| 【発明の名称】 |
車両用動力ユニット |
| 【発明者】 |
【氏名】青山 淳
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| 【要約】 |
【課題】従動軸に固着する筒体を軸受の内輪に遊嵌状態で嵌合させる構造を採りながら、前記筒体が摩耗するのを阻止する。
【解決手段】従動軸27の軸端に螺着するナット60で軸線方向に押圧することにより従動軸27の軸端部に締結されるカラー56を備える。このカラー56の外周部に軸受43の内輪43aを遊嵌状態で嵌合させる。前記遊嵌部分に環状の弾性体57を介装した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 Vベルト式自動変速機を収容する伝動ケースをエンジン側の半部と他方の半部とから車幅方向に分割可能に形成し、この伝動ケースに前記Vベルト式自動変速機の従動軸の両端部と中間部を回転自在に支持させ、前記従動軸における前記他方の半部に隣接する一端部に、この従動軸の軸端に螺着するナットで軸線方向に押圧することにより締結される筒体を嵌合させ、この筒体の外周部に軸受の内輪を遊嵌状態で嵌合させた車両用動力ユニットにおいて、前記遊嵌部分に環状の弾性体を介装したことを特徴とする車両用動力ユニット。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、Vベルト式自動変速機を備えた車両用動力ユニットに関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、例えばスクータ型自動二輪車に搭載するユニットスイング式動力ユニットは、エンジンのクランク軸と後輪の車軸との間にVベルト式自動変速機を介装している。前記Vベルト式自動変速機は、後輪の側方で車体の前後方向へ延びる伝動ケースに収容し、駆動プーリをエンジンのクランク軸に支持させるとともに、従動プーリを前記伝動ケースの車体後側の端部に回転自在に支持させている。前記伝動ケースは、エンジンのクランクケースに一体に形成したケース本体と、このケース本体の車体左側の開口部を閉塞するカバーとから車幅方向に分割できるように形成している。 【0003】前記従動プーリは、前記ケース本体とカバーとに軸受を介して回転自在に支持させた従動軸に軸装し、この従動プーリより車体左側に位置する遠心クラッチの入力部に接続している。前記従動軸は、車体右側の端部をケース本体に軸受を介して回転自在に支持させるとともに、中間部を、伝動ケース内をVベルト室と減速機室とに画成する仕切部材に軸受を介して回転自在に支持させている。また、従動軸の車体左側の端部は、前記カバーに軸受を介して回転自在に支持させている。この従動軸の車体左側の端部に前記遠心クラッチの出力部を固定し、従動プーリの回転が遠心クラッチを介して従動軸に伝達されるようにしている。従動軸の回転は、従動軸における前記減速機室内を延びる部位に接続した歯車式減速機を介して後輪の車軸に伝達される。 【0004】従動軸の車体左側の端部への遠心クラッチの出力部の固定は、この出力部に一体に形成した筒体を従動軸の軸端部に嵌合させ、従動軸の軸端に螺着させたナットで前記筒体を軸線方向に押圧し従動軸に締結させて行っている。前記筒体の外周部に、伝動ケースのカバーに外輪を圧入した軸受の内輪を遊嵌状態で嵌合させている。前記遊嵌構造を採ることによって、カバーを手で支持してケース本体に合わせるだけで、カバー側の軸受の内輪に前記筒体が挿入される。このため、ケース本体にカバーを組付けるときに、組付け用の装置を使用することなく作業者の手によって簡単に組付作業を行うことができる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したように従動軸側の筒体をカバー側の軸受の内輪に遊嵌状態で嵌合させる構造では、長期間にわたって使用することにより、前記筒体の外周面や内輪の内周面が摩耗し、遊嵌部分の隙間が増大して振動や騒音が大きくなるという問題があった。筒体や内輪が摩耗するのは、従動プーリの負荷が増大して従動軸が僅かに撓み、筒体が内輪に接触するときに、筒体と内輪とで回転数差があるためと考えられる。すなわち、回転数が異なる筒体と内輪とが互いに擦れ合い、回転数差がない単純な接触が繰り返される場合に較べて摩耗の進行が早いからであると考えられる。 【0006】本発明はこのような不具合を解消するためになされたもので、従動軸に固着する筒体を軸受の内輪に遊嵌状態で嵌合させる構造を採って組立性の向上を図りながら、前記筒体や軸受の内輪が摩耗するのを阻止することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明に係る車両用動力ユニットは、従動軸の軸端に螺着するナットで軸線方向に押圧することにより従動軸の軸端部に締結される筒体と、この筒体の外周部に遊嵌状態で嵌合させた軸受の内輪との間の遊嵌部分に環状の弾性体を介装したものである。本発明によれば、筒体の回転は弾性体を介して軸受の内輪に伝達されるから、筒体が軸受の内輪に接触していないときでもこれら両者は同じ回転数で回転する。また、筒体が前記内輪に接触するときの荷重は、弾性体が弾性変形することによって低減される。 【0008】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係る車両用動力ユニットの一実施の形態を図1ないし図5によって詳細に説明する。ここでは、スクータ型自動二輪車用ユニットスイング式動力ユニットに本発明を適用する場合の形態について説明する。図1は本発明に係る車両用動力ユニットの側面図、図2は同じく平面図、図3はカバーを取外した伝動ケース後部の側面図、図4は図3における伝動ケースの後端部のIV−IV線断面図、図5は支持ブラケットの従動軸支持部分を拡大して示す断面図である。 【0009】これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態によるスクータ型自動二輪車用ユニットスイング式動力ユニットである。この動力ユニット1は、エンジン2のクランクケース3に伝動ケース4を一体的に設けた構造を採っている。エンジン2は、クランクケース3の車体前側(図1において左側)の端部にシリンダ5を軸線が車体の前方を指向するように取付けている。6はシリンダボディを示し、7はシリンダヘッドを示す。シリンダヘッド7の上部に吸気管8を介して気化器9を接続し、この気化器9の上流側に吸気ダクト10を介してエアクリーナ11を接続している。シリンダヘッド7の下部には排気管(図示せず)を接続し、車体右側(図2において上側)に点火プラグ12を取付けている。 【0010】前記クランクケース3は、車体右側の半部13と、伝動ケース4の一部を構成する車体左側の半部14とによって分割可能に形成し、クランク軸15を軸線方向が車幅方向と平行になるように回転自在に支持している。前記クランク軸15にコンロッド16を介してピストン17を連結している。また、このクランク軸15は、車体右側の端部にフライホイールマグネトウ18を設け、車体左側の端部に後述するVベルト式自動変速機21の駆動プーリ22を接続している。 【0011】前記伝動ケース4は、図2に示すように、エンジン2のクランクケース3と一体的に形成したケース本体23と、このケース本体23の車体左側の開口部にこの開口部を閉塞するように取付けたカバー24とから車幅方向に分割可能に形成している。ケース本体23が本発明に係るエンジン2側の半部を構成し、カバー24が他方の半部を構成している。この実施の形態では、前記カバー24にこれを車体左側から覆う遮音部材25を取付けている。前記ケース本体23とカバー24の内部に形成される空間にVベルト式自動変速機21を収容している。前記ケース本体23とカバー24はアルミニウム合金によって形成し、遮音部材25は合成樹脂によって形成している。前記ケース本体23とカバー24との間には、伝動ケース4内に水や塵埃が浸入するのを阻止するとともに、カバー24が振動して騒音が発生するのを阻止するために、ゴム製のシール部材26(図4参照)を介装している。このようにシール部材26を介装することによって、カバー24はケース本体23にシール部材26を介して弾性支持される。 【0012】Vベルト式自動変速機21は、従来からよく知られているように、前記駆動プーリ22と従動軸27側の従動プーリ28とにVベルト29を巻掛けた構造を採っている。駆動プーリ22は、クランク軸15と一体に回転する固定シーブ30と、クランク軸15に軸線方向へ移動自在に支持させた可動シーブ31とを備えている。この可動シーブ31は、図示していない遠心ローラを備え、遠心ローラが遠心力で径方向に移動することによって、エンジン回転数に対応して軸線方向に移動する構造を採っている。 【0013】前記従動プーリ28は、図4に示すように、従動軸27に軸受32,33によって回転自在に支持させた筒状の支持軸34と、この支持軸34の車体右側の端部に固定した固定シーブ35と、前記支持軸34の外周部に軸線方向へ移動可能に嵌挿させた筒状の可動軸36と、この可動軸36の車体右側の端部に固定した可動シーブ37と、この可動シーブ37を固定シーブ35側へ付勢する圧縮コイルスプリング38などから構成している。前記支持軸34の車体左側の端部に遠心クラッチ39の支持板40が取付けてあり、この遠心クラッチ39を介して従動プーリ28の回転が従動軸27に伝達される。従動軸27は、両軸端部と中間部とを伝動ケース4に軸受41〜43を介して回転自在に支持させ、前記遠心クラッチ39のクラッチカバー44に車体左側の端部を接続するとともに、車体右側の端部を歯車式減速機45を介して後輪46(図2参照)の車軸47に接続している。 【0014】従動軸27を回転自在に支持する3個の軸受41〜43のうち従動軸27の車体右側の端部を支持する軸受41は、外輪41aをケース本体23に嵌合支持させ、従動軸27の中間部を支持する軸受42は、伝動ケース4内をVベルト室48と減速機室49とに画成する仕切部材50に外輪42aを嵌合支持させている。前記仕切部材50は、前記歯車式減速機45の中間軸51と後輪46の車軸47の車体左側の端部をそれぞれ回転自在に支持しており、固定用ボルト52によってケース本体23の内側面に固定している。従動軸27におけるケース本体23側から突出する軸端部(車体左側の軸端部)は、ケース本体23側からカバー24側へ延びる支持ブラケット53を介してケース本体23に支持させている。前記支持ブラケット53は、アルミニウム合金を材料として鋳造によって成形し、この実施の形態では、図4に示すように車体右側へ向けて開放する断面U字状に形成するとともに、図3に示すように、側面視において車体の前後方向に一直線状に延びるように形成している。この支持ブラケット53における最も車体左側に突出する部分に従動軸27を軸支させ、車体前側の端部53aをケース本体23における従動軸27より車体の前方の部位に固定用ボルト54によって固定するとともに、後端部53bを従動軸27より車体の後方で前記仕切部材50に固定用ボルト55によって固定している。 【0015】支持ブラケット53における従動軸27を支持する部分は、図5に示すように、従動軸27の軸端部に円筒状のカラー56を嵌合させ、このカラー56の外周部に、支持ブラケット53に圧入によって固定した軸受43の内輪43aを遊嵌状態で嵌合させている。カラー56は、この実施の形態では、軸受43の材料と硬度の差が小さくなる鉄系合金によって形成し、外周面に耐摩耗性を向上させるためにCrめっきを施している。このカラー56と軸受34との間の前記遊嵌部分には、環状の弾性体57を介装している。この弾性体57は、Oリングからなり、カラー56の外周部に周方向へ延びるように形成した環状の凹溝58に嵌入させている。弾性体57の寸法は、前記凹溝58に装着した状態でカラー56の外周面より軸受43側へ突出するように設定している。 【0016】前記カラー56は、遠心クラッチ39のクラッチカバー44を従動軸27に固定するためのもので、従動軸27にボス59をスプライン嵌合させたクラッチカバー44の外端面に車体左側から接触させ、従動軸27の軸端に螺着させたナット60で軸線方向に押圧することによって、前記クラッチカバー44とともに従動軸27に締結されている。このカラー56が本発明に係る筒体を構成している。このカラー56の外周部に軸受43の内輪43aを遊嵌状態で嵌合させているのは、上述したように従動軸27にクラッチカバー44をカラー56とナット60とで固定した後に、カラー56に軸受43を人手によって簡単に装着できるようにするためである。言い換えれば、ケース本体23に従動軸27を組付けた状態で、支持ブラケット53を特別な組付用の装置を使用することなくケース本体23に組付けることができるようにしている。 【0017】上述したように構成した動力ユニット1においては、前記カラー56と軸受43の内輪43aとの間の遊嵌部分に環状の弾性体57を介装しているから、前記カラー56が内輪43aに接触していない状態であっても、カラー56の回転は弾性体57を介して前記内輪43aに伝達される。このため、走行時にはカラー56と前記内輪43aは常に同じ回転数で回転する。また、従動プーリ28の負荷が増大して従動軸27が僅かながらも撓むと、カラー56は弾性体57を圧縮して前記内輪43aの内周面に接触する。このときには、弾性体57が緩衝部材として機能し、カラー56が内輪43aに接触するときの荷重が低減される。したがって、カラー56を軸受43の内輪43aに遊嵌状態で嵌合させて組立性を向上させながら、カラー56や内輪43aが摩耗するのを阻止することができる。 【0018】上述した実施の形態では、カラー56で遠心クラッチ39のクラッチカバー44を押圧する構造を採る例を示したが、カラー56をクラッチカバー44に一体に形成してもよい。また、従動軸27の車体左側の端部を伝動ケース4のカバー24に軸受43によって回転自在に支持する構造を採ってもよい。この構造を採る場合には、軸受43の外輪43bをカバー24に圧入によって固定する。さらに、上述した実施の形態では、スクータ型自動二輪車用ユニットスイング式動力ユニット1に本発明を適用する例を示したが、他の車両、例えば自動三輪車や不整地走行用小型四輪車などの動力ユニットにも本発明を適用することができる。 【0019】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、筒体と軸受の内輪は常に同じ回転数で回転し、接触時にこれら両者が擦れ合うようなことはなく、しかも弾性体が緩衝部材として機能するから、筒体を軸受の内輪に遊嵌状態で嵌合させる構造を採って組立性の向上を図りながら、前記筒体が摩耗するのを阻止することができる。このため、長期間にわたって使用しても振動や騒音が小さい車両用動力ユニットを提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000010076 【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月10日(1999.9.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064621 【弁理士】 【氏名又は名称】山川 政樹
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| 【公開番号】 |
特開2001−82588(P2001−82588A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月27日(2001.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−257201 |
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