| 【発明の名称】 |
変速装置の異常検出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】久保田 幸雄
【氏名】堀 泰彦
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| 【要約】 |
【課題】遊星歯車機構はHMTのミッション装置において、重要な役割を果たす装置であり、また、HST・HMTモードの切換により負荷が掛かる場合がある為、高い信頼性が要求される。このため、構造自体の強化を図ることは勿論であるが、異常が発生した場合には的確に異常を検出する必要がある。
【解決手段】駆動源からの動力を、一方は遊星歯車機構10に伝え、他方はHST21を介して遊星歯車機構に伝えて合成する構成において、モータ出力軸26の出力回転数を検出する手段81と、合成出力回転数を検出する手段82を設け、モータ出力軸の出力回転数に対応する合成出力の演算値と、合成出力回転数の検出値を比較して変速装置の異常を検出する構成とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動源からの動力を、一方は遊星歯車機構に伝え、他方は油圧式無段変速装置を介して遊星歯車機構に伝えて合成する構成において、モータ出力軸の出力回転数を検出する手段と、合成出力回転数を検出する手段を設け、モータ出力軸の出力回転数に対応する合成出力の演算値と、合成出力回転数の検出値を比較して変速装置の異常を検出する構成としたことを特徴とする変速装置の異常検出装置。 【請求項2】 駆動源からの動力を、一方は遊星歯車機構に伝え、他方は油圧式無段変速装置に伝え、該油圧式無段変速装置の出力部と前記遊星歯車機構の間に切換クラッチを配置して、両者を合成または一方から出力するようにした変速装置において、モータ出力軸の出力回転数を検出する手段と、合成出力回転数を検出する手段を設け、モータ出力軸の出力回転数に対応する合成出力の演算値と、合成出力回転数の検出値を比較して変速装置の異常を検出する構成としたことを特徴とする変速装置の異常検出装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は油圧−機械式変速機に関するものであり、特に、ミッションケース内の軸、ギヤ、クラッチ等に異常が発生した場合の検出手段に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、エンジン動力を、一方は遊星歯車機構に伝え、他方は油圧式無段変速装置を介して遊星歯車機構に伝えて合成する構成のミッション装置が油圧−機械式変速機(以下HMTとする。)として同一出願人により提案されており、特願平10−306082号、特願平10−306086号等より出願済みである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記従来技術においては、切換クラッチの操作により油圧式無段変速を行うHSTモードと、油圧−機械式無段変速を行うHMTモードとを切換えるように構成されており、この切換操作により、遊星歯車機構においてポンプ入力軸による回転出力にHST変速後のモータ出力軸の出力を合成するように構成していた。このため、遊星歯車機構はHMTのミッション装置において、重要な役割を果たす装置であり、また、HST・HMTモードの切換により負荷が掛かる場合がある為、高い信頼性が要求される。このため、構造自体の強化を図ることは勿論であるが、異常が発生した場合には的確に異常を検出する必要がある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に課題を解決するための手段を説明する。即ち、駆動源からの動力を、一方は遊星歯車機構に伝え、他方は油圧式無段変速装置を介して遊星歯車機構に伝えて合成する構成において、モータ出力軸の出力回転数を検出する手段と、合成出力回転数を検出する手段を設け、モータ出力軸の出力回転数に対応する合成出力の演算値と、合成出力回転数の検出値を比較して変速装置の異常を検出する構成とした。 【0005】また、駆動源からの動力を、一方は遊星歯車機構に伝え、他方は油圧式無段変速装置に伝え、該油圧式無段変速装置の出力部と前記遊星歯車機構の間に切換クラッチを配置して、両者を合成または一方から出力するようにして変速装置において、モータ出力軸の出力回転数を検出する手段と、合成出力回転数を検出する手段を設け、モータ出力軸の出力回転数に対応する合成出力の演算値と、合成出力回転数の検出値を比較して変速装置の異常を検出する構成とした。 【0006】 【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について説明する。図1は本発明にかかるHMTのスケルトン図、図2はHST及びミッション(前部)の断面展開図、図3はミッション(後部)の断面展開図である。 【0007】図1乃至図3において、油圧−機械式変速機(以下HMTとする)の構成について説明する。HMTはHST(油圧式無段変速装置)21および遊星歯車機構10を備えるミッション30により構成されている。図2に示すようにHST21はHSTケース31およびセンタセクション32に内包される油圧ポンプ22および油圧モータ23を備えており、該センタセクション32はミッション30のケース33に固設されている。 【0008】HST21には駆動源であるエンジン20からの動力を伝達する入力軸25が挿嵌貫通されており、該入力軸25には油圧ポンプ22の可動斜板22aおよびシリンダブロック22bが挿嵌されている。該シリンダブロック22bは入力軸25に相対回動不能に挿嵌されており、入力軸25とともにシリンダブロック22bが駆動される構成になっている。該シリンダブロック22bにはプランジャー22cが複数摺動自在に配設されている。該プランジャー22cの先端には前記可動斜板22aが当接しており、該可動斜板22aの傾斜角を調節することにより、油圧ポンプ22の作動油の吐出量を調節可能に構成されている。油圧ポンプ22により吐出された作動油はセンターセクション32に設けられた油路を介して油圧モータ23に送油される。そして、同様にシリンダブロック、プランジャ等より構成される油圧モータ23を駆動させることによって、該油圧モータ23のモータ出力軸26の回転速度及び回転方向を制御する構成になっている。なお、本実施例では油圧ポンプを可変容量型としているが、油圧ポンプと油圧モータの両方を可変容量型とする構成でも本発明の実施は可能である。 【0009】次にミッション30の構成について説明する。ミッション30はミッションケース33により被装されており、該ミッションケース33には入力軸25、モータ出力軸26、合成出力軸27、副変速軸28、PTO軸53等が平行で前後方向に配設され、回動自在に支持されている。また、ミッションケース33内には遊星歯車機構10が設けられている。遊星歯車機構10は後述するサンギヤ1、プラネタリーギヤ2、出力ギヤ3、キャリヤ4・5等より構成されている。 【0010】モータ出力軸26には2つのギヤ11・12が遊嵌されており、該ギヤ11・12の間には油圧クラッチ13・14が介装されて、該油圧クラッチ13・14の何れか一方を接続させることにより、ギヤ11・12の何れか一方に動力が伝達される。前記入力軸25はセンタセクション32を貫通してミッションケース33内に延設しており、該入力軸25上に遊星歯車機構10を有している。 【0011】入力軸25の回転出力は、入力軸25に対して相対回転不能に挿嵌されたサンギヤ1を回転駆動する。そして、サンギヤ1はプラネタリアギヤ2に刻設された2つのギヤの内の一方であるギヤ2aに噛合し、さらに他方のギヤ2bは出力ギヤ3に噛合している。ここでプラネタリアギヤ2は、入力軸25上に遊嵌されたキャリア4・5に挟まれるようにして回転自在に支持されるとともに、該キャリア4・5と一体となって回転する。また、キャリア5にはギヤ6が固設されており、前記モータ出力軸26上のギヤ11と噛合している。また、遊星歯車機構10の出力ギヤ3は入力軸25上に遊嵌されたパイプ軸7の前端部に形成されており、該パイプ軸7の後端にはギヤ8が相対回転不能に挿嵌されている。 【0012】以上の構成におけるHMTの制御について説明する。まず、HSTモードの駆動系について説明する。HSTモードにおいては2つの油圧クラッチ13・14のうち、油圧クラッチ14が接続される。これにより、モータ出力軸26の回転出力はギヤ11には伝達されずに、ギヤ12のみを回転駆動する。 【0013】モータ出力軸26とは平行に合成出力軸27が配設されており、該合成出力軸27上に固設されたギヤ15が前記モータ出力軸26のギヤ12に噛合している。これにより、モータ出力軸26の回転出力がギヤ12・15を介して合成出力軸27に伝達される。合成出力軸27はミッションケース33内を後方に延設して、図3で示すように、合成出力軸27の後部に2つのギヤ17・18を回転不能に挿嵌している。 【0014】また、合成出力軸27には副変速軸28が並設されており、該副変速軸28にはギヤ60・61が遊嵌されており、該ギヤ60・61が前記ギヤ17・18に噛合して異なる回転数で駆動している。そして、副変速軸28に設けられた副変速クラッチ62を操作することにより、ギヤ60・61何れかの回転駆動力を副変速軸28に伝達するのである。そして、該副変速軸28の後端に刻設されたベベルギヤ69を介して後輪ディファレンシャルに動力が伝達される。 【0015】また、副変速軸28の前端部には2つのギヤ63・64が固設されており、該ギヤ63・64が前輪出力軸29上に遊嵌されたギヤ65・66に噛合し、該ギヤ65・66を異なる回転数で駆動している。また、前輪出力軸29上には2つの油圧クラッチ67・68が設けられており、該油圧クラッチ67・68のうち何れか一方を接続することにより、ギヤ65・66の何れか一方の回転駆動力を前輪出力軸29に伝達するのである。 【0016】HSTモードにおいては、以上の駆動系により前輪及び後輪を駆動するものであるが、この駆動系においてはエンジン出力が前後輪にまで伝達されるまでの間に遊星歯車機構10を経由しないモードとなっている。つまり、遊星歯車機構10は空転しており、エンジン出力はHST21により変速された後、副変速されて前後輪に伝達されるのである。 【0017】次に、HMTモードの駆動系について説明する。HMTモードにおいては2つの油圧クラッチ13・14のうち、油圧クラッチ13が接続される。これにより、モータ出力軸26の回転出力はギヤ12には伝達されずに、ギヤ11のみを回転駆動する。そして、ギヤ11は前記キャリア5に固設されたギヤ6に噛合しており、モータ出力軸26の回転出力がキャリア5に伝達される。 【0018】また、入力軸25の回転出力によりサンギヤ1が回転駆動しており、サンギヤ1の回転出力がプラネタリアギヤ2を介して出力ギヤ3を有するパイプ軸7を駆動する。つまり、プラネタリアギヤ2はサンギヤ1により回転駆動するとともに、キャリア5と一体となって回転するので、入力軸25の回転出力と、HST21による変速後のモータ出力軸26の回転出力が合成されてパイプ軸7に伝達されるのである。 【0019】そして、パイプ軸7後端のギヤ8が前記合成出力軸27のギヤ16に噛合しているので、合成された出力がパイプ軸7から合成出力軸27に伝達される。以降は、HSTモードと同様に副変速軸28を経て前輪及び後輪を駆動するのである。以上の伝達系によりHMTモードによる前輪及び後輪の駆動が行われる。 【0020】また、前記入力軸25の後端はPTOクラッチ40を介してPTO入力軸41に伝達される。PTO入力軸41の後端には3つのギヤ42・43・44が相対回転不能に挿嵌され、それぞれPTO副変速軸45に遊嵌されたギヤ46・4748に噛合している。そしてPTO副変速クラッチ49の操作により3段階に変速された出力が、ギヤ50・52を介して回転軸51に伝達され、さらにギヤ52・54を介してPTO軸53に伝達され、作業機等に動力を伝達するよう構成している。 【0021】次に、HMTモードにおける駆動系の異常検出手段について説明する。上述の如く、HMTモードにおいては、エンジン20の動力を一方は入力軸25より遊星歯車機構10に伝達し、他方はHST21を介してモータ出力軸26より遊星歯車機構10に伝達して合成するよう構成している。そして、合成された出力回転数は前記合成出力軸27に伝達されるが、本発明においては、この合成出力軸27より下流側で検出される合成出力回転数、及び、前記モータ出力軸26の回転数を検出することにより異常検出を行う。 【0022】図2に示すように、前記モータ出力軸26の後端には回転数検出用のギヤ9が固設されており、該ギヤ9の近傍にはモータ出力軸26出力回転数を検出する手段であるセンサ81が設けられている。また、前記合成出力軸27に固設されたギヤ15には、合成出力軸27の出力回転数を検出する手段であるセンサ82が設けらている。ここで、HMTモードにおいては、モータ出力軸26の出力回転数と、入力軸25の出力回転数が遊星歯車機構10において合成された後、合成出力軸27に伝達される構成であるので、前記センサ82は合成出力回転数を検出する手段となるのである。そして、図1に示すように該センサ81・82は、それぞれ制御部90に接続されている。 【0023】そして、制御部90はセンサ81よりモータ出力軸26の出力回転数を検出するとともに、この検出結果より合成出力回転数を演算するのである。つまり、エンジン回転数より求められる入力軸25の回転数は、サンギヤ1、プラネタリアギヤ2、出力ギヤ3のギヤ比により変速されてパイプ軸7に伝達される。さらに、検出したモータ出力軸26の出力回転数がギヤ11・6のギヤ比により変速されてキャリア5に加算されるため、この加算を加味したパイプ軸7の回転数が求められるのである。そして、ギヤ8・16のギヤ比より合成出力軸27に伝達される合成出力回転数が演算により求められるのである。 【0024】また、前述の如く、合成出力軸27にもセンサ82が設けられているので、このセンサ82により検出した合成出力回転数と、上記演算より求めた合成出力回転数とを比較するのである。そして、この比較によりそれぞれの合成出力回転数が異なる場合には、HMT変速装置に異常が発生していることとなる。異常原因としては、前記クラッチ13・14の断接が正常に行われていない場合や、キャリア4・5が正常に駆動していない場合等が挙げられる。 【0025】本発明によれば、演算結果と検出結果の比較により、上述した何らかの異常原因により僅かな回転数にずれが生じた場合にも確実に異常判断を行うことができるのである。つまり、HSTモードとHMTモードの切換を行うクラッチ13・14及び遊星歯車機構10が介在する伝達系に発生した異常を検出可能に構成しているので、HMT変速装置を構成する中核部分の異常を的確に検出することにより、変速装置の信頼性の向上を実現しているのである。 【0026】上述した実施例においては合成出力回転数の検出手段としてセンサ82を合成出力軸27に設ける構成としているが、このセンサ82を前記前輪駆動軸29に遊嵌されたギヤ66等に設けることにより、前記副変速軸28における合成出力回転数を検出する構成としてもよい。つまり、合成出力回転数の検出手段は合成出力軸27より下流側に位置する何れかの軸に設ければよく、前記センサ81の検出結果より演算で求めた合成出力回転数と、合成出力軸27より下流側で検出される合成出力回転数とを比較すればよいのである。ただし、センサ81の検出結果より行う演算においては、センサ82をギヤ66等に設けた場合には、副変速装置の変速比を加味する必要がある。 【0027】このようにセンサ82を合成出力軸27より下流側に設けることにより、HMT変速装置に発生した異常を検出することが可能であり、また、前記副変速クラッチ62等の異常も併せて検出することが可能である。さらに、後輪及び前輪の回転軸に、より近い位置で合成出力回転数を検出する構成となるので、車速の検出センサとして機能し、速度計としての利用が可能となるのである。 【0028】 【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、以下のような効果を奏するものである。即ち、駆動源からの動力を、一方は遊星歯車機構に伝え、他方は油圧式無段変速装置を介して遊星歯車機構に伝えて合成する構成において、モータ出力軸の出力回転数を検出する手段と、合成出力回転数を検出する手段を設け、モータ出力軸の出力回転数に対応する合成出力の演算値と、合成出力回転数の検出値を比較して変速装置の異常を検出する構成としたので、演算結果と、検出結果の比較により僅かな回転数にずれが生じた場合にも確実に異常判断を行うことができるのである。 【0029】また、駆動源からの動力を、一方は遊星歯車機構に伝え、他方は油圧式無段変速装置に伝え、該油圧式無段変速装置の出力部と前記遊星歯車機構の間に切換クラッチを配置して、両者を合成または一方から出力するようにして変速装置において、モータ出力軸の出力回転数を検出する手段と、合成出力回転数を検出する手段を設け、モータ出力軸の出力回転数に対応する合成出力の演算値と、合成出力回転数の検出値を比較して変速装置の異常を検出する構成としたので、HSTモードとHMTモードの切換クラッチ及び遊星歯車機構が介在する伝達系の異常を検出するよう構成され、HMT変速装置を構成する中核部分の異常を的確に検出することにより、変速装置の信頼性の向上を実現した。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006781 【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月6日(1999.10.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080621 【弁理士】 【氏名又は名称】矢野 寿一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−108090(P2001−108090A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−285027 |
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