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【発明の名称】 変速機の潤滑機構
【発明者】 【氏名】河添 実

【氏名】西村 茂

【要約】 【課題】変速機を大型化したり重量を増加させたりすることなく、パイロットニードルベアリングの寿命を大幅に向上できる変速機の潤滑機構を提供する。

【解決手段】ミッションケース2内のカウンタギヤ20〜25等により掻き上げられた潤滑油Aが、内側壁2cの潤滑油受け部を兼ねた潤滑油樋32に沿って先端壁2dの潤滑油孔33へ向かって流下し、潤滑油孔33を通ってクラッチハウジング7の潤滑油路34よりインプットシャフト3の油孔3cの入口に至るが、潤滑油Aが潤滑油孔33内を通るときに底部に取り付けた半円弧形磁石36によって潤滑油A中の異物を吸着して除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ミッションケース内のインプットシャフトとメインシャフトとの間に介設されたパイロットニードルベアリングに潤滑油を供給するための変速機の潤滑機構において、前記インプットシャフトのシャフト部から該インプットシャフトの基端部のパイロットニードルベアリングを装着する中心孔に連通する複数の油孔だけを穿設し、前記ミッションケース内側壁に形成された潤滑油受け部から前記インプットシャフトに設けられた前記油孔の入口に至る潤滑油通路の途中に、磁石を設けたことを特徴とする変速機の潤滑機構。
【請求項2】 前記潤滑油通路が、前記ミッションケースの先端壁を貫通する潤滑油孔と、前記ミッションケースの内側壁に形成され前記潤滑油孔に向けて漸次下向きに傾斜し且つ内方へ突出して潤滑油受け部を兼ねた潤滑油樋と、前記ミッションケースとこの先端壁に結合されるクラッチハウジングとの間に形成され前記潤滑油孔の出口および前記インプットシャフトの油孔の入口にそれぞれ連通する潤滑油路とからなる請求項1記載の変速機の潤滑機構。
【請求項3】 前記潤滑油孔内の底部に、半円弧形磁石をその凹状部を上向きにして取り付けた請求項2記載の変速機の潤滑機構。
【請求項4】 前記ミッションケースの外側壁より前記潤滑油樋内の最下端部付近に向けて該側壁を貫通するネジ孔を設け、棒状磁石を先端に連接したボルトを該棒状磁石が前記潤滑油樋内を横切るように前記ネジ孔に取り外し可能に螺着した請求項2記載の変速機の潤滑機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、四輪自動車や二輪自動車などのエンジンに組み合わせて使用される変速機の潤滑機構に関し、詳しくは、ミッションケース内のインプットシャフトとメインシャフトとの間に介設されたパイロットニードルベアリングに潤滑油を供給するための変速機の潤滑機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】図6に示すように、ミッションケース2内の先端部においてインプットシャフト3のトップギヤ12部分の基端部に設けられた中心孔3b内に、メインシャフト4の先端部分であるパイロット部4aが挿入され、パイロットニードルベアリング13を介して相対的に回転自在に接続されている。パイロット部4aとその周囲のパイロットニードルベアリング13間の潤滑機構に関する従来技術としては、例えば、図6に示すようにインプットシャフト3のトップギヤ12部分の歯底からパイロットニードルベアリング13が装着されている中心孔3b内に臨ませて複数の油孔41を半径方向に穿設するとともに、カウンタシャフト5のカウンタギヤ20等により掻き上げられる潤滑油を受けて先端のクラッチハウジング7側へ案内する油樋42を、ミッションケース2の内側壁2cに設け、油樋42に連通する潤滑油孔43をミッションケース2の先端壁2dにクラッチハウジング7に臨ませて設け、インプットシャフト3のシャフト部3aの根元から中心孔3b内に臨ませて複数の油孔3cを穿設している。この構造により、■潤滑油Aはトップギヤ12部の油孔41から中心孔3b内に流入するとともに、■潤滑油Aが油樋42から潤滑油孔43および油孔3cを経由して中心孔3b内に流入し、パイロット部4aとその周囲のパイロットニードルベアリング13間を潤滑する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来の潤滑機構では、下記のような点で改良の余地がある。すなわち、パイロットニードルベアリング13(図6)を潤滑する潤滑油中に多量の金属性の粉が混入すると、パイロットニードルベアリング13の表面および相手方のパイロット部4a(図6)の表面の摩耗が促進されるために、変速機の寿命あるいはメンテナンスの間隔を延ばすことが難しい。変速機において、パイロットニードルベアリング13を介装しているメインシャフト4のパイロット部4aは、走行中は常に負荷が作用しており、また面圧も高いことから潤滑油中の金属粉の影響が大きく、メンテナンスのインターバル(期間)、とくに潤滑油の交換時期を決定する大きな要因となり、ひいては変速器の寿命に大きな影響を与える。従来、潤滑油中に金属粉が混入するのを防ぐための対策として、変速器のオイルドレーン部に磁石を取り付けて金属粉を取り除くことが行われているが、オイルドレーン部の付近を循環する潤滑油だけの部分的な金属粉の除去となるため、変速器のとくにパイロットニードルベアリング部の長寿命化を図ろうとすると、必ずしも十分といえない面がある。また寿命を延長するために、例えば、パイロットニードルベアリング13の外径を大きくしたり、ベアリング13の数を増加したりすることが考えられるが、変速器が大型化し、重量も増加するおになることから、軽量小形化が要求される自動車用変速器としては望ましくない。
【0004】ところで、パイロットニードルベアリング13の表面および相手方のパイロット部4aの表面が摩耗する大きな要因は、特にギヤの噛合部において摩耗が発生しやすく、このときに生じる細かい金属粉の異物が潤滑油に混入し、上記した潤滑油経路■から潤滑油とともに異物が侵入するからである。
【0005】この発明は上述の点に鑑みなされたもので、変速器を大型化したり重量の増加を招くことなく、パイロットニードルベアリング部の寿命を大幅に向上できる変速機の潤滑機構を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために本発明に係る変速機の潤滑機構は、ミッションケース内のインプットシャフトとメインシャフトとの間に介設されたパイロットニードルベアリングに潤滑油を供給するための変速機の潤滑機構において、前記インプットシャフトのシャフト部の該インプットシャフト基端部のパイロットニードルベアリングを装着する中心孔に連通する複数の油孔を穿設し、前記ミッションケース内側壁に形成された潤滑油受け部(潤滑油通路の一部、実施例では潤滑油樋)から前記インプットシャフトのシャフト部に設けられた前記油孔の入口に至る潤滑油通路の途中に、磁石を設けている。
【0007】上記の構成を有する本発明の潤滑機構によれば、ミッションケース内側壁の潤滑油受け部からインプットシャフトの油孔の入口に至る潤滑油通路に磁石を設けたので、潤滑油に混入された異物が磁石に吸着されて除去されるので、インプットシャフトの油孔から異物が混入するのが防止される。この結果、異物がメインシャフトのパイロット部とパイロットニードルベアリングの間に侵入するのが阻止され、パイロット部の表面やパイロットニードルベアリングの表面が摩耗するのが抑止され、変速機の寿命やメンテナンス間隔を延長することができる。なお、異物は主にギヤの噛合部等が摩耗した金属粉からなるため、磁石に吸着される。
【0008】請求項2に記載のように、前記潤滑油通路を、前記ミッションケースの先端壁を貫通する潤滑油孔と、前記ミッションケースの内側壁に形成され前記潤滑油孔に向けて漸次下向きに傾斜し且つ内方へ突出して潤滑油受け部を兼ねた潤滑油樋と、前記ミッションケースとこの先端壁に結合されるクラッチハウジングとの間に形成され前記潤滑油孔の出口および前記インプットシャフトの油孔の入口にそれぞれ連通する潤滑油路とから構成することができる。
【0009】請求項2記載の潤滑機構によれば、ミッションケース内のカウンタギヤ(中間歯車)等により掻き上げられた潤滑油が、内側壁から内方突出する潤滑油受け部を兼ねた潤滑油樋で受けられ、この潤滑油は潤滑油樋に沿って先端壁の潤滑油孔へ向かって流下し、潤滑油孔を通ってクラッチハウジングの潤滑油路よりインプットシャフトの油孔の入口に至るが、この間に磁石によって潤滑油中の異物が吸着除去される。また、潤滑油樋が全長にわたり内方へ突出し潤滑油を受け取るので、掻き上げられる潤滑油を必要かつ十分に受け取れる。
【0010】請求項3に記載のように、前記潤滑油孔内の底部に、半円弧形磁石をその凹状部を上向きにして取り付けることができる。
【0011】請求項3記載の潤滑機構によれば、クラッチハウジングが装着されるミッションケースの先端壁に貫通して設けられる潤滑油孔は、孔の口径を任意に調整できるので、比較的大きく形成することにより、半円弧形の磁石に異物が吸着しても潤滑油の流れが阻害されにくい。また潤滑油孔の底部に磁石を設けているので、潤滑油中に混入した異物は沈降状態で通路(潤滑油孔)の底部に沿って流れるので、異物を効率よく吸着する。
【0012】請求項4に記載のように、前記ミッションケースの外側壁より前記潤滑油樋内の最下端部付近に向けて該側壁を貫通するネジ孔を設け、棒状磁石を先端に連接したボルトを該棒状磁石が前記潤滑油樋内を横切るように前記ネジ孔に取り外し可能に螺着することが好ましい。
【0013】請求項4記載の潤滑機構によれば、潤滑油樋に沿って流下する潤滑油中に混入している異物が、潤滑油樋を横切る棒状磁石に吸着され、除去される。そして、棒状磁石に吸着した異物は、定期的にミッションケースの外側から棒状磁石が連接されたボルトを回転させてネジ孔から抜き取ることにより清掃し、元の状態に戻すことができるので、一旦磁石に吸着した異物がパイロットニードルベアリング部分に流れ込んだり、磁石に吸着した異物で潤滑油の流れが阻害されたりしない。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る変速機の潤滑機構の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】図1は本発明の実施例に係る潤滑機構を備えた変速機を示す縦断面図、図2は図1の変速機の主要部である潤滑機構を示す縦断面図、図3はクラッチハウジングを取り外した状態のミッションケースの先端面を示す正面図である。
【0016】図1に示すように、変速機1は、ミッションケース2内の上部にインプットシャフト(入力軸)3とメインシャフト4(本例では出力軸を兼ねる)とを一連にそれぞれを回動自在に備え、またメインシャフト4の下部にカウンタシャフト5を、このカウンタシャフト5に隣接してリバースシャフト6をそれぞれ回動自在に備えている。ミッションケース2の先端面には、椀状のクラッチハウジング7がボルト8により一体に取り付けられている。インプットシャフト3は、シャフト部分3aの先端がクラッチハウジング7内へ突き出してエンジン側のベアリング(図示せず)で支承され、後端側である基端側がミッションケース2の先端壁2dのベアリング孔2a内に、軸受9を介して回動自在に支持されている。さらに、ミッションケース2の上端には、コントロールボックス10が一体に取り付けられ、コントロールボックス10内にギヤシフト機構11がメインシャフト4と平行に配設されている。
【0017】インプットシャフト3の基端部周囲にトップギヤ12を一体に備え、また基端面の中心部に先端へ向けて中心孔3bが形成されている。この中心孔3b内にパイロットニードルベアリング13が装着され、そこにメインシャフト4の先端部のパイロット部4aが挿入され、メインシャフト4の先端部がパイロット部4a側のパイロットニードルベアリング13を介装して、インプットシャフト3に対し相対回転可能に支持されるとともに、後端部(出力端側)がミッションケース2の後部に設けられる軸受14を介して、ミッションケース2に対し回動自在に支持されている。インプットシャフト3のシャフト部3aの根元3eから中心孔3bに臨ませて複数(3〜5)本の、従来例で示したものに比べてやや大きめの油孔3cが円周方向に等間隔に穿設されている。一方、従来例で示したトップギヤ12の歯底から中心孔3bに連通する油孔(図6の符号41参照)は設けられておらず、パイロットニードルベアリング13への潤滑油の供給は油孔3cを介して実質的に行われる。
【0018】メインシャフト4上には、先端側から基端側にかけて順に、オーバードライブギヤ15・サードギヤ16・セカンドギヤ17・ローギヤ18・リバースギヤ19が一定の間隔をあけ、それぞれニードルベアリング15a〜19aを介して回動自在に配装されている。上記の各ギヤ15〜19の側壁内周部から潤滑油孔31を対応するニードルベアリング15a〜19aに臨ませて穿設している。また、カウンタシャフト5上に、インプットシャフト3のトップギヤ12およびメインシャフト4のオーバードライブギヤ15〜リバースギヤ19に対応するカウンタギヤ20〜25が先端側から基端側にかけて順に且つそれぞれ一体回転可能に装着され、対応するインプットシャフト3とメインシャフト4側の変速ギヤ(リバースギヤ19を除く)と常に噛合している。なお、カウンタシャフト5は、先端と後端が軸受27・27を介してミッションケース2内に回動自在に支承されている。リバース用ギヤ25はリバースシャフト6上のリバースギヤ26と常に噛合し、リバースギヤ26は同時にメインシャフト4上のリバースギヤ19にも噛合している。
【0019】さらに、インプットシャフト3のトップギヤ12とメインシャフト4のオーバードライブギヤ15の間、メインシャフト4上のサードギヤ16とセカンドギヤ17の間およびローギヤ18とリバースギヤ19の間には、セレクタースリーブ28・29・30がそれぞれ隣接するギヤ間に配設され、各セレクタースリーブ28〜30と各変速ギヤ12・15〜19間にシンクロナイザー28a・28b・29a・29b・30a・30bが介設されている。各セレクタースリーブ28〜30には、ギヤシフト機構11のシフトフォーク11a・11b・11cがそれぞれ選択的に移動可能に接続されている。
【0020】上記の変速機1において、本発明の特徴部分であるパイロットニードルベアリング13部位への潤滑油の供給機構(潤滑機構)は、以下のように構成されている。
【0021】図3に示すように、ミッションケース2の先端壁2dの両側でベアリング孔2aの中心よりやや上部寄りに潤滑油孔33がそれぞれ貫通して穿設され、またミッションケース2の両側の内側壁(内壁)2c(図2も併せて参照)には、上方が開放され内側壁から内方に突出した略U字状の潤滑油樋32が、図1・図2に示すように上部の先端壁2dの後方に離れた位置から先端壁2dの両側の潤滑油孔33に向け下向きに傾斜して形成されている(図4も併せて参照)。すなわち、これらの潤滑油樋32は、図3のように下側の樋部32aが全長にわたり内方へ張り出し、上方が開放されているので、ギヤ等で跳ね上げられた潤滑油を集める潤滑油受け部を形成している。ミッションケース2内には、カウンタシャフト5上のカウンタギヤ20〜25が浸かる程度に潤滑油が注入され、カウンタギヤ20〜25が回転することによって潤滑油が上方に掻き上げられ、その一部が潤滑油樋32で受け取られる。
【0022】図2・図3に示すように、クラッチハウジング7の、ミッションケース2の先端壁面2dと接する面には、ベアリング孔2aよりやや口径の小さい凹状の空間部(潤滑油路)34が形成され、また空間部34から両側の潤滑油孔33に向けて潤滑油通路35がそれぞれ形成されている。なお、空間部34には、図2のようにインプットシャフト3の軸受9の支持部3dが挿入されるので、支持部3dの周囲が実際の潤滑油路34として機能することになる。そして、本例では、両側の潤滑油孔33内の底部に、半円弧形の磁石36がそれぞれ図3のように嵌着されている【0023】上記のようにして構成された本発明の実施例に係る潤滑機構を備えた変速機について、潤滑態様を説明する。
【0024】図1において、ミッションケース2内には、上記したとおりカウンタシャフト5周囲のカウンタギヤ20〜25が浸かる程度に潤滑油が注入されているから、カウンタギヤ20〜25が回転することによって潤滑油が上方に掻き上げられ、掻き上げられた潤滑油は、インプットシャフト3のトップギヤ12やメインシャフト4の各変速ギヤ15〜19等に供給される。各変速ギヤ15〜19にかかった潤滑油の一部は、それぞれの潤滑油孔31を通って対応する各ニードルベアリング15a〜19aに供給される。さらに、掻き上げられた潤滑油の一部Aが図2のように潤滑油樋32上に溜り、潤滑油樋32に沿って先端の潤滑油孔33へ向かって流下する。そして、潤滑油孔33内を通って潤滑油Aがクラッチハウジング7の潤滑油通路35へ流れる時に、潤滑油A中に混入している異物(金属粉等)が磁石36に吸着し、潤滑油Aから除去される。この潤滑油Aは、クラッチハウジング7とミッションケース2間の空間部(潤滑油路)34を通ってインプットシャフト3の油孔3cの入口に達し、油孔3cから中心孔3b内に流入し、パイロット部4aおよび周囲のパイロットニードルベアリング13を潤滑する。潤滑油Aは全てが磁石36の近傍を通過し、金属粉が除去されるためパイロットニードルベアリング13やパイロット部4aの表面の金属粉による摩耗が抑止されメンテナンス間隔の延長が可能になるとともに、ひいては寿命が延長される図4および図5は他の実施例に係る潤滑機構を示すもので、図4はミッションケースの先端側上部を拡大して示す斜視図、図5はミッションケースの正面図および棒状磁石付きボルトの一部を断面で表した正面図である。
【0025】図4および図5に示すように、ミッションケース2両側の内側壁2cの上部には、先端壁2dに対して後方寄り(先端壁2dから離れた位置)の上端付近から先端壁2dの潤滑油孔33にかけて漸次下向きに傾斜する潤滑油樋32が、図5のように内方へ突出して受け皿状に形設されている。この潤滑油樋32の最下位置付近に、ミッションケース2の外側(外側壁)2eから潤滑油樋32上の潤滑油通路に向けてネジ(ボルト)孔37が貫通して穿設されている。そして、短尺のボルト38の先端中心部に、図5のようにボルト38のネジ部38aの外径より小径の棒状磁石39を一体に連接し、このボルト38をネジ孔37に螺合して締め付けている。なお図示は省略するが、パッキン(図示せず)をボルト38の頭部38bと外側壁2eとの間に介装している。一方、上記実施例で使用した半円弧形磁石36は、潤滑油孔33から取り除いている。その他の構成については、上記実施例に共通するので、共通する構成部材を同一の符号を用いて図中に示し説明を省略する。
【0026】さて、本実施例の潤滑機構によると、図2のようにエンジン(図示せず)の運転中にミッションケース2内に貯留された潤滑油Aがカウンタギヤ20〜25(図1参照)によって掻き上げられ、掻き上げられるたびに潤滑油樋32上に潤滑油Aの一部が溜る。潤滑油Aは潤滑油樋32に沿って先端の潤滑油孔33側へ流下する。そして潤滑油樋32の最下位置付近において、図5のように潤滑油A中に混入している異物(主に金属粉)が棒状磁石39に吸着され、潤滑油A中から除去される。こうして異物が除去された潤滑油Aが、図2のように潤滑油孔33を通ってクラッチハウジング7との間の潤滑油通路35・潤滑油路34からインプットシャフト3の油孔3cの入口に達し、さらに油孔3cから中心孔3b内に流入し、パイロット部4aおよび周囲のパイロットニードルベアリング13を潤滑する。棒状磁石39(図5参照)には潤滑油A中の異物が徐々に吸着されていくが、ボルト38は図4のようにミッションケース2の外側壁2eに設けられ、簡単に手の届く位置にあるので、定期的にボルト38を回転して緩め、ネジ孔37から取り外して清掃することができる。また、図5に示すように棒状磁石39の外径はネジ孔37の口径より小さくしてあるので、ボルト38を抜き出すときに異物がネジ孔37の周囲に当たって潤滑油樋32上に落下することはない。
【0027】(別の実施例)上記に本発明の潤滑機構について2つの実施例を示したが、本発明は次のように実施することもできる。
【0028】■ カウンタギヤ等によって掻き上げられる潤滑油が受け止められたのち、インプットシャフト3の油孔3cの入口に至る潤滑油の通路の途中であれば、いずれの位置に磁石を配置してもよいが、望ましくは油孔3cにできるだけ近い位置で、しかも磁石に異物が吸着しても潤滑油の流れが阻害されない位置がよい。
【0029】■ 異物が吸着しても潤滑油の流れが阻害されない位置であれば、とくに磁石を取り外し可能な構造にする必要はないが、例えば上記した第1実施例の磁石36と第2実施例の棒状磁石39との両磁石を組み合わせて設けることにより、棒状磁石39で除去できなかった異物を下流側の磁石36で除去するようにし、異物の除去能力を向上することもできる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、本発明に係る変速機の潤滑機構には、次のような効果がある。
【0031】(1) ミッションケース内側壁の潤滑油受け部(潤滑油通路の一部)からインプットシャフトの油孔の入口に至る潤滑油通路に磁石を設けて、潤滑油に混入する異物を磁石で吸着して除去するようにしたので、インプットシャフトの油孔から金属粉が混入するのを防止することができる。この結果、メインシャフトのパイロット部の表面やパイロットニードルベアリングの表面の摩耗が抑止され、変速機を大型化することなく、変速機の寿命が従来に比べて大幅に延長される。
【0032】(2) 請求項2に記載の発明では、ミッションケース内のカウンタギヤ等により掻き上げられた潤滑油が、内側壁の潤滑油受け部を兼ねた潤滑油樋で受けられ、この潤滑油は潤滑油樋に沿って先端壁の潤滑油孔へ向かって流下し、潤滑油孔を通ってクラッチハウジングの潤滑油路よりインプットシャフトの油孔の入口に至るが、この間に磁石によって潤滑油中の異物が吸着除去される。
【0033】(3) 請求項3に記載の発明では、クラッチハウジングが装着されるミッションケースの先端壁に貫通して設けられる潤滑油孔は、口径を任意に調整できるので、比較的大きく形成することにより、半円弧形の磁石に異物が吸着しても潤滑油の流れが阻害されにくく、また潤滑油孔の底部に磁石を設けているので、潤滑油中に混入した異物は沈降状態で通路(潤滑油孔)の底部に沿って流れるので、異物を効率よく吸着することができる。
【0034】(4) 請求項4に記載の発明では、棒状磁石に吸着した異物を定期的にミッションケースの外側から棒状磁石が連接されたボルトを回転させてネジ孔から抜き取ることにより清掃し、元の状態に戻すことができるので、一旦磁石に吸着した異物がパイロットニードルベアリング部分に流れ込んだり、磁石に吸着した異物で潤滑油の流れが阻害されたりしない。
【出願人】 【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
【出願日】 平成11年9月2日(1999.9.2)
【代理人】 【識別番号】100085291
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥巣 実 (外1名)
【公開番号】 特開2001−74128(P2001−74128A)
【公開日】 平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願番号】 特願平11−248279