| 【発明の名称】 |
車両の駆動輪トルク演算装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】稲垣 裕巳
【氏名】泊 辰弘
【氏名】新村 智之
【氏名】堀 昌克
【氏名】大熊 信司
【氏名】岩崎 明裕
【氏名】栗林 隆司
【氏名】和田 一浩
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| 【要約】 |
【課題】車両の駆動輪トルクを正確に算出する。
【解決手段】車体加速度算出手段M1は車体速度Vを時間微分して車体加速度αを算出し、駆動輪トルクベース値算出手段M2は前記車体加速度αから駆動輪トルクベース値Td0 を算出する。一方、速度比算出手段M3で検出したトルクコンバータの速度比eを速度比微分手段M4で時間微分して速度比eの微分値de/dtを算出し、この微分値de/dtの符号を位相進み要素算出手段M5で反転した位相進み要素ΔTdを、加算手段M8で前記駆動輪トルクベース値Td0 に加算して駆動輪トルクTdを算出する。駆動輪トルクベース値Td0 は実駆動輪トルクに対して位相遅れを持つが、駆動輪トルクベース値Td0 を速度比eの微分値de/dtで補正した駆動輪トルクTdは、前記位相遅れが補償されて実駆動輪トルクに良く一致する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジン(E)からトルクコンバータ(TC)を介して駆動輪(WFL,WFR)に伝達される駆動輪トルク(Td)を演算する車両の駆動輪トルク演算装置において、車体速度(V)を検出する車体速度検出手段(S3 )と、車体速度(V)を時間微分して車体加速度(α)を算出する車体加速度算出手段(M1)と、車体加速度(α)から駆動輪トルクベース値(Td0 )を算出する駆動輪トルクベース値算出手段(M2)と、トルクコンバータ(TC)の速度比(e)を算出する速度比算出手段(M3)と、トルクコンバータ(TC)の速度比(e)を時間微分して速度比の微分値(de/dt)を算出する速度比微分手段(M4)と、駆動輪トルクベース値算出手段(M2)で算出した駆動輪トルクベース値(Td0 )を速度比微分手段(M4)で算出したトルクコンバータ(TC)の速度比の微分値(de/dt)で補正して駆動輪トルク(Td)を算出する補正手段(M7)と、を備えたことを特徴とする車両の駆動輪トルク演算装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンからトルクコンバータを介して駆動輪に伝達される駆動輪トルクを演算する車両の駆動輪トルク演算装置に関する。 【0002】 【従来の技術】図7は車両の駆動輪トルクを演算する従来の手法を示すものである。エンジン回転数Neおよび吸気負圧Pbをエンジントルクテーブルに適用してエンジントルクTeを検索し、またトルクコンバータの速度比e(トランスミッション入力回転数/エンジン回転数)をトルク比テーブルに適用してトルクコンバータのトルク比τを検索する。更にギヤポジションPに基づいて動力伝達系の減速比Itを検索するとともに、駆動輪速度Vdの平均値から動力伝達系の慣性トルクTaを算出する。そして前記エンジントルクTe、トルクコンバータのトルク比τ、減速比Itおよび慣性トルクTaに基づいて、駆動輪トルクTdを、Td=Te*τ*It−Taにより算出する。 【0003】かかる駆動輪トルクの演算手法は、例えば特開平10−181564号公報により公知である。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで上記従来の手法はトルクコンバータの速度比eからトルク比τを検索するトルク比テーブルを必要とし、しかも前記トルク比テーブルはかなりの誤差を含むことが避けられないため、最終的な駆動輪トルクTdの算出精度を高めることが困難であった。またオートマチックトランスミッションを備えた車両では、シフトチェンジの際にエンジンおよび駆動輪間の動力伝達が一時的に遮断されるため、以下のような問題が発生する。例えば、1速変速段から2速変速段にシフトアップするとき、1速クラッチの係合解除から2速クラッチの係合までにタイムラグが存在するため、その間の動力伝達が遮断されることになる。従って、エンジントルクTeに基づいて駆動輪トルクTdを算出する上記従来の手法は、シフトチェンジ中の駆動輪トルクTdを正確に算出することができないという問題がある。 【0005】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車両の駆動輪トルクを正確に算出することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エンジンからトルクコンバータを介して駆動輪に伝達される駆動輪トルクを演算する車両の駆動輪トルク演算装置において、車体速度を検出する車体速度検出手段と、車体速度を時間微分して車体加速度を算出する車体加速度算出手段と、車体加速度から駆動輪トルクベース値を算出する駆動輪トルクベース値算出手段と、トルクコンバータの速度比を算出する速度比算出手段と、トルクコンバータの速度比を時間微分して速度比の微分値を算出する速度比微分手段と、駆動輪トルクベース値算出手段で算出した駆動輪トルクベース値を速度比微分手段で算出したトルクコンバータの速度比の微分値で補正して駆動輪トルクを算出する補正手段と、を備えたことを特徴とする車両の駆動輪トルク演算装置が提案される。 【0007】上記構成によれば、車体速度を時間微分して得られた車体加速度に基づいて算出した駆動輪トルクベース値は実際の駆動トルクに対して位相遅れが存在するが、トルクコンバータの速度比を時間微分して得られた速度比の微分値で前記駆動輪トルクベース値を補正して駆動輪トルクを算出することにより、位相遅れのない正確な駆動輪トルクを得ることができる。しかも前記駆動輪トルクの算出過程でトルクコンバータのトルク比を用いていないので、検出誤差の大きいトルク比の影響による駆動輪トルクの算出精度低下を回避できる。またエンジントルクに基づいて駆動輪トルクを算出すると、オートマチックトランスミッションの変速クラッチが係合/係合解除する間にエンジントルクの駆動輪への伝達が一時的に遮断されて発生する駆動輪トルクの変動が排除されてしまうが、車体加速度に基づいて駆動輪トルクを算出することにより、オートマチックトランスミッションの変速クラッチの係合/係合解除に伴う駆動輪トルクの変動を正確に把握することが可能になる。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 【0009】図1〜図6は本発明の一実施例を示すもので、図1は駆動力配分装置を備えた車両の全体構成を示す図、図2は駆動力配分装置の構造を示す図、図3は電子制御ユニットの回路構成を示すブロック図、図4は右旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図、図5は左旋回時における駆動力配分装置の作用を示す図、図6は駆動輪トルクの実測値および演算値を示すグラフである。 【0010】図1および図2に示すように、フロントエンジン・フロントドライブの車両の車体前部に横置きに搭載したエンジンEの右端にトルクコンバータTCを介してオートマチックトランスミッションMが接続されており、これらエンジンEの後部に駆動力配分装置Tが配置される。駆動力配分装置Tの左端および右端から左右に延びる左ドライブシャフトAL および右ドライブシャフトAR には、それぞれ左前輪WFLおよび右前輪WFRが接続される。 【0011】駆動力配分装置Tは、オートマチックトランスミッションMから延びる入力軸1に設けた入力ギヤ2に噛み合う外歯ギヤ3から駆動力が伝達される差動装置Dを備える。差動装置Dはダブルピニオン式の遊星歯車機構よりなり、前記外歯ギヤ3と一体に形成されたリングギヤ4と、このリングギヤ4の内部に同軸に配設されたサンギヤ5と、前記リングギヤ4に噛み合うアウタプラネタリギヤ6および前記サンギヤ5に噛み合うインナプラネタリギヤ7を、それらが相互に噛み合う状態で支持するプラネタリキャリヤ8とから構成される。差動装置Dは、そのリングギヤ4が入力要素として機能するとともに、一方の出力要素として機能するサンギヤ5が左出力軸9L を介して左前輪WFLに接続され、また他方の出力要素として機能するプラネタリキャリヤ8が右出力軸9R を介して右前輪WFRに接続される。 【0012】左出力軸9L の外周に回転自在に支持されたキャリヤ部材11は、円周方向に90°間隔で配置された4本のピニオン軸12を備えており、第1ピニオン13、第2ピニオン14および第3ピニオン15を一体に形成した3連ピニオン部材16が、各ピニオン軸12にそれぞれ回転自在に支持される。 【0013】左出力軸9L の外周に回転自在に支持されて前記第1ピニオン13に噛み合う第1サンギヤ17は、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8に連結される。また左出力軸9L の外周に固定された第2サンギヤ18は前記第2ピニオン14に噛み合う。更に、左出力軸9L の外周に回転自在に支持された第3サンギヤ19は前記第3ピニオン15に噛み合う。 【0014】実施例における第1ピニオン13、第2ピニオン14、第3ピニオン15、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18および第3サンギヤ19の歯数は以下のとおりである。 【0015】 第1ピニオン13の歯数 Z2 =17第2ピニオン14の歯数 Z4 =17第3ピニオン15の歯数 Z6 =34第1サンギヤ17の歯数 Z1 =32第2サンギヤ18の歯数 Z3 =28第3サンギヤ19の歯数 Z5 =32第3サンギヤ19は左油圧クラッチCL を介してケーシング20に結合可能であり、左油圧クラッチCL の係合によってキャリヤ部材11の回転数が増速される。またキャリヤ部材11は右油圧クラッチCR を介してケーシング20に結合可能であり、右油圧クラッチCR の係合によってキャリヤ部材11の回転数が減速される。そして前記右油圧クラッチCR および左油圧クラッチCL は、マイクロコンピュータを含む電子制御ユニットUにより制御される。 【0016】図1および図3に示すように、電子制御ユニットUには、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転数検出手段S1 と、オートマチックトランスミッションMのメインシャフトの回転数Nmを検出するメインシャフト回転数検出手段S2と、従動輪である後輪WRL,WRRの回転数に基づいて車体速度Vを検出する車体速度検出手段S3 と、車両の横加速度Ygを検出する横加速度検出手段S4 とからの信号が入力される。電子制御ユニットUは前記各検出手段S1 〜S4 からの信号を所定のプログラムに基づいて演算処理し、前記左油圧クラッチCL および右油圧クラッチCR を制御する。 【0017】電子制御ユニットUには、左右の油圧クラッチCL ,CR の駆動量Arを算出すべく、車体加速度算出手段M1、駆動輪トルクベース値算出手段M2、速度比算出手段M3、速度比微分手段M4、位相進み要素算出手段M5、リミット処理手段M6、加算手段M7、前後加速度算出手段M8、左右配分トルクテーブルT1および油圧クラッチ駆動量テーブルT2が設けられる。 【0018】次に、前述の構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。 【0019】図3において、車体加速度算出手段M1は、車体速度検出手段S3 で検出した車体速度Vの平均値を時間微分して車体加速度αを算出する。駆動輪トルクベース値算出手段M2は、車体質量mに前記車体加速度αを乗算して車両の駆動力F(=m*α)を算出し、この駆動力Fに駆動輪である前輪WFL,WFRの有効径rを乗算して駆動輪トルクベース値Td0 を算出する。 【0020】Td0 =F*r=m*α*r一方、エンジン回転数検出手段S1 で検出したエンジン回転数Neと、メインシャフト回転数検出手段S2 で検出したオートマチックトランスミッションMのメインシャフトの回転数Nmとが入力された速度比算出手段M3は、Nm/NeによってトルクコンバータTCの速度比eを算出する。速度比微分手段M4は、前記トルクコンバータTCの速度比eを時間微分して微分値de/dtを算出する。続いて位相進み要素算出手段M5は、速度比eの微分値de/dtに−Kを乗算して位相進み要素ΔTd(=−K*de/dt)を算出する。そしてリミット処理手段M6で位相進み要素ΔTdをリミット処理してノイズ成分を除去したものを、本発明の補正手段を構成する加算手段M7で前記駆動輪トルクベース値算出手段M2で算出した駆動輪トルクベース値Td0 に加算することにより、駆動輪トルクTd(=Td0 +ΔTd)を算出する。続いて前後加速度算出手段M8において、駆動輪トルクTdを車体質量mおよび前輪WFL,WFRの有効径rで除算して車両の前後加速度Xgを算出する。 【0021】次に、前記車両の前後加速度Xgと、横加速度検出手段S4 で検出した車両の横加速度Ygとを左右配分トルクテーブルT1に適用し、駆動力配分装置Tにより旋回内輪から旋回外輪に配分する駆動トルク配分量Trを検索する。左右配分トルクテーブルT1から明らかなように、駆動トルク配分量Trは車両の前後加速度Xgが増加するほど増加し、車両の横加速度Ygが増加するほど増加するように設定される。そして前記駆動トルク配分量Trを油圧クラッチ駆動量テーブルT2に適用して、左右の油圧クラッチCL ,CR の駆動量Arを検索する。 【0022】図6(A)は駆動輪トルクTdの実測値(実線)および演算値(破線)を示すもので、この演算値は速度比eの微分値de/dtによる補正を施していないもの、つまり加算手段M7で前記駆動輪トルクベース値Td0 に加算する位相進み要素ΔTdが0の場合に相当する。同図から明らかなように、速度比eの微分値de/dtによる補正を施さない駆動輪トルクTdの演算値は、実測値に対して位相遅れが発生していることが分かる。これは、車体速度Vが駆動輪トルクTdの結果として発生するものであるため、時間遅れが生じるためと考えられる。 【0023】一方、図6(B)には、駆動輪トルクTdの実測値(実線)と、前記駆動輪トルクベース値Td0 をトルクコンバータTCの速度比eの微分値de/dtで補正した駆動輪トルクTdの演算値(破線)とが示される。同図から明らかなように、速度比eの微分値de/dtによる補正を施した駆動輪トルクTdの演算値は、前記位相遅れが補償されて実測値に良く一致している。これは、速度比eが駆動輪トルクTdの時間微分に対応するので、速度比eの微分値de/dtは駆動輪トルクTdに対して位相ずれがあるためと考えられる。尚、駆動輪トルクTdの演算値には負の領域が存在するが、負の駆動輪トルクTdは実際の制御に使用されないないため特に支障はない。 【0024】速度比eの微分値de/dtに基づいて駆動輪トルクベース値Td0 の位相を進め、前記位相遅れを補償できる理由は以下のとおりである。アクセル開度の急増によりエンジントルクTeが急激に立ち上がると、トルクコンバータTCがスリップして速度比eが急激に低下する。従って、速度比eの微分値de/dtは負になり、この負の微分値de/dtを加算手段M7でそのまま駆動輪トルクベース値Td0 に加算すると、駆動輪トルクTdの位相が更に遅れてしまう。そこで位相進み要素算出手段M5で速度比eの微分値de/dtに−Kを乗算して符号を反転した位相進み要素ΔTdを算出し、この位相進み要素ΔTdを加算手段M7で駆動輪トルクベース値Td0 に加算することにより、駆動輪トルクベース値Td0 の位相遅れを補償して正確な駆動輪トルクTdを算出することができる。尚、位相進み要素算出手段M5で乗算されるKは、速度比eの微分値de/dtが駆動輪トルクTdの位相に与える影響の大きさを調整するための正の定数である。 【0025】而して、位相遅れのある駆動輪トルクベース値Td0 をトルクコンバータTCの速度比eを時間微分して得た微分値de/dtに基づいて補正するので、位相遅れのない正確な駆動輪トルクTdを算出することができる。また駆動輪トルクTdを算出する際にトルクコンバータTCのトルク比τを用いると、誤差の大きいトルク比τの影響によって算出精度が低下してしまうが、本実施例では駆動輪トルクTdの算出にトルクコンバータTCのトルク比τを用いていないので正確な算出が可能になる。また駆動輪トルクTdをエンジントルクTeに基づいて算出すると、オートマチックトランスミッションMの変速クラッチが係合/係合解除する間にエンジントルクTeの駆動輪への伝達が一時的に遮断されるため、その間の駆動輪トルクTdの変動を正確に算出できなくなる問題がある。しかしながら、本実施例ではエンジントルクTeを用いずに車体加速度αに基づいて駆動輪トルクベース値Td0 を算出しているので、オートマチックトランスミッションMの変速クラッチに起因する駆動輪トルクTdの変動を正確に把握することができる。 【0026】次に、駆動力配分装置Tの作用を説明する。 【0027】電子制御ユニットUからの指令により、車両の直進走行時には右油圧クラッチCR および左油圧クラッチCL が共に非係合状態とされる。これにより、キャリヤ部材11および第3サンギヤ19の拘束が解除され、左ドライブシャフト9L、右ドライブシャフト9R 、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8およびキャリヤ部材11は全て一体となって回転する。このとき、図1に斜線を施した矢印で示したように、エンジンEのトルクは差動装置Dから左右の前輪WFL,WFRに均等に伝達される。 【0028】さて、車両が加速しながら右旋回するときには、図3に示すように電子制御ユニットUからの指令により右油圧クラッチCR が係合し、キャリヤ部材11をケーシング20に結合して停止させる。このとき、左前輪WFLと一体の左出力軸9L と、右前輪WFRと一体の右出力軸9R (即ち、差動装置Dのプラネタリキャリヤ8)とは、第2サンギヤ18、第2ピニオン14、第1ピニオン13および第1サンギヤ17を介して連結されているため、左前輪WFLの回転数NL は右前輪WFRの回転数NR に対して次式の関係で増速される。 【0029】 NL /NR =(Z4 /Z3 )×(Z1 /Z2 ) =1.143 …(3) 上述のようにして、左前輪WFLの回転数NL が右前輪WFRの回転数NR に対して増速されると、図4に斜線を施した矢印で示したように、旋回内輪である右前輪WFRのトルクの一部を旋回外輪である左前輪WFLに伝達することができる。 【0030】尚、キャリヤ部材11を右油圧クラッチCR により停止させる代わりに、右油圧クラッチCR の係合力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を減速すれば、その減速に応じて左前輪WFLの回転数NL を右前輪WFRの回転数NR に対して増速し、旋回内輪である右前輪WFRから旋回外輪である左前輪WFLに任意のトルクを伝達することができる。 【0031】一方、車両が加速しながら左旋回するときには、図5に示すように電子制御ユニットUからの指令により左油圧クラッチCL が係合し、第3ピニオン15が第3サンギヤ19を介してケーシング20に結合される。その結果、左出力軸9Lの回転数に対してキャリヤ部材11の回転数が増速され、右前輪WFRの回転数NR は左前輪WFLの回転数NL に対して次式の関係で増速される。 【0032】 NR /NL ={1−(Z5 /Z6 )×(Z2 /Z1 )} ÷{1−(Z5 /Z6 )×(Z4 /Z3 )} =1.167 …(4) 上述のようにして、右前輪WFRの回転数NR が左前輪WFLの回転数NL に対して増速されると、図5に斜線を施した矢印で示したように、旋回内輪である左前輪WFLのトルクの一部を旋回外輪である右前輪WFRに伝達することができる。この場合にも、左油圧クラッチCL の係合力を適宜調整してキャリヤ部材11の回転数を増速すれば、その増速に応じて右前輪WFRの回転数NR を左前輪WFLの回転数NL に対して増速し、旋回内輪である左前輪WFLから旋回外輪である右前輪WFRに任意のトルクを伝達することができる。 【0033】而して、車両の旋回加速時には旋回外輪に旋回内輪よりも大きなトルクを伝達して旋回性能を向上させることが可能である。尚、高速走行時には中低速走行時に比べて旋回外輪に伝達されるトルクを少なめにしたり、逆に旋回外輪から旋回内輪にトルクを伝達して走行安定性能を向上させることが可能である。 【0034】(3)式および(4)式を比較すると明らかなように、第1ピニオン13、第2ピニオン14、第3ピニオン15、第1サンギヤ17、第2サンギヤ18および第3サンギヤ19の歯数を前述の如く設定したことにより、右前輪WFRから左前輪WFLへの増速率(約1.143)と、左前輪WFLから右前輪WFRへの増速率(約1.167)とを略等しくすることができる。 【0035】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。 【0036】例えば、実施例では速度比算出手段M3がトルクコンバータTCの速度比eをNm/Neによって算出しているが、速度比算出手段M3で速度比eの逆数1/eをNe/Nmによって算出し、速度比微分手段M4で前記逆数1/eの微分値を算出すれば、位相進み要素算出手段M5で前記逆数1/eの微分値の符号を反転させる必要はない。また位相進み要素算出手段M5で前記速度比eの微分値de/dtの符号を反転させる代わりに、加算手段M7を減算手段に置き換えて駆動輪トルクベース値Td0 から位相進み要素ΔTdを減算しても良い。 【0037】 【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明によれば、車体速度を時間微分して得られた車体加速度に基づいて算出した駆動輪トルクベース値は実際の駆動トルクに対して位相遅れが存在するが、トルクコンバータの速度比を時間微分して得られた速度比の微分値で前記駆動輪トルクベース値を補正して駆動輪トルクを算出することにより、位相遅れのない正確な駆動輪トルクを得ることができる。しかも前記駆動輪トルクの算出過程でトルクコンバータのトルク比を用いていないので、検出誤差の大きいトルク比の影響による駆動輪トルクの算出精度低下を回避できる。またエンジントルクに基づいて駆動輪トルクを算出すると、オートマチックトランスミッションの変速クラッチが係合/係合解除する間にエンジントルクの駆動輪への伝達が一時的に遮断されて発生する駆動輪トルクの変動が排除されてしまうが、車体加速度に基づいて駆動輪トルクを算出することにより、オートマチックトランスミッションの変速クラッチの係合/係合解除に伴う駆動輪トルクの変動を正確に把握することが可能になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月10日(1999.9.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071870 【弁理士】 【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−82591(P2001−82591A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月27日(2001.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−256831 |
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