| 【発明の名称】 |
動力伝達装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】蓮見 学
【氏名】石井 岳
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| 【要約】 |
【課題】有効な耐ジャミング機能を備えかつジャミングが生じた状態でも舵面を駆動する速度および駆動力が大きく変動しないで被駆動部を駆動できる動力伝達装置を提供する。
【解決手段】駆動源1の動力を差動歯車機構3により二つに分岐し、それぞれの駆動軸5と駆動軸6の回転を遊星歯車機構11、12を内蔵する減速機構8、減速機構9に入力し、かつ減速機構8の固定太陽歯車部17を固定部7に固定し、回転出力部14を減速機構9の固定太陽歯車部18に連接部10により連接し、減速機構9の回転出力部15に舵面16を連接して駆動できるようにする。かかる構成において、正常な状態においては二つの伝達経路の駆動力が加算されて負荷を駆動し、一つの伝達経路の機構に固着が生じても、残りの伝達経路が固着した伝達経路を固着した状態で動力伝達経路となすように固着部を含めて負荷を駆動することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】動力源の回転または直線運動の動力を増速または減速して負荷側に伝達し負荷を駆動する動力伝達装置において、前記動力を増速または減速し伝達する伝達経路を2個以上並設し、正常時は前記全ての伝達経路からの駆動力が加算されて負荷を駆動し、1個の伝達経路が不正常のときは、残りの伝達経路が不正常伝達経路をそのままの状態で動力伝達経路となすように構成したことを特徴とする動力伝達装置。 【請求項2】動力源の回転または直線運動の動力を増速または減速して負荷側に伝達し負荷を駆動する動力伝達装置において、前記動力源と増速または減速し伝達する伝達経路からなる駆動系を2個以上並設し、正常時は1個の駆動系により負荷を駆動し、1個の駆動系が不正常のときは、他の駆動系に切り替えるとともに、不正常の駆動系における伝達経路をそのままの状態で動力伝達経路に含めるように構成したことを特徴とする動力伝達装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えば航空機の操縦系統の舵面の駆動系において、有効な耐ジャミング機構を備えた動力伝達装置に関する。 【0002】 【従来の技術】航空機の操縦は、飛行中機体の一部の形状を変えて空力的な力(揚力や抗力など)を発生させ、機体に姿勢を変えるモーメントを発生させて上昇、下降、方位転換などを行っている。機体の形状を変える部位を舵面と称する。通常、これらの舵面は、水平尾翼、垂直尾翼、主翼に複数設けられていて、パイロットの操縦操作に応じて制御器を介して関係する舵面に操作信号が伝達され、その信号に追従して舵面を変位させる動力伝達装置が駆動され、舵面が操作信号に対応する角度まで変位し、前記空力が発生して機体の姿勢が変わり、上昇、下降、方位転換などの操縦が行われる。舵面を変位させるためには通常サーボアクチュエータが使用され、アクチュエータは舵面に作用する空力に抗して前記制御器の信号に応答性良く追従する必要があるため、大きな出力が発生でき、かつ応答性に優れる油圧サーボアクチュエータが用いられてきた。しかし、油圧を使用することで油圧源が必要になることと、作動油の配管が必要になることなど重量が嵩む。 【0003】一方、近時小形軽量高出力の高性能電動機が開発され、油圧を使用しない電動サーボアクチュエータにより前記油圧サーボアクチュエータを置き換える検討が進んでいる。この種の電動サーボアクチュエータは、電動機の動力を減速機を介して舵面に作用させるように構成するのが通例であるが、その伝達径路上で固着(ジャミング)が生じると舵角変更不能となり、航空機の致命的な事故に直結する恐れがある。このような不具合に鑑みて、従来、ジャミングによる操縦不能を防止すべく、駆動源を複数とし、一部がジャミングしても他の系統で作動が継続できるようにしたものが考えられている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】従来のジャミング対策としては、動力伝達経路を分割するか、分離する方法がとられている。ジャミング部を分離するいわゆるクラッチ方式あるいはシアーセクション方式と呼ばれるものか、動力伝達経路を分割する遊星歯車機構あるいは差動歯車機構の何れかが採用されているのが通例である。しかるに、前者の方式は、リリーストルクの設定が困難であるという不都合がある。また後者の方式では、通常作動時に比べジャミング時に出力(速度や駆動力)が大きく変化する欠点がある。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、有効な耐ジャミング機能を備えかつ出力の変動の少ない動力伝達装置を提供することを目的とする。 【0005】 【問題を解決するための手段】上記の課題を解決するために本発明の動力伝達装置は、動力源の回転または直線運動の動力を増速または減速して負荷側に伝達し負荷を駆動する動力伝達装置において、前記動力を増速または減速し伝達する伝達経路を2個以上並設し、正常時は前記全ての伝達経路からの駆動力が加算されて負荷を駆動し、1個の伝達経路が不正常のときは、残りの伝達経路が不正常伝達経路をそのままの状態で動力伝達経路となすように構成する。さらに、本発明の動力伝達装置は、動力源の回転または直線運動の動力を増速または減速して負荷を駆動する動力伝達装置において、前記動力源と増速または減速し伝達する伝達経路からなる駆動系を2個以上並設し、正常時は1個の駆動系により負荷を駆動し、1個の駆動系が不正常のときは、他の動力源に切り替えるとともに、不正常の駆動系における伝達経路をそのままの状態で動力伝達経路に含めるように構成する。 【0006】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例の構成を図1および図2を使用して説明する。図1は、本発明が提供する動力伝達装置(以下本装置と称する)の一例の構成を示し、図2は本発明の概念構成を示す斜視図である。図1において、本装置は駆動源(電動機などの原動機)1と従動伝達機構2と従動伝達機構2の二つの出力軸である駆動軸5と駆動軸6にそれぞれ連接されている減速機構8と減速機構9とからなる。さらに、減速機構8は本装置と被駆動部16を固定部7に固定する二つのアーム13a、13bを具備する。さらに、減速機構8と減速機構9はそれぞれの出力が加算されるように連接部10により連接されている。減速機構9の回転出力部15に被駆動部16が連接される。 【0007】駆動源1の軸19は、差動歯車機構3および伝達歯車4aおよび4bからなる従動伝達機構2の前記差動歯車機構3の入力軸となる。入力された駆動力は、差動歯車機構3により動力伝達経路が二つに分岐され、その一方は伝達歯車4aを介して減速機構8の入力軸である駆動軸5に伝達され、駆動太陽歯車11a、遊星歯車11b、11d、固定太陽歯車11c、被駆動太陽歯車11eからなる遊星歯車機構11で減速されて被駆動太陽歯車11eに連接されている回転出力部14に出力され、連接部10を介して減速機構9の固定太陽歯車部18に連接されている。また、減速機構8の固定太陽歯車部17は図2に示すアーム13a、13bで本装置外の固定部7例えば航空機の機体構造部材に固定される。他方、伝達歯車4bを介して減速機構9の入力軸である駆動軸6に伝達された駆動力は、駆動太陽歯車12a、遊星歯車12b、12d、固定太陽歯車12c、被駆動太陽歯車12eからなる遊星歯車機構12で減速され被駆動太陽歯車12eに連接されている回転出力部15から、前記減速機構8の回転出力部14から連接部10を介して減速機構9の固定太陽歯車部18に入力された変位に加算されて出力され、連接されている被駆動部(舵面)16を駆動する構成をとる。 【0008】上記した本装置の形状について概念斜視図を図2に示す。駆動源1の駆動力は従動伝達機構2に加わり駆動軸5と駆動軸6に分岐される。駆動軸5から減速機構8に入力された駆動力は、減速機構8で減速され回転出力部14に出力され、連接部10を介して減速機構9に連接される。駆動軸6から減速機構9に入力された駆動力は減速機構9で減速され減速機構8の出力に加算されて回転出力部15に出力され、連接されている本装置外の被駆動部(舵面)16を駆動する。 【0009】つぎに図3から図7を使用して本装置の作動について説明する。図3に上記の本装置の駆動力の伝達の経路を、図4に図3に示す軸17、駆動軸5、駆動軸6、回転出力部14、回転出力部15の各部の回転A、B、C、D、Eを示す。正常作動時には軸17の回転(A)は、二つの経路に分岐して減速比を取らない場合にはそのままの回転が駆動軸5(B)と駆動軸6(C)に伝達され、減速機構8で減速された回転(D)は、減速機構8の回転出力部14に出力され、減速機構9に入力される。減速機構9の回転入力(C)は減速機構9で減速され前記(D)と加算されて回転出力部15に(E)として出力され被駆動部16を駆動する。 【0010】減速機構8と減速機構9の減速比はb/aであり、正常作動時には減速機構8の回転出力bに減速機構9の回転出力bが加算されて減速機構9の回転出力部14には約2bまたは2bの回転出力が出力される。つぎに、減速機構8の経路でジャミング(固着)が発生した場合、駆動軸5の回転(B)はゼロとなり、したがって回転出力部14の回転(D)もゼロとなる。この場合、図1の従動歯車機構2内の差動歯車機構3において伝達歯車4aが停止した状態では、駆動軸6の回転(C)は2倍の2aとなり、減速機構9の回転出力(E)は2bとなる。つぎに、減速機構9の経路でジャミング(固着)が発生した場合、駆動軸6の回転(C)はゼロとなる。この場合、図1の従動歯車機構2内の差動歯車機構3において伝達歯車4bが停止した状態では、駆動軸5の回転(B)は2倍の2aとなり、減速機構8の回転出力部14の回転(D)は2bとなり、駆動軸の回転の無い減速機構9はそのままで減速機構8と共に駆動され回転出力部15の回転(E)も2bとなる。 【0011】つぎに、図1、図5、図6、図7を使用して前記図4の状態に対応する被駆動部(舵面)16の回転変位の状態を説明する。図5は本装置が正常な状態で、図1の駆動源1の軸19の回転変位がaの時、固定部7に対する減速機構8の回転変位はbとなり、減速機構8の変位の軸上に回転中心がある減速機構9の回転変位もbとなる。したがって、減速機構8の回転中心(固定部7に対する回転中心)に対する被駆動部(舵面)16の回転変位は2bより小さいが、Xに対してYの大きさが十分大きければ限りなく2bに近づく。図6は減速機構8の系統がジャミングした場合で、減速機構9の回転中心に対する回転出力部15すなわち舵面16の回転変位は2bであるが、固定部7に対する減速機構8の回転中心からの回転変位は2bより小さいが、Xに対してYの大きさが十分大きければ限りなく2bに近づく。図7は減速機構9の系統がジャミングした場合で、固定部7に対する減速機構8の回転変位2bがそのまま舵面16の回転変位となる。 【0012】前記のごとく、本装置においては、通常Xに対してYは十分大きいので減速機構8および減速機構9のいずれかの系統にジャミングが発生しても、舵面16の回転変位は大きく変わらない動力伝達機構が実現できる。また、減速機構8および減速機構9のいずれかの系統にジャミングが発生しても、駆動力の変動も生じない動力伝達機構が実現できる。以上の説明は、減速機構8と減速機構9がX離れて構成されている例であるが、Xを限りなくゼロとした同軸配置にすることにより一系統がジャミングしても被駆動部16の回転速度、変位ともに変動無く駆動できる動力伝達装置が実現できる。さらに、減速機構のジャミングに対して冗長度をあげるために、駆動軸5の後に差動歯車機構3と同様な作動歯車機構をを介在させて駆動軸を二つに分岐し、各軸に図1の例と同様に減速機構を並置し出力を連接して被駆動部を駆動するように構成することもできる。 【0013】次に、本発明が第2に提供する動力伝達装置(以下本装置と称する)の構成例を、図8および図9を用いて説明する。図8に本装置の構成をブロック図で示す。本装置は、駆動源21と減速機構23からなる第1の動力伝達機構と駆動源22と減速機構24からなる第2の動力伝達系統を有し、減速機構23と減速機構24は連接部29により連接されており、駆動源21と駆動源22の何れが選択されても被駆動部28を等しく駆動できるように構成されている。前記第1の動力伝達系統と第2の動力伝達系統の選択は制御器25により行われる。 【0014】つぎに、図9、図10、図11を用いて構成と作動を説明する。図9において、第1の動力伝達系統の駆動源(原動機)21から入力された駆動力は、駆動軸30から固定部26に対して回転支持された減速機構23に伝達され、駆動太陽歯車27a、遊星歯車27b、27d、固定太陽歯車27c、被駆動太陽歯車27eからなる遊星歯車機構27で減速されて被駆動太陽歯車27eに連接されている回転出力部31に出力され、被駆動部(舵面)28を駆動する。第2の動力伝達系統は、駆動源(原動機)22の駆動入力が減速され、駆動端34が固定部33に対して直線運動をする機構を内蔵するリニアアクチュエータを構成し、駆動源22の入力に応じて直線運動する駆動端34を、連接部29を介して減速機構23の固定太陽歯車部32に連接する。また、減速機構24の駆動端34の他端は、駆動端34が直線運動をして連接部29を介して減速機構23の固定太陽歯車部32を回転させるときに、減速機構24が動揺し得るように固定部33に対してピボット35で支持されている。かくして、駆動端34の直線運動により、減速機構23が固定部26に対して回転して被駆動部(舵面)28が駆動される。 【0015】第1の動力伝達系統と第2の動力伝達機構の選択は前記したように制御器25により実行される。例えば、通常は第1の動力伝達系統により被駆動部(舵面)28を駆動するが、減速機構23にジャミングが発生した場合には制御器25が駆動源21をオフにし、駆動源22をオンにすることにより駆動源22に加わる制御信号に追従して減速機構24の駆動端34が固定部33に対して伸縮し、連接部29を介して固定太陽歯車部32を回転させることにより、固定部26に対し回転支持された減速機構23がジャミングにより固着した状態で、回転支持部に対して回転し、前記したように減速機構23をジャミングしたままで動力伝達経路とし被駆動部(舵面)28を駆動する。図10に第1の動力伝達機構が選択された時の作動の状態を示す。減速機構24の駆動端34は固定で、減速機構23の駆動軸30の回転は、減速機構23で減速され、舵面28をbだけ回転させる。図11は、第2の動力伝達機構が選択された時の作動の状態を示す。固定部26に対して回転支持された減速機構23は一体となり、駆動端34が下方に移動することにより連接部29がbだけ回転し、舵面28もbだけ回転変位するように作動する。かくして第2の動力伝達系統が選択されても第1の動力動力伝達系統と同様な駆動が得られる。以上の説明では、駆動源22に出力端が直線変位するリニアアクチュエータを用いているが、減速機構23と同様な回転変位機構を用いても同様な動力伝達装置が実現できる。 【0016】 【発明の効果】本発明が、第1に提供する動力伝達装置は、上記のように構成されており一つの駆動源の回転を作動歯車機構により二つの回転軸に分岐させ、それぞれの回転軸に遊星歯車機構を内蔵する減速機構を連接し、かつ二つの減速機構の内の一方の遊星歯車機構の固定太陽歯車部を固定端に固定し、その減速機構の回転出力部を他方の減速機構の固定太陽歯車部に連接しその回転出力部に被駆動部を連設することにより、通常は二つの減速機構の回転出力が加算されて被駆動部を駆動し、いずれかの減速機構にジャミングが生じた場合、残りの減速機構への回転入力が2倍となり、ジャミングが発生している減速機構を含めて被駆動部を駆動するため、いずれかの系統にジャミングが発生しても、舵面の回転変位(速度)は大きく変わらず、かつ駆動力の変動も生じない動力伝達装置が実現できる。さらに、本発明が、第2に提供する動力伝達装置は、動力伝達系統を二つにし、制御器で切り替えて被駆動部を駆動するようにし、第1の動力伝達系統の減速機構に遊星歯車機構を内蔵し、減速して被駆動部を駆動することができ、その固定太陽歯車部と第2の動力伝達系統の減速機構を連接し、第2の動力伝達機構の減速機構の出力で第1の動力伝達系統の前記固定太陽歯車部を回転し得るように連接することにより、第1の動力伝達系統にジャミングが生じていても第2の動力伝達系統からも全く同様に被駆動部を駆動でき、かつ、駆動速度と駆動力の変動も生じない動力伝達装置が実現できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所
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| 【出願日】 |
平成11年9月2日(1999.9.2) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097892 【弁理士】 【氏名又は名称】西岡 義明
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| 【公開番号】 |
特開2001−74121(P2001−74121A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月23日(2001.3.23) |
| 【出願番号】 |
特願平11−248574 |
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