| 【発明の名称】 |
動力伝達装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 誠
【氏名】酒井 拓生
【氏名】岸淵 昭
【氏名】田渕 泰生
【氏名】佐伯 学
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| 【要約】 |
【課題】ボールベアリング4の耐久寿命を長期化することのできるリミッター機構付きのコンプレッサプーリ装置を提供する。
【解決手段】Vプーリ20、ロータ21および駆動側プレート22を有する駆動側回転体2と、ハブ23および従動側プレート24を有する従動側回転体3と、駆動側プレート22と従動側プレート24との間に保持されたゴムハブ25と、駆動側回転体2を回転自在に支持するボールベアリング4とを備えたリミッター機構付きのコンプレッサプーリ装置において、コンプレッサのハウジング1と駆動側回転体2との間に、ボールベアリング4を覆う軸受防水カバー5を設けることにより、コンプレッサの体格を増大させることなく、より簡易的な構成で、コンプレッサに被水した水の、ボールベアリング4、特に内輪41付近への浸入を抑制し、ボール43の軌道面の腐食を防止するようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】駆動源から、一端面より軸方向外方側に突出するように小径部が設けられた回転装置の回転軸へ回転動力を伝達する動力伝達装置であって、(a)前記回転装置の一端面よりも一端側で、且つ前記小径部よりも外周側に回転自在に配された駆動側回転体と、(b)前記回転装置の回転軸に連結され、前記駆動側回転体から回転動力が伝達される従動側回転体と、(c)前記回転装置の回転軸の過負荷時に、前記駆動側回転体から前記従動側回転体への回転動力の伝達を遮断するリミッター機構と、(d)前記回転装置の小径部の外周において前記駆動側回転体を回転自在に支持するための軸受と、(e)前記回転装置と前記駆動側回転体との間に配されて、前記回転装置に被った水が前記軸受に到達することを抑制する軸受防水手段とを備えたことを特徴とする動力伝達装置。 【請求項2】請求項1に記載の動力伝達装置において、前記軸受防水手段は、前記回転装置の一端面より突出するように設けられた軸受防水カバーであり、前記軸受防水カバーは、前記軸受の外周側を覆うように設けられていることを特徴とする動力伝達装置。 【請求項3】請求項2に記載の動力伝達装置において、前記軸受防水カバーは、前記駆動側回転体側より前記回転装置の一端面に向かう程、外径が小さくなるような所定の傾斜角度を持つ筒状部を有することを特徴とする動力伝達装置。 【請求項4】請求項1に記載の動力伝達装置において、前記軸受防水手段は、前記駆動側回転体より前記回転装置の一端面に向けて突出するように設けられて、前記回転装置の一端面との間に絞り部を形成する防水壁を有することを特徴とする動力伝達装置。 【請求項5】請求項1に記載の動力伝達装置において、前記軸受防水手段は、前記回転装置の一端面より前記軸受の外周側を覆うように設けられた第1防水壁、およびこの第1防水壁に部分的に重ね合わされ、前記駆動側回転体より前記回転装置の一端面に向けて突出するように設けられた第2防水壁を有することを特徴とする動力伝達装置。 【請求項6】請求項5に記載の動力伝達装置において、前記第1防水壁と前記第2防水壁との径方向の隙間をS、前記第1防水壁と前記第2防水壁との部分的な重なりをLとしたとき、0mm<S≦2mm、L≧3mmを満足することを特徴とする動力伝達装置。 【請求項7】請求項1に記載の動力伝達装置において、前記軸受防水手段は、前記回転装置の一端面と前記小径部との間に設けられて、前記小径部側より前記回転装置の一端面側に向かう程、外径が小さくなるような所定の傾斜角度を持つ防水溝であることを特徴とする動力伝達装置。 【請求項8】請求項1に記載の動力伝達装置において、前記軸受防水手段は、前記回転装置の一端面または前記小径部の外周面と前記駆動側回転体の内周との間を略液密的に保つための環状のシール部材であることを特徴とする動力伝達装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、駆動源から回転装置の回転軸に回転動力を伝達する動力伝達装置に関するもので、特に軸受への水の浸入を防止することのできる動力伝達装置に係わる。 【0002】 【従来の技術】従来より、図12ないし図14に示したように、例えば冷凍サイクルのコンプレッサに具備されて、エンジンの回転動力をコンプレッサのシャフトに伝達する動力伝達装置が提案されている。 【0003】これらの動力伝達装置は、エンジンから回転動力が伝達されるプーリ101、201を有するロータ102、202とコンプレッサのシャフト103、203に連結するハブ部材104、204との間に電磁クラッチ機構を持っていない。このため、動力伝達装置には、シャフト103、203がロックした場合に、ロータ102、202からゴムダンパー105、205を経てハブ部材104、204への回転動力の伝達を遮断することのできるリミッター機構が設けられている。 【0004】ここで、近年、車両のエンジンルームにおいては、エンジン補機類の増加で高密度化している。このため、車両に搭載されたエンジンから回転動力が伝達されるコンプレッサは、他のエンジン補機類等との干渉を避けるために、エンジンの下方に追いやられて装着されたり、4輪駆動車等のRV(レジャーカー)の増加により水路走行の機会が増えたりする等、コンプレッサが車輪の跳ね上げる強い水流に晒され易くなっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の動力伝達装置においては、電磁クラッチ機構の電磁コイルを保持するステータを持たないため、コンプレッサのハウンジグ110、210が被水すると、プーリ101、201とコンプレッサのハウンジグ110、210との隙間から、ロータ102、202を回転自在に支持するためのボールベアリング(ラジアル玉軸受)120、220付近に直接水が浸入し、更に、ボールベアリング120、220の内部に水が浸入してボール等の転動体121、221が転動する軌道面を腐食させてしまい、ボールベアリング120、220の耐久寿命を低下させるという問題が生じている。 【0006】また、仮にボールベアリング120、220として、ハウジングの小径のスリーブ部111、211の外周に固定される内輪122、222とプーリ101、201と共に回転する外輪123、223との軸方向の両側にシールドまたはシールを取り付けたシールド軸受またはシール軸受を採用したとしても、コンプレッサのハウジング110、210の形状が円筒形状であり、しかもベアリング側の小径のスリーブ部111、211とハウジング110、210とを連結する連結部112、212の形状が略円錐台形状である。 【0007】このため、図12ないし図14に示したように、コンプレッサのハウジング110、210の外壁面に被った水がシールド軸受またはシール軸受の内輪122、222付近に流れ込み易い。これにより、回転するシールドまたはシールと固定された内輪122、222との隙間より水が浸入し、軌道面を腐食させてしまい、シールド軸受またはシール軸受の耐久寿命を低下させるという問題が生じている。 【0008】 【発明の目的】本発明の目的は、軸受への水の浸入を抑制することにより、転動体の軌道面の腐食を防止して、軸受の耐久寿命を長期化することのできる動力伝達装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明によれば、回転装置と駆動側回転体との間に軸受防水手段を設けることにより、回転装置に被った水が回転装置の小径部側、つまり軸受に流れ込み難い。それによって、小径部の外周に設けられた軸受内に水が浸入することはなく、ボール等の転動体が転動する軌道面が腐食することはない。このため、軸受の耐久寿命を長寿命化することができる。 【0010】請求項2に記載の発明によれば、回転装置の一端面より突出するように軸受防水カバーを設けることで、その軸受防水カバーによって軸受の外周側を覆うことにより、回転装置に被った水を、回転装置の小径部側、つまり軸受に流れ込み難くしている。また、請求項3に記載の発明によれば、軸受防水カバーは、駆動側回転体側より回転装置の一端面側に向かう程、外径が小さくなるような所定の傾斜角度を持つ筒状部を有している。 【0011】請求項4に記載の発明によれば、駆動側回転体より回転装置の一端面に向けて突出するように、つまり回転装置の一端面にできる限り近づけるように防水壁を設け、この防水壁と回転装置の一端面との間に絞り部を形成することにより、回転装置に被った水が軸受に流れ込み難くなると共に、勢いのある被水が軸受に直接浸入し難くなる。これにより、軸受への水の浸入を抑制できる。 【0012】請求項5に記載の発明によれば、回転装置の一端面より軸受の外周側を覆う側に向けて突出するように第1防水壁を設け、駆動側回転体より回転装置の一端面に向けて突出するように第2防水壁を設け、更に、第1防水壁と第2防水壁とを部分的に重ね合うように配設することにより、勢いのある被水が軸受に直接浸入することを防止することで、軸受への水の浸入を抑制できる。また、請求項6に記載の発明によれば、第1防水壁と第2防水壁との径方向の隙間をS、第1防水壁と第2防水壁との部分的な重なりをLとしたとき、0mm<S≦2mm、およびL≧3mmを満足することを特徴としている。 【0013】請求項7に記載の発明によれば、回転装置と小径部との間に、小径部側より回転装置の一端面側に向かう程、外径が小さくなるような所定の傾斜角度を持つ防水溝を設けることにより、軸受への水の浸入を防止できる。また、請求項8に記載の発明によれば、回転装置の一端面または小径部の外周面と駆動側回転体の内周との間を略液密的に保つための環状のシール部材を設けることにより、軸受への水の浸入を防止できる。 【0014】 【発明の実施の形態】〔第1実施形態の構成〕図1ないし図3は本発明の第1実施形態を示したもので、図1はリミッター機構を具備したコンプレッサプーリ装置を示した図である。 【0015】本実施形態のコンプレッサプーリ装置は、エンジン(本発明の駆動源に相当する)を搭載する自動車等の車両のエンジンルーム内に配設されて、エンジン補機(以下コンプレッサと言う)へエンジンの回転動力を伝達する動力伝達装置で、後記するリミッター機構を備えている。 【0016】ここで、本実施形態で使用されるコンプレッサは、本発明の回転装置に相当するもので、車両用空調装置の冷凍サイクルの一構成部品である。このコンプレッサは、シャフト10を回転させることにより吸入した冷媒を圧縮し吐出する冷媒圧縮部(図示せず)と、0%容量まで冷媒の吐出容量を変化させることが可能な吐出容量可変手段(図示せず)と、冷媒圧縮部および吐出容量可変手段を収容する円筒形状のコンプレッサハウジング(以下ハウジングと略す)1とから構成された可変容量型冷媒圧縮機である。 【0017】ハウジング1は、大径の円筒状部分で、例えばコンプレッサプーリ装置側から順に、フロントハウジング、シリンダおよびリヤハウジング等よりなる。このハウジング1の前端面には、中央部より軸方向外方側に突出するように円筒形状のスリーブ部11が一体的に形成されている。 【0018】スリーブ部11は、本発明の回転装置の小径部に相当するハウジング1の径小の円筒状部分で、外周側においてボールベアリング4を保持する軸受保持部である。なお、スリーブ部11の外周には、ボールベアリング4を係止するためのサークリップ12が嵌め込まれる環状溝13が形成されている。また、ハウジング1の前端面とスリーブ部11との間には、前方に向かって外径が小さくなる略円錐台形状の連結部14が設けられている。 【0019】本実施形態のコンプレッサプーリ装置は、エンジンの運転時に常時回転する駆動側回転体2と、この駆動側回転体2に回転駆動される従動側回転体3と、駆動側回転体を回転自在に支持するためのボールベアリング4と、コンプレッサに被った水がボールベアリング4へ浸入することを防止するための軸受防水カバー5とを備えている。 【0020】ここで、駆動側回転体2は、Vプーリ20、ロータ(軸受保持部)21および駆動側プレート22よりなる。また、従動側回転体3は、ハブ23および従動側プレート24よりなる。また、駆動側プレート22と従動側プレート24との間には、複数個(本例では4個)のゴムハブ25が保持されている。 【0021】Vプーリ20の外周には、多段式のVベルト(図示せず)が掛けられている。そのVベルトは、エンジンのクランク軸に取り付けられたクランクプーリ(図示せず)に掛け渡されている。なお、Vベルトは、コンプレッサプーリ装置だけでなく、他のエンジン補機類(例えばオルタネータ、エンジン冷却装置のウォータポンプ、パワーステアリング装置の油圧ポンプ等)のVプーリ装置にも共掛けされていても良い。 【0022】Vプーリ20は、鉄系の金属製で、最も外径側に、Vベルトの内周面に形成された複数のV字状溝部に対応した複数のV字状溝部31を有している。ロータ21は、鉄系の金属製で、略円筒形状に形成されて、Vプーリ20に溶接等の接合手段を用いて接合されて、内周側にボールベアリング4を保持する軸受保持部を構成している。駆動側プレート22は、鉄系の金属製で、Vプーリ20の前端面にリベット32を用いて接合されており、内周側に略円筒形状のフランジ部33を有している。 【0023】ハブ23は、鉄系の金属製で、コンプレッサのシャフト10の先端部の外周に嵌め合わされている。ハブ23の内周には、シャフト10の先端部の外周に形成された外周スプラインに係合する内周スプラインが形成されている。また、ハブ23の内周には、シャフト10の先端部に形成された内周ねじ部(図示せず)に捩じ込まれる固定用ボルト34の軸部が挿通する挿通孔35が形成されている。これにより、ハブ23の内周部分が固定用ボルト34の頭部(六角部)によってシャフト10の先端部に締め付けられることにより、ハブ23とシャフト10とが固定される。 【0024】従動側プレート24は、鉄系の金属製で、ハブ23の前端面にリベット36を用いて接合されており、外周側に異径筒形状のフランジ部37を有している。このフランジ部37は、駆動側プレート22のフランジ部33との間にゴムハブ25を保持するための周方向に等間隔で複数個(本例では4個)の凹部(凸部)38を有している。 【0025】複数個のゴムハブ25は、例えば塩素化ブチルゴム製で、内周側が駆動側プレート22のフランジ部33の外周に熱溶着等により固定されている。そして、ゴムハブ25の外周側には、従動側プレート24のフランジ部37の内周に形成された凹部38内に嵌め込まれる凸状の嵌合部(図示せず)が形成されている。 【0026】本実施形態のリミッター機構は、駆動側プレート22のフランジ部33、従動側プレート24のフランジ部37および複数個のゴムハブ25により構成されて、コンプレッサのシャフト10のロック等の過負荷時に、コンプレッサのシャフト10への伝達トルクが設定値以上になると、複数個のゴムハブ25の嵌合部がフランジ部33に削り取られることにより、Vプーリ20からハブ23への回転動力の伝達を遮断することで、エンジンからコンプレッサのシャフト10への動力伝達経路を遮断する。 【0027】ボールベアリング4は、ハウジング1のスリーブ部11の外周側に保持固定された内輪41、コンプレッサプーリ装置のロータ21の内周側に保持固定された外輪42、内輪41の外周と外輪42の内周とに形成された軌道面を滑動する転動体としての多数のボール(鋼球、玉)43、および軌道面側への異物の浸入を防止するための2個のベアリングシール44等から構成されたラジアル玉軸受である。 【0028】内輪41は、サークリップ12の後端面と連結部14の前端面(段差部分)との間に保持されて、固定部材であるスリーブ部11の外周に固定されている。外輪42は、ロータ21の内周側にかしめ等により保持固定されて、回転部材であるVプーリ20およびロータ21と共に回転する。ベアリングシール44は、外輪42の内周に形成されたシール溝に嵌め込まれ(固定され)、内輪41の外周に形成されたシール溝に嵌め込まれている。 【0029】軸受防水カバー5は、例えば金属製で、ハウジング1の前端面に複数個の固定用ねじ29により締め付け固定される円環板形状の取付部50、およびこの取付部50の内周よりVプーリ20側に突出するように設けられた円錐台筒形状のカバー部51を有している。 【0030】カバー部51は、ボールベアリング4の外周側を覆うように、しかもVプーリ20およびロータ21と重なり合うように設けられて、取付部50との間に略V字形状の断面を有する排水溝52を形成している。そして、カバー部51は、Vプーリ20側よりハウジング1の前端面に向かう程、外径が小さくなるような所定の傾斜角度(勾配:例えば10°)を有している。 【0031】〔第1実施形態の作用〕次に、本実施形態のコンプレッサプーリ装置の作用を図1に基づいて簡単に説明する。 【0032】一般にエンジンの下部側にコンプレッサが搭載され、且つアンダーカバーが付いていない自動車等の車両では、エンジンの下部からの車輪の跳ね上げ等によりコンプレッサが水飛沫を浴び易い。このため、コンプレッサのハウジング1が被水した際に、ハウジング1の前端面側に流れた水は、コンプレッサプーリ装置のVプーリ20とコンプレッサのハウジング1との間に流れ込む。 【0033】そして、Vプーリ20とハウジング1との間に流れ込んだ水は、ボールベアリング4の外周側を覆うように、しかもVプーリ20およびロータ21と重なり合うように設けられた軸受防水カバー5のカバー部51上に落下する。そして、カバー部51上に落下した水は、カバー部51が所定の傾斜角度(例えば10°)の勾配を有するため、カバー部51に沿って排水溝52の最もコンプレッサに近い側に流れる。そして、排水溝52の最もコンプレッサに近い側に流れ込んだ水は、排水溝52に沿ってコンプレッサの下方に落下することにより、コンプレッサが被った水のボールベアリング4への浸入を防止することができる。 【0034】〔第1実施形態の効果〕以上のように、本実施形態のリミッター機構を具備したコンプレッサプーリ装置は、ボールベアリング4の外輪42の外周側を覆うように、しかもVプーリ20およびロータ21と重なり合うように軸受防水カバー5を設けることで、コンプレッサやコンプレッサプーリ装置の体格を増大させることなく、現状の構成に軸受防水カバー5を追加するという簡易な構造で、ボールベアリング4の内部への被水、特にボールベアリング4に水が勢いを持ってストレートに浸入することを防止することができる。それによって、ボール43が転動する内輪41や外輪42の軌道面の腐食を防止することができるので、ボールベアリング4の耐久寿命を長寿命化することができる。 【0035】〔第1実施形態の注水試験結果〕次に、図2はプーリ301、ベアリング302、プレート303、固定用ボルト304および軸受防水カバー305を有する注水試験装置(対策品)と、プーリ301、ベアリング302およびプレート303を有し、固定用ボルト304および軸受防水カバー305を持たない注水試験装置(従来品)とにノズル306から水を注入して、ベアリング302への水浸入量がどのように異なるかについて調査した注水試験を示したもので、その実験結果を図3のグラフに示した。 【0036】但し、ノズル306を、プーリ301から10mmの位置に設置し、プーリ301の回転速度を5000rpmに設定して、注水試験を行った。この図3のグラフからも確認できるように、対策品は従来品に対してベアリング302への水浸入量が著しく少ないことが分かる。 【0037】〔第2実施形態〕図4および図5は本発明の第2実施形態を示したもので、図4はコンプレッサプーリ装置を示した図である。 【0038】本実施形態では、ボールベアリング4の外周側を覆う略円筒形状の第1防水壁53、およびコンプレッサのハウジング1の前端面との軸方向隙間を狭くする略円筒形状の第2防水壁(本発明の防水壁に相当する)54によってラビリンス(迷路)を構成している。すなわち、これらの第1、第2防水壁53、54をハウジング1およびロータ21に一体的に設けることにより、低コスト、省スペースでボールベアリング4に水が勢いを持ってストレートに浸入することを防止することができる。 【0039】第1防水壁53は、コンプレッサのハウジング1の前端面より前方側(ロータ21側)向けて突出するように設けられている。また、第2防水壁54は、ロータ21の後端面よりハウジング1の前端面に向けて突出するように設けられて、第1防水壁53に部分的に重ね合わされている。すなわち、第2防水壁54は、コンプレッサのハウジング1の前端面にできる限り近づけるように設置されて、コンプレッサのハウジング1の前端面との間に絞り部(軸方向隙間)55を形成している。 【0040】〔第2実施形態の注水試験結果〕次に、ハウジング1の第1防水壁53とロータ21の第2防水壁54との重なり度合(ラップ)、および第1防水壁53と第2防水壁54との径方向隙間を種々変化させて、ボールベアリング4への水浸入量がどのように変化するかについて調査した注水試験について説明する。注水試験は、ラップおよび径方向隙間を変化させ、ボールベアリング4への水浸入量について調査したもので、その実験結果を図5に示した。 【0041】但し、○は良好、△はやや良好、×は不良を示す。この図5からも確認できるように、第1防水壁53と第2防水壁54との径方向隙間が3mmを越えると、ボールベアリング4への水浸入量が増加する傾向にあることが分かる。また、第1防水壁53と第2防水壁54とのラップが3mm以下になると、ボールベアリング4への水浸入量が増加する傾向にあることが分かる。 【0042】そして、第1防水壁53と第2防水壁54との径方向隙間が2mm以下の範囲では、ボールベアリング4への水浸入量が非常に少なく、特に1mm以下の範囲ではボールベアリング4への水浸入量が最も少ない傾向にあることが分かる。また、第1防水壁53と第2防水壁54とのラップが3mm以上の範囲では、ボールベアリング4への水浸入量が非常に少なく、特に5mm以上の範囲ではボールベアリング4への水浸入量が最も少ない傾向にあることが分かる。 【0043】したがって、第1防水壁53と第2防水壁54との径方向隙間をS、第1防水壁53と第2防水壁54とのラップをLとしたとき、0mm<S≦2mm、およびL≧3mmが望ましく、0mm<S≦1mm、および5mm≦Lが最も望ましい。 【0044】〔第3実施形態〕図6および図7は本発明の第3実施形態を示したもので、図6および図7はコンプレッサプーリ装置を示した図である。 【0045】本実施形態のコンプレッサプーリ装置は、エンジンの運転時に常時回転するVプーリ60と、このVプーリ60に回転駆動されるハブ61と、Vプーリ60とハブ61との間に保持された複数個(本例では4個)のゴムダンパー62と、Vプーリ60を回転自在に支持するためのボールベアリング7と、コンプレッサに被った水がボールベアリング7へ浸入することを防止するための軸受防水手段とを備えている。 【0046】Vプーリ60は、本発明の駆動側回転体に相当するもので、例えばフェノール系樹脂等の熱硬化性樹脂または鉄等の金属により所定の形状に一体成形されている。このVプーリ60の外径部には、Vベルトの内周形状に対応した複数のV字状溝部63が形成されている。また、Vプーリ60の内周側には、ボールベアリング7を保持する略円筒形状の軸受保持部64が設けられている。 【0047】ハブ61は、本発明の従動側回転体に相当するもので、例えばナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂またはフェノール系樹脂等の熱硬化性樹脂製により所定の形状に一体成形されている。このハブ61は、コンプレッサのシャフト10の先端部の外周にスプライン嵌合する鉄等の金属製のインナーハブ65をインサート成形している。そして、ハブ61の側壁部66の外周側には、Vプーリ60に設けられた複数個(本例では4個)の貫通穴60aに嵌め込まれる複数個(本例では4個)の凸部61aが一体的に形成されている。 【0048】ゴムダンパー62は、略U字形状の断面または略円環形状の断面を有し、ハブ61の後端面より後方側に突出する凸部61aの外周面とVプーリ60の側壁部を軸方向に貫通するように設けられた貫通穴60aの内周面との間に形成された凹部内にそれぞれ圧入または接着等により装着されている。 【0049】本実施形態のリミッター機構は、Vプーリ60の貫通穴60a、ハブ61の凸部61aおよび複数個のゴムダンパー62により構成されて、コンプレッサのシャフト10のロック等の過負荷時に、コンプレッサのシャフト10への伝達トルクが設定値以上になると、ハブ61の凸部61aが側壁部66より分離することにより、Vプーリ60からハブ61への回転動力の伝達を遮断することで、エンジンからコンプレッサのシャフト10への動力伝達経路を遮断する。 【0050】ボールベアリング7は、ハウジング1のスリーブ部11の外周側に保持固定された内輪71、コンプレッサプーリ装置のVプーリ60の内周側に保持固定された外輪72、内輪71の外周と外輪72の内周とに形成された軌道面を滑動する転動体としての多数のボール(鋼球、玉)73、および軌道面側への異物の浸入を防止するための2個のベアリングシール74等から構成されたラジアル玉軸受である。なお、内輪71は、サークリップ12と段差部15との間に係止されている。 【0051】本実施形態では、ハウジング1の前端面とスリーブ部11との間に設けられた略円筒形状の連結部16の外周に形成された排水溝91によって軸受防水手段を構成している。また、排水溝91を形成した連結部16の外径部16aとVプーリ60の軸受保持部64の内径部64aとの径方向の隙間を小さくした円筒状のシール部92を設けている。 【0052】したがって、コンプレッサのハウジング1に被った水は、その表面に沿って流れ、連結部16の外周に設けた排水溝91に流れ込み、排水溝91を伝って下方に流れ出る。これにより、水はボールベアリング7、特に内輪71付近に流れ込み難くなる。さらに、連結部16の外径部16aと軸受保持部64の内径部64aとで、それらの隙間を略液密化することが可能な円筒状のシール部92を構成することにより、更に水がボールベアリング7、特に内輪71付近に流れ込み難くしている。 【0053】〔第4実施形態〕図8および図9は本発明の第4実施形態を示したもので、図8および図9はコンプレッサプーリ装置を示した図である。 【0054】本実施形態では、略横U字形状の断面を有する円環状のシール部材8によって軸受防水手段を構成している。このシール部材8は、例えばフェノール系樹脂等の熱硬化性樹脂製により所定の形状に一体成形されているか、あるいは薄い鉄板またはアルミニウム板をプレス成形することにより形成されている。 【0055】そして、シール部材8は、ハウジング1の円筒形状の連結部17の外径部17aとVプーリ60の軸受保持部64の内径部64aとの間に圧入することにより装着されている。したがって、ハウジング1の連結部17とVプーリ60の軸受保持部64との間にシール部材8を圧入することにより、コンプレッサのハウジング1に被った水がボールベアリング7、特に内輪71付近に浸入することを防止できる。 【0056】〔第5実施形態〕図10および図11は本発明の第5実施形態を示したもので、図10および図11はコンプレッサプーリ装置を示した図である。 【0057】本実施形態では、略横U字形状の断面を有する円環状のシール部材9によって軸受防水手段を構成している。このシール部材9は、例えばフェノール系樹脂等の熱硬化性樹脂製により所定の形状に一体成形されているか、あるいは薄い鉄板またはアルミニウム板をプレス成形することにより形成されている。 【0058】そして、シール部材9は、ハウジング1の円筒形状の連結部17の外径部17aとVプーリ60の軸受保持部64の内径部64aとの間に圧入され、且つ内周側がボールベアリング7の内輪71を介してサークリップ12と段差部15との間に係止されることにより固定されている。したがって、ハウジング1の連結部17とVプーリ60の軸受保持部64との間にシール部材9を固定することにより、コンプレッサのハウジング1に被った水がボールベアリング7、特に内輪71付近に浸入することを防止できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー
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| 【出願日】 |
平成11年9月3日(1999.9.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080045 【弁理士】 【氏名又は名称】石黒 健二
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| 【公開番号】 |
特開2001−74119(P2001−74119A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月23日(2001.3.23) |
| 【出願番号】 |
特願平11−249457 |
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