを許容する第2一方向クラッチ148が設けられており、前記駆動歯車146は、クランクシャフト19の軸方向に沿って第2一方向クラッチ148およびトルクコンバータ45間に配置される。しかも前記クラッチ47は、該クラッチ47が備えるクラッチドラム133の少なくとも一部がクランクシャフト19の軸線方向に沿って第2一方向クラッチ148の側方に隣接する配置で、入力軸50の前端部に装着されている。 【0053】またトルクコンバータ45のポンプ141と、駆動歯車146が固定されたタービン軸145との間には、タービン軸145からポンプ141への動力伝達が可能な第3一方向クラッチ150が設けられる。 【0054】図5に特に注目して、クランクケース33の後部ケース半体32から後部作動室41内に突入したクランクシャフト19の後端には、発電機151のロータ152が固着され、該発電機151のステータ153は後部カバー39に固定される。 【0055】前記発電機151のロータ152に隣接した位置でクランクシャフト19には図示しないスタータモータに連結される始動歯車154が相対回転自在に支承されており、該始動歯車154は、第4一方向クラッチ155を介して前記ロータ152に連結される。これにより、スタータモータを作動せしめて始動歯車154を駆動すれば、第4一方向クラッチ155およびロータ152を介してクランクシャフト19をクランキングすることができ、そのクランキングによってエンジンEが始動したときには、第4一方向クラッチ155が自由状態となってロータ152から始動歯車154への動力の伝達が遮断される。 【0056】クランクシャフト19の最後端には、始動輪156が固着されており、この始動輪156に爪係合可能なリコイルスタータ157が後部カバー39に取付けられる。したがってリコイルスタータ157のロープ158を牽引操作することによってもクランクシャフト19をクランキングすることができる。 【0057】ロータ152の外周には複数の突起180…が突設されており、該突起180…を検出してクランクシャフト19の回転数を検出するエンジン回転数センサ181が、前記突起180…に対向するようにして、後部カバー39に取付けられる。 【0058】図9において、クランクケース33内の底部に形成されるオイル溜まり159に貯溜されるオイルは、クランクシャフト19で駆動されるスカベンジングポンプ161によりストレーナ160を介して吸入され、該スカベンジングポンプ161から吐出されるオイルは、オイルクーラ162を介してオイル溜まり159に戻され、スカベンジングポンプ161およびオイルクーラ162間には第1リーフ弁163が接続される。 【0059】油圧式のクラッチ47は、歯車変速機46を変速駆動する電動モータ118とは独立した第2アクチュエータ164で駆動されるものであり、この第2アクチュエータ164は、クランクシャフト19で駆動される油圧ポンプ165と、該油圧ポンプ165の吐出圧を制御してクラッチ47の油圧室136に作用せしめるクラッチ用制御弁166とを備える。 【0060】オイル溜まり159に貯溜されたオイルはストレーナ160を介して油圧ポンプ165で吸引され、該油圧ポンプ165から吐出されるオイルは、第2リリーフ弁167およびオイルフィルタ168を介してクラッチ用制御弁166に供給される。 【0061】クラッチ用制御弁166は、入力ポート169および出力ポート170を有する弁ハウジング171と、入力ポート169および出力ポート170間の連通・遮断を切換え可能として弁ハウジング171に摺動自在に嵌合されるスプール172と、スプール172および弁ハウジング171間に設けられるばね173と、該スプール172に同軸に連接されるリニアソレノイド174とを備え、入力ポート169はオイルフィルタ168に接続され、出力ポート170はクラッチ47の油圧室136に接続される。 【0062】弁ハウジング171は両端を開放した摺動孔175を有するものであり、摺動孔175の一端を閉塞したキャップ176と、摺動孔175に摺動可能に嵌合されるスプール172の一端との間にばね173が設けられ、摺動孔175の他端を閉塞するようにして弁ハウジング171に締結されるリニアソレノイド174のロッド174aがスプール172の他端に同軸に当接される。 【0063】前記ばね173は、入力ポート169および出力ポート170間を連通する側に前記スプール172をばね付勢し、入力電流に応じた推力を発揮するリニアソレノイド174からの推力は、入力ポート169および出力ポート170間を遮断する側に前記スプール172を移動せしめるようにロッド174aからスプール172に付与される。 【0064】しかも弁ハウジング171およびスプール172間には、出力ポート170の圧力を作用せしめる環状の圧力室176が形成されており、該圧力室176にリニアソレノイド174側から臨むスプール172の受圧面積は、前記圧力室176にばね173側から臨むスプール172の受圧面積よりも小さく設定される。したがって圧力室176の油圧は、入力ポート169および出力ポート170間を連通する側に前記スプール172を移動せしめるように該スプール172に作用することになる。 【0065】このようなクラッチ用制御弁166によれば、リニアソレノイド174の入力電流が大となるにつれて低圧となるように、油圧ポンプ165の油圧が制御されて出力ポート170から出力される。 【0066】クラッチ用制御弁166の弁ハウジング171は、図4で示すように、クラッチ47にほぼ対応する位置で前部カバー37の外面側に取付けられており、クラッチ47の油圧室136に通じて入力軸50の前端部に同軸に設けられる油路177と、前記クラッチ用制御弁166の出力ポート170に通じて前部カバー37に設けられた油路178とを結ぶ給油管179が、入力軸50の前端部および前部カバー37間に設けられ、該給油管179は、前記トルクコンバータ45の側方で入力軸50と同軸に延びるように配置される。 【0067】クラッチ用制御弁166の出力ポート170にはアキュムレータ183が接続されており、該アキュムレータ183は、固定のハウジング184と、出力ポート170に通じる環状の蓄圧室185をハウジング184との間に形成してハウジング184に摺動可能に嵌合されるアキュムレータピストン186と、前記蓄圧室185の容積を増大する側のばね力を発揮してハウジング184およびアキュムレータピストン186間に設けられるばね187とを備える。また前記蓄圧室185の容積を縮少する側に前記アキュムレータピストン186を付勢する油圧力を発揮し得るパイロット室188がアキュムレータピストン186およびハウジング184間に形成され、該パイロット室188は第1オリフィス189を介して前記クラッチ用制御弁166の出力ポート170に接続される。 【0068】このようなアキュムレータ183は、発生トルクの大きい車両に有効に用いられるものであり、クラッチ用制御弁166による制御油圧の変化をアキュムレータ183で緩和し、クラッチ47の変速ショックを緩和することができる。 【0069】またクラッチ用制御弁166の出力ポート170には、該出力ポート170の油圧低下に応じて開弁してクラッチ47における油圧室136のオイルをオイル溜まり159に排出する開閉弁190が接続されており、この開閉弁190の働きにより、クラッチ47が動力伝達を遮断する側に速やかに作動することができる。 【0070】オイルフィルタ168の出口は、前記クラッチ用制御弁166の入力ポート169に接続されるとともに、トルクコンバータ用制御弁191の入力ポート192に接続される。 【0071】このトルクコンバータ用制御弁191は、入力ポート192および出力ポート193を有する弁ハウジング194と、入力ポート192および出力ポート193間の連通・遮断を切換え可能として弁ハウジング194に摺動可能に嵌合されるスプール195と、入力ポート192および出力ポート193間を連通させる方向にスプール195を付勢するばね力を発揮して弁ハウジング194およびスプール195の一端間に設けられるばね196とを備える。また入力ポート192および出力ポート193間を遮断する方向にスプール195を付勢する油圧力を発揮するパイロット室198が、弁ハウジング194に装着されたキャップ197および前記スプール195の他端間に形成され、該パイロット室198は入力ポート192に連通される。 【0072】このようなトルクコンバータ用制御弁191によれば、油圧ポンプ167の出力油圧が一定に制御されて出力ポート193から出力されることになる。 【0073】該トルクコンバータ用制御弁191の弁ハウジング194は、図4で示すように、クランクシャフト19にほぼ対応する位置で前部カバー37に取付けられ、トルクコンバータ45内に通じてクランクシャフト19に設けられる油路199に、前部カバー37に設けられた第2オリフィス200を介して前記出力ポート193が接続される。またクランクシャフト19にはトルクコンバータ45から排出されるオイルをクランクピン35側に導く油路201が設けられる。 【0074】前記トルクコンバータ用制御弁191の出力ポート193に通じる油路202が前部カバー37および前部ケーシング36に設けられており、前部カバー37および前部ケーシング36間に挟持される第3オリフィス203が前記油路202に介設される。また前記油路202は第4オリフィス204を介してシリンダヘッド20内の油路(図示せず)に接続されるとともに、後部ケーシング38に設けられた油路205(図5参照)に接続されており、該油路205は、歯車変速機46の出力軸51に設けられた油路206に第5オリフィス207を介して接続される。さらに前記油路202のオイルは、クラッチ47内に第6オリフィス208を介して供給される。 【0075】歯車変速機46を変速駆動する電動モータ118と、前記クラッチ用制御弁166のリニアソレノイド174とは、歯車変速機46の変速作動に連動して前記クラッチ47を断・接作動せしめるようにして制御ユニット208で制御されるものであり、該制御ユニット208には、シフト位置を「L」,「D」,「N」,「R」の4つに切換えて操作可能なセレクトレバー209の操作位置を検出するセレクト位置検出器210の検出信号と、セレクトレバー209を「D」位置としたときの歯車変速機46の変速段を切換えるために操作可能なパワーボタン211のオン・オフ信号と、エンジンEのスロットル開度を検出するスロットルセンサ212の検出信号と、シフトポジション検出器73、車速センサ83、回転位相検出手段129およびエンジン回転数センサ181の検出信号とが入力される。 【0076】而して制御ユニット208は、セレクトレバー209で「L」位置を選択したときには歯車変速機46の第1速変段G1を確立せしめるように電動モータ118を制御し、セレクトレバー209で「D」位置を選択するとともにパワーボタン211がオフ状態にあるときには歯車変速機46の第2速変段G2を確立せしめるように電動モータ118を制御し、セレクトレバー209で「D」位置を選択するとともにパワーボタン211がオン状態にあるときには歯車変速機46の第3速変段G3を確立せしめるように電動モータ118を制御し、セレクトレバー209で「N」位置を選択したときには歯車変速機46で各変速段G1〜G3,GRのいずれもが確立しないように電動モータ118を制御し、さらにセレクトレバー209で「R」位置を選択したときには歯車変速機46で後進歯車列GRを確立せしめるように電動モータ118を制御する。 【0077】また制御ユニット208は、セレクトレバー209で「L」,「D」,「R」位置を選択しているときには、クラッチ47が動力伝達状態となるようにリニアソレノイド174を制御するが、セレクトレバー209で「N」位置を選択しているときには、クラッチ47が動力遮断状態となるようにリニアソレノイド174を制御する。 【0078】しかもセレクトレバー209が「L」,「D」,「N」,「R」の各位置の選択を切換えるように作動したときにクラッチ47を動力遮断状態から動力伝達状態に切換える際に、制御ユニット208は、スロットルセンサ212、シフトポジション検出器73、車速センサ83およびエンジン回転数センサ181の検出信号を勘案して、リニアソレノイド174への入力電流すなわちクラッチ47の油圧を制御する。 【0079】次にこの第1実施例の作用について説明すると、歯車変速機46が電動モータ118で変速駆動されるのに対し、クラッチ47が、前記電動モータ118とは独立した第2アクチュエータ164で駆動されるので、歯車変速機46およびクラッチ47間がリンク機構等で機械的に連結されるものに比べると、エンジンEの排気量が大となるのに伴なってクラッチ47の荷重が増大しても、リンク機構等の剛性を増大することが不要であり、重量増加を回避することができる。またクラッチ47の荷重が歯車変速機46でのシフト荷重やシフト作動ストロークに影響を及ぼすことはないので、変速操作性を向上することが可能である。 【0080】また前記歯車変速機46は、クランクケース33に回転自在に支承される入力軸50を備えるものであり、クランクケース33から突出した入力軸50の前端部に、油圧で作動するクラッチ47が装着され、第2アクチュエータ164の一部を構成するクラッチ用制御弁166が、クラッチ47およびトルクコンバータ45を覆ってクランクケース33に結合される前部カバー37に設けられているので、クラッチ47およびクラッチ用制御弁166を相互に近い位置に配置して、クラッチ用制御弁166の作動によるクラッチ47の作動応答性を向上することができる。 【0081】さらにトルクコンバータ45がクランクシャフト19の前端部に設けられ、トルクコンバータ45に作用せしめる油圧を制御するトルクコンバータ用制御弁191が前部カバー37に設けられているので、クラッチ用制御弁166およびトルクコンバータ用制御弁191をともに前部カバー37に設けるようにして、両制御弁166,191での圧洩れ検査を前部カバー37側で集中して行なうことができ、生産性の向上に寄与することができる。 【0082】しかもクラッチ用制御弁166は、クラッチ47の油圧室136に通じる出力ポート170からの出力油圧をリニアソレノイド174への入力電流に応じた値に制御可能に構成されるので、クラッチ47に作用する油圧を、リニアソレノイド147への入力電流制御によって制御することができる。したがってクラッチ47に作用せしめる油圧の制御により、該クラッチ47の作動特性を変化させることができ、その作動特性変化により第1および第2クラッチ板131…,132…の摩耗分を補償することができるので、クラッチ47にアジャスタ機構を設けることが不要となる。 【0083】またクラッチ用制御弁166が備えるリニアソレノイド174の作動、ならびに電動モータ118の作動は制御ユニット208で制御されるものであり、クラッチ用制御弁166および電動モータ118をともに電気的に制御するようにして、歯車変速機46の変速作動に連動してクラッチ47を作動せしめることが容易となるとともに、歯車変速機46を電動モータ118で変速駆動せしめるのに連動してクラッチ47を自動的に断・接作動せしめることができ、クラッチ47の作動特性を変化させることができるので、クラッチ47での変速ショックの緩和を図ることができる。 【0084】またクランクシャフト19の軸線方向に沿ってトルクコンバータ45からずれた位置に配置されるクラッチ47が、クランクシャフト19の軸線方向から見てトルクコンバータ45に一部を重ねるようにして入力軸50の前端部に装着されるので、クランクケース33内に歯車変速機46が収容されるように構成した動力伝達装置を、クランクシャフト19の軸線に沿う方向でコンパクト化することが可能である。しかもクラッチ47を、クランクシャフト19側に近接させて配置することができ、クランクシャフト19の軸線に直交する方向での動力伝達装置の大型化も抑えることができる。 【0085】トルクコンバータ45およびクラッチ47を覆ってクランクケース33に結合される前部カバー37と、入力軸50の一端部との間にはトルクコンバータ45の側方で前記入力軸50と同軸に延びる給油管179が設けられており、トルクコンバータ45の側方に生じるスペースを有効に活用してクラッチ47への作動油給油系を構成することができる。 【0086】しかもクラッチ47が、被動歯車139が連結されるクラッチセンタ130と、該クラッチセンタ130の外周に相対回転不能に噛合される第1クラッチ板131…と、第1クラッチ板131…に重合配置される第2クラッチ板132…と、第1および第2クラッチ板131…,132…を収容するとともに第2クラッチ板132…の外周を相対回転不能に噛合せしめて入力軸50と一体に回転するクラッチドラム133と、第1および第2クラッチ板131…,132…を摩擦係合せしめる油圧力を発揮可能として前記クラッチドラム133に摺動自在に嵌合されるピストン134とを備えるものであり、比較的大径のクラッチドラム133を有するクラッチ47を、クランクシャフト19の軸線に沿ってトルクコンバータ45に隣接する位置で被動歯車139およびクラッチドラム133がクランクシャフト19に干渉しないようにして効果的に配置することができる。 【0087】またクラッチセンタ130および入力軸50間に、入力軸50からクラッチセンタ130への動力伝達を可能とした第1一方向クラッチ140が設けられているので、エンジンブレーキ時に歯車変速機46側からの動力をトルクコンバータ45側に伝達することができ、さらにエンジンブレーキ時の歯車変速機46側からの動力は、第3一方向クラッチ150によりトルクコンバータ45を迂回してクランクシャフト18に伝達される。 【0088】さらにトルクコンバータ45のステータ142が一方向に回転することを許容する第2一方向クラッチ148がステータ142およびクランクケース33間に設けられ、トルクコンバータ45のタービン143と一体に回転する駆動歯車146が、クランクシャフト19の軸方向に沿って前記第2一方向クラッチ148および前記トルクコンバータ45間に配置され、前記クラッチドラム133の少なくとも一部が前記クランクシャフト19の軸線方向に沿って前記第2一方向クラッチ148の側方に隣接する配置で、クラッチ47が入力軸50の前端部に装着されている。したがって第2一方向クラッチ148でステータ142の空転を許容するようにしてトルクコンバータ45の効率を向上することが可能となり、しかもクラッチドラム133の少なくとも一部に対応して該クラッチドラム133およびクランクシャフト19間に生じるスペースに、比較的小径である第2一方向クラッチ148を有効に配置することができる。 【0089】図10は本発明の第2実施例を示すものであり、発生トルクが比較的小さい車両の適用にあたっては、アキュムレータ183および開閉弁150を省略することが可能であり、またトルクコンバータ用制御弁191に代えて第6オリフィス215を用いることも可能である。 【0090】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。 【0091】たとえば本発明は、不整地走行用鞍乗型車両だけでなく、トルクコンバータと、複数変速段の歯車列を択一的に確立し得る歯車変速機と、該歯車変速機の入力軸および前記トルクコンバータのタービン間での動力伝達を遮断可能なクラッチとを備える車両の動力伝達装置に関連して広く適用可能である。 【0092】また上記実施例では、クラッチ47が入力軸50の前端部に装着され、トルクコンバータ45がクランクシャフト19の前端部に装着されていたが、車両の前後方向に沿う入力軸50の後端部にクラッチ47が装着され、車両の前後方向に沿うクランクシャフト19の後端部トルクコンバータ45が装着される動力伝達装置にも本発明を適用可能である。 【0093】 【発明の効果】以上のように請求項1記載の発明によれば、エンジンの排気量が大となるのに伴なってクラッチ荷重が増大しても重量増加を回避することができ、クラッチ荷重が歯車変速機でのシフト荷重やシフト作動ストロークに影響を及ぼすことはないので、変速操作性を向上することが可能である。 【0094】また請求項2記載の発明によれば、クラッチおよびクラッチ用制御弁が相互に近い位置に配置されることになり、クラッチ用制御弁の作動によるクラッチの作動応答性を向上することができる。 【0095】請求項3記載の発明によれば、クラッチ用制御弁および電動モータをともに電気的に制御して、歯車変速機の変速作動に連動してクラッチを作動せしめることが容易となる。 【0096】さらに請求項4記載の発明によれば、クラッチ用制御弁およびトルクコンバータ用制御弁がともにカバーに設けられることになり、両制御弁での圧洩れ検査をカバー側で集中して行なうことができ、生産性の向上に寄与することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月5日(1999.10.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071870 【弁理士】 【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−108093(P2001−108093A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−284207 |
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