| 【発明の名称】 |
オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大熊 健夫
|
| 【要約】 |
【課題】ローラクラッチ10を構成する複数個のローラ18、18の転動面が、カム面15及びローラクラッチ用外輪17の内周面に対して片当たりする事を防止し、これら各面同士の当接部で発生する摩擦熱を小さくする。これにより、上記ローラクラッチ10を潤滑する為のグリースが早期に熱劣化するのを防止する。
【解決手段】1対のサポート軸受9、9のラジアル方向の残留内部隙間をそれぞれC1 、C2 とし、これら各サポート軸受9、9を構成する玉列同士の中心間距離をL9 とした場合に、M=|C1 −C2 |/2L9 で表される、従動プーリ7aとスリーブ8との相対傾きMを、0.0005以下(M≦0.0005)とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 オルタネータの回転軸に外嵌固定自在なスリーブと、このスリーブの周囲にこのスリーブと同心に配置した従動プーリと、これらスリーブの外周面の軸方向中間部と従動プーリの内周面の軸方向中間部との間に設け、この従動プーリが上記スリーブに対し所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみこれら従動プーリとスリーブとの間での回転力の伝達を自在とする一方向クラッチと、この一方向クラッチを軸方向両側から挟む位置で上記スリーブの外周面と上記従動プーリの内周面との間に設け、この従動プーリに加わるラジアル荷重を支承しつつこれらスリーブと従動プーリとの相対回転を自在とする1対のサポート軸受とを備えたオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いて、これら各サポート軸受を構成する転動体列同士の中心間距離をLとし、これら各サポート軸受のラジアル方向の残留内部隙間をそれぞれC1 、C2 とした場合に、M=|C1 −C2 |/2Lで表される、上記従動プーリと上記スリーブとの相対傾きMを、0.0005以下とした事を特徴とするオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明の対象となるオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、自動車用の発電機であるオルタネータの回転軸の端部に固定し、エンジンのクランクシャフトの端部に固定した駆動プーリとの間に無端ベルトを掛け渡す事により、上記オルタネータを駆動する為に利用する。 【0002】 【従来の技術】自動車の走行用エンジンを駆動源として、自動車に必要な発電を行なうオルタネータの構造が、例えば特開平7−139550号公報に記載されている。図4は、この公報に記載されたオルタネータ1を示している。ハウジング2の内側に回転軸3を、1対の転がり軸受4、4により、回転自在に支持している。この回転軸3の中間部には、ロータ5と整流子6とを設けている。又、この回転軸3の一端部(図4の右端部)で上記ハウジング2外に突出した部分には、従動プーリ7を固定している。エンジンへの組み付け状態では、この従動プーリ7に無端ベルトを掛け渡し、エンジンのクランクシャフトにより、上記回転軸3を回転駆動自在とする。 【0003】上記従動プーリ7として従来一般的には、単に上記回転軸3に固定しただけのものを使用していた。これに対して近年、無端ベルトの走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、無端ベルトから回転軸への動力の伝達を自在とし、無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、従動プーリと回転軸との相対回転を自在とする、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が各種提案され、一部で使用されている。例えば、特開昭56−101353号公報、特開平7−317807号公報、同8−61443号公報、同8−226462号公報、特公平7−72585号公報、フランス特許公報FR2726059A1等に、上述の様な機能を有するオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置が記載されている。 【0004】これら各文献に記載された一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、オルタネータの回転軸に外嵌固定自在なスリーブを有し、このスリーブの周囲に、円筒状の内周面を有する従動プーリを、このスリーブと同心に配置している。そして、これらスリーブの外周面と従動プーリの内周面との間に、1対のサポート軸受と一方向クラッチとを設けている。このうちのサポート軸受は、上記従動プーリに加わるラジアル荷重を支承しつつ、これらスリーブと従動プーリとの相対回転を自在とする。又、上記一方向クラッチは、上記従動プーリが上記スリーブに対して所定方向に回転する場合にのみ、この従動プーリからスリーブへの回転力の伝達を自在とする。 【0005】上述の様なオルネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を使用する理由は、次の通りである。例えば、前記駆動用エンジンがディーゼルエンジンであった場合、アイドリング時等の低回転時には、クランクシャフトの回転角速度の変動が大きくなる。この結果、上記クランクシャフトの端部に固定した駆動プーリに掛け渡した図示しない無端ベルトの走行速度も細かく変動する事になる。一方、この無端ベルトにより従動プーリを介して回転駆動されるオルタネータ1の回転軸3は、この回転軸3並びにこの回転軸3に固定したロータ5及び整流子6(図4)等の慣性質量に基づき、それ程急激には変動しない。従って、上記従動プーリを回転軸3に対し単に固定しただけの場合には、無端ベルトの走行速度の低下時に上記回転軸3の回転速度がそのまま低下し、オルタネータ1の発電量が低下する。同時に、クランクシャフトの回転角速度の変動に伴い、上記無端ベルトの内周面と従動プーリの外周面とが両方向に擦れ合う傾向となる。この結果、この従動プーリと擦れ合う無端ベルトに、繰り返し異なる方向の応力が作用して、この無端ベルトと従動プーリとの間に滑りが発生し易くなったり、或はこの無端ベルトの寿命が短くなったりする原因となる。尚、この様なオルタネータ1の発電量の低下、並びに従動プーリの外周面と無端ベルトの内周面との摩擦に基づく無端ベルトの寿命低下は、走行時に加減速を繰り返す等によっても生じる。 【0006】そこで、上述の様な従動プーリとして、上記オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を使用する事により、上記無端ベルトの走行速度が一定若しくは上昇傾向にある場合には、上記従動プーリから回転軸3への回転力の伝達を自在とし、反対に上記無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、これら従動プーリと回転軸3との相対回転を自在とする。即ち、上記無端ベルトの走行速度が低下傾向にある場合には、上記従動プーリの回転角速度を上記回転軸3の回転角速度よりも遅くして、上記無端ベルトと従動プーリとの当接部が強く擦れ合う事を防止する。この様にして、従動プーリと無端ベルトとの擦れ合い部に作用する応力の方向を一定にし、この無端ベルトと従動プーリとの間に滑りが発生したり、或はこの無端ベルトの寿命が低下する事を防止する。同時に、エンジンの回転速度の低下時にも、オルタネータ1のロータ5の回転速度がそのまま低下する事を防止して、良好な発電効率を維持できる様にする。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】上述の様なオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置を構成する場合、前述した1対のサポート軸受を上記従動プーリの内周面と上記スリーブの外周面との間に組み付けると、これら各サポート軸受のラジアル方向の内部隙間が変化する(小さくなる)。この理由は、これら各サポート軸受を構成する軸受用外輪を上記従動プーリの内周面に、同じく軸受用内輪を上記スリーブの外周面に、それぞれ締り嵌めにより嵌合固定した場合に、これら各嵌合部に与えた締め代に応じて、上記軸受用外輪及び軸受用内輪の直径が弾性的に変化する為である。 【0008】又、上記1対のサポート軸受同士の間で、上述の様な組み付け後の内部隙間(残留内部隙間)に相互差が生じると、この相互差に基づき、無端ベルトから上記従動プーリにラジアル荷重が加わった際に、この従動プーリとスリーブとの中心軸同士が傾く。そして、一方向クラッチを構成する複数個のロック部材の中心軸と、上記従動プーリの内周面と上記スリーブの外周面とのうちの少なくとも一方の周面の中心軸とが、非平行になる。この結果、上記従動プーリとスリーブとを相対回転させるオーバラン時に、上記複数個のロック部材の転動面が、相手側周面(上記一方向クラッチを構成するカム面若しくは円筒面)に対して片当たりする様になる。この様に片当たりした部分では、上記転動面と上記相手側周面との当接部の圧力が大きくなるだけでなく、ロック部材がローラの場合にはスキュ−が発生する為、上記当接部で発生する摩擦熱が大きくなる。特に、上記各中心軸同士の傾きが大きい場合には、上述の様に片当たりする度合いも大きくなる為、上記当接部で発生する摩擦熱が過大となり易い。そして、この様に当接部で発生する摩擦熱が過大となった場合には、上記一方向クラッチを潤滑する為のグリースが早期に熱劣化し、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性が損なわれる為、好ましくない。本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、上述の様な事情に鑑みて発明したものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、オルタネータの回転軸に外嵌固定自在なスリーブと、このスリーブの周囲にこのスリーブと同心に配置した従動プーリと、これらスリーブの外周面の軸方向中間部と従動プーリの内周面の軸方向中間部との間に設け、この従動プーリが上記スリーブに対し所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみこれら従動プーリとスリーブとの間での回転力の伝達を自在とする一方向クラッチと、この一方向クラッチを軸方向両側から挟む位置で上記スリーブの外周面と上記従動プーリの内周面との間に設け、この従動プーリに加わるラジアル荷重を支承しつつこれらスリーブと従動プーリとの相対回転を自在とする1対のサポート軸受とを備える。特に、本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に於いては、これら各サポート軸受を構成する転動体列同士の中心間距離をLとし、これら各サポート軸受のラジアル方向の残留内部隙間をそれぞれC1 、C2 とした場合に、M=|C1 −C2 |/2Lで表される、上記従動プーリと上記スリーブとの相対傾きMを、0.0005以下(M≦0.0005)としている。尚、本発明の場合、上記残留内部隙間の値は、何れも正である事が前提となる。 【0010】 【作用】上述の様に構成する本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、従動プーリとスリーブとの相対傾きMの大きさを規制しているので、一方向クラッチを構成する複数個のロック部材の転動面が相手側周面に対して片当たりする度合いを十分に小さく(或は、この片当たりを防止)できる。この為、従動プーリとスリーブとを相対回転させるオーバラン時に、上記各ロック部材の転動面と上記相手側周面との当接部で発生する摩擦熱を十分に小さくできる。この結果、一方向クラッチを潤滑する為のグリースが早期に熱劣化する事を防止して、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性を十分に確保できる。 【0011】次に、本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置により、上述の様な効果を得られる根拠を明らかにする為に、本発明者が行なった実験に就いて説明する。先ず、この実験を行なうのに際し、後述する、図2に示した本発明の実施の形態の第1例と同様の構造のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置に就いて、上述した従動プーリとスリーブとの相対傾きMの大きさが異なるものを複数種類用意した。実験は、従動プーリを回転させる事によりそれぞれのプーリ装置を運転し、これら各プーリ装置を構成する一方向クラッチが寿命に至るまでの時間を測定する事により行なった。尚、上記従動プーリの回転速度は、0(r.p.m.)→11500(r.p.m.)→0(r.p.m.)のサイクルで繰り返し変化させた。このサイクルの具体的な運転条件は、次の通りである。 停止{0(r.p.m.)}時間 : 4.0秒 0(r.p.m.)→11500(r.p.m.)の加速時間 : 2.8秒 11500(r.p.m.)での定速運転時間 : 22.5秒 11500(r.p.m.)→0(r.p.m.)の減速時間 : 0.7秒又、オルタネータの雰囲気温度は、110℃とした。 【0012】この様にして行なった実験の結果を、図1に示す。この図1に示した実験結果から明らかな通り、一方向クラッチの寿命は、従動プーリとスリーブとの相対傾きMが0.0005よりも大きい場合に急速に短くなり、同じく相対傾きMが0.0005以下の場合に急激に長くなる。従って、本発明の様に、従動プーリとスリーブとの相対傾きMを0.0005以下にすれば、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性を十分に確保できる。 【0013】 【発明の実施の形態】図2は、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、オルタネータ1の回転軸3(図4参照)に外嵌固定自在なスリーブ8を有する。又、このスリーブ8の周囲に従動プーリ7aを、このスリーブ8と同心に配置している。そして、これらスリーブ8の外周面と従動プーリ7aの内周面との間に、1対のサポート軸受9、9と、一方向クラッチであるローラクラッチ10とを設けている。 【0014】上記スリーブ8は、全体を円筒状に形成しており、上記オルタネータ1の回転軸3の端部に外嵌固定して、この回転軸3と共に回転自在である。この為に図示の例では、上記スリーブ8の中間部内周面にねじ孔部11を形成し、このねじ孔部11と上記回転軸3の先端部外周面に設けた雄ねじ部とを螺合自在としている。又、上記スリーブ8の先端部(図2の左端部)内周面に、断面形状が六角形である係止孔部12を形成して、この係止孔部12に、六角レンチ等の工具の先端部を係止自在としている。更に、上記スリーブ8の基端部(図2の右端部)内周面は、上記回転軸3の先端部中間寄り部とがたつきなく嵌合自在な円孔部13としている。尚、上記スリーブ8と回転軸3とを相対回転しない様に組み合わせる構造は、スプライン係合、非円形嵌合、キー係合等、他の構造を採用しても良い。 【0015】一方、上記従動プーリ7aの片半部(図2の左半部)外周面は、幅方向に亙る断面形状を波形として、ポリVベルトと呼ばれる無端ベルトの一部を掛け渡し自在としている。又、この従動プーリ7aの内周面は、単なる円筒面としている。そして、上記スリーブ8の外周面と上記従動プーリ7aの内周面との間に存在する空間の軸方向中間部に、上記ローラクラッチ10を、同じくこの空間の軸方向両端部でこのローラクラッチ10を軸方向両側から挟む位置に、上記サポート軸受9、9を、それぞれ配置している。 【0016】上記ローラクラッチ10は、上記従動プーリ7aが上記スリーブ8に対して所定方向に相対回転する傾向となる場合にのみ、これら従動プーリ7aとスリーブ8との間での回転力の伝達を自在とする。この様なローラクラッチ10を構成する為、上記スリーブ8の外周面中間部にローラクラッチ用内輪14を、締まり嵌めにより外嵌固定している。このローラクラッチ用内輪14は、浸炭鋼等の鋼板にプレス加工等の塑性加工を施して全体を円筒状に形成しており、外周面にカム面15を形成している。即ち、上記ローラクラッチ用内輪14の外周面に、ランプ部と呼ばれる複数の凹部16、16を、円周方向に亙って等間隔に形成する事により、上記外周面を上記カム面15としている。 【0017】これに対して、上記従動プーリ7aの中間部内周面に締まり嵌めにより内嵌固定したローラクラッチ用外輪17の内周面のうち、少なくとも次述するローラ18、18と当接する軸方向中間部は、単なる円筒面としている。この様なローラクラッチ用外輪17は、やはり浸炭鋼等の鋼板にプレス加工等の塑性加工を施して全体を円筒状に形成しており、軸方向両端部に内向フランジ状の鍔部19a、19bを形成している。尚、上記両鍔部19a、19bのうち、一方(図2の左方)の鍔部19aは、上記ローラクラッチ用外輪17の製造時に予め形成しておく為、このローラクラッチ用外輪17の円筒部と同等の肉厚にしている。これに対して、他方(図2の右方)の鍔部19bは、このローラクラッチ用外輪17の直径方向内側に、次述するローラ18、18やクラッチ用保持器20を組み込んでから形成する為、薄肉にしている。 【0018】又、上記ローラクラッチ用内輪14及び上記ローラクラッチ用外輪17と共に上記ローラクラッチ10を構成する複数個のローラ18、18は、上記ローラクラッチ用内輪14に、このローラクラッチ用内輪14に対する回転を不能として外嵌した合成樹脂製のクラッチ用保持器20に、転動及び円周方向に亙る若干の変位自在に支持している。そして、このクラッチ用保持器20に設けた柱部と上記各ローラ18、18との間に、板ばね、或はこのクラッチ用保持器20と一体の合成樹脂ばね等のばねを設けて、これら各ローラ18、18を、円周方向に関して同方向に弾性的に押圧している。又、図示の状態で、上記クラッチ用保持器20の軸方向両端面は、上記ローラクラッチ用外輪17を構成する両鍔部19a、19bの内側面と近接対向させて、このクラッチ用保持器20が軸方向に変位する事を阻止している。尚、この様なローラクラッチ10の基本的な構造及び作用は、従来から周知であるから、これ以上の詳しい図示並びに説明は省略する。 【0019】又、前記サポート軸受9、9は、前記従動プーリ7aに加わるラジアル荷重を支承しつつ、この従動プーリ7aと前記スリーブ8との相対回転を自在とする。図示の例では、上記各サポート軸受9、9として、深溝型の玉軸受を使用している。即ち、これら各サポート軸受9、9は、それぞれ内周面に深溝型の外輪軌道21、21を有する外輪22、22と、それぞれの外周面に深溝型の内輪軌道23、23を有する内輪24、24と、上記外輪軌道21、21と内輪軌道23、23との間にそれぞれ複数個ずつ転動自在に設けた玉25、25とから成る。又、上記外輪22、22の両端部内周面に形成した係止溝26、26に、それぞれシールリング27、27を装着する事により、上記各玉25、25を設置した空間の両端開口部を塞いでいる。 【0020】この様な各サポート軸受9、9は、それぞれの外輪22、22を上記従動プーリ7aの内周面両端部に締り嵌めにより内嵌固定し、それぞれの内輪24、24を上記スリーブ8の外周面両端部に締り嵌めで外嵌固定する事により、上記スリーブ8の外周面両端部と従動プーリ7aの内周面両端部との間に組み付けている。本例の場合、この様に各サポート軸受9、9を組み付けた状態で、一方(図2の左方)のサポート軸受9のラジアル方向の残留内部隙間C1 は、0.015mmであり、他方(図2の右方)のサポート軸受9のラジアル方向の残留内部隙間C2 は、0.009mmであり、更に、これら両サポート軸受9、9を構成する玉列同士の中心間距離L9 は、20mmである。従って、本例の場合、上記従動プーリ7aと上記スリーブ8との相対傾きMは、M=|C1 −C2 |/2L9=(0.015−0.009)/(2×20) =0.00015となり、0.0005以下(M≦0.0005)の条件を満たしている。尚、本例の場合、上記両サポート軸受9、9の図面上の残留内部隙間は何れも0〜0.020mmとしており、傾きが最大となる条件(一方のサポート軸受9の残留内部隙間が0mmで、他方のサポート軸受9の残留内部隙間が0.020mm)でも、上記相対傾きMは、0.0005となり、この相対傾きMが0.0005以下の条件を満たす様にしている。又、上述の様に組み付けた1対のサポート軸受9、9同士の間に挟まれた、前記ローラクラッチ10を設置した空間内には、このローラクラッチ10を潤滑する為のグリースを、適正量封入している。 【0021】上述の様に本例のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の場合には、上記従動プーリ7aとスリーブ8との相対傾きMを、0.0005以下(M≦0.0005)としている。この為、上記ローラクラッチ10を構成する複数個のローラ18、18の転動面が、相手側周面である、前記カム面15及び前記ローラクラッチ用外輪17の内周面に対して片当たりする度合いを十分に小さく(或は、この片当たりを防止)できる。この為、上記従動プーリ7aと上記スリーブ8とを相対回転させるオーバラン時に、上記各ローラ18、18をスキュ−せず円滑に転動させる事ができる。そして、これら各ローラ18、18の転動面と上記カム面15及びローラクラッチ用外輪17の内周面との当接部で発生する摩擦熱を、十分に小さくできる。この結果、上記ローラクラッチ10を潤滑する為のグリースが早期に熱劣化する事を防止して、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性を十分に確保できる。 【0022】次に、図3は、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、1対のサポート軸受9a、9aとして、それぞれラジアルころ軸受を使用している。この様な本例の場合、スリーブ8の両端部外周面には、それぞれ軸受鋼等の硬質金属製の板材により造った内輪28、28を、締まり嵌めにより外嵌固定している。これら各内輪28、28は、それぞれ円筒部29の一端縁に外向フランジ状の内輪側鍔部30を形成する事により、断面L字形で全体を円筒状に形成している。 【0023】この様な各内輪28、28は、上記内輪側鍔部30を互いに反対側に位置させた状態で上記スリーブ8に外嵌し、それぞれの他端縁をローラクラッチ用内輪14の軸方向両端縁に突き当てている。本例の場合、上記各内輪28、28のうちの円筒部29、29の外径を、上記ローラクラッチ用内輪14の外周面に形成した複数の凹部16の底部に関する内接円の直径よりも大きくしている。そして、ローラクラッチ10aを構成するクラッチ用保持器20の内周面に形成して上記各凹部16と係合した各突片31、31の軸方向片面を、上記各内輪28、28の端縁に対向させて、上記クラッチ用保持器20が軸方向にずれ動く事を防止している。 【0024】一方、上記従動プーリ7bには外輪32を、締まり嵌めにより内嵌固定している。この外輪32は、上記ローラクラッチ10aの外輪としてだけでなく、前記各サポート軸受9a、9aの外輪としても機能するもので、やはり軸受鋼等の硬質金属製の板材にプレス加工を施す等により、全体を円筒状に形成している。この外輪32の内周面のうち、少なくとも上記ローラクラッチ10aを構成するローラ18及び次述するころ39、39と当接する部分は、単なる円筒面としている。又、この外輪32の軸方向両端縁に、それぞれ内向フランジ状の外輪側鍔部33a、33bを形成している。本例の場合も、これら両外輪側鍔部33a、33bのうち、一方(図3の左方)の外輪側鍔部33aは、他の構成各部材と組み合わせる以前に形成する為、上記外輪32の円筒部と同様の厚さ寸法を有する。これに対して、他方(図3の右方)の外輪側鍔部33bは、他の構成各部材と組み合わせた後に形成する為、薄肉にしている。 【0025】そして、上記各サポート軸受9a、9aは、前記各内輪28、28と上記外輪32の軸方向両端寄り部分とを含んで構成している。即ち、上記各内輪28、28の外周面と上記外輪32の軸方向両端部寄り部分の内周面との間に、それぞれ合成樹脂(例えば、ガラス繊維を18〜30%混入したポリアミド46等)により籠型円筒状に形成された軸受用保持器34、34と、この軸受用保持器34、34により転動自在に保持された複数のころ39、39とを配置して、ラジアルころ軸受を構成している。 【0026】又、本例の場合、上述の様に各サポート軸受9a、9aを構成した状態で、一方(図3の左方)のサポート軸受9aのラジアル方向の残留内部隙間C1 は、0.005mmであり、他方(図3の右方)のサポート軸受9aのラジアル方向の残留内部隙間C2 は、0.025mmであり、更に、これら両サポート軸受9a、9aを構成するころ列同士の中心間距離L9aは、25mmである。従って、本例の場合、上記従動プーリ7aと上記スリーブ8との相対傾きMは、M=|C1 −C2 |/2L9a=(0.025−0.005)/(2×25) =0.0004となり、0.0005以下(M≦0.0005)の条件を満たしている。尚、本例の場合、上記1対のサポート軸受9a、9aは、それぞれ同一の直径を有するころ39、39を使用している。但し、本例の場合には、上記外輪32の軸方向端部に互いに板厚の異なる外輪側鍔部33a、33bを形成する事に伴い、この外輪32の内周面両端部の直径に相互差が生じたり、或は、上記スリーブ8の外周面両端部に圧入した前記各内輪28、28の外周面の直径に相互差が生じる等により、上述の様に1対のサポート軸受9a、9b同士の間でラジアル方向の残留内部隙間C1 、C2 に僅かな相互差が生じている。 【0027】又、前記各外輪側鍔部33a、33bの外側面と前記各内輪側鍔部30、30の内側面との間には、それぞれフローティングワッシャ35、35を、これら各外輪側鍔部33a、33bと内輪側鍔部30、30とに対する相対回転を自在に装着している。上記各フローティングワッシャ35、35は、銅等の自己潤滑性を有する金属、タフトライド処理した金属、或は含油メタル等の潤滑油を含浸させた金属材、若しくはポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ四弗化エチレン樹脂等の摩擦係数の低い合成樹脂により、円輪状に形成している。この様なフローティングワッシャ35、35は、上記各外輪側鍔部33a、33bと内輪側鍔部30、30との間に、緩く挟持している。又、このフローティングワッシャ35、35は、上記各内輪28、28の外周面、又は前記従動プーリ7bの内周面により案内(ラジアル方向の変位を防止)している。 【0028】又、上記外輪32の軸方向端部内周面と上記各内輪28、28の外周面との間の隙間は、それぞれシールリング36、36により塞いでいる。これら各シールリング36、36は、それぞれ芯金37と弾性材38とにより構成しており、上記外輪32の両端部内周面に、上記弾性材38の外径を弾性的に縮めた状態で、内嵌支持している。そして、これら各弾性材38、38にそれぞれ複数本ずつ設けたシールリップの先端縁を、上記内輪28、28の中間部外周面、並びに上記各外輪側鍔部33a、33bの内側面に摺接若しくは当接させている。 【0029】上述の様に構成する本例の場合も、製造上の許容差によるばらつきを考慮しても、前記従動プーリ7bとスリーブ8との相対傾きMが、0.0005以下(M≦0.0005)となる様に設計している。従って、前述した第1例の場合と同様の作用に基づき、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性を十分に確保できる。 【0030】尚、上述した各例では、一方向クラッチとしてロークラッチを使用した場合に就いて述べたが、本発明はこの一方向クラッチとして、スプラグクラッチの如きカムクラッチ等、従来から知られている他の構造の一方向クラッチを使用した場合でも同様の効果を得られる。又、1対のサポート軸受としては、同種の軸受を使用する場合の他、例えば、玉軸受ところ軸受とを1個ずつを使用した場合であっても、同様の効果を得られる。 【0031】 【発明の効果】本発明のオルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置は、以上に述べた通り構成され作用する為、一方向クラッチを構成する複数個のロック部材の転動面と相手側周面との摺接部で発生する摩擦熱を十分に小さくできる。この結果、上記一方向クラッチを潤滑する為の潤滑剤が早期に熱劣化する事を防止して、オルタネータ用一方向クラッチ内蔵型プーリ装置の耐久性を十分に確保できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004204 【氏名又は名称】日本精工株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年9月14日(1999.9.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087457 【弁理士】 【氏名又は名称】小山 武男 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−82585(P2001−82585A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月27日(2001.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−259871 |
|