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【発明の名称】 変速機のチェンジ構造
【発明者】 【氏名】浦林 教秀

【氏名】白井 悦夫

【要約】 【課題】チェンジレバーの操作感を車種等に応じて自由に設定することができる変速機を提供することを課題とする。

【解決手段】チェンジレバーとコントロールロッド10との間に、第1,第2レバー131,141とを配設し、第1レバー131の円筒部131aに操作力を入力し、第1レバー131のレバー部131bと第2レバー141の第1腕部141aとを係合させ、第2レバー141の第2腕部141bをコントロールロッド10に連結させることによって、第1,第2レバー131,141が上記チェンジレバーのセレクト操作で回動中心線方向にスライドし、かつ該チェンジレバーのシフト操作で回動中心回りに揺動するように構成すると共に、レバー部131bと第1腕部141aとの係合部を、レバー部131bの二股部131b’が第1腕部141aのローラ141a’を抱持するように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンからの動力が入力される第1軸及び車輪側へ動力を出力する第2軸と、これらの軸の間に介設されたギヤ比の異なる複数のギヤ列と、これらのギヤ列のうちの1つを選択的に動力伝達状態とする選択機構と、チェンジレバーのセレクト操作及びシフト操作に連動して回動及び軸方向移動して上記選択機構を作動させることにより選択された変速段を達成するコントロールロッドとを有する変速機のチェンジ構造であって、上記チェンジレバーからコントロールロッドに至る操作力伝達経路に、第1、第2腕部を有し、第1腕部がチェンジレバー側に連結された第1レバーと、同じく第1、第2腕部を有し、第1腕部が上記第1レバーの第2腕部に係合し、第2腕部が上記コントロールロッドに連結された第2レバーとが配設され、これらのレバーが上記チェンジレバーのセレクト操作に連動して回動中心線方向にスライドし、かつ該チェンジレバーのシフト操作に連動して上記回動中心回りに揺動するように構成されていると共に、第1レバーの第2腕部と第2レバーの第1腕部との係合部は、一方のレバーに設けられたピボット部と、他方のレバーに設けられて上記ピボット部を抱持する二股部とで構成されていることを特徴とする変速機のチェンジ構造。
【請求項2】 第1レバーの第2腕部と第2レバーの第1腕部との係合部は、第1レバーの第2腕部に設けられた二股部と、第2レバーの第1腕部に設けられたピボット部とで構成されており、チェンジレバーのシフト操作に連動するこれらのレバーの揺動動作範囲の中心位置において両レバーの回動中心と両レバーの係合点がほぼ一直線上に位置するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の変速機のチェンジ構造。
【請求項3】 第2レバーには第3腕部が設けられ、該第3腕部に、第2レバーの回動中心線方向のスライド及び該回動中心回りの揺動に連動して、回動及び軸方向移動するロッド部材が連結されており、かつ該ロッド部材の回動及び軸方向移動を所定の状態に規制することにより、チェンジレバーのセレクト操作及びシフト操作の経路を規制する操作規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の変速機のチェンジ構造。
【請求項4】 ロッド部材とチェンジレバーとの間に、該チェンジレバーのセレクト操作及びシフト操作に連動させて該ロッド部材を回動及び軸方向移動させる操作伝達機構が取り付け可能とされていることを特徴とする請求項3に記載の変速機のチェンジ構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チェンジレバーの手動操作により、複数の変速段のうちの1つを選択する自動車の手動変速機のチェンジ構造に関し、自動車用変速機の技術の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車には、エンジンの出力トルクを変速して駆動輪側に出力する変速機が設けられるが、この種の変速機として、例えば、特開平6−288444号公報に開示されているように、変速操作を手動で行うようにしたものがある。すなわち、該変速機は、平行な2本のシャフトと該シャフト上に配設された複数のギヤ列とを有し、上記複数のギヤ列のうちから1つの変速ギヤ列を選択する選択機構によって、1つの変速ギヤ列を選択的に動力伝達状態とすることにより、複数の前進用変速段と1つの後進用変速段とが達成されるようになっている。そして、運転者によって操作されるチェンジレバーのセレクト操作とシフト操作とによって、上記選択機構が作動して所定の変速段が選択される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記選択機構としては、ギヤ列を非伝動状態から伝動状態へ円滑に切り換えるために常時噛合式のものが用いられるのが通例である。
【0004】この選択機構は、運転者のチェンジレバーの操作によって、シャフトと一体回転するクラッチハブの外周部分にスプライン嵌合されたスリーブが、該クラッチハブないしスリーブの側方に配置されたギヤ側に動き、それに伴って該スリーブとギヤに固設されたギヤスプラインとの間に介在されたシンクロナイザリングがスリーブと共に移動することにより、該リングが上記ギヤスプラインに押し付けられて摩擦力が発生し、そのことによりギヤとシャフトとの同期作用が行われる。そして、この同期作用が完了すると当該シャフトとギヤとの回転差がなくなると共に、スリーブの進行を妨害するシンクロナイザリングとギヤスプラインとの間の摩擦力がなくなって、スリーブはギヤスプラインに噛合って同期作用は完了する。
【0005】したがって、運転者がチェンジレバーのシフト操作を開始することによって、上記選択機構がチェンジレバーに加えられる力に基づく摩擦力で同期し、上記チェンジレバーをさらにシフト操作することによって上記選択機構が同期しながらスリーブをストロークさせて、選択したギヤとシャフトとを係合させるようになっている。つまり、同期作用開始時にチェンジレバーのシフト操作に基づく摩擦力が上記選択機構に発生するため、上記チェンジレバーのシフト操作開始時に大きな操作力を入力する必要がある。
【0006】一方、運転者においては、従来よりチェンジレバーのシフト操作を軽い操作力で操作したいというニーズがあるが、従来の変速機においては、前述したようにチェンジレバーのシフト操作開始時に大きな操作力を入力しなければならない等、運転者にとって好ましくない操作感が生じていた。
【0007】また、スポーツタイプの車や運転者の嗜好等によっては、チェンジレバーのシフト操作開始時に確実な操作感が要求される場合がある。すなわち、同期作用時に必要とされる操作力よりも、さらに大きな操作力を入力するようにしたい場合があったが、従来の変速機においてはチェンジレバーの操作感を自由に設定することが困難であるという問題点もあった。
【0008】そこで、本発明は、チェンジレバーの操作感を車種等に応じて自由に設定することができる変速機を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本願の各発明では次のように構成したことを特徴とする。
【0010】まず、本願の請求項1に記載の発明(以下、第1発明という)は、エンジンからの動力が入力される第1軸及び車輪側へ動力を出力する第2軸と、これらの軸の間に介設されたギヤ比の異なる複数のギヤ列と、これらのギヤ列のうちの1つを選択的に動力伝達状態とする選択機構と、チェンジレバーのセレクト操作及びシフト操作に連動して回動及び軸方向移動して上記選択機構を作動させることにより選択された変速段を達成するコントロールロッドとを有する変速機のチェンジ構造において、上記チェンジレバーからコントロールロッドに至る操作力伝達経路に、第1、第2腕部を有し、第1腕部がチェンジレバー側に連結された第1レバーと、同じく第1、第2腕部を有し、第1腕部が上記第1レバーの第2腕部に係合し、第2腕部が上記コントロールロッドに連結された第2レバーとを配設し、これらのレバーが上記チェンジレバーのセレクト操作に連動して回動中心線方向にスライドし、かつ該チェンジレバーのシフト操作に連動して上記回動中心回りに揺動するように構成すると共に、第1レバーの第2腕部と第2レバーの第1腕部との係合部を、一方のレバーに設けられたピボット部と、他方のレバーに設けられて上記ピボット部を抱持する二股部とで構成したことを特徴とする。
【0011】次に、請求項2に記載の発明(以下、第2発明という。)は、上記第1発明における変速機のチェンジ構造において、第1レバーの第2腕部と第2レバーの第1腕部との係合部を、第1レバーの第2腕部に設けられた二股部と、第2レバーの第1腕部に設けられたピボット部とで構成し、チェンジレバーのシフト操作に連動するこれらのレバーの揺動動作範囲の中心位置において両レバーの回動中心と両レバーの係合点がほぼ一直線上に位置するように設けたことを特徴とする。
【0012】また、請求項3に記載の発明(以下、第3発明という。)は、上記第1または第2発明における変速機のチェンジ構造において、第2レバーに第3腕部を設け、該第3腕部に、第2レバーの回動中心線方向のスライド及び該回動中心回りの揺動に連動して、回動及び軸方向移動するロッド部材を連結し、かつ該ロッド部材の回動及び軸方向移動を所定の状態に規制することにより、チェンジレバーのセレクト操作及びシフト操作の経路を規制する操作規制部材を設けたことを特徴とする。
【0013】そして、請求項4に記載の発明(以下、第4発明という。)は、上記第3発明における変速機のチェンジ構造において、ロッド部材とチェンジレバーとの間に、該チェンジレバーのセレクト操作及びシフト操作に連動させて該ロッド部材を回動及び軸方向移動させる操作伝達機構を取り付け可能としたことを特徴とする。
【0014】上記のように構成することにより、本願各発明によれば次のような作用が得られる。
【0015】まず、上記第1発明によれば、変速機のチェンジ構造において、操作力伝達経路に第1レバーと第2レバーとを配設して、第1レバーの第2腕部と第2レバーの第1腕部との係合部を一方のレバーに設けられたピボット部と、他方のレバーに設けられて上記ピボット部を抱持する二股部とで構成したので、チェンジレバーから入力された操作力が第1,第2レバーを介して上記コントロールロッドに出力されるときに、その大きさを変化させることができる。したがって、この操作力の増幅率を自在に変化させることによってチェンジレバーの操作感を自由に設定することができ、運転者のニーズや車種等に対応することができるようになる。
【0016】次に、上記第2発明によれば、第1レバーの第2腕部に二股部を設け、第2レバーの第1腕部にピボット部を設けて、チェンジレバーのシフト操作に連動するこれらのレバーの揺動動作範囲の中心位置において両レバーの回動中心と両レバーの係合点がほぼ一直線上に位置するように構成したので、上記チェンジレバーのシフト操作に連動して、上記第1,第2レバーの揺動動作中心位置から第1,第2レバーが所定の方向に回動すると共に、第2レバーのピボット部が上記二股部の先端の方向に移動することになる。このとき、第2レバーの回動中心からピボット部までの距離が一定であるのに対して、第1レバーの回動中心から上記二股部とピボット部との係合点までの距離が延びることになる。したがって、上記第1,第2レバーの揺動動作中心位置から、チェンジレバーに入力されるシフト操作開始時の操作力は、上記コントロールロッドに出力されるときに最大に増幅されることになる。そして、上記チェンジレバーをさらにシフト操作するにしたがって、上記コントロールロッドに出力される操作力は減少することになる。これにより、運転者は、チェンジレバーのシフト操作を開始したときに大きな操作力を入力しなくても、コントロールロッドに大きな操作力が出力され、従来の変速機におけるチェンジレバーの不快な操作感が解消されることになり、運転者はチェンジレバーを快適に操作できるようになる。
【0017】また、上記第3発明によれば、第2レバーに第3腕部を設け、該第3腕部に回動及び軸方向移動するロッド部材を連結し、かつ該ロッド部材にチェンジレバーのセレクト操作及びシフト操作の経路を規制する操作規制部材を設けたので、変速操作を行うための第2レバーを利用して上記チェンジレバーのセレクト操作及びシフト操作の経路を規制することができる。したがって、部品点数が抑制されると共に、余計なコストアップも抑制することができるようになる。
【0018】さらに、上記第4発明によれば、ロッド部材とチェンジレバーとの間に、該チェンジレバーの操作に連動して該ロッド部材を動作させる操作伝達機構を取り付けることができるので、上記操作伝達機構をロッド部材に取り付けることにより、上記チェンジレバーから入力される操作力がロッド部材を介して上記コントロールロッドに伝達されるようになる。したがって、この変速機に、ケーブルを介して上記コントロールロッドに伝達されるケーブル式操作力伝達機構と、ロッド部材を介して上記コントロールロッドに伝達されるロッド式操作力伝達機構との2つの操作力伝達機構の内1つを適宜採用することができる。したがって、車両の性状等に応じて該車両に搭載する操作力伝達機構を、ケーブル式操作力伝達機構またはロッド式操作力伝達機構のどちらかを適宜選択することが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る変速機のチェンジ構造について説明する。
【0020】図1は、FF車用の手動変速機1の外観を示すもので、この変速機1のミッションケース2内には、エンジン側からトルクが入力される入力シャフト3と、該入力シャフト3に平行に配置された出力シャフト4と、後退速用のアイドルギヤシャフト5とが設けられている。また、このトランスミッションケース2内には、差動装置(図示せず)が内蔵されており、この差動装置から車軸6,6(一方のみ図示)が左右に延びている。
【0021】また、上記シャフト3,4の間には、1速〜5速用と後退速用とのギヤ列(図示せず)が設けられている。ここで、1速〜5速用の各ギヤ列を構成する一方のギヤ(図示せず)は、例えば、入力シャフト3に一体形成、或はスプライン嵌合されて該シャフト3と一体回転するようになされ、また、他方のギヤ(図示せず)は出力シャフト4に対して相対回転可能に遊嵌合されている。さらに、この出力シャフト4に遊嵌合されたギヤの間、または側方には、1−2速用、3−4速用及び5速用の同期噛合装置(図示せず)が設けられており、出力シャフト4に遊嵌合された上記の各ギヤの1つを該シャフト4に選択的に結合するようになっている。
【0022】なお、1速〜5速用の各ギヤ列を構成する一方のギヤを出力シャフト4に一体形成、或はスプライン嵌合して該シャフト4と一体回転するようにし、他方のギヤを入力シャフト3に対して相対回転可能に遊嵌合するようにしてもよい。
【0023】ここで、上記同期噛合装置は、周知のように、シャフト上にスプライン嵌合されたクラッチハブ(図示せず)と、その側方に位置するギヤに固設されたギヤスプライン(図示せず)と、上記ハブの外周部分にスプライン嵌合されたスリーブ(図示せず)と、該スリーブとギヤスプラインとの間に介在されたシンクロナイザリング(図示せず)とを有し、チェンジレバーの揺動操作によりシフトフォーク(図示せず)を介してスリーブをギヤ側に摺動させたときに、シンクロナイザリングがギヤスプラインに押し付けられることにより、該リングを介して上記スリーブとギヤスプラインの回転が摩擦力によって同期され、その後、該スリーブが上記クラッチハブとギヤスプラインとに跨って嵌合する状態に摺動される。これにより、ギヤがギヤスプライン、スリーブ及びハブを介して出力シャフト4に結合されることになる。
【0024】そして、上記チェンジレバーの操作によってシフトフォークを介してスリーブをギヤ側に摺動させるコントロールロッド10が軸方向への移動と回動とができるように上記トランスミッションケース2内に配置されている。
【0025】なお、図2に示すように、コントロールロッド10には、該コントロールロッド10の軸方向の移動を規制するディテント機構20と、該コントロールロッド10の回動時に所定のシフトフォークを選択するゲート機構30とが備えられている。
【0026】そして、このトランスミッションケース2には、チェンジレバーの揺動操作をコントロールロッド10に伝達するための変速操作機構100が設けられている。
【0027】次に、変速機1の変速段を変更するための変速操作機構100について詳しく説明する。
【0028】変速機1の変速操作機構100は、運転者によって操作されるチェンジレバーから操作力が伝達されるセレクトレバー110とシフトレバー120とを有すると共に、トランスミッションケース2内に配置された第1,第2ロッド130,140とを備えている。
【0029】まず、図1,3に示すように、セレクトレバー110は、トランスミッションケース2の外側に固設されたセレクトレバー支持ブラケット111に回動自在に支持されている。そして、このセレクトレバー110の一端部にケーブル取付部110aが設けられており、このケーブル取付部110aにセレクトケーブル112の一端部112aが取り付けられていると共に、該セレクトケーブル112の他端部(図示せず)が上記チェンジレバーに取り付けられている。また、セレクトレバー110の他端部には、突設部110bが設けられており、この突設部110bが上記シフトレバー120の一端部120aに連結されている。
【0030】このシフトレバー120の一端部120aは、トランスミッションケース2の開口部から突出した第1ロッド130の一端部にピン121,121で固定されている。この第1ロッド130は、軸方向への移動と回動とが自在に行えるように配置されているため、該シフトレバー120と第1ロッド130とが一体的に動作するようになっている。また、このシフトレバー120の中央部にはケーブル取付部120bが設けられており、該ケーブル取付部120bにシフトケーブル122の一端部122aが連結されていると共に、シフトケーブル122の他端部(図示せず)は、上記チェンジレバーに取り付けられている。
【0031】したがって、チェンジレバーをセレクト方向に操作することによってセレクトケーブル112を介してセレクトレバー110が回動し、その回動運動に伴って上記第1ロッド130がシフトレバー120と共に当該ロッド130の軸方向に移動することになる。
【0032】また、上記チェンジレバーをシフト方向に操作することによってシフトケーブル122を介してシフトレバー120が上記第1ロッド130と共に回動することになる。
【0033】なお、シフトレバー120の他端部には、チェンジレバーの操作感を調節するためのウェイト部120cが設けられている。
【0034】次に、上記第1ロッド130と第2ロッド140とについて説明する。
【0035】図2,4に示すように、上記第1ロッド130は、上記コントロールロッド10の軸方向に直交して配置されている。また、上記第2ロッド140は、上記コントロールロッド10付近において、上記第1ロッド130と離間した状態で該第1ロッド130と平行に配置されていると共に、ピン140aによってトランスミッションケース2に固定されている。
【0036】ここで、上記第1ロッド130には、第1レバー131が取り付けられている。この第1レバー131は、円筒部131aと該円筒部131aから半径方向に延びるレバー部131bとを有し、該円筒部131aが上記第1ロッド130に挿通されると共に、ピン132によって上記第1ロッド130に嵌合固定されているので、上記第1レバー131は上記第1ロッド130と一体的に動作するようになっている。
【0037】さらに、上記レバー部131bの先端には、先端が開口した二股部131b’が形成されている。
【0038】一方、第2ロッド140には、第2レバー141が備えられていると共に、この第2レバー141は、回動自在かつ第2ロッド140上をスライド自在に支持されている。そして、この第2レバー141は、上記第1レバー131のレバー部131bに係合する第1腕部141aと、上記コントロールロッド10に取り付けられた突設部材11と嵌合連結する第2腕部141bとを有する。
【0039】なお、上記第2レバー141は、軸受142と、第1,第2取付部材143,144とを有すると共に、該第1,第2取付部材143,144間にバネ145,145が取り付けらた構成とされているので、上記第2レバー141が第2ロッド140にぐらつくことなく確実に支持されることになる。
【0040】ここで、上記第1レバー131のレバー部131bと第2レバー141の第1腕部141aとの係合部について説明すると、該第2レバー141の第1腕部141aの先端が開口されており、その開口した先端間に比較的小径のローラ141a’が回動自在に支持されている。そして、上記第1レバー131の二股部131b’が上記ローラ141a’を抱持した状態で該ローラ141a’の外周面に摺接していると共に、第1レバー131を上記ローラ141a’の軸方向に移動させたときに、上記二股部131b'が該ローラ141a'から脱落しないように構成されている。
【0041】上記の構成により、上記チェンジレバーをセレクト方向に操作すると、上記第1ロッド130が自軸方向に移動し、これに伴って第1ロッド130に固設された第1レバー131が第1ロッド130と一体的に移動する。これにより、上記第1レバー131に設けられたレバー部131bの二股部131b’が、上記第2レバー141の第1腕部141aの開口された先端の内側面と当接し、その内側面が上記第1レバー131の移動方向に押されて、上記第2レバー141が上記第2ロッド140の軸方向に移動することになる。したがって、第2レバー141に設けられた第2腕部141bが第2ロッド140の軸方向に移動し、コントロールロッド10に設けられた突設部材11を介して該コントロールロッド10を自軸心回りに回動させることになる。
【0042】一方、上記チェンジレバーをシフト方向に操作すると、上記第1ロッド130が自軸心回りに回動し、これに伴って第1ロッド130に固設された第1レバー131が第1ロッド130と一体的に回動する。これにより、上記第1レバー131に設けられたレバー部131bの二股部131b’が、上記第2レバー141に設けられた第1腕部141aのローラ141a’を上記レバー部131bの回動方向に押し出す。これにより、上記第2レバー141が上記第2ロッド140の自軸心回りに回動することになる。したがって、第2レバー141に設けられた第2腕部141bが回動し、コントロールロッド10に設けられた突設部材11を介して該コントロールロッド10が自軸方向に移動することになる。
【0043】上記の構成に加えて、この変速機1には、操作規制機構200が備えられている。
【0044】図2,5に示すように、この操作規制機構200は、ロッド部材201を有し、上記第2レバー141に設けられた第3腕部141cに上記ロッド部材201の一端部に固設された連結部材202の先端が嵌合連結されている。したがって、運転者がチェンジレバーをセレクト方向に操作すると、上記第2レバー141が第2ロッド140の軸方向に移動し、それに伴って上記第3腕部141cが第2ロッド140の軸方向に移動する。そして、この第3腕部141cの移動に連動して、上記ロッド部材201が上記連結部材202を介して軸心回りに回動することになる。また、チェンジレバーをシフト方向に操作すると、上記第2レバー141が第2ロッド140の軸心回りに回動し、それに伴って上記第3腕部141cが回動する。そして、この第3腕部141cの回動に連動して、上記ロッド部材201が上記連結部材202を介して軸方向に平行移動することになる。
【0045】また、上記操作規制機構200は、図2において上方に延びるガイドロッド203と、上記トランスミッションケース2に固設されて該ガイドロッド203の上方に配置されるガイドプレート204とを有する。上記ガイドロッド203は、下端部が上記ロッド部材201のほぼ中央部に固設されていると共に、上端部203aが上記ガイドプレート204に設けられたガイド溝204aに係合されるように構成されている。上記の構成により、ガイドロッド203は、上記ガイド溝204aに沿って移動し、これに伴って、上記ロッド部材201の移動が規制されるようになっている。
【0046】なお、このガイドプレート204の下面には、チェンジガード部材205が設けられていると共に、このチェンジガード部材205と上記ガイドプレート204との間に付勢部材206が介設されている。このチェンジガード部材205は、5速段から後退速段へダイレクトにシフト操作を行おうとすると、上記ガイドロッド203の先端部203aがチェンジガード部材205に当接し、これによりガイドロッド203の移動が規制されるようになっている。
【0047】次に、この変速機1の作用を説明する。
【0048】図6に示すように、まず、運転者がチェンジレバーをセレクト操作することによって、セレクトレバー110(図3参照)がセレクトケーブル112を介して回動し、セレクトレバー110の一端部がシフトレバー120を図1における上下方向に移動させることにより、該シフトレバー120に固設された第1ロッド130が自軸方向に移動する。これに伴って第1ロッド130に固設された第1レバー131が第1ロッド130と一体的に移動することになる。そして、この移動のときに、上記第1レバー131のレバー部131bの先端に形成された二股部131b’が第2レバー141の第1腕部141aの開口部の内側面に当接し、上記第2レバー141を上記第2ロッド140の軸方向に移動させることになる。したがって、第2レバー141に設けられた第2腕部141bが第2ロッド140の軸方向に移動し、コントロールロッド10が該ロッド10に設けられた突設部材11を介して自軸心回りに回動する。そして、該コントロールロッド10が回動することによって上記ゲート機構30が上記3つの同期噛合装置のうち、1つの同期噛合装置を選択するようになっている。
【0049】次に、上記セレクト操作を行った後に、上記チェンジレバーを所定の方向にシフト操作することによって、上記シフトレバー120がシフトケーブル122を介して選択された方向に回転し、それに伴ってシフトレバー120に固設された第1ロッド130がシフトレバー120の回転方向と同じ方向に回転する。そして、この第1ロッド130の回転に伴って該第1ロッド130に固設された第1レバー131も第1ロッド130が回転する方向と同じ方向に回転する。これにより、上記第1レバー131に設けられたレバー部131bの二股部131b’が、上記第2レバー141に設けられた第1腕部141aのローラ141a’を上記レバー部131bの回動方向に押し出す。これにより、上記第2レバー141を上記第2ロッド140の自軸心回りに回動させることになる。
【0050】すなわち、上記第1レバー131のレバー部131bが図6の矢印A1方向に回動すると、上記第2レバー141の第1腕部141aが図6の矢印B1方向に回動する。また、上記第1レバー131のレバー部131bが図6の矢印A2方向に回動すると、上記第2レバー141の第1腕部141aが図6の矢印B2方向に回動することになる。したがって、第2レバー141に設けられた第2腕部141bが回動し、上記突設部材11を介して該コントロールロッド10が自軸方向に移動する。そして、該コントロールロッド10の自軸方向の移動により、上記ゲート機構30によって選択された同期噛合装置が作動して、前述したように選択されたギヤ列とシャフトとが結合されて、エンジン側からの動力が伝達されるようになっている。
【0051】ところで、上記チェンジレバーをシフト操作すると、前述したように、上記シフトレバー120が選択された方向に回転し、それに伴って第1レバー131が回転する。これにより、上記第2レバー141を上記第2ロッド140の自軸心回りに回動させ、コントロールロッド10に設けられた突設部材11を介して該コントロールロッド10が自軸方向に移動して、上記同期噛合装置を移動させて選択されたギヤ列とシャフトとが同期することになる。
【0052】このとき、上記第1,第2レバー131,141とが備えられる第1,第2ロッド130,140の軸心と、上記第2レバー141の第1腕部141aに備えられたローラ141a’とが一直線上に並ぶ中立状態から、上記チェンジレバーをシフト操作することによって上記ローラ141a’と上記二股部131b’との係合位置が相対的に変位することになる。
【0053】そして、上記チェンジレバーをさらにシフト操作することによって、上記第1レバー131がさらに揺動し、上記第2レバー141のローラ141a’が上記二股部131b’の先端の方向に移動することになる。したがって、第1レバー131の回動中心から二股部131b’とローラ141a’との係合位置までの距離が延びる。このことより、上記チェンジレバーのシフト操作中に第1レバー131から第2レバー141に伝達されるトルクをT2とすると、該トルクT2は次の数1にしたがって求められる。
【0054】
【数1】

【0055】ここで、T1は第1レバー131のトルク、L12は第1レバー131の回動中心から二股部131b’とローラ141a’との係合位置までの距離、L21はローラ141a’の中心から第2レバー141の回動中心までの距離を示す。
【0056】このとき、上記チェンジレバーの操作力が第1レバー141に伝達されるトルクT1は次の数2にしたがって求められる。
【0057】
【数2】

【0058】ここで、F1は上記チェンジレバーから上記シフトレバー120に入力される操作力、L11はシフトレバー120のケーブル取付部120bからシフトレバー120の回動中心までの距離を示す。
【0059】一方、上記トルクT2がコントロールロッド10に伝達される操作力は次の数3にしたがって求められる。
【0060】
【数3】

【0061】ここで、F2は第2レバー141から上記コントロールロッド10に出力される操作力、L22はコントロールロッド10に設けられた突設部材11と第2レバー141の第2腕部141bとの係合位置から第2レバー141の回動中心までの距離を示す。
【0062】したがって、上記チェンジレバーの操作力F1と上記コントロールロッド10に出力される操作力F2との関係は、上記数1〜3を整理することにより次の数4にしたがって求められることになる。
【0063】
【数4】

【0064】この場合、上記変速機構100は、上記第1,第2レバー131,141とが備えられる第1,第2ロッド130,140の軸心と、上記第2レバー141の第1腕部141aに備えられたローラ141a’とが一直線上に並ぶ中立状態から上記第1レバー131が回動するように構成されているので、L12は、上記中立状態のときに最小となり、上記第1レバー131が回動するのに伴ってL12が増加するようになっている。一方、L12の変化に対してL21は常に一定である。
【0065】したがって、チェンジレバーをシフト操作するときに入力される操作力F1を一定とすると、該操作力F1が上記中立状態から入力されたときに最大に増幅されるため、上記コントロールロッド10に出力される操作力F2が最大になる。このとき、上記同期噛合装置が同期作用を開始したときに発生する摩擦力に抗して同期作用を行うために操作力F2は大きいのが望ましいが、この変速機構100はこの条件を満たしていることになる。
【0066】そして、チェンジレバーをさらにシフト方向へ操作することによって上記増幅率が減少していき、それに伴って上記操作力F2が減少していくことになる。このとき、上記同期作用で発生していた摩擦力がなくなるために、操作力F2の大きさが影響することがなくなるので操作力F2が減少しても変速機構100の操作に影響することがない。
【0067】また、変速機構100において、第1レバー131のレバー部131bの先端にローラ141a’を設け、第2レバー141の第1腕部141aの先端に二股部131b’を設けた場合には、操作力F1が上記中立状態から入力されたときに、上記増幅率は最小となるため、チェンジレバーをシフト操作開始するときにより大きな操作力が必要とされる。したがって、シフト操作を開始するときに大きな操作力を入力したという操作感が必要な車種等に応じてこの種の変速機構を用いることができる。
【0068】なお、上記変速機構100に備えられた操作規制機構200のロッド部材201とチェンジレバーとの間に、該チェンジレバーのセレクト操作及びシフト操作に連動させて該ロッド部材201を回動及び軸方向移動させる操作伝達機構を取り付けることができる。したがって、上記操作伝達機構を取り付けることにより、上記チェンジレバーから入力される操作力がロッド部材201を介して上記コントロールロッド10に伝達することができるようになる。
【0069】
【発明の効果】以上のように、上記第1発明によれば、変速機のチェンジ構造において、操作力伝達経路に第1レバーと第2レバーとを配設して、第1レバーの第2腕部と第2レバーの第1腕部との係合部を一方のレバーに設けられたピボット部と、他方のレバーに設けられて上記ピボット部を抱持する二股部とで構成したので、チェンジレバーから入力された操作力が第1,第2レバーを介して上記コントロールロッドに出力されるときに上記操作力の大きさを変化させることができる。したがって、この操作力の増幅率を自在に変化させることによってチェンジレバーの操作感を自由に設定することができ、運転者のニーズや車種等に対応することができるようになる。
【0070】次に、上記第2発明によれば、第1レバーの第2腕部に二股部を設け、第2レバーの第1腕部にピボット部を設けて、チェンジレバーのシフト操作に連動するこれらのレバーの揺動動作範囲の中心位置において両レバーの回動中心と両レバーの係合点がほぼ一直線上に位置するように構成したので、上記チェンジレバーのシフト操作に連動して、上記第1,第2レバーの揺動動作中心位置から第1,第2レバーが所定の方向に回動すると共に、第2レバーのピボット部が上記二股部の先端の方向に移動することになり、チェンジレバーに入力されるシフト操作開始時の操作力は、上記コントロールロッドに出力されるときに最大に増幅されることになって、運転者は、チェンジレバーのシフト操作を開始したときに大きな操作力を入力しなくても、コントロールロッドに大きな操作力が出力され、従来の変速機におけるチェンジレバーの不快な操作感が解消できるようになり、運転者はチェンジレバーを快適に操作できるようになる。
【0071】また、上記第3発明によれば、第2レバーに第3腕部を設け、該第3腕部に回動及び軸方向移動するロッド部材を連結し、かつ該ロッド部材にチェンジレバーのセレクト操作及びシフト操作の経路を規制する操作規制部材を設けたので、変速操作を行うための第2レバーを利用して上記チェンジレバーのセレクト操作及びシフト操作の経路を規制することができる。したがって、部品点数が抑制されると共に、余計なコストアップも抑制することができるようになる。
【0072】さらに、上記第4発明によれば、ロッド部材とチェンジレバーとの間に、該チェンジレバーの操作に連動して該ロッド部材を動作させる操作伝達機構を取り付けることができるので、上記操作伝達機構をロッド部材に取り付けることにより、上記チェンジレバーから入力される操作力がロッド部材を介して上記コントロールロッドに伝達されるようになる。したがって、この変速機に、ケーブルを介して上記コントロールロッドに伝達されるケーブル式操作力伝達機構と、ロッド部材を介して上記コントロールロッドに伝達されるロッド式操作力伝達機構との2つの操作力伝達機構の内1つを適宜採用することができる。したがって、車両の性状等に応じて該車両に搭載する操作力伝達機構を、ケーブル式操作力伝達機構またはロッド式操作力伝達機構のどちらかを適宜選択することが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
【出願日】 平成11年9月10日(1999.9.10)
【代理人】 【識別番号】100083013
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 正明
【公開番号】 特開2001−82599(P2001−82599A)
【公開日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願番号】 特願平11−257108