| 【発明の名称】 |
車両の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 良雄
【氏名】友松 秀夫
【氏名】稲川 智一
【氏名】高波 陽二
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| 【要約】 |
【課題】走行経路情報の検出精度が低下しても意図しない制御の変更やそれに伴う車両の挙動の変化を防止して、搭乗者に違和感を与えることのない制御装置を提供する。
【解決手段】走行経路に関する情報に基づいて車両の各部を制御する車両の制御装置であって、検出された走行経路に関する情報に基づいて車両各部が制御されていることが制御判定手段(ステップS6)で判定され、かつ前記走行経路に関する情報の検出精度の低下したことが検出精度判定手段(ステップS2,S4)によって判定された場合に、現状の制御状態を維持する制御状態維持手段(ステップS7)とを備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行経路に関する情報に基づいて車両の各部を制御する車両の制御装置において、検出された走行経路に関する情報に基づいて車両各部が制御されていることを判定する制御判定手段と、前記走行経路に関する情報の検出精度の低下を判定する検出精度判定手段と、検出された走行経路に関する情報に基づいて車両各部が制御されていることが前記制御判定手段で判定され、かつ前記走行経路に関する情報の検出精度の低下したことが前記検出精度判定手段によって判定された場合に、現状の制御状態を維持する制御状態維持手段とを備えていることを特徴とする車両の制御装置。 【請求項2】 前記走行経路に関する情報に基づく車両各部の制御が、加速要求量が実質的にゼロの場合に車両の加速度が負となるように自動変速機の変速比を制御する制御であることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。 【請求項3】 前記自動変速機の変速比の制御には、検出された走行経路に関する情報が曲線走行路であり、かつその曲線走行路での加速要求量が実質的にゼロの場合に車両加速度が負となるように自動変速機の変速比を制御する制御が含まれることを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。 【請求項4】 前記検出精度の低下した走行経路に関する情報の補正をおこなう補正手段と、その補正手段による走行経路に関する情報の補正が終了した後に前記制御状態維持手段による制御状態の現状維持を解除して、検出された走行経路に関する情報に基づいた車両各部の制御を再開する復帰手段とを更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。 【請求項5】 前記復帰手段が、前記走行経路に関する情報の検出部から前記車両各部を制御する制御部への走行経路に関する情報の通信を再開する手段であることを特徴とする請求項4に記載の車両の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、走行経路情報を検出し、その走行経路情報に基づいて自動変速機などの車両各部を制御する装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】最近では、車両の制御装置として、地図上での自車両の位置のみならず、目的地までの走行経路やその走行経路に沿った道路情報を得られる制御装置が開発されている。そしてその道路情報に基づいて自動変速機の変速パターンやエンジンなどを制御することが可能であって、そのような走行経路情報に基づく制御をおこなえば、ドライバビリティや燃費が向上する。この種の制御は、自車両の位置を正確に検出することによって可能になり、その検出精度が低下すれば、誤った情報に基づいて制御を実行することになってしまい、却って不都合が生じる。 【0003】そこで例えば特開平10−184413号公報に記載された発明では、走行経路情報の検出精度に基づいて制御パターンを変更するように制御装置を構成している。その一例として、ナビゲーションシステムにより走行経路情報が検出され、コーナの手前で減速操作されることにより、自動変速機の変速比が、エンジンブレーキの効く変速比に変更される。その後、コーナを抜けるまで、アップシフトを禁止する制御が実行される。このような制御はコーナ走行に適した制御であるから、直線路などの他の道路状況で実行されれば、不要な減速が生じたり、駆動力やエンジン回転数が増大し過ぎるなどの事態が生じる。このような不都合を解消するために、上記の公報に記載された発明では、タイヤスリップが生じたり、トンネル内のために位置情報が不正確になったりした場合、すなわち走行経路情報の検出精度が低下した場合に、上述したコーナでの制御を解除し、通常の制御を実行するように構成している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上述した走行経路情報に基づく自動変速機などの車両各部の制御は、制動力あるいは駆動力を増大させるなど、平坦直線路のような一般的な道路を走行する場合の制御とは異なった制御である。したがって走行経路情報に基づく制御を実行して走行している際に、走行経路情報の検出精度が低下してその制御が解消されると、それに伴って変速比の変化やエンジン出力の変化など、車両の挙動に変化が生じる場合がある。このような挙動変化は、運転者の操作に基づくものではないので、違和感の原因となることがある。 【0005】この発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、走行経路情報の検出精度の低下あるいは精度不良が生じても搭乗者に違和感を与えることのない制御装置を提供することを目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段およびその作用】この発明は、上記の目的を達成するために、走行経路情報の検出精度が低下した場合、走行経路情報に基づく車両各部の制御を実行していれば、これを継続することにより、意図しない車両の挙動の変化を回避するように構成したことを特徴とするものである。より具体的には、請求項1の発明は、走行経路に関する情報に基づいて車両の各部を制御する車両の制御装置において、検出された走行経路に関する情報に基づいて車両各部が制御されていることを判定する制御判定手段と、前記走行経路に関する情報の検出精度の低下を判定する検出精度判定手段と、検出された走行経路に関する情報に基づいて車両各部が制御されていることが前記制御判定手段で判定され、かつ前記走行経路に関する情報の検出精度の低下したことが前記検出精度判定手段によって判定された場合に、現状の制御状態を維持する制御状態維持手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。 【0007】したがって請求項1の発明においては、走行経路情報に基づいて車両各部を制御している際に、その走行経路情報の検出精度が低下すると、その走行経路情報に基づく制御が直ちに終了されることはなく、その時点で実行されている制御が継続される。その結果、制動力や駆動力などに不意な変化が生じることがなく、違和感が回避される。 【0008】また、請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記走行経路に関する情報に基づく車両各部の制御が、加速要求量が実質的にゼロの場合に車両の加速度が負となるように自動変速機の変速比を制御する制御であることを特徴とする制御装置である。 【0009】したがって請求項2の発明では、加速要求のないいわゆるアクセル・オフの状態もしくは減速要求状態で加速度が負になるように、走行経路情報に基づいて自動変速機の変速比が制御されている場合、走行経路情報の検出精度が低下しても、その変速比の制御が継続される。その結果、減速中に加速度が出るなどのいわゆる空走感やそれに伴う違和感を未然に回避することができる。 【0010】さらに、請求項3の発明は、請求項2の構成に加えて、前記自動変速機の変速比の制御には、検出された走行経路に関する情報が曲線走行路であり、かつその曲線走行路での加速要求量が実質的にゼロの場合に車両加速度が負となるように自動変速機の変速比を制御する制御が含まれることを特徴とする制御装置である。 【0011】したがって、請求項3の発明によれば、加速要求のないいわゆるアクセル・オフの状態もしくは減速要求状態での曲線走行中に、走行経路情報の検出精度が低下しても加速度が負になる変速比が維持され、曲線走行中に車速が上昇したり、空走感が生じたりすることを回避することができる。 【0012】また、請求項4の発明は、請求項1の構成において、前記検出精度の低下した走行経路に関する情報の補正をおこなう補正手段と、その補正手段による走行経路に関する情報の補正が終了した後に前記制御状態維持手段による制御状態の現状維持を解除して、検出された走行経路に関する情報に基づいた車両各部の制御を再開する復帰手段とを更に備えていることを特徴とする制御装置である。 【0013】したがって請求項4の発明によれば、精度の良好な状態で検出された走行経路に関する情報が得られるようになることにより、前記現状に維持されていた制御状態が、走行経路に関する情報に基づく制御に復帰させられる。その結果、走行経路に適した車両の制御状態を得ることができる。 【0014】そして、請求項5の発明は、請求項4における前記復帰手段が、前記走行経路に関する情報の検出部から前記車両各部を制御する制御部への走行経路に関する情報の通信を再開する手段であることを特徴とする制御装置である。 【0015】したがって請求項5の発明によれば、車両各部を制御する制御部が、良好な精度で検出された走行経路に関する情報を再度得て、その情報に基づいて車両各部を制御することになり、走行経路に適した車両の制御状態を得ることができる。 【0016】 【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図に示す具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とすることのできる車両1について説明すると、図3において、原動機2の出力側に変速機3が連結され、その出力軸4がデファレンシャルを介して駆動輪5に連結されている。その原動機2は、ガソリンエンジンなどの内燃機関以外に、電動機や電動機と内燃機関とを組み合わせたハイブリッド機構を採用することができる。以下に述べる例では、原動機2としてエンジンを用いた例を示す。また、変速機3は、要は、入力回転数と出力回転数との比率を適宜に変更できる構成のものであり、有段式の自動変速機や無段変速機を採用することができる。 【0017】エンジン2は、スロットル開度や点火時期あるいはバルブの開閉タイミングを電気的に制御できるように構成されており、その制御をおこなうエンジン用電子制御装置(E−ECU)6が設けられている。また、変速機3は、変速比や変速パターンを電気的に制御できるように構成されており、その制御をおこなう変速機用電子制御装置(T−ECU)7が設けられている。これらの電子制御装置6,7は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータと予め記憶しているデータならびにプログラムに従って演算をおこない、その演算の結果に基づいて指令信号を出力するようになっている。例えば変速機用電子制御装置7は、車速やアクセル開度などの入力データと予め記憶している変速マップとに基づいて変速段を決定し、また道路状況などの走行経路情報に基づいてその変速マップ(変速パターン)を変更し、さらには所定の変速を禁止するなどの指示信号を出力するように構成されている。 【0018】その走行経路情報を検出するための手段としてナビゲーションシステム8が設けられている。このナビゲーションシステム8についてさらに説明すると、図4に示すように、このナビゲーションシステム8は、光ディスクや磁気ディスクなどの情報記録媒体9が装填され、情報記録媒体9に記憶されている情報を読み取るプレーヤー10と、プレーヤー10により読み取られた情報を二次元や三次元で画像表示するための表示部11とを備えている。 【0019】また、ナビゲーションシステム8は、車両の現在位置や道路状況を検出するための第1位置検出部12および第2位置検出部13と、道路状況を音声により運転者に知らせるスピーカ14とを備えている。上記表示部11は、室内のインストルメントパネルやグローブボックスの側方などに設けられた液晶ディスプレイ、CRTなどの他、フロントウィンドの視界に影響のない箇所に設けられた画像投影部などを用いることが可能である。 【0020】そして、これらプレーヤー10と、表示部11と、第1位置検出部12および第2位置検出部13と、スピーカ14とは、電子制御装置15により制御される。この電子制御装置15は、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RAM、ROM)ならびに入出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。 【0021】前記情報記録媒体9には車両の走行に必要な情報、例えば地図、地名、道路、道路周辺の主要建築物、交差点などが記憶されているとともに、道路の具体的な状況、例えば直線路やカーブあるいは登坂、降坂、普通道路、高速道路、未舗装道、砂利道、砂漠、河川敷、林道、農道、低摩擦係数路、踏切などが記憶されている。 【0022】また、第1位置検出部12は自律航法により自車両の位置を検出するための検出部であり、車両の走行する方位を検出する地磁気センサ16、車速センサ17、ステアリングホイールの操舵角を検出するステアリングセンサ18、車両と周囲の物体との距離を検出する距離センサ19、変速機3の出力軸回転数の変化率から加速度を求める加速度センサ20などを備えている。さらに、第2位置検出部13はグローバル・ポジショニング・システム(GPS)によって自車両の位置を検出するための検出部であり、人工衛星21からの電波を受信するGPSアンテナ22と、GPSアンテナ22に接続されたアンプ23と、アンプ23に接続されたGPS受信機24とを備えている。 【0023】この第2位置検出部13は、路側、信号機、交差点の路面などに設置され、かつ、物体検知およびその伝達を行う地上検出システムや、道路情報を出力するビーコンまたはサインポストや、VICS(ビークル・インフォメーション&コミュニケーション・システム)、SSVS(スーパー・スマート・ビークル・システム)などの地上設置情報伝達システム25から発信される電波を受信するアンテナ26と、アンテナ26に接続されたアンプ27と、アンプ27に接続された地上情報受信機28とを備えている。 【0024】上記第1位置検出部12および第2位置検出部13により、現在位置の検出と走行予定道路に存在する走行阻害状態、例えば渋滞、工事中、積雪、土砂崩れ、河川の増水、通行止め、落石、倒木、交差点での停止車両、人や動物の存在、接近している前方交差点の信号機の表示(赤色、黄色、青色の別)、前方踏切の信号機や遮断機の動作状態、これらの信号機の表示もしくは遮断機の動作状態などが切り替わるまでの時間などを検出することができるようになっている。 【0025】さらに、上記のナビゲーションシステム8は、自律航法により検出した自車両の位置とGPSにより検出した自車両の位置との一致・不一致を常時判定しており、例えばタイヤのスリップが原因となって自律航法での自車両の位置に狂いが生じたり、トンネルや構造物の内部における電波の受信状態の低下が原因となってGPSでの自車両の位置に狂いが生じたりした場合に、自車両の位置情報を含む走行経路情報の検出精度の低下を判定するようになっている。 【0026】そして、ナビゲーションシステム8およびエンジン用電子制御装置6ならびに変速機用電子制御装置7は、相互にデータ通信可能に接続され、通信されたデータをそれぞれの制御に反映させるようになっている。例えば変速機用電子制御装置7は、ナビゲーションシステム8から送信された走行経路情報に基づいて変速パターンを変更する制御、いわゆるナビゲーションシステム8との協調制御を実行するようになっている。その一例を示すと、ナビゲーションシステム8で検出された走行予定路が曲線路である場合、あるいは交差点でのコーナを曲がることがナビゲーションシステム8で検出されている場合に、その手前で制動操作されることによりダウンシフトを実行してエンジンブレーキを効かせ、その後、その曲線路もしくはコーナを抜けるまではアップシフトを禁止する制御が実行される。 【0027】この発明にかかる制御装置は、上記のナビゲーションシステム8と変速機3との協調制御の実行、不実行ならびに協調制御からの復帰を以下に述べるように制御する。図1(A),(B)はその一例を説明するためのフローチャートであって、まず、変速機3側の制御について説明すると、変速機3の出力軸回転数などから車速を検出する車速センサSP2のデータに基づいて車両加速度αが求められる(ステップS1)。その加速度αが予め定めた定数K1 より小さいか否かが判断される(ステップS2)。その定数K1 は、通常の走行では生じない程度に大きく、駆動輪がスリップすることにより出力軸回転数が急激に増大した場合に生じる程度の値である。したがってこのステップS2で肯定的に判断された場合には、タイヤスリップ判定フラグがOFFに設定される(ステップS3)。 【0028】これに対してステップS2で否定的に判断された場合には、加速度αが第2の定数K2 (>K1 )以上か否かが判断される(ステップS4)。この第2の定数K2 もタイヤスリップを判定するための基準値であり、上記の第1の定数K1 に対して所定のヒステリシスを与えた値である。したがってこのステップS4で肯定的に判断されれば、駆動輪にスリップが生じていることになり、その結果、タイヤスリップ判定フラグがONに設定される(ステップS5)。 【0029】ついで、ナビゲーションシステム8による走行経路情報(ナビ情報)に基づいて変速段が規制されているか否かが判断される(ステップS6)。この変速段の規制制御は、一例として上述した交差点のコーナを含む走行予定路が曲線路である場合にその手前で低速側の変速段にダウンシフトするとともにアップシフトを禁止するいわゆるナビ協調制御である。そのナビ協調制御によって変速段が規制されている場合すなわちステップS6で肯定的に判断された場合には、その変速段の規制が継続される(ステップS7)。そして、タイヤスリップ判定フラグがナビゲーションシステム8に送信される(ステップS8)。 【0030】すなわちタイヤスリップにより自車両の現在位置の検出精度が低下した場合、その時点でナビ協調制御により変速段が規制されていても、その検出精度の低下を原因としては変速段の規制が解除されない。そのため、車速やアクセル開度などの走行状態から判断される変速段が、その時点の変速段より高速側の変速段であったとしても変速が生じることがなく、その結果、意図しない変速あるいはそれに伴う駆動力の変化が生じず、搭乗者に違和感を与えることがない。 【0031】なお、タイヤスリップが生じていないことにより、すなわち走行経路情報の検出精度が低下していないことにより、ステップS2で肯定的に判断された場合、およびステップ4で否定的に判断された場合には、通常の制御が実施される(ステップS9)。また、ナビ協調制御による変速段の規制が実行されていないことによりステップS7で否定的に判断された場合にもステップS9に進んで通常の制御が実行される。ここで通常制御とは、車速やアクセル開度などの走行状態に基づいた変速制御や、ナビゲーションシステム8で検出される走行経路情報に基づく変速段の規制制御およびその解除の制御などである。このステップS9の後、ステップ8に進んでスリップ判定フラグの送信がおこなわれる。 【0032】一方、ナビゲーションシステム8では図1の(B)に示す制御が実行される。先ず、タイヤスリップON判定フラグが受信されているか否かが判断される(ステップS11)。タイヤスリップが生じていることによりこのステップS11で肯定的に判断された場合には、現在位置の補正が実行され(ステップS12)、また変速機用電子制御装置7に対する道路情報などの走行経路情報の通信が禁止される(ステップS13)。したがってナビ協調制御により変速段が規制されている場合には、新たな走行経路情報が変速機(AT)側に送信されないので、従前の制御が維持され、また変速段の規制制御が実行されていない場合には、新たな走行経路情報が通信されないために、ナビ協調制御による変速段の規制制御が新たに実行されることがない。 【0033】ついで、現在位置の補正が完了したか否かが判断される(ステップS14)。完了していないことによりステップS14で否定的に判断された場合には、このルーチンを抜け、また位置の補正が完了していることによりステップS14で肯定的に判断された場合には、変速機用電子制御装置7に対する通信の禁止が解除される(ステップS15)。すなわち検出精度の高い状態で検出された走行経路情報が変速機側に送られ、それに基づいたナビ協調制御が実行される。このようにして新たな走行経路情報が通信された時点で、車両が既に曲線路を通過していて変速段の規制を解除する状態になっている場合には、アクセルペダル(図示せず)が戻されるなどの運転者による加減速操作の発生によって変速段の規制を解除し、かつそれに伴って変速を生じさせることが好ましい。 【0034】なお、図1の(B)において、既にタイヤスリップON判定フラグが受信されていて現在位置の補正が開始されていることによりステップS11で否定的に判断された場合には、ステップS14に進む。すなわち、現在地の補正が完了するまで変速機側への通信の禁止を継続する。 【0035】ここで上記の具体例とこの発明との関係を説明すると、ステップS6の制御を実行する機能的手段が、この発明における制御判定手段に相当し、ステップS2,S4の制御を実行する機能的手段が、この発明における検出精度判定手段に相当し、ステップS7の制御を実行する機能的手段が、この発明における制御状態維持手段に相当する。さらに、図1の(B)に示すステップS12の制御を実行する機能的手段が、請求項4の発明における補正手段に相当し、また、ステップS15の制御を実行する機能的手段が、請求項4および請求項5の発明における復帰手段に相当する。そして請求項5の発明について、図3および図4に示すナビゲーションシステム8が走行経路に関する情報の検出部に相当し、エンジン用電子制御装置6および変速機用電子制御装置7が、車両各部を制御する制御部に相当する。 【0036】したがって上記の図1に示す制御を実行する制御装置によれば、ナビゲーションシステム8で検出される道路の状況などの走行経路情報に基づいて変速段を規制する制御の実行中に、検出された自車両の現在位置に誤差が生じるなどの検出精度の低下が生じても、走行経路情報に基づく変速段の規制が直ちに解除されずに継続されるので、意図しない変速が生じることがなく、搭乗者に違和感を与えることがない。また、反対に、走行経路情報に基づいて変速段の規制制御を実行していない状態で、走行経路情報の検出精度が低下した場合、変速機3を制御するための情報として新たな走行経路情報が変速機側に与えられないので、変速段が規制されたり、それに伴って変速が生じたりするなどのことが回避され、この点でも搭乗者に違和感を与えることがない。 【0037】ところで、ナビゲーションシステム8によれば、自車両が交差点やコーナなどの曲線路を走行することを事前に検出することができ、これを利用して上記のナビ協調制御による変速段の規制制御をおこなうことが好ましい。その例を図2にフローチャートで示してある。先ず、車速センサなどの各種のセンサで得られた情報およびナビゲーションシステム8で得られた道路情報を読み込む(ステップS21)。それらの情報に基づいて道路勾配を算出し(ステップS22)、さらにアクセル全閉とした場合の加速抵抗Fa をその道路勾配に基づいて各変速段ごとに算出する(ステップS23)。 【0038】一方、ナビゲーションシステム8によって検出された道路情報としてコーナ情報もしくは交差点情報があるか否か、すなわち比較的直近の走行予定路に曲線路があるか否かが判断される(ステップS24)。曲線路がないことによりステップS24で否定的に判断された場合には、アクセル全閉とした場合の加速度αを、上記の加速抵抗Fa に基づいて各変速段ごとに算出する(ステップS25)。 【0039】これに対して曲線路があることによりステップS24で肯定的に判断された場合には、コーナもしくは交差点を通過する際の加速抵抗Facによって前記の加速抵抗Fa を補正し、予測する(ステップS26)。この補正は、各変速段についての加速抵抗Fa についておこなう。また、加速抵抗Facは、走行路の曲率半径および車速に関連する値であり、予めマップ値として用意しておくことができ、あるいは所定の演算式によって求めることができる。こうして補正された加速抵抗Fa に基づいて、アクセル全閉でコーナもしくは交差点を通過する際の加速度αを各変速段について算出する(ステップS27)。 【0040】このようにして走行予定路に曲線路がある場合、およびない場合のいずれにおいても各変速段ごとに加速度αが算出され、それらの加速度αのうちからゼロ以下(負)となる変速段ia が決定される(ステップS28)。その場合、加速度αが負であってかつゼロに最も近くなる変速段ia を決定することが好ましい。 【0041】このようにして決定した変速段ia が最高速段(例えばオーバードライブ段:O/Dギヤ)か否かが判断される(ステップS29)。このステップS29で肯定的に判断された場合には、アップシフトの禁止を解除する(ステップS30)。すなわち変速段の規制を解除する。最高速段であってもエンジンブレーキ力を得ることができ、しかもそれ以上に変速比の小さい変速段が存在しないからである。 【0042】ステップS28で決定された変速段ia が最高速段でないことによりステップS29で否定的に判断された場合には、その変速段ia が現在の変速段以下の変速段か否か、すなわち現在の変速段もしくはそれより低速側の変速段か否かが判断される(ステップS31)。決定された変速段ia が現在の変速段より高速側の変速段であることによりステップS31で否定的に判断された場合には、アップシフトの禁止を解除する(ステップS30)。現在の変速比より小さい変速比であってもエンジンブレーキ力を得ることができるからである。 【0043】これとは反対に決定された変速段ia が現在の変速段以下であることによりステップS31で肯定的に判断された場合には、アップシフトの判断があるか否かが判断される(ステップS32)。このアップシフトの判断は車両の走行状態に基づく判断であり、車速が増大したり、あるいはアクセル開度が低下したりすることによりアップシフトの判断が成立する。そのアップシフトの判断がないことによりステップS32で否定的に判断された場合には、前記決定された変速段ia と現在の変速段とが一致しているか否かが判断される(ステップS33)。このステップS33で肯定的に判断されれば、現在の変速段でエンジンブレーキ力が得られることになり、したがってその場合、特に制御をおこなうことなくこのルーチンを抜ける。 【0044】これに対して前記決定された変速段ia が現在の変速段と一致していないことによりステップS33で否定的に判断された場合には、制動操作されたか否か、すなわちブレーキONか否かが判断される(ステップS34)。このステップS34で肯定的に判断されれば、さらに減速する必要があることになるので、エンジンブレーキ力を増大させるためにダウンシフトを指令する(ステップS35)。すなわちいわゆるナビ協調制御による変速段の規制をおこなう。これとは反対に制動操作されていないことによりステップS34で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくこのルーチンを抜ける。すなわち、運転者による減速操作がない状態でのダウンシフトおよびそれに伴う違和感を避けるためである。 【0045】一方、アップシフトの判断があることによりステップS32で肯定的に判断された場合には、そのアップシフトを禁止する(ステップS33)。すなわち変速段の規制制御が実行される。曲線路でのエンジンブレーキ力を確保するとともに、曲線路から抜ける際の駆動力を確保するためである。 【0046】したがってこの図2に示す制御を実行するこの発明の制御装置によれば、コーナや交差点などの曲線路が走行経路情報として検出された場合、その曲線路を走行する際に生じる走行抵抗を見込んで変速段が事前に設定されるので、曲線路の走行途中での変速やそれに伴う違和感を未然に防止することができる。 【0047】ここで、図2に示す具体例とこの発明との関係を説明すると、ステップS28の制御が、請求項2の発明における自動変速機の変速機の制御に相当し、またステップS27およびステップS28の制御が、請求項3の発明における自動変速機の変速比の制御に相当する。 【0048】なお、上述した具体例では、有段式の自動変速機を例にとって説明したが、この発明は無段変速機を搭載した車両を対象とする制御装置にも適用することができるのであり、したがって上記の具体例における変速段を変速比に読み替えた構造もしくは制御とすることができる。また、この発明における走行経路情報の検出精度の低下は、駆動輪のスリップが生じたことによって検出する以外に、電波の受信不良などの他の要因による低下も含み、その場合にも上記の具体例と同様に制御すればよい。さらに、この発明は自動変速機のみならず、車両の他の部分もしくは機構の制御をおこなう装置にも適用することができ、上記の具体例に限定されるものではない。 【0049】 【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によれば、走行経路情報に基づいて車両各部を制御している際に、その走行経路情報の検出精度が低下すると、その走行経路情報に基づく制御が直ちに終了されることはなく、その時点で実行されている制御が継続されるので、制動力や駆動力などに不意な変化が生じることがなく、搭乗者に違和感を与えることを未然に回避することができる。 【0050】また、請求項2の発明によれば、加速要求のないいわゆるアクセル・オフの状態もしくは減速要求状態で加速度が負になるように、走行経路情報に基づいて自動変速機の変速比が制御されている場合、走行経路情報の検出精度が低下しても、その変速比の制御が継続されるので、減速中に加速度が出るなどのいわゆる空走感やそれに伴う違和感を未然に回避することができる。 【0051】さらに、請求項3の発明によれば、加速要求のないいわゆるアクセル・オフの状態もしくは減速要求状態での曲線走行中に、走行経路情報の検出精度が低下しても加速度が負になる変速比が維持され、曲線走行中に車速が上昇したり、空走感が生じたりすることを回避することができる。 【0052】また、請求項4の発明によれば、精度の良好な状態で検出された走行経路に関する情報が得られるようになることにより、前記現状に維持されていた制御状態が、走行経路に関する情報に基づく制御に復帰させられる。その結果、走行経路に適した車両の制御状態を得ることができる。 【0053】そしてまた、請求項5の発明によれば、車両各部を制御する制御部が、良好な精度で検出された走行経路に関する情報を再度得て、その情報に基づいて車両各部を制御することになり、走行経路に適した車両の制御状態を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年10月8日(1999.10.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083998 【弁理士】 【氏名又は名称】渡辺 丈夫
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| 【公開番号】 |
特開2001−108085(P2001−108085A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月20日(2001.4.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−288639 |
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