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【発明の名称】 自動変速装置
【発明者】 【氏名】尾神 史朗

【要約】 【課題】自動変速装置における制御性を良くし変速時間を短縮化し、安価にすること。

【解決手段】流体圧源10と変速機のシフト操作を行うシフト用アクチュエータ1との間に制御弁2が挿入接続される自動変速装置において、前記シフト用アクチュエータ1が、面積が異なるとともに左右の受圧面積が異なるピストン13、14が挿入配置され互いに連結された少なくとも2個のシフト用アクチュエータ11、12によって構成され、前記制御弁2により、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータ11、12の前記ピストン13、14によって区画される左右の部屋15、16、17、18への圧力流体の吸排が制御されることにより、前記ピストン13、14の移動方向および変速操作力が制御される自動変速装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体圧源と変速機のシフト操作を行うシフト用アクチュエータとの間に制御弁が挿入接続される自動変速装置において、前記シフト用アクチュエータが、ピストンの左右の受圧面積が異なり、前記制御弁により、前記シフト用アクチュエータの前記ピストンによって区画される左右の部屋への圧力流体の吸排が制御されることにより、ピストンの移動方向および変速操作力が制御されることを特徴とする自動変速装置。
【請求項2】 請求項1において、前記シフト用アクチュエータが、ピストンが挿入配置され互いに連結された少なくとも2個のシフト用アクチュエータによって構成され、前記制御弁により、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータの前記ピストンによって区画される左右の部屋への圧力流体の吸排が制御されることにより、ピストンの移動方向および変速操作力が制御されることを特徴とする自動変速装置。
【請求項3】 請求項2において、前記制御弁が、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータとタンクとの間に挿入接続された制御弁を備えていることを特徴とする自動変速装置。
【請求項4】 請求項3において、前記シフト用アクチュエータが、面積の異なるピストンが挿入配置され互いに連結された少なくとも2個のシリンダ径の異なるシフト用アクチュエータによって構成されていることを特徴とする自動変速装置。
【請求項5】 請求項4において、前記制御弁が、2位置方向制御弁によって構成されていることを特徴とする自動変速装置。
【請求項6】 請求項2において、前記制御弁が、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータを前記流体圧源およびタンクに選択的に連通させる3位置方向制御弁によって構成されていることを特徴とする自動変速装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体圧源と変速機のシフト操作を行うシフト用アクチュエータとの間に制御弁が挿入接続される自動変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】歯車式変速機の変速操作を行う場合、同期装置の同期時における同期装置の保護、同期ショックの低減および変速作動に伴い発生する異音の低減等の為、流体圧(操作力)を調整し、低圧で同期させる必要がある。
【0003】そのため常に変速操作力として低圧で作動させる事が考えられるが、これでは変速時間が長くなり、運転手に変速時の違和感を与える。
【0004】そこで従来の電子制御式変速機(特開平4−113075)は、図3に示されるように流体圧源Pと変速操作用アクチュエータAとの間に比例電磁式圧力制御弁Vを挿入し、変速操作用アクチュエータAへ供給する流体圧を各変速動作に対応して制御するものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記従来の電子制御式変速機は、前記比例電磁式圧力制御弁Vがコストが高く、制御性が悪く、また瞬時に流体圧の調整が出来ない為、変速時間の長時間化、同期装置の損傷を招く恐れがあるという問題があった。
【0006】そこで本発明者は、変速機のシフト操作を行うシフト用アクチュエータのピストンの面積差を利用して、変速操作力を調整することに着目し、流体圧源と変速機のシフト操作を行うシフト用アクチュエータとの間に制御弁が挿入接続される自動変速装置において、ピストンの左右の受圧面積が異なるシフト用アクチュエータの前記ピストンによって区画される左右の部屋への圧力流体の吸排を制御することにより、ピストンの移動方向および変速操作力を制御するという本発明の技術的思想に着眼し、更に研究開発を重ねた結果、安価で、制御性が良く、変速時間を短縮化するという目的を達成する本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明(請求項1に記載の第1発明)の自動変速装置は、流体圧源と変速機のシフト操作を行うシフト用アクチュエータとの間に制御弁が挿入接続される自動変速装置において、前記シフト用アクチュエータが、ピストンの左右の受圧面積が異なり、前記制御弁により、前記シフト用アクチュエータの前記ピストンによって区画される左右の部屋への圧力流体の吸排が制御されることにより、ピストンの移動方向および変速操作力が制御されるものである。
【0008】本発明(請求項2に記載の第2発明)の自動変速装置は、前記第1発明において、前記シフト用アクチュエータが、ピストンが挿入配置され互いに連結された少なくとも2個のシフト用アクチュエータによって構成され、前記制御弁により、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータの前記ピストンによって区画される左右の部屋への圧力流体の吸排が制御されることにより、ピストンの移動方向および変速操作力が制御されるものである。
【0009】本発明(請求項3に記載の第3発明)の自動変速装置は、前記第2発明において、前記制御弁が、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータとタンクとの間に挿入接続された制御弁を備えているものである。
【0010】本発明(請求項4に記載の第4発明)の自動変速装置は、前記第1発明において、前記シフト用アクチュエータが、面積の異なるピストンが挿入配置され互いに連結された少なくとも2個のシリンダ径の異なるシフト用アクチュエータによって構成されているものである。
【0011】本発明(請求項5に記載の第5発明)の自動変速装置は、前記第4発明において、前記制御弁が、2位置方向制御弁によって構成されているものである。
【0012】本発明(請求項6に記載の第6発明)の自動変速装置は、前記第4発明において、前記制御弁が、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータを前記流体圧源およびタンクに選択的に連通させる3位置方向制御弁によって構成されているものである。
【0013】
【発明の作用および効果】上記構成より成る第1発明の自動変速装置は、流体圧源と変速機のシフト操作を行うシフト用アクチュエータとの間に制御弁が挿入接続される自動変速装置において、前記制御弁により、前記ピストンの左右の受圧面積が異なる前記シフト用アクチュエータの前記ピストンによって区画される左右の部屋への圧力流体の吸排が制御されることにより、前記ピストンの移動方向および変速操作力が制御されるので、安価で、制御性が良く、変速時間を短縮化するという効果を奏する。
【0014】上記構成より成る第2発明の自動変速装置は、前記第1発明において、前記制御弁により、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータの前記ピストンによって区画される左右の部屋への圧力流体の吸排が制御されることにより、ピストンの移動方向および変速操作力が制御されるので、変速操作力の幅が広がり、広い範囲の変速操作力による変速制御が可能になるという効果を奏する。
【0015】上記構成より成る第3発明の自動変速装置は、前記第2発明において、前記制御弁が、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータとタンクとの間に挿入接続された制御弁を備えているので、前記シフト用アクチュエータ内の前記圧力流体の排出を可能にするため、変速時間を短縮化するという効果を奏する。
【0016】上記構成より成る第4発明の自動変速装置は、前記第3発明において、前記制御弁により、シリンダ径が異なる前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータの受圧面積の異なる前記ピストンによって区画される左右の部屋への圧力流体の吸排が制御されることにより、ピストンの移動方向および変速操作力が制御されるので、変速操作力の自由度が高まり、最適な変速操作力による変速制御が実現されるという効果を奏する。
【0017】上記構成より成る第5発明の自動変速装置は、前記第4発明において、前記制御弁が、安価で、2位置を切換制御する2位置方向制御弁によって構成されているので、安価で、制御性が良いという効果を奏する。
【0018】上記構成より成る第6発明の自動変速装置は、前記第4発明において、前記制御弁が、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータを前記流体圧源およびタンクに選択的に連通させる3位置方向制御弁によって構成されているので、制御弁の数を減らすとともに、制御ロジックをシンプルにするという効果を奏する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態につき、図面を用いて説明する。
【0020】(第1実施形態)本第1実施形態の自動変速装置は、図1に示されるように流体圧源10と変速機のシフト操作を行うシフト用アクチュエータ1との間に制御弁2が挿入接続される自動変速装置において、前記シフト用アクチュエータ1が、面積が異なるとともに左右の受圧面積が異なるピストン13、14が挿入配置され互いに連結された少なくとも2個のシフト用アクチュエータ11、12によって構成され、前記制御弁2により、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータ11、12の前記ピストン13、14によって区画される左右の部屋15、16、17、18への圧力流体の吸排が制御されることにより、前記ピストン13、14の移動方向および変速操作力が制御されるものである。
【0021】前記ピストン13、14は、ピストンロッド3によって互いに連結され、該ピストンロッド3にはストロークセンサ31が配設されている。
【0022】前記ピストンロッド3は、セレクト用アクチュエータ4のピストン41に一端が固着されるとともにストロークセンサ45が配設されたピストンロッド42に連係されている。
【0023】前記第1のシフト用アクチュエータ11の左右の部屋15、16と流体圧源10としての蓄圧装置とを連絡する第1および第2の配管51、52に、流体供給用の第1および第2の2位置方向制御弁21、22が介挿されている。
【0024】前記第1のシフト用アクチュエータ11に介挿された前記ピストン13の前記右の部屋16に開口する右側の受圧面積S2は、前記ピストンロッド3の一端が固着されているため、前記ピストン13の前記左の部屋15に開口する左側の受圧面積S1より所定面積だけ小さく設定されている。
【0025】前記第2のシフト用アクチュエータ12の左右の部屋17、18と流体圧源10としての蓄圧装置とを連絡する第3および第4の配管53、54に、流体供給用の第3および第4の2位置方向制御弁23、24が介挿されている。
【0026】前記第2のシフト用アクチュエータ12に介挿された前記ピストン14の前記左の部屋17に開口する左側の受圧面積S3は、前記ピストンロッド3の他端が固着されているため、前記ピストン14の前記右の部屋18に開口する右側の受圧面積S4より所定面積だけ小さく設定されている。
【0027】前記第1および第2の配管51、52とタンクTとを連絡する第5および第6の配管55、56に、流体排出用の第5および第6の2位置方向制御弁25、26が介挿されている。
【0028】前記第3および第4の配管53、54とタンクTとを連絡する第7および第8の配管57、58に、流体排出用の第7および第8の2位置方向制御弁27、28が介挿されている。
【0029】前記ピストン41によって上下に分割された前記セレクト用アクチュエータ4の上室43は、配管59を介して前記流体圧源10としての蓄圧装置に連絡しており、下室44は第9の2位置方向制御弁29を介して前記配管59に連絡しているとともに、2位置方向制御弁291を介してタンクTに連絡している。
【0030】ポンプ110が、前記タンクT内の流体を汲み上げ、前記配管59を介して前記流体圧源10としての蓄圧装置に供給して、所定圧力に蓄圧するように構成されている。
【0031】上記第1実施形態の自動変速装置において、前記アクチュエータピストン13および14を図中左方向にを動かす時は、例えば前記第4、第5、第6および第7の2位置方向制御弁24、25、26および27を開き、その他の2位置方向制御弁を閉じた状態で前記第2のシフト用アクチュエータ12の前記右の部屋18に流体を送り込む事により図中左方向へ変速操作力が発生する。
【0032】この時の変速操作力は、供給された流体圧と前記ピストン14の右側の受圧面積S4とを乗じることにより算出できる。
【0033】更にこの変速操作力を減じたい場合は、例えば上記状態から第5の2位置方向制御弁25を閉じ、前記第1の2位置方向制御弁21を開く事により、前記第1のシフト用アクチュエータ11の前記左の部屋15に流体を送り込むと、図中右方向の前記ピストン13の左側の受圧面積S1に力が発生し、両者の発生する力が相殺されその差分により変速操作力が減じられる。
【0034】これらの組合せにより、図1中左右方向への変速操作力を調整することが出来る。また、推力をゼロ(保持状態)にしたい場合は、例えば第1ないし第8の2位置方向制御弁21ないし28を全て閉じる事により可能となる。以下の表1にこれらの組合せの一覧を示す。
【表1】

【0035】本第1実施形態において、例えば図1における右側(1速、3速、5速側)へシフトする場合、前記第1および第2のシフト用アクチュエータ11、12の前記左右の部屋14ないし17への流体の吸排を制御することにより、各シフトタイミングにおける受圧面積を、以下の表2のように変える事が可能である。
【表2】

【0036】このように各シフトタイミングでの受圧面積を変える事により、運転状況等によって様々な荷重を発生でき、シフト時間を一定にすることが出来る。
【0037】また各シフト位置からニュートラルにシフトする時(信号で停止する時など)、シフトをニュートラル位置で止める(保持する)必要があるが、作動させる電磁弁を必要最小限に止める事によって、電磁弁の耐久性を上げることが出来る。例えば4速走行中、信号などで停止しシフトをニュートラルに動かす場合の電磁弁の作動パターンは前記表1より以下の表3のようになる。この時作動させる電磁弁は、前記第6の2位置方向制御弁26のみなので、その他の電磁弁の耐久性が上がる。
【表3】

【0038】上記作用を奏する第1実施形態の自動変速装置は、前記流体圧源10と変速機のシフト操作を行うシフト用アクチュエータ1との間に前記制御弁2が挿入接続される自動変速装置において、前記制御弁2により、前記ピストン13、14の左右の受圧面積が異なる前記シフト用アクチュエータ1の前記ピストン13、14によって区画される左右の部屋15ないし18への圧力流体の吸排が制御されることにより、前記ピストン13、14の移動方向および変速操作力の制御が可能になるという効果を奏する。
【0039】また第1実施形態の自動変速装置は、前記制御弁により、前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータ11、12の前記ピストン13、14によって区画される左右の部屋15ないし18への圧力流体の吸排が制御されることにより、前記ピストン13、14の移動方向および変速操作力が制御されるので、変速操作力の幅が広がり、広い範囲の変速操作力による変速制御が可能になるという効果を奏する。
【0040】さらに第1実施形態の自動変速装置は、前記制御弁が、前記2個のシフト用アクチュエータ11、12と前記タンクTとの間に挿入接続された前記制御弁25ないし28を備えているので、前記シフト用アクチュエータ11、12内の前記圧力流体の排出を可能にするため、変速時間を短縮化するという効果を奏する。
【0041】また第1実施形態の自動変速装置は、前記制御弁21ないし28により、シリンダ径が異なる前記少なくとも2個のシフト用アクチュエータ11、12の受圧面積の異なる前記ピストン13、14によって区画される前記左右の部屋15ないし18への圧力流体の吸排が制御されることにより、前記ピストン13、14の移動方向および変速操作力が制御されるので、変速操作力の自由度が高まり、最適な変速操作力による変速制御が実現されるという効果を奏する。
【0042】さらに第1実施形態の自動変速装置は、前記制御弁2が、安価で、2位置を切換制御する前記2位置方向制御弁21ないし28によって構成されているので、安価で、制御性が良いという効果を奏する。
【0043】(第2実施形態)本第2実施形態の自動変速装置は、図2に示されるように制御弁2が、2個のシフト用アクチュエータ11、12を流体圧源10およびタンクTに選択的に連通させる3位置方向制御弁61ないし64によって構成されている点が、前記第1実施形態との相違点であり、以下相違点を中心に説明する。
【0044】すなわち前記第1実施形態において前記8個の前記2位置方向制御弁21ないし28によって行っていたシリンダ径が異なる前記2個のシフト用アクチュエータ11、12の前記左右の部屋15ないし18への圧力流体の吸排制御を、4個の3位置方向制御弁61ないし64によって行うものである。
【0045】したがって本第2実施形態の自動変速装置は、前記4個の3位置方向制御弁61ないし64によって、前記2個のシフト用アクチュエータ11、12の前記左右の部屋15ないし18への圧力流体の吸排制御を行うものであるため、制御弁のトータルの数を減らすとともに、制御ロジックをシンプルにするという効果を奏する。
【0046】上述の実施形態は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【出願人】 【識別番号】592058315
【氏名又は名称】アイシン・エーアイ株式会社
【出願日】 平成11年10月6日(1999.10.6)
【代理人】 【識別番号】100083046
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 克彦
【公開番号】 特開2001−108092(P2001−108092A)
【公開日】 平成13年4月20日(2001.4.20)
【出願番号】 特願平11−286132