| 【発明の名称】 |
可変径プーリ |
| 【発明者】 |
【氏名】安原 伸二
【氏名】蓮田 康彦
【氏名】魚田 雅史
【氏名】玉川 隆雄
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| 【要約】 |
【課題】自動車の補機駆動用に可変径プーリを利用する場合に、狭い設置スペースのための可変径プーリでは、ダイヤフラムスプリングによるクランプ力が不足する結果、低速回転時にトルク伝達能力が不足する。
【解決手段】本可変径プーリでは、一対のプーリ主体2,3を互いに接近させるための遠心力を受ける慣性部材59の配置された径方向の内側に、圧縮コイルばねからなる弾性部材80を設け、低速回転時に不足しがちなクランプ力を補う。V溝の底に、軸方向に延びるひだ96を有するプリーツ部91を含む筒状のダストカバー90が設けられ、軸方向に伸ばすと小径の円筒状になり、軸方向に縮めると大径の円板状になる。変速比を確保しつつ大型化も防止できる。動力伝達リング6は、樹脂製の内部分26とダイナミックダンパとして機能するゴム製の中間部分27および金属製の外部分28とを有し、制振性を高める。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ベルトに対する有効径を変化させることのできる可変径プーリにおいて、回転軸の周囲を取り囲み軸方向に相対移動自在に設けられた一対のプーリ主体と、これらプーリ主体の互いの対向面にそれぞれ形成された一対のテーパ状の動力伝達面と、これら一対の動力伝達面によって両プーリ主体の軸心に対して偏心可能に挟持され、且つ外周面にベルトが巻き掛けられる動力伝達リングと、各プーリ主体と回転軸とをトルク伝達可能に連結する連結手段と、両プーリ主体を互いに近づく方向に付勢する付勢手段とを備え、上記付勢手段は、遠心力によって旋回径を増大させて一方のプーリ主体を他方のプーリ主体側へ押す慣性部材と、この慣性部材を収容するための遠心方向にいくほど狭くなる断面楔状の第1の収容空間を区画しつつ慣性部材を案内する一対の案内面と、第1の収容空間の径方向内方に隣接する第2の収容空間に収容されて、一方のプーリ主体を他方のプーリ主体側へ付勢する弾性部材とを含むことを特徴とする可変径プーリ。 【請求項2】請求項1に記載の可変径プーリにおいて、上記連結手段は、ダイヤフラムスプリングを含み、このダイヤフラムスプリングは、周縁部で対応するプーリ主体に対して軸方向移動が規制された状態で一体回転可能に係合されるとともに、回転軸に対して軸方向移動が規制された状態で一体回転可能に係合されており、両プーリ主体同士を互いに近づく方向に付勢していることを特徴とする可変径プーリ。 【請求項3】請求項1または2に記載の可変径プーリにおいて、両プーリ主体の対向面間に区画される動力伝達リング挟持用のV溝の底において、一方のプーリ主体のボスを他方のプーリ主体のボスの外周に嵌め合わせて軸方向に移動自在に支持し、上記一方のプーリ主体のボスから突出する状態にある上記他方のプーリ主体のボスの外周面を覆い、且つ上記一方のプーリ主体のボスからの上記他方のプーリ主体のボスの突出量の変化に応じて軸方向に伸縮自在な筒状のダストカバーを設け、このダストカバーにその軸方向に沿う複数のひだを有するプリーツ部を設け、両プーリ主体の対向面が最も離れて上記突出量が最も大きくなるときに、上記のひだが折り畳まれるようにしてあることを特徴とする可変径プーリ。 【請求項4】請求項1乃至3の何れかに記載の可変径プーリにおいて、上記動力伝達リングは、各プーリ主体の動力伝達面と接する樹脂材料からなる内部分と、内部分よりも径方向外方に配置された金属材料からなる環状の外部分と、外部分と内部分との間に介在するゴムからなる中間部分とを含むことを特徴とする可変径プーリ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、プーリに巻き掛けられたベルトの有効径を変化させることができる可変径プーリに関する。 【0002】 【従来の技術】無段変速システムに用いられる可変径プーリとしては、例えば、互いの間にベルトが保持される一対のプーリ主体と、ベルトが外周面に巻き掛けられプーリ主体の軸心に対して偏心可能な動力伝達リングと、一対のプーリ主体同士を互いに近づけるように付勢しつつ両プーリ主体と回転軸とを連結するダイヤフラムスプリングとを備えたものがある。動力伝達リングを同心位置と偏心位置との間に変位させて、可変径プーリの有効径を異ならせて変速するには、ベルトの張力を調節することにより行われる。この調節操作のために、例えば、ベルトの張力を増減させるためのベルトテンショナ機構を設けるが、システムが大型化する。 【0003】ところで、自動車の補機の駆動用無段変速システムにおいて、補機の入力軸に可変径プーリを配置する場合、システムが大型化するのは好ましくない。そこで、変速操作のためのベルトテンショナ機構等を省略できる可変径プーリとして、遠心力を受けることにより両プーリ主体同士を互いに近づけるように変位する慣性部材を有するものがある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】このような可変径プーリでは、低速時にトルク伝達能力が不足する傾向にある。というのは、トルク伝達能力に関わる動力伝達リングを挟持するクランプ力は、ダイヤフラムスプリングと慣性部材とにより得られる。しかしながら、慣性部材がプーリ主体を付勢する力は、低速回転時に遠心力が小さくなるのに伴って小さくなる。これに加えて、実際には、補機周辺の通常狭い設置スペースに設置できる可変径プーリでは、ダイヤフラムスプリングの大きさも限られて小型のものになるので、弾性復元力も弱くて十分に得られないからである。その結果、低速時にトルク伝達能力が不足する。 【0005】この他、以下のような課題もある。すなわち、可変径プーリが自動車に利用される場合には、いわゆるエンジンルーム内に配置されるが、可変径プーリに泥水等の異物が付着し易くなる。例えば、可変径プーリでは、両プーリ主体の対向面間に区画される動力伝達リング挟持用のV溝の底において、一方のプーリ主体のボスを他方のプーリ主体のボスの外周に嵌め合わせて軸方向に移動自在に支持している。上述の他方のプーリ主体のボスの外周面は、一方のプーリ主体のボスから突出しつつ一方のボス内に嵌め合わされるので、万一、他方のプーリ主体のボスの外周面に異物が付着すると、プーリ主体同士の間隔を調節できなくなる虞がある。 【0006】そこで、本願発明者は、V溝の底に、プーリ主体のボスの周囲を覆う、軸方向に伸縮自在な筒状のダストカバーを設けることを考えるが、下記の課題がある。すなわち、まず、補機に設けられる可変径プーリの機能として、変速比を所要の変化量で変化させることが必要であり、そのためには、動力伝達リングの所要の偏心量を確保する必要がある。他方、小型化の要請もあり、そのためには、動力伝達リングやプーリ主体の外径を小さくする必要がある。これらの課題を両立し、動力伝達リングを小型化しつつ偏心量を確保するためには、偏心時の動力伝達リングの内周を、プーリ主体のボスの外周面にできるだけ近づけなければならない。 【0007】一方、従来よくあるダストカバーとして、蛇腹状のものがあるが、軸方向に伸びても、外径があまり小さくならない。従って、このような、蛇腹状のダストカバーをV溝の底に配置した場合、動力伝達リングの内周がダストカバーに干渉することを防止するには、最大に偏心した動力伝達リングの内周をプーリ主体のボスの外周面に近づけて配置することができない。その結果、所要の偏心量を確保できない。 【0008】さらに、以下のような課題もある。すなわち、動力伝達リングは、例えば、樹脂製の単一部材からなる。この動力伝達リングがプーリ主体に対して同心となるように弾性部材によって付勢されているので、ベルトの張力変動に応じて径方向に振動する場合がある。このような振動を抑制するために、動力伝達リングの外周面に摺接するローラを含むスタビライザを設けることも考えられるが、システム全体が大型化する虞がある。 【0009】そこで、本発明の第1の目的は、上述の技術的課題を解決し、小形で、低速時のトルク伝達能力を高めることができる可変径プーリを提供することである。また、本発明の第2の目的は、上述の技術的課題を解決し、プーリ主体のボス同士の嵌合部への異物の侵入を防止でき、且つ動力伝達リングの偏心量を確保しつつ大型化を防止できる可変径プーリを提供することである。また、本発明の第3の目的は、上述の技術的課題を解決し、小形で動力伝達リングの制振性を高くできる可変径プーリを提供することである。 【0010】 【課題を解決するための手段および発明の効果】請求項1に記載の発明は、ベルトに対する有効径を変化させることのできる可変径プーリにおいて、回転軸の周囲を取り囲み軸方向に相対移動自在に設けられた一対のプーリ主体と、これらプーリ主体の互いの対向面にそれぞれ形成された一対のテーパ状の動力伝達面と、これら一対の動力伝達面によって両プーリ主体の軸心に対して偏心可能に挟持され、且つ外周面にベルトが巻き掛けられる動力伝達リングと、各プーリ主体と回転軸とをトルク伝達可能に連結する連結手段と、両プーリ主体を互いに近づく方向に付勢する付勢手段とを備え、上記付勢手段は、遠心力によって旋回径を増大させて一方のプーリ主体を他方のプーリ主体側へ押す慣性部材と、この慣性部材を収容するための遠心方向にいくほど狭くなる断面楔状の第1の収容空間を区画しつつ慣性部材を案内する一対の案内面と、第1の収容空間の径方向内方に隣接する第2の収容空間に収容されて、一方のプーリ主体を他方のプーリ主体側へ押す弾性部材とを含むことを特徴とする可変径プーリを提供する。 【0011】本発明によれば、遠心力を受けた慣性部材と弾性部材とによって両プーリ主体が互いに近づく方向に付勢でき、両プーリ主体が動力伝達リングを挟持するクランプ力を得ることができる。特に、弾性部材は、従来空きスペースであった第2の収容空間に配置されるので、可変径プーリを小型化しつつ、大型の弾性部材による強い弾性付勢力を得られる。その結果、低速時に、不足しがちなクランプ力を弾性部材により補いつつ、低速時のトルク伝達能力を十分に高めることができる。 【0012】ここで、連結手段としては、回転軸と一対のプーリ主体とをそれぞれトルク伝達可能に連結するとともに、伝達トルクの負荷による回転軸と各プーリ主体との位相ずれを、各プーリ主体の軸方向移動に変換することにより、各プーリ主体を相等しいストローク量で互いに近接させることのできる一対のトルクカム機構や、請求項2に記載の構成を例示できる。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の可変径プーリにおいて、上記連結手段は、ダイヤフラムスプリングを含み、このダイヤフラムスプリングは、周縁部で対応するプーリ主体に対して軸方向移動が規制された状態で一体回転可能に係合されるとともに、回転軸に対して軸方向移動が規制された状態で一体回転可能に係合されており、両プーリ主体同士を互いに近づく方向に付勢していることを特徴とする可変径プーリを提供する。 【0013】本発明によれば、ダイヤフラムスプリングは、低速時に両プーリ主体同士を互いに近づけるので、ダイヤフラムスプリングは付勢手段とともに低速時のクランプ力をより一層高めることができる。請求項3に記載の発明は、両プーリ主体の対向面間に区画される動力伝達リング挟持用のV溝の底において、一方のプーリ主体のボスを他方のプーリ主体のボスの外周に嵌め合わせて軸方向に移動自在に支持し、上記一方のプーリ主体のボスから突出する状態にある上記他方のプーリ主体のボスの外周面を覆い、且つ上記一方のプーリ主体のボスからの上記他方のプーリ主体のボスの突出量の変化に応じて軸方向に伸縮自在な筒状のダストカバーを設け、このダストカバーにその軸方向に沿う複数のひだを有するプリーツ部を設け、両プーリ主体の対向面が最も離れて上記突出量が最も大きくなるときに、上記のひだが折り畳まれるようにしてあることを特徴とする可変径プーリを提供する。 【0014】本発明によれば、軸方向に伸縮自在なダストカバーにより、異物が他方のプーリ主体のボスの外周面に付着することを、確実に防止できる。しかも、両プーリ主体が最も遠ざかって動力伝達リングが最大量偏心したときに、ダストカバーが軸方向に最大量伸び、プリーツ部のひだが折り畳まれることにより、ダストカバーの外径を、従来の蛇腹式のダストカバーと比較して格段に小さくすることができる。従って、偏心時の動力伝達リングの内周をプーリ主体のボスの外周面に非常に近づけることができ、その結果、小形でありながら動力伝達リングの所要の偏心量を確保することができる。 【0015】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の可変径プーリにおいて、上記動力伝達リングは、各プーリ主体の動力伝達面と接する樹脂材料からなる内部分と、内部分よりも径方向外方に配置された金属材料からなる環状の外部分と、外部分と内部分との間に介在するゴムからなる中間部分とを含むことを特徴とする可変径プーリを提供する。本発明によれば、外部分を重り部材とし、中間部分をばね部材とするダイナミックダンパを構成するので、動力伝達リング自身に振動抑制能力を付与できる。その結果、スタビライザを小形化、簡素化したり、省略したりすることができる。従って、装置全体として、小型化、簡素化することができる。 【0016】 【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる可変径プーリを、図面を参照しながら説明する。本可変径プーリは、例えば、ベルトで駆動されるエンジン補機システムの中の従動プーリに適用することができる。なお、本可変径プーリは、駆動プーリに適用してもよいし、駆動プーリと従動プーリの両方に適用しても構わないし、エンジン補機システム以外の装置に利用されてもよい。 【0017】図1は、本発明の一実施形態の可変径プーリの断面正面図である。本可変径プーリは、第1および第2の端部1a,1bを有する回転軸1の周囲に、軸方向に移動自在な第1および第2の環状のプーリ主体2,3を備えており、これらプーリ主体2,3の互いの対向面にそれぞれ動力伝達面4,5を形成している。これら一対の動力伝達面4,5は互いに逆向きに傾斜した円錐テーパ状にされており、両動力伝達面4,5によって、断面略台形形状の動力伝達リング6が、両プーリ主体2,3の軸心Kに対して図1に示すように偏心可能に挟持されている。なお、図1には、ベルト7の幅中心の位置L(以下では、ベルトセンタLともいう。)も図示されている。 【0018】動力伝達リング6の外周面にはベルト7への伝動面8が形成され、この伝動面8にベルト7が巻き掛けられている。ベルト7には、その周回方向に沿って延びる複数の互いに平行なリブが形成され、これらのリブとそれぞれ噛み合う複数の周溝が伝動面8に形成されている。リブおよび周溝は、例えば断面略V字形形状をしている。動力伝達リング6の両側面は、それぞれ対応する動力伝達面4,5と接触してトルクを伝達するテーパ状の動力伝達面9,10を構成している。 【0019】ベルト7はゴム製のものが好ましく、また、動力伝達リング6としては、耐久性に優れ且つ摩擦係数が高い樹脂、例えば、フェノール樹脂に、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維およびグラファイトを配合した樹脂材料を成形してなるものが好ましい。この樹脂材料であれば、高強度で耐摩耗性に優れているにもかかわらず、相手部材への攻撃性が穏やかであり、しかも温度にかかわらず安定した摩擦係数を持つ。また、樹脂材料中における炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維およびグラファイトの含有割合としては、炭素繊維5〜30重量%、芳香族ポリアミド繊維5〜15重量%、グラファイト10〜15重量%の範囲にあることが、耐摩耗性を向上させ、摩擦係数をより安定させる点で好ましい。 【0020】また、可変径プーリは、各プーリ主体2,3と回転軸1とをトルク伝達可能に連結する連結手段MRと、第1および第2のプーリ主体2,3を互いに近づく方向に付勢する付勢手段MFとを有している。本実施の形態では、付勢手段MFは、遠心力によって旋回径を増大させて一方のプーリ主体を他方のプーリ主体側へ押す慣性部材59と、この慣性部材59を収容するための遠心方向にいくほど狭くなる断面楔状の第1の収容空間58を区画しつつ慣性部材59を案内する一対の案内面60,61と、第1の収容空間58の径方向内方に隣接する第2の収容空間62に収容されて、一方のプーリ主体を他方のプーリ主体側へ付勢する弾性部材80とを含む。この弾性部材80により、不足しがちな低速時のトルク伝達能力を十分に得るようにしている。 【0021】連結手段MRは、ダイヤフラムスプリング11を有している。このダイヤフラムスプリング11は、内外周縁部で対応するプーリ主体3,2に対して軸方向移動が規制された状態で一体回転可能に係合されるとともに、回転軸1に対して軸方向移動が規制された状態で一体回転可能に係合されており、両プーリ主体2,3同士を互いに近づく方向に付勢している。このように、ダイヤフラムスプリング11は、付勢手段MFの一部を構成している。 【0022】以下、詳細に説明する。ダイヤフラムスプリング11は、回転軸1の第1の端部1aに一体に設けられた円板フランジ状の連結部材12に、複数の連結軸13を介して一体回転可能に連結されている。そして、連結軸13がダイヤフラムスプリング11に形成された連結孔16に嵌めいれられて、ダイヤフラムスプリング11と連結部材12とがトルク伝達可能に連結されている。 【0023】ダイヤフラムスプリング11の内径部17および外径部18は、第1および第2のプーリ主体2,3にそれぞれ一体回転可能に係合されている。これにより、両プーリ主体2,3とダイヤフラムスプリング11が回転軸1と一体に回転するようになっている。例えば、本可変径プーリを駆動プーリに適用した場合、回動軸1、ダイヤフラムスプリング11、両プーリ主体2,3および動力伝達リング6を介してベルト7へトルクが伝達される。従動プーリに適用した場合には、その逆でトルクが伝達される。 【0024】図1および図2を参照して、ダイヤフラムスプリング11の内径部17および外径部18には、それぞれ円周等配に配置された放射状の連結溝19,20が形成されている。また、ダイヤフラムスプリング11の径方向の中間部において、上述した連結軸13を貫通させてダイヤフラムスプリング11と連結部材12とをトルク伝達可能に連結する上述の連結孔16が円周等配に形成されている。また、連結部材12には、この連結部材12を軸方向に貫通する複数の貫通孔が円周等配に形成され、各貫通孔には連結軸13が挿通されて固定されている。これら連結軸13がダイヤフラムスプリング11の連結孔16に嵌め入れられ、ダイヤフラムスプリング11と連結部材12とを一体回転可能に連結する。 【0025】また、ダイヤフラムスプリング11は内径部17と外径部18とに互いに逆向きの集中荷重を受けた軸対称曲げの状態となるが、このとき各連結軸13によって、連結孔16の位置におけるダイヤフラムスプリング11の軸方向の変位が規制されることから、各連結軸13による支持半径を所定に設定することにより、内径部17と外径部18とを相等しいストローク量で互いに逆向きに変位させることが可能となる。 【0026】第1のプーリ主体2は、円形の環状板21と、この環状板21の内周に形成された円筒状のボス部22とを備えている。環状板21はテーパ状の動力伝達面4を形成している。また、環状板21の内周溝に、回転軸1の外周との間を密封するシール部材25が収容されている。ボス部22は回転軸1を同軸状に挿入させるとともに、ボス部22の先端部は回転軸1の第1の端部1aの近傍まで延びている。ボス部22は、回転軸1の周面に滑り軸受としてのブッシュ29を介して軸方向にスライド自在に支持されている。また、ボス部22の先端部近傍に形成された内周溝に、Oリング30が収容されており、回転軸1の周面との間を封止している。Oリング30とシール部材25とによりブッシュ29の収容空間が封止され、外部からの泥や水がブッシュ29に到達しないようにされている。 【0027】第2のプーリ主体3は、円形の環状板31と、この環状板31の内周に形成された円筒状のボス部32とを備えている。環状板31は動力伝達面5を形成している。環状板31はボス部32の軸方向の中間部から径方向外方へ延びている。第2のプーリ主体3のボス部32は、第1のプーリ主体2のボス部22の周囲を取り囲み、この第1のプーリ主体2のボス部22によって滑り軸受としてのブッシュ33を介して軸方向にスライド自在に支持されている。ブッシュ33を挟んだ両側には、一対のOリング34,35が配置されており、これら一対のOリング34,35によってブッシュ33が収容される空間を密封し、ブッシュ33に泥や水が到達しないようにされている。Oリング34,35は、ボス部32の内周溝に嵌め入れられている。 【0028】また、環状板31には、その径方向外縁から軸方向に、動力伝達面5と反対側へ向けて延びる筒状部38が一体に形成され、この筒状部38の先端縁から径方向外方へ延びる環状フランジ39が一体に形成されている。環状フランジ39の側面の外周縁部には、ダイヤフラムスプリング11の外径部18の複数の連結溝20にそれぞれ嵌め入れられる複数の板状の連結突起40が円周等配で放射状に形成されている。第2のプーリ主体3がダイヤフラムスプリング11の外径部18によって環状フランジ39を介して押圧されて、第2のプーリ主体3が第1のプーリ主体2へ相対的に近づく方向に付勢される一方、第1のプーリ主体2がダイヤフラムスプリング11の内径部17によって連結部44を介して押圧されて、第1のプーリ主体2が第2のプーリ主体3へ相対的に近づく方向へ付勢される。 【0029】一方、第1のプーリ主体2のボス部22は、第2のプーリ主体3のボス部32を貫通して第2のプーリ主体3の動力伝達面5の背面41側へ延びており、ボス部22の端部が第2のプーリ主体3の背面側へ延びる部分を構成している。この背面側ヘ延びる部分としてのボス部22の端部には、この端部とダイヤフラムスプリング11の内径部17とを一体回転可能に連結するための環状の上述の連結部44が取り付けられている。 【0030】この連結部44は、ボス部22の先端部に例えばスプライン嵌合により一体回転可能に連結される環状の第1の部材45と、この第1の部材45に例えばスプライン嵌合により一体回転可能に連結される環状の第2の部材46とを有している。図1において、第1の部材45は、ボス部22に対する軸方向移動を規制されている。また、第1の部材45の周溝に嵌め入れられたスナップリング50により、第2の部材46は、第1の部材45に対する軸方向移動を規制されている。 【0031】第1の部材45は、筒状部51と、この筒状部51の一端から径方向外方へ延びる環状フランジ52とを有する。第2の部材46は、第1の部材45の筒状部51の外周に嵌められる筒状部53と、この筒状部53の一端から径方向外方へ延びる環状フランジからなる押圧板部54とを有する。この押圧板部54はダイヤフラムスプリング11の内径部17を軸方向に押す。押圧板部54には、円周等配で放射状に複数の連結突起55が形成されている。押圧板部54がダイヤフラムスプリング11の内径部17によって押圧され、第1のプーリ主体2が、第2のプーリ主体3へ相対的に近づく方向に付勢されている。また、複数の連結突起55は、ダイヤフラムスプリング11の内径部17の複数の連結溝19にそれぞれ嵌め入れられ、これにより、連結部44を介してダイヤフラムスプリング11と第1のプーリ主体2とが一体回転するようにされている。 【0032】また、第2のプーリ主体3の環状板31の背面41と、この背面41に対向して第1の部材45の環状フランジ52に形成された対向面42との間には、環状の空間が区画されている。この空間は、径方向外側部分である第1の収容空間58と、径方向内側部分である第2の収容空間62とを含んでいる。背面41および対向面42は、第1の収容空間58に臨む径方向外側部分に、径方向に外方へいくほど互いに近接するような傾斜面を含み、また、第2の収容空間62に臨む径方向内側部分を軸方向に直交する面で形成している。 【0033】第1の収容空間58は、径方向に外方へいくほど軸方向に幅狭の断面楔状の環状空間である。第1の収容空間58は、複数の慣性部材59を収容している。また、第1の収容空間58に臨んで、第2のプーリ主体3の環状板31の背面41には第1の案内面60が、第1の部材45の環状フランジ52の対向面42には第2の案内面61が形成されている。これら第1および第2の案内面60,61が、第1の収容空間58を区画している。また、第1の収容空間58の外周縁部は第2のプーリ主体3の筒状部38によって区画されている。第2のプーリ主体3の筒状部38の内周面に摺動自在なOリング76が環状フランジ52の外周溝に保持されている。Oリング76によって第1の収容空間58および第2の収容空間62が密封されるので、両収容空間58,62内への泥や水の侵入が防止される。 【0034】慣性部材59は、図3に示すように、転動部材としての、外ローラ66および内ローラ67を含んでおり、内ローラ67は、外ローラ66を同心に貫通している。両ローラ66,67は軸受68を介して相対回転自在に連結されている。軸受68としては、例えばメタル製のブッシュ等のすべり軸受、または転がり軸受を用いることができる。外ローラ66は、図1に示すように第1の案内面60によって案内されて転動する。一方、第1の部材45の環状フランジ52の対向面42には、放射状に延びる複数の案内溝69が形成されている。この案内溝69の両縁部によって対をなす第2の案内面61,61が構成されている。これら第2の案内面61,61によって内ローラ67の対向する端部70,70がそれぞれ案内されて転動する。 【0035】案内溝69は外ローラ66の一部を収容しつつ外ローラ66の変位を許容し、且つ案内溝69の底部71と外ローラ66の外周面72との接触は回避されている。また、案内溝69の相対向する内壁面73,73が外ローラ66の両端面74,74にそれぞれ当接することにより、外ローラ66の軸方向変位を規制している。慣性部材59が第1の収容空間58内において遠心方向および求心方向に変位することにより、両案内面60、61間の間隔が増減され、これにより、両プーリ主体2,3間の間隔が増減されて変速が達成される。変速時において、各ローラ66,67が対応する案内面60、61に対してそれぞれ転がり移動するので、非常にスムーズな変速が可能となる。従って、軸方向と直交する面に対して、両案内面60、61がなす角度を小さくすることも可能となり、結果として、可変径プーリの小型化を図ることができる。 【0036】第1の収容空間58の径方向内側にあり、第1および第2の収容空間58,62の境界には、慣性部材59を遠心方向(径方向外方)へ押す弾性部材としての板ばね65が設けられている。板ばね65は、第2のプーリ主体3の環状板31の背面41に沿って固定される環状部分77と、この環状部分77の外周縁部に周方向に等間隔で配置されて屈曲状に延び出した複数の舌片78とを有している。この舌片78が各慣性部材59の外ローラ66の外周面72に当接して、径方向外方へそれぞれ押している。板ばね65は、ベルト7が巻き掛けられていない状態の可変径プーリにおいて、慣性部材59を径方向の外方に押し出して、両プーリ主体2,3を近接させ、動力伝達リング6を同心位置に保持することができる。これにより、可変径プーリを組み付け易くしたり、自身を組立易くすることができる。なお、板ばね65が慣性部材59を径方向外方へ付勢する力は弱く設定され、ベルト7が巻き掛けられた状態の動力伝達リング6が偏心位置に変位する際に、両プーリ主体2,3同士が互いに遠ざかるのを阻害しないようにされている。 【0037】また、板ばね65は、慣性部材59が第2の収容空間62内に進入することを防止する進入防止部材としても機能する。これにより、慣性部材59が弾性部材80とぶつかることが防止され、弾性部材80の伸び縮みをスムーズに維持することができる。第2の収容空間62は、第1の収容空間58の径方向内方に隣接しており、断面略矩形の環状空間である。第2の収容空間62に弾性部材80が収容されている。 【0038】弾性部材80は、軸方向に伸縮可能な圧縮コイルばねからなり、一方の端部は板ばね65の環状部分77を介して第2のプーリ主体3の環状板31の背面41に当接し、他方の端部は第1の部材45の環状フランジ52の対向面42に当接し、圧縮状態で取り付けられている。弾性部材80は、背面41と対向面42との間隔を広げるように、背面41および対向面42を付勢し、両プーリ主体2,3が互いに近接する状態では軸方向に弱く圧縮され、両プーリ主体2,3が互いに遠ざかる状態では相対的に軸方向に強く押し縮められている。弾性部材80により、第1のプーリ主体2は、第2のプーリ主体3に相対的に近づく方向に、第1の部材45を介して付勢される一方、第2のプーリ主体3は、第1のプーリ主体2に相対的に近づく方向に、背面41を付勢される。 【0039】本実施の形態の可変径プーリでは、付勢手段MFとダイヤフラムスプリング11によって、両プーリ主体2,3が互いに近づく方向に付勢できるので、両プーリ主体が動力伝達リング6を挟持するクランプ力を得ることができる。ベルト7の走行速度が低く、回転軸1の回転速度が低いときには、動力伝達リング6は、偏心状態にあり、両プーリ主体2,3は互いに遠ざかった状態にある。このとき、慣性部材59にかかる遠心力は小さいので、クランプ力は主に、ダイヤフラムスプリング11および、相対的に強く圧縮されている弾性部材80の弾性付勢力により得られ、弾性部材80は、両プーリ主体2,3を互いに近づけるように付勢する。 【0040】ベルト7の走行速度が増して可変径プーリの回転速度が増すと、慣性部材59が第1の収容空間58内を遠心方向に(図1に示す状態から図4に示す状態へと)自動的に変位することにより、弾性部材80およびダイヤフラムスプリング11と共働して両プーリ主体2,3を介して動力伝達リング6を軸心Kと同心位置に付勢し、ベルト7に対する有効径を変化させることができる。この時、弾性部材80は、低速回転時に比べて付勢力は弱まるが、両プーリ主体2,3を互いに近づけるように付勢する。 【0041】このように本実施の形態によれば、弾性部材80は、従来空きスペースであった第2の収容空間62に配置されるので、可変径プーリを小型化しつつ、大型の弾性部材80により強い弾性付勢力を得られる。その結果、低速時に、不足しがちなクランプ力を弾性部材80の弾性付勢力により補いつつ、低速時のトルク伝達能力を十分に高めることができる。従って、トルク変動等に起因してベルト滑り等が生じ難くなるので、トルクの伝達効率も向上する。 【0042】また、ダイヤフラムスプリング11を含む連結手段MRを有する場合には、ダイヤフラムスプリング11は、低速時に両プーリ主体2,3同士を互いに近づけるので、ダイヤフラムスプリング11は、弾性部材80とともに低速時のクランプ力をより一層高めることができる。なお、連結手段MRとしては、上述のダイヤフラムスプリング11の他に、図5に示すように、回転軸1と一対のプーリ主体2,3とをそれぞれトルク伝達可能に連結するとともに、伝達トルクの負荷による回転軸1と各プーリ主体2,3との位相ずれを、各プーリ主体2,3の軸方向移動に変換することにより、各プーリ主体2,3を相等しいストローク量で互いに近接させることのできる一対のトルクカム機構MTを例示できる。 【0043】以下、図5を参照してトルクカム機構を有する可変径プーリを説明する。なお、図5の可変径プーリの各部については、図1〜図4に示す可変径プーリと同様の部分については同じ符号を付して説明を省略する。回転軸1の第1の端部1aには、円板フランジ状の連結部材12がねじ止めにより、一体回転可能に固定されている。図5に示す連結部材12は、回転軸1と同心に固定される円板部81と、この円板部81の外周部でボルトにより固定された環状部82とを有している。環状部82の外周縁には、雄ねじ83が形成され、環状部82の内周縁には雌ねじ84が形成されている。この雌ねじ84には、第1の部材45に形成された雄ねじ85がねじ込まれている。 【0044】第1の部材45は、筒状部51と、この筒状部51の一端から径方向外方へ延びる環状フランジ52とを有している。図5に示す筒状部51には、第2の収容空間62に臨んで環状凹部が形成され、ここに弾性部材80の端部が入りこんでいる。また筒状部51の外周面には、雄ねじ85が形成されている。この雄ねじ85が、連結部材12の雌ねじ84にねじ込まれている。また、第2のプーリ主体3の筒状部38の内周面には、雌ねじ86が形成され、この雌ねじ86に、連結部材12の上述の雄ねじ83がねじ込まれている。 【0045】雄ねじ83および雌ねじ86の組み合わせと、雄ねじ85および雌ねじ84の組み合わせとは、互いに逆ねじとなっている。例えば、可変径プーリが、回転軸1の回りに、図5において矢符X方向(回転軸1の軸方向に平行なY方向矢視で時計回り)に回転しているとすると、雄ねじ85および雌ねじ84の組み合わせは、右ねじ(X方向に回転させることにより、回転軸1がY方向に進むもの)であり、雄ねじ83および雌ねじ86の組み合わせは、左ねじ(X方向に回転させることにより、回転軸1が反Y方向に進むもの)である。 【0046】上述の各雄ねじおよび雌ねじのねじ形成方向を、上述のように設定したので、付勢手段MFが、第1のプーリ主体2を第1の部材45を介してY方向に沿って押し、第2のプーリ主体3を反Y方向に沿って押すと、両プーリ主体2,3を回転軸1に対してX方向に回転させて、両プーリ主体2,3を互いに等しい距離だけ近接させるように働く。一方、回転軸1に対して両プーリ主体2,3を、回転軸1に対して反X方向に回転させた場合には、両プーリ主体2,3が互いに等しい距離だけ遠ざかることになる。 【0047】雄ねじ83および雌ねじ86の組み合わせと、雄ねじ85および雌ねじ84の組み合わせとからなるねじ結合機構により、トルクカム機構MTが構成されている。両ねじ結合機構は、互いに逆ねじであるので、一体回転する両プーリ主体2,3を回転軸1に対して、相対回転させると、両プーリ主体2,3を互いに等しい距離だけ近接させるようにまたは離反させるように働く。従って、一対の動力伝達面4,5間のV溝14での動力伝達リング6の接触位置が変化しても、ベルト7の幅方向の中央位置は変化しない。 【0048】このトルクカム機構の意義は下記である。すなわち、従動プーリに可変径プーリを採用した場合、負荷トルクは、回転軸1に対してプーリ主体2,3を回転方向に位相ずれさせようとする力となる。例えば、可変径プーリが図5でX方向に回転する場合には、負荷トルクは、回転軸1に対してプーリ主体2,3をX回転方向に位相ずれさせようとする力となる。この位相ずれさせようとする力は、上述のねじ結合機構からなるトルクカム機構によって変換されて、両プーリ主体2,3を互いに近接させようとする力となり、この力は、さらに動力伝達面4,5を介して、例えば、プーリ主体2,3の軸心に対して偏心状態にある動力伝達リング6の被挟持部分を、可変径プーリの径方向外方へ変位させようとする力に変換される。 【0049】そして、例えば、何れかの補機の駆動が開始された等により、トルク変動があった場合に、これに伴ってベルト7の張り側の部分に対応する動力伝達リング6が、両プーリ主体2,3間の間隔を拡げて可変径プーリの径方向内方へ入り込もうとするが、これを、上述の弾性部材80等の付勢手段MFによる付勢力と、上述の動力伝達リング6を径方向外方へ変位させようとする力とによって抗して防止することができる。従って、トルク変動があっても、可変径プーリの接触径が変化することがない。 【0050】また、負荷トルクが大きいほど、両プーリ主体2,3を互いに近接させようとする力を大きくして、動力伝達リング6を強く挟持することができるので、動力伝達リング6と両プーリ主体2,3との間に滑りが発生することを防止でき、滑りに起因した伝達ロスを無くすことができる。この可変径プーリでは、ベルト7の走行速度が増大すると、慣性部材59に働く遠心力が増大し、慣性部材59が第1の収容空間58内を径方向外方に移動し、これに伴って、一方のプーリ主体2を軸方向に押す推力を得ることができる。この推力によって、プーリ主体2がプーリ主体3へ近づこうとする。このとき、両プーリ主体2,3が一体に回転して回転軸1に対して互いに等しい回転角変位を生じ、これに伴って、両プーリ主体同士は、互いに等しいストロークで近接し、動力伝達リング6が同心位置に変位する。 【0051】また、トルクカム機構によって、各プーリ主体に負荷される伝達トルクが、両プーリ主体同士を互いに近接させようとする力に変換され、伝達トルクに応じたベルト挟持力を発生させることができるので、十分な大きさのベルト挟持力が得られる。また、図1および図4に示すように、本実施の形態の可変径プーリは、両プーリ主体2,3の対向面間に区画される動力伝達リング6挟持用のV溝14の底に、ダストカバー90を有している。 【0052】ダストカバー90が配置されるV溝14の底では、第2のプーリ主体3のボス部32を第1のプーリ主体2のボス部22の外周に嵌め合わせて軸方向に移動自在に支持し、第2のプーリ主体3のボス部32から第1のプーリ主体2のボス部22が突出する状態にある。ダストカバー90は、突出している第1のプーリ主体2のボス部22の外周面23を覆うように、筒状に形成されている。ダストカバー90は、第2のプーリ主体3のボス部32からの第1のプーリ主体2のボス部22の突出量の変化に応じて軸方向および径方向に伸縮自在とされている。 【0053】ダストカバー90は、両プーリ主体2,3の対向面としての動力伝達面4,5が最も近接した状態で、断面山形の円板状をなす第1の姿勢(図4参照)と、両プーリ主体2,3の対向面が最も離れた状態で第2のプーリ主体3のボス部32の外径に略等しい径の有底円筒状をなす第2の姿勢(図1参照)とに変位可能である。以下、第2の姿勢のダストカバー90を図6を参照して説明する。 【0054】ダストカバー90は、第2の姿勢において、ボス部32の外径に略等しい径の円筒状のプリーツ部91と、このプリーツ部91の一端から径方向の内方に延びるフランジ92とを有している。ダストカバー90は、弾性部材からなり、プリーツ部91およびフランジ92が一体に形成されている。ダストカバー90のプリーツ部91の端部は、第2のプーリ主体3のボス部32の外周面に、環状ベルト93により締め付けられることにより、一体移動可能に保持されている。また、ダストカバー90の他端となるフランジ92の内周縁部は、第1のプーリ主体2のボス部22の基端部の外周面23に、ダストカバー90自身の弾性緊縛力により、一体移動可能且つ密封状態で保持されている。 【0055】プリーツ部91は、軸方向に沿う複数のひだ96を有している。プリーツ部91のひだ96は、軸方向に延びる折り目94を挟んで接続された複数の周面部分95により形成され、これらの周面部分は、軸方向に長く形成され、周方向に並んでいる。折り目94は、山状のものと、谷状のものとがあり、これらは、例えば、山状、山状、谷状、谷状…の順で周方向に並んでいる。ひだ96は、両プーリ主体2,3の対向面が最も離れて上記突出量が最も大きくなるときに、屈曲状に折り畳まれるようにしてある。また、両プーリ主体2,3が最も近接するときには、ひだ96は展開されて、上述の周面部分95が周方向に沿って並ぶようにしてある(図7参照)。このように、プリーツ部91により、第1および第2の姿勢に変位するときのダストカバー90の周方向の伸縮が許容されている。 【0056】また、ダストカバー90のプリーツ部91の一端には、内外に貫通して空気が通る空気孔(図示せず)が形成されている。この空気孔により、第1および第2の姿勢に変位するときに内外の空気が流通して、スムーズにダストカバー90を変位させることができる。空気孔は、万一、水等の異物が通っても、ボス部22の外周面23に付着しない位置に設けられている。また、プリーツ部91の内面には、周方向に延びる溝97が形成され、プリーツ部91は、薄肉に形成されている。この溝97は、図8(a)に示すように、断面半円形であり、軸方向の中間部分に形成されている。なお、図8(b)に示すように、溝97の裏面側部分を張り出させて、肉厚が変わらないように形成しておいてもよいし、溝を形成せずに薄肉に形成した溝97に相当する部分を設けてもよい。この溝97等を形成してあることにより、プリーツ部91の溝97の裏面側部分を、断面山形の頂部となるようにして、プリーツ部91を円筒状から断面山形の円板状に変形させ易くすることができる。 【0057】動力伝達リング6が同心位置にあるときには、両プーリ主体2,3の対向面同士は最も近接した状態にあり、ダストカバー90は第1の姿勢となる。この状態では、図7および図4に示すように、ダストカバー90のプリーツ部91は、径方向の外方に突出しているが、その最外周縁部が動力伝達リング6の内周部と接することなく、ダストカバー90は、同心位置にある動力伝達リング6の内側のV溝14内の大きなスペースに配置され、問題ない。 【0058】この状態から両プーリ主体2,3の対向面同士の間隔が広がると、動力伝達リング6が偏心し、これに伴い、ダストカバー90のプリーツ部91は軸方向に延びながら、プリーツ部91のひだ96が折り畳まれることにより、第1の姿勢で円板状になっていた部分の周方向の変形が吸収されつつ、ダストカバー90のプリーツ部91を軸方向に真直な円筒形状にして径方向に小型化できる。動力伝達リング6が偏心位置になると、両プーリ主体2,3の対向面同士は最も遠ざかった状態となり、ダストカバー90は第2の姿勢となる。この状態でのプリーツ部91の外径は、ボス部32の外径とほぼ同等になり、偏心位置にある動力伝達リング6の内周部と接することが防止されている。また、このときの動力伝達リング6の内周部は、第1の姿勢のダストカバー90の最大外径部よりも径方向の内方に配置されている。 【0059】また、この状態から両プーリ主体2,3の対向面同士の間隔が縮まると、動力伝達リング6が同心方向に変位し、これに伴い、ダストカバー90のプリーツ部91は軸方向に圧縮されて縮む。プリーツ部91の溝97の近傍部分を屈曲部位として、弾性変形し、溝97の近傍部分が断面山形の頂部となりつつ径方向の外方に突出する。これとともに、ひだ96が展開されることにより、第2の姿勢で円筒状になっていた溝97の近傍部分の周方向の伸び変形を吸収しつつ、プリーツ部91を円板状にすることができる。 【0060】なお、ダストカバー90の伸縮にかかわらず、フランジ92および環状ベルト93で固定される部分は変形せず、対応するボス部22,32とともに軸方向に変位する。このようにダストカバー90を有する可変径プーリでは、軸方向に伸縮自在なダストカバー90により、異物がのボス部22の外周面23に付着することを、ボス部22の突出量の変化に応じて確実に防止できる。その結果、例えば、ブッシュ33の劣化や、両プーリ主体2,3同士か摺動できなくなることを防止することができる。 【0061】しかも、両プーリ主体2,3が最も遠ざかって動力伝達リング6が最大量偏心したときに、ダストカバー90が軸方向に最大量伸び、プリーツ部91のひだ96が折り畳まれることにより、ダストカバー90の外径を、従来の蛇腹式のダストカバーと比較して格段に小さくすることができる。従って、偏心時の動力伝達リング6の内周をプーリ主体のボス(例えば、ボス部32)の外周面に非常に近づけることができ、その結果、小形でありながら動力伝達リング6の所要の偏心量を確保することができる。 【0062】例えば、偏心時の動力伝達リング6の内周縁の径方向位置を、ダストカバー90を設けない場合とほぼ同等にすることができるので、変速比の変化量を維持するための同心時の動力伝達リング6およびこれに対応するプーリ主体2,3の大径化を防止できる。また、上述の実施の形態の単一部材からなる動力伝達リング6に代えて、図9に示す動力伝達リング6を利用する場合には、制振性を高めることができる。 【0063】図9に示す動力伝達リング6は、各プーリ主体2,3の動力伝達面4,5と接する樹脂材料からなる内部分26と、内部分26よりも径方向外方に配置された金属材料からなる環状の外部分28と、外部分28と内部分26との間に介在する弾性部材としてのゴムからなる中間部分27とを含む。内部分26および中間部分27の間の接続部と、中間部分27と外部分28との間の接続部とは、それぞれトルク伝達可能に接合されている。 【0064】内部分26は、動力伝達リング6の内周寄り部分を構成している。その樹脂材料は、上述した繊維強化フェノール樹脂で形成されている。外部分28は、動力伝達リング6の外周寄り部分を構成し、ベルト7のリブと係合する周溝を外周面に有し、この外周面に伝動面8を形成している。外部分28は、例えば鉄を含んでいる。鉄は、安価且つ重量を確保し易くて好ましい。ここで、外部分28の金属材料の種類や大きさにより決まる質量や、中間部分27のゴムの弾性係数等は、振動抑制能力に応じて設定される。 【0065】中間部分27は、動力伝達リング6の径方向の略中間部を構成する環状部材であり、内部分26と外部分28とを互いに接続している。また、中間部分27は、自身の弾性変形に応じて、外部分28を内部分26に対して相対変位可能に支持している。ここで、中間部分27のゴムとしては、天然ゴム、合成ゴム等を例示でき、要は、内部分26および外部分28よりも、弾性変形し易い所定の弾性係数を有する弾性部材であればよい。 【0066】図9に示す動力伝達リング6を有する可変径プーリでは、外部分28を重り部材とし、中間部分27をばね部材とするダイナミックダンパを構成するので、動力伝達リング6自身に振動抑制能力を付与できる。その結果、振動抑制用に可変径プーリと別体で設けられるスタビライザ(図示せず)を小形化、簡素化したり、省略したりすることができる。従って、装置全体として、小型化、簡素化することができ、安価にすることもできる。 【0067】なお、ダイナミックダンパを構成する外部分28は、内部分26よりも径方向外方に配置されていればよく、周溝や伝動面8の有無は限定されない。このように本実施の形態によれば、図1〜図5に示す付勢手段MFを有する可変径プーリ、図6〜図8に示すダストカバー90を有する可変径プーリ、および図9に示す動力伝達リング6を有する可変径プーリは、外形の大型化を防止しつつ、トルク伝達能力、異物に対する防護性、制振性等の性能を向上できるので、小型化の要請のある自動車の補機駆動用にそれぞれ好適である。 【0068】なお、図1〜図4に示す可変径プーリに、図9に示す動力伝達リングを適用してもよい。また、図1〜図4に示す可変径プーリにおいて、ダストカバー90が必要でない場合には、ダストカバー90を省略してもよいし、また、このダストカバー90を省略した可変径プーリに図9に示す動力伝達リング6を適用してもよい。また、図5に示す可変径プーリに、図6〜図8に示すダストカバー90および図9に示す動力伝達リング6の少なくとも一方を適用してもよい。また、図6〜図8に示すダストカバー90および図9に示す動力伝達リングの少なくとも一方を、従来の可変径プーリに適用してもよく、これにより、それに対応する効果を得ることができる。 【0069】その他、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001247 【氏名又は名称】光洋精工株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月10日(1999.9.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075155 【弁理士】 【氏名又は名称】亀井 弘勝 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−82559(P2001−82559A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月27日(2001.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−257849 |
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