| 【発明の名称】 |
車両用ベルト式無段変速機のパーキング機構 |
| 【発明者】 |
【氏名】殿畑 厚
【氏名】生島 嘉大
【氏名】澤山 稔
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| 【要約】 |
【課題】スプラグ支持部をパーキング用ギアの近接位置に設けて、支持部に作用するモーメントを低減し、もって十分な支持部の強度を確保できる車両用ベルト式無段変速機のパーキング機構を提供する。
【解決手段】パーキング用ギア31を掛止めするためのスプラグ33を支持部32に回動可能に軸着し、その支持部32を、前後進切換機構6を収容するハウジング部材8の外周に設ける。これにより、ハウジング部材8単体の状態で支持部32を加工可能とし、加工を実施する上での制約を排除して、支持部32の設置位置に関する自由度を拡大する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの回転が入力されるプライマリ軸、及び上記プライマリ軸に対して平行に配置されたセカンダリ軸をケーシング内に収容し、上記プライマリ軸及びセカンダリ軸にアクチュエータにて駆動されるプーリを設けて、両プーリ間にベルトを掛け渡してなる車両用ベルト式無段変速機において、上記車両の前後進を切換える前後進切換機構を収容して、上記ケーシング内に着脱可能に固定されたハウジング部材と、上記ベルト式無段変速機の運転レンジが切換えられるシフト操作装置と、上記セカンダリ軸上に設けられたパーキング用ギアと、上記シフト操作装置の切換動作に伴って上記パーキング用ギアを掛止めして、上記セカンダリ軸の回転を規制可能な掛止め部材と、上記ハウジング部材に設けられ、上記掛止め部材を支持する支持部とを備えたことを特徴とする車両用ベルト式無段変速機のパーキング機構。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、所謂CVTと称される車両用ベルト式無段変速機のパーキング機構に関するものである。 【0002】 【関連する背景技術】例えば特開平5−280607号公報に記載された無段変速機では、ケーシング内にプライマリ軸及びセカンダリ軸を平行配置し、そのプライマリ軸に設けたプライマリプーリとセカンダリ軸に設けたセカンダリプーリとの間に無端状のベルトを掛け渡している。プライマリプーリとセカンダリプーリとはそれぞれ固定シーブと可動シーブとから構成され、可動シーブはアクチュエータにより軸方向に移動可能とされている。そして、アクチュエータに供給する油圧等により各シーブの間隔が調整されて、変速比を無段階で変更できるようになっている。無段径に変速されたエンジンの駆動力はディファレンシャルギア等を経て駆動輪側に伝達するようになっている。 【0003】一方、この種の無段変速機は駐車時の車両の移動を防止するためのパーキング機構を備える必要があり、上記した無段変速機ではパーキング機構として、セカンダリ軸上にパーキング用ギアを設け、その近接位置にレバー状のスプラグを配設すると共に、そのスプラグをケーシングの内壁に設けた支持部に回動可能に軸着させている。スプラグは運転席のシフトレバーと機械的に連動しており、駐車に際して運転者にてシフトレバーがP(パーキング)位置に切換えられると、スプラグが回動して先端をパーキング用ギアの外周に掛止めし、セカンダリ軸の回転、即ち車両の移動を規制するようになっている。 【0004】そして、上記した支持部は、ケーシングをアルミダイカスト等で成形する際にケーシングの内壁に同時に鋳込み、その後にスプラグを支持するピン孔やスプラグと摺接する案内面等を機械加工している。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、駐車時において、車両を停止保持しているときの反力はパーキング用ギアを介してスプラグの先端に作用し、更にスプラグの先端から回動中心(支持部)までのモーメントとして支持部に作用することになる。従って、モーメントを低減するには、スプラグの先端から支持部までの距離を短縮化すること、換言すれば、支持部の位置をパーキング用ギアに接近させることが望ましい。しかしながら、支持部の鋳抜きの都合上、又、上記のように狭いケーシング内で支持部を機械加工する必要があることから、その設置位置が限られてしまい、結果としてスプラグの先端から支持部までの距離を短縮することが困難となって、十分な支持部の強度を確保し難いという問題があった。 【0006】本発明の目的は、スプラグ支持部をパーキング用ギアの近接位置に設けて、支持部に作用するモーメントを低減し、もって十分な支持部の強度を確保することができる車両用ベルト式無段変速機のパーキング機構を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では、エンジンの回転が入力されるプライマリ軸、及びプライマリ軸に対して平行に配置されたセカンダリ軸をケーシング内に収容し、プライマリ軸及びセカンダリ軸にアクチュエータにて駆動されるプーリを設けて、両プーリ間にベルトを掛け渡してなる車両用ベルト式無段変速機において、車両の前後進を切換える前後進切換機構を収容して、ケーシング内に着脱可能に固定されたハウジング部材と、ベルト式無段変速機の運転レンジが切換えられるシフト操作装置と、セカンダリ軸上に設けられたパーキング用ギアと、シフト操作装置の切換動作に伴ってパーキング用ギアを掛止めして、セカンダリ軸の回転を規制可能な掛止め部材と、ハウジング部材に設けられ、掛止め部材を支持する支持部とを備えた。 【0008】従って、支持部がハウジング部材に設けられていることから、ハウジング部材単体の状態で支持部を機械加工可能となり、例えば支持部をケーシング内に設けた場合のように、狭いケーシング内で支持部を加工する必要がなくなることから、支持部が加工可能な位置に限定される虞がなくなり、支持部の設置位置に関する自由度が拡大される。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明をFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両に用いられるベルト式無段変速機のパーキング機構として具体化した一実施形態を説明する。図1はベルト式無段変速機の断面を示しており、図中の無段変速機の右側にはエンジン(図示なし)が連結されている。無段変速機のケーシング1内にはインプット軸2とプライマリ軸3が同軸上に配置され、インプット軸2の右端は、トルクコンバータ4を介してエンジンのクランク軸5に連結されている。インプット軸2の左端は、図示しない遊星歯車機構、前進用クラッチ、後進用クラッチ等からなる前後進切換機構6を介してプライマリ軸3の右端に支承され、プライマリ軸3にはプライマリプーリ7が設けられている。前後進切換機構6は、図中の右方に開口するカップ状のハウジング部材としてのブレーキサポート8内に収容され、このブレーキサポート8の開口部はリアクションサポート9にて閉鎖されている。 【0010】ブレーキサポート8の左側外周はケーシング1の内壁に嵌合し、又、ブレーキサポート8の右側外周に形成されたフランジ部8aとリアクションサポート9の外周とは互いに重ねられて、ケーシング1内の取付部1aに対してボルト10にて固定され、その結果、これらのブレーキサポート8とリアクションサポート9がケーシング1内で位置決め・固定されている。尚、リアクションサポート9の内周は、トルクコンバータ4の図示しないステータを支えるシャフト25、軸受26を介してインプット軸2の右端を支持し、ブレーキサポート8の左側内周は、ベアリング11、プライマリ軸3、軸受27を介してプライマリ軸3の右端、及びインプット軸2の左端を支持する役割を果たしている。 【0011】プライマリプーリ7は、プライマリ軸3に一体形成された固定シーブ7aと、プライマリ軸3上で移動可能に設けられた可動シーブ7bとから構成され、可動シーブ7bは油圧アクチュエータ13により固定シーブ7aに対して接離し得るようになっている。ケーシング1内にはプライマリ軸3に対して平行にセカンダリ軸14が配置され、このセカンダリ軸14にはセカンダリプーリ15が設けられている。前記したプライマリプーリ7と同様に、セカンダリプーリ15は、セカンダリ軸14に一体形成された固定シーブ15aと、セカンダリ軸14上で移動可能に設けられた可動シーブ15bとから構成され、可動シーブ15bは油圧アクチュエータ16により固定シーブ15aに対して接離し得るようになっている。 【0012】プライマリプーリ7とセカンダリプーリ15との間には無端状の金属ベルト17が掛け渡され、この金属ベルト17は固定シーブ7a,15aと可動シーブ7b,15bとの間に形成されたV字状の溝18内に挟持されて、プライマリプーリ7の回転をセカンダリプーリ15に伝達するようになっている。プライマリプーリ7とセカンダリプーリ15の可動シーブ7b,15bはそれぞれの油圧アクチュエータ13,16にて常に逆方向に駆動され、それに伴ってプライマリプーリ7とセカンダリプーリ15の一方の有効径が増大すると共に他方の有効径が減少する。プライマリプーリ7の有効径がセカンダリプーリ15の有効径に比較して大のときには、変速比が高速(オーバドライブ)側に移行し、逆にプライマリプーリ7の有効径がセカンダリプーリ15の有効径に比較して小のときには、変速比が低速(ロー)側に移行する。 【0013】セカンダリ軸14上にはトランスファドライブギア20がスプライン結合され、このトランスファドライブギア20は、トランスファ軸21上にスプライン結合されたトランスファドブリンギア22と噛合している。トランスファ軸21上にはピニオンギア21aが一体形成され、このピニオンギア21aはディファレンシャル機構23のファイナルギア23aと噛合し、ディファレンシャル機構23はドライブシャフト24を介して図示しない左右の駆動輪と連結されている。 【0014】図2はブレーキサポートとパーキング用ギアの位置関係を示す説明図であり、前記セカンダリ軸14上にはパーキング用ギア31がスプライン結合されている。前記ブレーキサポート8の外周には一対の支持部32(一方のみ図示)が一体形成され、図示はしないが、両支持部32はセカンダリ軸14の軸線方向(図2の紙面と直交する方向)に所定間隔をおいて併設されて、パーキングギア31と対応している。両支持部32間には掛止め部材としてのレバー状のスプラグ33が配置され、このスプラグ33の中央部は、両支持部32のピン孔32a内に挿入されたピン34により回動可能に軸着されている。スプラグ33の先端33aはパーキング用ギア31に向けて突出形成され、スプラグ33の回動に伴ってパーキング用ギア31の外周に掛止め可能となっている。両支持部32の対向面、つまりスプラグ33の側面と摺接して案内する面は、鋳抜きにより成形されている。このため支持部32をケーシング1とは別体のブレーキサポート8に形成したことにより、鋳抜き深さが浅くなって鋳抜き勾配が緩やかになり、機械加工を不要にできる。尚、支持部32のピン孔32aは機械加工により穿設されたものである。 【0015】又、図示はしないが、スプラグ33の基端33bは車両の運転席に設けられたシフト操作装置としてのシフトレバーに対して機械的に連結されており、シフトレバーがP(パーキング)位置に切換えられたときに、実線で示すようにスプラグ33は反時計回りに回動して、その先端をパーキング用ギア31の外周に掛止めし、一方、シフトレバーがD(ドライブ)やN(ニュートラル)等のP位置以外に切換えられたときには、仮想線で示すようにスプラグ33は時計回りに回動して、先端をパーキング用ギア31から離間させる。 【0016】次に、以上のように構成された車両用ベルト式無段変速機のパーキング機構の作動状況を説明する。上記のようにシフトレバーがP位置以外のときには、図2に仮想線で示すようにスプラグ33の先端がパーキング用ギア31の外周から離間しているため、パーキング用ギア31の回転が許容されて、車両を任意に走行させることができる。この状態よりシフトレバーがP位置に切換えられると、スプラグ33が実線で示す位置に回動して、先端をパーキング用ギア31の外周に掛止めする。その結果、パーキング用ギア31と共にセカンダリ軸14の回転が規制されて、動力伝達方向の下流側の部材であるトランスファドライブギア20、トランスファドブリンギア22、トランスファ軸21、ピニオンギア21a、ディファレンシャル装置23、ドライブシャフト24を介して駆動輪の回転が阻止されて、車両の移動が規制される。 【0017】一方、本実施形態の車両用ベルト式無段変速機のパーキング機構では、上記のようにスプラグ33の回動中心である支持部32をブレーキサポート8に設けていることから、製造時において支持部32に対する鋳抜きや機械加工が容易であり、結果として、支持部32の設置位置に関する自由度を拡大することができる。以下にその理由を詳述すると、ブレーキサポート8はアルミダイカスト等で成形され、その際に支持部32も同時に鋳込まれ、その後、支持部32のピン孔32aをドリルにて穿設することで、最終的な支持部32の形状が整えられる。このとき、案内面は鋳抜き形状のまま、若しくはフライス等で切削して成形する。そして、これらの機械加工はブレーキサポート8単体の状態で行われることから、支持部32がブレーキサポート8の外周のどこに位置していても、極めて容易に加工を実施できる。よって、狭いケーシング内で支持部を加工する必要がある従来例(特開平5−280607号公報)のように、支持部が加工可能な位置に限定される虞は一切なく、支持部32の設置位置に関する自由度を大幅に拡大できる。 【0018】しかも、支持部をケーシング側に設けた従来例では、ケーシングの成形時に支持部を鋳込む関係上、金属ベルトの軌跡より外側に支持部を設定しないと支持部の鋳抜きを実施できず、支持部の位置がベルト軌跡の外側に限定されてしまう。これに対して本実施形態では、ケーシング1とは別部品のブレーキサポート8に支持部32が設けられていることから、ベルト軌跡とは全く関係なく支持部32の位置を設定可能である。よって、図2に示すように、ベルト軌跡S内に支持部32を設けることもでき、上記した支持部32の設置位置に関する自由度を更に拡大できる。 【0019】以上の要因により、パーキング用ギア8の近接位置に支持部32を配置可能となって、スプラグ33の先端から支持部32までの距離Lを短縮化でき、もって、駐車時に支持部32に作用するモーメントを低減して、十分な支持部32の強度を確保することができる。加えて、上記した支持部32の加工のみならず、その後の支持部32へのスプラグ33の取付作業も、ケーシング1に組付ける前のブレーキサポート8単体の状態で実施可能である。従って、これらの作業を狭いケーシング内で実施する必要がある従来例に比較して作業を簡略化し、ひいては製造コストを低減できるという利点もある。 【0020】以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、FF車両用のベルト式無段変速機のパーキング機構として具体化したが、適用する車両の形式は限定されず、例えば、FR(フロントエンジン・リアドライブ)車両用のベルト式無段変速機のパーキング機構に具体化してもよい。 【0021】又、上記実施形態では、スプラグ33を回動させて、その先端によりパーキング用ギア31を掛止めする形式のパーキング機構として具体化したが、要はパーキング用ギア31を掛止めする部材(スプラグ33)をブレーキサポート8側で支持する構成であれば、その形式は限定されない。従って、例えばスプラグ33をブレーキサポート8にスライド可能に支持して、スライドに伴ってスプラグ33の先端をパーキング用ギア31に掛止めするように構成してもよい。この場合であっても、スプラグ33の支持部を任意の位置に設置できることから、先端から支持部までの距離Lを短縮化することができる。 【0022】更に、上記実施形態では、金属ベルト17の軌跡S内に支持部32を配置したが、必ずしも軌跡S内とする必要はなく、周辺の部品レイアウト等によっては、軌跡S外に支持部32を配置した方が結果的にスプラグ33の距離Lを短縮化できる場合もあり得る。従って、このような場合には金属ベルト17の軌跡S外に支持部32を配置してもよい。 【0023】 【発明の効果】以上説明したように本発明の車両用ベルト式無段変速機のパーキング機構によれば、ハウジング部材単体の状態で支持部を加工可能なため、加工を実施する上での制約を排除して、支持部の設置位置に関する自由度を大幅に拡大できる。その結果、支持部をパーキング用ギアの近接位置に設けて支持部に作用するモーメントを低減し、もって十分な支持部の強度を確保することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006286 【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月13日(1999.9.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090022 【弁理士】 【氏名又は名称】長門 侃二
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| 【公開番号】 |
特開2001−82561(P2001−82561A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月27日(2001.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−259158 |
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