| 【発明の名称】 |
チェーンテンショナ |
| 【発明者】 |
【氏名】山本 憲
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| 【要約】 |
【課題】プランジャの戻り量を制限できるようにした簡単な構造のオートテンショナを提供することである。
【解決手段】ハウジング11のシリンダ室12にプランジャ14を摺動自在に組込む。シリンダ室12の底部に組込まれたチェックバルブ20とプランジャ14間に筒状のロッドガイド30を組込み、そのロッドガイド30内に後端部が挿入されたロッド40の先端のフランジ41をリターンスプリング60により押圧してプランジャ14に外方向への突出性を付与する。ロッドガイド30の先端部内周に一部が切り離されたレジスタクリップ50を収容可能なガイド溝32を形成し、そのガイド溝32の一端に垂直端面32aを設け、他端に傾斜端面32bを形成する。ロッド40の外周に複数の円周溝43を等間隔に形成し、その円周溝43の内周に形成された第2テーパ面43bを前記傾斜端面32bに係合するレジスタクリップ50に当接させてプランジャ14の戻り量を制限する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダ室を有し、そのシリンダ室の底部において給油通路を開口させたハウジングと、前記シリンダ室内にスライド自在に組込まれたプランジャと、シリンダ室内の圧力低下時に前記給油通路を開放すると共にシリンダ室内の圧力上昇時に給油通路を閉じるチェックバルブと、そのチェックバルブとプランジャの底面間に組込まれた筒状のロッドガイドと、そのロッドガイド内に一端部が挿入され、他端に設けられたフランジがプランジャの底面に当接されたロッドと、そのロッドのフランジを押圧してプランジャに外方向への突出性を付与するリターンスプリングとから成り、前記ロッドガイドの内周とロッドの外周の一方に、一部が切り離されたレジスタクリップを収容してそのレジスタクリップの軸方向への移動量を制限するガイド溝を形成し、他方には前記レジスタクリップを保持する複数の円周溝を軸方向に間隔をおいて設け、前記ガイド溝の軸方向で対向する一対の端面のうち、ロッドの外方向への移動時にレジスタクリップが衝合される一方の端面を軸心に略直交する垂直端面とし、他方の端面を傾斜端面とし、前記円周溝の内周にはロッドの外方向への移動時に前記垂直端面に沿ってレジスタクリップを半径方向に弾性変形させる第1のテーパ面と、前記ロッドの内方向への移動時に、前記傾斜端面とでレジスタクリップを挾持してプランジャの後退動を阻止し、設定荷重を超えた押し込み力がプランジャに付与されたとき、前記傾斜端面に沿ってレジスタクリップを弾性変形させる第2のテーパ面を設けたチェーンテンショナ。 【請求項2】 前記ロッドのフランジとプランジャの衝合面にシリンダ室内と外部を連通する空気抜き用の溝を形成した請求項1に記載のチェーンテンショナ。 【請求項3】 前記円周溝に形成された第1のテーパ面および第2のテーパ面のロッド軸心に対する傾斜角を45°以下とした請求項1又は2に記載のチェーンテンショナ。 【請求項4】 前記ガイド溝における傾斜端面のロッド軸心に対する傾斜角を45°以上とした請求項1乃至3のいずれかに記載のチェーンテンショナ。 【請求項5】 前記ロッドガイドとロッドのうち、円周溝が形成された側の部材の端部に、前記レジスタクリップをガイド溝に一部が嵌まる状態で抜け止め状態に支持可能なストッパ溝を設けた請求項1乃至4のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、カム軸駆動用チェーンの張力を一定に保つチェーンテンショナに関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、クランク軸の回転をカム軸に伝達するチェーン伝動装置においては、チェーンの弛み側チェーンにチェーンテンショナの調整力を付与してチェーンの張力を一定に保つようにしている。 【0003】上記チェーンテンショナとして、ハウジングに形成されたシリンダ室内にプランジャとスプリングとを組込み、そのスプリングによって外方向への突出性が付与されたプランジャによりチェーンを押圧して緊張し、上記チェーンからプランジャに付与される押し込み力を、プランジャの背部に形成された圧力室内の油圧により緩衝するようにしてチェーンの張力を一定に保つようにしたものが従来から知られている。 【0004】ところで、上記チェーンテンショナにおいては、エンジンの停止時、カムの停止位置によってチェーンが緊張状態に保持されると、プランジャがチェーンにより押し込まれて大きく後退する場合がある。このとき、エンジンが再始動されると、チェーンに急激な弛みが生じ、プランジャは外方向に大きく移動することになる。 【0005】その場合、圧力室に油圧を供給する油圧ポンプは始動直後であって吐出量が少ないため、圧力室に充分に油を供給することができず、圧力室に空気が侵入してダンビング特性が低下し、異音が発生する場合がある。 【0006】そのような問題点を解決するため、プランジャの戻り量を制限することができるようにしたチェーン緊張装置が特公平3−10819号公報において提案される。 【0007】上記チェーン緊張装置においては、ケーシングの内周に傾斜面を有する複数の係止溝をケーシングの軸方向に間隔をおいて形成し、前記ケーシング内に挿入され、押圧ばねによって外方向への突出性が付与された緩衝ピストン(プランジャに相当)の外周にストッパリングを保持するしゃ断溝を形成し、そのしゃ断溝の前側に設けられたストッパ傾斜路に前記ストッパリングの縮径を防止するしゃ断面と、ストッパリングの軸方向の移動を防止するストッパ縁とを形成し、このストッパ縁と係止溝に係合する上記ストッパリングとの係合によって緩衝ピストンの後退量を制限するようにしている。 【0008】また、摩耗等によってチェーンに伸びが生じると、押圧ばねのばね力によって緩衝ピストンを前進させ、しゃ断溝の後側に設けられたストッパ縁によりストッパリングを次の係止溝内に位置をずらしてチェーンの伸びを吸収し、次の係止溝内でストッパリングが移動し得る範囲内でチェーンにダンパ効果を与えるようにしている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】ところで、特公平3−10820号公報に記載されたチェーン緊張位置においては、溝形状が複雑で、製造面において寸法、精度管理に難がある。 【0010】この発明の課題は、チェーンを押圧するプランジャの戻り量を制限することができるようにした簡単な構造のオートテンショナを提供することである。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明においては、シリンダ室を有し、そのシリンダ室の底部において給油通路を開口させたハウジングと、前記シリンダ室内にスライド自在に組込まれたプランジャと、シリンダ室内の圧力低下時に前記給油通路を開放すると共にシリンダ室内の圧力上昇時に給油通路を閉じるチェックバルブと、そのチェックバルブとプランジャの底面間に組込まれた筒状のロッドガイドと、そのロッドガイド内に一端部が挿入され、他端に設けられたフランジがプランジャの底面に当接されたロッドと、そのロッドのフランジを押圧してプランジャに外方向への突出性を付与するリターンスプリングとから成り、前記ロッドガイドの内周とロッドの外周の一方に、一部が切り離されたレジスタクリップを収容してそのレジスタクリップの軸方向への移動量を制限するガイド溝を形成し、他方には前記レジスタクリップを保持する複数の円周溝を軸方向に間隔をおいて設け、前記ガイド溝の軸方向で対向する一対の端面のうち、ロッドの外方向への移動時にレジスタクリップが衝合される一方の端面を軸心に略直交する垂直端面とし、他方の端面を傾斜端面とし、前記円周溝の内周にはロッドの外方向への移動時に前記垂直端面に沿ってレジスタクリップを半径方向に弾性変形させる第1のテーパ面と、前記ロッドの内方向への移動時に、前記傾斜端面とでレジスタクリップを挾持してプランジャの後退動を阻止し、設定荷重を超えた押し込み力がプランジャに付与されたとき、前記傾斜端面に沿ってレジスタクリップを弾性変形させる第2のテーパ面を設けた構成を採用している。 【0012】ここで、設定荷重とはチェーンによってプランジャが押し込まれるときの荷重をいう。 【0013】上記の構成から成るチェーンテンショナにおいては、リターンスプリングによって外方向への突出性が付与されたプランジャによりチェーンを押圧する使用状態でそのチェーンに弛みが生じると、リターンスプリングの押圧によりプランジャが外方向に移動してチェーンの弛みを吸収する。また、チェーンが緊張してプランジャが押し込まれると、シリンダ室内に閉じ込まれた作動油がシリンダ室とプランジャの摺動面間より外部にリークし、プランジャがゆっくりと後退動して、プランジャに付与される押し込み力を緩衝し、チェーンの張力を一定に保持する。 【0014】チェーンに伸びが生じると、リターンスプリングの押圧によりプランジャが外方向に移動してチェーンの伸びを吸収する。このとき、ガイド溝の垂直端面に当接するレジスタクリップは円周溝の第1のテーパ面の押圧により半径方向に弾性変形して隣接する円周溝に嵌まり込み、プランジャの外方向への移動を阻止することはない。 【0015】ここで、円周溝の内周に形成された第1のテーパ面のローラ軸心に対する傾斜角が大きい場合、その第1のテーパ面でレジスタクリップを半径方向に弾性変形させることが困難になるため、第1テーパ面のロッド軸心に対する傾斜角を45°以下にしておくのが好ましい。また、円周溝の内周に形成された第2テーパ面は、ロッドをロッドガイド内に挿入して押し込む組付け時にガイド溝の傾斜端面に沿ってレジスタクリップを弾性変形させる必要があるため、その第2テーパ面のロッド軸心に対する傾斜角を45°以下としておくのがよい。 【0016】エンジンが停止され、カムの停止位置の関係からチェーンが緊張してプランジャが押し込まれると、レジスタクリップがガイド溝の傾斜端面と円周溝の第2のテーパ面とで挾持される位置までプランジャが後退する。このため、チェーンはプランジャの後退量に相当する分だけ弛みが生じるのみであり、エンジンが再始動されてチェーンに弛みが生じても、その弛み量は少なく、プランジャの前進動によってその弛みを直ちに吸収することができる。 【0017】ガイド溝の傾斜端面は、チェーンの張力調整状態において、円周溝の第2テーパ面とでレジスタクリップを挾持してプランジャの後退量を制限し、ロッドの組付け時には第2テーパ面と協働してレジスタクリップを半径方向に弾性変形させる必要があるため、上記傾斜端面のロッドの軸心に対する傾斜角は45°以上としておくのがよい。 【0018】ここで、ロッドのフランジとプランジャの衝合面にシリンダ室内と外部とを連通する溝を形成しておくと、シリンダ室内の作動油中に空気が混入した場合に、その空気をその溝から外部に排出することができるため、ダンパ効果の低減を防止することができる。 【0019】また、ロッドガイドとロッドのうち、円周溝が形成された側の部材の端部に、ガイド溝に収容されたレジスタクリップをガイド溝に嵌まる状態で抜け止め状態に支持可能なストッパ溝を形成しておくと、チェーンを取り外すエンジン回りのメンテナンス時にロッドガイドからロッドが抜け出すのを防止することができる。 【0020】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1はカム軸駆動用のチェーン伝動装置を示し、クランク軸1の端部に取付けられたスプロケット2と、カム軸3の端部に取付けられたスプロケット4間にチェーン5がかけ渡され、そのチェーン5の弛み側チェーン5aにスリッパ6が接触されている。スリッパ6は軸7を中心として揺動自在に支持されている。また、スリッパ6はチェーンテンショナ10により押圧され、その押圧によってチェーン5は一定の張力に保持される。 【0021】図2に示すようにチェーンテンショナ10はエンジンブロックにねじ止めされるハウジング11を有する。ハウジング11には底付きのシリンダ室12と、そのシリンダ室12の底部において開口する給油通路13とが形成されている。 【0022】シリンダ室12にはプランジャ14が組込まれている。プランジャ14はシリンダ室12の内周面に沿って摺動自在な円筒部15を後端部に有し、先端部にはその円筒部15内と外部とを連通する空気抜き用の通路16が設けられている。 【0023】上記通路16の形成に際し、ここでは、プランジャ14の先端面から円筒部15に貫通するねじ孔17を形成し、そのねじ孔17にローラ18を圧入して、ねじ孔17のねじ溝を通路16としている。 【0024】シリンダ室12の底部には給油通路13を開閉するチェックバルブ20が組込まれている。チェックバルブ20は、弁孔21を有する弁プレート22と、その弁プレート22の弁孔21を開閉する弁体23と、この弁体23の開閉量を制限するリテーナ24とから成り、上記リテーナ24の外周に形成された円筒部24aに弁プレート22が圧入されて組立て状態に保持されている。 【0025】上記チェックバルブ20は、プランジャ14が外方向に移動してシリンダ室12内の圧力が低下したとき給油通路13を開放し、逆に、プランジャ14が押し込まれてシリンダ室12内の圧力が上昇すると、給油通路13を開放するようになっている。 【0026】チェックバルブ20とプランジャ14における円筒部15の底面間には、筒状のロッドガイド30と、そのロッドガイド30内に後端部が挿入されたロッド40とが組込まれている。 【0027】ロッドガイド30はチェックバルブ20のリテーナ24に衝合されるフランジ31を後端に有し、先端部の内周にはレジスタクリップ50を収容して、その移動量を制限するガイド溝32が形成されている。ここで、レジスタクリップ50は一部が切り離されて半径方向に弾性変形可能とされている。 【0028】図3(I)に示すように、ガイド溝32の軸方向で対向する一対の端面32a、32bのうち、先端側の端面32aはロッドガイド30の軸心に垂直な垂直端面とされ、一方、後端側の端面32bは上記軸心に対して傾斜する傾斜端面とされている。 【0029】図2に示すように、ロッド40はプランジャ14の円筒部15の底に衝合されるフランジ41を先端に有し、そのフランジ41とロッドガイド30のフランジ31間にリターンスプリング60が組込まれている。リターンスプリング60はロッド40のフランジ41を押圧してプランジャ14に外方向への突出性を付与しており、上記フランジ41のプランジャ14に衝合される先端面には通路16に連通する空気抜き用の溝42が形成されている。 【0030】ロッド40の外周にはレジスタクリップ50を保持する複数の円周溝43が軸方向に等間隔に形成され、最後端の円周溝43とロッド40の後端外周に設けられたテーパ面44との間にストッパ溝45が形成されている。 【0031】図3(I)に示すように、円周溝43の内周には、ロッド40の前進時における移動方向の後行側に第1テーパ面43aと、その第1テーパ面43aの前側に第1テーパ面43aと逆方向に傾斜する第2テーパ面43bと、両テーパ面43a、43bの交差部に設けられた円弧面43cとが形成され、上記円弧面43cで前記レジスタクリップ50を保持している。その保持状態において、レジスタクリップ50の外周部がガイド溝32内に嵌まり込んでいる。 【0032】第1テーパ面43aのロッド軸心に対する傾斜角α1 は、リターンスプリング60の押圧によるロッド40の前進時にレジスタクリップ50をガイド溝32の垂直端面32aに沿って拡径させる大きさに設定されている。 【0033】一方、第2テーパ面43bのロッド軸心に対する傾斜角α2 およびガイド溝32における傾斜端面32bのロッドガイド30の軸心に対する傾斜角α3 は、チェーン5からの押し込みによるロッド40の後退時に、第2テーパ面43bと傾斜端面32bとでレジスタクリップ50を挾持してロッド40の後退動を阻止すると共に、設定荷重を超えた荷重がロッド40に付与されてロッド40が後退するとき、第2テーパ面43bと傾斜端面32bとでレジスタクリップ50を拡径させる大きさに設定されている。 【0034】ここで、設定荷重とは、エンジンを停止し、カムの停止位置からチェーン5が緊張してロッド40を押し込む際の荷重、あるいは、エンジンの低速回転時にチェーン5からプランジャ14に付与される動的荷重のうち、大きい方の荷重をいう。 【0035】実験的には、第1テーパ面43aの傾斜角α1 および第2テーパ面43bの傾斜角α2 は45°以下であればよく、一方、傾斜端面32bの傾斜角α3 は45°以上あればよい。 【0036】図6(I)に示すように、ストッパ溝45には、ロッド前進時における移動方向の後行側にロッド軸心に垂直なストッパ面45aが形成され、かつ先行側にテーパ面45bが設けられている。テーパ面45bのロッド軸心に対する傾斜角α4 は、円周溝43の第2テーパ面43bと略同じ角度とされている。 【0037】実施の形態で示すオートテンショナは上記の構造から成り、このオートテンショナの組立てに際しては、ロッドガイド30、ロッド40およびリターンスプリング60をハウジング11の外部において予め組立てる。 【0038】その組立てに際しては、図6に示すように、ロッドガイド30のガイド溝32内にレジスタクリップ50を挿入し、ロッドガイド30の外側にリターンスプリング60を嵌め、ロッドガイド30の先端から内部にロッド40の後端を挿入し、レジスタクリップ50の内周にロッド40の後端外周に設けられたテーパ面44を接触させた状態でロッド40を押し込むようにする。ロッド40の押し込み時、ガイド溝32の傾斜端面32bに衝合して停止状態に保持されたレジスタクリップ50はロッド40の後端のテーパ面44で押圧されて拡径し、ロッド40の後端部に設けられたストッパ溝45がレジスタクリップ50と対向する位置までロッド40が押し込まれると、レジスタクリップ50が縮径してストッパ溝45に嵌合し、その嵌合によってロッド40は抜け止めされ、ロッドガイド30、ロッド40およびリターンスプリング60は組立て状態に保持される。 【0039】上記組立体の形成後、ハウジング11のシリンダ室12内にチェックバルブ20および組立て体を挿入し、さらにプランジャ14を挿入して、そのプランジャ14をプレスにより押し込むようにする。 【0040】図5はシリンダ室12内にプランジャ14を挿入した状態を示し、その状態からプランジャ14を押し込むと、ロッド40がロッドガイド30内に押し込まれる。このとき、レジスタクリップ50はガイド溝32の傾斜端面32bに当接して停止状態に保持され、その停止状態にあるレジスタクリップ50の内周にストッパ溝45のテーパ面45bおよび各円周溝43の第2テーパ43bが順次接触してレジスタクリップ50は押圧する。この押圧力は設定荷重を超える大きさであるため、レジスタクリップ50はストッパ溝45のテーパ面45bおよび各円周溝43の第2テーパ面43bと接触するたびに拡径してロッド40の軸方向の移動を許容する。 【0041】図7は、プランジャ14を完全に押し込んだオートテンショナ10の組立て状態を示し、その組立て状態を維持してオートテンショナ10をエンジンブロックに組付ける。その組付けを容易とするため、ハウジング11の先端部にシリンダ室12の外周一部を横切るピン孔70を形成し、そのピン孔70にセットピン71を挿入してプランジャ14の先端部外周に設けられた肩14aとセットピン71との係合によりプランジャ14を押し込み状態に保持している。 【0042】オートテンショナ10の組付け後において、セットピン71を引き抜くと、ロッド40およびプランジャ14がリターンスプリング60の押圧によって外方向に移動し、図1に示すように、スリッパ6を介してチェーン5を押圧する。 【0043】ここで、プランジャ14およびロッド40が外方向に移動するとき、レジスタクリップ50はガイド溝32の垂直端面32aに押し付けられて停止状態に保持され、ロッド40の外周に設けられた複数の円周溝43の第1テーパ面43aはロッド先端の円周溝43の第1テーパ面43aから順にレジスタクリップ50の内周に接触してレジスタクリップ50を拡径させ、ロッド40の外方向への移動を許容する。 【0044】図1に示すようなチェーン5の張力調整状態において、チェーン5が緊張し、スリッパ6を介してプランジャ14が押し込まれると、給油通路13からシリンダ室12内に供給された作動油を圧縮する。このとき、チェックバルブ20は給油通路13を閉じ、作動油はプランジャ14とシリンダ室12の摺動面から外部にリークし、プランジャ14がゆっくりと後退してプランジャ14を押圧する押し込み力を緩衝し、チェーン5の張力を一定に保持する。 【0045】一方、チェーン5に弛みが生じると、リターンスプリング60の押圧によりプランジャ14が前進する。このとき、シリンダ室12内の圧力が低くなるため、チェックバルブ20は給油通路13を開放し、その給油通路13からシリンダ室12内に作動油が供給されるため、プランジャ14は急速に外方向に移動してチェーン5の弛みを吸収する。 【0046】チェーン5の張力調整時、ロッド40の1つの円周溝43における円弧面43cを挾持するレジスタクリップ50は、図3(I)に示すガイド溝32内において移動する。 【0047】上記レジスタクリップ50がガイド溝32の垂直端面32aと傾斜端面32bに当接するプランジャ14の最大戻り行程をL0 とすると、この最大戻り行程L0 はチェーン5から作用する力で油圧ダンパによりプランジャ14が変位する距離より大きく、また、エンジンの低速から高速におけるプランジャ14の変位量より大きい長さとされている。 【0048】チェーン5が摩擦等によって伸びが生じ、その伸びが上記最大戻り行程L0 より大きい場合、レジスタクリップ50は図3(I)に示すように、ガイド溝32の垂直端面32aに当接して停止保持され、プランジャ14およびロッド40はリターンスプリング60の押圧により外方向に移動し、レジスタクリップ50は円周溝43の第1テーパ面43aで押されて拡径し、上記円周溝43aの後方の円周溝43がレジスタクリップ50と対応する位置までプランジャ14およびロッド40が外方向に移動して、チェーン5の伸びを吸収する。 【0049】エンジンを停止すると、カムの停止位置の関係からプランジャ14が押し込まれることがある。また、登り坂道においてチェンジレバーを前進ギヤに入れた状態あるいは下り坂道でバックギヤに入れたまま停止したとき、エンジンは逆転し、プランジャ14が押し込まれる。 【0050】その押し込み開始時に、レジスタクリップ50がガイド溝32の垂直端面32aに当接している場合、このレジスタクリップ50はロッド40と共に後退してガイド溝32の傾斜端面32bに当接して停止し、その停止状態のレジスタクリップ50に第2テーパ面43bが係合してロッド40は最大戻り行程L0 だけ押し込まれて停止する。 【0051】一方、レジスタクリップ50が図3(II)に示すように、隣接する円周溝43間に配置されている場合、プランジャ14及びロッド40は、図3(III )に示すように、最大戻り行程L0 に寸法L1 を加えた距離(L0 +L1 )だけ押し込まれて停止する。 【0052】このため、チェーン5はプランジャ14の後退量に相当する分だけ弛みが生じるのみであり、エンジンが再始動されてもチェーン5に大幅に弛みが生じることがなく、スプロケット2、4からチェーン5が外れたり、歯飛びが生じるのを防止することができる。 【0053】エンジン周りのメンテナンスによってチェーン5が取外しされた場合、プランジャ14およびロッド40はリターンスプリング60の押圧により外方向に移動する。このとき、レジスタクリップ50はガイド溝32の垂直端面32aに当接して停止状態とされ、その停止状態のレジスタクリップ50内をロッド40の外周に設けられた複数の円周溝43が順に通過し、ロッド40の後端部に設けたストッパ溝45のストッパ面45aが図5および図6(II)に示すように、レジスタクリップ50に当接するとロッド40は停止し、ロッド40およびプランジャ14が抜け止めされる。 【0054】このため、チェーンテンショナ10を構成する各種部品がバラバラに分解されるのを防止することができると共に、上記プランジャ14をプレスによって押し込むことによって、図7(I)に示す初期の組立て状態に戻すことができる。 【0055】図8(I)、(II)は、この発明に係るチェーンテンショナ10の他の例を示す。この例におけるチェーンテンショナと先に述べた図2に示すチェーンテンショナ10とはロッドガイド30の内周に複数の円周溝43を等間隔に形成すると共に、ロッドガイド30の先端部内周にストッパ溝45を形成し、そのロッドガイド30の内側に挿入されたロッド40の後端部外周にガイド溝32を形成した点で相違し、作用については同じであるため、説明を省略する。 【0056】 【発明の効果】以上のように、この発明においては、チェーンの張力を常に一定に保持することができると共に、ロッドガイドの内周とロッドの外周の一方に形成されたガイド溝および他方に形成された円周溝の溝形状は単純であるため、加工が容易であり、しかも、その加工に精度の高い加工が要求されず、製造が容易である。 【0057】また、ガイド溝の傾斜端面と円周溝の第2テーパ面とでレジスタクリップを挾持することによってプランジャの戻り量が制限されるため、エンジンの停止時に、カムの停止位置の関係からチェーンが緊張されても、プランジャは大きく後退せず、エンジンの再始動時にチェーンが大きく弛むのを防止することができる。 【0058】さらに、エンジン回りのメンテナンスによりチェーンが取外しされ、プランジャがリターンスプリングの押圧により外方向に移動すると、ストッパ溝のストッパ面がレジスタクリップに当接してプランジャが抜け止めされるため、チェーンテンショナの構成部品がバラバラに分解されるのを防止することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000102692 【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月9日(1999.9.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074206 【弁理士】 【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−82558(P2001−82558A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月27日(2001.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−255211 |
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