トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 プーリユニット
【発明者】 【氏名】藤原 英樹

【氏名】長野 修治

【氏名】門谷 重夫

【氏名】金井 敏和

【氏名】竹島 俊弘

【要約】 【課題】一方向クラッチを備えるプーリユニットにおいて、小型化ならびに軽量化を図ること。

【解決手段】同心状に配設される内外2つの環体1,2の対向環状空間に、一方向クラッチ3および2つのすべり軸受4,4を配設し、これらを、外側環体2の内周面の軸方向一端側に設けられる抜け止め要素2aと、外側環体2の内周面の軸方向他端側に内嵌されかつ外側環体2に対してかしめにより固定される閉蓋7とで軸方向に挟持させるようにしている。このように閉蓋7を外側環体2に対してねじ止めでなくかしめにより固定していれば、外側環体2の肉厚を薄くできるようになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】同心状に配設される内外2つの環体の対向環状空間に、一方向クラッチが配設されているとともに、前記対向環状空間において前記一方向クラッチの軸方向両側にすべり軸受が配設され、前記すべり軸受が、前記2つの環体のうちの一方環体に摺接する形態で他方環体に嵌合されていて、前記一方向クラッチおよび2つのすべり軸受が、外側環体の内周面の軸方向一端側に設けられる抜け止め要素と、外側環体の内周面の軸方向他端側に内嵌されかつ外側環体に対してかしめにより固定される閉蓋とで軸方向に挟持されている、ことを特徴とするプーリユニット。
【請求項2】請求項1のプーリユニットにおいて、前記抜け止め要素は、外側環体に一体に形成される径方向内向きの鍔部からなり、この鍔部の内周には、前記内側環体の外周面に対して摺接させられるシールが取り付けられている、ことを特徴とするプーリユニット。
【請求項3】請求項1または2のプーリユニットにおいて、前記閉蓋の内周には、前記内側環体の外周面に対して摺接させられるシールが取り付けられている、ことを特徴とするプーリユニット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一方向クラッチを備えるプーリユニットに関する。このプーリユニットは、例えば自動車などのエンジンのクランクプーリや、自動車に装備される補機(エアコンディショナ用コンプレッサ、ウォーターポンプ、オルターネータ、冷却ファンなど)のプーリとして利用される。
【0002】
【従来の技術】従来のプーリユニットは、内外2つの環体間に作用するラジアル荷重を負担させるために、一方向クラッチの少なくとも一側に対して転がり軸受を配設した構造や、すべり軸受を配設した構造になっている。
【0003】ここでは、すべり軸受を備えた構成のプーリユニットについて、図4に示す。図中、81は軸体、82はプーリ、83は一方向クラッチ、84,84はすべり軸受、85,86はシールである。なお、軸体81には、クランクシャフトのねじり振動や曲げ振動を減衰するダンパマス87,88が取り付けられている。
【0004】このプーリユニットは、通常、図示しないが、軸体81にクランクシャフトなどの回転軸を取り付けて、プーリ82にベルトを巻き掛けた形態で使用される関係より、軸体81に対して、プーリ82を位置決めする必要がある。
【0005】そこで、従来では、軸体81に対して一方向クラッチ83およびすべり軸受84,84を圧入により外嵌固定したうえで、これら一方向クラッチ83およびすべり軸受84,84に対してプーリ82を位置決めするようにしている。
【0006】このプーリ82の位置決めは、一方向クラッチ83およびすべり軸受84,84を、プーリ82の内周面に径方向内向きに設けられる鍔部82aと、プーリ82の開口端にねじ止めされる閉蓋89とにより、軸方向から挟持させることにより行っている。
【0007】なお、第1のシール85は、プーリ82の鍔部82aの外側位置に、また、第2のシール86は、閉蓋89の内周に取り付けられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例のプーリユニットのように、プーリ82に閉蓋89をねじ止めする形態では、プーリ82にねじ孔を形成しなければならず、そのために肉厚寸法を厚くする必要があり、径方向寸法ならびに重量が無駄に増大する結果になっており、ここに改良の余地がある。
【0009】このような事情に鑑み、本発明は、一方向クラッチを備えるプーリユニットにおいて、小型化ならびに軽量化を図ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にかかるプーリユニットは、同心状に配設される内外2つの環体の対向環状空間に、一方向クラッチが配設されているとともに、前記対向環状空間において前記一方向クラッチの軸方向両側にすべり軸受が配設され、前記すべり軸受が、前記2つの環体のうちの一方環体に摺接する形態で他方環体に嵌合されていて、前記一方向クラッチおよび2つのすべり軸受が、外側環体の内周面の軸方向一端側に設けられる抜け止め要素と、外側環体の内周面の軸方向他端側に内嵌されかつ外側環体に対してかしめにより固定される閉蓋とで軸方向に挟持されている。
【0011】請求項2の発明にかかるプーリユニットは、上記請求項1の抜け止め要素を、外側環体に一体に形成される径方向内向きの鍔部からなるものとし、この鍔部の内周に、前記内側環体の外周面に対して摺接させられるシールを取り付けるものとしている。
【0012】請求項3の発明にかかるプーリユニットは、上記請求項1または2の閉蓋の内周に、前記内側環体の外周面に対して摺接させられるシールを取り付けるものとしている。
【0013】要するに、本発明では、外側環体の開口端に対して閉蓋をかしめにより固定する形態にしており、これにより、従来例のように閉蓋をねじ止めするためのねじ孔を外側環体に形成せずに済むから、外側環体の肉厚を薄くできるようになる。
【0014】特に、請求項2の発明では、外側環体の鍔部の内周にシールを装着しているから、従来例のように鍔部の外側にシールを設置している場合に比べて、軸方向寸法を短くできるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0016】図1ないし図3に本発明の一実施形態を示している。図1は、プーリユニットの縦断面図、図2は、図1の(2)−(2)線断面の矢視図、図3は、一方向クラッチの一部を示す平面展開図である。
【0017】図例のプーリユニットAは、自動車エンジンのクランクプーリとして利用されるものであり、内側環体としてのハブ1と、外側環体としてのプーリ2と、一方向クラッチ3と、2つのすべり軸受4,4とを有している。
【0018】ハブ1は、図示しないが自動車エンジンのクランクシャフトに直接または間接的に固定される。このハブ1には、クランクシャフトのねじり振動や曲げ振動を減衰するダンパマス5,6が取り付けられている。
【0019】プーリ2は、ハブ1に対して同心状に外装されるもので、その外周には、クランクシャフトの回転動力を自動車エンジンの補機に対して伝達するためのベルトBが巻き掛けられる波状溝が形成されている。
【0020】一方向クラッチ3は、ハブ1とプーリ2との対向環状空間の軸方向中央に介装されるもので、内輪10、円環状の保持器11、複数のころ12、楕円形のコイルバネ13を備え、プーリ2を外輪として利用する形態になっている。内輪10は、上記ハブ1に対して圧入により外嵌されるもので、その外周面の円周8カ所にはプーリ2の内周面との間でくさび状空間を形成するための平坦なキー状のカム面10aが設けられている。保持器11は、上記内輪10の外周に対して、内輪10に設けてあるスリット10bと当該保持器11に設けてある凸部11cとにより、周方向ならびに軸方向に位置決めされた状態で外装されている。この保持器11の円周数カ所つまり内輪10のカム面10aに対応する領域には、径方向内外に貫通形成されるポケット11aが設けられている。ころ12は、保持器11の各ポケット11aに1つずつ周方向転動範囲が規制された状態で収納される。コイルバネ13は、保持器11の各ポケット11aの内壁面に突設される突起11bに対して装着されて、ころ12をくさび状空間の狭い側(ロック側)へ押圧するものである。
【0021】2つのすべり軸受4,4は、ハブ1とプーリ2との対向環状空間において一方向クラッチ3の軸方向両側に1つずつ配設されており、ハブ1に対して圧入により外嵌固定されてプーリ2の内周面に対して摺接する形態とされる。これらのすべり軸受4,4は、一般的なすべり軸受材料、例えば潤滑性を有する合成樹脂材あるいは銅系金属材などを円環状に製作したものとされている。
【0022】この実施形態では、ハブ1に固定してある一方向クラッチ3と2つのすべり軸受4,4に対して、プーリ2を位置決め固定するための構造に特徴があるので、以下で説明する。
【0023】プーリ2の内周面において軸方向一端には、径方向内向きに延びる鍔部2aが一体に設けられており、このプーリ2の内周面において軸方向他端側の開口端には、閉蓋7がかしめにより固定されている。これらの鍔部2aと閉蓋7とにより、ハブ1に固定してある一方向クラッチ3と2つのすべり軸受4,4を軸方向から挟持させるようにしている。
【0024】前述した閉蓋7は環状板からなり、プーリ2に対してすきま嵌めされた状態で、プーリ2の外端面を打刻かしめすることにより、抜け止め固定されている。
【0025】なお、鍔部2aの内周および閉蓋7の内周には、拡径段差部2b,7aが設けられており、この拡径段差部2b,7aに対してシール8,8が嵌入装着されている。このシール8,8は、一般的に転がり軸受に装着する周知構成のものを利用しており、環状芯金にゴムなどの弾性体を被着し、この弾性体の一部としてハブ1の外周面に対して摺接されるリップを設けた構成になっている。
【0026】次に、上記プーリユニットAでは、ハブ1に連結されるクランクシャフトの回転変動を吸収できるようになっている。通常、自動車エンジンのクランクシャフトの回転数は、トルク変動に伴い変動するが、この回転変動に応じて、一方向クラッチ3がロック状態とフリー状態とに切り替わることにより、プーリ2がハブ1と同期回転したり、プーリ2自身の回転慣性力により回転する現象となることで、プーリ2の回転変動を抑制する。
【0027】要するに、クランクシャフトおよびハブ1の回転速度がプーリ2よりも相対的に速くなると、一方向クラッチ3のころ12がくさび状空間の狭い側へ転動させられてロック状態となるので、ハブ1とプーリ2とが一体化して同期回転する。しかし、ハブ1の回転速度がプーリ2よりも相対的に遅くなると、一方向クラッチ3のころ12がくさび状空間の広い側へ転動させられてフリー状態となるので、ハブ1からプーリ2への動力伝達が遮断されることになってプーリ2が回転慣性力のみで回転するようになる。このような動作により、プーリ2の回転変動を抑制できる。
【0028】以上説明したプーリユニットAでは、プーリ2の開口端に対して閉蓋7をかしめにより固定する形態にすることにより、従来例のように閉蓋をねじ止めするためのねじ孔をプーリ2に形成せずに済むようにしているから、プーリ2の肉厚を薄くできるようになり、プーリユニットA全体の径方向寸法を縮小できて軽量化を達成できるようになる。しかも、上記実施形態では、プーリ2の鍔部2aの内周にシール8を装着しているから、従来例のように鍔部の外側にシールを設置している場合に比べて、軸方向寸法を短くできるようになる。このようにコンパクトかつ軽量なプーリユニットAを提供できるようになる。
【0029】なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
(1) 上記実施形態では、すべり軸受4,4をハブ1に圧入外嵌させることにより固定するようにし、プーリ2の内周面に対して摺接させる形態にしているが、その反対、つまり、すべり軸受4,4をプーリ2の内周面に対して圧入内嵌させることにより固定して、ハブ1の外周面に対して摺接させる形態とすることができる。
(2) 上記実施形態でのシール8については、図示しないが、従来周知の種々な構成のシールを用いることができる。
(3) 上記実施形態では、プーリ2に鍔部2aを一体に設けた例を挙げているが、この鍔部2aを設けずに、プーリ2に周溝を設けて、この周溝に対していわゆるサークリップなどの抜け止めリングを装着するようにしたものも本発明に含む。
(4) 上記実施形態での一方向クラッチ3は、外輪をプーリ2と一体にした形態になっているが、プーリ2と別体の外輪を備える形態としてもよい。また、上記実施形態において一方向クラッチ3のコイルバネ13については、種々な板ばねや弾性片などで代用することができる。
(5) 上記実施形態では、一方向クラッチ3のカム面10aを内輪10側に形成した例を挙げているが、外輪側に設けたものにも本発明を適用できる。但し、上記実施形態の場合では、高速回転域でも遠心力によってころがロック位置から不必要に外れるのを防止できるなど、高速回転での使用に適している。
【0030】
【発明の効果】請求項1ないし3の発明では、外側環体の開口端に取り付ける閉蓋をかしめにより固定する形態にすることにより、従来例のように閉蓋をねじ止めするためのねじ孔を外側環体に形成せずに済むようにしているから、外側環体の肉厚を薄くできるようになり、プーリユニット全体の径方向寸法を縮小できて軽量化を達成できるようになる。
【0031】特に、請求項2の発明では、外側環体の鍔部の内周にシールを装着しているから、従来例のように鍔部の外側にシールを設置している場合に比べて、軸方向寸法を短くできるようになる。
【0032】このように、本発明によれば、コンパクトかつ軽量なプーリユニットを提供できるようになる。
【出願人】 【識別番号】000001247
【氏名又は名称】光洋精工株式会社
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成11年9月10日(1999.9.10)
【代理人】 【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
【公開番号】 特開2001−82583(P2001−82583A)
【公開日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願番号】 特願平11−256998