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【発明の名称】 トルクコンバータのロックアップクラッチ
【発明者】 【氏名】桃井 誠二

【要約】 【課題】ハブプレートとホールドプレートとが相対回動を開始するときの捩じり剛性を下げると共に、ピストンの移動を円滑に行うことができるトルクコンバータのロックアップクラッチを提供する。

【解決手段】タービンハブ5に対して摺動自在で、コンバータカバー3に対して接離可能なピストン12を設ける。前記ピストン12に連結され、円周方向に複数の窓25有するハブプレート23を設ける。前記ハブプレート23の窓25に対応する複数の窓26を有し、出力軸9側に連結されるホールドプレート24を設ける。前記ハブプレート23とホールドプレート24との複数の窓25,26内に収容され、ハブプレート23とホールドプレート24との間の相対回動を許容する圧縮ばね27を設ける。前記圧縮ばね27のうち少なくとも1つの圧縮ばね27の初期応力を、残余の圧縮ばね27の初期応力よりも小さくした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンバータカバーが連結されたポンプインペラと、出力軸に連結されるタービンハブを備えたタービンランナとを直結可能なロックアップクラッチであって、前記タービンハブに対して摺動自在であって、コンバータカバーに対して接離可能なピストンと、このピストンに連結され、円周方向に複数の窓有するハブプレートと、このハブプレートの窓に対応する複数の窓を有し、出力軸側に連結されるホールドプレートと、前記ハブプレートとホールドプレートとの複数の窓内に収容され、ハブプレートとホールドプレートとの間の弾性的相対回動を許容する圧縮ばねとを備え、前記圧縮ばねのうち、少なくとも1つの圧縮ばねの初期応力を、残余の圧縮ばねの初期応力よりも小さくしたことを特徴とする、トルクコンバータのロックアップクラッチ。
【請求項2】 前記ハブプレート及びホールドプレートに形成した窓の窓幅を変更することによって圧縮ばねの初期応力を変更したことを特徴とする、請求項1記載のトルクコンバータのロックアップクラッチ。
【請求項3】 前記圧縮ばねの初期応力の大きさが複数種類設定されてなることを特徴とする、請求項1記載のトルクコンバータのロックアップクラッチ。
【請求項4】 前記圧縮ばねのうち、初期応力の異なる圧縮ばねが、円周方向略等間隔に配置されていることを特徴とする、請求項3記載のトルクコンバータのロックアップクラッチ。
【請求項5】 前記圧縮ばねの全部の初期応力が互いに異なることを特徴とする、請求項1乃至請求項4記載のトルクコンバータのロックアップクラッチ。
【請求項6】 コンバータカバーが連結されたポンプインペラと、出力軸に連結されるタービンハブを備えたタービンランナとを直結可能なロックアップクラッチであって、前記タービンハブに対して摺動自在であって、コンバータカバーに対して接離可能なピストンと、このピストンに連結され、円周方向に複数の窓有するハブプレートと、このハブプレートの窓に対応する複数の窓を有し、前記タービンハブに連結されるホールドプレートと、前記ハブプレートとホールドプレートとの複数の窓内に収容され、ハブプレートとホールドプレートとの間の弾性的相対回動を許容する圧縮ばねとを備え、前記ホールドプレートに形成した窓が圧縮ばねと接触する位置を、圧縮ばねの軸心よりもピストン寄りとすると共に、ホールドプレートに形成した窓の所定位置には、圧縮ばねの飛出しを防止する舌片が形成されてなることを特徴とする、トルクコンバータのロックアップクラッチ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等のトルクコンバータに内蔵されるロックアップクラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】この種のロックアップクラッチは、トルクコンバータのポンプインペラとタービンランナとを直結させるもので、これにより、トルクコンバータの動力伝達効率を向上させることができる。
【0003】従来のロックアップクラッチとして、例えば実開昭63−115662号公報に示されるものが知られおり、この公報記載のロックアップクラッチは、コンバータカバーが連結されたポンプインペラと、出力軸に連結されるタービンハブを備えたタービンランナとを直結可能となっている。また、前記タービンハブに対して摺動自在であって、コンバータカバーに対して接離可能なピストンと、このピストンに連結され、円周方向に複数の窓を有するハブプレートと、このハブプレートの窓に対応にする複数の窓を有し、出力軸側のタービンハブに連結されるホールドプレートと、ハブプレートとホールドプレートとの複数の窓内に収容され、ハブプレートとホールドプレートとの間の弾性的相対回動を許容する圧縮ばねとを備えている。
【0004】前記ロックアップクラッチは、ピストンが制御油圧により軸方向に移動してコンバータカバーに接離制御されることにより、ポンプインペラとタービンランナとの間の所定の結合状態を得る。即ち、前記ピストンがコンバータカバーから離れた状態では、コンバータカバーを介してポンプインペラに入力された動力はトルクコンバータ内の作動油を介してタービンランナに伝達される。一方、前記ピストンがコンバータカバーに接すると、ポンプインペラとタービンランナとがロックアップクラッチを介して連結されることになり、ポンプインペラに入力された動力はロックアップクラッチを介してタービンランナに伝達され、出力軸に出力される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来例にあっては、前記圧縮ばねがハブプレート及びホールドプレートに形成した窓内に等しい初期応力(初期圧縮応力)をもって収容されている。
【0006】このため、前記ハブプレートとホールドプレートとが相対回動を開始するとき、すべての圧縮ばねが略同時に等しく圧縮され始められるから、とりわけ微小の相対回動領域で捩じり剛性が高くなる。
【0007】また、前記ハブプレートとホールドプレートとの相対回動の捩じり剛性が高いと、ピストンの軸方向の移動に対しての抵抗が大きくなるから、ピストンの円滑な動作の妨げとなる。
【0008】また、前記従来例にあっては、前記ハブプレート及びホールドプレートに形成した窓内に収容した圧縮ばねの飛出しに対して、とりわけピストン側への飛出しに対して配慮されるところがない。
【0009】本発明は前記従来の実情に鑑みて案出されたもので、ハブプレートとホールドプレートとが相対回動を開始するときの捩じり剛性を下げることができると共に、ピストンの移動を円滑に行うことができる、トルクコンバータのロックアップクラッチを提供することを目的とする。
【0010】また、ハブプレート及びホールドプレートに形成した窓内に収容した圧縮ばねが飛出すことを防止することが可能な、トルクコンバータのロックアップクラッチを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、請求項1記載の発明は、コンバータカバーが連結されたポンプインペラと、出力軸に連結されるタービンハブを備えたタービンランナとを直結可能なロックアップクラッチであって、前記タービンハブに対して摺動自在であって、コンバータカバーに対して接離可能なピストンと、このピストンに連結され、円周方向に複数の窓有するハブプレートと、このハブプレートの窓に対応する複数の窓を有し、出力軸側に連結されるホールドプレートと、前記ハブプレートとホールドプレートとの複数の窓内に収容され、ハブプレートとホールドプレートとの間の弾性的相対回動を許容する圧縮ばねとを備え、前記圧縮ばねのうち、少なくとも1つの圧縮ばねの初期応力を、残余の圧縮ばねの初期応力よりも小さくした構成にしてある。
【0012】また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、前記ハブプレート及びホールドプレートに形成した窓の窓幅を変更することによって圧縮ばねの初期応力を変更した構成にしてある。
【0013】また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、前記圧縮ばねの初期応力の大きさが複数種類設定されてなる構成にしてある。
【0014】また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、前記圧縮ばねのうち、初期応力の異なる圧縮ばねが、円周方向略等間隔に配置されている構成にしてある。
【0015】また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4記載の発明の構成において、前記圧縮ばねの全部の初期応力が互いに異なる構成にしてある。
【0016】また、請求項6記載の発明は、コンバータカバーが連結されたポンプインペラと、出力軸に連結されるタービンハブを備えたタービンランナとを直結可能なロックアップクラッチであって、前記タービンハブに対して摺動自在であって、コンバータカバーに対して接離可能なピストンと、このピストンに連結され、円周方向に複数の窓有するハブプレートと、このハブプレートの窓に対応する複数の窓を有し、前記タービンハブに連結されるホールドプレートと、前記ハブプレートとホールドプレートとの複数の窓内に収容され、ハブプレートとホールドプレートとの間の弾性的相対回動を許容する圧縮ばねとを備え、前記ホールドプレートに形成した窓が圧縮ばねと接触する位置を、圧縮ばねの軸心よりもピストン寄りとすると共に、ホールドプレートの所定位置には、圧縮ばねの飛出しを防止する舌片が形成されてなる構成にしてある。
【0017】ここで、前記圧縮ばねの初期応力とは、圧縮ばねがハブプレート及びホールドプレートに形成した窓内に収容され、ハブプレート及びホールドプレートが相対回動しない状態における初期圧縮応力を示している。
【0018】斯かる構成のロックアップクラッチは、前記ピストンが制御油圧によって軸方向に移動してコンバータカバーに接離制御されることにより、ポンプインペラとタービンランナとの間の所定の結合状態を得る。即ち、前記ピストンがコンバータカバーから離れた状態では、コンバータカバーを介してポンプインペラに入力された動力はトルクコンバータ内の作動油を介してタービンランナに伝達され、出力軸に出力される。一方、前記ピストンがコンバータカバーに接すると、ポンプインペラとタービンランナとがロックアップクラッチを介して連結されることになり、ポンプインペラに入力された動力はロックアップクラッチのピストン、ハブプレート、圧縮ばね及びホールドプレートを介してタービンランナに伝達され、出力軸に出力される。
【0019】このとき、請求項1乃至請求項5記載の発明においては、前記圧縮ばねのうち、少なくとも1つの圧縮ばねの初期応力(初期圧縮応力)が、残余の圧縮ばねの初期応力よりも小さく設定してある。
【0020】このため、前記ハブプレートとホールドプレートとが相対回動を開始するとき、圧縮ばねのばね力が段階的に作用することになる。これによって、前記ハブプレートとホールドプレートとが相対回動を開始するときの捩じり剛性が低下する。また、前記ハブプレートとホールドプレートとが相対回動を開始するときの捩じり剛性が低下するから、ピストンの移動が円滑となる。つまり、前記圧縮ばねが窓に接する圧力が小さいから、ピストンの移動が円滑となる。
【0021】したがって、ハブプレートとホールドプレートとが相対回動を開始するときの捩じり剛性を下げることができると共に、ピストンの移動を円滑に行うことができる、トルクコンバータのロックアップクラッチが得られる。
【0022】また、請求項2記載の発明によれば、前記ハブプレート及びホールドプレートに形成した窓の窓幅を変更することによって圧縮ばねの初期応力を変更したことにより、窓内に収容する圧縮ばねとして同一種類のばねが採用でき、部品管理が容易となる。
【0023】また、請求項3記載の発明によれば、前記圧縮ばねの初期応力の大きさが複数種類設定されているから、ハブプレートとホールドプレートとが相対回動を開始するときの捩じり剛性が滑らかに変化し、捩じり剛性を更に低下させることができる。
【0024】また、請求項4記載の発明によれば、前記圧縮ばねのうち、初期応力の異なる圧縮ばねが、円周方向略等間隔に配置されているから、円周方向において、捩じりトルクをバランスさせることができる。
【0025】また、前記圧縮ばねの全部の初期応力が互いに異なる構成にしてあるから、ハブプレートとホールドプレートとが相対回動を開始するときの捩じり剛性がより滑らかに変化し、捩じり剛性を更に低下させることができる。
【0026】次に、請求項6記載の発明によれば、前記ホールドプレートに形成した窓が圧縮ばねと接触する位置を、圧縮ばねの軸心よりもピストン寄りとすると共に、ホールドプレートに形成した窓の所定位置には、圧縮ばねの飛出しを防止する舌片が形成されてなる。
【0027】このため、前記圧縮ばねをピストン側からホールドプレートの窓内に組付ける場合及び作動中に、圧縮ばねが窓内から飛出すことが防止される。即ち、前記圧縮ばねは、窓が圧縮ばねと接触する位置が、圧縮ばねの軸心よりもピストン寄りであるから、作動中にはタービンランナ側にやや湾曲してピストン側に抜け出すことが防止され、他方、舌片によってタービンランナ側に抜け出すことが防止される。
【0028】したがって、ハブプレート及びホールドプレートに形成した窓内に収容した圧縮ばねが飛出すことを防止することが可能な、トルクコンバータのロックアップクラッチが得られる。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0030】図1は本発明の実施の形態を示すロックアップクラッチの平面図で、左側半分はホールドプレート及び圧縮ばねを取り除いて示す図面、図2は図1のA−O−A線断面図、図3は図1に示すロックアップクラッチをトルクコンバータ内に組込んだ状態を示す断面図、図4は図2の要部を拡大して示す断面図、図5は図1に示すハブプレートの平面図、図6は図5のA−O−A線断面図である。
【0031】図において、付番1で示されるロックアップクラッチは、ポンプインペラ2に連結されたコンバータカバー3とタービンランナ4との間に収容配置してある。前記タービンランナ4はその内周側がタービンハブ5に取付けられている。
【0032】前記タービンハブ5はボス部6とフランジ部7とを備え、ボス部6の内周にはスプライン8が形成されており、このスプライン8を介して出力軸9に連結可能となっている。また、前記タービンハブ5のフランジ部7にはタービンランナ4の内周側及び後述するホールドプレートの内周側がリベット10によって取付けられている。
【0033】前記ロックアップクラッチ1は、内周がタービンハブ5のボス部6外周に摺動自在に嵌合して、コンバータカバー3に接離可能な略環状のピストン12と、このピストン12とタービンハブ5とを弾性的に相対回動可能に連結するダンパ13とを主要素として構成されている。
【0034】前記ピストン12は圧延鋼板材料から略環状に形成されてなり、環状の窪み14を有すると共に、外周側には軸方向に延びるフランジ15が形成され、内周側にはタービンハブ5のボス部6の外周に摺動自在に嵌合する筒状部16が形成してある。尚、前記タービンハブ5のボス部6の外周とピストン12の筒状部16の内周との間は、シール部材17による封止が施されている。
【0035】前記ピストン12の窪み14とフランジ15との間には、コンバータカバー3に面して摩擦材18が貼着してある。前記摩擦材18は、コンバータカバー3に接した状態において、コンバータカバー3との摩擦接合を司ると共に、ピストン12の両側に形成される第1油室19と第2油室20との間の液密封止を司るようになっている。
【0036】前記ダンパ13は、ピストン12に連結されるハブプレート23と、出力軸9側(この実施の形態においては出力軸9側のタービンハブ5)に連結されるホールドプレート24と、これらハブプレート23とホールドプレート24とのそれぞれ対応した位置に形成した複数の窓25,26内にそれぞれ収容され、ハブプレート23とホールドプレート24との弾性的相対回動を許容する圧縮ばね27とを主要素として構成してある。
【0037】前記ハブプレート23は圧延鋼板材料から略環状に形成されてなり、環状の基部28と、この基部28から半径方向外方に突出する複数個、この実施の形態において8個のばね受け突起29備えており、このばね受け突起29の隣合うばね受け突起29の間に、半径方向外方に開放する窓25が形成されている(図5及び図6参照)。また、前記ハブプレート23は環状の基部28をリベット30によってピストン12の窪み14内に取付けることにより、ピストン12に連結されている。
【0038】前記ばね受け突起29はその先端側が軸方向に折れ曲がっており、ばね受け突起29の板厚の略中心位置で圧縮ばね27の軸心に対応する位置を支持するようになっている。また、前記ばね受け突起29は複数種類、この実施の形態において3種類の円周方向幅寸法(a,b,c)をもって形成されており、同一幅寸法のばね受け突起29が、ハブプレート23の環状の中心に対して点対称に配置してある(図5参照)。したがって、前記ばね受け突起29間で形成される窓25の窓幅は複数種類設定され、等しい幅寸法の窓25が円周方向等間隔に配置されていることになる。これによって、前記窓25のそれぞれに自由長が等しい圧縮ばね27が初期応力(初期圧縮応力)をもって収容された場合、この圧縮ばね25の初期応力の大きさは複数種類設定され、初期応力の異なる圧縮ばね27が円周方向等間隔に配置されることになる。
【0039】また、前記ハブプレート23のばね受け突起29の円周方向幅寸法は、図7に示すように、すべてのばね受け突起29の幅寸法を互いに異なる寸法(a,b,c,d,e,f,g,h)とすることが可能である。この場合には、前記ハブプレート23とホールドプレート24とが相対回動を開始するときの捩じり剛性がより滑らかに変化し、捩じり剛性を更に低下させることができる。
【0040】前記ホールドプレート24は圧延鋼板材料から略環状に形成されてなり、内周側がリベット10によってタービンハブ5に取付けられ、外周側にハブプレート23の窓25の対応して窓26が8個形成してある。前記窓26は、1つの窓26内において円周方向幅寸法を若干調節することによって、圧縮ばね27の軸心位置よりもピストン12に近い側で圧縮はね27の端部と接触するようにしてある。つまり、前記窓26が圧縮ばね27と接触する位置は、圧縮ばね27の軸心よりもピストン12寄りの図4のA及びBで示す位置となっている。
【0041】また、前記窓26の内周側端部には、圧縮ばね27の外周の一部を覆ってこの圧縮ばね27の飛出しを防止するために、舌片32が折り曲げて形成してある。前記舌片32は、その先端がピストン12から離れる方向、即ちタービンランナ4に近づく方向に延びており、圧縮ばね27のタービンランナ4側への飛出しを防止するようになっている。
【0042】前記圧縮ばね27は、この実施の形態において内外二重の入れ子型ばねとなっており、対応する窓25,26内に収容配置してある。また、前記圧縮ばね27の自由長はこの実施の形態において同一寸法とされ、窓25,26内に所定の初期応力(初期圧縮応力)をもって収容してある。このため、前記圧縮ばね27は、窓25,26の窓幅寸法が異なることにより、初期応力の大きさが複数種類設定されることになる。
【0043】また、前記圧縮ばね27の両端側にはリテーナ33が設けられており、このリテーナ33の表面には、好ましくは硬化処理及び潤滑処理が施される。
【0044】斯かる構成において、前記コンバータカバー3に図外のフライホイールが連結されており、このフライホイールから入力される駆動力によってポンプインペラ2が回転駆動される。
【0045】このとき、図外の制御装置によって第1油室19の油圧よりも第2油室20の油圧が相対的に高められると、ピストン12が第2油室20の油圧に押されて、ホールドプレート24を除くロックアップクラッチ1全体がコンバータカバー3側へ移動し、ピストン12に貼着した摩擦材18がコンバータカバー3に圧接する。これにより、前記ポンプインペラ2とタービンランナ4とはロックアップクラッチ1を介して連結されることになる。これによって、前記ポンプインペラ2に入力された駆動力は、摩擦材18を介してピストン12に伝達され、ダンパ13のハブプレート23、圧縮ばね27及びホールドプレート24を介してタービンハブ5に伝わり、出力軸9に出力される。
【0046】一方、前記第1油室19の油圧が相対的に高められると、ピストン12が第1油室19内の油圧で押し戻されて、ホールドプレート24を除くロックアップクラッチ1全体がタービンランナ4側に移動して、摩擦材18がコンバータカバー3から離れる。これにより、前記ポンプインペラ2とタービンランナ4とのロックアップクラッチ1を介しての連結が解除され、ポンプインペラ2に入力された駆動力は、コンバータ内部の作動油を介してタービンランナ4に伝達され、タービンハブ5を介して出力軸9に出力される。
【0047】ここで、本発明にあっては、前記ダンパ13の圧縮ばね27のうち、少なくとも1つの圧縮ばね27の初期応力(初期圧縮応力)が、残余の圧縮ばね27の初期応力よりも小さく設定してある。
【0048】このため、前記ハブプレート23とホールドプレート24とが相対回動を開始するとき、圧縮ばね27のばね力が段階的に作用することになる。これによって、前記ハブプレート23とホールドプレート34とが相対回動を開始するときの捩じり剛性が低下する(図8参照)。
【0049】また、前記ハブプレート23とホールドプレート24とが相対回動を開始するときの捩じり剛性が低下するから、ピストン12の移動が円滑となる。つまり、前記ピストン12が第1油室19または第2油室20の油圧に押されて、ホールドプレート24を除くロックアップクラッチ1全体が移動するとき、圧縮ばね27が(リテーナ33を介して)窓25,26に接する圧力が小さいから、ピストン12の移動が円滑となるのである。
【0050】したがって、前記ハブプレート23とホールドプレート24とが相対回動を開始するときの捩じり剛性を下げることができると共に、ピストン12の移動を円滑に行うことができるトルクコンバータのロックアップクラッチ1が得られることになる。
【0051】また、前記ハブプレート23及びホールドプレート24に形成した窓25,26の窓幅を変更することによって圧縮ばね27の初期応力を変更することにより、窓25,26内に収容する圧縮ばね27として同一種類のばねが採用でき、部品管理が容易となる。
【0052】また、前記圧縮ばね27の初期応力の大きさを複数種類設定することにより、ハブプレート23とホールドプレート24とが相対回動を開始するときの捩じり剛性が滑らかに変化し、捩じり剛性を更に低下させることができる。
【0053】また、前記圧縮ばね27のうち、初期応力の異なる圧縮ばね27を円周方向略等間隔に配置することにより、円周方向において、捩じりトルクをバランスさせることができ、ハブプレート23及びホールドプレート24に偏倚力が作用することを防止できる。
【0054】また、前記圧縮ばね27の全部の初期応力を互いに異なる構成にすることにより、ハブプレート23とホールドプレート24とが相対回動を開始するときの捩じり剛性がより滑らかに変化し、捩じり剛性を更に低下させることができる(図9参照)。
【0055】また、前記ホールドプレート24に形成した窓26が圧縮ばね27と接触する位置を、圧縮ばね27の軸心よりもピストン12寄りとすると共に、ホールドプレート24に形成した窓26の所定位置には、圧縮ばね27の飛出しを防止する舌片32が形成されているから、圧縮ばね27をピストン12側からホールドプレート24の窓26内に組付ける場合及びダンパ13の作動中に、圧縮ばね27が窓内26から飛出すことが防止される。即ち、前記圧縮ばね27は、窓26が圧縮ばね27と接触する位置が、圧縮ばね27の軸心よりもピストン12寄りであるから、作動中にはタービンランナ4側にやや湾曲してピストン12側に飛出すことが防止され、他方、舌片32によってタービンランナ4側に飛出すことが防止される。また、前記圧縮ばね27がピストン12に接して摩耗することが防止される。
【0056】したがって、前記ハブプレート23及びホールドプレート24に形成した窓25,26内に収容した圧縮ばね27が飛出すことを防止することが可能な、トルクコンバータのロックアップクラッチ1が得られる。
【0057】以上、実施の形態を図面に基づいて説明したが、具体的構成はこの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、前記ホールドプレート24をタービンハブ5のフランジ部7に取付けた実施の形態について述べたが、タービンランナ4に直接取付ける構成としてもよいものである。
【0058】また、前記複数の窓25,26の円周方向幅寸法を変えることによって圧縮ばね27の初期応力を変えるようにした実施の形態について述べたが、窓25,26の円周方向幅寸法を等しく形成して、圧縮ばね27の自由長を変えることによって圧縮ばね27の初期応力を変えるようにしてもよい。
【0059】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明によれば、ハブプレートとホールドプレートとが相対回動を開始するときの捩じり剛性を下げることができると共に、ピストンの移動を円滑に行うことができる、トルクコンバータのロックアップクラッチが得られる。
【0060】また、ハブプレート及びホールドプレートに形成した窓内に収容した圧縮ばねが飛出すことを防止することが可能な、トルクコンバータのロックアップクラッチが得られる。
【出願人】 【識別番号】300034334
【氏名又は名称】ヴァレオユニシアトランスミッション株式会社
【出願日】 平成11年9月13日(1999.9.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−82576(P2001−82576A)
【公開日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願番号】 特願平11−258896