| 【発明の名称】 |
移動農機 |
| 【発明者】 |
【氏名】日高 茂實
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| 【要約】 |
【課題】走行変速部材(23)(24)と走行部(2)間の減速比並びに操向部材(26)(27)と走行部(2)間の減速比の設定操作の簡略化或いはスピンターン動作に必要な小半径旋回の走行駆動力の確保などを図る。
【解決手段】変速操作部材(68)の走行変速操作によりエンジン(21)の駆動力を左右走行部(2)(2)に変速伝達する走行変速部材(23)(24)と、操向操作部材(19)の操向操作により左右走行部(2)(2)の駆動速度に差を生じさせる操向部材(26)(27)を設ける移動農機において、最高速走行時の走行負荷と旋回時の最大走行負荷が略等しくなる条件の下で走行変速部材(23)(24)の伝動系と操向部材(26)(27)の伝動系を構成したことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 変速操作部材の走行変速操作によりエンジンの駆動力を左右走行部に変速伝達する走行変速部材と、操向操作部材の操向操作により左右走行部の駆動速度に差を生じさせる操向部材を設ける移動農機において、最高速走行時の走行負荷と旋回時の最大走行負荷が略等しくなる条件の下で走行変速部材の伝動系と操向部材の伝動系を構成したことを特徴とする移動農機。 【請求項2】 高速走行時の走行変速部材の出力の減速比よりも操向部材の出力の減速比を大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載の移動農機。 【請求項3】 低速走行時の走行変速部材の出力の減速比よりも操向部材の出力の減速比を小さく設定したことを特徴とする請求項1に記載の移動農機。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は例えば圃場の穀稈を連続的に刈取って脱穀するコンバインなどの移動農機に関する。 【0002】 【発明が解決しようとする課題】従来、左右走行クローラを装設したコンバインを圃場の未刈り穀稈列に沿わせて走行移動させ乍ら収穫作業を行うと共に、圃場枕地で前記コンバインを方向転換させて次工程の未刈り穀稈列に移動させていたが、エンジン出力を変速伝達するミッションケースの左右走行出力を左右サイドクラッチを介して左右走行クローラに伝達させ、左右サイドクラッチの継断操作により左右走行クローラの一方を一時的に停止させて旋回させることにより、左右サイドクラッチ操作と走行変速操作の両方を作業者が略同時期に行う必要があり、また圃場枕地で方向転換するときの旋回半径が大きくなる不具合がある。 【0003】そこで、エンジンの動力を各別に伝える左右油圧無段変速機を設けて左右走行クローラを駆動することにより、旋回時の減速並びに旋回半径の縮少などを容易に行えるが、直進性能が低下し易く、未刈り穀稈列に沿わせて走行移動させる操向操作が面倒になる不具合がある。 【0004】また、左右走行クローラにエンジン動力を変速伝達する単一の油圧無段変速機構と、旋回内側の走行クローラを減速しかつ旋回外側の走行クローラを増速させる油圧無段操向機構を設けることにより、直進性能を良好に維持して操向操作性を向上させ、かつ旋回半径も容易に縮少できるが、直進時と旋回時とで走行速度が略一定に保たれ、旋回半径が小さいスピンターン動作などを行うときに走行変速により減速操作を行う必要があり、圃場枕地で方向転換するときに旋回操作と走行変速操作の両方を行う必要がある。 【0005】さらに、前記操向機構を伝動させる旋回操作と連動させて走行速度を自動的に減速させ、かつ直進走行に戻す操作と連動させて元の走行速度に自動的に増速させることにより、旋回操作だけでスピンターン動作などを適正走行速度に減速させて行え、面倒な走行変速操作を省けるが、収穫作業中に未刈り穀稈列に沿わせる条合せ(進路修正)のための操向操作を行っても、走行速度が減速されたり増速されて収穫作業途中に走行速度が不均一に変化し、作業者の運転感覚とコンバインの走行動作との間にずれが生じて適正な操向操作を容易に行い得ない等の問題がある。 【0006】 【課題を解決するための手段】然るに、本発明は、変速操作部材の走行変速操作によりエンジンの駆動力を左右走行部に変速伝達する走行変速部材と、操向操作部材の操向操作により左右走行部の駆動速度に差を生じさせる操向部材を設ける移動農機において、最高速走行時の走行負荷と旋回時の最大走行負荷が略等しくなる条件の下で走行変速部材の伝動系と操向部材の伝動系を構成したもので、走行変速部材及び操向部材を無段変速機構を用いて容易に構成し得、走行変速部材と走行部間の減速比並びに操向部材と走行部間の減速比の設定操作の簡略化或いはスピンターン動作に必要な小半径旋回の走行駆動力の確保などを容易に図り得るものである。 【0007】また、高速走行時の走行変速部材の出力の減速比よりも操向部材の出力の減速比を大きく設定したもので、農作業を行う直進走行を高速で行い乍ら、圃場枕地での方向転換を低速で行い得るものである。 【0008】また、低速走行時の走行変速部材の出力の減速比よりも操向部材の出力の減速比を小さく設定したもので、農作業を行う直進走行を低速で行っても、圃場枕地での方向転換を機敏に行わせ得るものである。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は主変速レバー及び操向ハンドルの操作系の斜視説明図、図2はコンバインの全体側面図、図3は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)に架設する機台、(4)はフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀機である脱穀部、(8)は刈刃(9)及び穀稈搬送機構(10)などを備える刈取部、(11)は刈取フレーム(12)を介して刈取部(8)を昇降させる油圧シリンダ、(13)は排藁チェン(14)終端を臨ませる排藁処理部、(15)は脱穀部(4)からの穀粒を揚穀筒(16)を介して搬入する穀物タンク、(17)は前記タンク(15)の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、(18)は丸形操向ハンドル(19)及び運転席(20)などを備える運転キャビン、(21)は運転キャビン(18)下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。 【0010】図4に示す如く、前記走行クローラ(2)を駆動するミッションケース(22)は、1対の第1油圧ポンプ(23)及び第1油圧モータ(24)からなる主変速機構である走行用の油圧式無段変速機構(25)と、1対の第2油圧ポンプ(26)及び第2油圧モータ(27)からなる操向機構である旋回用の油圧式無段変速機構(28)とを備え、前記エンジン(21)の出力軸(21a)に第1及び第2油圧ポンプ(23)(26)の入力軸(29)を伝達ベルト(30)を介し連動連結させて、これら油圧ポンプ(23)(26)の駆動を行うように構成している。 【0011】そして前記第1油圧モータ(24)の出力軸(31)に、副変速機構(32)及び差動機構(33)を介し走行クローラ(2)の駆動輪(34)を連動連結させるもので、前記差動機構(33)は左右対称の1対の遊星ギヤ機構(35)(35)を有し、各遊星ギヤ機構(35)は1つのサンギヤ(36)と、該サンギヤ(36)の外周で噛合う3つのプラネタリギヤ(37)と、これらプラネタリギヤ(37)に噛合うリングギヤ(38)などで形成している。 【0012】前記プラネタリギヤ(37)はサンギヤ軸(39)と同軸線上とのキャリヤ軸(40)のキャリヤ(41)にそれぞれ回転自在に軸支させ、左右のサンギヤ(36)(36)を挾んで左右のキャリヤ(41)を対向配置させると共に、前記リングギヤ(38)は各プラネタリギヤ(37)に噛み合う内歯(38a)を有してサンギヤ軸(39)とは同一軸芯上に配置させ、キャリヤ軸(40)に回転自在に軸支させている。 【0013】また、走行用の油圧式無段変速機構(25)は第1油圧ポンプ(23)の回転斜板の角度変更調節により第1油圧モータ(24)の正逆回転と回転数の制御を行うもので、第1油圧モータ(24)の回転出力を出力軸(31)の伝達ギヤ(42)より各ギヤ(43)(44)(45)及び副変速機構(32)を介して、サンギヤ軸(39)に固定したセンタギヤ(46)に伝達してサンギヤ(36)を回転するように構成している。前記副変速機構(32)は、前記ギヤ(45)を有する副変速軸(47)と、前記センタギヤ(46)に噛合うギヤ(48)を有する駐車ブレーキ軸(49)とを備え、副変速軸(47)とブレーキ軸(49)間に各1対の低速用ギヤ(50)(48)・中速用ギヤ(51)(52)・高速用ギヤ(53)(54)を設けて、中央位置のギヤ(51)のスライド操作によってこれら低速・中速・高速の切換えを可能とさせるように構成している(なお低速・中速間及び中速・高速間には中立を有するものである)。また前記ブレーキ軸(49)には車速検出ギヤ(55)を設けると共に、該ギヤ(55)の回転数より車速を検出する車速センサ(56)を設けている。なお、刈取部(8)に回転力を伝達する刈取PTO軸(57)のPTO入力ギヤ(58)に、前記出力軸(31)の伝達ギヤ(42)を噛合連結させている。 【0014】そして、前記センタギヤ(46)を介しサンギヤ軸(39)に伝達された第1油圧モータ(24)からの駆動力を、左右の遊星ギヤ機構(35)を介しキャリヤ軸(40)に伝達させると共に、該キャリヤ軸(40)に伝達された回転を左右各一対の減速ギヤ(60)(61)を介し左右の駆動輪(34)の左右輪軸(34a)にそれぞれ伝えるように構成している。 【0015】さらに、旋回用の油圧式無段変速機構(28)は第2油圧ポンプ(26)の回転斜板の角度変更調節により第2油圧モータ(27)の正逆回転と回転数の制御を行うもので、第2油圧モータ(27)の出力軸(62)の出力ギヤからギヤ伝達機構(63)を介し旋回入力軸(64)の入力ギヤ(65a)(65b)に回転出力を伝達し、右側のリングギヤ(38)の外歯(38b)を対しては直接的に、また左側のリングギヤ(38)の外歯(38b)に対しては逆転軸(66)の逆転ギヤ(67)を介し伝えて、第2油圧モータ(27)の正転時に左右のリングギヤ(38)を左右同一回転数で左ギヤ(38)を正転、右ギヤ(38)を逆転とさせるように構成している。 【0016】而して旋回用の第2油圧モータ(27)の駆動を停止させ左右リングギヤ(38)を静止固定させた状態で、走行用の第1油圧モータ(24)の駆動を行うと、第1油圧モータ(24)からの回転出力はセンタギヤ(46)から左右のサンギヤ(36)に同一回転数で伝達され、左右遊星ギヤ機構(35)のプラネタリギヤ(37)・キャリヤ(41)及び減速ギヤ(60)(61)を介し左右の輪軸(34a)に左右同回転方向の同一回転数で伝達されて、機体の前後直進走行が行われる。一方、走行用の第1油圧モータ(24)の駆動を停止させ左右のサンギヤ(36)を静止固定させた状態で、旋回用の第2油圧モータ(27)を正逆回転駆動すると、左側の遊星ギヤ機構(35)が正或いは逆回転、また右側の遊星ギヤ機構(35)が逆或いは正回転して、左右走行クローラ(2)の駆動方向を前後逆方向とさせて機体を左或いは右にその場でスピンターンさせるものである。 【0017】また走行用の第1油圧モータ(24)を駆動させながら、旋回用の第2油圧モータ(27)を駆動して機体を左右に旋回させる場合には旋回半径の大きい旋回を可能にできるもので、その旋回半径は左右走行クローラ(2)の速度に応じ決定される。 【0018】図5乃至図13に示す如く、前記走行用の油圧式無段変速機構(25)に連結する主変速レバー(68)と、旋回用の油圧式無段変速機構(28)に連結する操向ハンドル(19)とを、変速及び旋回連動機構(69)に連動連結させると共に、該連動機構(69)を走行変速及び操向リンク系であるリンク機構(70)(71)を介し走行及び操向用の無段変速機構(25)(28)のコントロールレバー(72)(73)に連動連結させている。 【0019】前記連動機構(69)は、主変速レバー(68)の基端折曲部(68a)を筒軸(74)に左右揺動自在に支持する回動板(75)と、機体側の本機フレーム(76)に固設して前記回動板(75)を左右方向の第1枢軸(77)を介し前後回動自在に支持する固定取付板(78)と、前記枢軸(77)とは直交する前後方向の第2枢軸(79)を介して回動板(75)に連結させて該軸(79)回りに回動自在に設ける変速操作部材(80)と、前記第2枢軸(79)の軸回りに回動自在に連結させる操向操作部材(81)とを備え、変速及び操向操作部材(80)(81)の第2枢軸(79)とは偏心位置の各操作出力部(80a)(81a)を変速及び操向リンク機構(70)(71)に連動連結させている。 【0020】前記変速及び操向リンク機構(70)(71)は、連動機構(69)後方位置で本機フレーム(76)側に揺動軸(82)外側の揺動筒軸(83)を介し支持する変速アーム(84)と、前記揺動軸(82)に基端を固設する旋回出力逆転手段である操向アーム(85)と、前記出力部(80a)(81a)の各操作出力軸(86)(87)と各アーム(84)(85)間を連結する自在継手軸(88)(89)と、前記揺動軸(82)の右端に固設する操向出力アーム(91)と、前記運転キャビン(18)の回動支点軸(92)の支点軸受(93)に取付ける中間軸(94)に回転自在に設ける変速及び操向用第1揺動アーム(95)(96)と、前記アーム(84)(91)と第1揺動アーム(95)(96)の各先端間をそれぞれ連結する変速及び操向用自在継手形第1ロッド(97)(98)と、前記中間軸(94)に設けて第1揺動アーム(95)(96)に一体連結する変速及び操向用第2揺動アーム(99)(100)と、前記ミッションケース(22)上部の軸受板(101)に取付ける支軸(102)に回動自在に支持させる変速及び操向用筒軸(103)(104)と、該筒軸(103)(104)に基端を固設する第1揺動アーム(105)(106)と前記第2揺動アーム(99)(100)の各先端間を連結する変速及び操向用自在継手形第2ロッド(107)(108)と、前記筒軸(103)(104)に基端を固設する第2揺動アーム(109)(110)と前記コントロールレバー(72)(73)の各先端間を連結させる変速及び操向用自在継手形第3ロッド(111)(112)とを備え、前記第1枢軸(77)を中心とした変速操作部材(80)の回動によって走行用のコントロールレバー(72)を、また走行中の第2枢軸(79)を中心とした操向操作部材(81)の回動によって操向用のコントロールレバー(73)を操作して変速及び操向制御を行うように構成している。 【0021】一方前記操向ハンドル(19)下端のハンドル操作軸(113)にギヤ(114)を設けて、この後方の回転軸(115)に取付けるセクタギヤ(116)に前記ギヤ(114)を噛合せると共に、前記主変速レバー(68)位置下方に配設する操向軸(117)の第1揺動アーム(118)と、前記回転軸(115)に基端を固設する出力アーム(119)との各先端間を操向リンク機構である自在継手形操向第1ロッド(120)を介して連結させ、操向軸(117)の第1揺動アーム(118)と一体の第2揺動アーム(121)を、前記自在継手軸(89)の前端に自在継手形操向第2ロッド(122)を介して連結させ、前記ハンドル(19)の回動操作によって前記第2枢軸(79)を中心として操向操作部材(81)を回動するように構成している。 【0022】また、前記ハンドル操作軸(113)のギヤ(114)下方に中立位置決め板(123)を設けていて、該位置決め板(123)下面の突出軸(124)に操向検出リンク(125)の一端を連結させ、前記回転軸(115)の右側に配設する減速アーム軸(126)に第1揺動アーム(127)を設け、この第1揺動アーム(127)の軸(128)と前記検出リンク(125)他端の長孔(125a)とを摺動自在に連結させると共に、前記操向軸(117)の減速アーム(129)と減速アーム軸(126)の第2揺動アーム(130)との各先端間を減速リンク機構である自在継手形第1減速ロッド(131)で連結させ、前記変速操作部材(80)の最右端の減速伝達軸(132)と第2揺動アーム(130)の他端間を自在継手形第2減速ロッド(133)で連結させて、走行状態で前記ハンドル(19)の操向量を大とする程第2減速ロッド(133)を下方に引張って走行速度を減速させるように構成している。また、前記回動板(75)と変速操作部材(80)の間にバネ(S1)を張設させ、操向ハンドル(19)を直進位置に戻して検出リンク(125)を元に戻したとき、該バネ(S1)によって前記部材(80)を戻し、前記回動板(75)の位置調節自在なストッパボルト(V1)を前記部材(80)に当接させ、操向ハンドル(19)直進復帰操作によって走行速度を元に戻すように構成している。 【0023】而して、前記変速及び操向操作部材(80)(81)を軸回りに回動可能とさせる第2枢軸(79)と、操向アーム(85)と継手軸(89)との自在継手部(89a)とを前後方向の水平ライン(L1)上に略一致させ、また前記操作出力軸(86)(87)と自在継手軸(88)(89)との自在継手部(88b)(89b)と、第1枢軸(77)とを前記ライン(L1)に直交させる左右水平ライン(L2)上に位置させ、さらに前記変速アーム(84)と継手軸(88)との自在継手部(88a)と前記継手部(89a)とを前記ライン(L2)と平行な左右水平ライン(L3)上に位置させ、且つ継手部(89a)に継手部(88a)を可及的に接近(最大限近い位置)させて、主変速レバー(68)及び操向ハンドル(19)の中立保持時に、これら何れか一方が操作されても、各操作部材(80)(81)を第1及び第2枢軸(77)(79)の軸回りに回動させるのみとさせて、継手軸(88)(89)には操作力を作用させないものである。 【0024】そして図9にも示す如く、主変速レバー(68)の前後進操作で、第1枢軸(77)を中心として操作部材(80)を前後に角度(α1)(α2)傾けるとき前記継手軸(88)を引張って或いは押して変速アーム(84)を動作させて走行速度の前後進の切換えを行うと共に、図11に示す如くこの状態中(主変速レバー(68)が中立以外のとき)に操向ハンドル(19)の回動操作で第2枢軸(79)を中心として操作部材(81)を上下に角度(β1)(β2)傾けるとき継手軸(89)を引張って或いは押して操向アーム(85)を動作させて機体の左及び右旋回を行うものである。即ち主変速の中立時に旋回操作を行っても継手軸(89)はライン(L1)を中心とした略円錐面上で移動する状態となって継手部(89a)(89b)間の距離は変化せず、したがって操向アーム(85)は動作しない。そして主変速の中立以外で旋回操作が行われるとき操向アーム(85)は動作するもので、前後進に切換わるとき操向アーム(85)は前後逆方向に動作して、第2油圧モータ(27)の回転を前進時と後進時では逆方向とさせるように構成したものである。 【0025】つまり、走行用の第1油圧モータ(24)の正回転時を前進時とすると、逆回転時の後進時には旋回用の第2油圧モータ(27)による遊星ギヤ機構(35)の作用は前進時と後進時では逆となるもので、前進時と後進時のハンドル(19)操作による機体の旋回方向を一致させるため、第1油圧モータ(24)の逆回転(後進)時には第2油圧ポンプ(26)の斜板角度を逆方向に切換えて(第1及び第2油圧ポンプ(23)(26)の入力軸の回転方向は一定)、第2油圧モータ(27)の回転を前進時と後進時では逆方向とさせるものである。 【0026】つまりこの場合、前進操作時の操作部材(80)が中立より前方の角度(α1)側に傾いて、ハンドル(19)の右回動操作によって第2ロッド(122)を引張り操作部材(81)を下方向の角度(β2)側に傾けるとき、操作部材(81)の出力部(81a)を操向アーム(85)側に近づけて、揺動軸(82)を中心として操向アーム(85)を操作部材(81)より遠ざける方向(図5中反時計方向)に回転させ、前記第1及び第2ロッド(98)(108)などを介しコントロールレバー(73)を下方向に回転させて、旋回用の第2油圧モータ(27)を正回転させる。即ち、機体を前進で右旋回(走行クローラ(2)の速度を左側が大、右側が小)させる。 【0027】また、上述の前進操作時で、ハンドル(19)の左回動操作によって第2ロッド(122)を押し上げ、操作部材(81)を上方向の角度(β1)側に傾けるとき、操作部材(81)の出力部(81a)を操作アーム(85)側より遠ざけて、揺動軸(82)を中心として操向アーム(85)を操作部材(81)側に近づける方向(図5中時計方向)に回転させ、前記コントロールレバー(73)を上方向に回転させて、前記第2油圧モータ(27)を逆回転させる。即ち、機体を前進で左旋回(走行クローラ(2)の速度を右側が大、左側が小)させる。 【0028】さらに、後進操作時の操作部材(80)が中立より後方の角度(α2)側に傾いて、ハンドル(19)の右回動操作によって第2ロッド(122)を引張り操作部材(81)を下方向の角度(β2)側に傾けるとき、操作部材(81)の出力部(81a)を操向アーム(85)側より遠ざけて、揺動軸(82)を中心として操向アーム(85)を操作部材(81)側に近づける方向(図5中時計方向)に回転させ、前記コントロールレバー(73)を上方向に回転させて、前記第2油圧モータ(27)を逆回転させる。即ち、機体を後進で右旋回(走行クローラ(2)の速度を左側が大、右側が小)させる。 【0029】またさらに、上述とは逆に後進操作時で、ハンドル(19)の左回動操作によって、操作部材(81)を上方向の角度(β1)側に傾けるとき、操作部材(81)の出力部(81a)を操作部材(81)側に近づけて、揺動軸(82)を中心として操向アーム(85)を操作部材(81)より遠ざける方向(図5中反時計方向)に回転させ、前記コントロールレバー(73)を下方向に回転させて、前記第2油圧モータ(27)を正回転させる。即ち、機体を後進で左旋回(走行クローラ(2)の速度を右側が大、左側が小)とさせる。 【0030】このように前進及び後進時における旋回操作にあっては、操向アーム(85)の動きを逆方向とさせて、前後進の何れにおいても操向ハンドル(19)の回動操作方向と機体の旋回方向とを一致させるもので、回転操作する丸形の操向ハンドル(19)によって操向操作部材を構成し、前記ハンドル(19)の回転操作によって例えばトラクタまたは田植機と同様の運転感覚で進路修正及び方向転換などを行うと共に、操向操作部材を走行変速部材または操向部材に機械的に連結させるリンク機構(70)(71)を設け、前記リンク機構(70)(71)の動作及び機能が経時的に殆んど低下することがなく、操向動作の信頼性向上などを容易に図れるように構成している。 【0031】さらに、図15、図16は機体の左旋回時における操向ハンドル(19)の切れ角と左右走行クローラ(2)の速度の関係を示すもので、ハンドル(19)の切れ角が大となる程左右走行クローラ(2)の速度差は大となると共に、これら左右走行クローラ(2)の平均速度となる機体中心速度も走行速度(高速・標準・低速)状態に応じて減速されるものであって、機体の右旋回時においても左右クローラ(2)が逆の関係となるだけで同様のものであり、図15及び図16から明らかなように、直進位置の操向ハンドル(19)を左方向(右方向)に約15度回転させると、前記長孔(125a)内を軸(128)が移動し、バネ(S1)によって第1減速ロッド(131)が直進と同一位置に維持されると共に、各ギヤ(114)(116)を介して操向第1ロッド(120)が押出(引張)移動し、第2油圧ポンプ(26)及びモータ(27)の操向出力によって左方向(右方向)に旋回する。このとき、旋回内側の走行クローラ(2)の減速量と、旋回外側の走行クローラ(2)の増速量が略等しくなり、機体中心速度が直進と略同一速度に保たれる。また、操向ハンドル(19)を直進位置から15度以上回転させると、バネ(S1)に抗して第1減速ロッド(131)が左旋回及び右旋回のいずれでも引張られて減速動作し、第1油圧ポンプ(23)及びモータ(24)の走行変速出力を減速させ、左右走行クローラ(2)(2)を同一方向に回転駆動させて前進(または後進)させ、左右走行クローラ(2)(2)の同一方向の走行速度差により左方向(右方向)に旋回するブレーキターン動作を行わせる。さらに、操向ハンドル(19)を約135度回転させると、機体中心速度が直進時の約4分の1に減速され、旋回内側の走行クローラ(2)が逆転駆動され、旋回内側の走行クローラ(2)を中心として機体が旋回するスピンターン動作が行われるもので、図18にも示す如く、ハンドル角度0度からハンドル角度135度の範囲で操向ハンドル(19)を回転させて左または右方向の旋回操作を行い、直進位置を中心とした左右15度のハンドル(19)回転範囲で未刈り穀稈列に沿って移動する条合せ進路修正を、直進時の走行速度を維持し乍ら行うと共に、直進位置から左右135度のハンドル(19)回転により、圃場枕地で機体を方向転換させて次作業工程に移動させるスピンターン動作を、直進時の約4分の1の走行速度に自動的に減速して行うように構成している。 【0032】さらに、図17に示す如く、副変速を標準(秒速1.5メートル)速度に保ち、操向ハンドル(19)を90度回転させたとき、主変速レバー(68)操作により主変速出力を高速及び3分の2及び3分の1に変更しても、機体の旋回半径が略一定に保たれた状態で、旋回速度(機体中心速度)だけが変化するように構成している。 【0033】上記から明らかなように、変速操作部材である主変速レバー(68)の走行変速操作によりエンジン(21)の駆動力を左右走行部である左右走行クローラ(2)(2)に変速伝達する走行変速部材である第1油圧ポンプ(23)及び第1油圧モータ(24)と、操向ハンドル(19)の操向操作により左右走行クローラ(2)(2)の駆動速度に差を生じさせる操向部材である第2油圧ポンプ(26)及び第2油圧モータ(27)を設ける移動農機において、最高速走行時の走行負荷と旋回時の最大走行負荷が略等しくなる条件の下で第1油圧ポンプ(23)及びモータ(24)の伝動系と第2油圧ポンプ(26)及びモータ(27)の伝動系を構成したから、第1油圧ポンプ(23)及びモータ(24)及び第2油圧ポンプ(26)及びモータ(27)を略同一仕様の無段変速機構を用いて構成でき、第1油圧ポンプ(23)及びモータ(24)と走行クローラ(2)間の減速比並びに第2油圧ポンプ(26)及びモータ(27)と走行クローラ(2)間の減速比の設定操作の簡略化或いはスピンターン動作に必要な小半径旋回の走行駆動力の確保などを図れるもので、高速走行時の走行変速部材(23)(24)の出力の減速比よりも操向部材(26)(27)の出力の減速比を大きく設定し、農作業を行う直進走行を高速で行い乍ら、圃場枕地での方向転換を低速で行える一方、低速走行時の走行変速部材(23)(24)の出力の減速比よりも操向部材(26)(27)の出力の減速比を小さく設定し、農作業を行う直進走行を低速で行っても、圃場枕地での方向転換を機敏に行わせるように構成している。 【0034】また図12にも示す如く、前記操向ハンドル(19)に設ける検出リンク(125)は中立位置より右或いは左旋回操作の何れにおいても第1揺動アーム(127)を同一方向に角度(θ)の範囲で回動させて第2減速ロッド(133)を常に引張る状態とさせて、前進操作時の操作部材(80)が角度(α1)側に傾いてるときには、継手部(88a)(88b)間の距離を縮め、また後進操作時の操作部材(80)が角度(α2)側に傾いているときには、継手部(88a)(88b)間の距離を大きくして、変速アーム(84)をそれぞれ中立方向の低速側に変位させて、その旋回量に応じた減速を行うものである。 【0035】さらに、変速及び操向の操作力を伝達する前記第1ロッド(97)(98)と揺動アーム(95)(96)の自在継手部(97a)(98a)の中心を、運転キャビン(18)の回動支点軸(92)位置に一致させて、変速及び操向の中立保持においてはこれらの操作系を取外すことなく運転キャビン(18)の前方向への回動を可能とさせるように構成している。 【0036】ところで、図4及び図14に示す如く、前記第1及び第2油圧ポンプ(23)(26)と第1及び第2油圧モータ(24)(27)とをそれぞれループ油圧回路(134)(135)を介し正逆自在に接続させ、前記第1及び第2油圧モータ(24)(27)の出力軸(31)(62)には、電磁弁(136)(137)の作動によって出力軸(31)(62)を静止保持する走行停止及び直進固定用の走行及び旋回用ブレーキ装置(138)(139)を設けると共に、前記駐車ブレーキ軸(49)にはブレーキ軸(49)を静止保持する駐車ブレーキ装置(140)を設けている。 【0037】さらに、図18は、上記操向ハンドル(19)に代えて操向レバー(141)を設けたもので、操向レバー(141)を軸(142)回りに左右方向に揺動自在に取付け、操向レバー(141)基部に固定させるベベルギヤ(143a)と、ハンドル操作軸(113)上端に固定させるベベルギヤ(143b)を噛合させ、操向レバー(141)の左右揺動によって操作軸(113)を正転または逆転させ、上記と同様に、リンク機構(70)(71)を作動させて操向制御させ、揺動操作する操向レバー(141)によって操向操作部材を構成し、前記レバー(141)を例えば左右方向に揺動させるだけで左右いずれの進路修正及び方向転換を行えるように構成している。 【0038】さらに、図19に示す如く、例えば電動モータまたは油圧シリンダなどで形成する変速アクチュエータ(144)及び操向アクチュエータ(145)を設け、無段変速機構(25)(28)の第1及び第2油圧ポンプ(23)(26)に設けるトラニオンを形成するコントロールレバー(72)(73)に前記各アクチュエータ(144)(145)を連結させると共に、主変速レバー(68)の変速操作位置を検出するポテンショメータ型主変速センサ(146)と、前記レバー(68)の前進または後進操作を検出する切換スイッチ型前後進センサ(147)と、操向ハンドル(19)の回転操作位置を検出するポテンショメータ型操向ハンドルセンサ(148)と、前記ハンドルの回転方向(左または右)を検出する切換スイッチ型左右旋回センサ(149)と、副変速機構(32)の副変速操作位置を検出する切換スイッチ型副変速センサ(150)と、変速用コントロールレバー(72)の走行変速位置を検出するポテンショメータ型変速位置センサ(151)と、旋回用コントロールレバー(73)の旋回変速位置を検出するポテンショメータ型旋回位置センサ(152)と、走行クローラ(1)の走行速度を検出するピックアップ型車速センサ(153)を設け、マイクロコンピュータで形成するコントローラ(154)に前記各センサ(146)〜(153)並びに各アクチュエータ(144)(145)を電気接続させる。そして、上記したリンク機構(70)(71)を省き、かつ上記と同様に、操向ハンドル(19)及び主変速レバー(68)の操作に基づき、各センサ(146)〜(153)を介して各アクチュエータ(144)(145)を制御し、各コントロールレバー(72)(73)を作動させ、走行変速並びに左右旋回の各動作を行わせるもので、操向操作部材である操向ハンドル(19)を走行変速部材である第1油圧ポンプ(23)及び第1油圧モータ(24)または操向部材である第2油圧ポンプ(26)及び第2油圧モータ(27)に電気的に連結させるコントローラ(154)を設け、操向制御機能の多機能化並びに製造コストの低減などを容易に図れるように構成している。 【0039】 【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、変速操作部材(68)の走行変速操作によりエンジン(21)の駆動力を左右走行部(2)(2)に変速伝達する走行変速部材(23)(24)と、操向操作部材(19)の操向操作により左右走行部(2)(2)の駆動速度に差を生じさせる操向部材(26)(27)を設ける移動農機において、最高速走行時の走行負荷と旋回時の最大走行負荷が略等しくなる条件の下で走行変速部材(23)(24)の伝動系と操向部材(26)(27)の伝動系を構成したもので、走行変速部材(23)(24)及び操向部材(26)(27)を無段変速機構を用いて容易に構成でき、走行変速部材(23)(24)と走行部(2)間の減速比並びに操向部材(26)(27)と走行部(2)間の減速比の設定操作の簡略化或いはスピンターン動作に必要な小半径旋回の走行駆動力の確保などを容易に図ることができるものである。 【0040】また、高速走行時の走行変速部材(23)(24)の出力の減速比よりも操向部材(26)(27)の出力の減速比を大きく設定したもので、農作業を行う直進走行を高速で行い乍ら、圃場枕地での方向転換を低速で行うことができるものである。 【0041】また、低速走行時の走行変速部材(23)(24)の出力の減速比よりも操向部材(26)(27)の出力の減速比を小さく設定したもので、農作業を行う直進走行を低速で行っても、圃場枕地での方向転換を機敏に行わせることができるものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006851 【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年9月16日(1997.9.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100062270 【弁理士】 【氏名又は名称】藤原 忠治
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| 【公開番号】 |
特開2001−82600(P2001−82600A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月27日(2001.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−220402(P2000−220402) |
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